Column
消費者庁は体制整備を急げ
- 2010年9月 5日 20:17
- 社説
この9月1日で消費者庁設置から1年が経過した。消費者行政の「司令塔」の役割を担うべく、福田康夫元首相の肝いりで設置されたものだが、この1年間の取り組みについて、対応の遅れなどを指摘する声が少なくない。各省庁からの寄り合い所帯で、情報の収集体制や指示命令系統などが一変したということを考慮すれば、当初からある程度予想されたことだが、事前の準備が不足していた観は否めない。その意味では、消費者行政を適切に遂行するための体制整備が先決だろう。
しかし、このところの消費者庁の動きを見ると、消費者保護を名目にした新たな規制導入を検討する傾向が強まっている。無論、確信犯的な悪質事業者から消費者を守ることは必要だが、通販等の事業者にとって問題なのは、消費者代表を自負する消費者団体等の委員の意見に流された議論が進んでいることだ。
端的な例は、「健康食品の表示に関する検討会」だろう。同検討会では、消費者団体等の委員の意見に押し込まれる形で結論が表示・広告など規制強化の方向に傾いた。さらに同検討会で象徴的だったのは、消費者庁自らが「消費者の立場に立つため、従来産業振興を担ってきた省庁と一線を画し、規制が中心になる」と発言したことだ。消費者庁設置後初の検討会で、"規制中心"の意向を示したということは、それ以降の検討会でも同様のスタンスで協議が進められることを意味する。
これは、消費者庁が8月18日に立ち上げた「インターネット消費者取引研究会」にも同様のことが言える。ワンクリック請求など、ネットの特性を悪用した違法行為を行う事業者を排除するという同検討会の目的は、理解できる。だが、検討作業を進める中で、消費者団体等の委員の意見に偏重した議論になる可能性が高く、一部の確信的な悪質事業者、あるいは特異な事例を引き合いに出し、一緒くたに規制を掛けるような流れになりかねないのが実情だ。仮に、そうした規制の方向に進めば、産業として数少ない成長分野であるネット販売市場の発展の足かせにもなりかねない。これは通販事業者としても看過できない問題だ。
このほかにも「集団的消費者被害救済制度研究会」が、民事訴訟での救済が難しい小額かつ多人数の消費者被害等の救済策について、集合訴訟制度等を盛り込む案をまとめたが、実際の運用を考えると、消費者被害救済の名目で濫訴を招く恐れがあるなど問題も少なくない。今後、消費者委員会で具体的な制度の検討を行うことになるが、運用面も勘案した慎重な議論が求められよう。
消費者保護を名目にした規制の検討を進める消費者庁だが、設立から1年が経過しても見えてこないものがある。消費者に身を守る術を持たせる上で重要な消費者教育の取り組みだ。これについては、消費生活センターの人員体制整備や広報の問題などもあるようだが、消費者行政の両輪となる消費者教育が遅れているとすれば、「司令塔」としての役割を果たすことはできまい。消費者庁がまず取り組むべき課題は、規制の検討ではなく、消費者行政の両輪を機能させるための体制整備だろう。
しかし、このところの消費者庁の動きを見ると、消費者保護を名目にした新たな規制導入を検討する傾向が強まっている。無論、確信犯的な悪質事業者から消費者を守ることは必要だが、通販等の事業者にとって問題なのは、消費者代表を自負する消費者団体等の委員の意見に流された議論が進んでいることだ。
端的な例は、「健康食品の表示に関する検討会」だろう。同検討会では、消費者団体等の委員の意見に押し込まれる形で結論が表示・広告など規制強化の方向に傾いた。さらに同検討会で象徴的だったのは、消費者庁自らが「消費者の立場に立つため、従来産業振興を担ってきた省庁と一線を画し、規制が中心になる」と発言したことだ。消費者庁設置後初の検討会で、"規制中心"の意向を示したということは、それ以降の検討会でも同様のスタンスで協議が進められることを意味する。
これは、消費者庁が8月18日に立ち上げた「インターネット消費者取引研究会」にも同様のことが言える。ワンクリック請求など、ネットの特性を悪用した違法行為を行う事業者を排除するという同検討会の目的は、理解できる。だが、検討作業を進める中で、消費者団体等の委員の意見に偏重した議論になる可能性が高く、一部の確信的な悪質事業者、あるいは特異な事例を引き合いに出し、一緒くたに規制を掛けるような流れになりかねないのが実情だ。仮に、そうした規制の方向に進めば、産業として数少ない成長分野であるネット販売市場の発展の足かせにもなりかねない。これは通販事業者としても看過できない問題だ。
