Home > 企業動向 Archive

企業動向 Archive

ファンケル中期経営計画 3年後に売上高1260億円、ブランド多角化で海外展開も加速

2-1.jpg
 ファンケル3年後に1260億円の売り上げを目指す。化粧品はブランドを多角化、健康食品はパーソナルサプリメントの発売による独自市場の創造に成長力を求める。20年度以降の継続成長を見据え、海外の本格成長に向けた布石も打つ。前中計で成長の原動力になった広告先行戦略を維持しつつ、収益性にもこだわり営業利益は126億円を目指す。3月23日、2018年度(19年3月期)を初年度とする中期経営計画の中で発表した。

 化粧品事業は今期、約649億円の売り上げを見込む。主力の「ファンケル化粧品」は国内売上高が450億円超となり、単一ブランドとして成長の余地が狭まる中、新ブランドを立ち上げる。

 現在の中心顧客層は30代後半から50代半ば。すでに手薄だった60代以降の女性向けに「ビューティブーケ」を立ち上げている。今春にはアラサー世代、19年にはアラフォー世代向けに低価格帯ブランドを立ち上げ、ドラッグストアなど流通ルートで展開する。海外はアジアで中国、香港、台湾、シンガポールのほか3~4カ国に進出。北米も来期に外部ECサイトに出店して再進出。グローバルブランドとして確立を目指す。

 
2-2.jpg
子会社のアテニアは今期に約110億円の売り上げを見込む。3年後にこれを150億円まで引き上げ、海外進出に向けた準備を進める。北米中心に展開する「ボウシャ」は今期に約30億円の売り上げを見込む。今後、欧州、中近東で展開し、3年後に1・5倍の売り上げを目指す。

 「ボウシャ」は、化粧品専門店のセフォラへの卸を通じて北米約1000店舗、アジア約300店舗で展開。今後、EUの計19カ国で約900店舗、中近東約50店舗に販売網を広げる。セフォラが進出していないイギリスは独自の販路を築く。

 健食事業は、今期に約355億円の売り上げを見込む。現在、国内売上高に占める機能性表示食品の割合は45%(昨年12月時点)。今後、「カロリミット」「えんきん」に続くスター商品として、中高年向けの機能性表示食品「内脂サポート」の展開を強化する。商品の統廃合も進め目的に応じて選びやすい商品体系にする。来期中に問診を通じて最適な健食を提供するパーソナルサプリも発売する。

 海外は、中国市場を最重要市場と位置付け展開。昨年、中国で免税店や医療機関の運営を行う中国国際医薬衛生公司と販売代理店契約を締結しており、3年後の事業化に向けた準備を進める。

 チャネル戦略では、自社通販で今夏に通販と店舗の顧客のデータ共有化を進めるほか、外部のビッグデータを活用してCRMを最適化する。直営店は、3年後に205店舗を計画(17年度末で197店舗)。内外美容提案をベースに、メーク強化型店舗など立地に応じて役割を明確化する。流通ルートは化粧品が1万2000店舗(14年度は7700店舗)、健食が6万店舗(同4万7000店舗)と拡大の余地が少なくなっていることから一店舗あたりの売り上げ拡大を図る。

 広告戦略は、年間70~80億円だった広告投資を前中計で150億円規模に引き上げた。今中計もこれを維持。「正直品質。」という企業スタンスを伝える企業広告と商品広告の両輪で進める。商品広告はネットへのシフトを進め、効率化によりねん出した費用を新ブランドの投資に充てる。



本格成長へ基盤固め

【島田和幸社長との一問一答

2-3.jpg
 新中計発表に際し、島田和幸社長は「売上高、営業利益とも当初目標に届かなかったがV字回復を果たした」と成果を口にした。

 前中計(15~17年度)で広告先行成長戦略に踏み切り、売り上げは14年度の776億円を底に回復。今期は1075億円を見込む。06年度に記録した1010億円を超え、11年ぶりに過去最高を更新する。一方、前中計を振り返り、計画が未達に終わったことに「足りないのは実行力」とも話した。

 今中計では既存事業の成長を維持しつつ収益性にこだわり、海外の本格成長に向けた基盤固めを行う。20年度に営業利益では、12年3月期に記録した115億円を超える過去最高益を目指す。3月23日の新中計発表における一問一答は以下の通り。

