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"サイズ問題"にメス

 衣料品ネット販売で初回購入の大きな壁となっている"サイズ問題"にメスを入れるサービスが次々と立ち上がっている。

 アパレル全般ではマガシークなどが導入したオンライン試着ツール「バーチャサイズ」の認知度が高まっており、購入率や返品率の低減などで一定の成果を上げているようだが、サイズ選びが難しい商材に特化したサービスも出てきている。

 ブラジャーのオンラインフィッティングサービス「フィッティー」は4つの質問から得たユーザーの体型データと20項目の商品計測データを照合。利用者にフィットする商品だけをレコメンドし、下着メーカーや通販企業のECに送客する。

 春にローンチする靴のバーチャル試着サービス「フリックフィット」は、足専用の3Dスキャナで足をスキャンしてもらってサイズデータを登録。導入先ECの靴購入画面でバーチャル試着ボタンを押すと靴の履き心地がヒートマップで表示されるため、一度自分のデータを登録しておくと靴選びが楽になるという。

 欧米の衣料品ECでは返品が当たり前で、その分、サイズチャートが日本ほど細かくはなく、手間をかけていない。日本でもロコンドのように返品送料無料を基本サービスとする企業もあるが、返品という行為そのものを手間と感じる消費者が多いため、今後もサイズ問題を解決するサービスは増えそうだ。

日本郵便の割引率引き下げについて

 日本郵便は6月から、大口利用者向け郵便料金の割引率などを引き下げる。郵便利用数が減少し続けている中、今後の安定的なサービスでの事業継続維持が困難になるためという。

 割引制度は郵便番号などの情報のバーコードを付加したり、事前に郵便番号ごとに区分した場合に適用するもので、6月1日からは基本割引率を2~3%引き下げる。通販企業もDMや請求書の送付などで広く利用されているだけにコスト上昇を招くことになる。

 割引率の引き下げは大口利用者の郵便離れを加速することになりかねない。郵便料金自体の値上げに手を付けずに、重要な利用者である大口利用者向け割引率だけを引き下げることはいかがなものだろう。

 日本郵便の説明によると、今回の割引率引き下げはバーコードが付いていない郵便でも区分機の精度が高まったため、送り主側の行うバーコード付加が郵便局側にとってのコスト削減メリットが低下しているのが理由という。とすれば区分の手間が省け、区分作業全体のコストが低下しているはずで、郵便料金自体を値下げできるとも見て取れる。

 もちろん人手不足に伴う人件費上昇などさまざまな要因から値下げできないのだろう。ただ、割引率を引き下げた分、新たなサービスやメリットを提示しないと郵便の利用は想定以上に減少するのではないか。

規制強化に反対

▼「またか。いい加減にして欲しい」―。特定商取引法の見直し議論の中で通販事業者にとっても身近な「電話勧誘販売」について規制を強化する動きが出ており、通販事業者からは失望の声が広がっている

▼今回の件も過去の特商法の規制強化と同じく、ごくごく一部の悪質業者の存在を理由に事業者全体に過度な規制をかけようとしているという構図だ。仮にそうなった場合、通販事業者はアウトバウンドの実施に制限がかけられ、電話による自由な販促が行えなくなり、ビジネス面でも大きな影響が出てくると見られる

▼無論、悪質業者は野放しにしてはならない。法の執行体制を強化し、どんどん取り締まればよい。しかし、それは規制強化とは別問題だ。入口の規制強化は、すでに適正な事業活動を行っているまっとうな事業者のビジネスを阻害するだけで弊害の方が大きい。肝心の悪質業者は規制の網をすり抜けて、存在し続け、だまし続ける。これまで度重なる規制強化を行ってきた現在の状況がそのことを証明している

▼消費者保護の美名の下に繰り返し湧き起こる規制強化。誰のために、そして何のためにやるのか。また、その実効はどうなのか。どうしても「規制したい」のであれば、役人は最低限、今のような「規制ありきの理由付け」でなく、皆が納得できる根拠の提示と規制強化後の効果検証ぐらいはすべきであろう。

