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市場縮小招く過剰規制に反対

 機能性表示食品制度の施行以降、消費者庁が大ナタを振るっている。健康増進法ではトクホに対する初勧告や取り消し処分、景表法でもトクホやアイケア関連の健康食品に初の処分が行われた。確かに健食の"表示解禁"は監視強化と両輪で進めるべき面もある。だが、新制度は導入わずか2年。ヒット商品も少なく、市場の評価は定まっていない。成長戦略としての側面を軽視して規制強化が先行すれば、逆に市場の縮小を招く。

 ライオンのトクホに関する健増法の「勧告」は業界に衝撃を与えた。国の許可を得たトクホですら例外ではなくなったからだ。

 日本サプリメントは、健増法に基づきトクホの取り消しを受けた。大きく報道され、社会的制裁を受けた。事業の存続すら危ぶまれる状況。だが、消費者庁は容赦なく景表法による処分で追い打ちをかけた。課徴金命令が科される可能性もある。

 健食に対する景表法の処分といえばダイエットが中心だった。だが、最近では、初めてアイケア関連の健食に適用された。機能性表示食品制度の導入を受け、今後は、目や関節に対する機能をうたう健食に対する監視も強まってくるだろう。

 景表法は14年末、都道府県にも措置権限が与えられ、国は昨年、課徴金制度を導入した。一方の健増法は、第4次一括法の施行とともに、執行権限が地方自治体に移譲された。保健所が新たな規制当局として台頭し、監視の網は広がっている。それぞれ運用が一段格上げになった形だ。

 ただ、トクホに対する「勧告」には、過剰規制との声がある。法律上の建てつけは、あくまで"行政指導"であるにもかかわらず、社名は公表され、社会的制裁効果はかつての景表法と変わらないためだ。そもそも国が許可したものでもある。

 保健所による健増法の運用も明らかにバラつきがある。都内をみても大手代理店や民放キー局が集中する「港区」の運用が群を抜く。管内の事業者に対する指導が基本であるためだが、不公平感が強い。

 莫とした"健康イメージ"を前に改善を求める指摘にとまどう事業者も多い。健増法の誇大表示の禁止規定は、「著しい誤認」を排除するもの。消費者庁は「著しい」の意味を説明するが、各自治体の担当者で認識は一致していないのではないか。「指導」は「処分」より"運用の壁"が低い。裁量の入り込む余地も大きい。早急な是正が必要だ。

 事業者も認識を改める必要はある。景表法は、その目的がかつての「公正競争の阻害」から「消費者の商品選択の阻害」を排除するものに変わった。規制緩和で新制度ができ、健食市場は「調整期」に入った。これまで通りの表現が通用しないことは認識する必要がある。

 ただ、消費者庁の役割はなにも執行だけではない。新制度を中心に消費者教育を進める役割もある。消費者教育がままならない中で国民の健康に対応する各制度が乱立し、その違いを認識する消費者は少ない。インパクトの強い処分など規制強化が続けば、新制度の成否にも悪影響を及ぼしかねない。慎重な法運用が求められる。

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