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過度な自動化に不安

 先日、自動化されたEC倉庫を訪れた。広い倉庫内は一部を除きほぼ無人で、巨大なアームロボットやコンベアーが淡々と正確に作業をこなしていた。

 今は物流以外の現場でも機械やAIによる自動化・省人化が進み、ミスや人件費の削減、人手不足の解消を図っている。しかし、気になるのは人の働く場所が次々と無くなっていること。機械に仕事を追われた人が増えれば、当然、消費者の絶対数は減っていく。前述のEC倉庫でも、以前まで働いていた人達がどこに消えたのかその行方は語られていない。

 行き過ぎた自動化は経済活動自体も縮小させてしまう。長い目で見れば、多少の無駄や周り道も容認できるようなゆとりのある環境も必要だ。

デフレ優等生の今

 デフレの勝ち組だった「しまむら」が苦戦している。従来は郊外店にこだわってきたが、出店が一巡したこともあり、最近は都市部への出店を加速したことから自社競合も生じているようだ。

 また、商品政策や値下げ戦略の失敗に加え、今夏は台風や地震、猛暑の影響が重なって外出を控えた消費者も多く、通販に消費者が流れたと見る。あるサンプル店舗の8月の正午から午後4時までの来店客数が前年比で半減し、売り上げに響いたという。

 ECはゾゾに出店したばかりだが、低価格化が進むゾゾ内にも競合は多い。しまむらの強みだった「宝探し感」の要素をメルカリに求める消費者もいるようで、復活の道のりは簡単ではなさそうだ。

孤独なEC担当者

 「もう売り上げ伸ばさなくていいんじゃない」。あるEC担当者がかつていた会社の人間に言われた台詞だ。EC事業が好調に推移したことで逆に店舗の伸び悩みが目立った時に、店舗担当者が述べたのだという。「EC界隈ではよくある話」と先のEC担当者。

 店舗を持つ場合、ECはややもすれば肩身が狭い。成長を遂げたにも関わらず功績が正当に評価されないというケースも耳にする。そうなるとEC担当者は孤独になる。場合によっては「メンタル的に追い込まれることもある」と某ECマーケターも漏らす。

 企業がEC事業を拡大させるためには、その舵をとる担当者を孤立させず、正しく評価し、しっかりとケアすることが大事だろう。

有名企業の買収

 旧聞となるが、ベビー用品や家具・雑貨などの通販サイトを運営するライフイット(旧桃源郷)が8月にティーライフに買収された。桃源郷といえば、かつてはネット販売における成功企業の代表格として、創業者がメディアなどで取り上げられる機会も多かった。

 こうした買収事案は近年相次いでいるが、今年に入ってからも、やはりネット販売黎明期の著名企業であるミネルヴァ・ホールディングス(現ナチュラム)がスクロールに買収されている。

 競争が激化する中で、昨今の送料問題が中小のネット販売企業にとって大きな痛手となっていることは想像に難くない。大手企業の傘下に入る有名ネット販売企業は今後も増えそうだ。

注目集まる中間拠点

 事業用不動産サービスのCBREが8月末に発表した特別レポートによると、東京23区で小規模倉庫の需要が高まっているという。通販はじめコンビニやミニースーパーが配送の中間拠点として着目しているためだ。

 通販ではスピード配送拠点として、小型店舗ではスペースが手狭で在庫が限定されてしまうので多頻度の配送を行う拠点として活用されるようだ。

 中間拠点は多頻度小口配送が通販向け、店舗向けの双方で増えていることで需要が伸び、そして狭いエリアでの輸送を効率化することにもなると言われている。これら配送をひとまとめにして増え続ける宅配便の配送や受け取りをスムーズに提供することはできないだろうか。

新規客の流入経路

 先日、家をリフォームする知人が電気のスイッチをどうするか悩んでいた。と、おもむろにスマホを取り出し、インスタグラムを立ち上げた。やや考えてから検索窓に「スイッチカバー」と打ち込むと、さまざまなスイッチ類が画面上に並んだ。

