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企業動向 Archive

大手小売りのEC・店舗連動㊤ ジーユー、青山商事 最新デジタル機器導入

 大手小売り企業の実店舗で、ネット販売と連動した施策が加速している。それぞれ共通するのは実店舗では限られている在庫スペースの問題を解消するという狙い。最新のデジタルツールの導入や店頭からでもネット注文しやすい接客対応を整備することで、顧客に手間や不便を感じさせずにネット誘導することに取り組んでいる。

ジーユーの新店舗カートで情報連携

021.jpg 「実店舗とECの両方のメリットを考えて作った形の店舗」と語るのはジーユー(本社・東京都港区)の柚木治社長。RFIDなどのデジタル技術を活用して、通販サイトとも情報面で連動した実店舗として9月15日、横浜市内に「ジーユー横浜港北ノースポート・モール店」を開設した。

 標準店舗の2倍のアイテム数を展開する同社最大規模の同店舗の特徴は、実店舗の接客力とECの品ぞろえ・情報量を融合させたというポイント。中でも目玉となっているデジタル接客ツールは、押し手の部分にモニターが付いた専用ショッピングカート「オシャレナビ・カート」で、モニター横にあるセンサーに店内の商品をかざすことで、商品の詳細情報をはじめ、店頭には置いていないその商品の色柄・サイズ違いの在庫状況について実店舗と通販サイト双方の最新データが表示される仕組みとなっている。

 画面上には「取り寄せ可能商品」とのメッセージがポップアップで表示され、顧客は通販サイトからの自宅配送か、あるいは同店舗への取り寄せなどを選択することができるようになっている。カート自体に決済機能は付属されておらず、店内のサービスカウンターで申し込みや購入手続きをとる仕組み。自宅配送・取り寄せともに無料で利用できる。

 また、商品を読み込んだカートに表示される情報の中には、当該商品を着用したモデルや一般人のコーディネート画像に加え、これまでの購入顧客が通販サイトに書き込んだ商品レビューも表示されるようになっている。書き込み者の性別、年齢層、身長、体重、購入サイズ、着用感まで細かく記載されることから、自身の体型などとも比較しながら購入の参考にすることができるようだ。

 そのほか、店内にある6カ所の「オシャレナビ・ミラー」についても、通常時は普通の鏡となっているが、RFIDセンサーが付いているため、商品をかざすと当該商品を着用したモデルや一般人のコーディネート、通販サイトに書き込まれた商品レビューを見ることができる。

 「店で商品を実感しながらデジタルの様々な情報を参照し、在庫をより便利に確保できる。顧客が実店舗とECの両方を利用すると、より当社との関係が近くなって年間購買額が確実に上がる」(柚木社長)とした。同社では、売上高に占めるネット販売の割合が現状では5~6%となっているが、今後はデジタル店舗の横展開や通販サイトのテコ入れを図ることで、中長期的に30%の比率まで伸ばすことを目指している。

青山商事は店内のサイネージを活用

022.jpg 紳士服小売り大手の青山商事(本社・広島県福山市、青山理社長)でも、デジタルツールを駆使した実店舗と通販サイトの連携を行っている。9月15日に開設した「東急プラザ蒲田店」と同29日に開設する「島忠ホームズ仙川店」は、それぞれ都内の商業施設内の店舗で、同社が進めるネット融合型次世代店舗の「デジタル・ラボ」の形式となっている。両店舗は店内に大型のタッチパネル式サイネージやタブレット端末の「iPad」を設置しており、そこで通販サイトの在庫から商品選択ができるようになっている。購入商品は最短2日で配送される仕組み。店頭で試着・採寸して手ぶらで帰れるという利便性で訴求している。

 同店舗にとっては通販サイトと連動したことで、店頭に同じ色柄のスーツのサイズ在庫を大量に持たず、商品種類を多く置くことが可能。同じ型紙のブランドであれば1品番につき1サイズの在庫を置くだけで、その店頭在庫をゲージ見本のように使用して試着や採寸を行えるという。店内はゆっくりと店頭在庫以外の商品を検索したり、選んだ商品のサイズ在庫を確認できるように、iPadを操作するための専用スペースも設けている。

