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企業動向 Archive

楽天 「優良店制度」を開始、上位1%を優遇、マークを表示

 楽天は7月26日、出店者向けのイベント「楽天EXPO 2017」を都内で開催した。当日は、三木谷社長の講演のほか、楽天市場における下期の事業戦略を公開。同社が認定した優良店舗の商品を、仮想モール内検索で優遇する制度を始めたことを明らかにした。

 三木谷社長(=写真)は「ブランド」をテーマに講演した。「突き詰めるとインターネットもブランディングが重要。自分の店舗や商品のブランドを深く深く深く深く考えるいいチャンスではないかと思い、このテーマにした」(三木谷社長)。

 同社では7月、グローバルにおけるブランド浸透を図るため、コーポレートロゴを刷新するとともに、国内外で展開するグループサービスのロゴを「Rakuten」ブランドを核としたものに変更。スペインのサッカークラブ「FCバルセロナ」とのグローバルパートナーシップを展開する中で、各サービスロゴの共通性を高めるなど、一体的なブランド構築・強化を行っていくことで、国内外における楽天ブランドの一層の認知向上を図るのが目的だ。

 三木谷社長は「FCバルセロナと楽天の目指す方向性は近い。アマゾンは自分たちが売り、足りない部分を店舗が補う形だが、当社は店舗の皆さんに盛り上がってもらうやり方だ。つまり、皆さん一人ひとりが(FCバルセロナのスター選手である)メッシでありネイマールであるという発想で運営している」と店舗が主体である点を強調。FCバルセロナとの協業の意義については「チームを使ったブランディングをしていく予定で、海外でも楽天ブランドの認知は進むだろう」とした。

 これまで国内でも、プロ野球の楽天イーグルスやJリーグのヴィッセル神戸などを通じ、ブランド力強化を進めてきた同社。「楽天ブランドをグーグルやフェイスブック、アップルのレベルまで高めていく。単純に有名というだけでなく、哲学がしっかりあることが重要。モアザンなカンパニー、モアザンなサービスを推進していきたい。店舗が成功し、幸せになってもらうことが一番重要なポイントだ」(三木谷社長)。

 河野奈保常務執行役員は流通ランク上位の店舗数を公開。今年6月時点の月商1億円以上の店舗は159(昨年6月は135)、3000万円以上は735(同635)、1000万円以上は2236(同2162)、300万円以上は6033(同5863)で、成長が続いている。

 野原彰人執行役員と黒住昭仁執行役員は楽天市場における下期の事業戦略を説明した。同社では、店舗向けの「満足度アンケート」の結果を取り入れたサービス改善を進めており、下期はRMS(店舗管理システム)における商品情報更新の効率化や、無料通話アプリ「バイバー」を利用した新たなログイン方法の追加などを行う。

 出店店舗向けの電子掲示板「RON会議室」を刷新。楽天からメールで配信されたサポートニュースをウェブから確認できるようにしたほか、興味やジャンルが共通する店舗同士で集まって話し合うことができるよう、コミュニティー機能を追加。また、運営上の悩みや疑問点を解決するために、質問コーナーを設けている。

 昨年9月に導入した、店舗がルール違反を犯した際に点数を付与し、累積点数で違約金などの罰則を課したりする「違反点数制度」については「違反点数を加点された店舗は年間で2%に満たない。それも、意図して権利侵害品売るようなケースや、薬機法違反をするといったものだ。楽天市場のクオリティーは上がっている」(野原執行役員)。制度開始移行、低評価レビュー率は半減したという。

 一方で3月に「月間優良ショップ」制度を開始。これは、同社が認定した店舗(上位1%)の商品については、パソコン検索すると「月間優良ショップ」アイコンが表示されるというもの。今後はスマートフォン経由やスマホアプリ経由の検索でもアイコンが表示されるようにする。また、不審ユーザーの楽天への通報フォームの導線を強化しており、不審ユーザーからの注文については、受注画面で警告表示が出るようにした。

 店舗向け決済代行サービス「楽天ペイ(楽天市場決済)」については、4月から一部の新規店舗で運営を開始しており、8月からは既存店舗での導入が始まる。今後のスケジュールとしては、11月に導入を拡大、12には受注APIの仕様を公開する予定だ。