米ワービーパーカーのオムニ戦略に注目

米国大手ビジネス誌のファストカンパニー社は2月、毎年恒例のイノベーティブ企業の世界ランキングを発表。アップルやグーグルを抑えて1位になったのが、設立数年のメガネ通販企業「ワービーパーカー(米国)」だ▼同社は低価格の自社ブランドメガネをネットで扱い、特徴として在庫を持たない実店舗も運営している。来店者は店内のサンプルを試着して検眼などを受けてから店のPCを使ってその場でネット注文。数日以内に商品が届く仕組み▼在庫がないため店舗面積は通常のメガネ店の約半分で、立地も目抜き通りではなくビルの2階など人目の付きにくい場所にある。これは店舗の運営費を抑えて坪単価当たりの利益率を高める狙いがあるという▼同社を視察した日本企業によると、店内には博物館のように同社を紹介するコーナーや、来店者を記念撮影して写真を贈る企画もある。これらの様子は自社サイトで発信するほか来店者のSNSでも拡散されるため、ネットのくちコミだけで十分に集客が出来ているという。レジ設備やバックヤード人員、店舗からの集金作業がないことも魅力だ▼日本にあるオムニチャネルを一歩進めた形だが、この手法を使えば小資本の通販企業でも低コストで多店舗展開できるメリットがある。すでに米国では導入企業が増えており、日本でも目を付けている企業がいるようだ。

医薬品通販解禁の意義

 太平洋に面した海沿いの町に一台の軽トラックが走ってくる。トラックは平屋建ての家の近くに止まった。その家の前では家主夫妻が草刈りをしている。そこに先ほどのトラックから降りた運転手が近づいてきて、某ネット販売企業の名前を告げてから段ボールを手渡す...

 先日、こんな光景を間近で目にした。地元の人に聞くと、その地域は付近に小さなスーパーが1つあるだけで、日用品や食料品を買いに行くには、車やバイクが必要不可欠だという。そういう場所では、注文すれば家まで届けてくれる通販の存在は、単なる「便利」というだけにとどまらず、住民の生活を支えているのかもしれない

 今や食品、トイレタリー用品、服など様々なものが自宅にいながら購入できる。水や家具など重いものや大きなものも直接家まで配送されるので、自動車など運搬手段を持たない消費者にとっては有難いだろう

 そしてこのほど、一部を除いて一般用医薬品のネット販売について解禁する方針を政府が固めたと報じられた。今後、どういった議論がなされるか注視する必要があるが、ネット販売の商品群に再び大衆薬が加わる可能性が高まった

 実現すると、自宅でインターネットを通じて簡単に薬を購入できるようになる。ドラッグストアなどが付近にまったく見当たらない先述のような地域では、喜ばれるかもしれない。

食品通販各社のリアル活用

 食品通販各社が新たな新規客獲得として、リアルの取り組みに本腰を入れている。ネット販売のアフィリエイトや検索連動型広告が一般的になりマンネリ化する傾向にあるためだ。

 らでぃっしゅぼーやは10月から、家事代行サービス業者と業務提携した。協業の一環として家事代行業者スタッフが食材の注文や調理を行うプランを用意した。

 大地を守る会も「ヤフー!BB」の契約者向けに専用の通販サイトを用意。サービス契約時に対面で通販サイトや商品などを説明して新規客獲得につなげるという。

 オイシックスは東急ストア中目黒店内に専用コーナーを設置。毎週1品目の野菜を取り上げて、設置したモニターを通じて調理法を紹介する。

 3社に共通しているのは、商品やサービスを説明する機会を作り出している点。売り場の拡大で単純に商品の販売機会を増やすだけでなく、調理例の紹介や体験する機会を増やすことで顧客の理解を深める場としてリアルを活用しているわけだ。

 通販企業にとってリアルの売り場は、新規客層への認知度向上が図れるほか、会話を通じて商品の理解を得ることができる。こうしたメリットを享受するには提携先の「顧客基盤」ではなく、そこでの「接客方法」が重要になりそうだ。リアル活用を積極化する通販各社は、商品やサービスの魅力を伝えるための接客の工夫が求められているようだ。

スマホ対応は生き残りの条件

 取材を終えて会社に戻る道すがら、突如行列に出くわした。並んでいる人は一様に手元の携帯電話を暇つぶしに見つめている。行列の先には携帯電話店。その時ようやくその日が「iPhone5」の予約受付開始日だったことを思い出した。

 iPhoneをはじめ、現在はスマートフォンが全盛だ。電車で向かいに座った列の全員がスマートフォン画面を凝視している光景も、今では特段驚くことでもなくなった。PCよりもスマートフォンに接する時間が長い人も多いようで、事実、筆者の周囲にもPCは持たずすべてスマートフォンで済ませてしまう人も複数いる。

 こうした時代を迎え、通販事業者がスマートフォン対応を進めるのは当然の流れだろう。当社アンケートでも「スマートフォン対応」は常に上位項目。スマートフォンの話題が紙面に出ない日はなくなった。