このほかにも「集団的消費者被害救済制度研究会」が、民事訴訟での救済が難しい小額かつ多人数の消費者被害等の救済策について、集合訴訟制度等を盛り込む案をまとめたが、実際の運用を考えると、消費者被害救済の名目で濫訴を招く恐れがあるなど問題も少なくない。今後、消費者委員会で具体的な制度の検討を行うことになるが、運用面も勘案した慎重な議論が求められよう。
消費者保護を名目にした規制の検討を進める消費者庁だが、設立から1年が経過しても見えてこないものがある。消費者に身を守る術を持たせる上で重要な消費者教育の取り組みだ。これについては、消費生活センターの人員体制整備や広報の問題などもあるようだが、消費者行政の両輪となる消費者教育が遅れているとすれば、「司令塔」としての役割を果たすことはできまい。消費者庁がまず取り組むべき課題は、規制の検討ではなく、消費者行政の両輪を機能させるための体制整備だろう。
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通販番組増の裏で
- 2010年8月19日 14:40
- 記者の目
終戦記念日のとある某大衆食堂。高校野球の放送で球児たちが黙祷する姿を見ながら、隣のテーブルに座る高齢男性の2人連れが「日本も贅沢になったもんだ」と言って、瓶ビールを注ぎ合う。
何気なく聞き流していると、話題はダイエット補助食品のインフォマーシャルに。「これを食べて何キロ痩せただのと、同じことばかり言っている。戦争中は、食べ物がなくてみんな痩せていたのに」と不満気だ。
テレビを見ていても通販番組ばかりで面白くないと連れ立って大衆食堂に来たというこの2人。局とすれば、通販事業者に枠を提供した方が収益になるとは思うが、観たい番組がないと感じ、テレビから離れていく人がいることも考えものだ。
何気なく聞き流していると、話題はダイエット補助食品のインフォマーシャルに。「これを食べて何キロ痩せただのと、同じことばかり言っている。戦争中は、食べ物がなくてみんな痩せていたのに」と不満気だ。
テレビを見ていても通販番組ばかりで面白くないと連れ立って大衆食堂に来たというこの2人。局とすれば、通販事業者に枠を提供した方が収益になるとは思うが、観たい番組がないと感じ、テレビから離れていく人がいることも考えものだ。
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返品特約の効果は?
- 2010年8月16日 10:26
- 記者の目
国民生活センターが公表した通販の相談概要をみると「返品」や「返金」で満足な回答が得られなかったとして「接客対応」に不満を抱く相談が目立つ。
国センは「クレームに問題があるケースもある。事業者の対応が悪いとは一概に言えない」と実態を明かす。
「返品」といえば昨年12月に改正特商法が施行。「返品条件」や「返品送料の有無」を広告や購入画面で明示することが義務付けられた。施行から1年未満だが、相談件数は前年と比べて3000件も増加している。
返品特約はもともと返品トラブルを防止するためのもの。特商法の改正が逆にクレマーを生み出し、相談増加の一因になっているとすれば何とも本末転倒な気がするが......。
国センは「クレームに問題があるケースもある。事業者の対応が悪いとは一概に言えない」と実態を明かす。
「返品」といえば昨年12月に改正特商法が施行。「返品条件」や「返品送料の有無」を広告や購入画面で明示することが義務付けられた。施行から1年未満だが、相談件数は前年と比べて3000件も増加している。
返品特約はもともと返品トラブルを防止するためのもの。特商法の改正が逆にクレマーを生み出し、相談増加の一因になっているとすれば何とも本末転倒な気がするが......。
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JP経営陣は意識を変えろ
- 2010年8月 8日 21:56
- 社説
「ペリカン便」との統合直後に発生した「ゆうパック」の大規模な遅配問題を受け、郵便事業会社(JP)は7月30日、総務省に「郵便事業会社法」に基づく報告書を提出した。この問題を巡っては、一連の報道でJP側の準備不足などが再三指摘されてきたが、報告書の中でJPは、事前の準備や遅配発生時の対応など各段階で上層部の認識に甘さがあったとしている。総務省では報告書を精査した上で、行政処分などの対応を検討することになるが、JP側のずさんな体制が改めて浮き彫りとなったことで、通販等の荷主企業離れがさらに進む可能性がある。
