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企業動向 Archive

スクロール 3年後売上高1千億円へ、新中計を策定、ネットは自社サイト強化

 スクロールは、2019年3月期からスタートする3カ年の中期経営計画を公表した。ネット販売事業においては、既存事業のブランド再構築を図るほか、商品調達力を強化することで収益力を強化。化粧品・健康食品事業については、ブランド認知向上に向けたプロモーションを展開する。最終年度となる21年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比で60・8%増の1000億円、営業利益は同276・1%増の49億円、経常利益は同242・9%増の50億円を見込む。

 同社では17年3月期から3カ年の中期経営計画を策定していたが、昨年シニア向け個人通販から撤退するなど、経営環境が大きく変化したこともあり、今期をスタートとした新たな計画を定めた。堀田守会長は新しい中期経営計画について、「最初の2年間は達成できるという確信のある予算だが、最終年度の数字は"複合通販"というコンセプトを押し進める中で、大きな飛躍を遂げる新しいビジネスが出てくることを期待して設定したものだ」と述べた。

 生協事業を中心とした通販事業においては、これまで展開してきたアパレル・雑貨の拡大を図るとともに、化粧品・健康食品や医薬品など商材拡大による成長を目指す。また、旅行など体験型の"コト消費"関連サービスも提供する。

 個人向け通販となるeコマース事業では、大手仮想モールで知名度の高い店舗を運営する子会社を複数抱えており、利益に直結する商品調達力を引き続き強化するほか、楽天市場など仮想モールの店舗だけではなく、自社通販サイトの売り上げ増に向けて、ブランドを再構築する。

 同事業では今年、ミネルヴァ・ホールディングスを買収。5月には同社子会社のナチュラム・イーコマースと合併し、社名も「ナチュラム」に変更している。アウトドア用品専門の通販サイトを運営するナチュラムの顧客は男性が約90%。これまで女性顧客が中心だったスクロールグループにとっては新たな顧客層となるため、今後は男性向け事業も強化していく。

 化粧品・健康食品の健粧品事業では、収益バランスを取りながら、ブランド認知・浸透に向けたプロモーションを実施する。すでに、ナチュラピュリファイ研究所の24hコスメは欅坂46の平手友梨奈さんを、T&Mの「TV&MOVIE」は女優の中谷美紀さんをブランドミューズに起用している。

 代理店や大手小売りと連携を強化することで、配下店舗を拡大。また、オフィシャルサイトの刷新や、大手仮想モールへの出店も行う。さらには、越境ECや海外卸販売など、グループの資産を使った収益モデルを構築する。

 ソリューション事業は物流拠点の拡大を計画しており、20年3月期中には新たに関東地方の物流センターが稼働する予定。越境EC関連では、新たに子会社となった成都インハナを活用してサービスを強化する。物流代行に関しては、消費者が通販サイトで購入した商品が、全国のファミリーマートで受け取れるようになるサービスも5月に開始している。

 各社の業績に大きな影響を及ぼしている、配送料値上げについては「通販事業は生協による共同配送なので影響はほとんどない。eコマース事業については、顧客に値上げ分を転嫁していくことになるので、厳しい状況だ。ソリューション子会社のスクロール360では、ネット販売企業の配送を約80社受託しており、宅配会社との契約は同社が行っている。昨年12月~3月までの間にクライアントと交渉し、全社値上げを受け入れてもらった」(堀田会長)という。

【売れるネット広告会社とFID 「コンバージョン」なき論争㊤】 和解も法廷外論争、売れるネット「完全勝利」と喧伝

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 売れるネット広告社(以下、売れるネット)とFIDは今年4月、和解が成立した。売れるネットの商標権などを侵害したとして福岡地裁に差止請求していたもの。だが、和解の解釈をめぐり、法廷外で売れるネットは実質勝訴を主張している。互いに販売企業の商品を購入など「コンバージョン」という最終成果に導くのが仕事だが、論争は両社のプラスになるのか。

 売れるネットが問題視していたのは2点。一つは、同社のLP等制作ツール「売れるネット広告つくーる」の特徴的な機能である「確認画面でアップセル」という文言が、FIDのショッピングカートASP「侍カート」に関する営業ツールの説明文で使われていたこと(=画像)。売れるネットは「確認画面でアップセル」という文言を商標登録していた。