 仮想モール事業者もヤフーやDeNAではスマートフォンを最重要デバイスと位置づける。前年比でみた伸びも好調だという。この流れは今後も続くことだろう。

 もちろん、あの小さな画面で購入まで完結させるのは簡単ではない。そこには必要な情報を盛り込む工夫や、精度の高いレコメンド、検索ワードの工夫などPCとは異なる対応が求められる。この辺りに真剣に取り組むか否かが今後の明暗を左右するとの考えは、もはや大げさではないだろう。

ライバルはアマゾン

 「『フェイスブックやモバゲーが流行ってるらしいから、うちでもやってみろ』と上から命令されただけじゃないの」。ヤマダ電機の通販事業に関わったことがある業界関係者は、同社の新サービス「ヤマダ電機マルチSNS」や「ヤマダゲーム」をこう評する。「上層部は店づくりには精通しているが、通販やネットの世界のことは何も分かっていない」とも。

 ベスト電器を買収し、売上高が2兆円を超えた同社。だが、通販関連では失敗続きなのは確か。2006年に参入したテレビ通販は早々に撤退。昨年開始した「ヤマダモール」は「流通額を聞いて1店舗の売上高かと思った」(先の関係者)というほどの惨状だ。

 新サービスは、利用することで同社ポイントが貯まることをアピールするとみられる。ただ、同様にポイントを売りにしたヤマダモールは今のところうまくいってない。実店舗の知名度に頼るだけでは同じ轍を踏みかねない。さらなる工夫が必要になるだろう。

 ヤマダの幹部は「ライバルはアマゾン」と口にする。今のところ国内売上高ではヤマダが大きくリードしているが、アマゾンのバイイングパワーは脅威。さらに拡大していくことが確実のアマゾンにどう対抗するか。

 合従連衡が進む家電量販業界だが、真のライバルはアマゾンなのかもしれない。ヤマダの取り組みは今度こそ成功するか。注目したい。

「個人情報収集」、利用者の同意を

 グーグルの新たなプライバシーポリシーに対する懸念が広がっている。利用者の検索履歴やメールの内容、ユーチューブの閲覧履歴、アンドロイド端末から送信された情報などが、利用者の名前やメールアドレス、さらには電話番号やクレジットカード番号などと紐付けて管理されるというものだ。

 グーグルの方針を「プライバシー侵害」と捉えるユーザーは少なくない。とはいえ、こうした情報はネット事業者にとってはのどから手が出るほど欲しいもの。企業がフェイスブックに注目している一番大きな理由は、利用者の属性に合わせた販促ができるからだ。

 通販事業者がスマートフォン向けアプリを出す理由の一つにも情報収集があろう。とはいえ、無断での収集は反感を買う。KDDI研究所によると、「アンドロイドマーケット」で配信される無料アプリのうち、6%が位置情報や利用アプリの一覧を無断で外部に送信していたという。

 セキュリティーの専門家は「収集そのものは悪くない。ただ、利用者に可否を選択させる必要はある」と話す。例えば、初回立ち上げ時に収集する情報とその目的を示し、同意がないと起動しないようにするといったプロセスが必要だ。

 優れたビジネスモデルでも、こうした部分に配慮しなければ非難を浴びることになりかねない。個人情報の収集は危険を伴うことを再認識すべきだろう。

ネットでの過剰な安売りが行き着く果ては

 「ネット販売での安売りには本当に参っている」。こうぼやくのは、通販企業とも取引のある、家電メーカーの幹部。想定価格をはるかに下回る安値で売られることで、アマゾンのような大手サイトも追随。家電量販店での販売価格にも影響を及ぼすわけだ。

 こうした場合、某大手量販店はメーカーに損失補てんを求めてくるのが常だという。独占禁止法の「優越的地位の乱用」は、家電量販に対して何度も適用されているはず。それでも状況が改善されていないのは嘆かわしい限りだ。ネットでの安売りを防ぐことが急務となるが、価格統制はできない。先の幹部は「卸す企業を選別するしかない」と話す。

 アップルは2010年、家電量販の通販サイトも含め、ネットへの卸を停止した(その後一部には再開)。これは、大手量販などが裏で行っている、安売りサイトへの横流しに対するけん制の意図があったと言われている。ただ、アップルのように強気な態度を示せるメーカーは少ない。損失補てんを強いられても泣き寝入りするしかないのが実情だ。

 結局のところ、被害を受けるのはメーカーと、補てんなど要求できない中小の小売企業。特に、価格を容易に変えられないカタログ通販は被害が大きい。いわゆる「バッタ屋」に商品を流さないようにするなど、適切な対処をしなければ業界は疲弊するばかりだろう。