JPが総務省に提出した報告書では、事前の準備から、遅配発生時の対応や情報提供のタイミングなど各段階での問題点を分析しているが、そのいたるところに出てくるのが上層部の見込みや認識の"甘さ"だ。
事前の準備段階について見ても、今年5月以降、荷物の区分け等を行うターミナル支店や統括支店で順次研修を行っていたが、JP本社で各拠点での研修の進捗状況が把握できていなかったという。だが、異なる仕組みの宅配便を統合することを考えれば、スタート段階で何らかの問題が起きることは想像される。その意味では、各拠点の現場担当者が新たなオペレーションにどの程度習熟しているのかを把握し、必要に応じて改善策を講じることが不可欠だったはずだ。
実際に、遅配の直接的な原因が区分機の操作ミスなどによる作業の遅れだったことを考えても、現場のオペレーションを軽視したことが最大の過ちだったと言わざるを得まい。
さらに問題なのはリスクに対する体制の不備と上層部の認識の甘さだ。報告書によると、統合初日の段階で経営陣が遅配発生の事実を把握していたにも関わらず、重大なトラブルにはならないと判断したとしている。この判断が応援要員の派遣などの対応策を遅らせ、結果的に遅配問題を長引かせる要因になったことを考えれば、判断ミスを犯した経営陣の責任は重い。
こうした緩慢な対応は民間の宅配便事業者では考えられないもので、JPの一連の対応はずさんとしか言いようがない。「ゆうパック」を利用していた一部の通販事業者が他社の宅配便に切り替える動きも出ているようだが、顧客サービスを考えれば当然の判断だろう。
これまで再三にわたり「ペリカン便」と「ゆうパック」の統合が延期された挙句、統合実現直後に発生した遅配問題。一連の経緯の中で共通した問題点を挙げるとすれば、JP側に未だに根強く残る官僚的な発想に行き着く。これについては、統合作業の過程で関係者がことあるごとに指摘していた点で、今回の遅配問題でも、顧客の視点を欠いた緩慢な対応にそれは表れている。
顧客との接点になる宅配便は、通販事業者の間でも重視され、顧客の視点に立ったサービスが求められている。JPでは歳暮シーズンに向け、体制の建て直しを図る意向だが、まず経営陣が顧客視点の意識を強く持ち、それを現場に徹底させなければ、通販事業者等の「ゆうパック」離れを食い止めることは難しいだろう。
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〝独自の価値〟
- 2010年7月29日 14:22
- 社説
本紙が調査した今号掲載の通販・通教売上高ランキングによると上位300社の合計売上高は4・1兆円だった。長引く不況が影響してか、市場成長率は鈍化傾向で、ランキング上位勢の多くは業績を落すなど苦戦を強いられている。しかし、一方で不況やデフレに左右されることなく、順調に業績を伸ばし続ける企業も少なくない。両者の違いとは何なのか。1つには"消耗戦"となる価格競争を回避できる「顧客に響く独自の価値」を作り上げ、それを実践できたか否かにあるようだ。
不況かつデフレ状態の今、価格訴求は効果的な戦略なのかも知れない。だが、安易に使用すれば、恒常的な客単価下落や利益圧迫、さらには将来的な企業、ブランドのイメージ低下を招きかねない危険性を孕む「劇薬」であることは間違いない。ジャパネットたかた、オークローンマーケティング、ドクターシーラボ、スタートトゥデイなど不況下でも好調さを維持できている通販実施企業に共通するのは、安易な値引きなど劇薬の使用を極力、避けている点だ。裏を返せば、消費者を引き付ける"独自の価値"を持って価格訴求以外で勝負できているということだ。
では"独自の価値"とは何なのだろうか。各社によって様々だが、その1つとして挙げられるのは「売りっぱなしにしない」ということだ。不況下でも業績を安定的に伸ばすある通販企業では、ダイエット食品を販売した後、効果的な使用方法やダイエット全般の相談を受け付ける無料の専用窓口の設置など、アフターフォローに手間やコストを惜しまずに投入している。その結果、この企業への安心感のほか、ダイエットの成功率を高め、当該商品において高いリピート購入率を生み出しているという。
