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記者の目 Archive

ネットだから便利?

 市場拡大が期待されるネットスーパー。いまやGMSを含めたスーパーだけでなく、百貨店やコンビニまでも参入するほど。

 ただ、参入企業の多くがまだ黒字化を達成しておらず、そればかりか集客面でつまずいている企業も少なくない。

 手渡しが基本のネットスーパー。コストとの兼ね合いはあるが、引越し業者のサービスにあるように、一人暮らしの女性宅には女性スタッフが商品を届けたり、高齢者には宅配時にスタッフが端末などを利用して翌日の注文を受けられるようにするなど、「ネットだから便利」という概念だけにとらわれない、より消費者目線でのサービス強化も、市場の拡大には必要と言えそうだ。


最適なサービスを

 友人の家を訪ねると見慣れないマットレスを使用していた。開封後でも返品できるため通販で購入。だが、詳しく聞くと「商品は良いが......」と話す。

 不満の矛先は返品保証だ。圧縮して届いたマットレスは開封すると膨張する。返品送料が高くつく上、届いた時の梱包資材に入らない。「返品させない仕組みなのかな」とポツリ。

 「返品保証」は商品への不安を払拭するもので、消費者はその安心感で購入を決定する。だが、物理的に返送しにくい商品への保証は買わせるための"おためごかし"と不信感を招きかねない。

 顧客満足を高めるには商品にとってもサービスが最適である必要がある。一口に返品保証といっても、その実現は簡単ではない。

"震災特需"に乗れ

 3月の震災から9カ月。震災で甚大な被害を受けた東北だが、複数の通販事業者から聞いた当該地域の販売状況によると着実に復興を遂げているようだ。

 某通販企業によると、「今年は全体的にレスポンスが低下したが、唯一、東北地域だけはアップ」。別の通販企業も石巻市で催事を行ったところ、「びっくりするくらい多くの方々に来場頂いた」とする。東北は生活の再構築のために、様々なモノが売れ、消費が活発化している復興特需が発生しているようだ。

 通販企業は変に遠慮せず、その特需におおいに乗るべきだ。良いモノをなるべく安価に提供し、どんどん販売することこそ早期の被災地復興につながるはず。臆せず東北での販促を強化すべきだ。


「得意分野」で勝負

  近年は通販企業のソーシャルメディア活用が隆盛だが、同様の波がテレマ企業にも訪れているようだ。ツイッターやフェイスブックで顧客対応や運営代行を行うサービスを、大手を中心に、各社がこぞって開始している。

 参入の理由は各社それぞれだろうが、ひとつには「サービス化しやすい」ことがあるのだろう。ウェブと電話のチャネルの違いはあれど、やることは同じ、顧客対応。であれば、これまで本業で培ったノウハウやスキルをそのまま活かすことができる、というわけだ。

 コールセンター市場は近年競争が激しく、各社が新たな収益源を模索している状態。それだけに、こうした「得意分野」で成果を出したいところでもある。今後に注目だ。

何事もタイミング

 夏に娘が産まれ、ありがたいことに多くの人にお祝いを頂き、お返しを、ということで某通販サイトで祝い返しを選ぶことにした。

 意外に選ぶのに骨が折れた「お返し」もさすがに一段落した先月半ば、郵便受けに先のお祝い返しで利用した某通販サイトを運営する企業から出産祝いのお返し用のカタログが届いた。「何で今さら?」と妻。

 購買履歴から判断して送ったのだろうが「お返し」を終えた今、そのカタログはまったく必要なく、むしろ「散々おたくで買ったのに...もういらない」と妻を憤慨させ、開封もされずゴミ箱行きとなるカタログを横目で見つつ「これがベビー服のカタログなら飛びつくだろうな」と密かに胸を撫で下ろした。


脱・情報漏えい?

  「うちの商品は高島屋でも三越でも買える。なのに何でテレビ通販では駄目なんだ」。ファッションアイテムを扱うあるメーカーは、ライバル関係にあるテレビ通販2強の対応を疑問視する。

 ターゲット層が異なるブランドをもう一方の番組に卸したくても"待った"がかかる。前述の企業は「情報漏えいを避けるため」と説明された。メーカーの中には苦肉の策として新たに子会社を立ち上げ、別の担当者も配置して2強それぞれに商品を卸すケースも。

 テレビ通販市場の拡大ペースが鈍りつつある中、囲い込む必要があるのはメーカーではなく消費者のはず。情報漏えいを気にするなら、バイヤーの離職を喰いとめることに注意を払った方が良さそう。

