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社説 Archive
過剰な消費者保護はやめよ
これは過剰な消費者保護である。カイロを長期間、肌に密着させて使用すれば、おのずとどういう結果を招くかは常識として分かるであろう。まして、その結果として腹巻の製造・販売元に半ば、責任を転嫁するように分かりやすく注意表示を行え、と言い出すというのはいかがなものなのか。
もちろん、東京都の試買調査の意図は分からないわけではない。実際問題、低温やけどは重症化すれば、手術が必要になるなど深刻な事態を招く可能性もある。そのこと事態の注意喚起は必要なことなのかもしれない。また、実際に都に「腹巻のポケットに使いすてカイロを入れて使用していたら、低温やけどを負った」という相談が寄せられていたようだ。ただし、腹巻の製造・販売元への要請というのは筋違いだ。
そもそも低温やけどの注意表示を行うべきは「カイロ」の方であり、カイロの製造元が注意表示を徹底していないのだとすればそうした「要望」を申し入れることはまだ理解できる。しかし、腹巻の製造・販売元にまでこうした要望を行うのは明らかに行き過ぎだ。この論理でいくとカイロを挟んで使用できるすべての肌着や衣服について、同様の注意表示を行う必要が出てくるわけだ。果たしてどこまで「注意表示」を行えば、行政サイドから「要望」されずに済み、そして、それによってどのくらいの消費者が保護されるというのだろうか。
一昔前であれば、社会一般の常識の範疇とされていた様々な事象は昨今の過剰なまでの行政による消費者保護の結果、消費者から常識を奪った。何らかの不具合が生じた場合、明らかに自らのミスであっても、何重にも法律で守られた権利をかさに自己都合の持論を主張し、事業者など誰かのせいにするクレーマーまがいの「非常識な消費者」を生み出してしまった。それでもなお、行政は懲りずに非常識な消費者までも手厚く保護する姿勢を崩さない。
悪質な事業者を排除し消費者を守ること自体は当然、行政の責務であり、それに何ら異論はない。ただし、それと同時にまっとうな事業者のビジネス活動を妨げる悪質な消費者の排除も必要ではないか。過剰な消費者保護を是とする姿勢は事業者をいたずらに疲弊させ、日本の産業の衰退を招く危険性があるだけでなく、常識が欠如した非常識な消費者をさらに生む可能性を孕む。行政が為すべきは過剰な消費者保護で非常識な消費者を増やすことではなく、消費者に事故を未然に防ぐ「常識」を持たせることであろう。そうなれば貴重な税金を使って試買調査などせずとも消費者を「守る」ことができるのではなかろうか。
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健食業界は「外圧」に備えよ
ACCJは昨年末、トクホ審査や健食の表示制度の改善を求め、提言を発表した。「外圧」による規制緩和の要請だ。ACCJと言えば1994年、食品(健食)の形状規制緩和を先導したことが知られている。今回の提言は、その背後に健食を販売する外資系大手MLM(連鎖販売取引)2社が関与しており、日本のTPP参加を念頭に規制緩和を一気に進めようとの思惑が垣間見える。
外資系企業にとって健食にかかる高い関税は長年に渡り頭を悩ませてきた問題。仮にTPP参加が決定し、関税撤廃に動くことになればそれだけで外資系企業が受ける恩恵は大きい。だが、それだけでなく、貿易自由化が進むことになれば、健食という商品分野で次に浮上するのは海外と日本の表示制度の整合性の問題だ。日本より数段厳しい審査体制を持つ海外諸国が制度改革を求めてくるならば、まともな法律や制度を持たず、通知規制でお茶を濁してきた日本に国内制度を守りきれる保証はない。
TPPに直接関与しないが、EUは08年、許可する健食表示のリストを確立すべく、各国企業から申請された表示とその科学的根拠の評価を始めた。日本からもトクホを取得した多くの企業が申請。中にはトクホ申請時より厚い試験データをもって臨んだ企業もみられたが、その結果は惨敗。国が認めたトクホですら海外においては役不足だった。こうした海外の動きを見るにつけ、いかに国内制度が脆いものかを実感する。
ただ、この「外圧」を好機と捉えることもできる。健食業界は過去に時に政治の力を借り、時に業態の垣根を超えた団体を発足して規制緩和を試みたが、そのいずれも思惑の違いから離合集散を繰り返してきた。
だが、最近ではこの反省を受け、社会的評価を得る着実な歩みを見せ始めてもいる。日本通信販売協会は、健食の登録制度を始め、市場の実態把握と健康被害防止に向けた環境整備に動き出した。流通・小売の業界団体、消費者団体が加盟する「国民生活産業・消費者団体連合会」発足も期待される動きではあるだろう。
通販事業者もこれら団体と行動を共にし、健食業界としての意識を醸成していくことが必要だ。市場の国際化を背景に制度改革議論が再燃する可能性がある中、業界として確固たる主張を示す準備を始めなければ海外制度に後れを取ることになる。
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"消費行動の変化"を捉えよ
震災発生直後の混乱から脱した後も、震災に伴う原発事故などから水や食品、電池などの買いだめが発生。当該商品を販売する一部のネット販売実施企業は特需の恩恵を受けられた一方で、そうした混乱に伴う弊害の方がむしろ強く、過剰に確保した当該商品が今度は余ってしまい、後になって値引き販売をする羽目となり、それが原因で赤字に転落したところもあり、混乱を見せた。
震災は通販実施企業に様々な影響を与えたわけだが、やはり一番大きな影響として考えられるのは「震災に伴う消費行動の変化」であろう。単純に防災・節電対策商品などの売れ行きがよかったということは当然あるが、それだけでなく震災がきっかけとなり消費のベクトルが「個人」から「家族」、「便利」だけではなく「エコ」にも貢献できるものへ、と大きくシフトさせたのではないか。
複数の通販実施企業によると、今年は例年になくダイエット関連商材やフィットネス器具の動きが悪く、逆にキッチン雑貨や調理器具、掃除用品などの売れ行きがよいという。テレビ通販ではキッチンやバスリフォーム、太陽光発電パネルも人気となっている。これまでのように自分自身の趣味嗜好に投資するのではなく、震災を経て、より絆が深まった家族の安心や快適さを担保・向上させることができるものにこそ投資しようという消費行動の変化のあらわれと言えるのではなかろうか。
エコ関連商品の売れ行きがよいというのも震災がきっかけだと言えそうだ。無論、ここ数年間で消費者の意識もだいぶ変化してきているわけだが、やはり「エコ商品がいい」とは言っても、まずは「価格」や「デザイン」など他の要素が優先である消費者が多かったように思う。しかし、震災とそれに伴う電力問題、また様々な節電対策商品やエコ対策商品などを購入、使用しているうちに、消費者のエコ意識を恐らく平時であれば数年はかかるであろうレベルにまで一足飛びに到達させたのではないだろうか。
これらの消費行動は今年だけの特殊なものではなく、恐らくは来年以降も継続される新しい消費のトレンドであると言えよう。市況はいまだ回復せず、円高や増税など消費に悪影響を与える事柄も多い。しかし消費者はまったく買い物をしないか、と言えば無論そんなことはない。変化する消費トレンドを見定めつつ、適切な商品選定と販促策を打つことができれば、どんな時代でもおのずとモノは売れるはずだ。来年も通販企業各社の奮起に期待したい。
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リスク管理を再確認せよ
通販業界のこの1年を振り返ると、震災関連に並ぶ大きなニュースといえるのが、悠香の「茶のしずく石けん」による集団小麦アレルギー発症ではないか。ここに来て、大手マスコミでも連日のように報道されており、悠香だけではなく、通販業界全体の信用に関わりかねない事態となっている。さらには、来春にも各県で結成された被害者弁護団が集団訴訟の準備を進めていることも分かっており、問題は長引きそうだ。
本紙でも指摘してきたように、今回の事件がここまで大きくなった背景には、悠香のリスク軽視と被害者への対応のまずさがある。「加水分解コムギ末」がアレルギー発症の可能性となっている事実を、09年末から10年初頭にかけて医師などから指摘されていたにも関わらず、何の対策も打ってこなかった。また、顧客に対しては少額の「お見舞い金」で解決しようとしたほか、告知はダイレクトメールや電話によるものに終始し、謝罪会見やテレビCMでの周知などは一切行っていない。
11月には、今回の問題への取り組みについて説明した文書をサイトで発表。「被害者に対して誠心誠意対応する」とは述べているものの、「全く新しい症例であり、弊社としても大変な驚き」などの言い訳に終始。被害者に対する謝罪の姿勢はまったく見られない。訴訟を考慮に入れたものではあるのだろうが、実際に小麦アレルギーに苦しむ被害者が、この文書を読んだときにどう感じるのか、という視点がまったく抜け落ちているのではないか。
今回の事件は、同社が消費者からの信頼を失うだけにとどまるものではない。通販全体への不信につながるものだ。「きちんと治験はされているのか」「よく知らないメーカーでは何かあっても補償もままならないのでは」という疑念が湧くのは無理からぬことといえる。業種は異なるものの、例えばパナソニックは、かつて死亡事故を起こしたFF式石油暖房機の回収を呼びかけるCMをこの冬も放映している。こうした姿勢が消費者にどんな印象を与えるか、悠香は考えるべきだ。このままでは、通販各社が築いてきたブランドを壊すことにもなりかねない。
これまで右肩上がりの急成長を続けてきた悠香。だが、そのおごりからリスク管理に甘さが出たとみることもできるのではないか。確かに、リスク対策は少なくない費用がかかるだけに、創業から間もない同社にとっては目を向けにくい部分だったのかもしれない。しかし、消費者からの信頼を失うのは一瞬のこと。他の通販企業は同じ轍(てつ)を踏まないようにしなければならない。
リスク管理は、製品の安全対策に限った話ではない。例えば地震などの大災害でも事業を継続できるように備えなければならないし、通販サイトのセキュリティー対策も重要だ。常に最悪の事態を想定し、対策を練る。2011年は、通販企業にとってリスク管理の重要性を再認識する1年といえるのではないか。
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「通販番組批判」など無視せよ
番組の種別ごとの放送時間の公表は「通販番組が多すぎる」という一部の消費者や消費者団体からの意見に応じて、総務省が通販番組の総量規制を検討したが、民間の放送局の番組内容に注文をつけることは「表現の自由」を侵害する恐れもあるため、まずはあくまで次期BS放送の参入条件に限定するという形で「広告放送(通販番組)を全体の放送時間の3割以下にする」とし、総務省として「基準」を内外に示した上で、次の手として、改正放送法に伴う省令で番組種別ごとの放送時間の公表を各局に義務付けたわけだ。
総務省はあくまで「放送法に定めのある『番組調和原則』の適正な履行を確保する目的で通信販売番組に対して何ら規制を課すものではない」とするが、放送法での番組種別は教育・教養・報道・娯楽とCMなどを含むその他と規定しており、通販は含まれていない。「通販番組」を単独で公表しなければならないとしていることからも、それはおためごかしに過ぎないことは明白だ。
今回、公表された各局の通販番組の放送時間の数値を見て、特にそれがWHCのように総放送の半数近くを占めていれば、多くの人が「通販番組は多すぎる」と感じることは当然のことだ。総務省はそうした世間の声を世論として、放送局にプレッシャーをかけつつ、暗に示していた「通販番組は総放送時間の3割以下」という基準に地上波およびBS局を含めた既存のテレビ局を従わせたい考えだと見られる。
これまでも繰り返し述べてきたが、通販番組であろうと何であろうと、番組の内容に行政が口出しすべきでない。通販の総量をどうするかは民間事業者であるテレビ局各局の自由だ。通販番組が視聴されず、売り上げも上がらなければ、おのずと通販番組はなくなる。通販番組が増えているということであれば、それだけ世間が求めているということだ。行政や一部の反対勢力により作り出された恣意的な「世論」を信じるか、市場原理で証明された「世論」を信じるか。過剰な自主規制で元気のない市況下でも成長著しいテレビショッピング市場の今後を潰すことなく、放送と通信の融合でますます密接な関係になりつつあるテレビと通販の両業界の発展を期待したい。
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ネットの薬事違反に注意せよ
オズ・インターナショナルは今年9月、警視庁から未承認医薬品であるED(勃起不全)治療薬の輸入代行に関する広告違反で書類送検された。オズは送検の事実に「送検されてない」と応じていたが、このことだけでも、同社のコンプライアンス意識の低さが窺い知れる。
一方、イノベートは、保健所から輸入化粧品の一部に表示違反があった指摘を受け、自主回収を発表した。これと前後してスクロールが同社を買収。だが、買収の際に薬事法違反の事実を隠して利益をだまし取っていたとして今年10月、島根県警に元社長ら3人が逮捕されている。
未承認医薬品の個人輸入は法律上、禁止されていないが、言うまでもなく健康被害の恐れがあるため、決して推奨される行為ではない。特に、ED治療薬は規制強化から今では個人がネット上で違法に売買するケースがほとんど。これら個人に混じり、中堅規模の売上高を誇るオズが摘発を受けたのは余りに情けない。
イノベートにしても、輸入化粧品の表示違反は、本来、仕入れ先が貼るべき日本語訳の成分表示シールを化粧品製造業の資格を持たない同社が作成し、貼り付けていたこと。当時、60億円超もの売上高を誇っていた企業にしては有り得ないミスだ。
事業者の中には、行政や消費者団体が主張する「ネット=悪」との図式に反感を覚える者もいるだろう。確かに、今回の違反も一部事業者によるものであり、これを持ってネット市場を一括りに判断はできない。
だが、折しも、消費者庁では食品表示課が健康増進法に基づくネットパトロールを年1回から4回に増やし、表示対策課もアフィリエイト広告などへの監視強化を打ち出している時期。また、警察庁もサイバー犯罪対策に対する監視強化の大方針を打ち出し、全国規模で人員強化を図っている。今後、化粧品、健康食品を扱う事業者は、各県警の薬事法所管部署、薬事法監視が不十分な県警でもネットに関わる犯罪を監視するサイバー犯罪対策課の両部署から二重の網を張られることになる。
これまで、ネット販売は参入が容易なことや販促コストが安いこと、コミュニケーションツールとしての利便性などメリットばかりが強調されてきた。だが、法令順守に対する確固たる信念がなくては、前2社に続く事業者が現われるのも時間の問題だろう。コンプライアンス意識の強化なくして、ネット販売市場の発展は有り得ない。
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単品通販の脆さを認識せよ
悠香は2008年(6月期)に約100億円、09年に同200億円、10年に同300億円と破竹の勢いで業績を伸ばしてきた。その姿は通販という業態の特性を活かし、潜在的な顧客ニーズに訴えかける強い単品商材を仕掛けていくことが、新たな市場を創出する可能性を秘めていることを業界内外に示しもした。