アフターフォローなどの顧客サービスが大切だ、ということは多くの企業が当たり前のこととして認識していることだろう。ただ、これまで多くの企業にとって顧客サービスとはある意味で、表面的なものだったのではないか。「商品を売る」ことが優先であり、販促費は潤沢に投入するが、直接、お金にならない顧客サービスはそれなりに、という事業者は少なくないはずだ。
しかし、「売りっぱなしにしない」こと、つまり、直接はお金にならないはずの顧客へのアフターフォローに注力している企業こそが結局のところ、不況下においても、業績を伸ばし続けているという現実がある。価格以外の訴求ポイントを持つ企業は無理な値引きなどの体力勝負を避けることができ、健全な形で事業を展開することが可能だからだ。
そしてこのことは今だけの問題ではない。むしろ、これからの通販市場で生き残るための必須条件となってくるのではないか。通販市場自体は今後も成長が見込まれている。ただし、その中身は大きく様変わりし、高い知名度や豊富な資金力を持った有力企業の新規参入や台頭が予想される。そうした強力な競合には価格訴求など通じまい。それらを相手に既存通販事業者が生き残るには"独自の価値"をどう創造できるかにある。簡単ではないだろうが今こそ、真剣に考えるべきだ。
不況かつデフレ状態の今、価格訴求は効果的な戦略なのかも知れない。だが、安易に使用すれば、恒常的な客単価下落や利益圧迫、さらには将来的な企業、ブランドのイメージ低下を招きかねない危険性を孕む「劇薬」であることは間違いない。ジャパネットたかた、オークローンマーケティング、ドクターシーラボ、スタートトゥデイなど不況下でも好調さを維持できている通販実施企業に共通するのは、安易な値引きなど劇薬の使用を極力、避けている点だ。裏を返せば、消費者を引き付ける"独自の価値"を持って価格訴求以外で勝負できているということだ。
では"独自の価値"とは何なのだろうか。各社によって様々だが、その1つとして挙げられるのは「売りっぱなしにしない」ということだ。不況下でも業績を安定的に伸ばすある通販企業では、ダイエット食品を販売した後、効果的な使用方法やダイエット全般の相談を受け付ける無料の専用窓口の設置など、アフターフォローに手間やコストを惜しまずに投入している。その結果、この企業への安心感のほか、ダイエットの成功率を高め、当該商品において高いリピート購入率を生み出しているという。
アフターフォローなどの顧客サービスが大切だ、ということは多くの企業が当たり前のこととして認識していることだろう。ただ、これまで多くの企業にとって顧客サービスとはある意味で、表面的なものだったのではないか。「商品を売る」ことが優先であり、販促費は潤沢に投入するが、直接、お金にならない顧客サービスはそれなりに、という事業者は少なくないはずだ。
しかし、「売りっぱなしにしない」こと、つまり、直接はお金にならないはずの顧客へのアフターフォローに注力している企業こそが結局のところ、不況下においても、業績を伸ばし続けているという現実がある。価格以外の訴求ポイントを持つ企業は無理な値引きなどの体力勝負を避けることができ、健全な形で事業を展開することが可能だからだ。
そしてこのことは今だけの問題ではない。むしろ、これからの通販市場で生き残るための必須条件となってくるのではないか。通販市場自体は今後も成長が見込まれている。ただし、その中身は大きく様変わりし、高い知名度や豊富な資金力を持った有力企業の新規参入や台頭が予想される。そうした強力な競合には価格訴求など通じまい。それらを相手に既存通販事業者が生き残るには"独自の価値"をどう創造できるかにある。簡単ではないだろうが今こそ、真剣に考えるべきだ。
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薬事法への認識を改めよ
- 2010年7月22日 16:54
- 社説
神奈川県警が今年6月、健康食品通販を展開する「東京総合販売」の経営者らを薬事法違反容疑に続き、組織犯罪処罰法(組犯法)違反容疑で再逮捕した。本来、組犯法は暴力団など反社会的団体の犯罪に対する刑罰の加重を目的とするもの。今回のケースを極めて悪質性が高いと判断してのことだろう。だが、通販事業者は健食通販に伴う薬事法違反のリスクを改めて認識する必要がある。より刑罰の重い組犯法さえ適用されかねないリスクを負うためだ。