埋まらない溝

 10月12日から、消費者庁と国センの一元化を検証する議論が始まった。だが、消費者団体と消費者庁の"溝"は埋まりそうにない。

 第1回の会合で、業務範囲などを定めた消費者庁等設置法の附則3項の解釈を巡り対立。「消費者委員会を加えた3組織のあり方を含めて議論すべき」とした消費者団体に対し、消費者庁は「消費者庁の法律の関与のあり方を見直すとしたもの」として反論。だが、消費者団体が納得した様子はなかった。

 この対立はタスクフォースから続くもので、今後の議論の障害になりかねない。タイトな日程の中で充分な議論を行うには、両者の認識を一致させる必要がある。一元化を進めたい消費者庁は納得できる説明を行うべきだ。

意外な売れ筋商品

 先日、立て続けに似たような話を聞いた。モバイル通販2社を取材したときのことだ。若干の相違はあれど、共通するのは「意外なモノがよく」売れている、という点だった。

 A社は10代女性を対象にアパレルやコスメを販売しているが、あるとき水やペット用品を置いてみたところ、驚くほど売れたという。B社も概ねA社と同様の商品構成で、あるとき試しにリンゴなどの産直品を置いてみたら、やはり「飛ぶように売れた」そうだ。

 共通するのは、どちらも本来のターゲットとは異なる層に買われていること。意外とサイトは幅広い層に「見られている」ということだろうか。伸び悩んだときは案外、意外な商品に打開の糸口があるのかもしれない。

自己破産の裏で

 先日、本紙も取材したことのある通販企業の自己破産が報じられた。取材してからまだ3年も経っていない間に起きた出来事だった。取材当時は業界の中で「注目の新星」とも言われた企業だったが、実店舗展開が軌道に乗らず資金繰りが急速に悪化したという。

 気になるのは同社の代表が開設していたブログだ。日付を見るとニュースが出た前後も定期的に更新している。今回の経緯に触れた内容もあったが、直前のブログにはプライベートの旅行の様子なども記されており、悲壮感は感じられなかった。

 会社の状況とは対照的に、ほぼ休むことなく順調に更新されているブログ。果たしてこのブログを見て従業員や債権者は何を思うだろうか。

備えあれば、の時代

 先日、某コールセンターの担当者と震災時のリスクヘッジの話題になった。いわゆる「拠点分散」の動きについてである。

 担当氏曰く、震災直後はあれだけ盛んに取り沙汰された拠点分散だったが、震災から数カ月経過した今、実際に実行する動きはあまり見られないのだという。「喉もと過ぎれば...」ではないが、優先すべきは、発生するかどうか分からない有事よりまずは目先の利益、ということだろう。

 もっとも今後、今より余裕が生まれればそうした需要が高まる可能性は低くない。震災で、リスクヘッジの意識は確実に以前より強く刷り込まれたはずだから。これからは、備えあれば、の精神がより重要な時代になっていくのかもしれない。

お寒いクールビズ商戦

 今年は法人向けのTシャツ販売が伸びているという話をある通販会社から聞いた。自社のロゴ入りを注文する会社が多く、社員が着用しているのかと思ったが、イベントでの販促品として配布しているケースなどが目立つという。

 節電の影響で、6月に環境省が例年以上にカジュアルな出勤スタイル「スーパークールビズ」を提案し話題となった。しかし、話題にはなっても実際に導入できている企業はそこまで多くないのが実情のようだ。

 先方や来客者の都合を考えてしまう日本社会にとっては、定着するまでのハードルが高すぎる。商機と当て込んだメーカーなどにとっては、いささかお寒いクールビズ商戦となりそうだ。

お国柄に合わせて

 企業とユーザーをつなぐツールとしてSNSが注目されているが、海外市場をにらんだ場合にも効力を発揮する。もっとも、その際には対象となる国に適したサービスを使うことが重要になるようだ。

 例えば中国人向けにネット販売を仕掛ける企業では、中国版ツイッター「weibo」を活用して日本の情報を発信し、プレゼントキャンペーンを展開するなどしてファンを増やしているという。

 担当者によると、中国には本家のツイッターやフェイスブックの規制があるため、「weibo」のような中国国内のサービスが情報発信に最も適していると指摘する。海外の顧客獲得には、そのお国柄に合ったITサービスの活用が欠かせないというわけだ。


新しい価値の源

ある講演会でルミネの花崎会長は「あらゆるモノ・コト・サービスが小売りの競合になる」と語った。消費者がディズニーランドで丸1日遊んだり、どこかに旅行したら、後は服を買うのも我慢して財布の口を締めるだけというわけだ。

