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運賃アップの波紋

 宅配大手の運賃値上げが波紋を呼んでいる。ある通販企業の場合、全体の半分近くをヤマト運輸に頼んでいるが、値上げになるため頭を抱えている。

 「こんなことじゃ、年末年始にかけてつぶれる通販企業も出るんじゃないか」と担当者は危惧する。その企業は対策として送料を値上げするか、現行の配送サービスの維持を目指しているアマゾンに荷物を振り分けるかで悩んでいるという。

 運賃上昇分を送料などの価格に転嫁すると、収益低下につながりかねない。それを防ごうとアマゾンに鞍替えする動きが加速すると、他の仮想モールにとっては痛手。年末商戦に向け通販各社だけでなく、モール側にとっても一つの正念場になるかもしれない。

2度の値上げ要請

 宅配便の値上げ交渉が通販企業と宅配便業者との間で行われているが、ある企業は3月に値上げに応じていた。それなのに2カ月後、再び値上げ要請を受けたという。

 担当者は短期間での2度にわたる値上げに呆れるとともに、宅配便業者の不誠実さに憤っていた。1度目の値上げした料金で暫くは引き受けるとの約束を反故にしたからだ。その宅配便業者の営業担当は過去にも1度決めた事項に関して、「言っていない」の一点張りで交渉を有利に進めようとすることが多々あったという。

 それなりに理由があり再度の値上げを行わなければならないかもしれない。たが、信頼関係がなければ商談は成り立たず、値上げどころの話ではない。

送料負担は社会的コスト?

運送会社の荷主に対する配送費値上げの要請が本格化している。配送員の労働環境に根ざす理由で世論も同調しており"社会コスト"として顧客に転嫁できると判断し、早々に送料値上げを表明する通販企業も出てきた。

 だが、「社会的コストとして全体で負担」という風潮は皮肉にも送料値上げのトリガーとなったアマゾンが壊すかもしれない。実際、通販各社が当日配送中止や送料値上げに進む中でも配送会社の変更等でサービスを維持しようという動きを見せており、送料を値上げしない可能性も高い。

 "アマゾンのせい"で配送費増を「社会コスト」として処理できなかった場合どうすべきか。その対応が今後の浮沈を分ける分岐点になるかも知れない。

「職権探知」減少の背景

  景品表示法の調査は、行政職員の「職権探知」か、外部からの「通報」で始まる。通報は増加傾向。一方で職権探知はここ数年、年120~150件で推移していたものが16年度は45件と大幅に減った。

 消費者庁は「執行体制に変化はない」と話す。ただ、背景には景表法が消費者庁に移管され、公正競争の維持を目的にした競争法から"消費者法"に変わったことが影響しているのではないか。

 ある行政職員は、通報すると第一声「消費者から指摘はあるか、と聞かれる」と話す。確かに法律に精通した職員であれば消費者が見逃す違法性に気づくが、誤認の程度ははかれない。消費者視点、実態を重視する。職権探知の減少もそのあたりが背景にあるか。

「玄関配達」の利便性

 先日、海外通販を利用したのだが、配達業者であるUPSの不在票がポストに入っていた。UPSは配達時間の細かい指定ができず、平日夜間や土日に配達してもらいたい場合は、業者をヤマト運輸に変更する必要があるので、普段のきめ細やかなサービスに慣れていると不便に感じてしまうのだが、「不在時に玄関先や駐車場など、指定した場所に荷物を置いてもらう」ことが可能だ。

 不在票の裏に署名し、玄関に貼っておけば配達員が指定場所に荷物を置いてくれる。トラッキング番号で配達時間は確認可能だ。もちろんリスクはあるが、便利に感じる人は意外に多いのでは。日本の配達業者も同様のサービスを検討してもいいのではないか。

シニア層との接点

所有することを重視する「モノ消費」ではなく、趣味や体験型のサービスなどにお金を使う「コト消費」が注目されるようになって久しい。旅先では外国人に負けず劣らず元気なお年寄りの姿も目立つ。