 ――前中計未達の背景に「実行力」の不足をあげた。要因と解決に向けた取り組みは。

 「15年度に広告先行戦略に舵を切ったが、それまで広告投資を先行できず、四半期ごとの利益を優先してきたことが一例。経営サイドの反省もある。(従業員の取り組みも)レベルは相当上がったが、まだ抜け漏れはある。(改善の)積み重ねと考えている」

 ――海外展開の狙いは。

 「既存事業の成長余地はまだあり、20年までの成長を支える。ただ、21年以降を考えると今から新しい芽を育てなければいけない。国内はOEMやBtoB事業など新規事業、海外は化粧品を全世界で、健食をまず中国で。3年後に海外売上高比率は11%(現在9%)、ハードルは高いが30年に25%を目指す」

 ――数値目標は売上高が3年で約17%増、営業利益は約63%増。試算の背景は。

 「本来、これだけ売上増があれば営業利益ももう少し伸びる。ただ、昨年から宅配運賃の値上げがあり、商品配送やカタログ・DM発送、出荷業務などトータルで年間15億円ほどアップする。地域限定正社員制度の導入で人件費も数億円増加するため営業利益は弱めの伸びとみている」

 ――新センター増設と今後の物流戦略は。

 「物流の課題は、『運賃値上げ』と『物量増加』の二つ。これをどう吸収するか。一つは昨年からカタログ発送部数を減らした。30代半ばまでのお客様はスマートフォン、PCの情報提供中心に3~4割部数を削減すると年間数億円の削減になる。また、4月下旬から一律100円の運賃をいただく。送料無料を止めた」

 「『物量増加』は売上拡大の影響。ピーク時に当日出荷できないケースが一部ある。現在、千葉県柏市に物流拠点があるが、3~4年以内に関西圏に新拠点を稼働させる」

 ――化粧品のアジア展開の販路は。

 「直営店中心に拡大する。とくに中国、香港はプレミアムブランドの位置づけ。高級百貨店でカウンセリング主体に展開する。ただ香港ではネット販売導入のテストを終えており取り組みは進める」

 ―この先3年間の設備投資の計画は。

 「製造関連で44、45億円。優先すべきは健食の供給能力の増強。化粧品はこの3年は既存3工場で対応する」

 ――化粧品の新ブランドと既存ブランドのすみ分けは。

 「中心顧客は30代後半から50代半ば。19年に予定するアラフォー向けは今の客層だが通販や直営店より手軽に、ドラッグストアで購入できるブランドを想定する」
 

ロコンド シャディの全株を共同取得、ラオックスと投資会社運営、ITと販路拡充で経営改善へ

 靴とファッションのネット販売を手がけるロコンドは、投資事業会社のLキャピタルトーキョー(LCT)を設立し、同社を通じてニッセンホールディングスからギフト販売大手シャディの全株式を20億円で取得することを決めた。併せて、LCTをロコンドの業務提携先であるラオックスとの合弁会社体制に移行し、ロコンドのITと物流インフラや、ラオックスと中国親会社によるインバウンド需要の取り込みや海外販売力を生かすことでシャディの企業価値向上に乗り出すことになった。

 株式取得に関する契約は3月26日に締結し、譲渡日は4月27日。ロコンドがLCTを通じてシャディの全株式を取得後、ラオックスがLCTの第三者割当増資を引き受け、LCTの持株比率はラオックス60%、ロコンド40%となる。ロコンドは業務のデジタル化やオムニ化を可能にする各種プラットフォームサービスの導入先拡充を図るとともに、シャディが生み出す利益を主力のEC事業に投下していく考え。

 シャディの2017年2月期連結業績(14カ月の変則決算)は売上高約706億に対し、営業損失が約8億円、当期純損失が約9億円と苦戦しており、今後、ロコンドとLCTの社長を務める田中裕輔氏がシャディの取締役会長兼経営改革プロジェクトリーダーに就任し、シャディの井原章善現社長とともに経営改革を迅速に実行する。

 シャディはロコンドのプラットフォームサービスや開発中の基幹システムを導入してシステム費用を削減し、業務の生産性向上を図るほか、2020年度までにシャディのEC売上高を50億円まで引き上げるという。