社名変更を繰り返し、健食の違法な販売を続ける事業者が後を絶たない。こうした悪質事業者を取り締まるため、県警は組犯法の適用に踏み切った。今後は事業者の"組織実態"を重視し、組犯法の適用に対しても積極的な姿勢を見せている。
こうした取り締まりは悪質事業者が健食通販に参入する抑止力となり、市場の健全化につながるという意味で歓迎すべきものではあるだろう。ただ、忘れてはならないのが、同様のリスクを全ての健食通販事業者が負うということだ。
過去、薬事法違反で県警の摘発を受けた企業の中には、日本通信販売協会の正会員だった企業もある。協会への帰属だけで企業の信頼性を判断はできないが、協会内には加盟企業の広告表現をチェックする「表示審査特別委員会」があるだけでなく、入会時にも「倫理委員会」で広告表現が厳格に審査される。協会に属して適正な販売に努めようという姿勢が見える以上、全ての事件の悪質性が高かったと判断するのは早計だ。
また、健食通販では消費者にいかに分かりやすく機能性を伝えるかが売り上げを左右する。効果的な媒体を見つけても、いずれ媒体が疲弊するのは必然。持続的な成長をめざし新しい媒体や広告表現を模索する中、一種の"慣れ"が最悪の事態を招かないとも限らない。とすれば、薬事法、さらには組犯法の適用も全ての事業者にとって"今そこにある危機"といえる。事業者は広告表現に細心の注意を払う必要があるだろう。
一方で、摘発が後を絶たない背景には、事業者の"悪質性"を容易に見分けることができないことがある。その一因となっているのが、健食に明確な表示制度がないことだ。
薬事法は医薬品の販売業許可を得た事業者の規制を前提としており、当然、健食通販事業者はそこに含まれない。そうである以上、業務停止といった措置を経ず、警察の介入によって、即、刑事事件に発展するリスクを負い続ける。
だが、健食市場が一兆円超の規模に達する中、高齢化社会の到来や医療費の高騰といった社会環境の変化、市場の実態を鑑み、新たに健食を軸とした枠組みを整備することが必要なはずだ。でなければ、健全な事業者は、適正な販売であることを消費者に示す術さえ持たないも同然だ。
同様のジレンマを負うのは事業者だけではない。消費者は商品の明確な選択基準を持ちえず、警察は悪質性を判断する基準を持たない。神奈川県警が健食通販事業者の摘発で他県圧倒していることが、そこに担当官の裁量が働いている証左といえるだろう。制度化を進めない限り、根本的な解決は図れない。
社名変更を繰り返し、健食の違法な販売を続ける事業者が後を絶たない。こうした悪質事業者を取り締まるため、県警は組犯法の適用に踏み切った。今後は事業者の"組織実態"を重視し、組犯法の適用に対しても積極的な姿勢を見せている。
こうした取り締まりは悪質事業者が健食通販に参入する抑止力となり、市場の健全化につながるという意味で歓迎すべきものではあるだろう。ただ、忘れてはならないのが、同様のリスクを全ての健食通販事業者が負うということだ。
過去、薬事法違反で県警の摘発を受けた企業の中には、日本通信販売協会の正会員だった企業もある。協会への帰属だけで企業の信頼性を判断はできないが、協会内には加盟企業の広告表現をチェックする「表示審査特別委員会」があるだけでなく、入会時にも「倫理委員会」で広告表現が厳格に審査される。協会に属して適正な販売に努めようという姿勢が見える以上、全ての事件の悪質性が高かったと判断するのは早計だ。
また、健食通販では消費者にいかに分かりやすく機能性を伝えるかが売り上げを左右する。効果的な媒体を見つけても、いずれ媒体が疲弊するのは必然。持続的な成長をめざし新しい媒体や広告表現を模索する中、一種の"慣れ"が最悪の事態を招かないとも限らない。とすれば、薬事法、さらには組犯法の適用も全ての事業者にとって"今そこにある危機"といえる。事業者は広告表現に細心の注意を払う必要があるだろう。
一方で、摘発が後を絶たない背景には、事業者の"悪質性"を容易に見分けることができないことがある。その一因となっているのが、健食に明確な表示制度がないことだ。
薬事法は医薬品の販売業許可を得た事業者の規制を前提としており、当然、健食通販事業者はそこに含まれない。そうである以上、業務停止といった措置を経ず、警察の介入によって、即、刑事事件に発展するリスクを負い続ける。