昨年12月にはこれまで顧客要望を受けて販売してきたトイレタリー関連12アイテムの販売を終了。その決断に至る中山慶一郎社長の「集中こそが力を生む」という考えも単品通販モデルに欠かせない、根幹の理念を示すものであった。
だが、今年5月の自主回収で悠香を取り巻く状況は一変した。厚生労働省の回収発表以降、7月の国民生活センターによる会見、8月に始まった全国の都道府県における被害者弁護団の結成、9月の国センによる2度目の会見と、そのたびに消費者はリマインドされ、「茶のしずく石けん=悠香」で知られたブランドイメージは著しく毀損された。11年6月期の業績は10~20%減の見通しを示していたが、いまだ新規獲得に向けた広告再開のメドも立っていない。業界関係者によると、今年4~7月の売上高は一説に前年同期比40%減で推移したとも言われる。
キャッシュインの正常化のメドが立たない中、一方でキャッシュアウトの状況は、数百人いる従業員の人件費など固定費に加え、被害を訴える顧客への見舞金、また、全国の被害者弁護団と訴訟に発展した場合の裁判費用など後を絶たない。その影響の大きさも単品商材に拠って立つが故の脆さだろう。
ただ、同様のリスクは単品通販を展開する他の通販各社にも例外なく起こりうる事態といえるのではないか。新興の企業であれ老舗企業であれ、消費者から見た企業の姿は同じ。社歴の浅さを理由に品質保証を疎かにしていたことが許されるものではない。
化粧品業界に限らず、通販市場は今、異業種からの新規参入により競争激化に晒されている。その中にあって"単品通販モデル"は通販という業態の特性にマッチした事業モデルであり、その戦略は異業種との競争を勝ち抜いていく上でも有効に働くであろうことに変わりはない。
だからこそ、通販各社は今後品質保証体制を再度点検することでリスクへの事前の備えとし、また、仮に自主回収など不測の事態に発展した際の企業対応のあり方を今一度見直さなければならないのではないか。
また、一企業の甘い認識が自社への影響に留まらず、ようやく社会的認知を得てきた通販業界に対する消費者の信頼すら脅かしかねないものであることも忘れてはならない。
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有店舗小売のネット販売戦略に注目
無論、世間的にも知名度が高く、「小売り」としての元々のポテンシャルもそもそも高いわけで、ネット販売でも売り上げを伸ばすことは当然と言えなくもない。実際、ネット販売の黎明期から「クリック&モルタル」という言葉に代表されるように、有店舗小売業者はネット販売においても大本命の有力プレイヤーと目されてきた。しかし、その実、前評判ほどの実力が発揮されることはなく、長らく「ネット上における小売り」の主役はアマゾンや楽天市場に代表されるネット販売専業者、仮想モール運営者であった。
「ネット上の小売り」においては、これら新興企業の後塵を拝す結果となっていた1つの理由として考えられるのは、有店舗小売業者特有のネットに対するスタンスだ。結局のところ、彼らにとってネットは、あくまで本業である実店舗ビジネスの「広告宣伝」であり、通販サイトや通販戦略に必要な経費は、来店促進として出稿する新聞折込チラシやテレビCMと同じ捉え方だった。「クリック&モルタル」などと言葉では言ってはいても、実際のところ、店舗を中心に据えた長年のビジネスやそれに伴う考え方から、そうやすやすと抜けられるものではなく、「その先」まで考えが及ばないでいた事業者が多かったように思われる。
それがここにきて、ネット販売市場において有店舗小売業者が存在感を見せ始めたのは時代の要求はもちろんのこと、これまでの手痛い失敗や上層部と現場との軋轢を乗り越えようやく有店舗小売業者としてのネットの活用の仕方が分かってきたためだろう。あるGMSは通販サイトでの実績データを活用し、売れ筋を実店舗でも専用コーナーを設けて販売し店舗においても売れ筋に。有力セレクトショップでは戦略商品をネットで先行予約販売し実店舗での本格展開を前に仕入れ量などを見極めるための重要な指標として活用し効果を上げているようだ。あるアパレル企業は通販サイトで気になる商品を顧客に選んでもらい、当該商品を指定する実店舗に取り寄せて実物を店舗で確認できる仕組みを始め、好評を得ているという。
ネット上の小売りでは独走態勢にある「アマゾンの天下の揺るがない」という見方もあるが、本来、小売りとして強力な力を持った有店舗小売業各社がネットを使いこなし始め、既存の通販企業もまた新たな次の一手を模索し始め、成果を上げ始めている。今後、ネット販売市場の勢力図がどのように変化していくのか。まだまだ目が離せそうにない。
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消費者委は過ちを繰り返すな
消費者委による審議には当初から懸念が示されていた。審議を行う委員会メンバーの多くは健食についてさしたる知識を持ち合わせていないためだ。継続審議を行うこと自体、事業者出身の委員自ら「企業経営の立場で言えば物事を決める際、継続審議という形で委員会が引き継ぐのはおかしい。消費者庁と委員会で重複するテーマを整理すべき」と指摘するほどだ。
それだけではない。委員会にヒアリングで招かれたのも、検討会に参加した日本通信販売協会、日本健康・栄養食品協会、日本医師会、国民生活センター、食の安全・監視市民委員会代表の神山美智子弁護士など見た顔ばかり。健食に関する知識は消費者委メンバーより深く、審議は最後まで健食に対する理解を深める勉強会の域を出なかった。
異なる点と言えば、審議するメンバーが消費者団体や弁護士などに偏りがみられること。そんな委員会審議だから、まとめられた中間整理も消費者団体が検討会で主張していた意見が公然と提言に盛り込まれた。
一例を示そう。中間整理では、効果的な規制のあり方に向けた提言として食品衛生法の改正が盛り込まれた。「表示」のみ対象とする食衛法の規制対象を「広告」にまで拡大するというものだ。これは神山美智子弁護士が持論としているもの。検討会でも同じ主張がされたが、一方で健食の誇大広告は薬事法、特定商取引法、健康増進法、景品表示法など複数の法令が重複して規制対象としており、運用面の充実を図るとの観点から論点整理に盛り込まれなかった。
同じく今後の検討課題とされた事故情報の報告義務化と消費者からの申し出制度の導入。これも検討会に参加した山根香織主婦連合会会長が主張していたものだが、論点整理に含まれていない。にもかかわらず中間整理に盛り込まれたのは、同じ主婦連合会の佐野真理子事務局長が消費者委メンバーに加わっているためだろう。
自らの信念や所属する団体の総意を示したいのであれば、「消費者委」の看板を借りるべきではない。消費者、事業者双方の意見を踏まえ大局的見地から消費者視点を語り得ず、「消費者委」という権力をあからさまに利用するこれら団体に、消費者委として活動する資質があろうか。
今の時代、消費者目線を重視するのは、何も消費者団体ばかりではない。消費者委は8月末で解散となり、メンバーは任期を終えた。次期メンバーには前メンバーの失敗を教訓とし、二度と同じ轍を踏まないことを願いたい。
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薬通販訴訟の控訴審判決急げ
医薬品通販規制の見直しについては早急に検討に着手することが望まれるが、その方向性を考える上で注目されるのは、医薬品ネット販売を行うケンコーコムとウェルネットが国を相手取って提起した行政訴訟の行方だろう。
この行政訴訟は、ケンコーコムなどが第2類以上の医薬品ネット販売を禁止するのは違憲などとし、当該省令の無効・取り消しや医薬品ネット販売を行う権利確認などを求めているもので、1審は国側に都合のいいネット販売と対面販売の優劣論に終始し、原告側が全面敗訴となった。しかし、控訴審で東京高裁は、1審の論点を軌道修正し、立法事実に基づいた規制自体の合理性や妥当性を焦点とする方針を提示。これはケンコーコムなど控訴人側が当初から主張を展開しようとしていた論点であり、今後、医薬品通販のルール作りの検討を進める上でも少なからず影響することも考えられる。
だが、東京高裁が目指していた夏休み前の判決は遅れているのが現状で、8月30日の段階でも判決期日は決まっていない。裁判所側からすると規制の違憲性を問う行政訴訟であるだけに、慎重に審理を進めているのかも知れない。無論、それは重要なことだが、理不尽な規制で消費者や、医薬品を扱う通販・ネット販売事業者が不利益を被り続けている現状を考えれば、東京高裁は司法の責任として、早期に国の誤った規制を正す判決を下すべきだろう。
当初、今年5月末に期限切れとなるはずだった経過措置が2年間延長され、第2類医薬品の通販・ネット販売はかろうじて継続できている。だが、販売対象は継続利用者や離島居住者など極めて限定的で、この状況が続けば、消費者の利便性を損ねるだけではなく、通販に依存する伝統薬通販事業者、あるいはネット販売に活路を求める医薬品販売事業者の経営が悪化していくことにもなる。こうした状況を避けるためにも、早急に医薬品通販のルール作りの検討を始め、少なくとも現行の経過措置のうちに安全性を確保した制度を整えなければなるまい。
行政訴訟については、控訴人、被控訴人とっていかなる控訴審判決が出ても最高裁で争われる可能性が高く、法的な決着がつくまでには時間を要すると見られるが、医薬品通販のルール作りの本格的な検討に向けたひとつの足掛かりとして、早期の控訴審判決が望まれる。
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BS局は二度と通販に頼るな
ただ、この省令自体は別段、通販を規制しようというものではない。単にテレビ局に現状の番組編成の番組の種別ごとの時間配分を公表せよ、というだけのものである。無論、放送法には各ジャンルの番組をバランスよく放送し調和を保つことを求める「番組調和原則」が規定されているが、特定の番組種別が多かったとしても罰則があるわけではない。
つまり、この省令自体が通販を規制しているのではなく、BS局が自ら通販番組の総量規制を行うためのあくまで"きっかけ"に過ぎないと見る向きもある。BSは今でこそ広告媒体としても価値が高まりつつあるが、少し前までは視聴世帯数が伸びず、一般企業の広告がなかなか入らないといったBS局の厳しい経営を支えてきたのがBS枠を買い、テレビ通販を行ってきた通販企業であり必然、BSで通販番組が多く放送されることになったわけだ。
今回の省令により、番組種別公表の際、「"通販依存の体質"について、消費者団体などから出るであろう『通販番組が多すぎる』との批判をかわしたい」というのが通販の総量規制を自主的に行っているBS局の主な言い分だが、省令はあくまで口実に過ぎず、「テレビが汚される"通販"を入れたくない」というテレビ局側の思惑がある、との声が一部から漏れ伝わってくる。
要は媒体価値の高まりから一般企業の広告も入り始めた現状を踏まえ、この際、切りにくかった通販を排除すべく、省令を口実に一気に通販を締め出してしまおう、ということらしい。無論、BSの媒体価値が高まったこともあろうが、BSの通販枠代が今春に大幅に上昇、今秋からもさらに値上がりが続いているのもこれに関係するのは、と見る関係者もいる。ある通販企業の幹部は現状のBSを「尋常ならざる強気の単価」と評し「嫌なら買わなくて結構と言われているようだ」と話す。
民間事業者であるBS局が自らの判断でどんな戦略を採り、何を放送しても誰からも何ら文句を言われる道理はない。苦しい時代にBS局を支えた通販はもう必要ない、とばかりに意図的に排除したとしてもだ。であればテレビ通販企業もまたBS依存から今こそ脱却すべきだ。「一定の視聴世帯数がいる割に枠代が安く費用対効果が良い」というBSで通販を行うメリットはすでになく、BSに固執する必要はあるまい。
BS各局にはむしろ、多方面から批判を浴びぬよう通販に二度と依存しない収益体制を築いて欲しい。インターネットを始めとする新たな広告媒体の登場やテレビ離れなどで圧倒的な視聴世帯数を誇る地上波の在京キー局でさえも広告収入が目減りし苦戦する中、BS各局が通販を抜きにどう収益を安定させるか、お手並みを拝見したい。「またダメなら通販に」という虫のいい話ならごめん蒙りたい。
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中国との協議の準備を進めよ
中国市場の成長性については、以前から指摘されてきたが、経済産業省が6月初旬に発表した日中間の越境EC調査は、改めてこれを裏付けるものとなった。
同調査によると、過去1年間に越境ECを利用したという中国消費者の回答は58・7%に達し、日本企業の通販サイトを1カ月に1回以上利用しているという回答が6割以上を占めた。今後の越境ECの利用意向についても、「利用したい」という回答がおよそ8割になるなど、中国消費者の消費熱や越境ECに前向きな姿勢をうかがわせる内容だ。経産省でも、2020年の日中間の越境EC市場は、最大1兆2600億円規模になる可能性があると予測する。
ただ、この経産省の予測は、かなりの期待値を含んだもので、少し割り引いて見るべきだろう。無論、今後、中国ネット販売市場が拡大していくことはほぼ間違いないが、その触れ幅は、以前から指摘されている通関手続きや、商標権の問題、地域によって異なるローカルルールの問題など、制度的なものも含めた環境整備の進捗度合いによって左右される。これらは、ネット販売の別に関係なく、日本企業が中国市場で事業展開を行う上でネックとなる事案であり、その解消が不可欠だ。
経産省でも昨年、中国側と制度整備などに関する協議を行うことで合意しており、ネット販売を担当する情報経済課では、百貨店やGMSなどを所管する流通政策課と連携し中国側との協議に臨む考えを示していた。だが、今年3月に予定されていた流通政策課と中国側との協議は、東日本大震災の発生で中止。情報経済課では現在、海外向けの放射線関連などの情報発信サイトの構築など国内ネット販売事業者の支援を優先させており、中国との協議については、具体的な時期は明確になっていない状況だ。
無論、風評被害などに苦しむ国内ネット販売事業者の支援は大切なことである。一方で、震災発生以降、中国でのネット販売を志向する企業が増えている現状を考えれば、中国市場の環境整備も早急に手当しなければならない案件のはずだ。これについては経産省でも認識しており、今年度中に協議を行う意向だが、中国側との連絡も覚束ない現状のままでは、中国側の態度が冷え込むことも懸念される。被災地の産業復興や、原発問題など、経産省が取り組むべき課題が多いが、事業者の次の成長のためにも、早期に中国側と協議に入る準備を進めるべきだろう。
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通販にクーリングオフは不要
こうした欧州の動きについて「ネット販売が一般化しつつある今、消費者保護の観点からも時代にあったよい制度だ」「通販にクーリングオフを導入することで消費者が安心し逆に通販・ネット販売の市場は伸びる」などの声が日本国内でもあがっているようだ。しかし、言うまでもなく通販におけるクーリングオフ制度などまったく不要である。欧州の動きや「消費者保護強化」という美名のもとに日本の行政や政治家が変に触発され、「日本でも...」という愚行を犯さないことを願うばかりである。