取引上のマナー

 東日本大震災発生直後、需要が高まった水。店頭から商品が消え、消費者が水を扱う通販サイトに殺到し、欠品を余儀なくされるネット販売事業者もあった

 ▼この状況を受け、海外からの水の調達を強化するネット販売事業者もあったが、一方で「海外で行儀の悪いことをした事業者もいるらしい」と、ある関係者は語る

 ▼海外の供給事業者との間で夏場の需要期を見越して向こう数カ月間の商品を注文した某ネット販売事業者。震災発生直後の混乱を受け、かなりの数量を発注したらしいのだが、その後、日本での需要が沈静化。調達済みの在庫の処分にも手を焼く状況となり、残りの発注分を急にキャンセルしたのだという

 ▼水は薄利多売の商材。先の関係者によると、海外でも供給者側と販売者側が互いに商品の出し入れを融通しながら取引をしているという。その中にあって大量に発注した商品の突然のキャンセルは、現地の商慣行からすると非常に印象が悪く、供給業者側も「もう取引をしたくないと言っている」という

 ▼供給業者側からすると、そもそもの原因は、需要見込みの甘さにあり、その場しのぎでツケを負わせられるはとんでもない話。水は、食品や飲料を扱う通販サイトにとって重要なマグネット商材だが、今回の問題で海外の商品調達先をなくすようなことになれば、このネット販売事業者にとっても痛手になりそうだ。


トライ&エラー繰り返す"辛抱強さ"を

 ▼衣料品通販企業が実店舗を出店するケースが増えている。カタログやネットではリーチできない層の獲得を目指して百貨店などに店舗を構えたり、最近ではアウトレットに出店して、手ごろな価格で始めての購入を促したり、在庫処分につなげるケースも出てきた。また、「顧客は通販だけでは満足できない」として店舗に本腰を入れる企業もある

 ▼ただ、求めていた成果を得られずに撤退するケースも少なくない。店舗の立地もさることながら、売り場作りや販売スタッフの教育などは、実店舗のライバル店に簡単には追いつけない

 ▼カタログであれば写真やモデルの起用、誌面の割き方などで表現しやすいポイントも、店頭ではぼやけてしまうことも。また、これまでトライアルを繰り返して築いたクリエイティブも、ほとんどゼロからのスタートになる。通販と店舗はまったく別物と割り切る覚悟が必要で、経験者を確保する方がうまく回ることもあるようだ

 ▼実際のケースでは、通販で購入した商品を店頭で返品する顧客が出てくるなど、企業側の論理では想定しきれない状況に出くわすこともあるため、急ごしらえの戦力では墓穴を掘ることにもなりかねない

 ▼メーカーなどが通販市場に参入する場合と同様、新しい売り場では短期間に結果を求め過ぎず、まずはトライ&エラーを繰り返す辛抱強さが必要になりそうだ。

商慣習の違い

▼新興のネット販売事業者との取引をまとめた某大手食品卸の担当者。いざ契約書を取り交わす段になって、ネット販売事業者側の言葉に耳を疑った。「この甲と乙って何ですか?」

▼これまでメーンに取引をしてきた店舗小売業とは、契約書を取り交わすのが当たり前。だが、このネット販売業者にとっては、それまでのメールでのやり取りが契約書で、書面を交わすという概念がなかったのだという

▼流通業界では、GMSやコンビニ、ドラッグストアなど、新たな業態が生まれ、その時代の顔となってきた。そして今、新たな流通の顔となりつつあるのがネット販売だろう

▼実際、GMSなどチェーン小売業では、ネット販売を強化しており、東日本大震災の影響で店頭から消えた食品や飲料などを求め、消費者が通販サイトに殺到した。すでにネット販売は、生活必需品の購入場所と認知されつつあり、今後、消費者の購買行動も変わっていきそうだ

▼新業態が出てくるたびに変革を求められてきた食品等の卸。今その流れはネット対応にあり、卸にとってネットは、店舗小売業に対する必須のリテールサポート機能となり、専業のネット販売事業者も看過できない取引先となっている。流通業界の変化の波に晒されてきた食品等の卸が、店舗とは文化の違うネットの世界でどのように存在感を示していくのか、今後の動向が注目される。