 その中から気に入ったアイテムをタップすると、アカウント運営者はネットショップもやっているようで、URLが記載されている。つまりそのまま商品購入までできるのだ。画面を操作していた知人は「便利だなあ」とつぶやいた。

 インスタが新規客の流入経路になっている現状を見せつけられた。単なる画像共有アプリとあなどらず、新たな顧客向けのタッチポイントとしてうまく活用してもらいたい。

日当たりと高いカメラ

 「インスタグラム」に日々、フォトジェニックな商品の写真を掲載し、多くのフォロワーから支持を受けるあるEC事業者は「インスタ映え」する写真を撮るコツを「必要なのは日当たりのよいオフィスといいカメラを用意する」ことだと話す。

 ほぼオフィス内で行う撮影の際、照明機器は使用せず、自然光のみ。カメラは30万円以上はするものを必ず使うという。「自然光で高いカメラを使えばオートで誰でもよい写真が撮れる」とのこと。従って日当たりのよい場所にオフィスを構えることと性能のよいカメラを買うことには出し惜しみしないという。金をかけるべき点の見極めと惜しみない投資。単純なようだがそれができるか否かが成否を分ける。

"体験"がヒントに

 「自分たちが使ってみてどうかが重要」。通販事業で寝具を扱う担当者はこう話す。自社商品を購入し素材の感触や寝心地を自らチェックするのだという。

 寝具は買い替え時期が数年後と消費サイクルが長い。価格やスペックで比較されやすい課題もある。このため、顧客の育成には、他の商品との違いの実感が重要だと指摘する。

 自社商品を自ら購入して商品開発に活かすケースは多いが、近年、その重要性が増している気がする。というのも、"顧客体験"や"コト消費"が注目されるようになったためだ。

 一方で商品訴求は、いまだにコピーや機能性、価格で行われがち。自ら体験することで、見えるヒントがあるのかもしれない。

ツイッターの名物キャラが文学賞

 先日、ネットニュースを見ていたところ「カタログ通販会社に勤める40歳が、松本清張賞を受賞するまで」という見出しの記事が目に留まった。今年の同賞受賞作である『天地に燦たり』という歴史小説の著者である川越宗一氏が、カタログ通販会社に勤務しているということであった。

 こうなると、どんな経歴の人なのかが気になるのが人情。グーグルで検索したところ、出てきたのが「SSプランニング」という会社のページ。代表はニッセンホールディングスの元社長である佐村信哉氏。佐村氏のつづるブログが検索結果として出てきたのだ。

 7月30日付の「未来の大先生」という川越氏の受賞に触れた記事によると、川越氏はニッセンの現社員であり、「確か初めはパートとして入ってきた」(佐村氏)。佐村氏によれば「はっきり言って『仕事には向かないなあ。』と言う印象」だったとか。

 それが変わったのが「ニッセンのスミス」という名前でキャラクターを演じ、情報発信をする担当になってから。ユーザーからの人気を集めたことが評価され、面接を経て社員に登用されたのだという。

 スミスさんはニッセン公式ツイッターの人気キャラクターとして有名だけに驚いた。当然、私的な話だけに受賞をアピールしていることはないが、氏の軽妙なツイートにはいつも楽しませてもらっているだけに、この場を借りて祝意を表したい。

見当違いの要請

 食の安全・監視市民委員会という消費者団体が健食を販売する3社と東京都、消費者庁に申し入れした。表示が薬機法などに違反するという。

 ただ、健食と機能性表示食品を勘違いするなど一部指摘は当を得ず、見当違いの行政担当部署に要請している。確認すればすぐに分かる程度の話。それでいて、8月末までに回答を求め、その内容を公開すると一方的に通達している。他の業務を差し置いて振り回される企業、行政はたまったものではない。

 消費者団体の権限強化も進み、健食監視の目は増えた。ただ、不見識が露呈しては信用を失う。手弁当で活動する姿勢は立派だが、何でも消費者目線を建前に騒ぎ立て、公開すればよいものでもない。


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