そもそもクーリングオフとは訪問販売や電話勧誘販売など販売員が不意打ち的に接触し、商品を購入してしまった際に適用されるものだ。不意打ちでは商品購入を十分に検討する時間がないためだ。一方、通販の場合は消費者自身が時間をかけてどの商品をどの事業者から購入するかを自ら決定できる。そういった意味からすると、通販は店頭で商品を購入するのと何ら変わりはない。店頭での買い物にクーリングオフがない以上、通販においても不要だということだ。なお、09年に施行された改正特商法であらかじめ返品の条件を明示していない場合、通販で購入した商品でも8日以内であれば返品できる返品特約が盛り込まれたがこれはクーリングオフではない。
大手の総合通販事業者は以前から、近年では有力ネット販売事業者でも独自のルールを設けて、返品返金に応じているが、これはあくまで企業としての販売戦略の一環である。個別の企業が自らの意思や戦略に基づいて、返品対応を行うことは無論、当該企業の自由である。一部の通販事業者が実施している購入後にサイズが合わなければ何度でも返品交換ができる、試着のようなサービスは通販の欠点である「実際に手にとって商品を確かめられない」というデメリットを解消する非常に有効な施策であるとさえ言えるだろう。
しかし、法律で強制的に無条件で返品に応じろ、ということになると話は別である。事業者に著しい負担を強いることになるからだ。前述のようにすでに自社のサービスとして返品対応を行っている大手通販にしても独自のルールに基づいて運用している訳で、再販できない状態での返品には応じていないはずだ。体力のある大手通販ではそれでも何とか対応できようが、中小規模の通販事業者は到底、持ちこたえることはできまい。結局はそうしたコスト負担は価格に転嫁され、事業者にとっても消費者にとっても何ら利はない。クーリングオフ導入が通販市場の発展につながるなどは、まさに絵空事だ。欧州のことは知らないが繰り返すが少なくとも日本においては通販にクーリングオフは不要である。
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JPは顧客視点の意識を持て
今回、JPが打ち出した「ペリカン便」の採算性改善策は、かなり思い切ったものと言える。もともと宅配便を郵便物と別立てで輸送する仕組みとしたのは、荷物の送達速度を速め、サービス品質を向上させることにある。これに対し、郵便物と宅配便の混載は、以前の「ゆうパック」のスキームに戻すものだ。理屈上、荷物と郵便物との混載でコスト削減が進むのは確かだが、このスキームは送達速度が遅くなるなど、サービス内容の後退を伴うことになる。
通販関連の荷物が増加する中、宅配便各社が商品を受け取る顧客を重視したサービス品質の向上に取り組んでいる状況を考えれば、JPが打ち出した施策はこれに逆行する。言い換えれば「ゆうパック」は、宅配便としての競争力を落としてでも収益を回復させなければならない状況にまで追い込まれているわけだ。
この要因と言えるのは、昨年7月の「ペリカン便」との統合直後に発生した大規模な遅配問題だろう。この際には、産直品を扱う通販事業者では商品がダメになるケースもあり、新生「ゆうパック」のサービス品質に不安を感じさせるものとなった。この大失態は、荷主である通販事業者の離脱を招いただけではなく、遅配による損害の補償、中元期のように失敗が許されない歳暮期を乗る越えるための体制整備など多方面に影響が及んだ。荷主企業の離脱による取扱荷物の減少と想定外の出費が重なり、収益性の悪化が進んだことは想像に難くない。統合段階における準備不足、遅配発生直後の対応の甘さが仇となり、大きな代償を支払うことになったわけだ。
一方、今回の収益改善策では、荷主企業に対する運賃単価の引き上げ交渉を盛り込み、JPでもすでに通販などの荷主企業との交渉を進めている。だが、昨年の遅配問題に起因したサービス品質への不安、郵便物との混載輸送に伴う基本サービスレベルの低下を考えれば、荷主企業が単価の引き上げに応じるとは考えにくい。実際、単価引き上げの話を受けた通販事業者の中には、他の宅配便への切り替えを検討しているところもあり、「ゆうパック」の通販荷主離れは避けられない情勢だ。
再三にわたる統合計画の遅れ、大規模な遅配と散々迷惑をかけた挙句、そのツケを荷主企業に払わせようという構図は、通常の感覚で考えれば明らかにおかしく、顧客サービスを重視する通販荷主が離れていくのも当然だ。JPは、なりふり構わぬ採算性改善策で「ゆうパック」の存続を考える前に、顧客の視点に立ったサービス提供の重要性をしっかりと心に刻むべきだろう。
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高裁は国の過ちを是正させろ
まず、今回の医薬品ネット販売規制で指摘しなければならないのは、あまりにも矛盾点や問題点が多いことだ。厚労省の検討会では、ネット販売事業者が蚊帳の外に置かれ続け、対面の原則を錦の御旗に掲げる薬業団体等の規制推進派の根拠のないネット危険論が横行し、ネット販売の安全確保策などの実態が十分に検証されることはなかった。
実際の販売制度を見ても、対面ではないネット販売は危険としておきながら、副作用リスクが高く店頭では専門家による対面での情報提供が義務付けられている第1類医薬品が代理人でも購入できるのは、対面の原則と矛盾する。また、店頭での実態を見ると、日本薬剤師会幹部が運営する薬局が代理人に対し第2類医薬品の通販を行っていた事例が報告され、厚労省が行った調査では、第1類医薬品販売時に情報提供を行っていた店舗が5割程度しかないなど、対応が徹底されていない実態もある。矛盾に満ち運用もままならないような医薬品販売制度は、"ざる"としか言いようがあるまい。
そもそも、それまで容認していた医薬品ネット販売を規制するのであれば、その理由、すなわち立法事実があってしかるべきだ。しかし、厚労省や規制推進派が指摘してきた問題は、海外通販サイトで購入した健康食品の健康被害や麻薬事件などで、議論の対象となる正規の医薬品販売許可を得たネット販売に起因する副作用事故の事例は皆無に等しい。
仮に予見的な見地で規制するにしても、根拠となるデータが必要なはずだが、先の規制仕分けで対面販売の方がネット販売よりも副作用の発生が少ないとする根拠を追求され、厚労省はデータがないと回答した。つまり、医薬品ネット販売を禁止する明確な理由がないわけだ。
これだけ見ても今回の医薬品ネット販売規制は、かなりの問題をはらんでいる。それにも関わらず、国の論点のすり替えに同調し、安易にネットが対面に劣るという判断を下した1審判決は、裁判所の思考停止による産物としか言いようがない。
控訴審で高裁は、医薬品ネット販売に対する規制前後の問題、情報伝達や副作用事故発生の実態などについて、ケンコーコム等と国に釈明を求めている。国側は依然、論点のすり替えを続け、中には全く答えていない釈明事項もあるようだが、そもそも裁判所が提示した論点にも答えられないような規制はおかしい。高裁は、司法の責任として国の過ちを是正させなければならない。
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震災復興に貢献し存在を示せ
大規模な震災で、まず思い起こされるのは、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災だろう。この際にも建物の多くが倒壊し、多数の死者を出すなど、甚大な被害をもたらしたが、その中で、ろうそくの火を灯し営業を続けるコンビニエンスストアの姿が報じられた。自らも被災しながら、それでも営業を続けたのは、24時間年中無休の地域に密着した業態としての使命感にほかならない。物資の供給が滞り、満足な品ぞろえができる状態ではなかったが、この際に被災者のひとつの拠りどころとなり、存在感を印象付けた。
今回の東北地方太平洋沖地震災では、予想をはるかに超える規模の津波が家屋を飲み込み多くの犠牲者を出すなど、阪神・淡路大震災とは状況は異なっている。その中で被災者の拠りどころとしての役割が期待されるのは、阪神・淡路大震災発生当時とは比べ物にならないほど進歩したインターネット等の通信技術だろう。実際、震災被害や計画停電の実施状況などの情報発信で既にネットが積極的に使われ、支援物資の供給でも、支援団体が被災者から必要としている物資を聞き取り、ネット上で公開する試みが行われている。被災地ではネットを利用できる環境がまだ整っていないようだが、まず被災者が必要とする情報や物資を得られるようにするためにも、水道や電気、ガスなどと同様にネット利用環境の復旧は急務だろう。
また、今後の復興の過程を考えても、ネット利用環境の整備は重要になるのは明らかだ。経済産業省によると、時間の経過とともに被災者が必要とする物資が変わり、多岐にわたっており、支援物資の受け付けや避難所への割り振りを行う各県では、限られた人員の中で被災者のニーズに対応した物資の調達・供給が難しくなりつつあるという。
今後、被災者に対する物資の供給を担うのは民間の事業者になっていくわけだが、箱物を必要とする有店舗の本格的な営業再開に相当の時間を要することが見込まれる。経産省でも次の復興のステップで被災者が必要な物資を入手できるようにするためには、通販やネット販売の活用が不可欠と見ているもようで、関係者によると一部のネット販売事業者に意見聴取を行っているという。つまり、行政側でもネット販売が果たす役割を重視しているわけだ。
今回の震災の影響で経済の停滞も懸念されているが、被災地の復興や消費の活性化などの面で、通販が貢献できる場面は多分にある。通販各社も自らの特徴を活かし何ができるのかを考え、存在感を示していく必要があろう。
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通販各社は復興支援に力注げ
救済に関しては震災後すぐ多くの通販実施企業から義援金や支援物資の提供の申し入れが相次いでいる。千趣会やニッセンなどカタログ通販大手はもちろん、中堅規模のネット販売企業なども少なくない義援金や衣料品などの支援物資の寄付を決めている。また、ジャパネットたかたは充電式電池セット1万個の提供や義援金5億円とは別に、3月16日にテレビ東京の午前枠の通販番組で紹介した液晶テレビなどの売り上げをすべて寄付。そして、まだ、被災地への支援を行っていない通販企業の多くも現在、支援策を検討している模様で「支援の輪」は今後も広がっていくようだ。
また、通販というビジネスの特性を利用して全国の顧客に対して、義援金を募る活動を開始しているところも増えつつある。フェリシモではネット受付専用フォームで義援金募集を開始。マガシークも通販サイト内でクリック募金の窓口を開設した。ジュピターショップチャンネルは通販番組内で視聴者に募金を呼びかけることを決めた。こうした活動は全国で多くの消費者を相手に様々な売り場でビジネスを行う通販企業ならではのものと言え、継続的な活動を期待したい。
さらにそうした義援金だけではなく、通販企業はビジネスを通じて、被災のあった方々の復興のための支援ができるはずだ。被災された方々が再び元の日常を取り戻すためにはまずは震災で失ってしまった家財道具が必要であろう。ただし、そうしたモノを買いそろえるための店舗が復興の過程では少なく、当該地域では需給バランスが取れず、必要なものを手にできない方々も出てくるはずだ。その際、そうしたニーズを解決できるのは、やはり無店舗で場所の制約を受けず、豊富な商品を消費者に提供できる通販企業なのではないか。
現状はまだ、東北地方の物流インフラは混乱をきたしてはいるが、政府は復興対策予算をすぐに成立させるはずで、遠くないうちに一定の回復を見せるであろう。通販企業各社にはその際には是非、これまで培ってきた良い商品を少しでも安く提供できる商品調達能力などの底力を見せて欲しい。
この未曾有の大震災はようやく回復の兆しを見せ始めていた日本経済に大きな打撃を与えることは必至だ。東日本という大きな商圏のダメージに加え、全国的な震災に伴う消費マインドの冷え込みを勘案すると通販各社にとって今後、厳しい局面が続くことになるかも知れない。しかし、そうした悲観を吹き飛ばし、通販各社は被災地の救済と復興に力を注いで欲しい。それがひいては震災で甚大なダメージを受けた日本経済を再び立て直すための一番の近道になるはずだ。
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早急に安全策の検討を始めよ
平野副大臣は、医薬品を購入する場合、個人的には安心感のある対面を選ぶとし、だからこそ対面での情報提供を徹底してもらいたいと厚労省側に指摘。その上で、全国の消費者を相手にするネット販売はツールとしてパワフル過ぎ、小さな地域を商圏とする薬局・薬店が経営していけなくなるのではないかとの見方を示した。
今回の規制仕分けでは、産業振興策的な角度から医薬品通販規制の是非を問うものではなく、薬局・薬店の経営に関する平野副大臣の発言は、いわば副次的なものとは言える。だが、敢えて産業振興策的な面から考えれば、ネット販売と薬局・薬店を対抗軸的に捉え、ネット販売の存在が薬局・薬店の経営の危機にさらすという見方は、一面的で早計だと言わざるを得まい。中小の薬局・薬店にとってもネットが新たな事業機会を創出するツールになり得るからだ。
実際、中小の薬局・薬店が地域に密着し、懇切丁寧な情報提供や相談応需で支持されているとするならば、その特長をネット販売でも活かせる場面は多分にある。それに消費者も自らの健康に関わる医薬品を購入するのなら、対応がより丁寧で安心して利用できるサイトを選ぶはずだ。評判の良いサイトであれば、くちコミが広がり、全国の消費者を相手にすることもできる。ネット販売が必ずしも薬局・薬店の経営を脅かすものでないことは明らかだろう。
規制仕分けの場で厚労省は、海外サイトで購入したダイエット食品に含まれた医薬品成分で健康被害が発生したなどの事例を挙げ、改めてネットでは安全性が確保できないと主張したが、そもそも議論の対象は「薬事法」で規定された一般用医薬品を正規の許可を得た薬局・薬店がネット販売を行う際、どうすれば安全性を確保できるかにある。この点については仕分け人も追及したが、"ネット性悪説"に立ち、悪戯にネットは危険と印象付けるようなことをするのは、中小の薬局・薬店にとっても、好ましいことではあるまい。
安全性確保策がしっかりと担保された多様な医薬品の購入手段を用意し、消費者が自らの状況に応じて選択できるようにすることは、厚労省が掲げる"安心で安全な薬を円滑に届ける"ことにもつながる。医薬品ネット販売の禁止で、医薬品の入手が困難になる消費者がいる現実、さらに今後の薬局・薬店の経営という産業政策的な視点から考えても、医薬品ネット販売の具体的な安全確保策の検討を早急に始めるべきだ。
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仕分け人は薬通販規制の矛盾突け
分科会は報告書案の中で医薬品ネット販売規制について、特に問題のなかった通販・ネット販売の規制は、消費者の利便性を損ね、事業者間の公平性を阻害しているほか、対面販売の現場でも必要な情報提供が徹底されていないなど制度が定着していないと指摘。規制改革案として、販売履歴の管理や購入量の制限など安全性を確保しながらネット等で医薬品を販売できるルールを制定すべきとしている。これらは医薬品を扱うネット販売事業者などがかねてから主張してきたことで、正当な意見と言えるだろう。