 デジタル・ラボの開設は昨年10月の「秋葉原電気街口店」と合わせて3店目。ともに小型店舗でありながら、この仕組みによって大型店舗並みの品ぞろえが可能となっている。なお、秋葉原電気街口店では顧客の再来店数が増加し、店頭で通販サイトを利用して購入する割合も2割以上となった。今回の新店舗ではこの割合をさらに引き上げるモデル店として期待している。(つづく)


ベネッセ内祝いギフト 贈り先別ギフトを提案、最初の接点で顧客満足度を向上

031.jpg ベネッセコーポレーションは9月に、出産内祝いギフトの通販サービスをリニューアルした。両親や親戚、友人、職場など贈り先に合わせたギフト選びを提案していく。

 同社にとって「たまひよ」は顧客との最初の接点の一つで、「たまひよの内祝い」は通販事業における主要サービス。これまで名入れギフトの需要が強かったものの顧客の購入件数が少なく、民間調査の出産内祝い件数とのギャップがあったという。贈り先に合わせたギフト選びの提案でこれまで取りこぼしていた需要獲得を目指す。「顧客との最初の接点で顧客満足度を高め、育児中の課題に合わせて戻ってきてもらうことを期待する」(Kids&Family本部たまひよ事業部通販ユニットイベント通販課課長青野有美子氏)とした。

 ベネッセの内祝い通販「たまひよの内祝い」は9月にリニューアルし、品ぞろえを整理して5000アイテムを展開。名入れギフト中心の品ぞろえはそのままに、これまで取扱いが少なかった季節感や限定感のある贈り主のこだわりを表現できるギフトや、配りやすいギフトの品ぞろえを増やした。親や兄弟のほか、親戚や友人、職場など贈り先に合わせて選べるラインアップとした。

 あわせて、はがきサイズの挨拶状「写真でごあいさつカード」は最大で10パターン作成できるようにし、贈り先に合わせたデザインを選べるようにした。贈り先ごとに適切な挨拶文は異なるが、その都度注文が必要になるため顧客の負担が大きく、汎用的な挨拶状になりがちだった。そうした課題を解消し、贈り先に合わせて写真の数やメッセージの内容を変えて作成できるようにし利便性を向上する。

 挨拶状は購入しなくても会員登録だけで作成でき、データのダウンロードが可能。印刷してはがきとしての使用や、スマホで画像を送信することもできる。新規顧客層に挨拶カードの作成を訴求して会員登録を促進し、内祝いギフトの見込み客の獲得につなげることも視野に入れている。
カタログとサイトで導線を強化

 9月に発刊したカタログ「たまひよの内祝い」では、贈り分けのガイダンスを強化する。マナーの専門家が贈り先別の気遣いのポイントや、ギフトに避けるべきアイテムの紹介、内祝いギフトの意味などを解説する。情報発信を強化し、内祝いを知らない人の関心を高める内容とした。

 これと連動して、自社通販サイトも強化。カタログを持つユーザーがスマホでアクセスする利用状況を想定して、短時間で目的の商品に辿り着けるように検索やナビゲーションに注力した。今後、接客ツールを導入し、顧客のアクセスの頻度やタイミングに応じて、最適な提案を行っていく。

 カタログを持っていない新規客層に向けた施策は、今後検討する。「サイトの滞在時間を長くしてさまざまな商品を閲覧してもらう施策などを検討したい」(同)とした。

 なお、今回のリニューアルは昨年秋の顧客アンケートの調査を踏まえたもの。自由回答ではギフト選びについて「何を送っていいかわからない」、「喜んでもらえるものがわからない」があった。また、「産後ハイに思われたくない」、「幸せ自慢と思われたくない」とのコメントが多かったという。「もともと意識はあったようだが、昨秋の調査で決まった言葉で出てくるようになった」(同)と分析する。

 アンケート調査をもとに、今年2月発刊のカタログでは贈り先別のギフトを訴求。目次の中で、贈り先に合わせて商品を選ぶ提案を行っていたという。ギフト選びの課題の解消につながるなど反響が良かったことから、全面的にリニューアルすることにした。