 右肩上がりの時代はとうに終わり、成熟し切った国内で小売業を営むなら「価格や量に走るのではなく、心に働きかける必要がある」と同氏。

 日本の人口増加率は頭打ちの状況にあるが、消費者の心の世界(マーケット)はまだまだ開拓の余地がある。新しい"価値の源"を嗅ぎ分ける能力は日本人の得意なところ。ディズニーランドに勝る買い物体験とは何か。改めて問い直すことも必要かもしれない。

東北支援の橋渡し

 東日本大震災を背景に、産直通販には一般の企業からの問い合わせが増加しているようだ。内容はキャンペーンの景品で東北産品を使いたい、というもの。これには「震災復興を支援」という企業姿勢を内外に示したい考えがあるためだ。

 産直通販は本来、全国の名産品を自宅に居ながら食べられるとして消費者の需要を獲得してきた。産地とつながり、顧客に直接商品を発送できるビジネスモデルを強みに市場を拡大してきた。

 被害の大きい東北地方を応援する気持ちは皆同じ。「産地から直接商品を届ける」という他にはない流通網を生かし、東北支援の"橋渡し役"になれれば、改めて産直通販としての存在価値が高まるはずだ。

「貸し倒れ」防ぐには

 コンビニ決済など、後払い決済の導入は購入率を高める効果がある反面、貸し倒れのリスクも生まれる。

 ある債権回収のコンサルタントは「おかしな注文がないかどうか、発送前にチェックすることで、最初から払う気がない悪質顧客の購入を防げる部分がある」と指摘する。例えば、不正に商品を入手したあと、海外への輸出やオークションでの転売などを目論む中国人。彼らはマンションの部屋番号を「○○○号室」ではなく「○○○室」と表記する傾向があるのだという。

 もちろんこれだけは判断できないが、こうした顧客が不自然なまとめ買いをしていれば詐欺の可能性は高まる。購入前の与信管理で、未回収の可能性を減らすことが重要だ。

組織戦略のハードル

 資生堂やコーセーなど化粧品大手のネット参入が相次いでいる。だが、参入は既存流通との競合だけでなく、社内の組織体制に影響を及ぼす可能性がある。

 他社では過去に市場における競合関係が社内に持ち込まれ、部署間でマーケティングの連動が進まない例もあったためだ。資生堂でも同じことが起こりうる。

 既成のブランド担当部署が手掛けるコーセーの場合、従来業務の延長で行われる性質上、新事業が片手間になり、遅々として進まない懸念もある。

 これら組織のハードルを越えてウェブマーケを推進できるか。懸念が現実となった場合、市場へのインパクトも限定的なものとなりそうだ。

紙一重のランキング

 「薄利多売で得た勲章はいらない」とは、ある大手仮想モール出店企業の言葉だ。

 ネット販売に参入した際、参考にした店舗が自己破産したのを目の当たりにし、モールで華々しく紹介されるランキングに疑問を持ったという。

 良い商品をいかに安く提供できるかを真剣に考える店舗がある一方、衣料品などでは、ランキングに載った商品の写真を基にOEM先の中国や韓国企業に類似商品を安く作らせ、それをライバル店に売り込む業者も存在する。

 前述の店舗は自衛手段としてランキングに載らない数量しか作らないようになった。

 勝者と敗者が紙一重なモールの世界。足元だけでなく、数年先を見据えた判断力が問われてきそうだ。


地震とツイッター

 今回の大地震を通じて、認識を改めたことがいくつかあったが、一番は「ツイッター」の便利さだ。

 地震当日、携帯電話がつながらず、離れた家族と連絡が取れない。やきもきしながら、電車が止まってしまった都内を徒歩で家路を急ぐ人々の行列に混ざりながら、ふとツイッターを覗くと「怖かった」との妻のつぶやきが。無事だった。

 地震後も「計画停電」の影響で、電車の運休や本数制限が行われる中、ツイッターを覗くと「今、混んでる」などリアルタイム情報をつぶやいてくれる人が多く、それで帰宅時間を早めたり、遅めたり。

 ネットは人と人とのつながりを希薄したという人もいるがむしろ、以前よりももっと近づいたように感じた。

「位置情報」に注目

  最近、位置情報SNS「フォースクエア」でよく遊ぶ。携帯のGPSを利用し、アプリから「今いる場所」に「チェックイン」して得点などを集めるサービスだ。ツイッターなどとも連携していて、知人に「今どこにいるか」を簡単に知らせることができて面白い。

 今は位置情報サービスが流行だ。ヤフーは地域情報サービスを集約した「ヤフー!ロコ」を発表。フェイスブックもチェックイン機能を実装したし、リクルートなども同種のSNSを運営している。