 スマホでの注文が多くなっていることから、商品情報の最適化を進める。これまではパソコンでの表示を前提としていたため、商品名の前に【3000円以上送料無料】【店内全品ポイント5倍】など、モール内検索で有利になるような販促がらみの情報を付加することが多かった。ところが、画面の小さいスマホで閲覧すると商品名が表示されず、離脱の原因となっていた。

 そこで同社では、データ最適化やサーチロジック強化などを進めている。商品登録ガイドラインを9月に公開する予定で、今後はこのガイドラインに沿った商品登録を進める。「商品登録の際に、どういった情報をどの項目に入力すべきかを明確にした」(黒住執行役員)。「送料無料」や「ポイント5倍」といったプロモーションの情報については入力する欄を分けるようにした。

 サーチロジック強化については、ガイドラインが守られた商品を検索結果の上位に表示する。商品とは無関係なキーワードの記載や商品ページでの隠し文字などを禁止し、表示する順位を大きく下げる。黒住執行役員は「買い物しやすいサイトにすることで、途中で離脱するユーザーのうち、少なくとも3割は購買に転換できるのではないか」と説明している。

野原執行役員に聞く「楽天市場の戦略」

「品質向上で流通増額」、不審ユーザー対策を強化

032.jpg  楽天の野原彰人執行役員(=写真)に、楽天EXPOで公開した楽天市場の下期戦略などについて、狙いを聞いた。(聞き手は本紙記者・川西智之)
 
――違反点数制度の導入で低評価レビューが減った。

 「店舗からはいまだに『罰金を取るのはどうか』という意見がある。ただ、結果としてクオリティーが上がったのは確かだ。一方で『処分が重すぎる』と意見があった違反については付与する点数の見直しを進めたり、新たルールを設ける際は一定の猶予期間を設けたり、現実的な着地を目指している。低レビュー減少とともに流通額も伸びているという事実もある」

――点数の累積で強制退店につながったケースは。

 「月1件あるかないか。ただ、意図的に違反をする店舗は前からあったわけで、当社はクレジットカード売り上げを抑えることができるため、制度導入でこうした店舗が儲からなくなったのは大きい」

――月間優良ショップ制度導入の狙いは。

 「アメとムチではないが、違反点数制度とは逆に、クオリティーの高い店舗についてはどんどん露出してもらう。何をもって『優良』とするかだが、基本的にはデータ分析ツール『R―Karte』の項目にある、顧客対応やレビュー数、配送遅延状況などの評価点による。月ごとに店舗は入れ替わるが、選ばれれば励みになるのではないか。R―Karteの評価点を見れば、どこを改善すれば良いのかが分かるので良い循環が生まれる」

――優良ショップに選ばれたことで、売り上げ増につながるケースもあるのか。

 「そうだ。認定されたことでキャンペーンをする店舗もあったし、差別化の大きなポイントになるのでは。何よりも、店舗がクオリティー向上への意識が向く点が大きい」

――不審ユーザー対策強化について、代引き注文したのに商品を受け取らないなど、悪質ユーザーの排除は店舗にとって重要なテーマだった。

 「店舗からは『配送業者から情報をもらえば規制できるだろう』との声もあったが、それは個人情報なのでできない。店舗が通報しやすい仕組みを作ることで、例えば複数店舗から同一ユーザーに関する苦情があれば、不審ユーザーと定義することができる。『楽天は店舗は取り締まってもユーザーは全然取り締まらない』というような声が出ることもあるが、そうではないことをメッセージとして示したい」

 「ここ数年、店舗の声を吸い上げる努力が弱かった部分はあると思う。RON会議室の刷新もその一環だが、店舗の声をきちんと取り入れていきたい」

――7月から象牙製品の販売を禁止した。

 「グローバル戦略を考えてのものだ。確かに、日本では街中で象牙の印鑑を買えるのだが、その説明では世界的には納得してもらえないだろう」

――有名店舗が他の店舗をコンサルティングする企画「R―Nations」も2年目に入った。初年度、月商1000万円という目標を達成した店舗はどの程度だった。

 「ほぼ半数はコミットラインを超えた。しかも、企画が終わってからも成長し続けている。ノウハウを得たことはもちろん、企画によるコミュニティーが生まれたことで、店長同士が刺激しあって伸びているのではないか」


