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記者の目 Archive

アマゾンがヤバイ

 米国で毎年この時期に世界最大のネットショップの展示会「IRCE」が開催される。今年も6月上旬にシカゴであったのだが、参加したECコンサルタントによると、「アマゾンがヤバイ」という。

 「ヤバイ」の根拠に挙げたのがこんな数字。「2016年における米国EC売上高の40%をアマゾンが占めている」「米国世帯の49%がプライム会員」「買い物の検索でアマゾンはグーグルの3倍利用されている」などなど。

 その影で閉店する実店舗は増え、オムニチャネル化を進めた大手小売りのECは伸び悩んでいる。この潮流は他人事ではない。アマゾンに頼って商品を供給するのか、それとも戦うのか。日本でもこうした見極めが必要になりそうだ。

普段使いの提案を

 切り花や鉢物などが主力の「花き」業界。近年はネットで花を注文する消費者が増えてきているものの、若者を中心に花を贈る習慣が減っていることもあり、花き業界全体の市場は縮小している。

 何年か前にはサントリーホールディングスが青いバラの商品化に成功して話題となったり、バレンタインデーに男性から女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」を業界団体が仕掛けているものの、需要を押し上げるまでには至っていない。

 仏壇や床の間といった花を生ける場所自体が少なくなるなど逆風は吹いているが、ストレス社会に花の持つ癒しを求める人は少なくないはずで、イベントではなく日常的に花を楽しめるような提案があっても良さそうだ。

定期縛りの限界

 行政や消費者団体がさかんに問題視する健康食品の定期縛り。多いものでは6回の購入を求めるものもある。

 そもそも定期縛りはアフィリエイターに高い報酬を支払い、自社商品を広告してもらうために生まれた。ブランド力、資本力のない新興企業は、複数回の購入が約束されれば購入単価を高め、先行投資を抑えて高額報酬を支払えるからだ。

 ただ、最近はアウトバウンドなど継続率を高めるCRMを強みに定期縛りをせず、アフィリエイターに高い報酬を提示する企業も出始めている。行政の監視も厳しく、国は埼玉県からの要望に特商法など「現行法で対応可能」との見解を示している。法執行などでいずれ改善を迫られることになりそうだ。

〝物流〟学べる場を

 3月22日開催の総合物流大綱第2回有識者検討会で国内の大学においてロジスティクスを専攻できる学部・学科がほとんどないとの話題が挙がった。米国、そして同国で数多くの留学生が学んだ中国に後塵を拝しているとのことだった。

 日本企業は商品開発部門の人材を欲する一方、物流専門家のニーズがないのが、その理由。就職にメリットがない専攻をした卒業者を雇用しないため、大学側も専門学部などの設立に消極的になってしまうようだ。

 国内で物流を学ぶのは物流部門を担当するようになってからで、上司から、また講習なで学ぶのが一般的という。物流効率化が今後一層求められる中、より早期に物流を学ぶ場が必要になる。

"日本"らしい商品

 中国向けの越境ECではベビー関連商材や化粧品、健康食品などが売れるというのはよく聞く話だが、世界に目を向けると、思いもよらないニーズがあるようだ。

 ある越境EC支援企業によると、柔道や剣道、弓道といった日本の武道が世界に広まっていることで、欧州や南米などから「神棚」の注文が増えているという。武道を通じて体を鍛えるだけでなく、礼儀などを重んじる精神を養いたい外国人が多いため、精神性を象徴する神棚のニーズに発展しているようだ。

 外国人はマンガから日本文化を学ぶことも多く、ランドセルなどをはじめ、越境ECを通じて外国人の需要に応えられる日本の商品はまだまだたくさんありそうだ。

キメ細かな運用を

「フォロワーを増やした後に、どう運用するかが重要」と話すのは、写真共有SNS「インスタグラム」を活用する担当者。新たな顧客接点の1つとして期待されるが、効果を高めるには手間をかける必要がある。

 食品通販A社は、インスタグラムの投稿で、商品の利用シーンをイメージする画像を使用するように心がける。プロフィール欄のURLは、画像に使った商品ページに書き換え、通販サイトに誘導しているという。

 良質な画像が購買意欲を喚起する。だが、通販サイトに誘導したユーザーを"迷子"にさせてしまうのはもったいない。インスタグラムに限らないが、SNSはキメ細かな運用が成果をあげる要因となりそうだ。

有料会員制とEC

 先日、初めて大型小売店「コストコ」に行った。非常に込み合い、溢れるほどに商品が積み込まれたカートが店内を動き回る様には圧倒された。その賑わいは「コストコ」が会員制であることが起因しているよう。「コストコ」では年会費4400円を支払い、会員にならねば買い物できない。会員の義母曰く「会費を払っても安くてよいものがある。せっかく払っているんだから、頻繁に行ってたくさん買わないと損」という。

 有料会員制はEC上でもアマゾンやヤフーでも採用しており、ヤフーによると「会員のロイヤリティの高さたるや尋常ではない」という。「買わせる」のではなく「会員になって」というアプローチ。ECで今後どう広がりを見せるか。注目だ。

自主回収での対応

 先日、遅めの"新年会"の計画が持ち上がり、事前に近くのドラッグストアで卓上コンロ用のカセットボンベを購入しておいた。

 ところが、その翌日に当該ボンベの製造会社が自主回収を発表。あわてて問い合わせ先のフリーダイヤルに電話したが、何度かけても一向につながらない。数十回のチャレンジの末、あきらめた。

 通販企業でも仮に自主回収を行う際は、要注意である。単に告知するだけでなくインバウンドの体制も整えなければ、さらなる客離れを招いてしまう。

 逆にそこでの対応やコミュニケーション次第では、既存顧客とのつながりを保ち、ピンチをチャンスに変える可能性も潜んでいる。その意味でも対応力が大事になるだろう。

早期にオープン化を

 ヤマト運輸の関連会社や日本郵便が設置する宅配ロッカーが合計で200台を超えている。設置を本格化してから1年足らずで、首都圏の駅を中心に設置されるようになっている。

 今後も設置が増えるだろうが、一方で受け取れる荷物は限定されている。一定の通販会社の商品、あるいは特定の個人宛て荷物といった具合だ。

 より広範な利用を可能にするためには設置台数を増やすだけでは不可能。より多くの通販顧客が受け取れるようにすることが必要になる。

 そして多様な宅配便会社の荷物を受け取れるようオープン型とすることも不可欠だ。設置台数の拡大に加え、オープン型も早期に実現してもらいたい。

価格下落の先には?

 正月に本格スタートしたアパレルのセールも終盤を迎え、定価1万円の服が3000円台で販売されているのを見ると、最初の値段設定に疑問を感じてしまう。

 ゾゾタウンの前澤社長も昨年、セールで売り切るアパレル業界の体質について苦言を呈し、「良い商品がそれなりの値段で顧客の手に渡る市場作りをけん引したい」と発言した。

 ゾゾは今後、PB商品を投入することを発表。大手アパレルもEC限定の商品やブランドの開発に前向きで、アパレル商材はより買いやすい価格になることも予想されるが、それは同時に通販専業の価格優位性の低下も意味しており、これまで以上に価値ある商品を提供できなければ勝負できなくなりそうだ。

「ゆうゆう窓口」の縮小

 郵便局の24時間営業窓口「ゆうゆう窓口」が縮小している。記者宅の近所にある郵便局のゆうゆう窓口も、この2月で24時間営業を取りやめるという告知が正月に来た。

 記者は一人暮らしのため、ゆうパックの初回配達時に通販の荷物を受け取れなかった際、軽い物であれば深夜に窓口まで受け取りに行くことが良くあった。ユーザーとしては利便性低下となる。

 もちろん、郵便局の人手不足が深刻なことは良く分かる。それであれば、例えば初回配達時でも受取人が日時指定を変更できるようにしてもらえないだろうか。受取ロッカー「はこぽす」の拡大も。配達員の負担軽減に協力したいのはやまやまだが、インフラ整備も願いたいところだ。

配送は早さだけ?

 英アマゾンが「急がなくてもいいよ便」なる配送サービスを展開中だという。通常よりも配送に時間がかかる分、それを選択した顧客には次回以降に使用できる1ポンド(140円)分の割引券を付与するというもの。

 日本では各社が短時間のスピード配送などし烈な配送サービス合戦を繰り広げている。利用者側も買った商品が早く届くに越したことはないと思っているだろうが、早く届けなくてもよい商品や速さよりも割引して、といった様々な要望が当たり前にあるはずだ。

 過剰な配送サービスは至るところで歪みを生む。配送は通販にとって重要で様々な工夫を行うべきだが、できることは配送スピードだけか。再考してみてもよさそうだ。

新技術の行方

 IoTやAI、ドローンなど今年も通販業界では多くの注目サービスが登場した。新技術は既存のビジネスに変化をもたらすという点で常に大きな期待が寄せられている。

 しかしながら、過去を振り返ると注目度ほど定着しなかった技術もたくさんある。数年前に登場した3Dプリンターもその一つで、関係業者に聞くとインク(樹脂)代の高さがネックとなり最近では取扱量が低迷。一部の大手海外メーカーが近く日本での事業を撤退する噂もあるという。

 新技術は他社に先駆けて導入することで差別化できるため、見切り発車で導入する企業も多い。前述のサービスも果たして何が残り、消えていくのか。1年後にはその答え合わせができることだろう。

説明必要な絵表示

 繊維製品の洗濯絵表示が12月1日に変わる。従来の22種類から国際規格の41種類となり、国内外で同じ表示となる。海外で購入した服の取り扱いに迷わなくなったり、情報量が増えるメリットを考慮しての変更のようだ。

 ただ、例えば弱流水での洗濯を促す場合、従来の「弱」マークに対し、"たらい"マークの下に一本線が入るなど、連想しづらいものも多いのが実情だ。

 消費者庁はウェブで特設コンテンツを開設したり、政府インターネットテレビでも説明動画を配信するなど、1年以上前から準備していたようだが、消費者への周知は十分とは言えず、当面、企業側は絵表示の説明などを継続的に行い、消費者の混乱を避ける努力が必要になりそうだ。

一分動画に注目

 最近のネット販売市場で、動画活用が再注目されている。クオカプランニングは菓子が出来上がる様子などを動画で配信。白鳩も越境ECの取り組みの中で、動画を使って商品特長を説明する試みを行った。

 目新しさは、動画が数十秒~1分と短い点だ。SNSで配信し、ユーザーはタイムライン上で何気なく視聴している。

 こうした動画を活用する狙いの1つは、ニーズがあいまいなユーザーの購買意欲を喚起することだろう。SNSのタイムラインで受動的に情報に触れてもらい、短い動画で試聴のハードルを下げる仕掛けだ。新規客獲得を課題とする通販各社にとって、潜在ニーズを喚起するため取り組みが重要になっている。