医薬品通販規制については、これまでにもネット販売事業者や厚労省担当者、規制賛成派の薬業団体関係者などを交えた公開討論などが行われているが、マスメディアや国民の関心が高い「規制仕分け」の場で議論されることのインパクトは強いと言える。分科会事務局側でも、過去に購買履歴のある顧客などへ暫定的に第2類医薬品のネット販売等が行える経過措置が今年5月に期限切れになることを踏まえ、厚労省側に規制緩和を強く求めていく構えを見せている。国民の生活に直結する問題という点からも、医薬品ネット販売規制の問題は「規制仕分け」の目玉になるはずだ。
厚労省側では、対面でなければ副作用リスクを伴う医薬品の販売で安全性を担保できないという立場で医薬品通販を規制したわけだが、実際には規制根拠が曖昧で、対面で情報提供が徹底されていないという実態もある。また、医薬品通販規制を巡る一連の議論では、確信犯的な悪質事業者と医薬品販売免許を持つ薬局・薬店の混同など様々な矛盾点があり、いたずらにネットを危険視するだけで、医薬品ネット販売事業者が行っている安全性確保策が検証された形跡さえないのが実情だ。
検討の過程から実際の運用に至るまで問題を抱えたまま、消費者の利便性を損ね、医薬品通販を行う事業者の経営に打撃を与えるような規制は早急に見直す必要があろう。
仮に、医薬品通販規制が「規制仕分け」の対象項目となった場合、より多くのマスコミ、国民が注目する仕分け作業の場で厚労省がこうした矛盾をはらんだままの医薬品ネット販売規制を無理に正当化しようとすれば、その反響は大きなものになるはず。「規制仕分け」自体、政府・民主党のパフォーマンスと見る向きもあるが、仕分け人には、医薬品通販規制の矛盾点を徹底的に追求し、国民的な議論につながる流れを作り出すことを求めたい。
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国センは役割を見つめ直せ
これまでも特に国センが行う「商品テスト」の妥当性については、通販事業者を含む小売企業やメーカーなどから疑問の声が挙がっていた。商品テストを行う以上、結果はだいたいネガティブなものであり、行政機関である国センが商品テストを行えば、それは一般紙などで広く報道され、当該商品の信用や売れ行きに大きな影を落とす。本当に悪質で消費者を騙したり、健康を害するような商品は無論、テストをすべきであろうし、その結果を発表して、販売者や製造者は相応に糾弾されるべきであろう。
ただし、問題なのは、テストをする商品の選定方法や調査方法があまりに不条理な場合が多すぎるということだ。ある商品をテストするか否かは消費者センターに寄せられた相談や苦情の件数から判断することが多いようだが、案件によっては特別、件数が多くない場合でもテストに踏み切ることがある。また、疑問を持たざるを得ないのがテストする商品が非常に通販に偏っていることだ。これも本当に通販商品に問題があるのであれば話は分かるが、どうも単に通販が調査しやすいという安易な考えが起因しているように映っても仕方ないことが多い。
例えば、国センは昨年4月、家庭の浴槽に入れることで「湯が温泉となる」と標榜する石やセラミックボールの商品テストを実施して、結果を公表したが、当該商品に関する相談者の8割が訪問販売で購入しているにもかかわらず、国センは商品テストの際、「楽天市場」などの仮想モールでネット販売されている10銘柄を対象としている。実際に相談件数が多い商品を調査しなければ意味がないにもかかわらず、そうしないのは単に労を惜しんで、自らの存在をアピールするための「テストのためのテスト」をしているだけと見られても仕方ないだろう。
消費者庁は1月28日には「国民生活センターのあり方の見直しに係るタスクフォース」の第2回会合を開催。ここでも商品テストの問題について、消費者庁側が国センに「できることを自前の施設でやっているが中途半端ではないか」と追及するなど突っ込んだ話し合いがもたれたようだ。もちろん、消費者トラブルのセンサーとして役割を果たす機関は必要だが、何も国センに執着する必要はないはずだ。消費者庁はもちろん、国セン自身もまた、自らの存在価値や役割を真剣に見つめ直す時期にさしかかっている。
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最高を目指し最悪に備えよ
問題となったおせちは横浜の人気レストランの食材を使用したもので、通常価格2万1000円の商品を1万500円の500セット限定のクーポンとして販売していた。だが、クーポン購入者から配送予定日の12月31日になっても商品が届かない、サイトに掲載されていた見本と実際の商品の内容が異なるとの苦情がグルーポン・ジャパンに殺到。グルーポン側が事実関係を確認し、1月1日付で謝罪文を公表する一方、外食文化研究所の社長が辞任する事態となった。
外食文化研究所が公表した謝罪文によると、商品500セット分の調理と詰め込み作業に予想以上の時間が掛かったため、納品の遅れや見本画像とは異なる商品の発送が起きたとしている。もともとおせち料理は、盛り付ける品数が多く、納期の厳守が求められる商材であるため、通販でも取り扱いが難しいとされており、事前の周到な準備が必要になる。その意味では、外食文化研究所の見込みが甘かったと言わざるを得まい。
さらに問題なのは、初動の判断ミスだろう。これについては外食文化研究所でも、キャンセルを依頼すべきところを、無理に対応したことが今回の事態を招いた要因としているが、そもそも顧客の期待を裏切るような商品を提供すること自体、商売の基本から外れるものだ。
また、この行為は法的な問題にも波及し、消費者庁が「景品表示法」違反の疑いがあるとして、同社に事情聴取を行う方針を固めたとされている。これについては表示主体を外食文化研究所と見るか、グルーポンと見るかといった解釈の問題もはらむが、少なくとも外食文化研究所側がネットを介し商品を販売する上で法的な意識を強く持っていれば、見本と異なる内容の商品を提供することのリスクは判断できただろう。
無論、グルーポンも、外食文化研究所の商品管理体制等を見極められずクーポン購入者を失望させる結果を招いたことは反省すべきで、顧客が安心してクーポン共同購入を利用できる環境を整えなければならない。
最高の商品を目指し、最悪の事態に備える。これが消費者を相手にするビジネスの鉄則だろう。企業として、より良い商品の提供に注力するのは当然のことだが、常に最悪の事態を想定していれば、万が一トラブルが起きても、初動段階で判断を誤る可能性は低くなる。今回の外食文化研究所の対応を見る限り、この両方の視点が欠落した結果、必要以上に問題を大きくした。同じ轍を踏まぬよう、通販各社も自らが最高の商品を目指し、最悪の事態に備えているか、自問してみる必要があろう。
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通販事業者は新境地に挑め
ただ、通販市場は競争の激しさが増している。これは通販専業同士の競合もあるが、それと同等以上に影響しているのは、店販を主戦場としてきた有力アパレルブランドやGMSなどがネット販売を軸に通販の領域に流れ込んできていることだろう。
国内市場の縮小が進んでいることを考えれば、店販小売事業者としても従来のように店舗数を増やし売り上げを作る時代ではなく、いかに効率化を進め利益の維持拡大を図るかがテーマとなっている。その意味では、時間や立地などの縛りがなく、参入障壁も小さいネット販売を中心に通販の領域に近づいてくるのも自然の流れで、取り組みを加速させてくるのは想像に難くない。
言い換えれば、通販と店販の垣根はなくなりつつあり、カタログ通販事業者は全方位的な競争環境下に身を置いているわけだ。その中で次の成長うかがうには、やはり従来からの延長線上にあるだけの施策では限界もある。これまで蓄積してきた通販のノウハウや知見を活かした新境地の開拓が必要になるはずだ。
この部分では、カタログ通販事業者の間でもすでに動きは見られる。ニッセンが今年から本腰を入れているブランド再構築の取り組みも、そのひとつと言える。20代女性層の開拓を狙いに、人気タレントの香里奈さんを起用したテレビCM、あるいはイベントなどを展開してきたが、40年間育ててきたブランドイメージを一新するという試みは、企業としてかなり思い切った施策だろう。
また、セシールでは、「アニタ・アレンバーグ」での成果を踏まえ、ファストファッションの取り組みを積極化、同ブランドでの店舗展開をうかがうほか、ファストファッションの担当部門を設け、短サイクルの商品展開手法の確立を目指すなど、ネット販売への参入が相次ぐ店販系ブランドを意識した取り組みを進めている状況だ。
さらに変わったところでは、千趣会が任天堂等と組み家庭用テレビゲーム機「Wii」を活用したショッピングサービスを開始した。ネット接続率の兼ね合いなどから、今後の展開を疑問視する声もあるが、通販でテレビを活用する必然性を追及し、「Wii」独自のコンセプト、世界観の中でファミリー層をターゲットにした物販の可能性を探るチャレンジングな試みと言っていい。
現状、各社の取り組みに対して賛否が分かれ、結果が出るまでにも時間は掛かるが、厳しい市場環境下で次の成長路線を描くためには、各通販事業者も新境地の開拓に挑戦する姿勢が必要になってくるだろう。
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日中協議の行方を注視せよ
一連の問題は、中国でビジネス展開を行う場合のリスクを改めて印象付けるものだが、実務レベルで考えた場合、日本の通販事業者にとって大きな壁となっているのは、中国の制度・ルールの問題だろう。
特に中国現地の通関手続きについては問題点を指摘する声が多く、通販事業者等からも、手続の完了までに時間が掛かる、日本から同じ商品を輸入しても税関によって対応が異なるといった声が上がっており、経産省が2008年度に実施したアジア向け海外ネット販売の物流テストでは、中国(上海)の関税還付を伴う返品処理が他の国よりも手間取ったという事例も報告されている。
原因は、担当者レベルのオペレーションによるものが多いようだが、このようなことが頻繁に起きているとすれば、通販事業者としても中国顧客への対応などの見通しがつきづらく、商品到着の遅れや注文のキャンセルなどを招くことにもなりかねない。日本を含む通販等の海外事業者のビジネス環境だけではなく、現地消費者のメリットといった観点からも、中国当局は対応を見直す必要があるはずだ。
もうひとつ中国でのビジネス展開で悩ましいのは、現地のルールに曖昧な点があり、しばしば事業者の混乱を招いていることだ。
通関についても、今夏頃から個人輸入に関する通関手続が厳格になっているとされているが、現地ネット販売の支援を行う仮想モール運営事業者が当局に制度の変更内容について問い合わせたところ、部署によって回答が異なり、詳細を正確に把握することができなかったという。
経産省などによると、中国では制度の新設や変更を場合、まず法的な枠組みを作って施行し、実際に運用しながら文言の定義など詳細を詰めていく傾向があり、これが当局担当者の回答や対応の矛盾を生み出す一因になっているらしい。国によって制度が異なるのは当然だが、それ沿ってビジネスを行おうとする事業者の混乱を招くような仕組みは再考せねばなるまい。
すでに経産省と中国当局でも、物流や店舗流通業、電子商取引などの分野で制度整備等に関する協議の準備作業を進めており、経産省では、中国側に通関手続き等の対応改善を求める考えを示している。現在の日中関係を考えると難しい局面も予想されるが、中国市場の環境整備は日本の産業振興を考える上でも重要だ。実際の協議入りは年明け以降になるようだが、通販事業者も今後の事業展開を左右する日中協議の行方を注視する必要がある。
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決済規制議論の再燃を許すな
収納代行を巡っては、一時、金融庁が銀行法で規定する為替取引の疑義があるとして、規制をかけようとする動きを見せていたが、代理収納協会発足の本質的な狙いは、この問題への対応がある。
規制自体は、収納代行は商取引に伴う代理受領と主張する収納代行業者や経済産業省の反発もあり、導入が見送られた。だが、金融庁は依然、収納代行に為替取引の疑義があるとの見方を崩しておらず、何か問題が発生すれば規制議論を再燃させてくる可能性が高い。このため、代理収納協会を軸に収納代行業界として自主的に環境整備に取り組むことで、金融庁による規制議論の再燃を回避しようというわけだ。
収納代行に規制が加われば、事務処理や対応コストなど、収納代行業者側の負担が増えるだけではなく、サービスを利用する通販事業者や顧客にも、利用料金の上昇や利便性の低下などの悪影響が出る恐れがある。その意味で代理収納協会の発足は、通販業界としても前向きに捉えていいだろう。
だが、今後、代理収納協会がリーダーシップを発揮していく上で、幾つか課題もある。そのひとつは、金融系やシステム系など素性が異なる収納代行業者の意見を協会としてまとめられるかだが、さらに重要なのは、収納代行業者をどれだけ組織化できるかだろう。
この点については、コンビニ本部と直接契約を結ぶ1次収納代行業者全てが同協会に加盟する見通しだが、1次収納代行業者のサービスを活用して事業を行う二次収納代行業者については、企業数などの実態が把握しきれていない。
収納代行ついては、顧客への2重請求の防止や事業者自身が破綻した場合の対策、あるいは悪質なサービス利用事業者を排除するための審査体制の整備といった問題が指摘されているが、こうした課題を解消するためには、2次収納代行業者を協会に取り込み、対応の徹底を図っていくことが不可欠になるはずだ。
商品代金の決済は通販を構成する重要な要素であり、サービスを提供する収納代行業者は、通販業界を構成するプレーヤーという側面もある。その意味では、日本通信販売協会との連携の方向性なども検討すべき課題だろう。代理収納協会では、これから具体的な活動テーマを決め、来年度から本格的な活動を始める意向だが、金融庁に規制議論を再燃させる隙を与えないような取り組みを進めていくことが期待される。そのためには、まず収納代行業者自身が通販業界のプレーヤーの一員という意識を持つことが必要だ。
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消費者委は機能不全を正せ
委員会は本来果たすべき役割を見失っている。月例の委員会では、消費者庁から報告される内容にまとまった見解をぶつけることは少なく、好き勝手な主張が飛び交っている。
健食表示の検討会について報告された際には、ある委員が「ホメオパシーと同じで健食の好転反応の危険性は切実。具体的に検討してほしい」「宣伝も宗教団体のよう。健食の広告ガイドラインで体験談を規制してほしい」と捲くし立てた。消費者目線というより個人的見解を色濃く反映した意見と思えるが、この主張の是非が議論されることもなく委員会は閉会。こうした尻切れとんぼのようなやり取りが1年間続けられてきたわけだ。「単なる意見交換に終わっている気がする」と活動報告で自戒した別の委員の意見は委員会の機能不全を示したものといえるだろう。
