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AI活用は疲れる

 AI(人工知能)への注目が高まっている。通販と関連する業界でいうと、コールセンターで活用に向けた動きが徐々に現れている。
 例えばチャットボットもその1つ。従来、人が行っていたチャットでの対応を機械で自動化する。ただ、寄せられる質問に対して適切に回答するためには、AIを訓練する「教師データ」が必要になる。チャットボットを含めAI活用の現場では、この教師データづくりが大変らしい。
 AIの「ワトソン」向けに膨大な教師データを作ることに疲弊した大手銀行などからは"ワトソン疲れ"という言葉も出ているよう。やや話題が先行している感もあるAI。通販業界や我々の日常生活に定着するのは、そう簡単ではなさそうだ。

ライブコマースの利点

 「ライブコマース」が注目を集めている。店舗向けにサービスを提供するBASEによれば「しっかりと商品のストーリーを伝えられる」点が店から評価されているのだという。

 多くの人が高性能のスマートフォンを所持する時代となったことで、気軽に動画も配信できるようになった。インフルエンサーと呼ばれる人たちでなくとも、メッセージを発信し、顧客との接点を作れるわけだ。

 とはいえ「成功パターン」は未知数。定期的に配信し、ファンを獲得するというのは、配信に慣れない店舗にとって高いハードルとなる。どんな番組なら見てもらえるのか、そして配信者が継続できるのか。試行錯誤の中から成功事例が生まれることを期待したい。

意外な使われ方

 大手通販企業が販売する「脚立」が30代を中心に人気なのだが、その理由に驚いた。脚立は通常、高い場所の物をとったり、電球を交換するときなどに使うため、どちらかと言うと工具っぽく、部屋に馴染まないデザインである場合が多い。

 人気の脚立は他のインテリアにも馴染むデザインとカラーである上に、女性でも楽に持ち運べる軽さが売りで、あるインスタグラマーがテーブルに並べた料理の写真を撮るのにこの脚立を利用している光景を投稿し、一気に話題となった。

 ひとつ残念なのは、通販企業にとっては想定外の利用だったかもしれないが、今でもサイトの商品ページには従来通り高所作業のシーンが並び続けていることだ。

買収広告の相談増加

 国民生活センターが、宅配買い取りサービスで注意喚起した。広告に表示していた買い取り目安額と、実際の査定額が異なることをきっかけにトラブルが増加。商品の紛失や破損、問い合わせ対応への苦情に発展した。

 相談者に若年層が多く、買い取り目安価格を強調したことで消費者が利用規約を理解しないまま申し込んだケースが多い。メリットを強調して消費者の関心を高めるのは1つの広告手法だが、広告トラブルが増えれば、規制強化の議論再燃につながる可能性もある。

 宅配買い取りサービスは、スマホで利用され、若年層ユーザーが多い。通販とは異なるモデルだが、他山の石として自社の広告表現や通販サイトを見直してはどうか。

アマゾンで変わる市場

 OTC医薬品通販の市場は、今のところ第3類が優勢。商品の独自性を演出しやすく、健食通販のノウハウを活かせるためだ。だが今年4月、アマゾンが第1類の通販を始めたことで市場が変わるかもしれない。
 副作用リスクの高い第1類は取扱いのハードルが高い。購入には薬剤師の問診が必須。その上で再度、購入の意思を確認する2段階方式で売られてきた。
 だが、アマゾンは1ステップの販売を可能にした。法解釈の違いだが保健所の指導のばらつきからこれまでダメと思われていた。
 市場拡大は利便性の向上がカギ。アマゾンの展開で認知が広がれば、市場の拡大もありえる。ただ一方で、アマゾン一強の構図になる可能性もある。

動画コマースの課題

 生放送で商品販売する「ライブコマース」。様々な名目で実施する企業が増えたがコマースとの相性は果たしてどこまで見込めるか。
 中国での成功をもとに始まったが、日本消費者の認知はまだこれから。特に番組制作費や人気出演者の確保に課題があり、一つの商品を売るための労力やコストが大きくなり過ぎるとの見方もある。
 ある利用企業は「CMのようなものを生で見たい若者が今どれだけいるか。その中で偶然欲しい商品と出会うなんてまるで針の穴を通すようなもの」と指摘。爆発的に視聴者が増えない限りコマース利用は難しいとする。
 今はまだブランドPRなどの利用がメインだが、今後どれだけ販売に貢献できるか。その行方が注目される。

STEMに商機あり?

