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信頼関係が不可欠

 「ヤマトへの依存が高いが今後の対応は」、「送料などの課題をどう改善するか」。オイシックスの株主総会で、個人株主から配送に関する質問が目立った。

 配送は事業者にとって重要な経営課題。昨今、配送料金値上げの問題が大きく取り上げられ、関心が低かった消費者も重要視する。

 ある通販会社のトップは「顧客と事業者、顧客と配送員の信頼関係を構築できれば配送コストは下がる」と指摘する。再配達や強引な要望が減り、配送員の労働環境の改善になるという。

 顧客の手元に商品がスムーズに届けば満足度が高まり、委託元の通販事業者へのロイヤリティ向上も期待できる。配送の課題解決には3者の信頼関係が欠かせないようだ。

アマゾンがヤバイ

 米国で毎年この時期に世界最大のネットショップの展示会「IRCE」が開催される。今年も6月上旬にシカゴであったのだが、参加したECコンサルタントによると、「アマゾンがヤバイ」という。

 「ヤバイ」の根拠に挙げたのがこんな数字。「2016年における米国EC売上高の40%をアマゾンが占めている」「米国世帯の49%がプライム会員」「買い物の検索でアマゾンはグーグルの3倍利用されている」などなど。

 その影で閉店する実店舗は増え、オムニチャネル化を進めた大手小売りのECは伸び悩んでいる。この潮流は他人事ではない。アマゾンに頼って商品を供給するのか、それとも戦うのか。日本でもこうした見極めが必要になりそうだ。

普段使いの提案を

 切り花や鉢物などが主力の「花き」業界。近年はネットで花を注文する消費者が増えてきているものの、若者を中心に花を贈る習慣が減っていることもあり、花き業界全体の市場は縮小している。

 何年か前にはサントリーホールディングスが青いバラの商品化に成功して話題となったり、バレンタインデーに男性から女性に花を贈る「フラワーバレンタイン」を業界団体が仕掛けているものの、需要を押し上げるまでには至っていない。

 仏壇や床の間といった花を生ける場所自体が少なくなるなど逆風は吹いているが、ストレス社会に花の持つ癒しを求める人は少なくないはずで、イベントではなく日常的に花を楽しめるような提案があっても良さそうだ。

人材不足にあえぐ輸送業界

 輸送業界の人手不足が深刻化している。長距離ドライバーの高齢化やネット販売市場の拡大で宅配便の配達が追い付かないといった問題を引き起こしているが、ヤマト運輸の運賃値上げはまさに人手不足が大きな要因で、通販業界にとっても影を落としている。

 人手不足は今後、一層進展していくことになるが、その課題解決に向けては多様な取り組みが行われるようになっている。そのひとつとも言えるのがヤマト運輸とDeNAが4月17日から藤沢市で自動運転技術を活用する宅配便のオンデマンド配送などの実証事業「ロボネコヤマト」。

 宅配便のドライバーは重量のある商品を運んだり、一定以上の運転技術も求められたりするが、実証段階の同事業は性別や年齢層に関わりなく幅広い人が自動運転の支援もあって担当できるという。将来、無人化での事業が実現できることになればドライバー不足への対応策となり得るだろう。

 今回の実証実験は住民が多い地域での実施ということで、宅配便の配送先が多いエリアを想定している。また過疎地のように現状でもドライバーの担い手がいない地域においても宅配便の配達を無人で行えるようになるだろう。

 一方、受取側が都合の良い時間に受け取れるオンデマンドは再配達の解消にも寄与する。今回の実証実験で成果を上げ、早期に実用化できることを望みたい。

定期縛りの限界

 行政や消費者団体がさかんに問題視する健康食品の定期縛り。多いものでは6回の購入を求めるものもある。

 そもそも定期縛りはアフィリエイターに高い報酬を支払い、自社商品を広告してもらうために生まれた。ブランド力、資本力のない新興企業は、複数回の購入が約束されれば購入単価を高め、先行投資を抑えて高額報酬を支払えるからだ。

 ただ、最近はアウトバウンドなど継続率を高めるCRMを強みに定期縛りをせず、アフィリエイターに高い報酬を提示する企業も出始めている。行政の監視も厳しく、国は埼玉県からの要望に特商法など「現行法で対応可能」との見解を示している。法執行などでいずれ改善を迫られることになりそうだ。

国交省の総合物流大綱、EC市場拡大見据えた内容を

 ヤマト運輸が4月24日から当日の再配達依頼の締め切り時間を変更した。テレビや一般紙でも、その話題が大きく取り上げられた。これまでの顧客志向のサービスのレベルが引き下げられることや、一方で再配達削減に向けた宅配ロッカー・ボックスの取り組みが活発になっていることなどが報道され、広く一般に関心が持たれる話題となっている。

 ヤマト運輸が人手不足などに伴い従業員の労働環境の改善に取り組む意向を示したことに端を発し、宅配便や物流が大きくクローズアップされるようになっている。人手不足はネット販売の拡大が大きな要因とされ、多頻度小口の荷物が大幅に増え、便利な宅配便サービスが今まで通り提供できなくなる可能性もあることから、消費者へも大きく影響する問題と捉えられている。