だが、健食市場が一兆円超の規模に達する中、高齢化社会の到来や医療費の高騰といった社会環境の変化、市場の実態を鑑み、新たに健食を軸とした枠組みを整備することが必要なはずだ。でなければ、健全な事業者は、適正な販売であることを消費者に示す術さえ持たないも同然だ。
同様のジレンマを負うのは事業者だけではない。消費者は商品の明確な選択基準を持ちえず、警察は悪質性を判断する基準を持たない。神奈川県警が健食通販事業者の摘発で他県圧倒していることが、そこに担当官の裁量が働いている証左といえるだろう。制度化を進めない限り、根本的な解決は図れない。
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実りある店舗展開
- 2010年7月15日 11:29
- 記者の目
アパレルのネット販売を行う企業が実店舗を開設した。開店から1カ月が経過して訪ねてみると、「来店客の層が予想と全く違う」という。当初は若くてファッション感度の高い層を想定していたが、ふたを開ければ普通のサラリーマンが多かった。仕事の合間に目当ての商品を買っていくそうだ。
高い固定費や商品数の限界などネットとは勝手が違うが店頭で顧客の様子を観察しているとどの商品に興味を示すか勉強になるという。「こういう商品はないの」といった生の声はネット上のキャンペーンにもつながった。
「運営は大変だが、得るものは多い」と笑う経営者を見ていると、"アパレル不況"もやり方次第なのかもしれないと思えてくる。
高い固定費や商品数の限界などネットとは勝手が違うが店頭で顧客の様子を観察しているとどの商品に興味を示すか勉強になるという。「こういう商品はないの」といった生の声はネット上のキャンペーンにもつながった。
「運営は大変だが、得るものは多い」と笑う経営者を見ていると、"アパレル不況"もやり方次第なのかもしれないと思えてくる。
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JPは真の顧客視点の思想を持て
- 2010年7月11日 21:48
- 社説
郵便事業会社(JP)が手掛ける宅配便「ゆうパック」の遅配問題が波紋を広げている。7月1日、JPエクスプレス(JPEX)から「ペリカン便」を継承し、新たなスタートを切った「ゆうパック」だが、直後に複数の「ゆうパック」処理拠点で半日から2日程度の遅配が発生、通販事業者等の荷主や顧客にも影響を及ぼした。JPでは通販事業者をターゲットに荷主の開拓を積極化する構えを見せていたが、逆に顧客離れを引き起こしかねない状況だ。
JPによれば、荷物の遅配が発生した原因は、スタート当初のシステムの不具合や集配拠点の現場担当者が作業に不慣れだったことだとしている。「ペリカン便」の統合に伴い、JPEXの宅配便システムを導入したが、データの入力ミスなどで全体の作業が遅れ、荷物の配送にも支障をきたしたというものだ。
問題は事前の準備が万全だったかだろう。この点では、JP側でも取り扱う荷物の増加などを勘案し、事前にシミュレーションを組んでテストも行っていたが、実際の現場では荷物の形状が様々で、担当者が作業に手間取るケースもあったという。単純なデータの入力ミスなどにより、複数の拠点で遅配が発生したことを考えれば準備不足だったのは明らかで、JP側の見込みが甘かったと言わざるを得まい。
遅配の発生状況としても、7月2日に10拠点で荷物の遅配が発生。翌3日には3拠点、4日の段階で2拠点にまで縮小はしているが、この間の遅配荷物の数は約26万個、5日には約32万個に達し、通常99%の送達率も93%にまで落ち込んだ。
無論、この中には通販事業者の荷物が含まれており、4月から商品の配送を「ゆうパック」に切り替えたニッセンでも、顧客からの問い合わせがきているという。さらに深刻なのは、生鮮品等の産直通販事業者だろう。鮮度が求められる商品の遅配は、致命傷にもなりかねないからだ。
商品の配送を担う宅配便事業者は顧客との接点であり、通販事業者のイメージにも直結する。その意味で今回の遅配問題は、顧客の期待を裏切り、通販事業者に対する信頼も損ねるものでもある。JPでは商品の損害などに対し、賠償をしていく意向を示しているが、まず、顧客と通販事業者の関係性をも危うくしかねない問題であることを十分に認識すべきである。
2007年10月に日本通運と日本郵政が包括提携を締結した際、「ペリカン便」と「ゆうパック」の統合は大きな目玉となっていたが、迷走を極めた。実際、JPと日通の宅配便事業統合作業は遅れに遅れ、土壇場で宅配便事業の統合を反故にするという事態になった。この間、翻弄され続けたのは通販事業者等の荷主であり、その顧客だ。