 シャディの経営改革プランの詳細は同社各拠点の実地調査も行って4~5月中に策定する。6月からは第1フェーズとして利益改善を徹底。システム内製化によるシステム費用の大幅抑制やオペレーション内製化による外部委託費用の抑制に取り組むことで月間1億円の固定費削減を図る。

 9月からは第2フェーズとして売り上げ拡大に着手。通販サイトの最適化やECチャネルの拡充、ファッションや電化製品など商品ラインアップの強化に加え、ラオックス店舗との連携も始めることでインバウンドおよびグローバル売り上げの拡大につなげる。

 ロコンドは昨年、日本事業を譲り受けたグローバルファッションブランド「マンゴ」で自社プラットフォームサービスをフル活用し、業務生産性の向上やECを軸とする売り上げ拡大策を展開。日本のEC売上高を前年比3・2倍にしたのに加え、黒字化にも成功したことから、今後はファッション領域に限定せずデジタル化やオムニ化で企業価値向上を実現できるM&Aを実施していくことを明らかにしていた。

 今回はその第1弾で、中国市場に強いラオックスの店舗網も加わることで、「シャディの経営を時代の最先端に引き上げたい」(田中裕輔社長)としている。

【北川拓也執行役員が語る"楽天市場の近未来像"】パーソナライズ化が強み伸ばす、人間はイノベーション創出に専念

2-1.jpg
 楽天の仮想モール「楽天市場」では、個々のユーザーにあわせてサービスを最適化する「パーソナライズ化」を進めている。先頭に立つのは、グループのデータを統括する北川拓也執行役員だ。楽天の目指すパーソナライズ化とはどんなものか。北川執行役員に楽天市場の近未来像を聞いた。

 ――楽天での役割は。

 「グループ全体のデータを統括しており、特にネット販売に関しては『店舗にデータを活用してもらいたい』という思いから、さまざまなデータを提供している。例えばアクセス解析ツール『Rカルテ』は店舗に分かりやすい形でデータを提供したいとチームのメンバーと共に考えて作ったものだ。『ページ診断サービス』は、商品ページのどこが優れているか、あるいはどこに改善の余地があるのか、ということをユーザーの行動から見つけ出して伝えるサービス。さらに、最近は『A/Bテスト』ができるツールをリリースした。設定さえすれば、以前のページと比べてどれだけ良くなったか、あるいは悪くなったが分かる」

 ――社内向けのデータ提供は。

 「当社のECコンサルタント(ECC)向けのデータ提供もやっていて、より高度なデータ分析を可能にするために『ECC BIツール』を作った。コンサルタントとしての力をさらに上げてもらうことが目的だ。ECCにはコンサルティングファームの人たちに負けないくらいの力を身につけて欲しい」

 「映画『アイアンマン』では主人公がスーツを身につけるとアイアンマンになるが、"データ"という"スーツ"を身につけることで最強のコンサルタントになれるようにしたい。最近は人工知能(AI)を使った自動化が注目を集めているが、ECCをエンパワーメントする、つまり人間の持つ力を高めるためのツール作りをしている。ECCは数字好きな人が多いということもあり、勉強会なども自分たちで開いて熱心に取り組んでいるようだ。会社の働き方を変えるという意味でもすごく良い取り組みだと思う」

 ――仕事の効率化が進んでいる。

 「それもあるが、『店舗のためになるコンサルとは何か』いう本質的なポイントを考えられるデータをECCに与えられるようになったことが大きい。今までより詳しいデータが見られるようになったことで『店舗はこの部分で困っていたのか』と分かるようになれば」

 ――それ以外には。

 「バックエンドの部分でも仕事をしていて、プロダクトカタログの整備もチームの役割。同じ製品なのに違う商品として売られているものをまとめたり、商品レベルでタグを付けて管理したりしている。楽天市場の場合『RANコード』というものを発行し、JANコードなどよりも細かく管理できるようにしている。とにかくデータを分かりやすく、きれいにしていくというものだ」

 「ユーザーがモノを探すときの『欲しがり方』は人によってかなり違う。『このブランドが好きだから』という人もいれば、『赤が好きなのでカラーを赤で統一している』という人もいる。モノを欲しがる理由は人によってさまざまで、コトに紐付いていることもある。データをきちんと整備してこそ、いろいろな軸から商品を探すことができるようになる」

