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楽天のID決済 会員登録機能の導入推進、チャージバック・分割払いで差別化

楽天が、楽天会員IDを利用したオンライン決済(ID決済)を強化する。同社では今年、決済サービスのブランドを「楽天ペイ」に一本化。ID決済については「楽天ペイ(オンライン決済)」として他社通販サイトへの導入を行っている。12月6日には分割払い機能の提供を開始するなど機能拡充を進めている。今後は登録された住所や氏名を外部サイトに引き継ぐ機能「IDコネクト」を浸透させたい考えだ。

 「楽天ペイ(オンライン決済)」は、外部の通販サイトにおいて、カード番号などを入力せず、楽天会員IDだけで決済が可能になるサービス。ショッピングカートを提供する会社や決済代行サービスなどと提携しており、導入サイト数は5000を超えた。

 11月1日には、不正なクレジットカード利用で行われた決済の取り消しが起きた際の損失を補てんするサービス「チャージバック補償制度」を導入。加盟店には自動付帯されるため無料で利用できるほか、月額50万円まで補償する。

 近年は不正利用防止のために、経済産業省などが「3Dセキュア」など本人確認の導入を求めているが、「3Dセキュアは登録しているユーザーがそこまで多くなく、離脱も懸念されるため、標準でチャージバック補償を用意した」(ECカンパニーペイメントソリューション事業課の石井宏子シニアマネージャー)。

 さらに、12月6日に分割払い機能の提供を開始した。導入店舗における、1件あたり1万円以上の決済件数が大幅に伸びており、高額商品を取り扱う加盟店が増えてきたことから、分割払いへのニーズが高まっていることから導入を決めた。

 導入サイトでカード支払いをする際に、3回・5回・6回・10回・12回・15回・18回・20回・24回による分割支払いが選択できるようになる。楽天ペイのオンライン決済導入サイトは追加費用なしで同機能を導入できる。同日時点での利用可能サイトは、眼鏡のJINS、ランドセルのセイバン、タイヤのフジ・コーポレーション、足袋のSOU・SOU。対応店舗は順次拡大していく予定だ。

 楽天ペイのオンライン決済の場合、アマゾンジャパンの「Amazonログイン&ペイメント」とは異なり、登録された住所や氏名を外部サイトに引き継ぐ機能は標準では備えていない。今年からは、会員登録を容易にする「IDコネクト」の本格提供を開始。同社によれば、今年IDコネクトを導入した複数店舗の導入前後30日の決済金額推移は、導入後に2・37倍になったという。また、IDコネクトを導入した宝石通販のGSTVでは、導入後の新規会員登録数は前年比35%増となり、新規会員登録者のうち、4人に1人がIDコネクトを利用したものだという。

 ただ、IDコネクトの利用社数は数十社にとどまっていることから、今後はカート事業者と連携することで導入企業を増やしたい考え。

 同社では、チャージバックや分割払いといった機能のほか、保有者が多い楽天グループのポイントサービス「楽天スーパーポイント」が利用できる点を通販企業にアピールし、アマゾンジャパンなどの競合との差別化を図る。

日本郵便 越境通販向けサービス拡充、米国で返品対応、中国向け新配送

 日本郵便が越境通販向けの配送関連サービスを拡充している。12月1日から米国で販売した商品の返品配送と、中国向けの通関業務なども含めて対応する新たな個人充て配送を開始。市場拡大が続く越境通販で返品や通関での手間を省けるようにし越境通販事業者の事業展開を支援する。

 返品配送は、日本郵便が出資する香港のレントングループで提供している海外転送・返品配送プラットフォーム「ZipX」を活用。ウェブ上で越境通販事業者(個人も可能)が登録すると利用できるもので、商品購入者から返品要請を受けた場合に返送先住所と配送ラベルを通知。購入者から返品商品が返送先の倉庫へ届くと、越境事業者へ商品の重量と状態、日本への配送費用を伝える。配送費用などはオンライン決済「PayPal」で支払う。

 越境通販での返品は市場拡大とともに増加し、特に米国で返品率が高いという。返送費用を顧客負担でなく事業者負担にすることにより顧客の手間をなくすサービスの要望が多く寄せられていることからサービスを開始することにした。越境通販で返品のハードルを下げることにより、事業拡大などに寄与できると見ている。