宅配便事業統合を巡る紆余曲折の原因がJPだけにあるとは言えないが、顧客視点に欠くJP側の対応の緩慢さを指摘する関係者の声は少なくない。この構図は、今回の「ゆうパック」遅配問題にも通じるところがあり、問題は根深い。宅配便が通販の重要な構成要素であることを考えれば、JPも真の顧客視点の思想を持たなければならない。
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通販協は変革し市場を導け
- 2010年7月 1日 19:48
- 社説
6月11日に経済産業省が公表した「消費者向け電子商取引実態調査」によると、ネット販売市場を構成する事業者の8割が年商3000万円以下であるという。「2〓8の法則」よろしく極少数の大手通販事業者の売上高が市場規模の大半を占めているとは言え、同市場は非常に多くの小規模な事業者によって構成されている。売上規模だけでなく、それぞれの立ち位置もまた様々である。アマゾンのようなネット販売専業社、ユニクロなどの有店舗小売業者、カタログ系通販企業やメーカーなど当たり前の話だが立場によって、それぞれにとって必要な情報や戦略、抱えている課題もまた異なるわけだ。
多様な事業者で構成される現在の通販市場、通販業界を取りまとめる役割を担う業界団体、日本通信販売協会(JADMA)は先日、新たな会長にファンケル会長の宮島氏を向かえ、同氏を中心に「変革」を表明。通販市場を取り巻く環境や前述したように同市場を構成する事業者の多様化によって、現行の協会の活動では通販事業者のニーズを満たすことができず、事業者にとって加盟するメリットが少なく、結果として業界の取りまとめ役になり得なくなる危機感から、手始めに広告表示に関する関連法の相談対応の強化を進めるなど通販事業者にとって価値のある業界団体となるべく、動き始めた。
こうしたJADMAの変革の動きに通販事業者から歓迎する声が多く出てきている。しかし一方で、「法律相談だけでは全く足りない」「本当に我々のニーズを理解できるのか」というJADMAの変革に対して不安視する声が早くも加盟社、また、今後、加盟しようと考える新規の通販実施企業から多く出てきている。
確かに事業者からこうした声があがるのは理解できる。通販市場は多様な立場の事業者によって構成されている一方、JADMAの中心メンバーはいわゆるカタログ通販企業がメーン。彼らが求める「ニーズ」は必ずしも新規に通販を開始した、例えばネット販売専業社にとって最優先に必要なニーズではないかも知れない。その逆もしかりだ。その際、どのようにそれぞれの「ニーズ」に優先順位をつけながら対策を考え、サポートや情報提供などをどう具現化していくのか。そうした作業は非常な困難が予想されるからだ。
ただし、変革への不安の声はJADMAに期待するからこそ。インフラやデバイスの発達、社会環境の変化で成長し、今後もより一層の拡大が期待される通販市場だが、それだけに一定の秩序は必要である。また、成長市場には必ず行政から厳しい監視の目が向けられ、無用な規制がかけられる可能性もある。通販市場の構成メンバーは多様なのかも知れないが、消費者から、また行政からすれば否が応でも通信販売は通信販売である。それぞれが団結して事に当たらねば、市場の健全さは担保できず、結果的に規制を呼び込み、市場の発展を阻害してしまう。それだけにJADMAの変革には期待したい。事業者の多様なニーズを汲み取り、既存、新規の通販業者にとって加盟に値する必要な団体に変わって欲しい。通販市場のより良いこれからを導くには強い業界団体が必要だ。
多様な事業者で構成される現在の通販市場、通販業界を取りまとめる役割を担う業界団体、日本通信販売協会(JADMA)は先日、新たな会長にファンケル会長の宮島氏を向かえ、同氏を中心に「変革」を表明。通販市場を取り巻く環境や前述したように同市場を構成する事業者の多様化によって、現行の協会の活動では通販事業者のニーズを満たすことができず、事業者にとって加盟するメリットが少なく、結果として業界の取りまとめ役になり得なくなる危機感から、手始めに広告表示に関する関連法の相談対応の強化を進めるなど通販事業者にとって価値のある業界団体となるべく、動き始めた。
