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クオカプランニングの岩間建作社長に聞く、オムニチャネルの方向性は?

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製菓・製パン材料のネット販売を行うクオカプランニングは、オムニチャネル展開を進めている。実店舗や卸販売、ネット販売を繋ぎ顧客接点を拡大する。各売り場を通じて共通した情報を発信し、手作りの疑似体験や価値観への共感をきっかけに購買を促していく。2015年9月に社長に就任した岩間建作氏は、積極的にオムニチャネルの活用に取り組んでいる。その方向性を聞いた。

オムニチャネルの基本的な考え方は。

 「オムニチャネルの前提として、当社のミッションを『料理を楽しむ"クオカ(料理人を意味するイタリア語)"を創出し、クオカが他のクオカを連れてくる』と明文化した。製菓・製パン材料を扱うため手作りの温かさや安心感を最も大切にしながら、新しいツールやシステムを導入する必要がある。この考えをベースに、ネット販売や実店舗、クッキングスタジオ、卸の4チャネルを繋ぐオムニチャネルを目指したいと考えている」

 着手していることは。

 「ネット販売や実店舗、スタジオで、色使いなどのルールを定めて空間を統一した。統一した空間の中で、季節の提案など共通したコンテンツを発信している。ユーザーはどのチャネルから入っても、"クオカ"だと気付くことができるようにした」

 コンテンツはどんな内容か。

 「何気ないキュレーションの中でユーザーには『面白そう』『私にもできそう』『やってみたい』と思ってもらうことが重要。手作りの雰囲気や疑似体験を動画で提供し、動画への共感を購買のきっかけにしたい」

 具体的には。

 「秋はモンブランが完成する40秒の動画を作り、通販サイトや実店舗で公開した。タルトの上にクリームが絞られて栗の渋皮煮が置かれ、マロンクリームでデコレーションされる内容だ。また、レシピ動画サイトと連携して、チーズケーキを手作りする動画も公開した。チーズケーキの動画の再生回数は約40万回と多く、動画が流れている間は、使用した道具の売れ行きも良かった。もちろん瞬間的な収益を狙ったものではなく、あくまでも疑似体験で共感してもうことが重要。徹底的に行った結果として収益につなげていく」

 各チャネルをどうつなぐか。

 「ソーシャルメディアを使いながら、オムニチャネルをしやすい環境を整える。今年のバレンタインでは、外箱にQRコードを記載して、無料通信アプリ『ライン』のアカウントを通じてレシピ動画を公開する。イメージを見た上で作ってもらうようにする。そうすると、バレンタインが終わっても、リターゲティングで追うことができる。もともとバレンタインの手作りキットは卸販売を中心に15万個を販売するヒット商品だ。ユーザーはキットを使って作ったものを恋人や友人にプレゼントする。だが、ユーザーはそれきりで当社の顧客にはなっていない。15万の接点が効果的に顧客になるように活かしていなかった」

 新規顧客層とはどういったコミュニケーションを目指すか。

 「『ライン』は、新しいユーザーと繋がるツールと位置付ける。初心者向けにレシピに良く出てくるワードを解説するコンテンツを配信する。成功することを前提にレシピを提案しているが、実際にユーザーが作ったものとのギャップが生じる。このギャップを、言葉の解説や手作りの雰囲気を伝えることで埋める。

 ユーザーの体験は商品を購入して手作りするまでだ。当社のレシピで作り喜んでもらった満足度だけではなく、作る前の不安な気持ちや失敗など、体験はユーザー1人1人違う。それらをSNSやレビューなどで共有できるようにしたい」

 これら取り組みについて、今期(2017年6月期)の収益への貢献度は。

 「売上高は前期比数%増だが、営業利益は2倍を見込む。共感を重視した施策をすすめる一方で、セールの圧縮やウェブ広告を抑えている」

 1Q(7~9月)の進捗は。

 「クリスマスやバレンタイン、誕生日にだけ手作りする購入回数が年1回の人に向けて、購入回数を1・5回に増やすための施策を進めた。マーケティングオートメーションツールを導入して、顧客をセグメントしてメルマガを配信した。また、AIをテスト導入して、サイトを離脱するユーザーに、クーポンを配布する試みも着手している。クリスマスやバレンタインなど手作りする機会が増える下期に、一定の成果が出ることを期待する」