 「もう一つ、コンピューターが理解できるデータ、これを『構造データ』というが、これにきちんと置き換わっているかどうかが肝になってくる。30年後にはAIが進化して、私たちの喋る言葉を理解する世界が来るのかもしれないが、5年先ではちょっと厳しい。とすれば、まだしばらくは構造データの必要性は変わらないわけで、ユーザーがモノを選ぶ際に重要な要素となる。さらに中期的にみると、AIが学習する元のデータともなる。ゆえに、プロダクトデータをきれいにするのはとても重要なことだ」

 ――楽天市場におけるユーザーの行動分析をどのような形で活かしているのか。

 「行動の分析から構造的なことを理解し、戦略を立てることに注力している。例えば、楽天市場においてどんなマーケットが伸びていて、どんなマーケットで競争が高まっているか。言い換えると、店舗に参入してもらいたいブルーオーシャンはどこなのか、もしくは苦戦するであろうレッドオーシャンはどこなのか。これらをユーザーの行動から導き出した上で、構造的に今のサイトの作りが良いのか悪いのかを分析する。ランキングやサイト内検索など、トラフィックを左右する機能は限られている、こうした機能はある一定のロジックで作られている。そうすると、それに当てはまるマーケットの商品は売れやすいが、当てはまらないマーケットの商品は探しにくく、売れにくいという、いわばひずみが見えてくる」

 ――そのひずみを解消するためにサイトの構造を変える。

 「最終的にはそうしなければいけないが、大きなシステムなのですぐに変えることは難しかったりするし、他の部分にひずみが出る恐れもあるので、簡単なものではない。『構造を変えたらこれだけ効果が出る』とまで言い切るのは難しいが、少なくともひずみが出ていることを役員に指摘するのは重要だ」

 ――最近は「ネットでのモノ売り」の構造が大きく変わりつつある。

 「ネットでモノを売るという商売全体の問題として、スクリーンサイズやユーザーインターフェイス、ユーザーエクスペリエンスに決められてしまっているというものがある。いくら多くの店舗にたくさん商品を売ってもらいたくても、画面が小さいと表示できる商品は限られてしまうわけだ。当社でも努力をしているが、まだまだやるべきことはたくさんあって、最近ではパーソナライズ化に注力している」

 「スマートフォン時代となり、画面が以前より小さくなった。インターネットの場合、検索ワードがとても重要なのは知られているが、検索ワードでトラフィックを取りやすいか取りにくいかという数字で見ると、この1年でみるとかなり取りにくくなってきている。プラットフォーマーとしては、こうした構造上の問題を解決して、たくさんの店舗が勝てる世界を作っていきたい」

 ――そもそもデータを活用することのメリットとは。

 「本来は価値があるのに、まだお金になっていない分野を見つけ出せること。パーソナライズ化とは『本当はこの商品はこんなユーザーに価値をもたらすのに、まだ顕在化していない』というニーズを見出して提供することにつながる」

 ――楽天市場ではこれまでどのようにデータを活用してきたのか

 「初期において重要だったのはランキングやレビュー。データを集めてきて、ユーザーに見てもらうことで効果を発揮するというシンプルなやり方だ。次に重要性を増してきたのが検索。そこからさらに進んで『適切な人に適切な商品を見せる』という世界を作る、つまりパーソナライズ化がカギになってきた」

 ――パーソナライズ化が進めば新規客も獲得しやすくなる。

 「サイトが大きくなればなるほど、単にA/Bテストを繰り返すだけだと、ヘビーユーザーのテイストに寄っていく傾向がある。いろいろなユーザーがいる中で『A/Bテストを実行した時期的に、偶然ある商材が売れる条件が整っていた』などの理由から、一度傾向が強く出ると、A/Bテストによって加速されていくことがある。つまり『本当はすごく伸びるはずなのに、いまいち売れない』というセグメントが出る恐れがある」