選挙と通販

 この4月、各地で行われている統一地方選挙。日頃はあまり見かけることのない県会議員や市議会議員が、町中で投票を呼び掛ける姿が見られた。

。選挙戦で候補者が自らの考えを訴えるのは大切なことだが、それと同等に重要なのは、選挙ポスターだろう。通販カタログではないが、商品となる候補者の写真や、コピー次第で有権者に与えるイメージは相当違ってくる。

 某政党から某県議会議員に立候補したとある現職候補者のポスター。細面で目が大きく、なかなかの二枚目だ。20代後半の若手議員といった風情で、他の候補者のポスターよりも人目を引く。

 だが、地元の大衆食堂で食事をする姿を見かけたこの候補者。目元に若干の面影があるものの、顔の輪郭はポスターより横方向に2回り近く広い。見た目は40代後半から50代といったところで、ポスターのイメージとはあまりにもかけ離れていた。

 恐らく、若かりし頃に撮った写真を選挙ポスターに使ったのだろう。だが、イメージも投票の判断材料と考えれば、有権者を誤認させることにもなりかねない。これが通販の広告であれば、優良誤認で「景品表示法」違反といったところか。

 県政を変えると言い続けてきたこの候補者。どうも県政を変える前に自らの姿が変わってしまったらしい。顧客と誠実に向き合わなければ成り立たない通販の世界。政治の世界も同様だろう。

フェイスブックと通販

 少し前の話になるが、映画館に足を運んで「ソーシャル・ネットワーク」を観てきた。世界最大のSNS「フェイスブック」創業者のマーク・ザッカーバーグを中心にサービス誕生とその後を描いた映画で、各映画賞を受賞し話題になった。

 事実と異なるなどの指摘もあるようだが、"フェイスブック"の名を観客に強烈に印象づけたことは確かだろう。映画やエジプトの革命などで各媒体に取り上げられた影響か、日本でも最近ユーザー数の拡大が目立つ傾向にあるようだ筆者の周りを見ても利用し始めた友人・知人が多く、今や本格的なブームと呼んでも差し支えないだろう。普及が進むスマートフォンとの相性が良いのも一因となっているようだ。

 人が集まる場所にはビジネスの可能性が生まれる。当然、通販企業でも大手を中心に活用に乗り出す動きが活発化しつつある。姉妹誌でも取り上げたが、楽天やカタログハウスが利用するほか、最近ではセシールやユニクロなども着手。海外展開への布石や、従来とは異なる新たなアプローチの手法としてそれぞれ取り入れている。

 まだ目立つ成功例は少なく、「試行錯誤」の域を出ていないツール。だが、今後ユーザー数が拡大すれば、通販活用の動きが加速することは想像に難くない。ツイッターの爆発的な普及を思えば可能性の高い未来ではある。動向を追うだけの価値はあるだろう。

「電子書籍ブーム」とカタログの行方

自炊"が今、密かなブームとなっているらしい。と言っても料理のことではない。個人で書籍を裁断・スキャンし、「電子化」する行動のことだ。省スペース化や検索などの利点があり、耳目を集めている。

 今年は「電子書籍元年」と言われた。電子書籍リーダーとして、iPadに代表されるタブレット端末が国内外問わず多数現れ、話題をさらった。様々な特集も組まれ、「元年」かどうかはともかくブームとなったことは間違いない。「自炊」もそうした「電子書籍ブーム」を象徴するものだろう。

 通販事業者にとっても電子化は「電子カタログ」などで関わりがある。カタログの電子化は、動画との連動など、表現方法で様々な可能性を秘めており今後が楽しみな動き。電子書籍ブームがより盛り上がれば、通販業界での動きもまた、加速していくはず。

 とはいえ、電子書籍はまだ黎明期で仕組みも十分とはいえず、先行きは不透明。通販業界でも電子化はまだ一部の大手が試行しているだけで「ブーム」ですらない状況だ。だが多くの可能性を秘めた取り組みなだけに、そのあたりは今後、どれだけ成功事例が出るかにかかっているだろう。

 電子書籍に限らず、今年はユーストリームやツイッターなど、通販に活用できる様々なサービスが脚光を浴びた。来年は果たしてどのような試みが生まれるか。期待して新年を迎えたい。

情報流失事件発生、顧客離れを食い止めるには

  先日ある通販サイトから、個人情報流失に関する謝罪メールが来た。セキュリティ関連の取材をするようになって長いが、被害の当事者となったのは初めてだ。

 流失したのはサイトのIDとパスワード。どちらも忘れていたが、他のサイトと同じものを使っている可能性があるだけに放ってはおけない。すぐに窓口に問い合わせたところ、IDはメールアドレスと判明。パスワードは後でメールで送付してもらうことになった。