イーベイ・ジャパンの越境EC支援の現状は? 佐藤丈彦社長に聞く 「売れ筋情報を出品者に提供」

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イーベイ・ジャパンではこのほど、佐藤丈彦事業本部長が代表取締役社長に就任した。ネット競売大手の米イーベイだが、2000年に日本市場に参入したものの、02年に撤退。現在、日本では通販サイトを展開しておらず、イーベイ・ジャパンは日本企業が海外のイーベイサイトで販売するための支援事業を行っている。今後の方針について佐藤社長に聞いた。

2010年頃から越境EC支援事業を展開している。

 「当時はまだ越境ECが事業者間にそれほど浸透していなかったが、14年頃から越境ECを販売チャネルの一つとして考える事業者が増えてきた。当初は個人のセラー(出品者)も多かったが、現在は事業者が中心。日本の商品を購入するバイヤー(購入者)は北米を中心に世界にたくさんいる」

 競売サイトのイメージが強いが、現在は固定価格で売られる商品が中心だ。

 「約80%の商品が固定価格。バイヤーは世界で1億6500万人だ。競売が減っているというよりも、固定価格での販売が大きく伸びている。現在、セラー向けにストラクチャーデータという売り上げの分析ができるツールを無料で提供しており、将来的には『どんな商品をどれくらいの価格で売ればいいか』というようなレコメンデーション的な機能も追加したい」

 日本からの売れ筋商品は。

 「車・バイクパーツ、中古ブランド品、楽器、玩具などに人気がある。特に、品質やアフターサービスの良さが評価されている。また、ブランド品については偽物がないという点も信頼を得ている」

 セラーはどのように増やしているのか。

 「ポータルサイトからの資料請求による申し込みのほか、伸びているカテゴリーの事業者については、当社から声を掛けるケースもある」

 セラーの取り込みという点では、カート事業者との連携も進んでいる。

 「近年強化している点だ。すでに連携済みなのはアイルの『クロスモール』、イーレディーの『リスト!』NHNテコラスの『テンポスター』、スマートソーシングの『タテンポガイド』、ソフテルの『通販する蔵』、Hameeの『ネクストエンジン』だ。この1、2年でかなり連携する事業者が増えている」

 セラーへのサポート体制は。

 「これまではセラーごとに対応していたが、9月から体制を大きく変更した。カテゴリーごとにスペシャリストを置いて対応する形だ。セラーベースだと、トラブル対応が中心になりがちで、将来の売り上げ増を見越したサポートはしにくくなる。『こんな商品が動いている』『こんな商品がこれから来そう』といった情報をセラーに提供したい。商品を準備するのに時間がかかるので、早めのコミュニケーションが重要だ。メールのほか、ポータルサイトを介して情報を積極的に提供する」

 「例えば、11月はアメリカで『サイバーマンデー』という大きなセールがあるが、これに向けてアメリカのトレンドや昨年までの傾向を紹介する、といったようなものだ。新商品の場合、海外でどれだけ売れるかというデータがないので、過去の同等商品の販売動向などを提供しないと、セラーは安心して越境ECに取り組めない」

 「その他にも、翻訳などオペレーションに関わるサービスにつて、パートナーを介して選択肢を増やしていきたい」

 アメリカ以外での販売については。

 「バイクパーツなどはオーストラリアで非常に良く売れている。オーストラリアは国外からネットで商品を買うのが一般的なようだ」

 中長期的な目標について。

 「国内の事業者に利用していただくためにサービスを充実していきたい。2020年には東京五輪を控えているが、インバウンド需要をいかにビジネスに変えるかを課題にしている事業者は多いと思う。ネット販売については、20年以降もビジネスとして成り立たせるため、今後の4年間を使ってどのように体制を整え、顧客を囲い込むかが重要。そのために当社のサービスを活用していただけるよう、努力したい」

 社長就任にあたり抱負を。

 「これまでとやることが大きく変わるわけではないが、より日本のビジネスにコミットした施策が展開できる点が大きい。グローバルの巨大なマーケットプレイスを対して日本のセラーを売り込まなければいけないわけで、対外的な施策はもちろんのこと、イーベイ社内も含めて、日本のセラーや販売する商品のクオリティーの高さを理解してもらえるようにしたい。言うなれば営業マン的な役割だ。各国のイーベイにはカテゴリーチームがあるので、『日本の商品はこれが売れる』といったような情報をそこに提供するとともに、どうやってバイヤーの目に留まるよう取り上げてもらうかという点も含めて、社内ネゴシエーション的なことをしっかりやっていきたい」