 同サービスは米国が第1弾で、米国のアマゾンやeBayに出品する事業者をターゲットにしている。今後は他国での展開も検討する。

 一方、中国の個人充て配送もレントングループを通じて実施。国際宅配便「ゆうグローバルエクスプレス」(UGX)を使い事業者側が関税を支払う「UGXクーリエ」と、レントングループが中国郵政と香港郵政と共同で取り組み関税を荷主と荷受人のいずれでも支払える「e―Express」の2つを用意している。

 日本郵便では10月16日からUGXを活用した別の中国宛て配送サービスに着手し、好評という。同サービスは昨年4月から始まった通常より税率が低い「越境EC総合税」を適用できるものだが、リスト掲載品目のみを対象にした上で事前の商品登録が必要なことや購入者のID情報などの提供も要することから、一部事業者にとって手間になるケースもある。そこで事前登録やID情報を不要とする新たなサービスを開始した。

 UGXクーリエは、関税をEC総合税でなく「行郵税」を適用。発送時のID情報は荷主のものでも可能で、現地での配達時に顧客からIDを通知してもらって配送できる。

 e―Expressも行郵税が適用されるもので、関税は荷主、荷受人のいずれかが支払うことを可能にしたサービス。関税の元払いが不要なときの配送に適しているという。また顧客のID情報の提供は原則不要となっている。

 新たな2つのサービスで適用される行郵税の税率は15%、30%、60%(商品によって異なる)。これに対し越境EC総合増税は11・9%(一般商品)、47%(高額品など)と行郵税より低率となっている。新サービスでの配送可能な商品は原則として郵便禁制品で、またUGXクーリエでは粉ミルク、本・雑誌なども可能という。

 日本郵便は「アメリカではクリスマス商戦、中国では独身の日に続く大型商戦日(12月12日)や旧正月に備えて12月1日のタイミングでサービスを開始した」とし、新サービスの需要に期待を寄せている。

アッカ・インターナショナル加藤社長に聞く 大和ハウスグループの成長戦略㊦ データ活用をさらに推進、アパレル以外にも領域拡大

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 前号に引き続き、アッカ・インターナショナルの加藤大和社長(=顔写真)に戦略などを聞いた。

 ――物流・フルフィル事業で求められているニーズや機能の変化は。

 「すべての機能やサービスがくっついてきていることだ。これまではAIやロボット、RFID、在庫連携などひとつずつが点でサービスインしていたが、それが線になればなるほど強さが増してくるような状況になっている。こうした状況に取引先も気づき始めているし、サービスを提供する側もニーズに応えていかないと取引先の満足度を高められない」

 ――点が線になっている背景は。

 「生産工場から消費者の手に届くまでの形が変わってきていることが大きい。無駄なものを作れないというマクロ的な市場環境と、消費者が商品を買うときのチャネルやスピードといった購買行動の変化もあり、商流の川上と川下の変化に商品の保管から流通加工、配送の形まで変わってくる。その際、もっとも利益率が高く、売り上げを上げるためにはデータを集めて活用することが必要で、各サービスが点ではデータを活用できない。であれば、点を線にしてデータを集められる器を作る必要が出てくる。当社単体ではできないが、大和ハウスグループの力を借りられることは大きい」

 ――アッカもデータ活用では強みがある。

 「データを集めるために在庫連携システム『アリス』を展開しているし、倉庫管理システム『ONE(ワン)』がAI搭載の無人搬送ロボット『ギークプラス』とつながっている。『アリス』はフロント寄りの機能で、取引先アパレル企業の在庫とささげデータを一括管理することで実際に在庫を預けなくてもファッションECモールで販売できたり、アパレル店舗のPOSシステムと連携すれば夜間の店頭在庫をECで販売できるなど、倉庫にある在庫の販売機会を増やすことに役立つ」

 ――倉庫管理システムについては。

 「取引先のオーダー情報を『ONE』が受け取り、いまはAIロボット『ギークプラス』の導入を進めているため、オーダーに対してロボットと人のエリアのどちらに指示を出せばよいかを判別して出荷を行う。今後は、商品の入荷時に『ONE』でスキャンすると通常の商品棚や『ギークプラス』用の棚、ロボット倉庫といった庫内のマルチツールを管理していく」