 「無店舗」が基本の通販には無関係に映るが、近年は通販企業のリアル進出が活発だ。ユーザーをSNSで実店舗に誘導してサイトに送る、なども不可能ではない。通販でどう使われるか、楽しみだ。

行政への主張

 「自動車業界と違ってバイク業界は行政に対してあまり影響力が強くないからね...」。バイク関連用品を取り扱うある通販企業の社長がつぶやいた。

 昨年、政府主導の「エコカー補助金特需」を受けて売り上げを大きく伸ばした自動車業界とは対照的に、バイク業界の新車出荷台数は伸び悩んだ。10年前の約半分にまで落ち込んだという。あまりにも急激な市場の縮小だ。

 通販業界にとっても、決して他人事とは言っていられない。10年後の「まさかの事態」を回避するためには、業界が一丸となって消費者庁をはじめ行政との連携を強化し、日頃から主張すべきことは主張して、通販業界の発展に向けた行動をとっていくことが必要だろう。

人材の"空白期間"

 20年近く前だろうか。景気の低迷で各社が新卒採用を見送る中、従業員80人弱のある中小企業が毎年新卒採用を続けていた。同社の社長曰く、「人材の空白期間ができると会社がおかしくなる」というのが理由だ。

 その本当の意味が分かったのは、先日某通販会社の関係者と話をしていた時のこと。同社も業績悪化で数年間新卒採用を停止。最近、その直前の新卒組が管理職になり始めたが、部下への指示の出し方に問題があるという。長年"一番下"の立場であったため、「後輩に仕事を教え、自分の理解も深めるという経験がない」ことに起因しているらしい。

 景気によって左右される新卒採用だが、長い"空白期間"は後々組織作りに影響する。

新規参入を好機に

 ブームを追い風に流行しているラーメン通販。人気店の味をそのまま自宅で食べられる商品の再現性がその理由だ。

 ラーメン通販が流行したのはここ1年ほどのこと。有名店が取り組みを開始し、競合する他店が追随。ラーメン店の知名度で、店舗に並べない女性層やファミリー層などの利用が活発化している。

 異業種の参入は食品通販事業者にとって市場拡大の好機となるだろう。人気店が誘導した新規客層が他の通販サイトを利用する可能性があるためだ。

 食品通販では食べた時の「美味しさ」が継続客を掴むカギとなる。拡大したユーザーを逃さず、自社の顧客とするためには、商品力のある品ぞろえが重要になりそうだ。

日本固有種の行方

 一般的な携帯電話のことをガラパゴス諸島の生物になぞらえガラパゴスケータイ、「ガラケー」と呼ぶそうだ。この存在を脅かすのがスマホ(スマートフォン)だ。日本でも持ちかえる人が増え、ガラケーを駆逐するとも。

 ただ、逆に気になってしまうのがガラケーの行方。確かにスマホは便利だがガラケーでメール、サイト閲覧を経て、ようやくモバイル通販に行き着いた団塊世代の母がスマホを使いこなす光景をどうしても想像できない。

 ガラケーはこれで長く親しんできた分だけの使い勝手の良さがあり、スマホが幅広い年代に浸透するまでには時間がかかりそうだ。通販企業はスマホ対策を採る一方で「日本固有種」もしばらく見守る必要がありそうだ。

食品提案に一考を

「おせちもいいけどカレーもね」というテレビCMがあるが、GMSや食品スーパーでは、昨年頃から"年明けうどん"なるものを売り込んでいるらしい。

 正月はおせちに酒など、何かと胃腸に負担がかかる時期。そこで消化がよいとされるうどんを提案し、拡販につなげようというわけだ。日本ならではの風習をうまく捉えた販促策と言えるだろう。

 毎年2月頃に見かける恵方巻き。その年の恵方に向いて太巻きを食べるという関西地区の風習に着目したコンビニが販売を行い、今や全国区になった。

 食品通販の場合、どうしても商品の見せ方や品質などに目がいきがち。日本的な季節感や風習を捉えた提案で売れる商品がまだまだあるように感じる。

開封されやすいメール

 先日、メルマガに関する講演があった。ある会社が、誕生月の会員を対象にクーポンメールを送信している話をしていた。

 面白いことに、メールの題名が「○円のクーポンプレゼント」ではなく「今月誕生日のあなたへ」とした方が開封につながったという。プレゼント内容を題名で全面に押し出した方が、受け手の食い付きがいいと思っていたので非常に意外なことだった。