 ID・パスはいろいろなサイトで利用できるだけに流失は大問題。しかし記者は知識があったから良いものの、ID・パス流失と聞いただけでは「大きな問題ではない」と勘違いする利用者もいるのではないか。危険性をきちんと知らせる必要があろう。

 もう一つの問題はカード番号だ。カードを使った記憶はあるものの、どのカードかが分からない。「カード情報は流失していない」との説明はあるものの、今ひとつ信用できないのが正直なところ。サイトのFAQに「注文時に使用したカードがどのカードか分からない場合は窓口で確認する」との記述があったため食い下がったが、「データを現在所持していないため分からない」とのこと。対応にやや不満が残った感があるのは否めない。
 こうした事件が起きれば、今後そのサイトを使いたくなくなるのは当然。顧客離れを最低限に食い止めるためには、起きる可能性のある不利益をすべて説明し、できる限りの情報を公開することから始めるべきだろう。

再認識するテレビの"存在感"

 連日、熱戦が繰り広げられているW杯。先日の日本戦では関東地区の平均世帯視聴率は43%まで達したという。若者の「テレビ離れ」が囁かれるが、やはりまだまだテレビの存在感は大きい。

 この「最も身近なデバイス」をネット販売で活用する動きがようやく本格化の兆しを見せ始めている。ヤフーが先日、「テレビ版ヤフーショッピング」を開設。ネット対応テレビ限定で商品を動画で紹介する試みで、電話注文も可能という。いわばヤフーの「テレビ通販」だ。

 同様に楽天でも、テレビ向けネットサービス「アクトビラ」で「楽天市場」を以前から展開。アクトビラには他にも複数の事業者が参加しており、それぞれ新規客の獲得に期待を寄せる。

 テレビは一般ユーザーが接する機会が最も多いデバイスの一つ。それだけにネットの利用ではPC・携帯に次ぐ「第3のデバイス」に最も近いが、ただ、実際にテレビにLANケーブルを接続している数は2割程度だという。今では量販店に並ぶほとんどがネット対応テレビであるにも関わらず、だ。

 どのようなサービスでも、利用への入り口となる「トビラ」を開けてもらえなければ始まらない。そこへ誘導するには、まずはPCや携帯とは違う、「テレビならでは」の特色を打ち出す必要があるだろう。W杯が終わったあともテレビへ惹きつけられる、そんな魅力的な特色を見たい。

真のツイッター活用法とは

 今や通販企業も当たり前のように使っているツイッター。しかし、販促に活用するといっても、大きな成果は出ていないのが本当のところ。ある担当者は「効果でいえば、まだまだメールマガジンの方が高い」と話す。

 ツイッターの目新しさは、「リツイート」と呼ばれる、つぶやきの引用機能を介した拡散速度だ。どの担当者に聞いても一様に「リツイートをしてもらうためのつぶやきがカギ」との答えが帰ってくる。しかし、その効果は長く続かないだけに、目に見える成果はなかなか出ないのが実情だ。

 新しいスタイルのツールだけに苦労もつきまとう。あるネット販売企業のつぶやき担当は、突然自社のアカウントがツイッター側から止められていて驚いたという。どうやら、一度にたくさんフォローをしたことでスパム業者と間違えられたようだが、フォローする利用者も増えていただけに、痛手となった。

 特徴を活かせていない例もある。あるカタログ通販企業では、つぶやく際には、数日前から書き込む文章を上司に提出し、許可をもらう必要があるのだとか。

 無用なトラブルを防ぐためのリスク管理なのだろうが、セール情報をつぶやくのにわざわざ許可を取っていたのでは、ツイッターの利点は活かせない。もちろん、節度を保つことは必要だが、機動的な顧客対応が可能なツールとして活用法を探っていくべきだろう。

「ツイッター」は顧客ケアに活用できるか?

 簡易ブログ「ツイッター」の利用がうなぎ上りとなっている。調査会社ネットレイティングスによると家庭や職場のPCからアクセスした人数は、2009年1月に20万人だったが、1年後の10年1月では473万人にまで膨れ上がった

 新商品のお知らせやキャンペーン情報の通知などでクチコミ効果が期待され、販売サイトと連携した利用も増えている。企業にとってはユーザーの生の声が入手できるというのも強み

 米国では航空会社の利用例が面白い。乗客が機内のサービスについての不満をツイッターでつぶやいたところ、降り立った空港で航空会社の担当者が待機していてお詫びをしたという。このように顧客ケアのツールとしての利用もある

