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国交省の総合物流大綱、EC市場拡大見据えた内容を

 ヤマト運輸が4月24日から当日の再配達依頼の締め切り時間を変更した。テレビや一般紙でも、その話題が大きく取り上げられた。これまでの顧客志向のサービスのレベルが引き下げられることや、一方で再配達削減に向けた宅配ロッカー・ボックスの取り組みが活発になっていることなどが報道され、広く一般に関心が持たれる話題となっている。

 ヤマト運輸が人手不足などに伴い従業員の労働環境の改善に取り組む意向を示したことに端を発し、宅配便や物流が大きくクローズアップされるようになっている。人手不足はネット販売の拡大が大きな要因とされ、多頻度小口の荷物が大幅に増え、便利な宅配便サービスが今まで通り提供できなくなる可能性もあることから、消費者へも大きく影響する問題と捉えられている。

 トラックドライバーの人材不足は以前から懸念されていた。ドライバーの高齢化、そして若者の自動車離れなどに伴うドライバーのなり手の不足について、国土交通省などの会合で課題として取り上げることが多々あった。

 その流れから、一昨年には国交省が再配達削減に向け検討会を立ち上げ、再配達削減のための方策をまとめた。宅配ロッカーや顧客とのコミュニケーションの頻度を多くすることなどで再配達を回避していこうとの内容。しかし、宅配ロッカーは既に本格的な設置が始まって1年近くになるが、設置数もまだ十分と言えず、また宅配便1社だけでなく複数の宅配便会社の荷物が受け取れるオープン化の進展が遅れている。

 その一方でネット販売の市場拡大は一層拡大を続けている。経済産業省が発表した2016年の日本国内におけるBtoCのネット販売の市場規模は、15兆1000億円で前年と比べ9・9%増加している。市場規模が1割増えていることから、その商品を届けるための宅配便も同様に増加していることだろう。

 7月に策定を予定している2017~20年度に適用する物流施策「総合物流大綱」では、人手不足やネット販売の拡大などを要因として物流が麻痺しかねない状況を重要課題のひとつとして掲げ、物流の維持と確保を大きなテーマとしている。大綱の内容を討議する有識者検討会では、宅配便が国民の"ライフライン"との表現が頻繁に使われており、その表現を大綱の要所に加えるべきとの意見も聞かれた。

 ただし、総合物流大綱は宅配便という物流の一部に対する施策を取り決めるものでなく、より広い物流全体の今後の物流施策の提言のため消極的だ。経産省調査による16年のEC化率は5・43%(前年比0・68ポイント増)と高まり、小売や商取引で重要なものとなっている。20年度までの4年間の施策を取り上げる大綱であるなら、今後のネット販売市場を見据えた施策にも重点を置くべきだろう。宅配便のドライバー不足への対処はもちろん、物流センターで庫内作業する人材の不足にも対応しネット販売市場を後押しする内容を盛り込んでもらいたい。

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