 もう一つは、「侍カート」を使い、制作されたLPが、「売れるネット広告つくーる」を使って制作したLPに酷似していたこと。昨年5月、これら行為が商標権、著作権の侵害にあたると損害賠償を求め提訴した。

 ただ、訴訟はFIDに商標権、著作権の侵害、不正競争防止法違反にあたる行為がなかったことを認める和解で決着。原告も請求を放棄した。

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 FIDは「侵害がない事実が認められ、これ以上争う必要がなく和解した」(和田社長)とする。

 だが一方の売れるネットは、「解釈が異なる」と反論。和解内容も「説明文の変更に応じ、商標を守るという当初の目的を完全に果たし勝利した」(同社発表資料)、「修正・削除対応したため和解してあげることにしました」(同・加藤社長のコメント)などと"実質勝訴"を主張する。

 実際、FIDは、説明文中の内容を「確認画面においてアップセル」に変更してはいる。
 互いに通販企業の販売戦略を支援する立場。当然、各種の表示関連法規、競争法に精通していることが求められる。だが、プロフェッショナルであるはずの両社の主張はなぜこうも異なるのか。(つづく)

【クラウンジュエルとコメ兵に聞く 「ゾゾユーズド」マケプレの出だしは?】 ゾゾ利用者が高額品も回遊、店頭より尖った商材売れる

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 スタートトゥデイ100%子会社のクラウンジュエルは、3月1日に「ゾゾタウン」内のブランド古着専門店「ゾゾユーズド」でマーケットプレイス事業をスタートし、ハイブランド品の取り扱いに定評のあるコメ兵など2社が同日から出店した。主戦場の販売チャネルや得意とする商品ジャンルなどに違いはあるものの、リユース市場では競合するクラウンジュエルの宮澤高浩社長とコメ兵の藤原義昭執行役員に、二次流通の市場環境タッグを組んだ理由、マケプレ事業の出だしの状況などについて聞いた。

 ――ファッションリユースの市場環境は。

 コメ兵・藤原氏(以下、藤原)「近年はリユース市場でもウェブの売り場が増えている。当社は実店舗中心だが、ウェブにシェアをとられているわけではなく、ウェブの普及でリユース品に触れる消費者が増えて市場自体が広がっている。影響を受けている企業もあるが、当社はハイブランドに強く、EC化の流れは歓迎している。高額品の販売は信用力が不可欠なため、店舗も含めた信用力が強みになる」

 ――古着市場は。

 クラウンジュエル・宮澤氏(以下、宮澤)「当社や、メルカリさんなどのC〓C型フリマアプリの成長もあって、この数年で古着の認知が高まっており、服を買うときの選択肢のひとつに入るようになったことでチャンスが広がっている」

 ――マーケットプレイスを始めた理由は。

 宮澤「スタートトゥデイグループの中でユーズド事業は順調に伸びてきたが、このタイミングだからこそ、もっと成長ドライブをかけたいと思った。そのためには商品の量やカテゴリーをもっと厚くしていく必要がある。自社で商品調達に力を注いでいるが、マーケットプレイス型にすることで、お客様のニーズに今まで以上に応えられる」

 ――競合に売り場を提供することになる。

 宮澤「システム開発を含めた物流フローの見直しも必要で、決断のいることではあったが、コメ兵さんに出店してもらうことで、とくにハイブランド品の強化につながるメリットがある」

 ――出店の決め手は。

 藤原「理由はふたつあって、ひとつはリユース業界に貢献できると考えたこと。もうひとつは、リユース市場の主戦場もリアルからデジタルに向かっていくと判断した。そのときに、どうやってお客様を獲得していくかが重要になる。プラットフォームに出店しても顧客データは得られないが、そこは割り切って考えていく」

 ――競合の売り場に出店することに迷いは。

 藤原「『ゾゾユーズド』の中で販売させてもらっているため、認知拡大に期待している。当社の名前が大きく出ているわけではないが、お客様は当社の商品を買っていると想像できるのではないか。売り上げにつながるという期待感ももちろんある」

