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企業動向 Archive

アマゾンの生鮮品EC  レシピサイトから新客獲得、「クックパッド」など2サイトとレシピページに"購入ボタン"

3-11.jpg3-12.jpg アマゾンジャパンは運営する生鮮食品などのネット販売サービス「Amazonフレッシュ」の新規顧客獲得の強化に乗り出した。料理レシピ情報サイト2社と連携し、紹介するレシピで使用する食材を簡単に購入できるよう当該レシピページにアマゾンの商品購入ページに遷移するリンクボタンを設けた。レシピサイトとの連携以外にもミールキットの拡充など様々な施策を展開し、「Amazonフレッシュ」の新規顧客獲得をさらに強化していく考え。

 料理レシピ情報サイトとの連携は料理レシピ投稿サイト「クックパッド」(運営・クックパッド)とは4月16日から月額税抜280円を徴収する有料会員向けに毎週日曜日に旬の食材を使用した1レシピを1週間分の献立リストとして提供する「プレムアム献立」のページ上(PC・モバイルのブラウザ版のみ。モバイルアプリは未対応)に「食材をAmazonフレッシュで購入する」というボタンを表示し、ユーザーが同ボタンをクリックすると当該献立で必要となる肉や魚、野菜などの生鮮品や調味料などが「Amazonフレッシュ」の「買い物リスト」にすべて追加され、簡単に購入できるようにする試みを始めた(=上画像㊨)

 料理レシピ動画アプリ「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」(運営・エブリー)とは4月17日から、同アプリ(iOS11で対応。iOS9/11、iPad、Androidは未対応)で紹介した各レシピで使用する食材を表示した買い物リスト画面上に「Amazonフレッシュで材料を購入する」というボタンを表示し、同じくユーザーがクリックすると当該食材が追加された「Amazonフレッシュ」の「買い物リスト」に遷移させる試みを始めた(=上画像㊧)

 「デリッシュキッチン」とは同試みのほか、「Amazonフレッシュ」内で4月5日からスタートさせた毎週木曜に主菜と副菜のレシピをそれぞれ3品紹介する「今週のレシピ」でレシピ情報の提供を受けており、当該レシピページでは必要な食材をまとめて掲載し、そこから簡単に購入できる導線を設けた。

 料理レシピ情報サイトとの連携について「お客様の意見の中で『毎日、献立を考えるのは大変』というものがあった。(それを解消するため)献立やレシピ情報からすぐにそのまま買い物ができるようにした」(同社)とし、「Amazonフレッシュ」の利用者の利便性を高める狙い。また、「Amazonフレッシュ」の見込み客である各レシピ情報サイトのユーザーの新規購入のきっかけとしたい狙いもあるようだ。

 「Amazonフレッシュ」では新規顧客獲得や顧客から求められている"時短ニーズ"に対応して、2月下旬から料理に必要な材料などをセット販売するミールキットの販売にも着手。冷蔵品はデリア食品、冷凍品はタイヘイから提供を受けてスタート時点では8商品から始めたが4月時点では16商品まで拡充している。また、惣菜も拡充しており、現状の品ぞろえは200種類以上となっており、4月19日からはサラダ・惣菜の人気店「RF1」のパックサラダなど18種類の食品の取り扱いも始めた。

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 4月19日に都内で開催した「Amazonフレッシュ」のPRイベントに登壇した「Amazonフレッシュ」の事業などを統括する同社の白子雅也ディレクターは昨年4月のスタートから1年が経過した「Amazonフレッシュ」の現状について詳細は不明だが、「まだまだ小さなビジネスだが、着実にお客様の数は増えている」と会員数の推移(下写真)を示し、一定の手ごたえを得ていることを明らかにした上で「まだまだ知見も経験も足りないし、サービスもまだまだ改善の余地がある」(同社)とし、今年は新客開拓強化のほか、品ぞろえの拡充や価格の見直し、各種セールの実施など様々な試みを進めていく考えを示した。


楽天とビックカメラ 「楽天ビック」を開設、今夏にも当日配送開始

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 楽天とビックカメラは4月11日、楽天が運営する仮想モール「楽天市場」内に、家電の通販サイト「楽天ビック」を開設した。大型家電の設置や配送面などで利便性を向上させるほか、O2O関連施策も強化。さらには注文当日の配送や、両社による独自商品の開発も視野に入れる。楽天では、家電販売のサービスレベルを向上することで、流通総額の拡大を図る。一方、ビックカメラでは、楽天の持つ女性ユーザーを取り込むことで、ネット販売売上高の倍増を狙う。

