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残業への意識改革

先日、紳士服大手のはるやまホールディングスの東京支社に伺ったときのこと。夕方6時を少し過ぎたタイミングで話も終わり会議室を出たら驚いた。廊下からオフィス部分が見えるのだが、完全に消灯しているのだ。

 そこで気づいた。この会社が4月から「No残業手当」という制度を始めたことを。同制度では月間の残業時間ゼロを実行した社員に対して、月ごとに1万5000円を一律に支給する。しかし、まさかここまで忠実に実行されていたとは思わなかった。

 意識改革を行うために制度化して手当を与えるということだったが、まずは成功と言えるのではないか。あとは生産性をいかに高めていくか。同社の業績の推移を注視したい。

続くドライバー不足

 人手不足の中、ドライバー確保競争が熾烈化する様相だ。ネット販売の荷物の増加から、軽貨物のドライバーなどを囲い込む動きが見られるようになってきている。

 既存ドライバーの負担軽減のため、あるいは大手宅配会社が値上げに動いている中で商機と捉えてなどドライバー獲得を進める企業の狙いはざまざま。限られる人材の取り合いともなり兼ねない状況と言えるが、今後一層確保が難しくなるに違いない。

 輸送業界は仕事がきつく、拘束時間も長いというイメージが付きまとう。収入だけでなく休暇なども含めた待遇改善が進まないと人材を確保できないだろう。配送を委託する通販企業にとってコスト増は続くのだろうか。

衣料品不況の総合通販、家具・インテリアに勝機も

 顧客との結びつきが強い総合通販各社は、ユーザーの声を反映することで商品力を高められる家具・インテリア領域にこれまで以上に力を注いではどうか。

 「花形」とも言えるファッションカテゴリーは昨今、安価かつ投入頻度の高いファストファッションブランドや、「ゾゾタウン」に代表される圧倒的な品ぞろえと利便性などに強みを持つファッションECモールに押されて苦戦を強いられるケースが少なくない。また、トレンドの変化が早いファッション商材は常に一発勝負のようなリスクがつきまとう。その点、家具・インテリア領域は総合通販が得意な商品の改善・改良が生きやすく、顧客へのインタビューや座談会といった従来型のつながりに加え、ECの普及で商品レビューにもヒントが多く、翌シーズンの商品開発に反映させることで、毎年のようにブラッシュアップできるメリットがある。

 一方で、一般的に服よりも購入頻度が低かったり、配送面の課題や、リアル店舗を持たない通販企業が比較的に高額な商材を通販チャネルで購入してもらうには工夫が不可欠で、これまでにないような発信力、提案力も必要になりそう。そんな中、新しい取り組みとして注目されるのが、ディノス・セシールが10月2日に始めた家具・インテリアのレンタルサービス「フレクト」だ。ディノス事業で販売する家具を対象に、初めに販売価格の15%分の申込金と毎月3・5%分のレンタル料を徴収して希望者に最大3年間、家具を貸し出すもので、2年を越えた顧客は追加金なしにそのまま購入するか、申込金を返却してもらった上でレンタルをやめるかを選択できる仕組み。高額な家具の購入をレンタルという形で敷居を下げ、顧客は商品の良さや特徴を確かめながら購入を検討できるメリットがある。

 千趣会はMD改革の一環としてライフスタイル系商材を大幅に拡大する方針を打ち出しており、近く大阪・堀江にインテリアショップを開設する。詳細は明らかではないが、当該カテゴリーを強化する上で顧客とのリアルな接点が必要と判断したようで、インテリアショップは"実感・体感型"店舗として展開。インテリアの相談窓口を設けたり、購入する前に家具の配置などをシミュレーションできるVRも体験できるようにする。

 また、通販モールと家具・インテリアの小売りがタッグを組むケースも出てきた。ロコンドは9月26日、大塚家具が第一弾の出店者として参画する家具の通販サイト「ロコンドホーム」をオープンしたほか、セブン&アイも11月下旬にグループ外企業の商品を扱う「オムニモール」を新設し、中核ショップとしてニトリが出店する。

 坪効率などの観点から百貨店を中心に家具売り場が縮小する中、面積の制限を受けない通販チャネルは成長可能な領域と見られるだけに、独自商材に磨きをかけるとともに、斬新な売り方や見せ方に挑んでほしいものだ。

台湾経由で中国へ

中国向け越境ECをめぐる状況が変わりつつあるようだ。越境EC支援会社の担当者によると「全体の市場は大きいが、開拓するのが難しいと感じている企業は増えている」と指摘する。そこで人気なのが台湾だとか。

 「年初は健康食品や化粧品の単品通販系が次々に参入していたが、最近はアパレルや食品も増えつつある」と先の担当者。中国に比べて広告の費用対効果が安定しており、一定のリピートも見込める。つまり日本でのノウハウが通用するのが魅力らしい。そのため今は一種の"台湾ブーム"の様相だという。

 中国を攻める前に、まずは台湾で知見を貯めるという企業も少なくないという。台湾を経て中国へ。このルートに注目してみたい。

流行語の本命か?