 ――客層の違いは。

 藤原「当社のターゲットはゾゾさんよりも上の45歳~60歳で、当社としてはデジタルネイティブのミレニアム世代の開拓が課題だ。他のECモールにも出ているが、価格や品ぞろえ、信用力など、各モールでお客様の求めるものが違う。『ゾゾユーズド』はファッション好きのお客様が多く集まるという点で他のモールとも特徴が異なる」

 ――売れる商品は。

 藤原「当社はマスに近い商品がよく動くが、『ゾゾユーズド』では尖った商品が売れる傾向にある。店頭では比較的残りやすかったが、今後は尖った商品も高く買い取れるようになる」

 ――マケプレの出だしはどうか。

 宮澤「すべり出しは良い。既存のお客様がしっかり回遊している傾向が見えていて、高額品の購入もある。これまでになかった価値を提供できているのではないか。今後、『ゾゾタウン』の中で定期的にターゲティングしながらマケプレの認知向上を図っていく。元々、検索流入が多いため、商品が増えれば増えるほど上位表示され、さらに検索流入が増えることも期待できる」

 ――「ゾゾユーズド」に望むことなどは。

 藤原「マーケットプレイスは悪いモノが入ってくると場が荒れるし、既存の出店者も同列で見られてしまうため、質の高い売り場を維持することが重要で、出店企業を厳選しているクラウンジュエルさんの方針は良いことだと思う」

 ――ゾゾが3カ年計画を発表した。

 宮澤「当社もグループの中計に沿ってアクセルを踏む。ゾゾユーザーが増えている中、ユーズド事業としてどのような価値を提供できるかが大事で、自力で用意できない商品を提案できるという意味でもマーケットプレイスの存在は大きい」


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コメ兵の藤原義昭執行役員㊨とクラウンジュエルの宮澤高浩社長

【スタートトゥデイ 初の中期経営計画を策定】 3年後に取扱高7千億円超、海外市場を開拓へ、PBの成功が不可欠に

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 スタートトゥデイは、長期ビジョンとして10年後にプライベートブランド(PB)「ゾゾ」を展開するオンラインSPAで世界ナンバーワン、グローバルアパレル企業のトップ10入り、10年以内に時価総額5兆円を掲げ、同ビジョンを実現するための基礎となる中期経営計画を策定した。

 同社初の中計は3カ年で、前期(2018年3月期)の商品取扱高2705億円、売上高984億円、営業利益327億円に対し、最終年度の21年3月期には商品取扱高7150億円、売上高3930億円、営業利益900億円を目標とする(図表を参照)。

 3カ年では、服の買い方、選び方、作り方の側面から"革命"を推進。買い方革命では、「ゾゾタウン」は6400ブランドの商品を同時に検索、購入でき、最短翌日に届くサイトとして「革命を達成できつつある」(前澤友作社長)としながらも、今後はサービス面やブランドのラインアップ、UI、物流品質などをさらにブラッシュアップして安定成長につなげる。

 選び方革命では、自分に合った服が試着なしで、悩むことなく自動で届くという新しい購買体験を広める考えで、AIによる最適な商品選定と、ゾゾスタッフによるコーディネートを組み合わせた「おまかせ定期便」のほか、採寸用スーツ「ゾゾスーツ」で計測した体型データを基に自分に合ったサイズの服だけを絞り込める「自分サイズ検索」も始めたところだ。

 作り方革命では、自分の体型に合った服が注文するとすぐにオンデマンドで製造され、数日後に届くという新しい流通のあり方を拡大していく。

 3つの革命と並行して、子会社のアラタナが担う、アパレルブランドの自社EC支援を行うBtoB事業を再強化する。具体的には、グループが持つビッグデータの一部をブランドに開放して販促機能を強化するほか、最大2カ月後の支払いが可能となる決済サービス「ツケ払い」も支援ブランドの自社ECで利用できるようにすることなどで、BtoB事業は初年度100億円、2年目200億円、3年後に300億円を計画する。