 両社では、合弁会社として「ビックカメラ楽天」(出資比率はビック51%、楽天49%)と「楽天ビック」(同楽天51%、ビック49%)の2社を設立。前者はビックの秋保徹常務執行役員が代表を、後者は楽天の矢澤俊介執行役員が代表を務める。この2社が新サイトを運営することになるが、こうした形式を採った理由については「イコールパートナーであることを明確にするため」(楽天の広報グループ)という。

 新サイトは従来の「ビックカメラ楽天市場店」を刷新したもの。ビックの通販サイトとほぼ同数の約60万商品を扱う。大型家電の設置や配送などのサービスを強化。楽天の調査によると、「ネットで家電を購入しようとして途中で断念した経験がある」という人は約80%にのぼり、その理由としては「価格が高かった」以外にも「実際に商品を見て購入したかった」「配送設置に不安があった」が多かったという。「こうした問題を解決すれば、家電分野におけるネット販売化はより進むのではないか」(楽天の矢澤俊介執行役員)。楽天の強みである、ネット販売に関する知見と顧客基盤、ビックの強みである家電量販店ならではの商品力や配送網、店舗網を融合することで、楽天市場における家電購入のニーズを喚起する狙いだ。

 配送面では、東京23区などで今夏にも注文当日の配送サービスを導入。設置についても、購入時に日付指定を可能にして、専門の配送業者による設置・取り付け工事を行う。

 ビックと楽天の物流センターを連携させる。ビックの扱う商品のうち、小物については、今秋をめどに楽天の保有する神奈川県相模原市の物流センターから配送するようにする。また、楽天市場に出店する他の店舗がビックの配送網を活用できるサービスも導入する予定で、その際はビックの千葉県内の物流センターから大型商品が配送できるようになる。

 ビックの店舗を活用したO2O施策については、楽天ビックから店舗の展示や在庫がリアルタイムで確認できるようにした。また、将来的にはネットで取り置きして店舗で受け取れるようにする。

 ビック店舗には楽天の「楽天スーパーポイント」を導入。基本的には商品価格の5%を付与し、ユーザーは購入時にビックのポイントか楽天のポイントか、付与対象を選択する。また、6月中旬には楽天ポイントの利用も可能とする。

 商品面では、60万点から拡充する予定で、非家電分野の商材の取り扱いも強化する。価格については「(ビックの自社サイトと)差が出てくることもあるだろうが、ユーザーの声を聞きながら良い形にしたい」(ビックの宮嶋宏幸社長)という。

 また、独自商品も取り扱う。まずはビックグループの専売モデルとなるVRヘッドマウントディスプレイを楽天ビックで先行発売する。

 今後は、両社の強みを活かした独自商品を開発する予定で、「ビックデータを活用し、女性やさまざまな年齢層の人たち向けに、ユニークな独自商品を開発したい」(楽天の三木谷浩史社長)という。

 同日、記者会見した楽天の三木谷社長は「家電の雄であるビックカメラとコラボレーションできるのは非常に画期的なこと。運営は従来型よりさらに一歩踏み込んで、さまざまな新しい取り組みをやっていきたい。実店舗との連動や店舗受け取り、設置、当日配送にも積極的に取り組む」と話した。

 一方、ビックの宮嶋社長は「店舗における新規客の取り込みが課題。女性のファンが多い、9500万人の楽天ユーザーに来てもらえるのは大きい」と楽天と組んだ理由を説明する。

 同社の2017年8月期売上高は約7900億円、ネット販売売上高は約730億円だが、楽天ビックによるネット販売事業拡大と波及効果がグループ全体の業績向上に寄与するとみており、21年8月期の全社売上高は1兆円、ネット販売売上高は現在の約倍増となる1500億円を見込む。



「最安にはこだわらず」

コジマ・ソフマップとの連携も

【楽天・矢澤執行役員に聞く】


 
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楽天の矢澤俊介執行役員(=写真)に新サイト開設の狙いを聞いた。

 ――楽天市場の家電ジャンルでは、エディオンや上新電機といった他の家電量販店のほか、ネット専業の店舗も多数出店しているが、事実上、楽天の直販となる「楽天ビック」に対して、これらの店舗から不満の声が挙がる恐れはないのか。