 「そこで、適切なセグメントに適切なユーザー体験を提供するということが、パーソナライズ化の成しうる力だ。セグメントに適したユーザーがあまり多くなかったとしても、パーソナライズ化が進めばそのニーズを捉えることができる。当社では、最適な商品価格設定やクーポン配布を可能にする仕組みを導入しているが、今後は『どんな顧客が商品を欲しがっているか』を加味するようになると、もっと進化するだろう。ヘビーユーザーといっても、限られた店舗で買っていることが多いと思う。今まで利用したことがない店舗でも買ってもらえるようにすれば、店舗はもっと成長するはずだ」

 ――楽天市場内での回遊性も高まるわけだ。

 「各店舗や各サービスがそれぞれ独自にユーザーを獲得しようとすると、コストは非常にかさむ。楽天市場というサービスが獲得したユーザーが、各店舗を回遊するような仕組みを実現することが理想だ。『楽天スーパーポイント』を使ったポイント経済圏でそれを進めているわけだが、『テイストベース』というか、『顧客一人ひとりが興味を持っていること』という軸でつなげていく。楽天市場の強いところは『モノ』ではなく『コト』を重視して買い物をするときに、ジャンルのクロスが起こりやすいことだ。例えば、バレンタインデーのように、人への想いを伝えるイベントの場合、プレゼントはチョコレートでもいいし、iPhoneケースでもいいわけで、ジャンルが限定されているわけではない。そこで、今まで食べ物ばかり買っているユーザーに対して、『バレンタインにはiPhoneケースもおすすめ』と提案すれば、『今まで食べ物ばかり買ってたけど、他にもいいものたくさんあるよね』と気づいてもらえる。こうしたことを、イベントにあわせてできるというのは、ユーザーがモールを回遊する非常に良いきっかけになる」

 ――今後の取り組みについて。

 「パーソナライズ化を進化させるのは前提だ。今、広告の世界ではネイティブ広告が主流になっており、コンテンツでない広告は見てもらえなくなりつつある。ユーザーにとって興味がある内容であれば広告はコンテンツになりえる。その一方で従来型の広告らしい広告には手を出さなくなっている。ユーザーの『時間』という資産をいかに大事にできるか、ということがどの企業にとってもここ数年の重要な課題になるだろう。適切なユーザーに適切なコンテンツを見せるという部分のテクノジーは進化させなければいけない。それができないと、競合に負けてしまう可能性は十分にあるので、そういったメディアになる必要がある」

 ――会社としてはAI活用も課題として掲げている。

 「私たちがやろうとしていることの一つは、ビジネスプロセスの自動化だ。例えばグーグルの『アルファ碁』を見ていて面白いのは『100%の自動化と80%の自動化は雲泥の差』であること。例えば店舗に登録してもらった商品ジャンルの分類は間違っていることがあって、現段階では私たちが手動で直している。機械学習やAIはあくまで補助であり、人間に対して提案する程度にとどまっているが、これはこの1、2年で逆転させるべきだと思う。機械が全部決めて、万が一間違っていたときには人間が直すという構造にするべきで、これを実現するために必要な精度は何%であるべきかを考えて、システム設計をしてほしいという話をメンバーにしている」

 「これが『100%か80%か』という話につながって、今のAI活用はバックエンドのデータをきれいにするというような役割だが、だんだんフロントに近い場所で活用していく。商品説明文を自動で修正し直すというような技術も出てきているから、AI活用はさらに進むだろう。『ユーザーに魅力的な商品を提案する』というのは、囲碁における『次の一手』に似たものだ。AIの提案が良い買い物体験につながる場合もあれば、あまり良くないこともあるので、うまくいくカテゴリーを見つけ出すことができれば、パーソナライズ化がより高度なレベルで実現できるはずだ」

 ――AIが進化した世界での人間の役割とは。

 「コンピューターは感情がないので知性が伸びない。人間はそれを進化させるのに力を使うようになるだろう。人間はイノベーションを起こすことだけに時間を使うようになって、オペレーションはAIが実行する。これはとても健康的なことでは。ユーザーの新しい欲望や世界観が出てきた時に、それを捉えるのは人間の仕事になるわけで、店舗がそういったことに集中できるようにできればベストな未来。ECCに関しても、店舗のことを深く理解して、店舗と一緒に仕事をするようになる」