「ゾゾ」の球界参入

 千葉ロッテマリーンズの本拠地である「千葉マリンスタジアム」命名権の優先交渉権者にスタートトゥデイが選定された。千葉市と合意すれば2代続けて通販企業がスポンサーとなり、「ゾゾタウン」の名前を冠した球場が誕生しそうだ。

 一部報道によると、同社は将来的には球団運営にも興味を示しているという。通販業界では楽天のほか、ヤフーの親会社であるソフトバンク、さらにはDeNAも球団を保有しており縁は深い。

 具体的に球団売却の動きがあるわけではないが、成長企業であるスタートトゥデイが参入すれば球界・通販業界にも刺激となろう。何より個性的な前澤友作社長にも注目が集まりそう。1野球ファンとして期待したい。

手段より目的

 オウンドメディアはトップページに手数を掛けるよりもコンテンツの中身に労力を割いた方が良いと言われている。至極当たり前のことなのだが、あるコンサルタントによるとクライアント企業の要望の多くはトップページの構成をいかに組み上げるかの話ばかりになるという。

 実際にウェブユーザーの多くは検索サイトから記事コンテンツに直接流入しており、トップページへの訪問数は3%程度というデータもある。それにも関わらず企業としてはサイトの体裁にこだわる傾向にあるようだ。

 オウンドメディアの目的はより多くの閲覧者を集めてマーケティングにつなげること。本来の目的を見失わず実利に結び付くやり方に集中してほしい。

米アマゾンの動き

米経済誌ウォール・ストリート・ジャーナルが、アマゾンが米国でコンビニエンスストアの出店を計画していると報じた。食品事業を拡充し、店頭で生鮮食品を扱うという。また、同誌はオンラインで注文した商品を車まで届けるドライブイン拠点も近く導入予定だと伝えている。

 米アマゾンを巡る報道ではほかにも、USPなどの大手運送業者との契約を解除して自社物流への切り替えを検討しているといった内容のニュースも現地で報道されている。

 「米国の現象が数年後に日本でも起こるということはよくある」とECコンサルタントは指摘する。日本でもコンビニや自前の物流を仕掛けるのか。だとすればいつ頃か。気になるところである。

騒動のダメージは?

 アマゾンジャパンの電子書籍読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」を巡る騒動がいまだ収束の兆しを見せない。一部作品でアマゾンの予想を上回る配信があり、出版社への支払いが膨らんだとみられ突如、当該作品の配信が停止。出版社らがアマゾンに対し抗議を発表するなど騒ぎとなっていた件だ。

 ビジネス上でのアマゾンの考え方は理解できる。儲け以上に経費がかさめばそれをやめるのは当然だ。ただ、これで出版社との信頼は崩れ書籍販売では重大な影響を及ぼしそう。さらに深刻なのは利用者が同社都合での配信停止に不信感を覚えた可能性があること。この騒動でネット界の巨人がどんなダメージを受け、何を失うことになるか注視される。

再配達削減の啓発を

 JDAソフトウェア・ジャパンの調査で通販商品の再配達依頼回数を尋ねたところ、2回以上のとの回答が33%で、そのうち6回以上というのも3%だった。約2100人の回答者へのアンケートであり、6人程度の数となる。

 僅かな比率かもしれないが、6人で6回以上ということは36回以上配達したことになる。本来1回で済んでいれば、30回以上が無駄な配達となる。

 再配達の削減へ向けて宅配ロッカーの整備などが行われている。一方で消費者側の再配達に関する認識を改めるよう働きかけが必要になる。受け取れなかった理由はさまざまだろうが、6回以上も依頼するというのは尋常なでないと言えるのではないか。

青汁市場の行方

 通販市場で「青汁」の評価は定着している。なかなか通販が軌道に乗らない新規参入企業も青汁で糸口を掴むケースがある。成長を果たした企業でも青汁がさらなる成長をけん引することがある。

 青汁は、流通市場では中小が多いといえる通販企業が総力で市場を確立した数少ない成功例だ。市場はどこまでも広がるように感じるが、多くの企業の広告展開が結果として青汁の健康イメージを定着させ、市場を築いた。

 ただ最近、行政が青汁でのダイエット訴求の広告に監視の目を光らせているという話をよく聞く。扱う企業の増加で差別化が難しくなり、インパクトを求め行き過ぎたのかもしれない。せっかく盛り上がった市場に水を差さないか不安が募る。

脱価格訴求の一手

数十年続く老舗の干物メーカーが、東京・銀座に飲食店を出店した。目的は高単価商品の購買促進だ。

 同社は創業時から続く製法で製造し、特大サイズで脂ののりの良い干物が特徴。品質にこだわった商品はスーパーよりも高額で、ネット販売の購入のハードルになっていた。先の担当者は「おいしそうな画像を用意しても売れない」と悩む。

 商品価格を抑えるには、原料の見直しや小規格化などを検討しがち。だが、品質にこだわるメーカーにとっては、ブランド毀損につながる懸念もある。

 通販企業の専門店展開は珍しくはなく、認知度向上に貢献してきた。今後、専門店が価格訴求からの脱却に有効な一手になると期待したい。

神奈川県警の異変

 健康食品の摘発で恐れられてきた神奈川県警に異変が起こっている。これまで活発だった薬機法(旧薬事法)違反の摘発の動きが鈍っているのだ。

 きっかけは、通販会社の薬機法違反に絡み、その関連本を出版していた現代書林の摘発(無罪確定)かもしれない。昨年末の逆転勝訴で東京高裁が県警の名誉毀損を認定。以降、県警の動きは鈍い。

 機能性表示食品制度が始まったことも影響している。制度に対応した健食は、薬事法規制から切り離される。

 健食の表示規制を巡る環境は大きく変わろうとしている。ただ、新制度に対応できない健食はこれまで以上に薬事法を含めた表示関連法によって厳しく制限されてくることになりそうだ。

後味の悪さを残す配送

 「悪いことをしているみたい。もう頼めない...」。頻繁に利用していた某大手スーパーの通販サイトでの買い物をもうやめると妻。曰く"配送員"が原因のようだ。

 当該サイトではペットボトル飲料を「箱買い」することが多く、必然、荷物は"重い"。そのため配送員はほぼ毎回、「腰が痛い」とつぶやきつつ、荷物を頻繁に下に置きながら無言で印鑑を求め、すっかり外箱がボロボロになった商品を背にため息交じりに去っていくという。利用者に残るのは何とも言えない後味の悪さだけだ。

 通販利用拡大などに伴う慢性的な配送人員不足はすぐ解決できる問題でないが、通販企業や配送業者が今、できることはあるはず。客が離れるその前に。

ヒット商品の"種"

 輸入商材の卸販売を行う担当者が、自社通販で好調だったある商品を通販企業のバイヤーに提案したところ、「自社で売れたならあえて卸販売をしなくていいのでは」などと断られたという。類似の商品が少なく希少性があるものの、商品の知名度が低いことがネックになったようだ。

 通販でヒット商品を開発することは簡単ではない。通販企業もリスクを避けて、販売実績や認知度を重視して採用するケースは増えている。その結果、市場の品ぞろえは偏り、他社との差別化が困難になっている。

 通販市場の拡大には、ヒット商品が不可欠になっている。ヒット商品の小さな"種"を見逃さないバイヤーを育成することが重要になりそうだ。

課徴金運用の布陣

6月の消費者庁人事で公正取引委員会出身の東出浩一氏が執行担当の審議官に、大元慎二氏が表示対策課長に就いた。2人とも「審査局犯則審査部」の出身だ。

 聞き慣れない部署だが、「犯則審査」とは談合など独占禁止法違反に絡み、検察への刑事告発を前提にした事件を扱うところという。「司法の入口といえる部署で、時に関係事業者の捜索を行って証拠の差し押さえも行う」(元公取職員)。

 景品表示法は4月から課徴金制度が導入され、場合によって事業者がこれに反発し、行政訴訟に発展する案件も増えることが予想される。精確な調書作成や証拠固めに慣れた犯則審査コンビで制度運用に備えようという布陣かもしれない。

越境ECの鍵は?

 越境ECが注目されている。欧米や中国などにアニメグッズやぬいぐるみなどを販売しているトーキョーオタクモードは2013年から越境ECを開始。最初のテスト段階では2SKUだったが、今では3万SKUにまで拡大している。成功している企業が決して多くない越境ECの分野で、同社は着実に拡大を遂げている。

 担当者によると、現在注力しているのが「送料」の部分だという。いかに安く顧客のもとに商品を届けるか。その観点から、段ボールも商品に合ったサイズのものを10種類用意したり、重量を軽量化するなど資材の最適化を行っている。一見"地味"ではあるが、こうした取り組みが、結果的に差別化につながっているようだ。

レンタル品の価値

 服やバッグ、アクセサリーといったファッション商材のオンラインレンタルサービスが注目を集めているが、サービスの継続・拡大には商品の調達力と出口戦略の両面が大事なようだ。

 服を扱うプレーヤーの多くがレンタル用に新品を調達し、メーカー系では自社商品を扱うが、一度でもレンタルされると商品の価値は下がるため、最終的にはレンタル品を割引販売したり、中古ECサイトに供給したりしているのが現状だ。

 一方、高額なブランド品を扱うサービスでは、オークションなど業界のプロが集まる調達ルートを開拓する苦労はあるものの、レンタル品として流通後も商品の価値は大きく変わらいことが最大のメリットのようだ。

期間延長の意味

 クレジットカードのセキュリティー基準「PCI DSS」が新バージョンとなった。前バージョンでは、ぜい弱性のある暗号化通信(SSLや初期TSL)から新暗号化通信への移行期限が今年6月末となっていたが、基準策定団体が事業者の声を受け入れ、移行期限が2年間延長されることになった。

 新しい暗号化通信は古いバージョンのウィンドウズに搭載されたブラウザーや、ガラケーは対応しておらず、当該ユーザーはアクセス不能となる。今回の延長は古いパソコンからのアクセスが多い通販サイトには朗報だが、問題が解決したわけではない。2年後に向けて当該ユーザーへの告知をどうするか、移行をどう進めるか。頭の痛い問題だろう。

父の日への期待

 今年はGWと重なったことで例年以上の盛り上がりを見せた母の日商戦。通販でも年々市場規模が広がっており、連休と絡めた特集など積極的な展開が各社で見られた。

 その勢いで6月の父の日商戦も期待したいところだが、ある仮想モールの担当者は「母の日と比べると少しおとなしい印象」と語る。特に若い女性にとっては同性でない父親へのギフト選びにそこまでの面白みを感じられない側面もあるようで、どこか盛り上がりに欠けるのだという。

 世の父親たちにとっては何とも寂しい話だが、ギフト市場が盛り上がっている今こそ期待は持ちたい。今年は通販企業を中心に父の日を彩る新しい演出や商品企画が生み出されることを願っている。