――スーパーポイントアッププログラム(SPU)は流通額の伸びへの効果はあるか。

 「リテンション(既存客の維持)に効いている。SPUは楽天のヘビーユーザーならすぐ分かるが、ライトユーザーや新規ユーザーがメリットを理解するには時間がかかる。三木谷は漢方薬に例えているが、ようやく浸透してきたのではないか。ただ、新規ユーザーや会員ランクの低いユーザーに対する認知をいかに上げていくかは今後も課題となる」


タカミ 初の海外店舗出店へ、「プレステージブランド」の確立目指す

 3-1.jpg化粧品通販を行うタカミは7月21日、中国・香港に初の海外店舗を出店した。出店するのは、ラグジュアリーブランドを中心に扱う化粧品専門の商業施設「Facesss(フェイシス)」。「プレステージブランド」として確立を目指しており、今後もコンセプトが合致する「フェイシス」を中心に出店を検討していく。

 出店するのは、香港を代表する大型ショッピングモール、タイムズスクエア内に展開する「フェイシス」。主力の角質美容水「タカミスキンピール」をはじめ、サプリメントなどを除く化粧品の大半を扱う。専任のアドバイザー(美容部員)も配置。化粧水の前に使う「タカミスキンピール」の特徴など使用方法を説明しつつ、"プラスワン"のスキンケアの習慣化の浸透を図る。

 スキンケアブランド「TAKAMI(タカミ)」は、直接の卸ルートは持たないものの、中国の通販サイトやSNSで人気が高まっていた。香港では、特徴的な青い容器から「小藍瓶(シャオランピン)」の愛称で親しまれ、年々利用者が増加。これまでも海外から出店依頼が寄せられていた。

 今回出店を決めた「フェイシス」は、化粧品のラグジュアリーブランドや美容商品を扱うことを特徴にしている。今回の出店を含め、香港で3店舗目を展開している。

 タカミは今後の成長を目指す中で「プレステージブランド」として確立を目指しており、目指すブランドイメージと「フェイシス」のコンセプトが合致したことから出店を決めた。日本国内で定着しつつあるスキンケア習慣の海外での普及を目指す。

 国内でも複数の店舗でアドバイザーの配置を始めている。これまではロフトやプラザなどバラエティショップ、メイクアップソリューションでの展開が中心。アドバイザーの配置も一時的なカウンセリングイベントなどにとどまっていた。

 今年4月には、従来の百貨店やバラエティショップとは異なる化粧品売り場の構築を目指す「GINZA SIX」が都内にオープン。タカミも初めてアドバイザーを配置する店舗を出店した。6月にリニューアルした「銀座ロフト店」にも配置。通販顧客が対面でのコミュニケーションを求め来店する機会も増えており、既存店を含め店舗コンセプトと合致する場合は適切な使用方法や習慣化に向けてアドバイザーを増やしていく方向性を持っている。

 主力商品は、「タカミスキンピール」。2005年の発売から現在、月4万人以上の顧客が利用するロングセラー商品になっている。国内では通販のほか、ロフトやプラザなど30店舗に卸販売を行う。

ジュピターショップチャンネル 掃除機を1日で15億円超販売

 2-1.jpg通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)が6月4日に通販番組で紹介した掃除機が1日で15億7000万円を売り上げ、これまでの同社の1日あたりの1商品での販売額、12億円超を上回り、過去最高記録を更新したという。大幅な値引きによる価格訴求とテレビ通販に合わせた新聞広告出稿や地方局でのインフォマーシャルによる新規顧客の獲得などが奏功したようだ。

 1日あたりの1商品での販売額の過去最高記録を更新したのはコードレス掃除機本体に加えて、隙間ノズルなど特別な付属品を付けたセット「ダイソン フラフィ スティック&ハンディの1台2役!コードレスクリーナーDC74特別セット」。同商品は6月4日に放送した家電のみを24時間に渡って紹介する特別編成番組「オールスター家電祭 2017夏」でその日に最も訴求したい商品を紹介する「ショップ・スター・バリュー」などで繰り返し、合計11時間に渡って紹介したもの(=㊤写真は当日の番組の様子)。なお、当該商品は通常は税込9万1584円で販売するが、当日限定で58%引きの同3万7800円で販売した。