こうしたJADMAの変革の動きに通販事業者から歓迎する声が多く出てきている。しかし一方で、「法律相談だけでは全く足りない」「本当に我々のニーズを理解できるのか」というJADMAの変革に対して不安視する声が早くも加盟社、また、今後、加盟しようと考える新規の通販実施企業から多く出てきている。
確かに事業者からこうした声があがるのは理解できる。通販市場は多様な立場の事業者によって構成されている一方、JADMAの中心メンバーはいわゆるカタログ通販企業がメーン。彼らが求める「ニーズ」は必ずしも新規に通販を開始した、例えばネット販売専業社にとって最優先に必要なニーズではないかも知れない。その逆もしかりだ。その際、どのようにそれぞれの「ニーズ」に優先順位をつけながら対策を考え、サポートや情報提供などをどう具現化していくのか。そうした作業は非常な困難が予想されるからだ。
ただし、変革への不安の声はJADMAに期待するからこそ。インフラやデバイスの発達、社会環境の変化で成長し、今後もより一層の拡大が期待される通販市場だが、それだけに一定の秩序は必要である。また、成長市場には必ず行政から厳しい監視の目が向けられ、無用な規制がかけられる可能性もある。通販市場の構成メンバーは多様なのかも知れないが、消費者から、また行政からすれば否が応でも通信販売は通信販売である。それぞれが団結して事に当たらねば、市場の健全さは担保できず、結果的に規制を呼び込み、市場の発展を阻害してしまう。それだけにJADMAの変革には期待したい。事業者の多様なニーズを汲み取り、既存、新規の通販業者にとって加盟に値する必要な団体に変わって欲しい。通販市場のより良いこれからを導くには強い業界団体が必要だ。
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再認識するテレビの"存在感"
- 2010年6月24日 18:28
- DMプラザ
連日、熱戦が繰り広げられているW杯。先日の日本戦では関東地区の平均世帯視聴率は43%まで達したという。若者の「テレビ離れ」が囁かれるが、やはりまだまだテレビの存在感は大きい。
この「最も身近なデバイス」をネット販売で活用する動きがようやく本格化の兆しを見せ始めている。ヤフーが先日、「テレビ版ヤフーショッピング」を開設。ネット対応テレビ限定で商品を動画で紹介する試みで、電話注文も可能という。いわばヤフーの「テレビ通販」だ。
同様に楽天でも、テレビ向けネットサービス「アクトビラ」で「楽天市場」を以前から展開。アクトビラには他にも複数の事業者が参加しており、それぞれ新規客の獲得に期待を寄せる。
テレビは一般ユーザーが接する機会が最も多いデバイスの一つ。それだけにネットの利用ではPC・携帯に次ぐ「第3のデバイス」に最も近いが、ただ、実際にテレビにLANケーブルを接続している数は2割程度だという。今では量販店に並ぶほとんどがネット対応テレビであるにも関わらず、だ。
どのようなサービスでも、利用への入り口となる「トビラ」を開けてもらえなければ始まらない。そこへ誘導するには、まずはPCや携帯とは違う、「テレビならでは」の特色を打ち出す必要があるだろう。W杯が終わったあともテレビへ惹きつけられる、そんな魅力的な特色を見たい。
この「最も身近なデバイス」をネット販売で活用する動きがようやく本格化の兆しを見せ始めている。ヤフーが先日、「テレビ版ヤフーショッピング」を開設。ネット対応テレビ限定で商品を動画で紹介する試みで、電話注文も可能という。いわばヤフーの「テレビ通販」だ。
同様に楽天でも、テレビ向けネットサービス「アクトビラ」で「楽天市場」を以前から展開。アクトビラには他にも複数の事業者が参加しており、それぞれ新規客の獲得に期待を寄せる。
テレビは一般ユーザーが接する機会が最も多いデバイスの一つ。それだけにネットの利用ではPC・携帯に次ぐ「第3のデバイス」に最も近いが、ただ、実際にテレビにLANケーブルを接続している数は2割程度だという。今では量販店に並ぶほとんどがネット対応テレビであるにも関わらず、だ。
どのようなサービスでも、利用への入り口となる「トビラ」を開けてもらえなければ始まらない。そこへ誘導するには、まずはPCや携帯とは違う、「テレビならでは」の特色を打ち出す必要があるだろう。W杯が終わったあともテレビへ惹きつけられる、そんな魅力的な特色を見たい。
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