良い「直帰」とは

 「通販サイトにおいて『直帰』と聞くと何か悪い印象を受けてしまうが、実際には直帰の中にも『良い直帰』がある」と語るのは大手小売り企業の通販担当者。実店舗を持つ同社によると、通販サイトから直帰した人の中には実店舗で買う前に価格や色などの最終確認をするためだけに来た人もかなりの割合でいると説明。売り手にとってはむしろ歓迎すべき顧客行動だと捉えているという。

 「オムニチャネルを実践している企業であれば、これまでのように直帰率を下げることだけにひたすら労力を割くような時代はもう終わった」と説明。売り場が多様化するにつれ、サイト上で顧客が見せる動き一つひとつの意味も変化していることが伺えた。

モノでコトを促す

 新規顧客へのリーチや、既存顧客の満足度とLTVの向上などを目的に食品を扱うファッションECが増えている。雑誌社やファッションEC専業、有店舗アパレルなど顔ぶれはさまざま。

 もちろん、やみくもに食品分野に手を出しているわけではなく、その品ぞろえを見てみると、海外セレブ御用達のワインやスイーツ、オーガニック食材などが目立ち、おしゃれに気をつかう女性に提案する食品のキーワードは"おしゃれな食"ということのようだ。

 体験型のコト消費が叫ばれて久しいが、服も着て行く場所や理由が必要で、友人宅のパーティーにワインを持参するなど、コトとモノを同時に仕掛ける工夫が大事になってきそうだ。

〝しがらみ〟から脱却を

 参入間もないメーカー系通販でたまにみられるのが、本業で築いてきた「企業ブランド」を使った新規獲得だ。獲得した顧客は優良顧客である場合が多い。

 ただ、デメリットの方が多いと感じる。顧客と直接つながるため、わずかな売り上げでも社全体を背負う責任が重くのしかかる。本業を意識して、自由な戦略も取れない。獲得した顧客も、もともとのファンである可能性が高い。これでは新たな市場を創出したことにはつながらない。グループ内で顧客が移動しただけだ。

 メーカー系通販でいまひとつ伸び悩む企業は、その内側に原因が潜んでいる場合があるのではないか。機動的な展開が可能なことは通販で成功するための要素の一つだろう。

売り手市場に警戒

 先日行った採用アンケートによると、今年度も「売り手市場」という回答が多数を占めた。複数の内定を持ちながら就活を続ける学生が多く、企業側からは危機感の薄さを指摘する意見も聞かれた。

 優秀な人材に限った極端な事例だとは思うが、こういった話を聞くと気がかりなのは入社後の彼らの状況だ。気持ちの緩みを持ったまま仕事に臨んでいくのではないかと心配してしまう。古臭い考え方だが社会に出る前の就活で大きな挫折を覚えることも大事な経験で、その後の働き方にも自然と重みが増すように感じられる。

 いよいよ4月から社会人の第一歩目を歩み出すことになる新入社員。彼らの行動一つひとつに注目していきたいところだ。

真の地方創生とは

 「いかに"自走"できるビジネスを地方に残せるか」。ネットビジネスを支援することで地方の活性化に取り組む某社の担当者は地方創生のカギをこう力説する。そのためには「地方に尖った目立つ成功例をまず作ること」が重要だという。すると大都市に目が向いていた地方の若者が惹かれ、そこの門を叩き、次代の人材にバトンが渡るようになり、"自走"し始めるという。

 「ECで地方創生」とはよく聞く話だが、先の担当者が言うように"真の地方創生の手助け"とは持続可能な仕組みを作ることであるはず。でなければ「地方創生」は助成金などを狙った"金儲け"のための謳い文句に成り下がる。支援する側もされる側も心して「地方創生」を使うべきだ。

爆買いの行方は?

 中国では春節をはさんだ大型連休が7日からスタートし、日本各地では今年も中国人による「爆買い」を期待した動きが活発だ。大手小売り各社は免税対応店舗を増やしたり、外国人専用の売り場を設けたりしているほか、専用サイトで店頭割引クーポンを配ったり、事前に商品を注文できるようにするなど、集客に躍起だ。

 訪日観光客常連の間では、爆買いに代表される「モノ消費」から、体験型の「コト消費」を楽しむ層も増え、美容院や観劇、人間ドッグまでさまざまなニーズがあるようだが、モノ消費が衰えるわけではなさそう。とは言え、買い物時間を観光に充てたいニーズに応えるためにも、無駄のない賢い買い方を促す取り組みは増えそうだ。

他社にない価値を

 大手GMSがオムニチャネル化を本格化している。すでに動き出しているセブン&アイ・ホールディングスに続き、イオンも昨年末に本格始動した。複数のチャネルと多様な商材を強みに、顧客接点を広げる狙いだ。

 通販企業にとって、大手GMSのオムニ化は脅威。知名度と資金力があり、通販顧客の需要が取り込まれる可能性があるためだ。

 市場環境が変化する中で、「『良い顧客体験』の提供が重要だ」と指摘するのは通販企業の担当者。価格や利便性ではなく、商品やサービスを利用して得られる顧客メリットを追求すべきだという。

 顧客に選ばれるには商品力やサービス力は不可欠。通販各社は他社にはない価値を磨き続ける必要がある。

一休創業者の今後

 高級ホテル・旅館の宿泊予約サイト大手の一休をヤフーがTOBで買収する。物販ECでは競争激化などにより、生き残りをかけ次々に優良な独立系サイトが大手に買収される構図が続いてはいたが、足元の成長力も問題ないはずの一休のこのタイミングでの身売りは意外であったし、ネット黎明期から市場をけん引していた同社の買収劇はある種、感慨深いものを感じた。

 一休創業者の森社長は今回のTOBで400億円近い株式売却益がもたらされるよう。本人は「今後のことはしばらく休んでから考えるが、経営者や志を持つ人を支援するようなことをしてきたい」とするが、これまでの経験を活かしてEC市場発展に寄与するような活動を期待したい。

〝不快〟なセール

 某サイトが行っていた大型セール。前評判通り、様々な商品が安く、また、ポイント還元率も通常よりも高くなっており、「これはお得だ」と早速、目的の商品をカートに入れ、決済画面まで進んだが、なぜか「エラー」。何度も繰り返してみたがやはり「エラー」に。

 セールで購入者が殺到した故の不具合だと推測されるが、期待してサイトに来てその期待を裏切らないよい商品を見つけられ買おうとしたら「買えない」。"売り切れ"であれば割り切れるが、この状況は正直、不快感しか残らなかった。

 利益を削って特価で販売し、セール告知に安くないプロモーション費用をかけ集客したのに「次の購入」につなげられないのは残念な事。準備は万全に。

ポイント上限の意味

 ホークスの日本一を記念して開催されたヤフー!ショッピングのセール。記者も買い物をしたが、気になったのは獲得ポイントがキャンペーンごとに最大5000に制限されていることだ。

 ポイントアップキャンペーンは複数開催されており、5000ポイントしか貰えないわけではないが、高額な家電製品を買うといくつかのキャンペーンでは上限に達する。そうなると買い回りの意欲も萎(な)えてしまう。

 一部店舗が不正にポイントを取得した件などもあり、上限が設けられたようだ。こうした店舗の行動はモールのルール改正のみならず、法律による規制強化につながる場合もある。モラルなき行為が不利益を生むことを学ぶべきだ。

底力を感じる休憩室

 仕事柄、色々な企業の拠点に伺うことが多い。凝った最新デザインのオフィスや従業員のための豪華な福利厚生設備を見るたび、凄いなと思うことも多々あるが、思わず言葉を失ってしまったのは今のところ、「セシール志度ロジスティクスセンター」の休憩室だけ。

 その理由は最近では珍しい畳敷きかつ960帖という圧巻のスペースと窓からは古の戦の舞台となった屋島が一望できる景色。最新のオフィスが霞むある種の存在感があった。年商2000億円を誇り、かつて圧倒的な首位に君臨していたセシールの物流を支えた拠点の休憩室。今でも現役で使われるそこは最盛期当時の勢いと同社が今でも持つであろう新興企業にはない底力を感じる場所だった。

自ら〝近づく〟施策を

 「実店舗はお客様を"待つ"。だが催事販売はお客様の元に"行く"ことが可能」。テレビ通販企業の担当者はこう話す。

 同社はホテルなどで1日限定の催事販売を実施。実店舗に来店できない顧客との接点の拡大を狙った試みだ。1日の売上高は順調に伸びており、コスト面においても手ごたえを感じている。

 催事販売は開催期間が短いものの、実店舗展開が難しいエリアでの販売機会の増加につながる。顧客と直接接点を持つことで、企業や商品への信頼感の醸成にも期待できる。

 新規客獲得が難しくなる中、顧客との接点の拡大は重要になっている。通販事業者自らが顧客に近づくための施策を検討する必要がありそうだ。


質感が伝わらない

 先日、折込チラシを扱う業界関係者から聞いた話が興味深かった。「クリエイターの腕前にもよるが」と前置きした上で、「ネットでは商品の質感が伝わらない」という。

 例えば高級家具を画像で訴求する際、素材感を消費者に伝えて購買意欲を喚起することに関しては、チラシのほうがネットよりも優れているとのこと。特にスマホであれば画面も小さいため、なおさら質感は伝わらないという。高級感で勝負する百貨店が折込チラシの出稿を続けるのも見え方にこだわっているからだとか。

 質感を表現するのに紙がネットに勝るのか真偽は不明だ。ただ、アナログであるがゆえに、デジタルにはない世界観というものもあるのかもしれない。

売り手市場の弊害

 来春卒業予定の学生に対する大企業を中心とした選考活動が8月1日に解禁された。学生優位の"売り手市場"が続く中、内定を出すのと引き換えに、学生に就職活動を終わらせるように迫る「オワハラ」なる言葉をニュースなどで耳にする機会も増えた。

 本紙が今年3月、主要通販各社を対象に実施した新卒採用に関する調査では、約8割の企業が今春の就職戦線について「売り手市場だった」と回答しているが、来春も同様の回答が増えそうだ。

 また、売り手市場の影響は通信講座のニーズにも表れているようで、学生にとっては企業から採用されやすいため、取得までに時間のかかる講座、骨の折れる資格は敬遠される傾向にあるという。

「ドローン」の行方

 首相官邸に「ドローン(小型無人飛行機)」が意図的に侵入した事件を受けて、政府がドローンの利用規制に乗り出している。

 ドローンはコンピューターで自動制御できるとあって、通販業界でもアマゾンなどが商品の配送手段に活用する動きがあった。今回、思わぬ形で水を差されることとなったが、本格普及を前に大きな問題が露見したことはある種の警鐘になったのかもしれない。

 とは言えこうした事件が起きるたびに思うのはどれだけ技術が進化しても結局利用するのは人間だということ。昨年起きた顧客情報の大量流出問題にも言えるが、悪意を持った人間がいる限りいくら規制を強化しても不正を完全に防ぐということは不可能なのだろう。

モバイル対応急げ

 「"Xデー"は間もなく。細かい修正が多くて大変だが何とか間に合わせたい」。グーグルがモバイル検索の検索結果順位決定基準の1つの要素として4月21日から導入する「モバイルフレンドリーアルゴリズム」を巡り、通販各社も対応に追われているようだ。