その根底には、人員・予算の不足より、幅広いテーマへの対応を求められる委員会の対応力の限界があるだろう。日常的にさまざまなテーマへの意見を求められる委員会は、結果的に各分野の専門家で構成する下部組織に具体的な審議を委ねざるを得ない。こうして得た結論に委員の個人的見解を反映させるのが役割というなら、果たして委員会というフィルターを通す意味はあるのか。
事業者出身の委員は活動報告の席で「企業経営の立場で言えば物事を決める際、継続審議という形で委員会が引き継ぐのはおかしい。消費者庁と委員会で重複するテーマを整理すべき」と厳しい指摘をした。つまらぬ主張による議論の揺り戻しを防ぐ意味で、この意見に全く同感だ。
このように多くの改善点を抱える委員会が仕切ることになる健食表示の継続審議。委員会はいまだに審議の進め方を打ち合わせておらず、わずか1年で消費者、事業者双方が納得のいく結論を見出せるのか。委員会の抱えるテーマがそれだけでないことは分かるが、重要テーマについてはその工程の見通しを早急に示す必要があるだろう。
一方で、今後、健食表示の審議に留まらず、委員会を運営していく上で重要な観点が活動報告の中である委員から示されている。「ルール(規制)は万能ではなく、事業者の自主規制や消費者教育など、それに変わるものを育てていかなければ意味がない」というものだ。
この言葉は、委員会が過度な消費者保護の視点で市場環境の整備に臨むことをけん制したものだろう。委員会の本来の役割は、消費者にとって最も身近な存在である事業者との健全な関係構築の仲立ちをすることにあるはずだ。
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消費者庁は体制整備を急げ
しかし、このところの消費者庁の動きを見ると、消費者保護を名目にした新たな規制導入を検討する傾向が強まっている。無論、確信犯的な悪質事業者から消費者を守ることは必要だが、通販等の事業者にとって問題なのは、消費者代表を自負する消費者団体等の委員の意見に流された議論が進んでいることだ。
端的な例は、「健康食品の表示に関する検討会」だろう。同検討会では、消費者団体等の委員の意見に押し込まれる形で結論が表示・広告など規制強化の方向に傾いた。さらに同検討会で象徴的だったのは、消費者庁自らが「消費者の立場に立つため、従来産業振興を担ってきた省庁と一線を画し、規制が中心になる」と発言したことだ。消費者庁設置後初の検討会で、"規制中心"の意向を示したということは、それ以降の検討会でも同様のスタンスで協議が進められることを意味する。
これは、消費者庁が8月18日に立ち上げた「インターネット消費者取引研究会」にも同様のことが言える。ワンクリック請求など、ネットの特性を悪用した違法行為を行う事業者を排除するという同検討会の目的は、理解できる。だが、検討作業を進める中で、消費者団体等の委員の意見に偏重した議論になる可能性が高く、一部の確信的な悪質事業者、あるいは特異な事例を引き合いに出し、一緒くたに規制を掛けるような流れになりかねないのが実情だ。仮に、そうした規制の方向に進めば、産業として数少ない成長分野であるネット販売市場の発展の足かせにもなりかねない。これは通販事業者としても看過できない問題だ。
このほかにも「集団的消費者被害救済制度研究会」が、民事訴訟での救済が難しい小額かつ多人数の消費者被害等の救済策について、集合訴訟制度等を盛り込む案をまとめたが、実際の運用を考えると、消費者被害救済の名目で濫訴を招く恐れがあるなど問題も少なくない。今後、消費者委員会で具体的な制度の検討を行うことになるが、運用面も勘案した慎重な議論が求められよう。
消費者保護を名目にした規制の検討を進める消費者庁だが、設立から1年が経過しても見えてこないものがある。消費者に身を守る術を持たせる上で重要な消費者教育の取り組みだ。これについては、消費生活センターの人員体制整備や広報の問題などもあるようだが、消費者行政の両輪となる消費者教育が遅れているとすれば、「司令塔」としての役割を果たすことはできまい。消費者庁がまず取り組むべき課題は、規制の検討ではなく、消費者行政の両輪を機能させるための体制整備だろう。
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JP経営陣は意識を変えろ
「ペリカン便」との統合直後に発生した「ゆうパック」の大規模な遅配問題を受け、郵便事業会社(JP)は7月30日、総務省に「郵便事業会社法」に基づく報告書を提出した。この問題を巡っては、一連の報道でJP側の準備不足などが再三指摘されてきたが、報告書の中でJPは、事前の準備や遅配発生時の対応など各段階で上層部の認識に甘さがあったとしている。総務省では報告書を精査した上で、行政処分などの対応を検討することになるが、JP側のずさんな体制が改めて浮き彫りとなったことで、通販等の荷主企業離れがさらに進む可能性がある。
JPが総務省に提出した報告書では、事前の準備から、遅配発生時の対応や情報提供のタイミングなど各段階での問題点を分析しているが、そのいたるところに出てくるのが上層部の見込みや認識の"甘さ"だ。
事前の準備段階について見ても、今年5月以降、荷物の区分け等を行うターミナル支店や統括支店で順次研修を行っていたが、JP本社で各拠点での研修の進捗状況が把握できていなかったという。だが、異なる仕組みの宅配便を統合することを考えれば、スタート段階で何らかの問題が起きることは想像される。その意味では、各拠点の現場担当者が新たなオペレーションにどの程度習熟しているのかを把握し、必要に応じて改善策を講じることが不可欠だったはずだ。
実際に、遅配の直接的な原因が区分機の操作ミスなどによる作業の遅れだったことを考えても、現場のオペレーションを軽視したことが最大の過ちだったと言わざるを得まい。
さらに問題なのはリスクに対する体制の不備と上層部の認識の甘さだ。報告書によると、統合初日の段階で経営陣が遅配発生の事実を把握していたにも関わらず、重大なトラブルにはならないと判断したとしている。この判断が応援要員の派遣などの対応策を遅らせ、結果的に遅配問題を長引かせる要因になったことを考えれば、判断ミスを犯した経営陣の責任は重い。
こうした緩慢な対応は民間の宅配便事業者では考えられないもので、JPの一連の対応はずさんとしか言いようがない。「ゆうパック」を利用していた一部の通販事業者が他社の宅配便に切り替える動きも出ているようだが、顧客サービスを考えれば当然の判断だろう。
これまで再三にわたり「ペリカン便」と「ゆうパック」の統合が延期された挙句、統合実現直後に発生した遅配問題。一連の経緯の中で共通した問題点を挙げるとすれば、JP側に未だに根強く残る官僚的な発想に行き着く。これについては、統合作業の過程で関係者がことあるごとに指摘していた点で、今回の遅配問題でも、顧客の視点を欠いた緩慢な対応にそれは表れている。
顧客との接点になる宅配便は、通販事業者の間でも重視され、顧客の視点に立ったサービスが求められている。JPでは歳暮シーズンに向け、体制の建て直しを図る意向だが、まず経営陣が顧客視点の意識を強く持ち、それを現場に徹底させなければ、通販事業者等の「ゆうパック」離れを食い止めることは難しいだろう。
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〝独自の価値〟
不況かつデフレ状態の今、価格訴求は効果的な戦略なのかも知れない。だが、安易に使用すれば、恒常的な客単価下落や利益圧迫、さらには将来的な企業、ブランドのイメージ低下を招きかねない危険性を孕む「劇薬」であることは間違いない。ジャパネットたかた、オークローンマーケティング、ドクターシーラボ、スタートトゥデイなど不況下でも好調さを維持できている通販実施企業に共通するのは、安易な値引きなど劇薬の使用を極力、避けている点だ。裏を返せば、消費者を引き付ける"独自の価値"を持って価格訴求以外で勝負できているということだ。
では"独自の価値"とは何なのだろうか。各社によって様々だが、その1つとして挙げられるのは「売りっぱなしにしない」ということだ。不況下でも業績を安定的に伸ばすある通販企業では、ダイエット食品を販売した後、効果的な使用方法やダイエット全般の相談を受け付ける無料の専用窓口の設置など、アフターフォローに手間やコストを惜しまずに投入している。その結果、この企業への安心感のほか、ダイエットの成功率を高め、当該商品において高いリピート購入率を生み出しているという。
アフターフォローなどの顧客サービスが大切だ、ということは多くの企業が当たり前のこととして認識していることだろう。ただ、これまで多くの企業にとって顧客サービスとはある意味で、表面的なものだったのではないか。「商品を売る」ことが優先であり、販促費は潤沢に投入するが、直接、お金にならない顧客サービスはそれなりに、という事業者は少なくないはずだ。
しかし、「売りっぱなしにしない」こと、つまり、直接はお金にならないはずの顧客へのアフターフォローに注力している企業こそが結局のところ、不況下においても、業績を伸ばし続けているという現実がある。価格以外の訴求ポイントを持つ企業は無理な値引きなどの体力勝負を避けることができ、健全な形で事業を展開することが可能だからだ。
そしてこのことは今だけの問題ではない。むしろ、これからの通販市場で生き残るための必須条件となってくるのではないか。通販市場自体は今後も成長が見込まれている。ただし、その中身は大きく様変わりし、高い知名度や豊富な資金力を持った有力企業の新規参入や台頭が予想される。そうした強力な競合には価格訴求など通じまい。それらを相手に既存通販事業者が生き残るには"独自の価値"をどう創造できるかにある。簡単ではないだろうが今こそ、真剣に考えるべきだ。
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薬事法への認識を改めよ
社名変更を繰り返し、健食の違法な販売を続ける事業者が後を絶たない。こうした悪質事業者を取り締まるため、県警は組犯法の適用に踏み切った。今後は事業者の"組織実態"を重視し、組犯法の適用に対しても積極的な姿勢を見せている。
こうした取り締まりは悪質事業者が健食通販に参入する抑止力となり、市場の健全化につながるという意味で歓迎すべきものではあるだろう。ただ、忘れてはならないのが、同様のリスクを全ての健食通販事業者が負うということだ。
過去、薬事法違反で県警の摘発を受けた企業の中には、日本通信販売協会の正会員だった企業もある。協会への帰属だけで企業の信頼性を判断はできないが、協会内には加盟企業の広告表現をチェックする「表示審査特別委員会」があるだけでなく、入会時にも「倫理委員会」で広告表現が厳格に審査される。協会に属して適正な販売に努めようという姿勢が見える以上、全ての事件の悪質性が高かったと判断するのは早計だ。
また、健食通販では消費者にいかに分かりやすく機能性を伝えるかが売り上げを左右する。効果的な媒体を見つけても、いずれ媒体が疲弊するのは必然。持続的な成長をめざし新しい媒体や広告表現を模索する中、一種の"慣れ"が最悪の事態を招かないとも限らない。とすれば、薬事法、さらには組犯法の適用も全ての事業者にとって"今そこにある危機"といえる。事業者は広告表現に細心の注意を払う必要があるだろう。
一方で、摘発が後を絶たない背景には、事業者の"悪質性"を容易に見分けることができないことがある。その一因となっているのが、健食に明確な表示制度がないことだ。
薬事法は医薬品の販売業許可を得た事業者の規制を前提としており、当然、健食通販事業者はそこに含まれない。そうである以上、業務停止といった措置を経ず、警察の介入によって、即、刑事事件に発展するリスクを負い続ける。
だが、健食市場が一兆円超の規模に達する中、高齢化社会の到来や医療費の高騰といった社会環境の変化、市場の実態を鑑み、新たに健食を軸とした枠組みを整備することが必要なはずだ。でなければ、健全な事業者は、適正な販売であることを消費者に示す術さえ持たないも同然だ。
同様のジレンマを負うのは事業者だけではない。消費者は商品の明確な選択基準を持ちえず、警察は悪質性を判断する基準を持たない。神奈川県警が健食通販事業者の摘発で他県圧倒していることが、そこに担当官の裁量が働いている証左といえるだろう。制度化を進めない限り、根本的な解決は図れない。
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JPは真の顧客視点の思想を持て
郵便事業会社(JP)が手掛ける宅配便「ゆうパック」の遅配問題が波紋を広げている。7月1日、JPエクスプレス(JPEX)から「ペリカン便」を継承し、新たなスタートを切った「ゆうパック」だが、直後に複数の「ゆうパック」処理拠点で半日から2日程度の遅配が発生、通販事業者等の荷主や顧客にも影響を及ぼした。JPでは通販事業者をターゲットに荷主の開拓を積極化する構えを見せていたが、逆に顧客離れを引き起こしかねない状況だ。
JPによれば、荷物の遅配が発生した原因は、スタート当初のシステムの不具合や集配拠点の現場担当者が作業に不慣れだったことだとしている。「ペリカン便」の統合に伴い、JPEXの宅配便システムを導入したが、データの入力ミスなどで全体の作業が遅れ、荷物の配送にも支障をきたしたというものだ。
問題は事前の準備が万全だったかだろう。この点では、JP側でも取り扱う荷物の増加などを勘案し、事前にシミュレーションを組んでテストも行っていたが、実際の現場では荷物の形状が様々で、担当者が作業に手間取るケースもあったという。単純なデータの入力ミスなどにより、複数の拠点で遅配が発生したことを考えれば準備不足だったのは明らかで、JP側の見込みが甘かったと言わざるを得まい。
遅配の発生状況としても、7月2日に10拠点で荷物の遅配が発生。翌3日には3拠点、4日の段階で2拠点にまで縮小はしているが、この間の遅配荷物の数は約26万個、5日には約32万個に達し、通常99%の送達率も93%にまで落ち込んだ。
無論、この中には通販事業者の荷物が含まれており、4月から商品の配送を「ゆうパック」に切り替えたニッセンでも、顧客からの問い合わせがきているという。さらに深刻なのは、生鮮品等の産直通販事業者だろう。鮮度が求められる商品の遅配は、致命傷にもなりかねないからだ。
商品の配送を担う宅配便事業者は顧客との接点であり、通販事業者のイメージにも直結する。その意味で今回の遅配問題は、顧客の期待を裏切り、通販事業者に対する信頼も損ねるものでもある。JPでは商品の損害などに対し、賠償をしていく意向を示しているが、まず、顧客と通販事業者の関係性をも危うくしかねない問題であることを十分に認識すべきである。
2007年10月に日本通運と日本郵政が包括提携を締結した際、「ペリカン便」と「ゆうパック」の統合は大きな目玉となっていたが、迷走を極めた。実際、JPと日通の宅配便事業統合作業は遅れに遅れ、土壇場で宅配便事業の統合を反故にするという事態になった。この間、翻弄され続けたのは通販事業者等の荷主であり、その顧客だ。
宅配便事業統合を巡る紆余曲折の原因がJPだけにあるとは言えないが、顧客視点に欠くJP側の対応の緩慢さを指摘する関係者の声は少なくない。この構図は、今回の「ゆうパック」遅配問題にも通じるところがあり、問題は根深い。宅配便が通販の重要な構成要素であることを考えれば、JPも真の顧客視点の思想を持たなければならない。