 昨年は「神ってる」が年間大賞となったユーキャン新語・流行語大賞。今年のトップ10発表まで2カ月ほどあるが、「インスタ映え」や、連勝記録を塗り替えた中学生プロ棋士の「藤井四段フィーバー」、政治関連では「忖度(そんたく)」、女性芸人の「35億」などは堅そうだ。

 中でも「インスタ映え」はフォトジェニックな場所や店、商品などがSNSを通じて広がるなど、経済効果につながることもあるようだ。写真を撮るためにどこかへ行ったり、何かを食べたりするのは目的と行為が逆転しているような気もするが、"お金を使わない"と言われる若年層を中心に消費スタイル自体が変化していることを示すワードなのかもしれない。

「HMB」に見る市場

「HMBもそろそろ終わり」。ある健食の企画会社の社長はこう話す。HMBは筋力の維持が期待される素材。だが、ウェブではアフィリエイトの成果報酬が急速に高騰しているため「終わり」という。

 HMBは機能性表示食品の届出もある。だが、ウェブではもっぱら本来の機能を超えた"筋肉増強"のイメージで売られる。広告合戦も激しく、ある企業はフリークエンシーキャップをかけず、うんざりするほど毎日ウェブ広告を目にする。

 確かにウェブで扱いが増え認知は上がった。だが、定期縛りなどトラブルも多い。健全な市場は育たず、市場が荒れた頃にこれら企業は別の素材に飛びついているだろう。行政の監視もこのスピードに追いつけていない。

現場への心配り

 あるメーカーの通販事業で大幅な減収があった。理由は商品ラインアップの減少。競合他社に制作担当の人材をまとめて引き抜かれたのが原因だという。

 会社側も抜けた社員達が不満を持っていたことは把握していたがそこまで緊迫した事態とは捉えておらず、気が付いた時には部署単位で人材が流出してしまったという。熟練技術を持った製造畑の人材は簡単に替えが効かないポジションで、以前と同様の業務水準に戻すにはまだまだ時間がかかるようだ。

 会社として常にすべての社員に気配り目配りをすることは難しいが、何かとこもりがちな製造現場に対しては日ごろからコミュニケーションを図れるような調整役を配置することも重要だ。

"新たな可能性"活かせ

 米アマゾンが8月15日から一部地域でネットで受注後、2分以内に専用ロッカーで商品を受け取れる「インスタント・ピックアップ」なる新サービスを始めた。すぐ必要となる菓子や飲料など数百点を選び、その中から利用者が注文した商品をスタッフが受注後すぐに受取ロッカーに搬送、専用バーコードをかざして開錠し商品を受け取る仕組みのよう。

 アマゾンは様々な小売業者に影響を与えてきたが、このサービスでは自動販売機が影響を受けることになりそう。アマゾンの動きは脅威だが一方、ECの新たな可能性を示すものとも言える。思考停止せずアマゾンの動きをどう捉え、どう自社に活かすか。これが各社の今後の浮沈を決めるかも知れない。

根本的な対策を

不正アクセスなど、頻発する通販サイトのセキュリティー問題。多くのネット販売企業は、サイト構築・運営を外部企業に委託しているが、専門家は「セキュリティーに強いベンダーを選ぶ必要があるのでは」と話す。

 とはいえ、これは外部から判断するのは難しく、またスキルの高いエンジニアを抱えていたとしても、該当者が担当するとは限らない。問題はベンダー側の取り組む姿勢だ。

 この専門家は「セキュリティー関連企業とネット販売企業が歩み寄り、互いに情報提供するべきだ」と提案する。サイトのぜい弱性は基本的にはバグであり、特殊な手法で狙われることはまれ。ミスを少なくするにはどうすべきか。根本的な対策を考える時期だ。

運賃アップの波紋

 宅配大手の運賃値上げが波紋を呼んでいる。ある通販企業の場合、全体の半分近くをヤマト運輸に頼んでいるが、値上げになるため頭を抱えている。

 「こんなことじゃ、年末年始にかけてつぶれる通販企業も出るんじゃないか」と担当者は危惧する。その企業は対策として送料を値上げするか、現行の配送サービスの維持を目指しているアマゾンに荷物を振り分けるかで悩んでいるという。

 運賃上昇分を送料などの価格に転嫁すると、収益低下につながりかねない。それを防ごうとアマゾンに鞍替えする動きが加速すると、他の仮想モールにとっては痛手。年末商戦に向け通販各社だけでなく、モール側にとっても一つの正念場になるかもしれない。

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