 グーグルが定めた"基準"を満たしていないサイトは「スマホ対応が行われていない」と判断され、モバイル検索での検索順位が下がってしまう。

 検索順位の下落は伸びシロの大きいスマホサイトの集客、売上に悪影響を及ぼすことは必至。作業は面倒だがグーグル側で診断ツールも用意しており、すべきことは明確になっている。未対応の事業者は早急な対処を。

「ステマ」自主規制を

 「楽天市場」にやらせレビューを投稿するサービスを手がけていた会社が楽天から訴えられた。数年前から「ステルスマーケティング(ステマ)」問題はたびたび取り上げられてきたが、今回の事件はネット販売の根幹に関わるだけに深刻と言える。

 事実とすればもちろん主導した業者は言語道断だが、利用した店舗の罪も重い。「ステマ」がはびこればユーザーは何も信用できなくなるわけで、業界全体に影響を及ぼす。

 「ステマを法で規制すべき」という声もあろうが、言論の自由にも関連するだけに業界による自主規制が先。まずはプラットフォーム事業者を中心に「ステマ」をさせないための仕組みづくりを急いでもらいたい。

中吊りが消える日

 来年秋に、中吊り広告をなくした新型車両がJR山手線に導入されることがウェブ上で話題になっている。週刊誌や雑誌の「定位置」でもある中吊り広告の廃止には驚いた人も多いはず。

 中吊りをなくす一方で、強化されるのがデジタルサイネージだ。従来のようにドアの上部だけでなく、新型車両では「まど上」と呼ばれる荷物棚の上にも液晶モニターが一列に並ぶという。

 満員電車に揺られながらゴシップネタをチェックする楽しみは減りそうだが、最近は電車に乗ってもスマホを操作する人ばかりで、広告を見上げる人は減っていそうだ。広告もデジタル化され、スマホ時代に即したあり方が求められているのかもしれない。

「炎上」のその前に

 ツイッターやブログなどに投稿された情報がネット上で「炎上」したことによって、企業のイメージが悪化したり店舗が閉店に追い込まれるといったケースは少なくない。SNSの利用が広がり、それをいつでもどこでも閲覧できるスマホが普及している現在、炎上が起きやすい状況と言っても過言ではない。

 ただ、ネット上の投稿監視を手がける企業の責任者によると、情報が「投稿」されてから「炎上」するまでには3日~1カ月程度のタイムラグがあるという。つまり炎上が起きてしまう前に"火種"を事前に察知しておく時間は残されている。

 そのため、投稿をいち早く把握しておけば、万が一の際に素早く対応することも可能となるかもしれない。

対策議論に注目を

 クレジットカードのトラブル問題の対応策を検討する経済産業省産業構造審議会の割賦販売小委員会。10月7日の第2回会合で国センの委員からトラブル相談の状況に関する説明があった。

 説明では、消費者のトラブル解決申し出先となるカード発行会社、加盟店との接点を持つ加盟店契約会社や決済代行事業者間の悪質加盟店の情報共有体制が不明確で、企業ごとに対応が違うなどの問題を指摘。消費者が自らトラブルの解決を図ることは難しいようだ。

 今後、同委員会では、加盟店契約会社や決済代行事業者の加盟店管理のあり方などを検討するが、加盟店の対応にまで話が及ぶ可能性もあるだけに、通販事業者も議論の行方を注視すべきだろう。

効果測定の前に

 「アドテック東京」というイベントで、「ソーシャルメディアの活用最新潮流」と題するカンファレンスを聞いた。その中で印象に残ったのは「ソーシャルメディアの効果測定」に関するものだ。

 あるスピーカーは「効果測定できない最大の理由は、ソーシャルメディアをやる目的がない企業が多いからではないか」と指摘した。「代理店に提案されたから」「競合他社がやっているから」など、あいまいな目的でやっている企業が多い、というわけだ。

 どんな効果を得たいのか、分からないまま投資しているのでは、まさに本末転倒。「効果が分からない」とぼやく前に、そもそも何のために運営しているのか、という原点に立ち返るべきなのだろう。

好調な理由は社名?

 通販に詳しい元広告代理店出身者が立ち上げた通販企業が話題だ。テレビ通販を軸に売り上げを伸ばしているよう。インフォマーシャルの出稿も目立ち、あまり元気のない最近のテレビ通販市場で異彩を放っている。

 同社の好調さの理由はもちろん、商品自体の良さや出身会社で培った豊富な通販ノウハウなど様々あると思われるが、1つ大きな要素としてはその「社名」にあるようだ。

 同社の社名は昔から薬の販売が盛んなことで知られる「県名」を冠し、社名の最後に「グループ」とある。関係筋曰く、「初見で誰もが何となく信用がおけ、商品にも効果がありそうと思う絶妙な社名」と評する。通販はコピーなど表現力が命だが、社名もまたしかりか。

情報流出の波紋

 「ベネッセで流出した個人情報にあなたの情報が含まれている。すでに通販会社とネット銀行に漏れている。削除するにはお金が必要」。これは、消費者相談に寄せられた詐欺の手口。

 ベネッセの社名を出して不安を煽り、実在する通販会社の社名を挙げて信憑性を持たせているようだ。詐欺に社名を悪用されれば、消費者に不信感を与えかねない。広告を目にした消費者は、嫌な記憶を思い出すかもしれない。

 個人情報の流出は企業の責任が問われるもの。だが、詐欺の手口に利用されれば、社会的信用を傷つける恐れもある。自衛のためのセキュリティ対策は、結果的に業界全体の信頼を守ることになるのかもしれない。

再販制度の行方は?

 専門書の出版社が学生向け会員制度で行うポイント還元サービスが事実上の値引き販売となり、「再販制度」に違反するとしてアマゾンに対して自社書籍の出荷を停止した。

 気持ちは分かる。アマゾンの同会員制度は本代の10%をポイント還元しており、1割引で販売していることに等しい。これを座視すればポイントによる本の割引が常態化し、再販制度を崩壊させる可能性があるからだ。

 ただ、他のネット書店や大手書店でもポイントサービスを実施していることや再販制度のない電子書籍が普及し始めている。すべてが「時代の流れ」とは言わないが、アマゾンがどう動くかは別にしても本の販売は変革期に差し掛かっていることは間違いないだろう。

技術力の生かし方

 技術の進歩に伴い仮想現実の世界を体験できる機会が増えている。アパレル店頭ではAR(拡張現実)などを用いることで試着をしなくても、気になった服を着た自分の姿がスクリーンに映し出されるといった取り組みも珍しくはなくなった。

 英国では以前、大手小売りが空港の到着ロビーに電子ポスターを掲出して仮想店舗を開設。食料品などの写真についたバーコードをスマホで読み取って決済すると、商品が自宅に届く実験を行った。

 これは旅行前に冷蔵庫の中身を空にしておく人を対象にしており、帰宅後すぐに必要になる商品を販売したという。得てして最新技術は押し付けがましいものも多いが、買い手の思いに売り手が応えた好例と言えそうだ。

人材育成の重要性

 ネット販売のコンサルタントから聞いた話によると、一定規模の会社がさらに大きくなるかどうかのポイントとして、トップと各事業部の間で業務を俯瞰できる人材を育成することだという。

 会社によっては社長が仕入れや販促など現場で陣頭指揮をとるところがあるが、こうした体制で10億円くらいまでの規模までは伸びるものの、それ以上に拡大するには社長を現場業務から切り離す必要があるようだ。

 仮想モールなどの「店長」と、社長との中間で全体を統括する幹部を置くことで組織が強化される。先のコンサルはこれを「"家業"から"企業"へ」と表現したが、事業の飛躍にはこうした思い切った体制変更も必要なのかもしれない。

果敢にアジアに挑め

 「期待しているが違いに戸惑い、試行錯誤している」。マレーシアで行う通販事業の現状について某社の幹部は話す。同社は東南アジア各国でテレビ通販事業を展開中だが、マレーシアに最も可能性を感じているという。テレビの視聴環境が日本に近いことや可処分所得の高い消費者が多いことが理由のよう。

 ただ、ネックなのは商習慣の違い。例えば、注文後、実際に商品を購入する人は他国よりも少ないという。通販がさほど浸透しておらず、"注文"というより"予約"の感覚が強いためだという。近年では再びアジアに進出する通販企業は増えた。文化の違いから様々な問題はあろうが果敢に挑んで欲しい。日本の通販がアジアを席巻する日が楽しみだ。


成功パターンに乗れ

 「"今後"ではなく"今"が大事」。某有力通販サイトの担当者は"無料化"で話題の「ヤフーショッピング」についてこう話す。とりあえず出店しておき、商流に変化が出てきた時に力を入れようと考える事業者も多いようだが、この担当者曰く「今なら成功パターンに乗れるが少し経つと難しくなる」とする。

 その成功パターンとは競合が少ない間に戦略的に「ヤフーで売れる商品」を作り、「売れている順」に表示される商品検索の検索結果上位を確保。それで当該商品がまた売れ、検索結果上位の位置を固定化するもの。「逆に他社に一旦固定化されると覆すのは大変。気が付いているところは動いている」とは先の担当者。成功パターンに乗れるのは今のうち?

「赤R」と「青R」

「赤R」「青R」という言い方がある。

 「赤R」は楽天を、「青R」はリクルートを指すのだが、これは社名の頭文字やロゴの色を表しただけではない。両社の出身者が頻繁に入れ替わっていることから、一部でこのように呼ばれているらしい。「両社は半分くらい同じ体でできている」。こう指摘する声も。

 その「青R」、3月にも仮想モール「ポンパレモール」の運営を開始する。まずは「楽天市場」の売れ筋店舗ばかりを集めてスタートする。営業マンは店舗に対して「楽天さんの弱いところを突いていく」と述べ、出店料の安さをアピールする。

 真っ向からぶつかることになる2つの「R」。互いに手を知りつくしている両社の攻防が気になるところだ。

ルールつくりの視点

 国の上告を棄却する最高裁判決を受け、1月11日から第1、第2類医薬品のネット販売を再開したケンコーコム。販売再開後、日商ベースの医薬品売上構成比が規制前を上回っているという。

 国を相手取った裁判で勝訴したという話題性、取扱商品数が増えていることもあろう。だが、規制の対応策として海外子会社が行ってきた個人輸入の日本向け医薬品ネット販売の月商が約3000万円あったことなども考えると、ネット販売への根強いニーズを表したものと言える。

 何らかの理由で医薬品の入手が困難な人もいる。そうした人にいかに安全かつ便利に医薬品を届けるか。厚労省は、この視点で医薬品ネット販売のルールを検討すべきだろう。

年配のファッション

 「50、60代のファッションの定義が崩れてきた」と語るのはあるアパレル通販企業の担当者。同社の40代向けのブランドが、近年は年齢の高い層からも支持されるようになってきたという。「今は実年齢よりも若く見える人が多い。今後、戦略面で修正が必要になる」と分析する。