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通販協は変革し市場を導け
多様な事業者で構成される現在の通販市場、通販業界を取りまとめる役割を担う業界団体、日本通信販売協会(JADMA)は先日、新たな会長にファンケル会長の宮島氏を向かえ、同氏を中心に「変革」を表明。通販市場を取り巻く環境や前述したように同市場を構成する事業者の多様化によって、現行の協会の活動では通販事業者のニーズを満たすことができず、事業者にとって加盟するメリットが少なく、結果として業界の取りまとめ役になり得なくなる危機感から、手始めに広告表示に関する関連法の相談対応の強化を進めるなど通販事業者にとって価値のある業界団体となるべく、動き始めた。
こうしたJADMAの変革の動きに通販事業者から歓迎する声が多く出てきている。しかし一方で、「法律相談だけでは全く足りない」「本当に我々のニーズを理解できるのか」というJADMAの変革に対して不安視する声が早くも加盟社、また、今後、加盟しようと考える新規の通販実施企業から多く出てきている。
確かに事業者からこうした声があがるのは理解できる。通販市場は多様な立場の事業者によって構成されている一方、JADMAの中心メンバーはいわゆるカタログ通販企業がメーン。彼らが求める「ニーズ」は必ずしも新規に通販を開始した、例えばネット販売専業社にとって最優先に必要なニーズではないかも知れない。その逆もしかりだ。その際、どのようにそれぞれの「ニーズ」に優先順位をつけながら対策を考え、サポートや情報提供などをどう具現化していくのか。そうした作業は非常な困難が予想されるからだ。
ただし、変革への不安の声はJADMAに期待するからこそ。インフラやデバイスの発達、社会環境の変化で成長し、今後もより一層の拡大が期待される通販市場だが、それだけに一定の秩序は必要である。また、成長市場には必ず行政から厳しい監視の目が向けられ、無用な規制がかけられる可能性もある。通販市場の構成メンバーは多様なのかも知れないが、消費者から、また行政からすれば否が応でも通信販売は通信販売である。それぞれが団結して事に当たらねば、市場の健全さは担保できず、結果的に規制を呼び込み、市場の発展を阻害してしまう。それだけにJADMAの変革には期待したい。事業者の多様なニーズを汲み取り、既存、新規の通販業者にとって加盟に値する必要な団体に変わって欲しい。通販市場のより良いこれからを導くには強い業界団体が必要だ。
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通販協は質を伴う拡大目指せ
宮島新会長の就任に対し期待を寄せる通販関係者は少なくない。というのも年々拡大を続け4兆円規模を超えた通販市場にあって、業界団体としてのJADMAの存在感が薄れていたからだ。実際、この数年は会員企業数が伸び悩んでおり、現状506社に止まっている。この背景には、通販市場拡大のけん引役でもあるネット販売事業者の取りこぼしなどがあると見られるが、一番の問題は、こうした事業者がJADMAへの加盟メリットを感じられないということだろう。
この点については、宮島会長としても危機感を持っており、就任会見で具体的な施策として法律相談と広報機能の強化と、会員のウォンツを吸い上げ、それに則した対応を行っていく意向を表明した。これを足掛かりに会員組織の拡大につなげる考えだが、同時に質を伴った会員組織作りにも目を配る必要もあろう。これは既存会員への対応の部分もあるが、JADMAに加盟していなくてもコンプライアンス意識等の高い事業者についてはフォローを行い、加盟に必要な力をつけさせることも重要ではないか。難しい面はあるだろうが、こうした取り組みを通じ、質の高い会員組織ができれば、JADMAマークに対する消費者の信頼感が高まり、選択の基準にもなる。ひいては通販事業者の間にJADMA加盟を目指すという流れを作ることにもつながるはずだ。
一方、懸念事項として挙げられるのは行政の横槍だ。通販業界が目立てば行政が新たな規制をかけてくることは想像に難くない。その意味では、行政に対し業界としてものを言っていかなければならない場面が出てくるはずだ。この点については、宮島会長自身が消費者庁の検討会委員を務め、対外的に通販業界としての意見を述べることの場数を踏んでいる。行政への対応についても期待したい。
通販は数少ない成長分野で、高齢化社会に対応した販売チャネルとしても有望視されており、参入を目指す企業も未だに後を断たない。インターネットなどの新たなメディアの台頭によるところは大きいが、国内の通販の歴史を振り返っても、恐らく今ほど期待感を持って注目されたことはあまりないだろう。
こうした状況を考えれば、通販業界は今、産業としての地位を確立できるかどうかの潮目にあると言ってもいい。その中でJADMAが果たすべき役割は重要だ。その意味でも、強い会員組織作り上げ、存在感を示していかなければならない。
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TV通販企業は変化に備えよ
今回の放送法改正を前に昨年から総務省の諮問機関である情報通信審議会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」が中心となり、改正案の叩き台が議論されてきた。その中で一つの争点となったのが「通販番組」の法的な定義付けだ。総務省側は通販番組を「広告放送」と分類した上で、放送事業者に対し「番組ごとの種別と放送時間、分類に関する考え方」の公表を求め、ここ数年で増え始めた「通販番組」をけん制したい狙いがあった。
こうした行政サイドの思惑に対して、放送事業者側は「通販番組は生活情報番組であり、広告放送ではない」と改めて主張。仮に通販番組を広告として分類された場合、日本民間放送連盟が定めた自主基準、週単位で18%以下という広告の放送時間に基づき、放送事業者は大幅に番組編成の見直しを迫られる。キー局各社はまだしも地方局やBS局ではテレビ通販事業者への放送枠の販売が大きな収入源となっており、それが断たれる事態となれば事業存続の危機に陥る可能性もあった。
今回の放送法改正案では放送事業者からの反発もあり、結局、「通販番組は広告放送である」という通販番組の法的な位置づけは、改正案には盛り込まれなかった。ただ、「放送番組の種別の公表」の義務付け自体は法案にしっかり明記されている。総務省では「(法律の公布後、)番組種別の基本的な考え方を省令などで定めることも検討する」としており、この公表制度を論拠に将来的に通販番組を「広告」に位置づけることを決して諦めてはいないようだ。
こうした総務省の動きを察し、省令で縛られる前にテレビ局各社は自主的に通販番組の区分を検討しつつ、通販番組の総量規制もまた自主的な基準作りを進めているようだ。キー局関係者によると、テレビ局が自ら手がける通販番組とテレビ通販事業者へ放送枠を販売する通販番組を合わせて、放送量は「週ベースで全体の3割以下」とするなどが話し合われているようだ。
通販番組にせよ、放送内容云々は本来的に行政が介入すべきことでは決してない。ただ、現実問題として今後、通販番組の総量が制限されていく方向性にあるのは確かだ。テレビ通販事業者は現実を見据えてクロスメディアを駆使した通販展開など今後の戦略を考える必要があろう。千変万化の世の中で生き残っていくには、変化適応能力が必要だ。
《通販 2号 02面 15》
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医薬品通販訴訟の行方を注視せよ
対面であれば薬剤師等の専門家が購入者の顔色などを見ることができ安全。これがネットは対面に劣るという司法判断の理由だが、科学的根拠に乏しく、規制導入までの検討過程をみても対面販売の実態等が十分に検証されていないのが実情だ。
実際、2004年に医薬品販売制度見直しの検討が始まって以降、医薬品ネット販売事業者が蚊帳の外に置かれたまま議論が進められ、ネット販売事業者が薬業団体関係者等と同じ議論の席についたのは省令施行間際になって設置された「新医薬品販売制度の円滑施行に関する検討会」からだ。しかも薬業団体等の規制推進派委員が大勢を占める同検討会では、ネット販売の安全性等に踏み込んだ議論は行われず、結局、検討会としての意見がまとめられないまま打ち切られている。
一審判決では、省令施行までの過程に違法性はないとしたが、ネット販売を取り巻く環境が変化する中で、ネット販売事業者抜きで検討作業を進めてきたことに不備があったことは明らかで、混迷を極めた「円滑施行に関する検討会」での規制推進派委員の主張を全面的にトレースしたような司法判断を下したのは拙速だと言わざるを得まい。
そもそも医薬品ネット販売は、従来の医薬品販売制度の中で厚労省が適法と認めていたものであり、離島居住者など医薬品の入手が困難な消費者の利便に供してきただけではなく、中小薬局・薬店等にとっても経営上の重要なツールとして機能してきた。副作用を伴う医薬品の販売では安全性を第1に考えるのは当然だが、十分な検証や議論が行われないまま、"対面の原則"という建前だけで排除するのは行き過ぎだ。既にネット販売が定着している現状を考えれば、より安全な情報提供や販売の手法、制度の確立を目指すのが本来あるべき方向性だろう。
国内市場の縮小が進む中、ネットは経営効率化や生産性向上のツールとしても期待されており、ネット販売専業事業者のほか、GMSなどのリアルの小売業でもネット販売の取り組みを積極化している。そうした中でネットの情報提供は対面に劣るという司法判断が下されたことは、時代の流れに逆行するものとしか言いようがなく、ネットビジネス全体の発展を考える上でも看過できない問題だ。医薬品以外のネット販売・通販事業者も自らの問題と捉え、ケンコーコムおよびウェルネットの控訴審の行方を見守る必要があろう。
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国センは〝存在意義〟考えよ
テスト対象となった商品のメーカーによれば、「テスト時の使用量が推奨しているものよりも少ない」などと調査の方法について、また、「事前に調査したデータと国センから公表されたデータが食い違っている」など疑問の声が挙がっている。これが事実だとすれば問題である。テスト結果が広く報道され、当該商品の信用や売れ行きに大きな影を落とす影響力をよく考え、国センには適正なテストを実施してもらいたい。
これが大前提だが、それよりも大きな問題なのは、「なぜ、当該商品をテストするのか」というテストを実施する基準のあいまいさであろう。繰り返しになるが、国センの商品テストは広く一般紙等で報道され、当該商品の信頼に深い影を落とす。また、テスト対象になった商品はネガティブな結果が公表されることが大半だ。つまり、テスト対象となっただけで、当該商品を販売する事業者やメーカーにとっては大きなダメージとなるわけだ。
それにも関わらず、国センはこれまであまりにも安易に商品テストの対象品を決めてきたと言わざるを得ない。ある商品をテストするか否かは消費者センターに寄せられた苦情件数などから判断する場合が多い。ただ、それもさほど件数が多い訳ではない商品でもなぜかテストに踏みきる場合が多々ある。今回の商品テストでも当該商品に関する相談が04年から約6年間で387件、品質や安全性に関するものが71件。「この相談件数は多いのか」と国センに尋ねると、「多いか少ないかは何とも言えないが一定の相談数が毎年あったため、テストした」となんとも煮え切らない回答だった。
加えて疑問なのは当該商品に関する相談者のうち、80%は訪問販売で購入している。通販は5%、件数では18件だ。にも関わらず、国センは商品テストの際、「ヤフー!ショッピング」や「楽天市場」で購入した10銘柄を対象としている。本来、「相談が多い=問題のある可能性がある」商品に関してテストを行うことが筋であろう。これではテスト自体に何の意味があるのか首を傾げてしまう。「手っ取り早く、調査しやすいものを単純に調査した実績作り」と勘ぐられても仕方あるまい。
折りしも経産省所轄の独立行政法人、製品評価技術基盤機構と商品テスト業務が類似していると指摘を受けて、今回の「事業仕分け第2弾」の対象となっている国セン。「通販いじめ」による点数稼ぎではなく、皆にとって意味のある機関とならねば、ただ、貴重な税金を食い荒らす「無用の長物」だとされてしまう可能性ある。国センは自らの存在意義と真に消費者の役に立つ情報の提供を考え直す必要があるのではないか。
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社説 ネット業者は不当判決許すな
判決文では、医薬品販売における安全性確保の点で、「インターネット販売は対面による販売に及ばず、両社の間には相当の有意な差異があるといわざるを得な い」とし、さらにネット販売事業者が講じる安全性確保策や自主規制案を用いても「この差異を克服し得る方策が示されているとは認めがたい」と明記してい る。
主な理由は、購入者の年齢や性別、顔色、声などを見聞きできる対面販売に対し、ネット販売ではそれが難しい。利用者以外の人が医薬 品を購入する場合、対面販売であれば購入者から情報を聞き取れるが、購入者の自己申告に基づくネット販売では、虚偽の申告を見抜けない。対面販売では、名 札で薬剤師等の有資格者であるかを確認できるが、ネット販売では応対の相手が有資格者であるか確認できないなどだ。しかし対面か否かだけで、ネット販売が 対面販売に劣ると判断するのは早計だろう。問題は形式上の仕組みではなく、適正な運用にあるからだ。
確かに、対面販売では購入者と直接 応対できるメリットはあるが、未だにドラッグストア等の店頭で専門家から商品の説明を受けたことがないという声も聞かれる状況で、現場で情報提供や相談応 需などがどれだけできているのかは疑問と言わざるを得ない。対面であれば名札で有資格者かどうかが分かるという点についても、現場で名札の着用がどれだけ 徹底されているのかは判然としない。判決では形式的な部分だけで、ネット販売が対面販売に劣っているとの判断を下しているが、本質的な安全性確保の実効性 を考えるならば、対面販売の現場の実情も勘案しなければならないはずだ。
一方、判決理由では、将来的に医薬品の副作用や情報通信技術を めぐる事情が変わった場合には、規制内容の見直し行うべきとし、今回の判決が恒久的かつ固定的なものではないと付言を加えているが、どのような条件が揃え ば規制内容の見直しに着手するのかは明確になっていない。対面至上主義の既得権益者が跋扈する医薬品販売の世界で、ネット販売容認の機運が生まれるのか は、不透明と言わざるを得まい。
今回の一審判決は、医薬品ネット販売規制導入までの過程と同様、実態の検証がないまま"ネットは危険"という烙印を押したもので、今後、医薬品以外の分野でも同様の事態が起こる恐れがあることも考えられる。他のネット販売事業者もこの不当判決を看過してはならない。
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健食業者は表示を再点検せよ
このネット広告調査は、「ガン」「糖尿病」「心臓病」といった疾病名使い検索エンジンで無作為に抽出、その中から「健増法」に抵触する恐れのある表示を行うサイトを目視で探すというものだ。調査方法や不適切な表示を行っていた事業者に対する対応などは特に厚労省時代と大きな違いはないが、消費者庁が結果公表を大々的に行ったというのは、従来と異なる点だろう。