 通販でも、届いた商品について利用者がツイッター上で不満をつぶやいていれば、気づいた担当者が返品の対応に動くという使い方もある。商品に不満があっても直接クレームする前にグチって終わるという人はたくさんいるだろう。ブログやツイッターはそうした声が表出しやすいという面がある

 報道によると、米国防総省が兵士のツイッター利用を許可したという。戦場で"つぶやく"のを公に認めたというわけだ。兵士でなくともつぶやく機会が増えているツイッター。そのつぶやきに、耳を澄ますことは顧客ケアにつながるかもしれない。

DMプラザ・マスマーケティングからの脱却

▼メーカーが従来のマスマーケティングと異なる健康食品の通販に参入する場合、"これまで染み付いたアカ"を落とさなければならない。メーカーが新商品開発の拠りどころとする「受容性調査」もその一つといえるだろう

 

▼受容性調査は新商品開発にあたって、その商品がどの程度市場に受け入れられるか判断するために行うモニター調査のこと。一般的に70%の購買意向を得ることができれば、流通業者の納得を得て陳列棚を確保でき、ある程度の販売が見込めるとされる

 

▼だが、通販はメーカーがこれまでマスマーケティングで展開してきた手法と全く異なる。広告に対し0.1%のレスポンス、つまり1,000人に1件の注文が得られればその客をリピート客に育成し、収益源とできるためだ。仮に数十人~数百人規模の受容性調査で芳しい結果を得ることができなくてもビジネスは成立する

 

▼受容性調査を否定するわけではない。ただ、メーカー系通販の担当者は社内的な理解を得られずに苦しむケースがままある。予算が限られる中で、受容性調査など従来のマスマーケティングへの依存から精神的に脱皮することが通販成功の近道といえるのではないだろうか

 

▼通販の醍醐味は、モニター調査に頼らずとも実地で顧客ニーズを直に吸い上げ、新商品開発や顧客満足につながるサービスを提供できることにあるからだ。

 

DMプラザ・不況下だからこそできる改善

▼長い間、テレマーケティング業界では離職率の高さが最大の課題と言われてきた。コミュニケーターにはもともと「腰を据えて」という意識が希薄な場合が多く、かつクレーム処理など過酷な業務が課せられる。そのため人が定着せず、常に確保する必要に迫られていたわけだ

 

▼が、昨今では不景気の影響で、そうした事情も変わりつつあるようだ。テレマ各社に話を聞くと、みな「今は良い人が集まるので人材の確保では苦労していない」という。雇用環境が悪化している現況が、人の確保という面ではプラスに作用しているわけで、これは不景気がもたらした数少ない恩恵のひとつと言えるだろう

 

▼とはいえ、漫然と現状に甘んじているだけではいずれ再び"苦難の時代"に戻るのも自明の理。当然、各社でもここを先途と様々な工夫を凝らし、有能な人材の定着化を図っている

 

▼例えば休憩室ひとつとっても、某企業では天井の高さや色の統一感に至るまで気を配る。また、別の企業では仮眠用の個室やタイマー、リクライニングチェアまで配備。ある企業では、「こたつ」の導入まで検討したという

 

▼もちろん、これらの細かい工夫が即、業績に直結するとは限らないが、"人が資源"のコールセンターにとっては長い目で見れば重要な取り組みであることは確かだ。ドラマ化で一般への認知度も高まった今は、工夫しがいのある局面だろう。

DMプラザ・流行りの〝値下げ〟に懸念

▼世界経済後退の引き金となったリーマンショックから、1年が経過しようとしている。この間、消費者の低価格志向、節約志向が顕在化し、アパレルではユニクロの1人勝ちが目立った。「商品の回転が速くてロープライス」なファストファッションが人気を博し、不況下にもかかわらず海外勢の日本進出も相次いだ

 

▼そのほかの小売り各社も、消費喚起を目的にさまざまな施策を実行してきた。総合スーパーなどを中心に「下取りセール」が活況を呈した時期もあった

 

▼しかし、業種にかかわらず、消費喚起や集客の目玉として最も多くの企業が取り組んだのは「値下げ」だろう。家具や雑貨などの生活用品ではニトリが昨年春に「値下げ宣言」し、今年8月までに計6回、それぞれ数百品目の値下げに踏み切ったことは、競合以外の小売りにもインパクトを与えた

 

▼通販実施企業にとっても、低価格志向の影響は大きい。景況感に対する本紙調査では、今後も厳しい状況が続くとする見方が強く、カタログ各社の今下期の拡販戦略も、価格訴求に頼る部分が多いようだ