 最近ではスマホやPCを若者以上に使いこなす年配者が珍しくない。定年を超えても仕事を辞めず、社会との接点を持ち続けている人も数多くいる。彼らにしてみれば、50、60代はまだ老け込む年齢ではないのではないか。

 今後も若い世代のファッションを好む年配者は増えていくだろう。いずれは年齢でブランドの区切りをつけることができなくなるのかもしれない。

メーカーの難しさ

 楽天がネガティブなくちコミが多数書き込まれた商品レビューを閲覧不能にするという措置に出た電子書籍リーダー「kobo Touch(コボタッチ)」。だが、レビューは自社サイトだけに存在するわけではない。

 ある業界関係者は「楽天はカカクコムにレビューを消してくれないかと頼んだが、突っぱねられたらしい」と話す。確かに、コボタッチのレビュー欄での評価は最悪に近い。真偽のほどは不明だが、最近の楽天のくちコミに対する姿勢をみると、あながち無責任な噂とは言い切れないように思える。

 メーカーという立場の難しさを十分味わった楽天。いま一度くちコミのメリットとデメリットを見つめ直すべきだろう。

SNS活用の前に・・・

 ソーシャルコマースを強化する企業が現れる中、購買活動とSNSを結び付けることに否定的な意見もある。

 フェイスブック(FB)に90万人のファンを持つある企業は「消費者にとってSNSは個人の空間。企業が作為的に『買い物』を割り込ませることはしたくない」という。同社はFBに決済機能はつけず、あくまでブランドに親しみを持たせる場と割り切っている。

 ファンが優良見込み客であることは間違いない。しかし、その接点すべてに「買い物」を紐付けると親交の深いファンでも煙たがる恐れがある。

 興味深い販促手法ではあるが、まずは自社ファンの特性とソーシャルコマースがマッチしているのか見極める必要があるだろう。

関心低い注意表示

 健康器具に関して危害情報のまとめを公表した国セン。購入前に充分に注意事項を確認できないとTV通販の問題点を指摘した。果たしてそうだろうか。

 国センの調査では健康器具購入者の64%が使用前に「注意表示を確認した」が、54%がその「内容を覚えていない」と回答。使用前に説明書を読むが、重要な注意事項への関心が低いというわけだ。

 表示はそもそも消費者のためのもの。これまで表示に関する検討会や行政指導で、消費者にわかりやすい表示が求められてきた。

 だが、情報を受け取る消費者の関心が低ければ、その表示内容は伝わらないままだ。国センが通販業界に注意表示の徹底を要望するだけでは解決できない問題のようだ。


降って湧いた災難

 降って湧いたような災難とはこのことだろう。とある事件の容疑者の写真が公表された際、着ていたトレーナーに、ある通販会社のブランド名が大きく表示されていたのだ。

 かなりインパクトが強かったのか、社名を挙げる形で新聞記事にもなってしまった。顧客からも電話で反応があったという。中には「がっかりした」というような理不尽な声もあったものの、多くは励ましの電話だったようだ。

 もちろん、この通販会社にはまったく非はないのだが、ブランドイメージ下落や風評被害につながる恐れもある。

 今回のようにはっきりとブランド名や社名が分かる場合は、報道機関も慎重な扱いをするべきだろう。

バイヤーの昔と今

 「今はマーケットやタイミングを見れるバイヤーが減った」。通販企業などに商材を卸している企業のトップはこう指摘する。

 7、8年前であれば新商品を提案する際、他の企業ですでに扱っていると言うとガッカリされたが、今は逆にどの企業でどれだけの実績が出ているかを聞かれるのだという。

 つまり現状ではバイヤーは売れ筋を探し、似たものを安く仕入れることに力を入れているというのだ。「サラリーマンだから失敗できないのは分かるけど、もう少しチャレンジしてほしい」と先述の社長は本音を漏らす。

 ヒット商品発掘はリスクが付きものだが、不況の現在ではなかなかバクチは打てないのかもしれないと、しみじみ感じた次第だ。

価格以上の判断材料

 パッケージや商品名の書体などを変えることで、商品の売れ行きが急激に伸びることはよくある。例えば、食品であれば、中身は変わっていなくても、消費者はパッケージのデザインから安心・安全や高級感など、さまざまなことを感じ取るものだ。

 古くから、大手テレビ通販を通じて商品を販売している化粧品会社では、新商品のパッケージを考える際には必ず「丸くて小さくて、少し不安定な形」にすることで、女性がつい手にとって守りたくなる感覚を演出しているという。

 デフレ傾向が続く中、価格で気をひくケースも目立つが、消費者は案外、価格以外の情報から反射的に商品を選んでいるのかもしれない。

防災で揺れる経営

 ある雑貨通販の幹部が頑なに取り扱いを拒む商品がある。それは「防災グッズ」だ。売れ筋商品でも安易に飛びつかないのは「安定供給が難しいためだ」と話す。

 防災商品は余震の度に消費者の備えの意識を再喚起し、ニーズを拡大させてきた。だが、在庫を上回る受注への対応は、メーカーへの再発注を必要とするなど時間がかかる。余震をきっかけに瞬間的に高まる防災ニーズに、供給を間に合わせることが難しい商材というわけだ。

 重要なのは需要と供給のバランス。いくら売れる商材であっても、供給のタイミングのズレで大量の在庫を抱えるリスクを伴う。見誤った地震対策で自社の経営が"揺れる"こともあるようだ。

「予防」と「若返り」

 健食通販の広告を見ると最近、あるキーワードの訴求が強くなっているように思える。アンチエイジングだ。

 アンチエイジングはもともと、米国などでは訴求力を持つものだったという。だが、「老い」を受け入れる風土がある日本ではあまり馴染まないものだった。ローヤルゼリーやクロレラなど、日本の健食市場の勃興期を支えた素材の多くは「予防」の側面が強い。

 だが市場は絶えず変化する。高齢社会に突入したが、60代、70代が若々しい。かつては考えられなかったことだ。「若返り」と「予防」はその意味合いが異なる。競争激化する市場だがレスベラトロールに対する注目しかり。市場が何を求めているか、その変化を読める企業に分がありそうだ。


「些細な工夫」が鍵?

 先日、あるコールセンターを取材したとき、おや、と思った。全フロアに音楽が流れているからだ。聞けば、「オペレーターのストレス軽減を狙って」とのこと。些細な工夫だが、ストレスが蓄積しやすい仕事では意外に効果的かもしれない。

 このテの工夫はむしろIT企業に多いようだ。ランチを無料で提
供する例はよく聞くし、ビリヤード台を備えている企業もあった。他にも数え上げれば枚挙にいとまがない。

 快適な環境作りは人材の流出を防ぐ意味もある。IT企業は無論、コールセンターも近年は業務が複雑化しており、高スキルな人材の確保は今や最重要事項だ。冒頭の例に限らず、今後はこうした細かい工夫がより必要になるかもしれない。

「ステマ」のリスク

 ネット上に広がるステルスマーケティング(ステマ)への拒否反応を受けてか、サイバーエージェントは同社のブログサービス「アメーバ」で企業が芸能人ブログとタイアップする際、記事中に「関係性の明示」を義務付けることを決めた。

 アメブロの芸能人ブログでのこうした宣伝をめぐっては、関係性明示の記載漏れから"炎上"することもあった。方針に賛同が得られない場合は広告をストップする方針だが、「事務所側でもステマのリスクは認識している」(サイバーエージェント)という。

 ステマに対するユーザーの見る目は厳しくなる一方。くちコミという「集合知」の価値を失わないためにも、広告主側には一層の自制が求められそうだ。

ネットだから便利?

 市場拡大が期待されるネットスーパー。いまやGMSを含めたスーパーだけでなく、百貨店やコンビニまでも参入するほど。

 ただ、参入企業の多くがまだ黒字化を達成しておらず、そればかりか集客面でつまずいている企業も少なくない。

 手渡しが基本のネットスーパー。コストとの兼ね合いはあるが、引越し業者のサービスにあるように、一人暮らしの女性宅には女性スタッフが商品を届けたり、高齢者には宅配時にスタッフが端末などを利用して翌日の注文を受けられるようにするなど、「ネットだから便利」という概念だけにとらわれない、より消費者目線でのサービス強化も、市場の拡大には必要と言えそうだ。


最適なサービスを

 友人の家を訪ねると見慣れないマットレスを使用していた。開封後でも返品できるため通販で購入。だが、詳しく聞くと「商品は良いが......」と話す。

 不満の矛先は返品保証だ。圧縮して届いたマットレスは開封すると膨張する。返品送料が高くつく上、届いた時の梱包資材に入らない。「返品させない仕組みなのかな」とポツリ。

 「返品保証」は商品への不安を払拭するもので、消費者はその安心感で購入を決定する。だが、物理的に返送しにくい商品への保証は買わせるための"おためごかし"と不信感を招きかねない。

 顧客満足を高めるには商品にとってもサービスが最適である必要がある。一口に返品保証といっても、その実現は簡単ではない。

"震災特需"に乗れ

 3月の震災から9カ月。震災で甚大な被害を受けた東北だが、複数の通販事業者から聞いた当該地域の販売状況によると着実に復興を遂げているようだ。

 某通販企業によると、「今年は全体的にレスポンスが低下したが、唯一、東北地域だけはアップ」。別の通販企業も石巻市で催事を行ったところ、「びっくりするくらい多くの方々に来場頂いた」とする。東北は生活の再構築のために、様々なモノが売れ、消費が活発化している復興特需が発生しているようだ。

 通販企業は変に遠慮せず、その特需におおいに乗るべきだ。良いモノをなるべく安価に提供し、どんどん販売することこそ早期の被災地復興につながるはず。臆せず東北での販促を強化すべきだ。


「得意分野」で勝負

  近年は通販企業のソーシャルメディア活用が隆盛だが、同様の波がテレマ企業にも訪れているようだ。ツイッターやフェイスブックで顧客対応や運営代行を行うサービスを、大手を中心に、各社がこぞって開始している。

 参入の理由は各社それぞれだろうが、ひとつには「サービス化しやすい」ことがあるのだろう。ウェブと電話のチャネルの違いはあれど、やることは同じ、顧客対応。であれば、これまで本業で培ったノウハウやスキルをそのまま活かすことができる、というわけだ。

 コールセンター市場は近年競争が激しく、各社が新たな収益源を模索している状態。それだけに、こうした「得意分野」で成果を出したいところでもある。今後に注目だ。

何事もタイミング

 夏に娘が産まれ、ありがたいことに多くの人にお祝いを頂き、お返しを、ということで某通販サイトで祝い返しを選ぶことにした。

 意外に選ぶのに骨が折れた「お返し」もさすがに一段落した先月半ば、郵便受けに先のお祝い返しで利用した某通販サイトを運営する企業から出産祝いのお返し用のカタログが届いた。「何で今さら?」と妻。

 購買履歴から判断して送ったのだろうが「お返し」を終えた今、そのカタログはまったく必要なく、むしろ「散々おたくで買ったのに...もういらない」と妻を憤慨させ、開封もされずゴミ箱行きとなるカタログを横目で見つつ「これがベビー服のカタログなら飛びつくだろうな」と密かに胸を撫で下ろした。


脱・情報漏えい?