以前から、健食の広告表示に対する行政の監視の目は厳しく、東京都など47都道府県が「薬事法」違反事例を共有し、モール運営事業者を通じ、同様の表示を行う出店事業者に注意喚起を促すといった取り組みも行われている。「健増法」に基づく消費者庁の健食ネット広告調査自体は、厚労省時代からの流れを汲むもので目新しいわけではない。だが、何かと注目されている同庁の調査結果公表は少なからずインパクトがあるはずで、健食に対する消費者のイメージダウン、あるいは健食の表示ルールの整備等の議論を進める「健康食品の表示に関する検討会」の審議への影響なども懸念されるところだ。
また、こうした消費者庁の対応変化で、危惧されるのはネット広告の監視や「健増法」の運用強化などだが、この点については既に、同庁では、例年1回だった調査頻度の拡大や、関係省庁と連携した法執行の可能性を示唆している。問題点を指摘されることが多い健食の広告表示は、同庁にとって実績作りの格好の材料とも言え、対応を強化してくるのは必至。健食ネット販売事業者としても、従来以上に広告表示に注意する必要があろう。
今回の調査では、「コエンザイムQ10は心臓病の治療薬として使われてきた」「この水は糖尿病治療に使われていた」「ところてんはガンの治療効果のみならず、発ガン防止効果がある」など、確信犯とも言えそうな広告表示の事例も報告されている。無論、真っ当な健食通販事業者であれば、このようなリスキーなことはしないだろうが、ネット上で確信犯的な不適切広告表示が横行するような状況が続けば、何れ行政側が規制強化に動き出し、真っ当な事業者の事業活動が制約されることにもなりかねない。これは健食ネット販売事業者だけではなく、販売の場を提供するモール運営事業者などにとっても、対岸の火事では済まされない問題だ。
行政側の縛りはさらに強くなると予想される。健食ネット販売業者もそうしたリスクを認識し広告表示の再点検等をする必要があろう。
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仮想モールは責任を自覚せよ
消費者庁の設置等で行政の監視の目が厳しくなっている今、こうした悪質な行為を繰り返す業者を野放しにしておけば、さらなる通販への規制強化は免れまい。早急に業界内で何らかの施策を講じる必要がある。とは言え、そうした業者の行為に歯止めをかけ得る有効な手立てがないのが実情のようだ。出鱈目な表示を繰り返す業者の多くはいわゆるアウトサイダーで日本ジュエリー協会はもちろん、日本通信販売協会など業界団体には所属していない。また、前述した通り、そうした業者は問題が表面化すると社名を変更して逃げてしまう。歯止めを掛けようにもその防波堤となる得るもの自体が存在しないわけだ。
唯一、期待できるのは当該業者が「売り場」としている仮想モールの運営者だ。常識的に考えれば、自らが運営する売り場で出鱈目な表示が繰り返されれば、利用者離れを招く危険性があり、放置できない問題と捉えるはずだ。しかも、出鱈目な表示を行なっている業者は〝ひっそり〟と隠れて販売行為を行なっているのではなく、ジュエリージャンルで売上上位の場合もあるようだ。しかし、JJAが再三に渡って、出鱈目な表示を行う出店店舗に何らかの指導をして欲しい、と某大手モール運営者側に申し入れを行っても、問題があるなら個別に店舗に指摘すれば良い、というスタンスで出鱈目な表示が横行する現状は何ら改善が見られないのが実情のようだ。これは何もジュエリーだけでなく、他の商材でも同様の有様のようだ。
楽天やヤフーなど仮想モール運営者が中心となって、ネット関連事業者の業界団体「eビジネス推進連合会」が2月にも発足する。同団体の大きな目的の1つはネット事業者が大同団結して、近年のネット関連の規制強化に対抗することだ。行政のネットビジネスへの無理解から来る規制に声をあげること自体は大いに賛同する。しかし、皮肉なことにその団体の中心たる仮想モール運営者の仮想モール上で、規制強化のきっかけとなり得る出鱈目な表示が平然と行なわれている。そして一部のモール運営者は何ら手立てを講じない。〝売り逃げ〟を黙認していると捉えられても、文句は言えまい。
無論、企業として営利を追求することは当然だ。しかし、モールの流通総額、出店者数の拡大のためには多少の「表示間違い」には目をつぶるという態度ではとても行政を牽制し得る「圧力団体」とはなり得まい。何かに文句を付ける際には、一層、自らの行動を正すべきであり、責任の重さを自覚すべきだ。
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仮想モールは責任を自覚せよ
消費者庁の設置等で行政の監視の目が厳しくなっている今、こうした悪質な行為を繰り返す業者を野放しにしておけば、さらなる通販への規制強化は免れまい。早急に業界内で何らかの施策を講じる必要がある。とは言え、そうした業者の行為に歯止めをかけ得る有効な手立てがないのが実情のようだ。出鱈目な表示を繰り返す業者の多くはいわゆるアウトサイダーで日本ジュエリー協会はもちろん、日本通信販売協会など業界団体には所属していない。また、前述した通り、そうした業者は問題が表面化すると社名を変更して逃げてしまう。歯止めを掛けようにもその防波堤となる得るもの自体が存在しないわけだ。
唯一、期待できるのは当該業者が「売り場」としている仮想モールの運営者だ。常識的に考えれば、自らが運営する売り場で出鱈目な表示が繰り返されれば、利用者離れを招く危険性があり、放置できない問題と捉えるはずだ。しかも、出鱈目な表示を行なっている業者は〝ひっそり〟と隠れて販売行為を行なっているのではなく、ジュエリージャンルで売上上位の場合もあるようだ。しかし、JJAが再三に渡って、出鱈目な表示を行う出店店舗に何らかの指導をして欲しい、と某大手モール運営者側に申し入れを行っても、問題があるなら個別に店舗に指摘すれば良い、というスタンスで出鱈目な表示が横行する現状は何ら改善が見られないのが実情のようだ。これは何もジュエリーだけでなく、他の商材でも同様の有様のようだ。
楽天やヤフーなど仮想モール運営者が中心となって、ネット関連事業者の業界団体「eビジネス推進連合会」が2月にも発足する。同団体の大きな目的の1つはネット事業者が大同団結して、近年のネット関連の規制強化に対抗することだ。行政のネットビジネスへの無理解から来る規制に声をあげること自体は大いに賛同する。しかし、皮肉なことにその団体の中心たる仮想モール運営者の仮想モール上で、規制強化のきっかけとなり得る出鱈目な表示が平然と行なわれている。そして一部のモール運営者は何ら手立てを講じない。〝売り逃げ〟を黙認していると捉えられても、文句は言えまい。
無論、企業として営利を追求することは当然だ。しかし、モールの流通総額、出店者数の拡大のためには多少の「表示間違い」には目をつぶるという態度ではとても行政を牽制し得る「圧力団体」とはなり得まい。何かに文句を付ける際には、一層、自らの行動を正すべきであり、責任の重さを自覚すべきだ。
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司法は虚構の通販規制許すな
まず、今回の医薬品通販規制で考えなければならないのは、一体誰のための規制なのかということだろう。薬局・薬店等の薬業関係者や厚労省は、薬剤師等の専門家が直接消費者に情報提供を行う"対面の原則"が担保できない通販・ネット販売は危険とし、規制導入を押し切った。いわば消費者保護を名目にしたものだが、そもそも医薬品通販が本当に危険なのかは甚だ疑わしい。
実際、医薬品通販は、これまで厚労省が認めてきたものであり、通販という販売手法に起因した健康被害等の事例も報告されていない。予見的見地から医薬品通販を規制するにしても、どのような形で通販に起因した健康被害等が発生する恐れがあるのかも不明確なままだ。検討会などでは、規制推進派の委員からネット販売を危険視する意見が出されたが、実際の医薬品通販サイトでの安全確保策を十分に検証しているわけでもない。医薬品通販規制を巡っては、法的な規制論拠や検討作業の進め方など、厚労省の対応の問題が数多く指摘されており、十分に議論し尽くさないまま規制が強化されたというのが実情だ。
さらに規制強化後の状況を見ても、ドラッグストア等の店頭で情報提供が十分に行われていないという事例が幾つも報告されている。"対面"でなければ医薬品販売の安全性が確保できないとしておきながら、リアルの売場でペレーションが徹底されていない実態を考えても、"対面"の原則を論拠にネット販売を規制することはおかしいだろう。
果たして、今回の医薬品通販規制は、一体誰のためのものなのか。ネットで扱える医薬品を大幅に制限された販売事業者は日々売り上げが減少し続け、離島居住者や身体障害者などの利便性も損なわれている。規制導入を推進してきたドラッグストア等に恩恵があるようにも見えるが、将来的にネット販売への対応を考えざるを得なくなるのは必至で、その際に医薬品通販規制は足かせになるはずだ。そう考えると、今回の医薬品通販規制は、誰にも実質的なメリットはないと言わざるを得まい。
法的な規制論拠が脆弱で検討作業の進め方に問題があり、現場の混乱も招いている医薬品通販規制は早急に見直す必要がある。ケンコーコム等が訴えた行政訴訟の判決は3月末に下されるが、"対面"の虚構を打ち崩し、真に事業者と消費者のためになる医薬品販売制度作りにつながる司法判断が望まれる。
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〝変化〟に対応した戦略を打て
様々な逆風の中、多くの通販事業者は苦戦を強いられ、業績を落とした。ただし、小売り全般で言えば、ユニクロやニトリ、通販企業でもジャパネットたかたやドクターシーラボ、スタートトゥデイなど厳しい環境の中でも大きく業績を伸ばしている企業も存在している。それらの企業の共通点は「不況」「デフレ」「規制」など「何かのせい」にはせず、戦略はそれぞれ異なるが、巧みに社会の変化を読み、その変化に対応する効果的な戦略を立て、即座にそれらを実行していることだ。
逆に言えば、09年に業績を落とした企業はこうした社会の変化を読み取れず、適切な打ち手を施せなかったことになるわけだ。ただし、昨年の戦略を嘆くのではなく、むしろ活かすべきだろう。ある通販企業の経営者は「今年の不況は経営者としては大変、勉強になった1年だった」と言うが、その通りである。時代に即した「適切な打ち手」などそう容易く打ち出せるものではない。辛酸を舐めた昨年の経験を当面は続くと見られる不況やその先の社会構造の大きな変化に対応するための「教訓」として捉えるべきだ。
恐らく景気の回復はすぐに成るものではなく、今年も暫く景気低迷は続くであろう。また、通販を取り巻く規制はより強化されるかも知れない。通販媒体となるメディアの変化や強力な競合となり得る新規参入事業者も次々に登場してくるであろう。そして、大きな流れとして、少子高齢化により消費者の絶対数は減っていく。こうした社会の変化はいかんともし難い「現実」である。「現実」を前に「言い訳」や「逃げ口上」を述べても何も変わらない。淘汰されるだけであろう。
社会の変化で業績が悪化していくのであれば生き残るために、その変化に合わせて、柔軟にビジネスモデルや戦略を組み替え、その都度、時代に即した成長モデルを模索していくほかない。そして必ず活路が見えてくるはずだ。現在は好調な企業もこの先、未来永劫、保障があるわけではない。時代や社会の変化に合わせて、常に変化し続けることができる通販事業者こそがこの先も生き残っていけるはずだ。先の見せない不況が続く中、始まった2010年だが、通販企業にはそれぞれ時代の変化を読み取り、成長のための戦略を見つけてもらいたい。それこそが通販市場発展につながるはずだ。
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消費者庁は〝本懐〟を果たせ
もはやトクホを含む健食表示制度に抜本的な改革が必要なことは明白だ。トクホの枠拡大や新制度確立など、やり方を選択することはできる。だが、業界サイドのみならず、消費者サイドからもあいまいな表示の制度化に向けた声は高まっている。
全国の消費者組織をまとめる全国消費者団体連絡会(消団連)は第2回会合で「健食全体の表示制度確立」を要望するという。現行の表示制度では「消費者が分からない」というのが理由だ。消団連に限らず、消費者への情報提供が行えない現状は、全国の消費者組織の共通認識でもある。検討会に委員として参加する国民生活センターの宗林さおり氏もその1人。初会合では「現行の表示制度では消費者に分かりづらい」と発言していた。表示の分かりにくさは健食の商品テストでも度々指摘しており、相談現場から消費者の不利益をよく知る人物の意見でもある。
一方で、監視指導体制の強化を望む声が強いのも事実だ。一部の消費者団体は「監視体制さえ充実すればトクホ制度さえ必要ない」という馬鹿げた主張をいまだに展開する。
だが、大局的な視点立つならば、表示適正化が規制の「緩和」と「強化」のいずれかに寄るものでないことは明白だ。表示を行えるよう制度を確立することは即、規制「緩和」に結びつくものではない。専門分野を持つ関係者が適切な表示基準をつくり、これを事業者が遵守する。一方で基準に則り行政が指導を行う。それぞれが役割を果たしてこそ、消費者利益を実現する表示適正化が進むからだ。ぜひ、検討委員には自らが所属する団体の立場を越え、幅広い議論を求めたい。
これを側面から支援するのが消費者庁の果たすべき役割だ。"消費者視点に立つ行政の実現"をめざす理念が本物であるならば、表示制度の確立が不可避であることは誰の目にも明らかだ。"省庁間のすき間事案への対応"を掲げるのであれば、薬事法とのすき間に落ちた健食表示に省庁間の垣根を越え、横断的な対応をするのは本望であるはずだ。今回の検討会で消費者庁は当初に掲げた理念の"真贋"を試されている。
政治もその役割を果たす義務がある。今回の検討会は4カ月という時間的な制約、省庁間の垣根を越えた議論など複数の障害がすでに浮かび上がっている。これを"政治主導"の理念の下で動かせるのが政治であり、民主党にとっても政権交代以来の見せ場となるだろう。結論がトクホ見直しという限定的なものに終われば健食業界の失望だけでなく、消費者の信頼さえ損なうことになる。
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都は責任と影響力を自覚せよ
「東京都食薬eマガジン」は月2回発行のメルマガで、都の食品衛生と薬事衛生の所管部署の報道発表やホームページ更新内容、中央官庁の報道発表などの情報を掲載したもので、健食通販事業者などのメルマガ会員も少なくない。問題の広告は、同メルマガの冒頭に掲載されていたもので、「ポッコリ」「スリム」「パワー」といった文言がコピーに使用されていた。明確に医薬品的な効能効果を謳ってはいないが、広告表示に関わる者であれば、一目で「薬事法」上問題があると察しがつくものだ。メルマガが「薬事法」違反事業者の処分情報などを含み、健康食品通販等の購読会員が少なくないということを考えれば、こうした広告が掲載されていたのがどれだけ異常なことか分かるだろう。
都からすれば、メルマガに掲載する広告は配信の委託事業者が決めているもので、どうしようもなかったという思いもあろう。だが、そうした事情を汲んだとしても、対応はお粗末過ぎる。