 その会社いわく、今ではクーポンメールは不特定多数の会社が大量に送っている。消費者にとっては、自分に"メールが来た理由"がすぐ分かる題名にした方が開封しやすいというのだ。わずかな文字数が受け手の印象を左右する。メールの奥深さを感じた。

通販番組増の裏で

 終戦記念日のとある某大衆食堂。高校野球の放送で球児たちが黙祷する姿を見ながら、隣のテーブルに座る高齢男性の2人連れが「日本も贅沢になったもんだ」と言って、瓶ビールを注ぎ合う。

 何気なく聞き流していると、話題はダイエット補助食品のインフォマーシャルに。「これを食べて何キロ痩せただのと、同じことばかり言っている。戦争中は、食べ物がなくてみんな痩せていたのに」と不満気だ。

 テレビを見ていても通販番組ばかりで面白くないと連れ立って大衆食堂に来たというこの2人。局とすれば、通販事業者に枠を提供した方が収益になるとは思うが、観たい番組がないと感じ、テレビから離れていく人がいることも考えものだ。

返品特約の効果は?

 国民生活センターが公表した通販の相談概要をみると「返品」や「返金」で満足な回答が得られなかったとして「接客対応」に不満を抱く相談が目立つ。

 国センは「クレームに問題があるケースもある。事業者の対応が悪いとは一概に言えない」と実態を明かす。

 「返品」といえば昨年12月に改正特商法が施行。「返品条件」や「返品送料の有無」を広告や購入画面で明示することが義務付けられた。施行から1年未満だが、相談件数は前年と比べて3000件も増加している。

 返品特約はもともと返品トラブルを防止するためのもの。特商法の改正が逆にクレマーを生み出し、相談増加の一因になっているとすれば何とも本末転倒な気がするが......。


実りある店舗展開

 アパレルのネット販売を行う企業が実店舗を開設した。開店から1カ月が経過して訪ねてみると、「来店客の層が予想と全く違う」という。当初は若くてファッション感度の高い層を想定していたが、ふたを開ければ普通のサラリーマンが多かった。仕事の合間に目当ての商品を買っていくそうだ。

 高い固定費や商品数の限界などネットとは勝手が違うが店頭で顧客の様子を観察しているとどの商品に興味を示すか勉強になるという。「こういう商品はないの」といった生の声はネット上のキャンペーンにもつながった。

 「運営は大変だが、得るものは多い」と笑う経営者を見ていると、"アパレル不況"もやり方次第なのかもしれないと思えてくる。

不安招く配達員

 出勤前の朝、玄関のインターホンが鳴った。聞こえてきたのは「ユービンキョーです」と繰り返す片言の声。寝ぼけた頭では「郵便局です」と分かるのに時間がかかった。ドアを開けると、不機嫌そうにゆうパックを持つアジア人の女性配達員の姿があった。

 近年、様々な職場で活躍する外国人労働者の姿を見るが、ついに配達の現場にまで及んだのか。慣れないせいか、どうも安心してドアを開ける気になれなかったのが正直な感想だ。

 通販事業者は商品発送の宅配便会社は選べても、配達員の国籍までは指定できない。せめて自分の所属くらいはさらりと喋れる配達員でないと、顧客が玄関で不安を抱くこともあるのではと感じた。


ブームの前に...

 ライブ動画配信サービス「ユーストリーム」が脚光を浴びている。サイトの日本語化、専用スタジオの開設など利用の裾野を広げる動きに加え、「事業仕分け」など人気番組が生中継されたことで認知度が向上。今では「iPhone」などで手軽に中継する個人ユーザーも増えている。

 では、通販業界はどうかと言うと、まだ活用事例は少ないのが現状。一部のネット販売事業者に利用の動きは出ているが、業界全体では「まだまだこれから」のツールだろう。

 だが、ツイッターの例もあり、突然火がつくことは十分あり得る。テレビとは違った魅せ方ができるこのツール、ブームの前の今のうちに、自身で手軽に「試し撮り」して慣れておくといいかも。

送料無料の前提

 ある食品通販会社の幹部は新規客開拓の新聞広告内容を見直すと同時に"送料無料"を止めた。だが、「蓋を開けてみると受注件数は変らなかった」と、担当者は顔をほころばせる。
 
 「消費者は商品の良さよりも価格に引っ張られがちになっている」と嘆く先の担当者。価格訴求の風潮が蔓延する中、本来訴求すべき商品の良さが伝わりにくくなっていると判断。商品をじっくり説明する内容のクリエイティブに見直す一方、思い切って送料を有料にしたという。