 同社によると当日は、当該商品を紹介するキャスト(番組司会者)および一緒に出演するゲストのダイソンの担当者は時間によって入れ替わりながらも、次の番組の担当者に自身が担当した番組について細かく情報を共有し、番組中で行うデモンストレーションの細かな改善点や注意点を引き継ぐことで次の番組放送時にすぐに反映、実行し、1日の中で何度も改善を繰り返したことなどにより、商品の訴求力を増すことができたなどとしている。

 また、当日は自局のテレビ通販に加えて、「DC74」および特番で同じく販売した空気清浄機能付扇風機「ダイソン ピュアクールTP00」を訴求するインフォマーシャルを地方局(地上波)22局とBS局3局で放送。また、同じく「DC74」をメインに他のダイソンの家電商品を複数点、紹介した新聞広告を全国紙(読売・朝日・産経・毎日)とブロック紙、地方紙の合計9紙に出稿したことで一定の新規顧客の取り込みにも成功した模様だ。

 「そもそもの商品力と緻密に練られた販売計画、臨機応変な生放送という強みを生かしたことに加え、新聞広告やインフォマーシャルでの物販が後押しした」(田中社長)結果、昨年12月4日に放送した24時間に渡って英家電メーカー「ダイソン」の商品を紹介する特番「24時間まるごとダイソン」で本体のカラーやセット組みの内容などが異なるものの、同じく目玉商品として紹介した「ダイソン フラフィDC74 特別セット」で達成したこれまで1日あたりの1商品での販売額の最高記録、12億8000万円を上回る15億円超という販売額をあげたようだ。

 6月4日当日の全体の売上高も好調に伸ばしたたようで、当日の日商は昨年11月1日に記録した過去最高日商である28億7000万円に次ぐ20億6000万円だったという。

 同社では今期の業績目標について、創業20周年の記念の年で様々な試みやイベントを行い、前年比2桁増と好調な伸びを見せた前期の実績を上回ることを目標に掲げているが、6月の「家電祭」のほか、5月に実施した「夏いち!大感謝祭」など特別編成の大型特番などの売り上げが好調で今期第1四半期(4~6月)の売上高は前年同期を上回っており、順調だという。また、第2四半期(7~9月)の出足についても「日によってバラツキはあるが、ならせば非常によい業績だった昨年並みには行っており、手応えはある」(田中社長)としている。

 今期の今後の業績については好調だった前期の中でも特に売り上げを伸ばした夏から秋口、つまり、8~11月の売上高が前年をクリアできるかが通期で前期超えを果たすための最大のポイントと見られており、このため、「11月までに向けて、社内で最も重要なプロジェクトとしてチームを立ち上げて商品や企画を練っている。(これらがどう売り上げにつながるかは)お客様次第で分からないが、前期に増えた顧客基盤は今期もそのまま維持できていることもあり、期待したい」(田中社長)とし、通期での前年実績超えについては「チャレンジングだが届くためにがんばりたい」(同)と期待感を示した。

再春館製薬所、新会社でテレマーケティング事業参入へ 「LTV」重視のセンター運営で差別化図る

 033.jpg化粧品通販大手の再春館製薬所が、テレマーケティング事業の外販に乗り出す。再春館製薬所は、1982年のテレマーケティングシステムの本格導入以来、テレコミュニケーションを軸にしたビジネスモデルで強みを発揮してきた。新事業では、累計900万人を超える顧客と築いてきた関係性の構築で培ってきたノウハウを活かし、効率性を追わず、「LTV(顧客生涯価値)」にこだわったコールセンター運営を目指す。

5年で10億円の売り上げ視野

 テレマーケティング事業は昨年10月に立ち上げた新会社、ヒューマンリレーション(本社・福岡市中央区、西川正明社長)を通じて行う。手がけるのは、「コールセンター事業」のほかにコミュニケーターや管理者の教育研修を行う「教育事業」、コールセンター体制の構築を支援する「業務支援(コンサルティング)事業」の3つ。