 「『ネット販売で家電をもっと買いやすくしてほしい』という消費者の声に応えるためのサービスであり、当社としてはユーザーにとって良いサービスを出すことが重要だ。消費者の声に賛同してもらえる企業が他にもあるのなら、当社としてもいろいろな範囲で(協業を)検討していけると思う」

 ――価格戦略について、楽天市場内での値付けは。最安値にするのか。

 「必ずしも楽天市場内で最安値である必要はないと思う。ただある程度、消費者に魅力的だと思ってもらえる価格にはしなければいけない」

 ――ビックをパートナーに選んだ理由は。

 「さまざまな検討をしたが、店舗網やアフターサービス、当社に共感してもらえるかなど総合的な理由だ」

 ――非家電商品もかなり多いが、こうした商品も当日配送するのか。

 「当日配送については、当初は60万商品のうち限られたものになる。『買いにくい』という声が多かった大型家電の配送・設置サービス強化がスタートだが、商品数が多いというのも大事なこと。家電だけではなく、消費者が探している商品についても取り揃えていく」

 ――独自商品について。

 「型番を変えただけというようなものではなく、消費者のニーズを盛り込んだものを想定しており、ビックとメーカーと商品企画をいちから進めていく」

 ――ビック子会社にはコジマとソフマップがあり、楽天市場にも出店しているが、提携しないのか。

 「検討している。早ければ今年冬にも(ビックと)同様の取り組みができれば良いと思っている。店舗数は多いほうが受け取り拠点としての利便性が高い」

【ロコンド 中期経営計画を策定】 3年後に取扱高300億円計画、初年度赤字も広告投資拡大

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 靴とファッションのネット販売を手がけるロコンドは、今期(2019年2月期)からスタートする中期経営計画を策定し、3年後の21年2月期に取扱高300億円、営業利益30億円の達成を目標に掲げた(図表参照)

 同社は前々期(17年2月期)に初の黒字化を達成し、前期は運賃値上げがありながらも配送サービスを見直すなどして値上げ前と変わらない限界利益率を確保し、2年連続の黒字となった。

 加えて、ECの成長に不可欠な商品力とサイト力、オペレーション力が整い、上場で資金も調達したことで、「広告投資を行うフェーズに入った」(田中裕輔社長)と判断。3月から放映を始めたテレビCMやウェブ広告を強化して新規顧客を開拓し、取扱高は18年2月期の約95億円に対し、今期は前年比58%増となる150億円、来期は同50%増の225億円、3年後の21年2月期には同33%増の300億円を目指す。

 営業利益は、広告投資を積極化することで今期は10億円の赤字となるものの、来期は0円、3年後には30億円の営業利益を見込む。同社では、「いまはアクセルを踏むとき」(田中社長)とした上で、「3~5年後を見て営業利益や企業価値の最大化を図るのが使命だ」(同)としている。

 今期は、上期に取扱高60億円を計画。当該期はテレビCM効果で主力のEC事業の拡大を見込んでおり、CMを始めた3月単月の同事業の取扱高が前年同月比45%増(速報値)と好調なスタートを切ったという。

 下期は取扱高90億円を計画。CM効果が本格化する見通しに加え、ラオックスグループとの業務提携効果も見込んでおり、9月頃から傘下の靴ブランドの取り扱いが本格化するほか、"対ゾゾ同盟"を旗印にした競合ECモールとの在庫連携をベースにしたアライアンスも始まるという。また、ファッションブランドの自社EC支援事業も上期中に6社のサイトを開設する計画だ。

 ロコンドでは、広告投下による集客力強化に合わせてオペレーションの増強にも着手する。すでに、倉庫(千葉県八千代市)は昨年4月と8月に移転・増床して面積を約3万3000平方メートルに広げ、取扱高300億円までのキャパシティーを確保したが、今後の成長をにらんで現倉庫から車で5分の距離に第二倉庫(約5万2800平方メートル)を契約。20年4月に稼働を始める予定で、総面積は現在の2・5倍以上となり、中長期目標である「取扱高1000億円」に対応できるようにする。

 また、同社では投資事業をスタートしており、第1弾としてラオックスと共同でギフト販売大手のシャディを4月27日付で買収する。同件は投資事業会社を通じての買収で、出資比率はラオックス60%、ロコンド40%で、ラオックスの子会社となるためロコンドのPLにシャディの業績は影響しないという。今後、ロコンドが開発中の基幹システムをシャディに導入するなど固定費削減を徹底し、双方の商品の取り扱いやラオックス店舗との連携なども検討してシャディの業績回復につなげる。