 また、「ゾゾタウン」やファッションコーディネートサイト「ウェア」内に広告スペースを設けて販売するインターネット広告事業をスタートし、初年度30億円、2年目50億円、3年後100億円を計画し、利益面への貢献を期待する。

 さらに、今年1月末に発足した「スタートトゥデイ研究所」の活用を積極化。機械学習によるデザインの自動化や、素材研究、新生産ラインなど服作り全般の研究を行うほか、「似合う」など数値化しづらい服の推薦アルゴリズムを研究するのに加え、ゾゾスーツの進化に寄与する人体計測の技術研究を引き続き行う。

採寸スーツ刷新

 スタートトゥデイでは、「70億人のファッションの共通課題はサイズ問題」(前澤社長)とし、世界展開が前提の中長期ビジョンの達成にはPBの成功が不可欠だ。

 同社はPB展開に合わせて昨年11月にゾゾスーツを発表。予約数は100万件を突破したものの、大量生産できる体制が整わず、発送が大幅に遅れていた。ただ、中計と同時に仕様変更した新型のゾゾスーツを発表。生産面の課題を解消したことで、「ゾゾタウン」の商品購入者への同梱や街頭配布、企業とのコラボ企画を通じた提供などにも着手し、今期中に海外含め600万~1000万着を無料配布する。

 新型スーツは従来の伸縮センサー方式を改め、全身に300~400個付いたドットマーカーをスマホのカメラで360度撮影することで精度の高い計測ができる読み取り方式とした。利用者にとっては従来スーツのブルーツースの接続不良や電池切れの心配がなく、洗濯もできる。また、同社にとっても新型スーツは生産コストを大幅削減でき、1着約1000円で作れるという。

 PB商品は現状、デニムパンツとTシャツの2種類だが、6月にはカジュアルシャツとストレートデニムパンツ、スキニーデニムパンツを投入。その後もビジネスシャツやスーツなどを商品化し、今期中に展開数を10~20型に増やす計画だ。また、PB商品は7月初旬から海外72カ国で販売をスタートする。

 同社によると、旧型スーツを手にしたユーザーの6割が実際に採寸を行い、そのうちの約半数がPBを購入。平均購入点数は2・5点(7500円)だったようで、今期のスーツ配布計画に旧スーツ注文者のPB注文率や客単価を当てはめると135億円~225億円規模になる。

 今後、展開商品の拡充や海外販売も始まることを考慮し、PBの売り上げ目標は初年度200億円(海外比率10%)、2年目に800億円(同25%)、3年目で2000億円(同40%)を掲げる。なお、10年後のPB海外比率は80%を目指す。

【久保田社長と金山CIOに聞く スタートトゥデイテクノロジーズのビジョン】 グループ一丸で技術力強化へ、研究所は特許などKPIに

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 スタートトゥデイ子会社の旧スタートトゥデイ工務店とVASILY(ヴァシリー)、カラクルが4月1日に合併し、スタートトゥデイテクノロジーズが発足した。グループの技術力を集結した新会社には2人の代表取締役が就任し、専門性の高い分野でも迅速な意思決定とスピード感のある経営を行うという。同社の久保田竜弥社長(=写真左)と金山裕樹CIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)に新会社での役割分担や経営ビジョンなどを聞いた。

 ――テクノロジー系3社が合併した。

 金山「3社が合併した理由は攻めと守りの両面がある。攻めの部分は機能的に似ている3社がノウハウの共有や人材交流を含め、テクノロジーと生み出すモノの価値をより高めていくためには、各社で技術開発を行うよりも、一丸となった方が良いと考えた。まずは、主にソフトウエア開発の技術力向上とお客様価値の増大に取り組む」

 ――守りの部分は。

 金山「テック企業の情報の取り扱いは非常にセンシティブな問題だ。3社で統一された情報セキュリティーレベルを設定するなど、コンプライアンス意識をさらに高める必要があった。それには、1社の方が効率的で、かつリスク管理がしやすいと判断した」