 「日本の場合、ゲームやフィギュアなどは予約販売も多いが、現在のイーベイでは数カ月先の商品を予約して買うことができない。そういった機能を追加してもらうための社内調整も進めなければならない」

楽天 爽快ドラッグを89億円で買収、ケンコーコムと連携も

 楽天は10月28日、日用品・健康関連商品ネット販売大手の爽快ドラッグ(同・東京都千代田区、小森紀昭社長)を買収すると発表した。爽快ドラッグ全発行済み株式を、親会社である住友商事などから約89億円で買い取る。楽天では、商品ジャンルごとの強化を進めており、「楽天市場」内でも知名度の高い爽快ドラッグを子会社化することで、商品価格と配送サービスの競争力を高め、日用品直販事業の売り上げ増を目指す。

 爽快ドラッグの2016年3月期売上高は、前期比20・6%増の310億8000万円だった。日用品通販「爽快ドラッグ」のほか、ベビー関連商品の通販サイト「ネットベビー」、ペット用品通販サイト「快適ねこ生活」などを運営している。「爽快ドラッグ」は、楽天市場の優秀店舗を表彰する「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)」のグランプリを7年連続で受賞していたほか、ヤフーの「ヤフーショッピング」などでも表彰される有名店舗。また「ネットベビー」も楽天SOYで上位に入るなど知名度が高かった。

 株式の約95%は住友商事が保有しており、株式譲渡は12月の予定。爽快ドラッグの小森紀昭社長は続投する。その他の役員体制は未定。ヤフーなど楽天の競合他社が運営する仮想モールの店舗は運営を継続する。

 楽天では買収の理由について「生活用品と日用品向けネット販売は成長分野として重要視しており、ジャンル戦略強化の一環」と説明。同ジャンルは価格や配送日数が購入の決め手となることから、サービス強化で売り上げ増につなげる方針。

 楽天では今年3月、日用品などのネット販売を行うケンコーコムを完全子会社化しており、今後は商品の販売拡充や、物流インフラ・システムの効率化、人材・ネットワーク・データといった経営リソースの最適化といった両社間の連携を進める。爽快ドラッグはこれまで、各社仮想モール内の有名店舗として売り上げを伸ばしてきたが、商品によっては届けるまでの日数が遅くなるなど、配送周りが弱点となっていた。楽天子会社となることで、インフラ強化も期待できそうだ。

 楽天では、楽天市場内の「楽天24」での日用品ネット販売事業をケンコーコムが手掛けている。今後の「楽天24」の運営体制については「未定」(広報グループ)とする。

 日用品ネット販売では、ヤフーの連結対象であるアスクルが運営する「ロハコ」が売り上げを伸ばしているほか、アマゾンジャパンやヨドバシカメラも注力するなど、価格競争や配送面でのサービス競争が激化している。爽快ドラッグとケンコーコムの前期ネット販売売上高を合算すると500億円を大きく超えるため、一定のスケールメリットも期待できそう。

 ただ、日用品やベビー用品、ペット用品を扱う楽天市場出店店舗にとっては、有力な競合がモールを運営する楽天の子会社となるため、反発がある可能性も。また、取扱商品が似通った2社の価格戦略や商品戦略も変わってきそうだ。楽天の舵取りが注目される。

スクロール シニア向け衣料を縮小、アパレルは生協向けに注力

 スクロールでは、おしゃれな年配女性をターゲットとしたカタログ「ブリアージュ」を縮小する。現在の会員に向けたカタログ発行にとどめ、今後は大きな投資は行わない方針。同カタログは2013年3月に創刊。14年3月期から15年3月期にかけて、累計20億円の販促費を投入したこともあり、16年3月期の事業売上高は約20億円となっていたものの、採算が取れていなかった。同事業の縮小により、アパレル通販売上高の大半は生協会員向けが占めることになる。

 事業縮小に至った理由について、鶴見知久社長は「競争が厳しかったことと、絶対的な会員数が少ない中で投資を続けてきたが、この時代に紙媒体を中心とした出稿で事業を新たに立ち上げるのは予算的にも厳しかったこと」と説明している。

 今後もカタログ発行は続けるものの、「広告出稿などの投資をしながら顧客リストを拡大することはしない」(鶴見社長)としている。ブリアージュブランドの商品については、生協顧客向けにも提供する。

 化粧品・健康食品事業では、子会社である豆腐の盛田屋の化粧品「豆乳よーぐるとぱっく玉の輿」の中国国内の販売許認可(CFDA)を取得。すでに、同商品を25万個輸出するなど、立ち上がりは好調に推移している。今後は、ASEANでの販売も計画する。