  「うちの商品は高島屋でも三越でも買える。なのに何でテレビ通販では駄目なんだ」。ファッションアイテムを扱うあるメーカーは、ライバル関係にあるテレビ通販2強の対応を疑問視する。

 ターゲット層が異なるブランドをもう一方の番組に卸したくても"待った"がかかる。前述の企業は「情報漏えいを避けるため」と説明された。メーカーの中には苦肉の策として新たに子会社を立ち上げ、別の担当者も配置して2強それぞれに商品を卸すケースも。

 テレビ通販市場の拡大ペースが鈍りつつある中、囲い込む必要があるのはメーカーではなく消費者のはず。情報漏えいを気にするなら、バイヤーの離職を喰いとめることに注意を払った方が良さそう。

埋まらない溝

 10月12日から、消費者庁と国センの一元化を検証する議論が始まった。だが、消費者団体と消費者庁の"溝"は埋まりそうにない。

 第1回の会合で、業務範囲などを定めた消費者庁等設置法の附則3項の解釈を巡り対立。「消費者委員会を加えた3組織のあり方を含めて議論すべき」とした消費者団体に対し、消費者庁は「消費者庁の法律の関与のあり方を見直すとしたもの」として反論。だが、消費者団体が納得した様子はなかった。

 この対立はタスクフォースから続くもので、今後の議論の障害になりかねない。タイトな日程の中で充分な議論を行うには、両者の認識を一致させる必要がある。一元化を進めたい消費者庁は納得できる説明を行うべきだ。

意外な売れ筋商品

 先日、立て続けに似たような話を聞いた。モバイル通販2社を取材したときのことだ。若干の相違はあれど、共通するのは「意外なモノがよく」売れている、という点だった。

 A社は10代女性を対象にアパレルやコスメを販売しているが、あるとき水やペット用品を置いてみたところ、驚くほど売れたという。B社も概ねA社と同様の商品構成で、あるとき試しにリンゴなどの産直品を置いてみたら、やはり「飛ぶように売れた」そうだ。

 共通するのは、どちらも本来のターゲットとは異なる層に買われていること。意外とサイトは幅広い層に「見られている」ということだろうか。伸び悩んだときは案外、意外な商品に打開の糸口があるのかもしれない。

自己破産の裏で

 先日、本紙も取材したことのある通販企業の自己破産が報じられた。取材してからまだ3年も経っていない間に起きた出来事だった。取材当時は業界の中で「注目の新星」とも言われた企業だったが、実店舗展開が軌道に乗らず資金繰りが急速に悪化したという。

 気になるのは同社の代表が開設していたブログだ。日付を見るとニュースが出た前後も定期的に更新している。今回の経緯に触れた内容もあったが、直前のブログにはプライベートの旅行の様子なども記されており、悲壮感は感じられなかった。

 会社の状況とは対照的に、ほぼ休むことなく順調に更新されているブログ。果たしてこのブログを見て従業員や債権者は何を思うだろうか。

備えあれば、の時代

 先日、某コールセンターの担当者と震災時のリスクヘッジの話題になった。いわゆる「拠点分散」の動きについてである。

 担当氏曰く、震災直後はあれだけ盛んに取り沙汰された拠点分散だったが、震災から数カ月経過した今、実際に実行する動きはあまり見られないのだという。「喉もと過ぎれば...」ではないが、優先すべきは、発生するかどうか分からない有事よりまずは目先の利益、ということだろう。

 もっとも今後、今より余裕が生まれればそうした需要が高まる可能性は低くない。震災で、リスクヘッジの意識は確実に以前より強く刷り込まれたはずだから。これからは、備えあれば、の精神がより重要な時代になっていくのかもしれない。

お寒いクールビズ商戦

 今年は法人向けのTシャツ販売が伸びているという話をある通販会社から聞いた。自社のロゴ入りを注文する会社が多く、社員が着用しているのかと思ったが、イベントでの販促品として配布しているケースなどが目立つという。

 節電の影響で、6月に環境省が例年以上にカジュアルな出勤スタイル「スーパークールビズ」を提案し話題となった。しかし、話題にはなっても実際に導入できている企業はそこまで多くないのが実情のようだ。

 先方や来客者の都合を考えてしまう日本社会にとっては、定着するまでのハードルが高すぎる。商機と当て込んだメーカーなどにとっては、いささかお寒いクールビズ商戦となりそうだ。

お国柄に合わせて

 企業とユーザーをつなぐツールとしてSNSが注目されているが、海外市場をにらんだ場合にも効力を発揮する。もっとも、その際には対象となる国に適したサービスを使うことが重要になるようだ。

 例えば中国人向けにネット販売を仕掛ける企業では、中国版ツイッター「weibo」を活用して日本の情報を発信し、プレゼントキャンペーンを展開するなどしてファンを増やしているという。

 担当者によると、中国には本家のツイッターやフェイスブックの規制があるため、「weibo」のような中国国内のサービスが情報発信に最も適していると指摘する。海外の顧客獲得には、そのお国柄に合ったITサービスの活用が欠かせないというわけだ。


新しい価値の源

ある講演会でルミネの花崎会長は「あらゆるモノ・コト・サービスが小売りの競合になる」と語った。消費者がディズニーランドで丸1日遊んだり、どこかに旅行したら、後は服を買うのも我慢して財布の口を締めるだけというわけだ。

 右肩上がりの時代はとうに終わり、成熟し切った国内で小売業を営むなら「価格や量に走るのではなく、心に働きかける必要がある」と同氏。

 日本の人口増加率は頭打ちの状況にあるが、消費者の心の世界(マーケット)はまだまだ開拓の余地がある。新しい"価値の源"を嗅ぎ分ける能力は日本人の得意なところ。ディズニーランドに勝る買い物体験とは何か。改めて問い直すことも必要かもしれない。

東北支援の橋渡し

 東日本大震災を背景に、産直通販には一般の企業からの問い合わせが増加しているようだ。内容はキャンペーンの景品で東北産品を使いたい、というもの。これには「震災復興を支援」という企業姿勢を内外に示したい考えがあるためだ。

 産直通販は本来、全国の名産品を自宅に居ながら食べられるとして消費者の需要を獲得してきた。産地とつながり、顧客に直接商品を発送できるビジネスモデルを強みに市場を拡大してきた。

 被害の大きい東北地方を応援する気持ちは皆同じ。「産地から直接商品を届ける」という他にはない流通網を生かし、東北支援の"橋渡し役"になれれば、改めて産直通販としての存在価値が高まるはずだ。

「貸し倒れ」防ぐには

 コンビニ決済など、後払い決済の導入は購入率を高める効果がある反面、貸し倒れのリスクも生まれる。

 ある債権回収のコンサルタントは「おかしな注文がないかどうか、発送前にチェックすることで、最初から払う気がない悪質顧客の購入を防げる部分がある」と指摘する。例えば、不正に商品を入手したあと、海外への輸出やオークションでの転売などを目論む中国人。彼らはマンションの部屋番号を「○○○号室」ではなく「○○○室」と表記する傾向があるのだという。

 もちろんこれだけは判断できないが、こうした顧客が不自然なまとめ買いをしていれば詐欺の可能性は高まる。購入前の与信管理で、未回収の可能性を減らすことが重要だ。

組織戦略のハードル

 資生堂やコーセーなど化粧品大手のネット参入が相次いでいる。だが、参入は既存流通との競合だけでなく、社内の組織体制に影響を及ぼす可能性がある。

 他社では過去に市場における競合関係が社内に持ち込まれ、部署間でマーケティングの連動が進まない例もあったためだ。資生堂でも同じことが起こりうる。

 既成のブランド担当部署が手掛けるコーセーの場合、従来業務の延長で行われる性質上、新事業が片手間になり、遅々として進まない懸念もある。

 これら組織のハードルを越えてウェブマーケを推進できるか。懸念が現実となった場合、市場へのインパクトも限定的なものとなりそうだ。

紙一重のランキング

 「薄利多売で得た勲章はいらない」とは、ある大手仮想モール出店企業の言葉だ。

 ネット販売に参入した際、参考にした店舗が自己破産したのを目の当たりにし、モールで華々しく紹介されるランキングに疑問を持ったという。

 良い商品をいかに安く提供できるかを真剣に考える店舗がある一方、衣料品などでは、ランキングに載った商品の写真を基にOEM先の中国や韓国企業に類似商品を安く作らせ、それをライバル店に売り込む業者も存在する。

 前述の店舗は自衛手段としてランキングに載らない数量しか作らないようになった。

 勝者と敗者が紙一重なモールの世界。足元だけでなく、数年先を見据えた判断力が問われてきそうだ。


地震とツイッター

 今回の大地震を通じて、認識を改めたことがいくつかあったが、一番は「ツイッター」の便利さだ。

 地震当日、携帯電話がつながらず、離れた家族と連絡が取れない。やきもきしながら、電車が止まってしまった都内を徒歩で家路を急ぐ人々の行列に混ざりながら、ふとツイッターを覗くと「怖かった」との妻のつぶやきが。無事だった。

 地震後も「計画停電」の影響で、電車の運休や本数制限が行われる中、ツイッターを覗くと「今、混んでる」などリアルタイム情報をつぶやいてくれる人が多く、それで帰宅時間を早めたり、遅めたり。

 ネットは人と人とのつながりを希薄したという人もいるがむしろ、以前よりももっと近づいたように感じた。

「位置情報」に注目

  最近、位置情報SNS「フォースクエア」でよく遊ぶ。携帯のGPSを利用し、アプリから「今いる場所」に「チェックイン」して得点などを集めるサービスだ。ツイッターなどとも連携していて、知人に「今どこにいるか」を簡単に知らせることができて面白い。

 今は位置情報サービスが流行だ。ヤフーは地域情報サービスを集約した「ヤフー!ロコ」を発表。フェイスブックもチェックイン機能を実装したし、リクルートなども同種のSNSを運営している。

 「無店舗」が基本の通販には無関係に映るが、近年は通販企業のリアル進出が活発だ。ユーザーをSNSで実店舗に誘導してサイトに送る、なども不可能ではない。通販でどう使われるか、楽しみだ。

行政への主張

 「自動車業界と違ってバイク業界は行政に対してあまり影響力が強くないからね...」。バイク関連用品を取り扱うある通販企業の社長がつぶやいた。

 昨年、政府主導の「エコカー補助金特需」を受けて売り上げを大きく伸ばした自動車業界とは対照的に、バイク業界の新車出荷台数は伸び悩んだ。10年前の約半分にまで落ち込んだという。あまりにも急激な市場の縮小だ。