 コールセンターは現在、50席を展開する。コミュニケーター22人、管理者であるスーパーバイザー(SV)4人を含む従業員32人が在籍。従業員はすべて正社員として雇用しており、応対品質やカウンセリング力の熟練度を高めていく。取引先の拡大に応じて早期に100席の展開を視野に入れており、5年で10億円の売り上げを目指す。

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「再春館クオリティ」強みに事業展開

 コールセンター事業では、取引先ニーズに応じて少席数からのインバウンド、アウトバウンドの受託に対応する。対象とする商品は、再春館製薬所でノウハウを培ってきた化粧品や健康食品などリピート商品が中心。ただ、高単価、高付加価値の商品を扱ってきた経験を活かし、取引先ニーズに応じて幅広い商品を手がけていく。

 強みにするのは、再春館製薬所が独自のコールセンター運営で培ってきた「傾聴力」「応対品質」
カウンセリング力」だ。

再春館製薬所は、82年のテレマーケティングシステムの本格導入以来、これまで900万人を超える顧客と接点を持ち、これら顧客と継続的な関係を築くことを目指してきた。独自の教育研修で応対品質を高めてきたことで、リピートによる売上高の割合は年々増加。92年に83%だった割合は、14年に94%に達している(=表上)。2000年に28%程度(約6万人)だった5年以上の愛用者も今では6割(約20万人)を越えている。

 昨今、デジタルコミュニケーションは多様化し、コールセンター業界でもAIの活用などが注目されている。ただ、ヒューマンリレーションでは、高齢化社会の進展を背景に、今後も電話によるサポートに利便性を感じる層は一定数に上ると判断。声を通じて行うテレコミュニケーションでは、単なる注文といった機能だけでなく、顧客の悩みを捉えるなどの要素が重要になるとみる。

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 再春館製薬所で電話応対する「お客様プリーザー」(コミュニケーター)は、商品の受注だけでなく、個々の顧客に応じたアドバイス、潜在的なニーズや悩みを捉えるなど顧客に寄り添った応対が強み。ヒューマンリレーションでも再春館製薬所で経験を持つSVが複数人在籍するほか、コミュニケーターの研修でも一部で連携して実施。長年のテレコミュニケーションで培ったノウハウを積極的に取り入れていくことで、応対品質やカウンセリング力を高めていく。

 再春館製薬所がテレコミュニケーションを軸にビジネスモデルを構築してきた背景もあり、新会社もまずは受託する分野を「電話でのコミュニケーション」に限定。強みを最大限発揮できる分野で事業拡大を目指していく。

従来のセンターと一線画す運営

 特徴的なのは、時間短縮など"効率性"を重視しないこと。「コールセンターの代行事業では、いかに短時間で処理を行うか、効率的な運営に特化するところが少なくない」(松本隆明取締役事業統括本部長)と従来のアウトソーサーと一線を画すセンター運営を目指す。

 一般的に、コールセンターは、一人あたりの応対時間を短縮し、効率性を追求する。ただ、クレームのない正確な応対は、"事務的"なものにもなりがちだ。

 一方、ヒューマンリレーションでは運営にあたり、マニュアルやトークスクリプトに依存しない顧客一人ひとりに応じた応対品質を重視。単なる注文処理業務にとどまらず、顧客の潜在的ニーズを引き出すことで顧客満足度を高め、企業と永続的な関係を築くことを目指す。

 コミュニケーターの研修でも、一般的な企業情報や商品知識の習得にとどまらず、肌や身体の健康、老化のメカニズムなど関連する知識にまで踏み込んで習得する独自の研修で対応力を高めていく。これにより、顧客の離脱防止やクロスセルにつなげていく。顧客の性別や年代など属性ごとに潜在的ニーズを分析し、効果的なプロモーションの提案も行っていく。

教育事業、コンサル事業も開始へ

 新会社では、「コールセンター事業」のほかに、コミュニケーターやSVの育成に向けた「教育事業」も手掛ける。

 研修では、企業情報や商品知識の習得に加え、マーケティングやビジネスの基礎知識、関連する法知識や競合他社の商品を含めた知識、季節に応じた商品の使用方法の習得まで一貫して請け負う。これにより幅広い対応力を身につけることを目指す。