 

▼ただ、既存商品の価格を引き下げる場合、中国生産へのシフト加速や、物流改革によるコスト削減効果など、「なぜ値下げできたか」を消費者に伝えることも必要かもしれない。従来価格との整合性がなければ、消費者の不信感を買うことにもなりかねない。

DMプラザ・食品専業100億の壁

▼本紙が実施した食品通販売上高調査によると主要60社の合計売上高は2,603億円だった。前回調査と比較すると25%増と拡大したが、食品事業者からは「(市場環境は)厳しい」との声も少なくなかった

 

▼その背景にあるのはギフト需要の低迷。中元・歳暮時期の客単価が減少傾向にあるからだ。ある通販会社では平均客単価は500円程度下がったという

 

▼加えて昨今の不況で、中元と年末の需要をつなぐ閑散期のイベントが鈍化。例えば「ホワイトデー」や「母の日」などで、前年の伸び率を下回った事業者もあったようだ

 

▼そうした中、売り上げを伸ばしているのは自家需要への対応に本腰を入れる企業。例えばセコムが展開する「セコムの食」。食卓のベースになるものとして、米や調味料、箸安めの惣菜などのラインアップを強化。ドゥマンも「訳あり商品」や「福袋」などで商品サイズと価格帯のバランスを重視した商品の開発に注力する

 

▼こうした自家需要への対応は、市場拡大に寄与するとみられる。日常の食品は消費スピードが早く継続購入が見込める。また、低迷するギフトを補い、購入頻度の増加につながる役割を担いそう。市場の活性化は新規客の取り込みを加速させる

 

▼食品通販市場は現状、100億円以上を売り上げる食品専業の通販企業が少ない。自家需要への広がりが100億円突破のきっかけになると期待している。

洋服も「安い・早い・うまい」に

▼アパレル上場3社の第1四半期決算が出揃った。スタートトゥデイは送料無料の施策が奏功し首位快走、続くマガシークは増収もプロパー不振で減益、スタイライフは自社で発行する通販雑誌が不調で増収も赤字決算となった。

▼07年度までは各社が共に2桁以上の増収増益を達成していたが、リーマン・ショック以降、業績に差が開いている。ただ、07年度まではアパレルネット販売の黎明期だった。

▼従来ネットでは買えなかった商品がネットで売られていること、それ自体に高いニーズがあった。だから"やればやるだけ"業績を伸ばせる余地が十分にあった。

▼一方、リーマン・ショック以降は、その需要も確かにあるものの、それ以上に「安さ」へのニーズが高まった。マガシーク、スタイライフともにアウトレット専用サイトの業績は、プロパーの伸び悩みに反して好調だ。

▼背景には洋服に対する価値感の変化もありそうだ。最近のファスト・ファッションの台頭は、洋服も「安い・早い・うまい」のファーストフードの感覚に似てきたように思う。

▼付加価値を付けてそれなりの値段で売るプロパーを支える顧客は一部のコアな服好きに限られ、大多数は正価そのものが値ごろなユニクロやファスト・ファッション、そしてアウトレットに流れる―。今後3社は"一部"と化したコアな服好きを巡ってシェア争いが激化することになりそうだ。

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本紙が7月に行った通販・通教の売上高調査によると、上位250社の売上高は、前回調査から約6%増となった。同時に調査を実施した化粧品、健康食品、食品の各ジャンルはいずれも2桁の大幅増。この差異をどう見ればいいのか▼上位40社の売上高の増減率をみると、減収となっている企業が目立つ。その一方で、新たに調査対象に加わったネット専業は数多い。つまり、市場が拡大したというよりも、通販という販売手法を採用する企業が増えているといった方が正しいのだろう▼これまで市場をけん引してきた大手カタログ通販や、百貨店などの老舗企業にとって、競合の増加は逆風だ。ユニクロなど有名小売のネット販売拡大は、店舗販売と通販をボーダーレス化しつつある。通販の強みである「値ごろ感」が失われているのだ▼こうした状況が業界再編の呼び水となりそうだ。あるカタログ大手の幹部は「キリンとサントリーが統合する時代だから」と苦笑いしつつも、一方で「弱者連合では意味がない」とも指摘する。弱い部分を補完しあう統合が理想だが、縮小するカタログという荷物を抱えた総合通販同士ではそれも難しい▼とはいえ、大手もどこも行き詰まり感が漂っているのが実情。通販が販売形態の1つに過ぎない以上、業種の枠を超えた統合や再編が加速しそう。生き残りをかけた正念場はこれからだ。

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