 通販業界にとっても、決して他人事とは言っていられない。10年後の「まさかの事態」を回避するためには、業界が一丸となって消費者庁をはじめ行政との連携を強化し、日頃から主張すべきことは主張して、通販業界の発展に向けた行動をとっていくことが必要だろう。

人材の"空白期間"

 20年近く前だろうか。景気の低迷で各社が新卒採用を見送る中、従業員80人弱のある中小企業が毎年新卒採用を続けていた。同社の社長曰く、「人材の空白期間ができると会社がおかしくなる」というのが理由だ。

 その本当の意味が分かったのは、先日某通販会社の関係者と話をしていた時のこと。同社も業績悪化で数年間新卒採用を停止。最近、その直前の新卒組が管理職になり始めたが、部下への指示の出し方に問題があるという。長年"一番下"の立場であったため、「後輩に仕事を教え、自分の理解も深めるという経験がない」ことに起因しているらしい。

 景気によって左右される新卒採用だが、長い"空白期間"は後々組織作りに影響する。

新規参入を好機に

 ブームを追い風に流行しているラーメン通販。人気店の味をそのまま自宅で食べられる商品の再現性がその理由だ。

 ラーメン通販が流行したのはここ1年ほどのこと。有名店が取り組みを開始し、競合する他店が追随。ラーメン店の知名度で、店舗に並べない女性層やファミリー層などの利用が活発化している。

 異業種の参入は食品通販事業者にとって市場拡大の好機となるだろう。人気店が誘導した新規客層が他の通販サイトを利用する可能性があるためだ。

 食品通販では食べた時の「美味しさ」が継続客を掴むカギとなる。拡大したユーザーを逃さず、自社の顧客とするためには、商品力のある品ぞろえが重要になりそうだ。

日本固有種の行方

 一般的な携帯電話のことをガラパゴス諸島の生物になぞらえガラパゴスケータイ、「ガラケー」と呼ぶそうだ。この存在を脅かすのがスマホ(スマートフォン)だ。日本でも持ちかえる人が増え、ガラケーを駆逐するとも。

 ただ、逆に気になってしまうのがガラケーの行方。確かにスマホは便利だがガラケーでメール、サイト閲覧を経て、ようやくモバイル通販に行き着いた団塊世代の母がスマホを使いこなす光景をどうしても想像できない。

 ガラケーはこれで長く親しんできた分だけの使い勝手の良さがあり、スマホが幅広い年代に浸透するまでには時間がかかりそうだ。通販企業はスマホ対策を採る一方で「日本固有種」もしばらく見守る必要がありそうだ。

食品提案に一考を

「おせちもいいけどカレーもね」というテレビCMがあるが、GMSや食品スーパーでは、昨年頃から"年明けうどん"なるものを売り込んでいるらしい。

 正月はおせちに酒など、何かと胃腸に負担がかかる時期。そこで消化がよいとされるうどんを提案し、拡販につなげようというわけだ。日本ならではの風習をうまく捉えた販促策と言えるだろう。

 毎年2月頃に見かける恵方巻き。その年の恵方に向いて太巻きを食べるという関西地区の風習に着目したコンビニが販売を行い、今や全国区になった。

 食品通販の場合、どうしても商品の見せ方や品質などに目がいきがち。日本的な季節感や風習を捉えた提案で売れる商品がまだまだあるように感じる。

開封されやすいメール

 先日、メルマガに関する講演があった。ある会社が、誕生月の会員を対象にクーポンメールを送信している話をしていた。

 面白いことに、メールの題名が「○円のクーポンプレゼント」ではなく「今月誕生日のあなたへ」とした方が開封につながったという。プレゼント内容を題名で全面に押し出した方が、受け手の食い付きがいいと思っていたので非常に意外なことだった。

 その会社いわく、今ではクーポンメールは不特定多数の会社が大量に送っている。消費者にとっては、自分に"メールが来た理由"がすぐ分かる題名にした方が開封しやすいというのだ。わずかな文字数が受け手の印象を左右する。メールの奥深さを感じた。

通販番組増の裏で

 終戦記念日のとある某大衆食堂。高校野球の放送で球児たちが黙祷する姿を見ながら、隣のテーブルに座る高齢男性の2人連れが「日本も贅沢になったもんだ」と言って、瓶ビールを注ぎ合う。

 何気なく聞き流していると、話題はダイエット補助食品のインフォマーシャルに。「これを食べて何キロ痩せただのと、同じことばかり言っている。戦争中は、食べ物がなくてみんな痩せていたのに」と不満気だ。

 テレビを見ていても通販番組ばかりで面白くないと連れ立って大衆食堂に来たというこの2人。局とすれば、通販事業者に枠を提供した方が収益になるとは思うが、観たい番組がないと感じ、テレビから離れていく人がいることも考えものだ。

返品特約の効果は?

 国民生活センターが公表した通販の相談概要をみると「返品」や「返金」で満足な回答が得られなかったとして「接客対応」に不満を抱く相談が目立つ。

 国センは「クレームに問題があるケースもある。事業者の対応が悪いとは一概に言えない」と実態を明かす。

 「返品」といえば昨年12月に改正特商法が施行。「返品条件」や「返品送料の有無」を広告や購入画面で明示することが義務付けられた。施行から1年未満だが、相談件数は前年と比べて3000件も増加している。

 返品特約はもともと返品トラブルを防止するためのもの。特商法の改正が逆にクレマーを生み出し、相談増加の一因になっているとすれば何とも本末転倒な気がするが......。


実りある店舗展開

 アパレルのネット販売を行う企業が実店舗を開設した。開店から1カ月が経過して訪ねてみると、「来店客の層が予想と全く違う」という。当初は若くてファッション感度の高い層を想定していたが、ふたを開ければ普通のサラリーマンが多かった。仕事の合間に目当ての商品を買っていくそうだ。

 高い固定費や商品数の限界などネットとは勝手が違うが店頭で顧客の様子を観察しているとどの商品に興味を示すか勉強になるという。「こういう商品はないの」といった生の声はネット上のキャンペーンにもつながった。

 「運営は大変だが、得るものは多い」と笑う経営者を見ていると、"アパレル不況"もやり方次第なのかもしれないと思えてくる。

不安招く配達員

 出勤前の朝、玄関のインターホンが鳴った。聞こえてきたのは「ユービンキョーです」と繰り返す片言の声。寝ぼけた頭では「郵便局です」と分かるのに時間がかかった。ドアを開けると、不機嫌そうにゆうパックを持つアジア人の女性配達員の姿があった。

 近年、様々な職場で活躍する外国人労働者の姿を見るが、ついに配達の現場にまで及んだのか。慣れないせいか、どうも安心してドアを開ける気になれなかったのが正直な感想だ。

 通販事業者は商品発送の宅配便会社は選べても、配達員の国籍までは指定できない。せめて自分の所属くらいはさらりと喋れる配達員でないと、顧客が玄関で不安を抱くこともあるのではと感じた。


ブームの前に...

 ライブ動画配信サービス「ユーストリーム」が脚光を浴びている。サイトの日本語化、専用スタジオの開設など利用の裾野を広げる動きに加え、「事業仕分け」など人気番組が生中継されたことで認知度が向上。今では「iPhone」などで手軽に中継する個人ユーザーも増えている。

 では、通販業界はどうかと言うと、まだ活用事例は少ないのが現状。一部のネット販売事業者に利用の動きは出ているが、業界全体では「まだまだこれから」のツールだろう。

 だが、ツイッターの例もあり、突然火がつくことは十分あり得る。テレビとは違った魅せ方ができるこのツール、ブームの前の今のうちに、自身で手軽に「試し撮り」して慣れておくといいかも。

送料無料の前提

 ある食品通販会社の幹部は新規客開拓の新聞広告内容を見直すと同時に"送料無料"を止めた。だが、「蓋を開けてみると受注件数は変らなかった」と、担当者は顔をほころばせる。
 
 「消費者は商品の良さよりも価格に引っ張られがちになっている」と嘆く先の担当者。価格訴求の風潮が蔓延する中、本来訴求すべき商品の良さが伝わりにくくなっていると判断。商品をじっくり説明する内容のクリエイティブに見直す一方、思い切って送料を有料にしたという。

 "送料無料"を訴求する通販会社が少なくないことを考えるとやはり、やはりニーズがあるのだろう。だが、その前提に"商品力"があることを見誤ってはならない。

市場を作る覚悟

 「楽天のランキングに載らない程度に売りたい」とは、ある衣料品ネット販売事業者の言葉。苦労して目新しい商品を開発しても、ランキングに載った途端、類似商品が溢れて価格破壊が起こった。「ランキングは同業者の手助けにしかならない」ということらしい。
 
 そういえば最近、ゴルフウエアを格安で販売する通販企業も多い。アラサー女性の「婚活の場」としてゴルフが注目されているが、真剣に取り組むつもりのない彼女たちには、可愛くて安価なウエアがちょうどいいらしい。
 
 大手メーカーが独占していた市場に安い商品が流通すれば、一定のシェアは取れる。ただ、一度できた「市場」を軽視すると、次の市場でしっぺ返しを食らうかもしれない。

間違った選択

 昨年の「医薬品ネット販売規制」を受け、通販事業者の中には、個人輸入という離れ業で規制の網をかいくぐる事業者が出てきた。これに対し、薬業界の反発が大きい。

 個人輸入製品に対する社会的評価は著しく低い。本来は薬業界の問題だが、よく健康被害を起こすこれらの商品は、健康食品のイメージ悪化も招き、事業者の頭を悩ませてきた。

 確かに、理不尽な規制に立ち向かうことは必要だ。だが、通販が社会に浸透して久しいとはいえ、まだ懐疑的な目も少なくない。苦境に立たされてもあくまで正攻法で立ち向かうことが、将来、事態を好転させるのではないか。自らアウトサイダーの道を選べば、業界の社会的認知さえ後退させることになる。

受渡場所の再考を

 休日の夕刻、帰宅するとドアに差し込まれていた某宅配便事業者の不在票。当日再配達の依頼時間が過ぎていたため、営業店まで荷物を受け取りに行った際の話である。

 不在票に記載された営業店に行くと、そこはターミナル拠点。守衛に要件を伝えると、敷地の外れある事務所で荷物の受け渡しをしているという。

 大型トラックが往来する中、薄暗い敷地を歩くこと数分。何とか事務所に辿り着くことができたが、通販等の女性顧客だったら不安を感じるに違いない。

 一般顧客が足を踏み入れることが少ないであろうターミナル拠点だが、荷物の受け渡しを行うのであれば、事務所の配置見直しなど、顧客の安全に配慮する必要があろう。

迅速なリコール対応

 今年1月から日米で報道されている、トヨタ自動車のリコール問題。ある取材先でこの話題に触れた時、ふと相手が「リコール対応に関しちゃ通販企業は早いね」と言った。

 確かに顧客の連絡先を入手できる通販企業は、商品回収が実店舗よりも対応しやすい。思い返すと家電メーカーなどは、リコールのたびにテレビや新聞の広告で呼びかけ、大掛かりな回収を行っていた。一斉メール送信や電話で顧客とコンタクトをとる場合と比べ、膨大なコストや時間がかかることだろう。