 応対品質でも、一般的な会話スキル、マナーだけでなく、個々のコミュニケーターの応対品質を評価することで個別指導を行う。行動心理学などの要素を踏まえ、顧客のタイプ別の応対方法も研修で身につけていく。取引先ニーズに応じてこれら「商品研修」や「トーク研修」「ロールプレイング」の実施で潜在的ニーズを引き出す質問スキルを身につけ、単なる"問い合わせセンター"の機能にとどまらず、顧客をファン化できるセンターを目指す。

 研修メニューは、1日~5日の短期コースから長期まで取引先の要望に応じて個別にカリキュラムを組むなど多様なメニューを揃える。

 また、「業務支援(コンサルティング)事業」では、数カ月から半年をかけ、取引先の要望に応じてコールセンターの立ち上げや改革などを請け負う。

 インハウスでコールセンターを運営する上で多くの企業が直面する課題が、「目指す姿」と現状のギャップ。応対品質のばらつきや業務の属人化、サービス範囲が限定されてしまうなどの課題がある。これら各センターの課題を抽出、現場調査や分析を行った上で、教育研修や評価制度の構築、業務マニュアルの整備による業務の標準化、窓口の受付時間の延長などの改善案の提案と実行までを支援する。

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新事業立ち上げの経緯と強みは

強みは「応対クオリティ」
潜在ニーズ捉え、信頼関係構築

テレマーケティング事業など通販支援事業に参入したヒューマンリレーションの松本隆明取締役事業統括本部長(顔写真㊤)と、荒木莉恵コンタクトセンター長(顔写真㊦)に、参入の経緯と自社の強みを聞いた。

参入の経緯は。

松本「再春館製薬所では外部の見学者を積極的に受け入れており、これまでもリピート率の高さや応対品質など、センター運営のノウハウに関心を持たれる方が多かっ
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た。これを事業化し、他社に提供できないかと考えた。事業化の検討を進める中で昨年4月、熊本地震でコールセンターが一時操業を停止した際、BPO対策の一環でセンター機能の分散を検討したことがきっかけにはなった」

強みは。

松本「一般的なセンターの運営では、いかに短時間で多くの処理を行うかという効率的な運営に特化するところが少なくない。トークスクリプトに沿った対応に注力し、事務的な対応になりがちだ。一方で、再春館製薬所ではこれまで、モノを売るというより『企業』と『お客様』の関係を考え、マニュアルに依存せず、潜在的なニーズを捉えるよう努めることで、お客様に信頼してもらえる応対を目指してきた。そこで培ってきた『応対品質』や『カウンセリング力』は、ほかのアウトソーサーにはない強みを身につけているのではないかと思う」

ただ、そうした部分は目に見える価値として捉えにくい部分ではある。

荒木「すぐに数値に現れる部分ではないが、再春館製薬所は9割を超えるリピーターに支えられ、5年以上愛用されるお客様が今も増え続けている。定期の継続や、顧客離脱に悩まれる企業も少なくないと思うが、お客様に寄り添った対応を心掛けることで最終的に長く続けてもらえる関係が築ければ価値を感じてもらえるのではないか」

コミュニケーターの研修も一朝一夕にはいかない。

荒木「研修でスキルを身につけることはできるが、マインドの部分を養わなければ目指す対応にはいきつかない。(再春館製薬所では)よく"誰がでても同じ対応だね"と言われるがマニュアルがあるわけではない。『対応の流れ』が同じなのではなく、お客様の話を興味を持って聞く姿勢、お客様の悩みに親身になってヒアリングするやり取りにお客様が"同じだ"と感じてもらえているのだと思う。目指す方向性があれば、個々のコミュニケーターの不足する部分を指導しつつ、応対品質やカウンセリング力は高めていけると思う。そこにお客様の性別や、タイプ別の対応などノウハウを組み合わせ、リピートしてもらえるような仕組みづくりができる」

松本「正社員雇用している理由でもあるが、商品だけでなく肌や身体の健康に関する根本的な知識まで深め習得できる体制を敷いている。必要に応じて再春館製薬所の業務も一部受託しつつ、力をつけているところだが、応対品質も再春館製薬所のきずなづくりをベースに個々のお客様に対応できる独自の研修を行っている」