 "送料無料"を訴求する通販会社が少なくないことを考えるとやはり、やはりニーズがあるのだろう。だが、その前提に"商品力"があることを見誤ってはならない。

市場を作る覚悟

 「楽天のランキングに載らない程度に売りたい」とは、ある衣料品ネット販売事業者の言葉。苦労して目新しい商品を開発しても、ランキングに載った途端、類似商品が溢れて価格破壊が起こった。「ランキングは同業者の手助けにしかならない」ということらしい。
 
 そういえば最近、ゴルフウエアを格安で販売する通販企業も多い。アラサー女性の「婚活の場」としてゴルフが注目されているが、真剣に取り組むつもりのない彼女たちには、可愛くて安価なウエアがちょうどいいらしい。
 
 大手メーカーが独占していた市場に安い商品が流通すれば、一定のシェアは取れる。ただ、一度できた「市場」を軽視すると、次の市場でしっぺ返しを食らうかもしれない。

間違った選択

 昨年の「医薬品ネット販売規制」を受け、通販事業者の中には、個人輸入という離れ業で規制の網をかいくぐる事業者が出てきた。これに対し、薬業界の反発が大きい。

 個人輸入製品に対する社会的評価は著しく低い。本来は薬業界の問題だが、よく健康被害を起こすこれらの商品は、健康食品のイメージ悪化も招き、事業者の頭を悩ませてきた。

 確かに、理不尽な規制に立ち向かうことは必要だ。だが、通販が社会に浸透して久しいとはいえ、まだ懐疑的な目も少なくない。苦境に立たされてもあくまで正攻法で立ち向かうことが、将来、事態を好転させるのではないか。自らアウトサイダーの道を選べば、業界の社会的認知さえ後退させることになる。

受渡場所の再考を

 休日の夕刻、帰宅するとドアに差し込まれていた某宅配便事業者の不在票。当日再配達の依頼時間が過ぎていたため、営業店まで荷物を受け取りに行った際の話である。

 不在票に記載された営業店に行くと、そこはターミナル拠点。守衛に要件を伝えると、敷地の外れある事務所で荷物の受け渡しをしているという。

 大型トラックが往来する中、薄暗い敷地を歩くこと数分。何とか事務所に辿り着くことができたが、通販等の女性顧客だったら不安を感じるに違いない。

 一般顧客が足を踏み入れることが少ないであろうターミナル拠点だが、荷物の受け渡しを行うのであれば、事務所の配置見直しなど、顧客の安全に配慮する必要があろう。

迅速なリコール対応

 今年1月から日米で報道されている、トヨタ自動車のリコール問題。ある取材先でこの話題に触れた時、ふと相手が「リコール対応に関しちゃ通販企業は早いね」と言った。

 確かに顧客の連絡先を入手できる通販企業は、商品回収が実店舗よりも対応しやすい。思い返すと家電メーカーなどは、リコールのたびにテレビや新聞の広告で呼びかけ、大掛かりな回収を行っていた。一斉メール送信や電話で顧客とコンタクトをとる場合と比べ、膨大なコストや時間がかかることだろう。

 リコールはあってはならないことだが、対応次第で企業イメージの悪化を軽減させることもできる。通販企業は、自らの強みを生かした迅速かつ確実な対応を心がけたいものだ。

ネットの強みと怖さ

「実店舗よりも、通販サイトを閉めた方が売り上げへのダメージは大きい」と語るのは、あるアクセサリー会社。

 30年以上経営していた都内の2店舗よりも、5年前に開設した自社通販サイトの方が、大きな集客力を持つようになったという。

 軽い気持ちで始めた同社通販サイトは毎年右肩上がりで成長。実店舗に来店する客も、約8割が通販サイトを見てから訪れている。

 ネットの影響力を改めて感じる話だが、それゆえに同社では「1回でも商品批判の書き込みがあれば、簡単に客足は激減する」と警戒。販売後の顧客ケアは怠らず、常に風評被害の予防に努めている。

 強大なネットの力を味方にするか敵にするか、結局は会社の心がけ次第といえそうだ。

面白いつぶやきに期待

 鳩山首相も始めたツイッター。当社でも実験的に始めているが、企業アカウントは半年ほど前より飛躍的に拡大し、今では通販業界でも多くの企業が日々「つぶやいて」いる。

 中でもIT系企業に面白い活用が多いようだ。既に各メディアが取り上げたが、ECナビは新卒採用にツイッターを活用。世間の関心と共にネットに強い人材も集めた。楽天でもトップ自ら一般ユーザーの要望を聞くなどし、自社のサービス改善につなげている。