 リコールはあってはならないことだが、対応次第で企業イメージの悪化を軽減させることもできる。通販企業は、自らの強みを生かした迅速かつ確実な対応を心がけたいものだ。

ネットの強みと怖さ

「実店舗よりも、通販サイトを閉めた方が売り上げへのダメージは大きい」と語るのは、あるアクセサリー会社。

 30年以上経営していた都内の2店舗よりも、5年前に開設した自社通販サイトの方が、大きな集客力を持つようになったという。

 軽い気持ちで始めた同社通販サイトは毎年右肩上がりで成長。実店舗に来店する客も、約8割が通販サイトを見てから訪れている。

 ネットの影響力を改めて感じる話だが、それゆえに同社では「1回でも商品批判の書き込みがあれば、簡単に客足は激減する」と警戒。販売後の顧客ケアは怠らず、常に風評被害の予防に努めている。

 強大なネットの力を味方にするか敵にするか、結局は会社の心がけ次第といえそうだ。

面白いつぶやきに期待

 鳩山首相も始めたツイッター。当社でも実験的に始めているが、企業アカウントは半年ほど前より飛躍的に拡大し、今では通販業界でも多くの企業が日々「つぶやいて」いる。

 中でもIT系企業に面白い活用が多いようだ。既に各メディアが取り上げたが、ECナビは新卒採用にツイッターを活用。世間の関心と共にネットに強い人材も集めた。楽天でもトップ自ら一般ユーザーの要望を聞くなどし、自社のサービス改善につなげている。

 通販企業の利用は増えているが、まだセール情報や新商品への単純な誘導が多く、耳目を集めた例は少ない。それでもいいが、何か物足りないのも事実。そろそろ、工夫を凝らした効果的な"つぶやき"を見たい気もする。

IT業界も価格競争

 新規顧客に商品を売り込むのは大変な作業だ。実物が見えないシステム関連の商品となれば尚更それは難しい。

 老舗のあるIT企業は「レコメンドサービスなどは実際に導入しなければ、性能の良さが分かってもらえない」と語る。同社は無料お試し期間を設け、ゆっくり時間をかけながら顧客への商品理解を進めている。

 本当は他の顧客の導入事例を紹介して効果を細かく説明したいが、それも難しいという。特に大手顧客の名前を出して広報すると、後追いのベンチャー企業が「うちは半額でやります」と殺到し、値崩れが起きるためだ。

 技術や性能で勝負する思われがちなIT業界だが、ここにも激しい価格競争の波が押し寄せている。

住宅通販の可能性

通販では取り扱いづらい商品もある。住宅などはその際たるものだ。ミサワホームや良品計画が一戸建ての通販サイトを開設しているが、あくまでも価格シミュレーションや間取り案内が中心の内容。高額商品ゆえに、どうしても顧客と直接面談しなければならないプロセスが発生するため"完全通販"という形には至っていない。
 
ミサワホームの担当者は「ネットだけでは売れないが、ネットなしでも家は売れない」と語る。高額なモデルハウス建設や営業コストを考えると、ネット上で集客と販売ができる通販に大きな魅力を感じているという。

今は顧客誘引サイトに過ぎないが、いつの日か「クリック一つでマイホーム」という時代が来るかもしれない。

「小売」の競争へ

 「店舗とネットの融合」は始まるのか。

 チェーンストア協会の賀詞交換会に参加したGMSやスーパーの幹部からは「ネットと店舗の融合に力を入れたい」「通販チャネルを持ちたい」との意見が多く聞かれた。

 〝クリック&モルタル〟とはよく言われるが、一方で成功企業は数社程度と少ない。「社内体制が未整備でネットに売り上げが奪われるとして店舗側の協力が得にくかった」(関連業者)ことがその理由だったようだ。

 とは言え、セブン&アイHDのネット販売の本格稼働や、幹部の認識の高さを踏まえると今後、実店舗のネット強化が加速しそう。通販企業はチャネルの垣根超えた「小売」としての競争を強いられることになりそうだ。

顧客ケアの難しさ

 何かモヤモヤした気持ちが残った。先月、中古書籍通販サイトで10冊セットの本を注文したところ、数日後に配送日時を伝えるメールが届いた。メールには「7巻に損傷が見受けられましたが、購読には問題ないと判断し無償品とさせていただきます」との添え書き。
 
 実際に届いた商品を手に取って見たが、どこに傷があるのかはさっぱり分からない。
 
 到着前に正直に商品の不具合を伝え、無償品にすることは確かにありがたい。しかし、具体的な損傷内容が記載されていなかったために、こちらには疑問だけが残る形となった。
 
 せっかくの親切なサービスも、要点が伝わらなければ消費者を混乱させてしまう。対面接客ができない、通販ならではのアフターケアの難しさを感じた。

アンパンと牛乳

 ファーストリテイリングは、創業60周年とユニクロ誕生25周年を迎えた。ユニクロの第1号店は広島市で、オープン当日の開店時間は朝六時だった。10時だと学生が来店できないため早朝に開店したが、朝食をとらずに来ることも想定してアンパンと牛乳を配ったという。

 先日、1日だけではあるが国内店舗の過半に当たる約400店で午前6時に開店し、やはりアンパンと牛乳を復活させた。人間で言えば還暦を迎えた同社。初心に帰るという意味も込めた。

 勝ち組企業は、顧客満足を高めることを常に念頭に置いている。財布の紐が堅い消費者の心に響くサービスを行うのに、これで十分というラインはなさそうだ。

中小のジレンマ

モールに出店し手作り雑貨を通販する事業者は深刻な悩みがある。注文急増で生産が間に合わず出荷が遅れても「受注を止められない」というものだ。

 同社の場合、カードの支払いが7割で実際の収入は数カ月先。受注を止めると収入が減り、運転資金はショートする。一方、発送の遅れはクレームを増やし注文キャンセルを引き起こす。回避策として事前に連絡すると、"大至急欲しい"との要望が多く、「先に待っている顧客分の発送がさらに遅れてしまう」と嘆く。

 「資金確保」と「顧客満足の追及」のジレンマに悩む出店事業者は少なくない。モール事業者は出店者の悩みに耳を傾け、対策を講じる体制作りが必要となりそうだ。

〝必ず儲かる〟は罠

 急増するドロップシッピング(DS)をめぐるトラブル。先月26日には、大阪の男性ら4人が、DSプロバイダーを相手取り、契約金やサイト作成費用の返還を求める訴訟を、大阪地裁に起こした。こうした業者は、「必ず儲かる」などの宣伝文句で消費者を勧誘しており、訴えを起こした4人も、宣伝が「特定商取引法が禁じた不実告知にあたる」としている。

 DSでは、単価の高い家電製品を扱うケースも多いが、価格比較サイトの人気店舗から商品を仕入れている業者もいるようだ。これではまともな商売などできるはずもない。

 今後は行政の取り締まりも厳しくなってくるだろうが、甘い言葉に騙されない消費者の自己防衛が最重要だ。

記者の目・老舗にヒントあり

「なぜ、"長く"続いてきたのかを考えてみる必要がある」。

 某通販企業幹部は、江戸の昔から続く老舗企業に現在の厳しい不況を通販企業が生き抜くためのヒントが隠されていると話す。

 店の名前や味を守るために、時には赤字覚悟でコストを度外視した"より良いもの"を提供。それが「あの店の商品は間違いない」という評判を高め、100年以上も企業を存続させた一因となった。

 厳しい市況の中、「経費削減」を追ってしまいがち。ただ、それが本当に危機を乗り越える打ち手になるのか。小手先の仕掛けが通用しにくい今だからこそ、幾たびも"危機"を乗り越えてきた老舗企業のやり方、考え方を振り返ってみても良いのかも知れない。

記者の目・実現可能か「脱官僚」

衆議院選挙は「脱官僚」を掲げて臨んだ民主党の地滑り的な勝利に終わった。同党と政策の方向性は違うが、官僚依存からの脱却を第一目標とした「みんなの党」が予想外の躍進を遂げたことを見ても、国民が望む未来の日本の姿がここにあるのと言えるのではないだろうか。

通販業界は、昨年から今年にかけてさまざまな規制案への対応に苦しめられた。民主党も消費者行政の強化をマニフェストに明記しているが、今後どのように自民党との違いを打ち出していくか、未知数な部分もある。

業界の実態を無視した官僚主導の規制は、ひいては消費者の利便性を損なうことになる。本当の意味での消費者保護が実現できるのか。お手並み拝見だ。

"先着"への挑戦

先日某テレマ企業の社長を取材した際、「在宅オペレーター」の話になった。まだテレマ業界では事例が殆どなく、その社長も「関心はあるけどねぇ...」と渋い顔。他社に聞いて回っても同じで、関心はあるが導入には及び腰、で共通している。

こうした背景には、個人情報保護の問題と、シフトの問題などがあるようだ。例えば、コール数が少なければ待機分、余計なコストがかかるし、もし何か問題が起きた場合に、一人では的確な対応が難しい、というわけだ。

ただ、先行事例がないだけに、先着すれば大きな強みとなるのは確か。人材確保が困難な時間にコールが集中するテレビ通販企業などからの需要も期待できよう。挑戦する価値はあるかもしれない。

記者の目

「金も貰って恩も売っている」。スタートトゥデイの自社通販サイト支援事業について、こう指摘するのは業界関係者。実店舗は土砂降り。唯一、前年を上回る販路はネットであり、ネット売上高1位の実力をもってして業務を代行するという同社に、アパレルブランド側は恩すら感じている―。こうした予測が立つほどアパレルの市況が悪いのは確かだ。

つい先日は、伊勢丹の受託も発表された。百貨店とネット販売専業という、水と油のような組み合わせは、背に腹は変えられない状況であればこそ。

 だから今は、好況時には思いもしなかった提携や協業が生まれる可能性を秘めている。これまで傍流だった通販が、台風の目になると期待したい。

シマウマの群れ

 通販で扱える医薬品を制限する医薬品販売制度が導入され、1カ月以上が経った。医薬品ネット販売事業者の売り上げが大幅減になるという影響も出ているが、"当事者"ではない事業者は、対岸の火事と見ているようだ。

医薬品通販の規制問題は、検討過程でのドタバタ劇もあり、特異な例にも映る。だが、既得権益者の保護を狙った規制強化という構図は、何も医薬品に限ったことではない。

行政の締め付けに対する危機感が薄い事業者の現状を、ケンコーコムの後藤玄利社長は「シマウマの群れのよう」と表現する。成長著しいネット販売業界は、行政介入の格好の餌食。"群れ"のどこが食いつかれてもおかしくはない。やはり問題意識の共有は必要だ。

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