 9月のリニューアル後の立ち上がりは、季節限定ギフトが好調で、前年比45%増で推移しているという。贈り先への気遣いと、子どもの誕生の季節を印象付けられるこだわりの両方を実現できるとして、顧客の満足度が高いようだ。

ネスレ日本  抹茶の定期購入を本格化、4種類で顧客ごとの栄養を補助

 3-1.jpgネスレ日本は10月より、無料レンタルのコーヒー専用マシンなどを使った定期購入サービスについて、ビタミンやミネラルなどの栄養素を加えた抹茶の定期購入「ネスレウェルネス アンバサダー」(=画像)を本格展開する。

 同サービスは今年3月~4月にかけて展開しており、1カ月間で想定以上となる1万件以上の申し込みがあったことからテレビCMなどを一時休止。抹茶の供給体制の整備を進め、改めて10月より新規の受注を本格化する。

 同サービスで取り扱う抹茶はビタミンやミネラルなどの配合量をそれぞれ変化させた4種類のカプセルとなっている。利用者が専用サイトから日々の食事内容や生活習慣に関するアンケートに回答することで、身体に不足している栄養素を補うための最適な種類のカプセルを提示する仕組みになっている。さらに希望者には1日分の食事の写真を専用カメラアプリで送ることで管理栄養士から適切なダイエットアドバイス情報を配信する付帯サービスもある。

 1カ月間で30カプセル、1カプセル当たりの価格は100円程度。オフィス向けだけでなく、個人宅などでの需要も見込んでいる。「カテキンのようなポリフェノールが豊富に含まれているのが抹茶である。美味しくて簡単に飲める、食べられる抹茶を通じた健康支援サービスとして大きく育てていきたい」(高岡社長兼CEO)とした。

 そのほか、利用者が長期出張や旅行などで同マシンを利用できる環境にない場合も想定して、外出先でも携帯して食べられるチョコレートブランドの「キットカット」に、カプセルと同様の成分を配合した「ウェルネスキットカット」も利用者向け限定で発売。両商品を使い分けながら栄養補助ができるサービスを提供する。


越境ECも視野

 なお、同社ではマシンレンタルによる定期購入をはじめ、自社通販サイトや仮想モールなどのネット販売比率が全体の売り上げの約15%となっており、2020年にはこれを20%まで拡大させる方針。

 ウェブ比率の拡大にむけては国内販売だけでなく、東アジアを中心とした越境ECによる販路開拓も検討。「キットカット」が日本独自のフレーバーとなっていることから訪日外国人観光客からの支持が高いこともあり、まずは10月26日に韓国のソウル市内の百貨店に初の専門店舗を開設。ネット販売についても早期に取り組む考え。


世界文化社 着物雑誌の通販サイト開設、編集部目線で品ぞろえ

2-1.jpg 世界文化社は8月16日、雑誌「きものSalon」の公式通販サイト「和美人百貨店」(=画像)を開設した。着物や帯だけでなく、和雑貨なども扱うことでリーチできる層を広げ、雑誌の潜在読者、通販の潜在顧客を取り込む。

 雑誌のコンセプトは"もっと素敵な装い提案"で、帯合わせや小物などの組み合わせで広がる装いのアイデアやコツを発信する"きもの総合ファッション誌"として展開。40~50代女性を中心に30~60代まで幅広い読者層を持つ。

 着物市場はピーク時から半減しているものの5年ほど前に底を打ち、最近ではイベント要素やSNS映えもあって着物に興味を示す若年層や外国人が増えているほか、グローバル化で着物の良さを再認識して着用する女性も増えているようだ。

 同社はこれまでも衣装箱や帯などで「きものSalon」独自の商品を開発し、通販チャネルで販売するケースもあった。その際、雑誌は読者、使い手の声を作り手に伝える役割を果たし、従来にない商品を開発することで、売り上げ面でも一定の成果を得てきた。

 今回、通販サイトを開設するのに当たっては、"素敵な和で豊かな明日を"をコンセプトとし、カテゴリーを和雑貨や菓子類まで広げて消費者との接点を増やすとともに、"通販視点"ではなく、まずは雑誌編集部が本当にお薦めする商品を厳選。これまで誌面にも登場した商品や、編集長が愛用する着付用のヘラやシークレット足袋といった便利グッズもそろえた。