 トラックドライバーの人材不足は以前から懸念されていた。ドライバーの高齢化、そして若者の自動車離れなどに伴うドライバーのなり手の不足について、国土交通省などの会合で課題として取り上げることが多々あった。

 その流れから、一昨年には国交省が再配達削減に向け検討会を立ち上げ、再配達削減のための方策をまとめた。宅配ロッカーや顧客とのコミュニケーションの頻度を多くすることなどで再配達を回避していこうとの内容。しかし、宅配ロッカーは既に本格的な設置が始まって1年近くになるが、設置数もまだ十分と言えず、また宅配便1社だけでなく複数の宅配便会社の荷物が受け取れるオープン化の進展が遅れている。

 その一方でネット販売の市場拡大は一層拡大を続けている。経済産業省が発表した2016年の日本国内におけるBtoCのネット販売の市場規模は、15兆1000億円で前年と比べ9・9%増加している。市場規模が1割増えていることから、その商品を届けるための宅配便も同様に増加していることだろう。

 7月に策定を予定している2017~20年度に適用する物流施策「総合物流大綱」では、人手不足やネット販売の拡大などを要因として物流が麻痺しかねない状況を重要課題のひとつとして掲げ、物流の維持と確保を大きなテーマとしている。大綱の内容を討議する有識者検討会では、宅配便が国民の"ライフライン"との表現が頻繁に使われており、その表現を大綱の要所に加えるべきとの意見も聞かれた。

 ただし、総合物流大綱は宅配便という物流の一部に対する施策を取り決めるものでなく、より広い物流全体の今後の物流施策の提言のため消極的だ。経産省調査による16年のEC化率は5・43%(前年比0・68ポイント増)と高まり、小売や商取引で重要なものとなっている。20年度までの4年間の施策を取り上げる大綱であるなら、今後のネット販売市場を見据えた施策にも重点を置くべきだろう。宅配便のドライバー不足への対処はもちろん、物流センターで庫内作業する人材の不足にも対応しネット販売市場を後押しする内容を盛り込んでもらいたい。

〝物流〟学べる場を

 3月22日開催の総合物流大綱第2回有識者検討会で国内の大学においてロジスティクスを専攻できる学部・学科がほとんどないとの話題が挙がった。米国、そして同国で数多くの留学生が学んだ中国に後塵を拝しているとのことだった。

 日本企業は商品開発部門の人材を欲する一方、物流専門家のニーズがないのが、その理由。就職にメリットがない専攻をした卒業者を雇用しないため、大学側も専門学部などの設立に消極的になってしまうようだ。

 国内で物流を学ぶのは物流部門を担当するようになってからで、上司から、また講習なで学ぶのが一般的という。物流効率化が今後一層求められる中、より早期に物流を学ぶ場が必要になる。

"日本"らしい商品

 中国向けの越境ECではベビー関連商材や化粧品、健康食品などが売れるというのはよく聞く話だが、世界に目を向けると、思いもよらないニーズがあるようだ。

 ある越境EC支援企業によると、柔道や剣道、弓道といった日本の武道が世界に広まっていることで、欧州や南米などから「神棚」の注文が増えているという。武道を通じて体を鍛えるだけでなく、礼儀などを重んじる精神を養いたい外国人が多いため、精神性を象徴する神棚のニーズに発展しているようだ。

 外国人はマンガから日本文化を学ぶことも多く、ランドセルなどをはじめ、越境ECを通じて外国人の需要に応えられる日本の商品はまだまだたくさんありそうだ。

キメ細かな運用を

「フォロワーを増やした後に、どう運用するかが重要」と話すのは、写真共有SNS「インスタグラム」を活用する担当者。新たな顧客接点の1つとして期待されるが、効果を高めるには手間をかける必要がある。

 食品通販A社は、インスタグラムの投稿で、商品の利用シーンをイメージする画像を使用するように心がける。プロフィール欄のURLは、画像に使った商品ページに書き換え、通販サイトに誘導しているという。

 良質な画像が購買意欲を喚起する。だが、通販サイトに誘導したユーザーを"迷子"にさせてしまうのはもったいない。インスタグラムに限らないが、SNSはキメ細かな運用が成果をあげる要因となりそうだ。

有料会員制とEC

 先日、初めて大型小売店「コストコ」に行った。非常に込み合い、溢れるほどに商品が積み込まれたカートが店内を動き回る様には圧倒された。その賑わいは「コストコ」が会員制であることが起因しているよう。「コストコ」では年会費4400円を支払い、会員にならねば買い物できない。会員の義母曰く「会費を払っても安くてよいものがある。せっかく払っているんだから、頻繁に行ってたくさん買わないと損」という。

 有料会員制はEC上でもアマゾンやヤフーでも採用しており、ヤフーによると「会員のロイヤリティの高さたるや尋常ではない」という。「買わせる」のではなく「会員になって」というアプローチ。ECで今後どう広がりを見せるか。注目だ。

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