 ――AIロボットの注文度も高い。

 「中国のギークプラス社が開発したAIロボット『ギークプラス』は、無人搬送器が商品を保管している移動式ラックを持ち上げてピッキングステーションまで運んだり、入荷時の商品棚の移動を自動で行うため、倉庫の省人化と人手不足の解消につながる。日本では当社が初めて採用し、第1号クライアントとしてドイツの靴ブランド『ビルケンシュトック』の物流業務で本格稼働を始めたのに続き、靴を中心に5~6ブランドをAIロボットのエリアで扱っていて、実稼働している」

 ――得意なアパレル分野以外への展開は。

 「今後はアパレルを軸にしながらも、親和性の高い化粧品や生活雑貨、食品などにも領域を広げることが必要で、大和ハウスグループの力も借りて事業を一気に加速する。システム面では温度帯管理や賞味期限管理などにも取り組んでいる」

 ――今後の戦略で重視するKPIは。

 「当社単体の売り上げだけでなく、直接の親会社となるダイワロジテック(旧SCSホールディングス)の事業モデル構築や大和ハウスグループの拡大成長にも貢献したい」 (おわり)

アッカ・インターナショナル加藤社長に聞く 大和ハウスグループの成長戦略㊤ フルフィル機能を相互補完、取引先を一気通貫で支援へ

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 通販のバックヤード業務などを手がけるアッカ・インターナショナルは11月30日、全株式を大和ハウス工業のグループ会社であるダイワロジテック(旧SCSホールディングス)に譲渡し、大和ハウスグループとして新たなスタートを切ることになった。株式譲渡後も引き続きアッカの舵取りを担う加藤大和社長(=写真)に今後の戦略などについて聞いた。

――大和ハウスグループ入りの経緯は。

 「これまで、各方面から資本提携の話はあったが断ってきた。ただ、大和ハウスグループが目指す方向性の中であれば、当社が持つノウハウや力を十分に発揮できると思ったし、マーケットの変化に対応するためにも一気に事業をスケールさせる体制整備の必要性を感じていたタイミングとも合致した」

 ――ダイワロジテックはどのような会社か。

 「ダイワロジテックはフルフィルメント分野のインフラを担う企業体の持株会社で、大和ハウスグループの事業を加速させることに加え、大和ハウスの競合となる企業にもソリューションを提供するなど、親会社と一定の距離を置きながら成長している。当社単体ではフルフィルのプラットフォームとして欠ける領域があるが、ダイワロジテック全体で補い合える」

 ――グループには物流関連企業が多い。

 「物流システム構築のフレームワークスをはじめ、物流ロボットを手がけるGROUNDや、配車システムのHacobuなど大和ハウスグループが出資する企業は多く、実力もあるが、グループのサービスを押し売りされることはない」

 ――事業戦略の自由度はあるのか。

 「大和ハウスグループの一機能として使われるだけであれば参画しなかった。経営の自由度を持ちながら強い後ろ盾を得たということ。大和ハウスの樋口会長からは『自分たちも中小企業のスピリットを持ち続けているつもりで、アッカもやりたいことをやればいい。その姿を見て勉強させてもらう』と言われ、非常に心強く感じた」

 ――アッカの舵取りも引き続き任されている。

 「私自身のモチベーションはまったく落ちていない。むしろ、これまでは与信やキャッシュフローなど考えることがたくさんあったが、事業に集中できる環境が整った」

 ――自社サービスを横展開できるのか。

 「これまで自前で物流も手がけてきたため、例えば、そのノウハウをグループ内の物流企業に提供できるし、同時にグループ外の3PL事業者などにも展開していく」

 ――グループのノウハウで活用できる部分は。

 「大和ハウスの主力事業になってきている物流施設開発については、当社の既存取引先が倉庫を統合・拡大する必要がある場合、大和ハウスの力を借りて専用物流施設を提案できるなど、取引先の変化に対し、より広い視野で、かつ期待を上回るサポートを一気通貫でできるようになることは大きい」  

 ――プロロジスの施設に入居している。

 「千葉ニュータウンの倉庫には満足している。今後、当社がハブになることで、プロロジスさんと大和ハウスが一緒に次世代型倉庫を作ることもあり得るのでは」(つづく)