 健食子会社の北海道アンソロポロジーでは、北海道の食材を販売する通販サイト「三ッ星北海道」が好調に推移。北海道産食品カタログを利用した株主優待サービスを事業化している。今後は「北海道ブランドを活用した商品でビジネスを拡大したい」(鶴見社長)としており、機能性食品など北海道関連の商品開発、株主優待サービスの本格化、海外卸ビジネスなどに取り組む方針。

 スクロールの今中間期連結業績は、売上高が前年同期比9・2%減の289億2100万円、営業利益は同32・4%減の9億9300万円、経常利益は同31・0%減の10億4100万円、当期純利益は同43・8%減の7億2800万円で当初予想を下回った。

 「通販アパレル事業」は春夏と秋商品が苦戦し、売上高は前年同期比17・2%減の105億8400万円、セグメント損益は5800万円の黒字(前年同期は1400万円の赤字)。化粧品・健食の「通販H&B事業」では、中国国内において販売を開始したものの、日本国内における「インバウンド需要」が一巡したことや、ブランド化粧品をネット販売するイノベートが価格競争激化で苦戦。売上高は前年同期比21・3%減の38億2400万円、セグメント利益は同41・4%減の4億8400万円となった。

 一方、利益面では、減収による粗利減が響き減益とはなったものの、広告宣伝費や経費を削減することで縮小幅を抑えている。

 上期の不振を受けて、通期連結業績見込みも下方修正。売上高は590億円(当初予想は650億円)、営業利益は9億5000万円(同22億5000万円)、経常利益は10億円(同23億円)、当期純利益は6億円(同18億円)を見込む。


ファーストリテイリング  来春にオムニチャネルを本格化

 3-1.jpg「ひとつの目安として掲げていたが、今の現実的な売り上げから考えると3兆円が妥当。しかし、あくまでも5兆円達成のために会社を変えていきたい」と語ったのは、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(=㊨写真)。10月の決算発表会の席上で2020年度に予定していた連結売上高目標を引き下げたことを明らかにした。値上げによる実店舗での販売不振などが背景にあり、巻き返しに向けては今春に開設した都内有明の多機能型物流センターを拠点としたオムニチャネル戦略の推進が一つの鍵となっている。

 同社では17年春をめどに同センターの最上階(1万6500平方メートル)のオフィスに主要なビジネス機能を集約して、実店舗と通販サイトが融合した「デジタルフラッグシップストア」の構築に向けた準備を進めていくという。

 具体的には通販での購入履歴を集積してそれに応じた顧客別の商品情報を発信していくことや、店舗決済、クリック&コレクト、コンビニ受取などの強化。セミオーダー商品の拡充に伴う「マイサイズ登録」の導入や、通販限定の商品・色・サイズの拡大などを同センター主導で実践していく考え。

 10月21日には特別サイズ対象商品の拡充を行い、柔道家の井上康生さんとタレントの高橋愛さんをイメージキャラクターに起用して、大柄や小柄な人でも通販サイトでは適正サイズが手軽に購入できることを訴求。

 また、通販商品の受け取り方法の多様化に向けても、ヨーロッパの実店舗で導入しているクリック&コレクトを日本でも取り入れることを宣言しており、「今までは各国ベースでECをやっていたが、グローバルに統一して、(クリック&コレクトなど)配送内容自体も新しい方法でできるだけ費用をかけずにやっていきたい」(柳井会長兼社長)と語った。

 今後は有明と同様の多機能型物流センターを札幌、仙台、名古屋、大阪、神戸など国内10カ所に開設する考えで、中国、欧州、北米の海外でも稼働させることを計画する。中期目標としては、デジタル(ウェブ)マーケティングを基盤とした「アパレル情報製造小売業」という新しい業態の確立を目指し、連結売上高の約5%を占めるユニクロ通販売上高(421億6700万円)についても30%まで引き上げる考え。

 なお、子会社で低価格カジュアル衣料を扱うジーユーについてもデジタルマーケティングの強化を図る考えで、今後は通販会員数の増加に伴ってパーソナライズ化した情報サービスの提供を実施し、配送や決済のテコ入れも図っていく。ジーユーの前期業績は売上高が前年比32・7%増の1878億円で、この内約5%が通販売上高となっており、ユニクロと同様に中長期的には30%まで構成比を高めていく方針。

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