 また、茶会用の数寄屋袋をポーチサイズにした商品も新たに開発。着物を着ない人でも和の良品を上手に生活に取り入れることを提案する。

 スタート時の品ぞろえは約70アイテムで、価格帯は1000円台から40万円台まで幅広い。商品は随時更新して品ぞろえを充実させる。

 集客面では、8月19日発刊の「きものSalon」秋冬号に8ページのとじ込みで通販サイト開設の告知と通販ページを設け、別注の帯や雑貨、菓子類などを幅広く提案している。

 同社は実店舗を持たないが、「きものSalon」創刊から36年にわたって培ってきた信用力を強みにEC展開を行う。当面は月間5万人のユニークユーザーの来訪とコンバージョン率2%を目標にする。

 そのためにも、雑誌や通販チャネルを活用した定期的な告知に加え、通販視点での品ぞろえにも着手して購入率の向上を図る考えだが、「『きものSalon』のテイストや質は大事にしていく」(古谷尚子家庭画報編集部部長きものSalon編集長)とする。また、将来的には海外展開やインバウンド需要の取り込みも視野に入れる。

ジェネシス・イーシー、カード情報9500件が流出

ジェネシス・イーシーは8月29日、同社が提供する通販サイト構築パッケージ「ジェネシスイーシー」を導入した通販サイト利用者のクレジットカード情報、約9500件が流出したと発表した。

同社によれば、5月9日にジェネシスイーシーを導入した通販サイトと決済代行会社から、クレジットカード情報の流出懸念について連絡があり、全ての導入サイトにおけるクレジットカード決済を5月18日に停止。第三者調査機関である「ペイメントカードフォレンジックス(PCF社)」に調査を依頼した。

 調査の結果、今年3月23日~5月18日の期間に、リーベが運営する「ウッドデッキ・DIYのリーベ」など計18サイトでカード決済を利用した消費者のカード情報、最大9458件が流出したことが判明。カード番号のほか、有効期限、セキュリティーコードが流出し、5月18日までの累計で、8件の不正利用被害が発生しているという。

 ジェネシス・イーシーによれば、同社が用意した、カード情報の入力画面にぜい弱性があり、第三者に改ざんされたことが流出の原因。システムを利用する通販サイトの決済画面から、同社の入力画面を通じてカード情報が決済代行会社に渡される仕組みだが、入力画面が改ざんされたことで、情報のコピーがリアルタイムで第三者に渡っていた。

 また、今回の調査により、ジェネシス・イーシーのサーバー内に、過去カード決済を利用した消費者のカード番号が不適切に保存されていたことが発覚。2009年3月以前にシステムを利用する通販サイトでカード決済をした消費者の一部が対象で、最大4581件で12サイトが該当する。

 流出した恐れのある情報の内容はカード番号、有効期限、セキュリティーコード、カード名義、電話番号で、対象のカード番号において現時点では不正利用被害は確認されていない。これは、09年に決済代行会社を変更した際、データ移行の作業中にエラーが出たカード情報(与信が通らなかった、有効期限切れなど)がサーバー内に保存されていたという。

 同社では、流出対象のカード番号をカード会社各社に提供し、取引のモニタリング強化をカード会社に依頼している。ジェネシスイーシー採用の通販サイトにおけるカード決済はすべて停止しており、PCF社から指摘があったシステムのぜい弱性と管理体制の不備については、即日実施可能な対策を行ったあと、さらなる改修を指示し、順次改修を進めているという。今後はクレジットカードのセキュリティー基準である「PCI DSS」を取得した企業の用意した入力画面を使うようにする。

 カード情報が流出した消費者に対しては、再発行の手数料を無償にするほか、被害が出た場合の補償も負担する。一方、システムを利用する通販サイトについては、カード決済ができなくなる等の実害が生まれているが、「個別対応にはなるが、利用規約でこうした場合の補償は免責されている」(ジェネシス・イーシー)という。なお、利用企業へのシステム利用料の請求は行っていない。

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