 最近ではクルーズ旅行がブームのようで、昨年、オットージャパンが創立30周年を記念して豪華客船の旅に10組20人を招待するキャンペーンを実施したところ、2万人弱の応募があったという。

 通販実施企業として、外出する機会が減った高齢者や買い物難民に商品を届けることは社会的役割としてもちろん大事だが、コト消費に積極的なアクティブシニア層は顧客生涯価値やくちコミ効果の観点からも、しっかりとり込みたいところだ。

信頼関係が不可欠

 「ヤマトへの依存が高いが今後の対応は」、「送料などの課題をどう改善するか」。オイシックスの株主総会で、個人株主から配送に関する質問が目立った。

 配送は事業者にとって重要な経営課題。昨今、配送料金値上げの問題が大きく取り上げられ、関心が低かった消費者も重要視する。

 ある通販会社のトップは「顧客と事業者、顧客と配送員の信頼関係を構築できれば配送コストは下がる」と指摘する。再配達や強引な要望が減り、配送員の労働環境の改善になるという。

 顧客の手元に商品がスムーズに届けば満足度が高まり、委託元の通販事業者へのロイヤリティ向上も期待できる。配送の課題解決には3者の信頼関係が欠かせないようだ。

アマゾンがヤバイ

 米国で毎年この時期に世界最大のネットショップの展示会「IRCE」が開催される。今年も6月上旬にシカゴであったのだが、参加したECコンサルタントによると、「アマゾンがヤバイ」という。

 「ヤバイ」の根拠に挙げたのがこんな数字。「2016年における米国EC売上高の40%をアマゾンが占めている」「米国世帯の49%がプライム会員」「買い物の検索でアマゾンはグーグルの3倍利用されている」などなど。

 その影で閉店する実店舗は増え、オムニチャネル化を進めた大手小売りのECは伸び悩んでいる。この潮流は他人事ではない。アマゾンに頼って商品を供給するのか、それとも戦うのか。日本でもこうした見極めが必要になりそうだ。

普段使いの提案を

 切り花や鉢物などが主力の「花き」業界。近年はネットで花を注文する消費者が増えてきているものの、若者を中心に花を贈る習慣が減っていることもあり、花き業界全体の市場は縮小している。

 何年か前にはサントリーホールディングスが青いバラの商品化に成功して話題となったり、バレンタインデーに男性から女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」を業界団体が仕掛けているものの、需要を押し上げるまでには至っていない。

 仏壇や床の間といった花を生ける場所自体が少なくなるなど逆風は吹いているが、ストレス社会に花の持つ癒しを求める人は少なくないはずで、イベントではなく日常的に花を楽しめるような提案があっても良さそうだ。

人材不足にあえぐ輸送業界

 輸送業界の人手不足が深刻化している。長距離ドライバーの高齢化やネット販売市場の拡大で宅配便の配達が追い付かないといった問題を引き起こしているが、ヤマト運輸の運賃値上げはまさに人手不足が大きな要因で、通販業界にとっても影を落としている。

 人手不足は今後、一層進展していくことになるが、その課題解決に向けては多様な取り組みが行われるようになっている。そのひとつとも言えるのがヤマト運輸とDeNAが4月17日から藤沢市で自動運転技術を活用する宅配便のオンデマンド配送などの実証事業「ロボネコヤマト」。

 宅配便のドライバーは重量のある商品を運んだり、一定以上の運転技術も求められたりするが、実証段階の同事業は性別や年齢層に関わりなく幅広い人が自動運転の支援もあって担当できるという。将来、無人化での事業が実現できることになればドライバー不足への対応策となり得るだろう。

 今回の実証実験は住民が多い地域での実施ということで、宅配便の配送先が多いエリアを想定している。また過疎地のように現状でもドライバーの担い手がいない地域においても宅配便の配達を無人で行えるようになるだろう。

 一方、受取側が都合の良い時間に受け取れるオンデマンドは再配達の解消にも寄与する。今回の実証実験で成果を上げ、早期に実用化できることを望みたい。

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