 ロコンドはITと物流を内製化する強みを生かし、ファッション領域に限らずデジタル化やオムニ化で企業価値向上を実現できるM&Aを今後も模索していく。

 なお、ロコンドの前期業績は、取扱高が前年比18・4%増の94億9500万円、売上高は同37・3%増の39億7200万円、営業利益は同68・9%増の3億2600万円だった。主力のEC事業の取扱高が同25・9%増に、自社通販サイト「ロコンド」の取扱高は品ぞろえの拡充などで同27・4%伸長した。

【藤原尚也CMO兼web事業長に聞く ドゥクラッセのECとCRMの基本戦略は?】 今夏に基幹システムを刷新、新規開拓をウェブにシフトへ

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 DoCLASSE(ドゥクラッセ)は、EC事業強化の一環としてCCCや旧ガシー・レンカー・ジャパン、マードゥレクスなどでデジタルマーケティングを推進した藤原尚也氏を招へいし、ウェブの売り場再構築や組織作りを急ぐ。1月1日付でCMO(最高マーケティング責任者)兼web事業長に就任した同氏に、通販と実店舗の両チャネルで成長を続けるドゥクラッセグループのECやCRMの基本戦略などについて聞いた。

 ――紙媒体や実店舗も拡大中の企業でECを担うことになった。

 「これまではカタログの受け皿としてのECという部分が多かったが、時代の流れもあり、ECが中心の売り場作りを築いていく必要がある。ただ、カタログや新聞広告、実店舗の延長線上にある役割も大事で、お客様の動きと、当社が変化しなければいけない部分とのバランスをとる」

――CMOを兼務している。

 「ウェブでも買いやすくするという使命に加えて、会社全体を見ながら店舗やカタログのための売り場も作る必要があり、この矛盾にどういう時間軸で取り組むかが課題だ。そういう意味でCMOも兼務している。どういうお客様がいて、何を求めているのかをしっかりと分析し、いま必要なウェブの売り場を追求する。そのためには人材が不可欠で、売り場作りと同時に組織作りにも取り組む」

――売り場作りのスケジュールは。

 「8月に通販サイトのリニューアルを計画している。これまで何度もシステム刷新を計画してきたが、販売チャネルや顧客が多く、システムをとめられないということもあり、バックエンドの基幹システムからフロントまで含めたフルリニューアルを一気に実施しようとして頓挫していた。この手法を改めて基幹システムだけを切り分け、いまのフロントのECパッケージの仕組みに合わせて暫定的にスタートする。その間にフロントは専門のベンダーと組み、実現したいことに優先順位をつけ、3段階に分けて1年がかりで刷新する」

――組織作りは。

 「何をしたいか、なぜ必要なのかを分析し、4月中にECでも3カ年計画を策定する。目標達成にはどういう能力を持つ人が何人必要か、いつまでに必要かを逆算して社内の人材を配置したり、外部採用を行う」

――外部からの採用が必要な分野は

 「当社は服だけを売っているのではなく、価値を提供している。価値を提供し続けるにはデータをしっかり集めてタイムリーに分析し、アウトプットしていくことが大事で、全社的なマーケティングデータの設計には外部の人材も必要だ」

――CRMの部分は。

 「これまでは新聞広告を中心に新規会員を獲得してきたが、5年後も同じ効果が見込めるかと言えば厳しいだろう。すぐに効果がなくなる訳ではないが、その間に新規客をどこから獲得し、どのようにCRMを動かすかを固める。以前は新規獲得とCRMを動かしてリピーターを増やすことは分けて考えることが多かったが、いまは一本の線でつながってきている」

――期待のツールは。

 「LINEは新規獲得後のメッセージ活用も含め、一気通貫できるプラットフォームとして可能性を感じている。「ヤプリ」を採用して今年から本格運用を始めたスマホアプリも期待している」

――初期のアプリ運用で大事なことは。

 「マーケティングはシンプルであることが一番で、お客様もシンプルでないと使わない。当社の主要顧客は大人の女性で、多機能過ぎても使いこなせない。最初はクーポン機能に絞って何のためにアプリがあるのかを分かりやすくした。機能は徐々に追加すればいい」

