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通販各社は物流リスクに備えよ

ネット販売チャネルを中心に通販市場の拡大が続く中、ドライバー不足や宅配の再配達問題など、通販とは切っても切れない物流業界の課題が顕在化している。ここにきて、とくに一都三県を中心に大型物流センターの需給バランスもタイトになっているようだが、物流面の安定なくして通販市場の成長は成り立たないだけに、通販企業はこれまで以上に物流関連の動向に注視する必要がありそうだ。

 国土交通省は今年6月、通販の荷物を中心とした宅配便の取扱個数の増加とともに、受取人不在などによる再配達が全体の20%近くに上っていることを問題視して「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」の第一回会合を開催し、通販企業や宅配事業者などの関係業界が連携して再配達の削減に取り組むことが確認された。その後、楽天とヤマトホールディングが連携し、今夏から楽天市場で注文した商品をファミリーマートやサークルKサンクスなど、ヤマト運輸と契約した全国約2万店のコンビニで受け取れるサービスがスタートするなど具体的な動きが出てきており、他の大手通販も当事者意識を持つべきであろう。

 一方で、総合不動産サービスを手がけるジョーンズラングラサールが6月にまとめた物流施設の需要予測レポートによると、ネット販売市場の拡大によって2020年までに国内で約660万平方メートルの物流施設がネット販売事業者用に必要とする。とくに、即日・当日配送といったクイックデリバリーのニーズの高まりから1都3県を中心とする関東では年間約50万平方メートルが必要と試算している。これに対し、関東における過去10年の大型先進物流施設の平均年間供給量は約58万平方メートルで、20年までこの水準が続くと供給の大半はEC市場に吸収されて全体の需給がひっ迫し、賃料上昇の要因になると指摘する。

 開発業者側も、需要拡大をにらんで外資を中心とした物流施設開発企業に加え、最近では住宅・建設大手や不動産大手なども大型倉庫の開発・運営に力を入れてきている。とは言え、大手のネット販売事業者は大量の商品をストックできる大型で近代的な物流施設を求めるケースが多く、また、効率化の観点から小中規模の倉庫から出て大型拠点に集約する事例も増えており、とくに好立地の東京23区や神奈川東部、埼玉南部、東京湾岸は開発適地が不足しているようだ。

 こうした情勢下、既存施設を有効利用する動きもある。日本郵便は各地の郵便局の空きスペースや、郵便局ネットワークの再編に伴う新築で倉庫スペースの拡大を進める計画で、今年5月に完成した埼玉県内の東京北部郵便局は約8000平方メートルの倉庫スペースを設けているほか、今後2~3年をかけて全国で延床面積4万平方メートルまで増やして通販企業を支援できる体制を目指している。

 通販企業にとっては配送面だけでなく、好立地な物流拠点の確保や賃料の動向などは事業を拡大する上での重要項目になってくるだけに、従来以上に物流のリスクを意識した戦略立案が必要になってきそうだ。

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