本来であれば、自ら問題に気付き必要な対応を講じるべきだが、都が問題を察知したのは、メルマガを見た事業者からの指摘で、薬事監視課に問い合わせた関係者によれば、メルマガを読んでいた担当者すらいなかったという。常日頃、事業者に対して広告の表示に事細かな注文をつけている都が、自ら発行するメルマガの内容をチェックしていないというのはあまりにもおかしい。
その後、メルマガの臨時号を出し、本文以外の、委託事業者が掲載する広告は都と一切関係ないと告知しているが、同様の広告が掲載される恐れが払拭されないという点で、この対応は不十分だ。都のメルマガに掲載された広告表示をお墨付きと受け止めた事業者が法に違反した表示を行うという恐れがあることを考えても、但し書き一本で済む話ではあるまい。都でも、メルマガに広告を掲載しない方向で検討を進めている状況だが、初動が緩慢だったのは明らかだ。
東京都薬事監視課では、メルマガに掲載されたえがおの広告が医薬品的な効能効果を暗示しているとの見方で、熊本県を通じ同社を処分する意向だ。だが、自ら発行するメルマガの不適切な広告表示を見逃した挙句、事業者側の混乱を招いた都の失態は看過できるものではなく、事業者を指導する立場にある責任と影響力に対する自覚の薄さを感じさせる。その意味でも東京都は、今回の問題を重く受け止めるべきだ。
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行政は〝通販いじめ〟を止めよ
ともに表示ミスを犯したメーカーの社名を公表しているが、一方では販売社である百貨店の具体的な社名は伏せ、もう一方では社名が公表されている。公表されたのは大手テレビ通販事業者のQVCジャパンだ。こうしたネガティブな案件で社名が公表されれば、一般紙等で広く報道され、当該企業は企業イメージの低下を招くことは必至だ。加えて、それが業界大手ともなれば、通販業界全体にも悪影響を及ぼしかねない。消費者庁は2つの案件の公表について「消費者への注意喚起」などと説明しているが、ではなぜ、非常に似通ったケースであるにも関わらず、こうした「差」を付けるのか。いかなる理由によるものなのか消費者庁に問いたい。
今回のケースだけでなく、行政による通販への恣意的ともとれる対応は以前からあった。例えば、今夏に公取委から某家電メーカーに下された景品表示法違反による排除命令では、当該メーカーが製造した冷蔵庫が実際には一部にしかリサイクル素材を使用していなかったにも関わらず、すべての製品に使用しているような表現を広告等でしていたとして、家電メーカーのみに行政処分が下っている。しかし、同じく景表法違反とされた数年前の防カビ効果があるという風呂桶や、最近あった消臭効果があるという健康食品のケースではメーカーではなく、当該商品を販売した複数の通販事業者に排除命令が下っている。
販売者が違反を問われるのであれば、先の冷蔵庫の場合、家電量販店も同様に罪を問われるべきであろう。先の消費者庁の社名公表にしても、当該商品を販売していた百貨店を羅列すべきであろう。それが様々な理由をつけて、できないというのならば、通販事業者にも同様の扱いをするべきだ。決して、「ミスを隠せ」というわけではない。ただし、「法の下に平等」であるならば、一方は「売ったもの勝ち」で何ら処分は下されず、もう一方は行政や世間から糾弾されるというのはあまりに不自然ではなかろうか。
特商法改正に伴い、12月から施行された通販事業者に課される「返品ルール」にしても、不自然だ。通販媒体に返品に関する規約を「分かりやすく明示しなければならない」というのは、例えば、百貨店など有店舗の「売り場」で返品について大々的に謳うなどとは考えられないことであろう。同じ小売業であるならば、ルールは平等にすべきだ。カタログ、チラシで証拠が残りやすく処分しやすい点数稼ぎ的な「通販いじめ」は止め、不況の今、国内の有望産業である通販をむしろ育成することこそ、行政の責務ではなかろうか。
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産業沈滞招く法執行は慎め
今回の事件は、今年6月にファミリーマートが独自に行った調査で判明した。これは、度重なる食品偽装表示の問題を受け同社が自主的に行ったもので、おにぎりに使用する鶏肉の部位を変更した際、米飯製造業者がブラジル産の鶏肉に切り替えていたが、この確認を怠っていたことが誤表示の主因だ。ファミリーマートでは、事件発覚直後に農林水産省に事実を報告し商品の販売を中止、さらに自社サイトでも告知を行うなどの措置を講じている。確認を怠り誤表示を行ったという時点でファミリーマートに落ち度があるのは明らかだが、その後は、誤表示による消費者被害を最小限に抑えるための対応を行ったと言っていいだろう。
事業者側が誤表示に関する報告を行政側に行い、顧客への告知や返金・返品を完了した後に「景表法」違反で処分されるという事例は、これまでに幾つもあった。消費者庁がファミリーマート対して行った措置命令も、同様に対応を完了した後に処分を下したものだが、この手法は、公正取引委員会時代から事業者側が違和感を覚えていたものだ。
過去に遡って違反事業者を処分すること自体に問題はないにせよ、消費者被害の抑制に自主的に取り組んだ事業者側とすれば、行政処分という追い討ちをかけられることは相当なダメージになる。行政側では一罰百戒のつもりかも知れない。だが、こうした構図は事業者側の萎縮、或いは誤表示の事実は隠した方が得という歪んだ考え方を招く懸念があり、ひいては消費者被害を拡大させることにもなりかねない。消費者庁も、消費者利益を念頭に置いて法を運用するのなら、この辺りを十分に考える必要があるはずだ。
また、法執行に当たっては、消費者庁設置の検討を進める中で打ち出された、"消費者行政の体制強化は消費活動だけではなく産業活動を活性化するものでなければならない"という原則との整合性も考えなければなるまい。この原則は、消費者利益にかなうことは企業の成長と産業の発展にもつながるというロジックによるものだが、今回のファミリーマートの事件は、3カ月も前の事案で既に商品も販売が中止されている。措置命令を出しても、実質的な消費者の利益にかなうとは考えにくく、消費者庁がわざわざ過去に遡って措置命令を出さなければならない事案だったのかは疑問だ。インパクトのある実績を作ることを急いだと受け止められても仕方ないだろう。
消費者行政の舵取り役である消費者庁にとって、消費活動と産業活動を活性化という原則は順守すべき事項だ。消費者保護を名目にした過度な法執行で事業者を萎縮させ、産業を沈滞させるようなことがあってはならない。
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過度な〝通販規制〟を改めよ
通販事業者にとってみれば、「消費者保護」を声高に謳い、その結果としての過度な規制の弊害で「売りにくくなった」国内市場で試行錯誤するよりも、馬鹿げた規制のない海外に進出するほうがはるかに効率的で将来の展望も描きやすい。実際、国内の通販関連法に嫌気がさしたことを理由に自由な商売ができる海外へと進出する通販企業も多い。無論、日本企業の海外進出は悪いことではない。ただ、行政は国内の通販事業者の海外進出を喜ぶだけではなく、裏にある原因をよく認識すべきだ。
日本には通販を取り巻く規制が諸外国と比べ多すぎる。例えば通販市場をけん引する健康食品や化粧品についても、効果・効能の表記に関しては異常なほど規制を課している。薬事法の「効果・効能を謳えるのは医薬品だけ」という定義を杓子定規に振りかざし、違反する事業者を断罪するが、現実的に健康食品や化粧品を購入する消費者は「何に効くのか」を確認して購入したいわけだ。規制は事業者にとっても消費者にとっても不利益を及ぼしている。
先ごろ、通販での販売が実質禁止された医薬品についても同様だ。近くに薬局がない辟地の消費者、または薬局まで薬を買いにいけない高齢者にとって、医薬品が購入できる通販は便利なツールであった。これを然したる理由がなく、「とにかく通販は危険性がある」として規制したために、事業者および消費者はやはり不利益を蒙ることになったわけだ。
こうした規制は社会ニーズと明らかに乖離しているだけでなく、有望な通販市場の発展を著しく阻害している。一方で海外諸国は日本ほど過度な規制はない。無論、一定の制限はあるが、広告の表現についても比較的自由であり、また、日本のように医薬品の通販に規制を課しているような国もまた少ない。
なぜに日本だけ特殊な環境下で商売を行なわなければならないのか。このままでは国内の有力な通販事業者は今後、海外に軸足を置くことになるだろう。当然、国内の事業者がそっぽを向くようなマーケットに海外の企業が興味を持つはずはない。そうして国内外の有力事業者から見捨てられた市場の行く末に明るい未来はなかろう。
社会ニーズの変化を考えずに省益のためだけに通販に勝手な規制をかけてきた官僚による通販に対する縛りは、政権が変わった今こそ、見直すいい機会ではないだろうか。有望な国内産業の1つである通販市場の疲弊を招きかねない過度な規制の再考を新政権には強く期待したい。
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社説・ネットの安全は最優先事項だ
通販実施企業の顧客情報の漏えいが相次いでいる。7月には通販保険大手のアリコが、先月は大手芸能事務所のアミューズの通販サイトから、今月も三菱商事の通販子会社であるデジタルダイレクトの通販サイトからもクレジットカード情報を含む顧客情報の漏えいが発覚。情報漏えいが発覚した企業はその都度、「再発防止に向け、対策を徹底したい」などと繰り返すが、カードの不正利用などの実害が出ていることは無論のこと、知名度の高い企業からの相次ぐ顧客情報の漏えいだけに、消費者の通販に対する信頼を大きく毀損する可能性が高い。当該企業は自社だけの問題と捉えるのではなく、通販業界の今後の浮沈を左右しかねない事態に陥らせてしまったことを認識して、猛省すべきであろう。
しかし、一方で腑に落ちないのは、なぜ、通販企業からの顧客情報の漏えいが絶えないのかということ。内部犯行の可能性が高いアリコのケースは別として、アミューズやデジタルダイレクトの顧客情報漏えいの原因は運営する通販サイトが海外から不正アクセスを受け、情報を盗み取られるというものだ。同手法による顧客情報の漏えい事件はここ数年で急増しており、その危険性は当の通販企業も認識しているはずで、事前に対策は施せたはずである。それにも関わらず、同じ手法で個人情報が漏えいしてしまっている事態は消費者から怠慢と非難されても仕方あるまい。
通販サイトの安全対策の遅れは、資金面や手間、そして「うちだけは大丈夫」という根拠不明の思い込みがあるようだ。確かに万全なセキュリティ対策を施そうとすれば、少なくないコストを投じる必要があろう。また、以前から通販サイトを構える企業の場合、開発時にぜい弱なウェブアプリケーションを使用していることが多いため、対策を講じるためには、あらゆる箇所をチェックする必要があるなど、膨大な手間がかかることは言うまでもないであろう。
しかし、これだけ通販サイトの顧客情報漏えい事件が多発している状況にあって、対策にかかる多額のコストや手間を前に、労を惜しみ、「今までも問題なかったから大丈夫」などと楽観している場合ではあるまい。今やセキュリティ対策の甘い通販サイトは悪質な海外のハッカーから、狙い打ちにされており、いつ顧客情報が盗み取られてもおかしくはない。「対岸の火事」と問題視していないと、近いうちに手痛いしっぺ返しを喰うことになりかねない。
一旦、事が公になれば、渋っていたセキュリティ対策費は無論のこと、顧客への説明や対応、そして売り上げを支えてくれた既存顧客の信用を一気に失うことになる。また、個人情報が流出した通販企業で商品を購入しようと思う消費者はまずいなくなる。つまり、未来の顧客をも失うことになり、それこそ、関連するコストや損失は事業基盤を揺るがすほど甚大な額となるだろう。
使い勝手の改善や集客策、販促策など通販サイトにはいくらでもやらねばならない事項がある。しかし、安全対策はそれらの優先事項を上回る最優先事項と認識しなければならない時期に来ている。
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ネット政策は啓蒙視点が重要だ
自由民主党および民主党が両党に対し、楽天などネット販売事業者60社が8月10日に提出したネットビジネスの振興策に関する質問状の回答が各政党から出された。質問状では、内需拡大や中小企業活性化策等としてのネットの位置付けや振興策、規制等をゼロベースで見直すことに対する考え方など6項目に関して質問したものだが、実態を踏まえた施策という点で見ると、民主党の回答がより踏み込んだ考えを示している。
少子高齢化の進展で国内マーケットが縮小していくことを考えた場合、国内産業は経営の効率化と新たな市場の開拓が必要になる。そのための有力なツールがネットであることは明らかだ。小売業に関して言えば、小さな投資負担で時間や地理的な制約をクリアできネット販売は中小小売業に有効な活性化策であり、生産性の向上にもつながる。既に、有力総合通販企業がカタログからネットへのシフトに取り組んでいるが、根本的な狙いは経営の効率化だ。
こうした点を考えれば、物販を中心としたネットビジネスの振興は政策上の重要テーマで、本来であれば自民・民主両党のマニフェストにも盛り込まれているべき事項だが、明確に触れられていない。その意味で楽天等が提出した質問状は、ネットに対する両党の基本的なスタンスを引き出した点で意味があろう。
質問状への回答では、自民・民主とも、ネット販売をはじめとするeビジネスが成長政策上重要と位置付け振興策を講じる考えを示しているが、自民党が既存の計画や枠組みをベースに政策や制度設計の考え方を示しているのに対し、民主党では、ネットの特性や実態、規制による弊害も勘案した考えを示すなど、政策の進め方で違いが見られる。
これは、政権を担ってきた与党と政権奪取を狙う野党の立場の違いを反映したものとも言えるが、その中で目を引くのは、民主党がネットに関連した制度設計に関して、過度な規制に依存するのではなく、ネットユーザーのモラル啓発やリテラシー向上をベースにする方向性を打ち出していることだ。
昨今、消費者保護を名目に行政が様々な形で産業に介入しようとする動きが目立つが、規制一本槍の施策は事業者を萎縮させ、産業の発展の足枷になる。その意味では、消費者への啓蒙を図り、自ら身を守る術を身につけさせることも重要だ。ネットを成長政策上の重要な要素として振興を図る以上、消費者のリテラシーを高めるという視点は欠かせないものだろう。
医薬品のネット販売では、安全性確保策等を十分に検討しないまま、"ネットは危険"という漠然としたイメージ先行で規制が強化され、消費者や医薬品ネット販売事業者がいわれのない不利益を被る結果を生んでいる。これはネットの実情から目を背けたものであり、他のネット販売分野でも同様のことが起きれば、ネットを軸にした成長政策など望めるはずもない。
政権政党は8月末の衆院選で決まるが、今回質問状に回答した自民・民主各党がネットの実のあるネット振興策を実行できるか、ネット販売事業者は注視する必要がある。
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