 ――三木谷社長は「楽天市場は自動販売機ではない」と強調している。パーソナライズ化をどのように競合との差別化につなげるのか。

 「ユーザーの文脈にあわせてより良い商品を提案することが大事だと思っている。パーソナライズ化は人とモノ・サービスのマッチングだが、モノやサービスを揃えるのは誰かということ。楽天市場の場合は店舗などパートナーに頼る部分も大きい。そのため、モノ・サービスの多様性が出てくる。パーソナライズ化を大事にするべきだという私の主張は、パートナーのビジネスや気持ちを重視するという当社の考えにフィットしているから。いくら人を集めてきたところで、モノやサービスの多様性がなければうまくマッチングできない可能性は高い。モノやサービスを作るには思い入れがなければいけないし、さまざまな価値観もないといけない。一つの企業・文化で運営していくのではなく、多様な価値観を持つパートナーが提供するモノ・サービスに人をマッチングしていくことが楽天らしさであり、ユーザー・パートナーともウィンウィンの関係が作れるのではないか」

【GDOのネット販売戦略とは㊦】 独自商品展開し差別化、課題の配送料にも対策図る

3-1.jpg
 ゴルフ用品のネット販売などを行うゴルフダイジェスト・オンラインが引き続きリテール事業の拡大を目指す中で、最初の課題となっていたのが配送料値上げ。これについても今期から対策を図っている。これまで通販で購入金額2000円から商品の無料配送を行っていたが、1月16日からは「1注文で送料324円」という方式に変更した。

 昨年以降、通販業界では送料無料となる購入金額を1万円などに押し上げて対応するというケースが見られている。「クラブは高額だが、毎月買われる商材ではない。ウエアやアクセサリーは購入頻度が高いが1万円には中々届きにくい。そのため、全員から少しずつ頂くという考え」(顔写真=のリテールビジネスユニット渡辺貴正ユニット長)とする。

 324円という送料の値付けに関しても、600~700円程度の配送料金が主流となる中、新規の顧客に配送料金を理由に敬遠されず、ゴルフクラブやゴルフバッグなど大型で持ち運びにくい商品の配送代金としては適度に妥協できるという想定で選択した。結果的に料金変更後も顧客数が減るということは起きていないようだ。

3-2.jpg
 また、商品面での差別化に向けては独自商品の提案が大きな鍵となる。1月中旬には日本での独占販売契約という形でゴルフクラブのグリップエンドに取り付けることができるIoTガジェット「Arccos 360(アーコス サンロクマル)」(税別価格3万1800円)を発売した。全てのショットをリアルタイムにトラッキングし、ラウンドデータの統計を分析することができるという。

 「デジタルガジェットは当社の顧客に親和性が高く、発売以降、想定以上の売上げとなっている。メーカーにあるものをただ売るのではなく、我々がメーカーに近しい立ち位置となる取り組み」(渡辺ユニット長)とした。

 そのほかPB商品としても、ウエアで「GDOオリジナル」を販売。今後はアパレルブランドとのタイアップ企画で新たなネーミングで展開することなども考えている。「PBは『この人たちに売る』を明確にしないとだめ。マスでやって大手と競合するのではなく、どこを取りに行くのかを重視。その上でエッジの効いたものをやらなくてはいけない」(同)とした。

スマホからの集客も強化へ

 集客の観点での今期の大きな課題はモバイルの強化。昨年6月にアプリをリリースして売り上げは伸びてきたが、今期はスマホのブラウザ改良にも投資していく。ゴルフクラブはその特性上、商品の解説文が長くなりPC画面での取り扱いに向いている。一方でアパレルなどはそこまでの解説が不要なことから、モバイルとの親和性はあると見ており、さらなる伸びを期待している。

 そのほか、サイトでのレコメンドのテコ入れも検討。現状の通販サイトでは過去の購入商品と同じジャンルを再度レコメンドするような場合もあり、次への購入に上手くつながらないケースもあるという。「ECは検索重視なので商品ジャンルで売り場が分かれてしまう。実店舗では靴を買った人にまた靴を勧めるのでなく、同じブランドの『マーカー』などを組み合わせで勧めることもできる」(同)と説明。今後は通販サイトでも商品ジャンルを超えてレコメンドできるような仕組みを取り入れる考え。 (おわり)