オルビス・小林琢磨取締役に聞く ブランド再構築の行方

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オルビスは今年4月、通販カタログを刷新した。創業来、3度目となるもの。「商品価値の向上(商品リニューアル)」「コミュニケーション変革(販促制度の刷新)」などブランド再構築の成果を受け、顧客接点で重要な役割を果たすカタログ改革に着手する。一方で今第1四半期(1~3月)は減収減益で着地した。今後の成長戦略を今年1月、取締役商品・通販事業担当に就任した小林琢磨氏に聞いた。

カタログは刷新でどう変わる。

 「レスポンス重視のスタイルから『対話』を重視したものに変える。端的に言えば、キャンペーンなど購入を喚起する訴求を弱め、コピーも親しみやすさを演出したり、語りかける内容に変える」

 想定する読者は。

 「ブランド再構築の中でターゲットをより明確にしてきた経緯はある。中心顧客層である30~40代の顧客をより意識し取捨選択する部分はある」

 送付対象、発行部数(月平均200万部)も変えていくのか。

 「意図的に部数を減らすことは現状では考えていない。投資対効果を見極めつつ送る。ただ、新規獲得、育成を意識して媒体を使い分けるコミュニケーション設計は必要かもしれない。例えば、これまでは新規獲得の顧客に同じカタログを送っていた。ただ、どの顧客にも画一的にカタログを送ると訴求が散漫になる。ブランド再構築ではスキンケアを中心に事業ドメインを明確にした。LTVを意識すると『オルビスユー』で獲得した顧客には、まずブランドスイッチの高揚感があるうちにラインで使ってもらうための価値を伝えるコミュニケーションがあってもよい」

 コアターゲット以外の層のフォローは。

 「内容は普遍的なテーマも扱うためほかの世代に否定されるものではない。コールセンターを中心としたフォローも行うが、媒体は多少割り切りが必要に思う」

 ブランド再構築を経て収益性は向上した。ただ、今第1四半期は減収減益だった。評価は。

 「四半期の結果は、昨年、『オルビスユーホワイト』など大型商品を投入した反動、今年リニューアルした『アクアフォース』との相対的な単価の差など商品戦略上の要因に左右される。ただ、本質的な課題として、市場におけるブランドの存在感が若干低下していると認識している」

 ブランド再構築でコアな顧客との結びつきは強まったはずだが。

 「付加価値の高い商品が受け入れられ、既存顧客との関係は強固になり収益性は高まった。スキンケア中心の獲得でLTVも向上している。ただ、外部顧客とのコミュニケーションが閉鎖的なものに偏っている面がある」

 どういうことか。

 「例えば、早い段階でLINEによる新規獲得に取り組み成功した。中心ターゲット層はスマートフォンやSNSと親和性も高く、投資も集中させて効率は改善している。反面、LINEは『友達登録』を行っていない層とは接点を築けないクローズドのコミュニケーションではある。当然、LINEの外にもターゲットはおり、マス市場におけるプレゼンスの低下は既存顧客にも遅れて響いてくる可能性がある。クロスメディアマーケティングでターゲット層の生活導線において接点を増やしていく必要がある」

 外部顧客との接点をどこに築く。

 「一つの施策、CPOで効果を判断できない時代になって久しい。旧来の『通販化粧品』の考え方から脱し、ウェブやリアルを複合的に捉えクロスマーケティングを行っていく必要がある。評価も定性的な指標を含め、トータルで評価していく必要がある」

 テレビなどマス広告の展開も選択肢か。

 「すべての可能性を排除しないが、ターゲットとする層の価値観に有効かといえば、異なるのではないかと思っている」

 中間期の見通しは。

 「楽観視はできない」

 売上高500億円を超えて踊り場を迎えたが今後の成長戦略は。

 「500億を超えるブランドはいくつかある。薄利多売で面を取る、ターゲットを絞り収益性を高めるなど戦略次第で成長はできる。どちらかといえば後者だが、ターゲットを明確にし、セグメンテーションをいかに捉えるかでまだ成長できると考えている」

 「オルビスは顧客との関係性、購買行動の分析など自社リソースをベースに改善するダイレクトマーケティングには非常に強みがある。一方、ブランドが成熟期に入る中でいかに市場でのプレゼンスを高めるか。もう一度考える必要が出てきている」
     

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