 ――新会社でのふたりの役割分担は。

 久保田「スタートトゥデイ工務店のときから人工知能や機械学習というワードは出ていたし、現場からもリクエストがきていたが、既存事業の開発に時間をとられ、なかなか手を付けられない状況だった。今回の合併で足りない部分を補えるため、新しい技術の開発などは金山に任せる。自分自身はこれまで通り、既存事業を大きくしていくことに全力をつくす。昨年はPBや『おまかせ定期便』とひとつのサービスで会社が作れるくらいの規模のローンチが相次いだ。PBも始まったばかりで、ゾゾスーツの供給体制やPBの国内外での販売など、取り組むことは多い。ただ、ECチャネルでの販売手法がこの先ずっと続く保障はない。次のトレンドの発掘などは金山に依頼して準備を進めてもらう」

 ――業務範囲が増えるのか。

 金山「ヴァシリーでも新規事業創出や研究開発を行っていた。人員と予算をもらってスケールアップして取り組めるようになり、研究結果を披露する場ももらえる。業務範囲というよりは大きな舞台に立てるチャンスが広がった。『ウェア』は1000万人の利用者がいるが、『アイコン』は200万人とまだまだ規模が小さく、"地産地消"という感じだった。『ゾゾタウン』と連携すれば決済や物流、ゾゾスーツにPB販売もあり、可能性が広がる」

 ――スタートトゥデイ研究所のプロジェクトリーダーも務める。

 金山「プロジェクトリーダーは研究員が気持ちよく研究できる環境を整え、研究されたものが実用化できるように導いていくのが役目だ。予算も含めて健全に運営できるようにマネジメントしていく」

 ――新会社の人員は。

 久保田「213人でスタートした。3社の人員を合わせただけでなく、3~4月に採用を積極化し、新卒者も採用した。職種はエンジニアとデザイナーが大半を占めている。拠点は青山と幕張、福岡の3カ所に分かれており、例えば、『ゾゾタウン』の開発はカスタマーサポートや物流拠点、ブランドEC支援の部隊がいる幕張に置き、コミュニケーションをとりやすくしている」

 ――研究所の体制は。

 金山「15人程度でスタートしている。旧カラクルの10人は福岡に、ヴァシリー出身の5人は青山を拠点にしている」

 ――研究所を運営する上でのKPIは。

 金山「最終的にはどのくらい事業にインパクトを与える発明ができるかが重要で、そのためには特許の申請数や基となる論文の数も大事にしたい。機械学習や画像認識などコンピューターサイエンス分野の学会に論文を通し、その内容を特許としてパッケージ化し、現実のビジネスに実装して価値を生むことが大切だ。1~2年で結果が出るとは思っておらず、腰を据えて取り組める体制を作っていきたい」

 ――研究範囲は。

 久保田「スタートトゥデイグループは現状、ECやメディア事業にとどまっているが、もっとファッションの範囲を大きく見ており、例えば、服を作る工場のラインや原料になる綿の栽培をいかに効率化するかとか、素材の研究やデザインプロセス、もっと言えば、物流倉庫のロボット化、自動運転なども事業対象の範囲に入ってくるかもしれない。ファッションという大きな軸で見たときに、事業の対象になりそうな部分で必要な研究開発には取り組みたい。領域が広くなって研究員がいなければ、求める知見のある人を採用したり、外部の有識者と共同研究していけばいい。何を優先的に取り組むとか、研究テーマにするかどうかは、基本的には当社経営陣と前澤で判断するが、その根底にはファッション産業を盛り上げたいという気持ちがある」

 ――今期、新会社として優先することは。

 金山「まずは組織だ。200人以上のメンバーが集まっており、各自が自分の能力を十分に発揮できる組織、環境作りを急ぎたい」

 久保田「当社はテクノロジーの会社ではあるが、根底にファッションがあるからこそユニークだと思う。技術の力でファッションの課題を解決する企業文化やミッションを発信し、共感する人が集まって、より強い組織が作れるようにしたい」

 ――海外拠点も増えていきそうだ。

 金山「スタートトゥデイグループはPB販売を通じてグローバルカンパニーへと成長し、10年後の取扱高は国内よりも海外の方が大きいくらいでないといけない。そういう意味でも、世界中どこにいても同じ水準でストレスなく仕事ができる環境は大事。外国籍の社員が増えてくる中で、いま働いている人の意識改革も必要になる」

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