ロコンド 対ゾゾ同盟を今夏にも始動、競合モール間で在庫共有化、販促強化やロコンド店舗も

2-1.jpg
 靴とファッションのネット販売を手がけるロコンドは、ファッションECの取扱高で第2位を目指すとともに、"対ゾゾタウン同盟"を今夏にもスタートさせるべく、競合ファッションECモールと在庫共有化をベースにした業務提携を進める。

 ファッションEC市場ではスタートトゥデイの商品取扱高が2120億円(2017年3月期)と圧倒的で、2位グループの丸井やマガシーク、クルーズは200億円前後と大きく引き離されており、「第2位の企業がある程度のスケールを持つことは市場の健全化に必要なこと」(田中裕輔社長)とし、自力での事業規模拡大に加えてゾゾに対抗できるファッションEC同盟作りに向けて動いているという。

 参画企業を狭めないよう、まずは業務提携の締結を目指す。その際、取引先ブランドは在庫の分散を嫌うため"在庫共有化"をキーワードに、ターゲット層が近いモールとの同盟を推進する。モール間で在庫共有することで、互いの品ぞろえを補完。購入者への商品発送は在庫を持つモールが行って横持ちの時間を省き、在庫連携であってもすぐに出荷できる体制を構築するという。また、商品撮影などの"ささげ業務"も各モールが行う現状の非効率を解消したい考え。

 ロコンドでは競合モールと比べて弱いアパレルカテゴリーの強化が図れるメリットもあり、「数年後にはゾゾさんが販売しているブランドの7~8割をカバーできるイメージ」(田中社長)とし、同社では自力の成長と同盟の成果で当面は前期(18年2月期)見込みの取扱高100億円に対して300億円超を目指す。

 同盟を広げていくためには、「自分が前面に出なくてもいい。ファッションEC業界の坂本龍馬になれれば」(田中社長)としている。

 同時に、ロコンドは自力での事業拡大にも力を注ぐ。主力のEC事業では、得意の靴をキラーカテゴリーに、21日間返品無料サービスを通じた"自宅で試着できる通販"のコンセプトや、30代後半~50代前半という主要顧客層、アフォーダブル・ラグジュアリー(手が届く高級品)を競合との差別化ポイントに掲げ、ファッションECで第2位を目指す。

 今期はプロモーションを強化する計画で、3月10日からタレントのデヴィ夫人を起用したテレビCMを関東・関西を中心に放映。4月からは全国にエリアを広げ、来年1月まで全11パターンのCMを年間1万GRP(延べ視聴率)の規模で投下し、自宅で試着できる通販の認知を高める。

 また、オンライン広告の強化にも着手。今年3月は前年同月比で約4倍の費用を使ってウェブ集客を図る。

 顧客接点拡充の観点では実店舗も活用する。昨年4月に事業継承したスペインのブランド「マンゴ」の原宿店を3月9日に「ロコンド トーキョー」として大幅刷新(画像)。通販サイト「ロコンド」のセレクトショップという位置づけで展開する。現状、アパレルは主に「マンゴ」の商品を展開しつつ、"アフォーダブル・ラグジュアリー"にふさわしいインポートブランドを販売する。

 同店舗ではロコンドが開発した店舗欠品フォローシステム「ロコチョク」や店舗用POSレジシステム「ロコポス」などのプラットフォームサービスをフル活用し、EC・店舗間の在庫と情報の統合を通じてECを軸とする売り上げ拡大を図るとともに、在庫回転率や業務生産性など収益性向上も実現するEC企業ならではのオムニ戦略店舗を目指す。

 また、集客力強化に合わせてオペレーションの増強にも着手。倉庫は入庫レーンをこの1カ月で従来の3~4倍に拡張し、1日当たり5万ピースを処理できるようにしたほか、スタジオの撮影レーンも増強した。倉庫の保管能力は、昨年4月と8月に倉庫を移転・増床し、約3万3000平方メートルの面積を持つが、第2倉庫の計画についても近く発表するという。

 EC事業以外では、ブランドの自社EC・倉庫支援や店舗欠品フォローシステム、POSレジシステムなどのプラットフォーム事業を展開しているが、今後は基幹システムの提供も始め、取引先のオムニ戦略を高い費用対効果で実現できるようにしたい意向で、2月に業務提携したラオックスグループが導入する予定という。

< 2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12

全ての記事一覧

Home > 企業動向 Archive

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