 "STEM(ステム)玩具"の売れ行きが高まっている。STEMとは理系教育を総称する造語だが、STEM玩具はそうした教育に役に立つ知育玩具を指す。

 米国ではすでにSTEM玩具は売れ筋で米アマゾンでは一昨年春に専用ページを開設。今年1月には毎月、厳選したSTEM玩具を配送する定期購入プログラム「STEMクラブ」もスタートさせている。

 日本でも2020年から小学校でプログラミング教育の必修化が決まっており、STEMへの関心が高まっている。キャラクターものが圧倒的な強さを誇っていた日本の玩具に劇的な変化を及ぼすか。商機を含め、通販事業者はチェックしておく必要がありそうだ。

残業への意識改革

先日、紳士服大手のはるやまホールディングスの東京支社に伺ったときのこと。夕方6時を少し過ぎたタイミングで話も終わり会議室を出たら驚いた。廊下からオフィス部分が見えるのだが、完全に消灯しているのだ。

 そこで気づいた。この会社が4月から「No残業手当」という制度を始めたことを。同制度では月間の残業時間ゼロを実行した社員に対して、月ごとに1万5000円を一律に支給する。しかし、まさかここまで忠実に実行されていたとは思わなかった。

 意識改革を行うために制度化して手当を与えるということだったが、まずは成功と言えるのではないか。あとは生産性をいかに高めていくか。同社の業績の推移を注視したい。

続くドライバー不足

 人手不足の中、ドライバー確保競争が熾烈化する様相だ。ネット販売の荷物の増加から、軽貨物のドライバーなどを囲い込む動きが見られるようになってきている。

 既存ドライバーの負担軽減のため、あるいは大手宅配会社が値上げに動いている中で商機と捉えてなどドライバー獲得を進める企業の狙いはざまざま。限られる人材の取り合いともなり兼ねない状況と言えるが、今後一層確保が難しくなるに違いない。

 輸送業界は仕事がきつく、拘束時間も長いというイメージが付きまとう。収入だけでなく休暇なども含めた待遇改善が進まないと人材を確保できないだろう。配送を委託する通販企業にとってコスト増は続くのだろうか。

衣料品不況の総合通販、家具・インテリアに勝機も

 顧客との結びつきが強い総合通販各社は、ユーザーの声を反映することで商品力を高められる家具・インテリア領域にこれまで以上に力を注いではどうか。

 「花形」とも言えるファッションカテゴリーは昨今、安価かつ投入頻度の高いファストファッションブランドや、「ゾゾタウン」に代表される圧倒的な品ぞろえと利便性などに強みを持つファッションECモールに押されて苦戦を強いられるケースが少なくない。また、トレンドの変化が早いファッション商材は常に一発勝負のようなリスクがつきまとう。その点、家具・インテリア領域は総合通販が得意な商品の改善・改良が生きやすく、顧客へのインタビューや座談会といった従来型のつながりに加え、ECの普及で商品レビューにもヒントが多く、翌シーズンの商品開発に反映させることで、毎年のようにブラッシュアップできるメリットがある。

 一方で、一般的に服よりも購入頻度が低かったり、配送面の課題や、リアル店舗を持たない通販企業が比較的に高額な商材を通販チャネルで購入してもらうには工夫が不可欠で、これまでにないような発信力、提案力も必要になりそう。そんな中、新しい取り組みとして注目されるのが、ディノス・セシールが10月2日に始めた家具・インテリアのレンタルサービス「フレクト」だ。ディノス事業で販売する家具を対象に、初めに販売価格の15%分の申込金と毎月3・5%分のレンタル料を徴収して希望者に最大3年間、家具を貸し出すもので、2年を越えた顧客は追加金なしにそのまま購入するか、申込金を返却してもらった上でレンタルをやめるかを選択できる仕組み。高額な家具の購入をレンタルという形で敷居を下げ、顧客は商品の良さや特徴を確かめながら購入を検討できるメリットがある。

 千趣会はMD改革の一環としてライフスタイル系商材を大幅に拡大する方針を打ち出しており、近く大阪・堀江にインテリアショップを開設する。詳細は明らかではないが、当該カテゴリーを強化する上で顧客とのリアルな接点が必要と判断したようで、インテリアショップは"実感・体感型"店舗として展開。インテリアの相談窓口を設けたり、購入する前に家具の配置などをシミュレーションできるVRも体験できるようにする。

 また、通販モールと家具・インテリアの小売りがタッグを組むケースも出てきた。ロコンドは9月26日、大塚家具が第一弾の出店者として参画する家具の通販サイト「ロコンドホーム」をオープンしたほか、セブン&アイも11月下旬にグループ外企業の商品を扱う「オムニモール」を新設し、中核ショップとしてニトリが出店する。

 坪効率などの観点から百貨店を中心に家具売り場が縮小する中、面積の制限を受けない通販チャネルは成長可能な領域と見られるだけに、独自商材に磨きをかけるとともに、斬新な売り方や見せ方に挑んでほしいものだ。

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