アスクル 損傷した物流拠点を売却、新築後に借り受け再稼働

 アスクルは11月20日、2月の火災で損傷し、現状、未稼働状態である埼玉・三芳町の大型拠点「アスクルロジパーク(ALP)首都圏」を東急不動産に売却する。現状有姿で98億円で売却し、全棟を解体し新築した上で、再びアスクルが借り受け、使用する。火災を機に「持たざる経営」に回帰する。

 「ALP首都圏」(所在地・埼玉県入間郡三芳町上富1163、敷地面積・約5万5062平方メートル)は火災で上部は焼失したものの、基礎部分や1階はほぼダメージを受けておらず、当初は自力で焼失部分を修繕して再稼働させる計画もあったが、火災の影響が将来的にどのような形で建物に出てくるのかわからないこと、また、最新防災設備導入や従来の拠点とは異なる施設設計として、例えば渋滞の一因となっていた「車両の出入り口の変更」など近隣住民から寄せられた従来の物流拠点への改善要望などを取り入れやすくできるなどのメリットを勘案して、自力での再建よりも不動産の専門事業者に売却し、新築された物流拠点を借り受ける形を採ることしたという。

 2013年7月に稼働させた「ALP首都圏」は「賃貸よりもランニングコストが格段に安くなる」(同社=当時)として約150億円で購入したアスクル初の自社所有の物流センターで、その後、福岡に新設した物流拠点「ALP福岡」(所在地・福岡市東区みなと香椎2‐2‐1、敷地面積・約2万4905平方メートル)も自社所有の形態を採るなどコスト面などでメリットの高い"自社所有化"を進めていたが、「ALP首都圏」の火災発生で「自社で物流拠点を保有しているリスク」を改めて検討。また、物流技術の進歩の速さやアスクルが進めている大手メーカーなどを対象とした物流業務の代行事業などを今後、さらに強化・推進していくためには"迅速さ"が重要で「今後、一切、自社所有の拠点を持たないというわけではないが、現時点では自社所有よりも所有形態を変えた方がメリットが高い」(同社)と判断し、現状、アスクルが稼働させている全国の物流拠点のうち、賃貸ではなく、自社で所有している「ALP首都圏」および「ALP福岡」を売却することにしたという。

 2つの物流拠点の売却は、東急不動産が出資する「三芳町プロパティーズ特定目的会社」および「香椎浜プロパティーズ特定目的会社」に「ALP首都圏」および「ALP福岡」それぞれを11月20日付で譲渡する形と採る。売却額は「ALP首都圏」が98億円、「ALP福岡」が106億円。なお、それぞれの拠点の帳簿価額は134億円と61億円となっている。

 2つの物流拠点の売却にあわせて連結子会社であるエコ配の完全出資子会社で7月に設置した物流施設のアセットマネジメント事業を行う専門会社、ecoプロパティーズ(本社・東京都港区、片地格人社長)の業務をスタートさせ、「ALP首都圏」の再生業務や管理、「ALP福岡」の管理などのアセットマネジメント業務を行う。同業務を行う専門会社をグループ内に持つことで、今回の2物件の売却についてもアスクルが支払う手数料などについて一部はグループ内で吸収できるメリットがあるほか、今後も物流拠点を借り受ける際に、極力、ecoプロパティーズを絡ませることで「賃貸料をただ払うだけでなく、利益が少しでも還元される仕組みを作った。もちろん、アスクルの物流施設ためでなく、他の施設のアセットマネジメント業務を積極的に行っていく予定で、ecoプロパティーズ単体でも収益拡大を図っていく予定」(同社)としている。

 なお、アスクルでは2つの物流施設の売却により、11月9日付で今期(2018年5月)の利益予想を上方修正した。「ALP福岡」の売却益44億円のほか、「ALP首都圏」においては、36億円の売却損となるが、火災損失引当金戻入額68億円を計上されること。また、ecoプロパティーズの稼働で新たな収益が見込めることなどから営業利益は前回予想を3億円上回る38億円、経常利益は同5億円上回る35億円、当期純利益は同25億円上回る40億円とした。売上高は3650億円と前回予想のままとしている。


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