 通販企業の利用は増えているが、まだセール情報や新商品への単純な誘導が多く、耳目を集めた例は少ない。それでもいいが、何か物足りないのも事実。そろそろ、工夫を凝らした効果的な"つぶやき"を見たい気もする。

IT業界も価格競争

 新規顧客に商品を売り込むのは大変な作業だ。実物が見えないシステム関連の商品となれば尚更それは難しい。

 老舗のあるIT企業は「レコメンドサービスなどは実際に導入しなければ、性能の良さが分かってもらえない」と語る。同社は無料お試し期間を設け、ゆっくり時間をかけながら顧客への商品理解を進めている。

 本当は他の顧客の導入事例を紹介して効果を細かく説明したいが、それも難しいという。特に大手顧客の名前を出して広報すると、後追いのベンチャー企業が「うちは半額でやります」と殺到し、値崩れが起きるためだ。

 技術や性能で勝負する思われがちなIT業界だが、ここにも激しい価格競争の波が押し寄せている。

住宅通販の可能性

通販では取り扱いづらい商品もある。住宅などはその際たるものだ。ミサワホームや良品計画が一戸建ての通販サイトを開設しているが、あくまでも価格シミュレーションや間取り案内が中心の内容。高額商品ゆえに、どうしても顧客と直接面談しなければならないプロセスが発生するため"完全通販"という形には至っていない。
 
ミサワホームの担当者は「ネットだけでは売れないが、ネットなしでも家は売れない」と語る。高額なモデルハウス建設や営業コストを考えると、ネット上で集客と販売ができる通販に大きな魅力を感じているという。

今は顧客誘引サイトに過ぎないが、いつの日か「クリック一つでマイホーム」という時代が来るかもしれない。

「小売」の競争へ

 「店舗とネットの融合」は始まるのか。

 チェーンストア協会の賀詞交換会に参加したGMSやスーパーの幹部からは「ネットと店舗の融合に力を入れたい」「通販チャネルを持ちたい」との意見が多く聞かれた。

 〝クリック&モルタル〟とはよく言われるが、一方で成功企業は数社程度と少ない。「社内体制が未整備でネットに売り上げが奪われるとして店舗側の協力が得にくかった」(関連業者)ことがその理由だったようだ。

 とは言え、セブン&アイHDのネット販売の本格稼働や、幹部の認識の高さを踏まえると今後、実店舗のネット強化が加速しそう。通販企業はチャネルの垣根超えた「小売」としての競争を強いられることになりそうだ。

顧客ケアの難しさ

 何かモヤモヤした気持ちが残った。先月、中古書籍通販サイトで10冊セットの本を注文したところ、数日後に配送日時を伝えるメールが届いた。メールには「7巻に損傷が見受けられましたが、購読には問題ないと判断し無償品とさせていただきます」との添え書き。
 
 実際に届いた商品を手に取って見たが、どこに傷があるのかはさっぱり分からない。
 
 到着前に正直に商品の不具合を伝え、無償品にすることは確かにありがたい。しかし、具体的な損傷内容が記載されていなかったために、こちらには疑問だけが残る形となった。
 
 せっかくの親切なサービスも、要点が伝わらなければ消費者を混乱させてしまう。対面接客ができない、通販ならではのアフターケアの難しさを感じた。

アンパンと牛乳

 ファーストリテイリングは、創業60周年とユニクロ誕生25周年を迎えた。ユニクロの第1号店は広島市で、オープン当日の開店時間は朝六時だった。10時だと学生が来店できないため早朝に開店したが、朝食をとらずに来ることも想定してアンパンと牛乳を配ったという。

 先日、1日だけではあるが国内店舗の過半に当たる約400店で午前6時に開店し、やはりアンパンと牛乳を復活させた。人間で言えば還暦を迎えた同社。初心に帰るという意味も込めた。

 勝ち組企業は、顧客満足を高めることを常に念頭に置いている。財布の紐が堅い消費者の心に響くサービスを行うのに、これで十分というラインはなさそうだ。

中小のジレンマ

モールに出店し手作り雑貨を通販する事業者は深刻な悩みがある。注文急増で生産が間に合わず出荷が遅れても「受注を止められない」というものだ。

 同社の場合、カードの支払いが7割で実際の収入は数カ月先。受注を止めると収入が減り、運転資金はショートする。一方、発送の遅れはクレームを増やし注文キャンセルを引き起こす。回避策として事前に連絡すると、"大至急欲しい"との要望が多く、「先に待っている顧客分の発送がさらに遅れてしまう」と嘆く。