――顧客に嫌がられない情報発信のあり方は。

 「情報自体にメリットがあるかどうかだ。毎日メッセージが届いても、価値のあることが書かれていれば見てもらえる。媒体の価値を高めるのは企業の工夫と努力次第で、情報発信をやめた瞬間、守りに入っていくだけだ。しっかりと情報を届けるためには複数のツールを活用して気づいてもらうことも大事になる」

――オムニ対応は。

 「お客様が欲しい商品をすべてのチャネルで買えたり、受け取れる仕組みや、お店で見て気になった商品を自宅でゆっくり検討できるようにしたい。例えば、タグにQRコードを付け、スキャンするとお気に入りリストに保存されるような仕組みを整備することも必要だ。アパレル商材は色・柄とサイズ展開があり、お店で気に入った商品があっても自分にぴったりのサイズ、色がそろっていないこともあり、そうした機会ロスは可能な限り減らしていきたい」

――重視する数字は。

 「新規獲得数とその効率性が大事だ。コストは必要なところにかけるが、効率を追求するにはCRMの観点が不可欠で、獲得したユーザーのLTVも重視したい」

【"商機"をつかめ ソーシャルテック①】 男性用育毛剤で成長、"薄毛"に対する価値観を転換

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 ネットの普及を背景に拡大する通販市場。一方、参入障壁の低下から大手や新興企業の参入が増加。競争は激化している。その中でどこに"商機"を見出すか。昨今、ウェブで盛り上がりをみせる市場が「男性用育毛剤」だ。中でも急成長を遂げる1社がソーシャルテック。その原動力はどこにあるのか。

既成概念を覆す

 「経営理念は、世の中のコンプレックスをなくしたいということ。"薄毛"といえばかつては商品を買うのも恥ずかしいという時代、イメージがあった。そうではないと。継続的なケアが大事だし、育毛ケアに対する抵抗感をなくすことを目指している」(秋山大介専務執行役員)。"コンプレックス商材"は、通販で人気の商品だが視点は少し異なる。悩みを持つ"ニッチ"な層にアプローチするのではなく、育毛ケアの啓発を通じて新たな市場の創出を狙う。

 同様の取り組みが知られるのが「スカルプD」を展開するアンファーだ。「シャンプー=髪を洗うもの」という認識が一般的だった時代、薄毛に悩む層に「頭皮を洗うもの」という提案で新たな市場を切り拓いた。

 眼鏡ブランド「JINS」を展開するジンズも同じだ。コンタクトやレーシック手術が浸透する中、眼鏡をかける層は減っている。だが、ブルーライト対策眼鏡「JINS PC」で、利用層を視力の悪いヒトからPC利用層に広げた。

 すでに市場に存在する商品であっても新習慣の提案や訴求の展開でその商品の持つ可能性は広がる。既成概念を打ち破ることで"商機"は得られる。

「競合も仲間」

 「育毛剤でライバルとなる企業も一緒に育毛ケアを当たり前のものにし"ケアしないことが恥ずかしい"という価値観を浸透していくための仲間と考えている」(同)。新興企業が大手に劣るのは資金力だ。参入当初に多額の投資を行うことが難しく、このため"定期縛り"など複数回の購入を条件にアフィリエイトの報酬単価を高め、ウェブでの露出を高めることを狙う企業が少なくない。一方でこのことが顧客トラブルの一因にもなっている。

 ウェブを中心に展開するソーシャルテックも主な新規獲得はアフィリエイト広告を通じたもの。ただ、男性用育毛剤「チャップアップ」で"定期縛り"は行っていない。顧客フォローなどCRM戦略でこれを補うこともあるが、競合他社とともに「男性用育毛剤」の広告露出を高めることで市場が創出されていくものとみる。

 かつて健康食品通販大手のテレビショッピング研究所がテレビ通販で「青汁三昧」の露出を高め、他社がこれに追随。一時低迷した青汁市場が大きく拡大した例がある。ソーシャルテックが目指すのも「育毛ケアの一般化」。その意味で、競合他社との共栄を目指す。

 2017年3月期の「チャップアップ」単体の売上高は約48億円(=表、本紙推計)。今期は育毛剤で50億円超、総売上高で80億円前後の売り上げに達するとみられる。ただ、主なターゲット層は25~40歳の比較的若い層。「薬用ポリピュアEX」を展開するシーエスシーは、中高年向けに展開しているとみられ、市場をすみ分けている。(つづく)

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