 「資金確保」と「顧客満足の追及」のジレンマに悩む出店事業者は少なくない。モール事業者は出店者の悩みに耳を傾け、対策を講じる体制作りが必要となりそうだ。

〝必ず儲かる〟は罠

 急増するドロップシッピング(DS)をめぐるトラブル。先月26日には、大阪の男性ら4人が、DSプロバイダーを相手取り、契約金やサイト作成費用の返還を求める訴訟を、大阪地裁に起こした。こうした業者は、「必ず儲かる」などの宣伝文句で消費者を勧誘しており、訴えを起こした4人も、宣伝が「特定商取引法が禁じた不実告知にあたる」としている。

 DSでは、単価の高い家電製品を扱うケースも多いが、価格比較サイトの人気店舗から商品を仕入れている業者もいるようだ。これではまともな商売などできるはずもない。

 今後は行政の取り締まりも厳しくなってくるだろうが、甘い言葉に騙されない消費者の自己防衛が最重要だ。

記者の目・老舗にヒントあり

「なぜ、"長く"続いてきたのかを考えてみる必要がある」。

 某通販企業幹部は、江戸の昔から続く老舗企業に現在の厳しい不況を通販企業が生き抜くためのヒントが隠されていると話す。

 店の名前や味を守るために、時には赤字覚悟でコストを度外視した"より良いもの"を提供。それが「あの店の商品は間違いない」という評判を高め、100年以上も企業を存続させた一因となった。

 厳しい市況の中、「経費削減」を追ってしまいがち。ただ、それが本当に危機を乗り越える打ち手になるのか。小手先の仕掛けが通用しにくい今だからこそ、幾たびも"危機"を乗り越えてきた老舗企業のやり方、考え方を振り返ってみても良いのかも知れない。

記者の目・実現可能か「脱官僚」

衆議院選挙は「脱官僚」を掲げて臨んだ民主党の地滑り的な勝利に終わった。同党と政策の方向性は違うが、官僚依存からの脱却を第一目標とした「みんなの党」が予想外の躍進を遂げたことを見ても、国民が望む未来の日本の姿がここにあるのと言えるのではないだろうか。

通販業界は、昨年から今年にかけてさまざまな規制案への対応に苦しめられた。民主党も消費者行政の強化をマニフェストに明記しているが、今後どのように自民党との違いを打ち出していくか、未知数な部分もある。

業界の実態を無視した官僚主導の規制は、ひいては消費者の利便性を損なうことになる。本当の意味での消費者保護が実現できるのか。お手並み拝見だ。

"先着"への挑戦

先日某テレマ企業の社長を取材した際、「在宅オペレーター」の話になった。まだテレマ業界では事例が殆どなく、その社長も「関心はあるけどねぇ...」と渋い顔。他社に聞いて回っても同じで、関心はあるが導入には及び腰、で共通している。

こうした背景には、個人情報保護の問題と、シフトの問題などがあるようだ。例えば、コール数が少なければ待機分、余計なコストがかかるし、もし何か問題が起きた場合に、一人では的確な対応が難しい、というわけだ。

ただ、先行事例がないだけに、先着すれば大きな強みとなるのは確か。人材確保が困難な時間にコールが集中するテレビ通販企業などからの需要も期待できよう。挑戦する価値はあるかもしれない。

記者の目

「金も貰って恩も売っている」。スタートトゥデイの自社通販サイト支援事業について、こう指摘するのは業界関係者。実店舗は土砂降り。唯一、前年を上回る販路はネットであり、ネット売上高1位の実力をもってして業務を代行するという同社に、アパレルブランド側は恩すら感じている―。こうした予測が立つほどアパレルの市況が悪いのは確かだ。

つい先日は、伊勢丹の受託も発表された。百貨店とネット販売専業という、水と油のような組み合わせは、背に腹は変えられない状況であればこそ。

 だから今は、好況時には思いもしなかった提携や協業が生まれる可能性を秘めている。これまで傍流だった通販が、台風の目になると期待したい。

シマウマの群れ

 通販で扱える医薬品を制限する医薬品販売制度が導入され、1カ月以上が経った。医薬品ネット販売事業者の売り上げが大幅減になるという影響も出ているが、"当事者"ではない事業者は、対岸の火事と見ているようだ。

医薬品通販の規制問題は、検討過程でのドタバタ劇もあり、特異な例にも映る。だが、既得権益者の保護を狙った規制強化という構図は、何も医薬品に限ったことではない。

行政の締め付けに対する危機感が薄い事業者の現状を、ケンコーコムの後藤玄利社長は「シマウマの群れのよう」と表現する。成長著しいネット販売業界は、行政介入の格好の餌食。"群れ"のどこが食いつかれてもおかしくはない。やはり問題意識の共有は必要だ。

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