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千趣会の化粧品子会社が始動、名水が生んだコスメを訴求

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千趣会は、7月1日付で全株式を取得した化粧品製造・販売会社のニッスイファルマ・コスメティックスについて、9月1日付で「株式会社ユイット・ラボラトリーズ」に商号変更し、コスメ事業の強化に本腰を入れる。

 千趣会は多角化戦略の一環として女性を対象にした新規ビジネスの開発を進めており、とくにビューティー&ヘルスを注力分野のひとつとして拡大構築を模索。日水製薬から化粧品子会社を買収することで、加速度的にビジネス規模の拡大を図ることになった。

 ユイット・ラボラトリーズは、八ヶ岳に自前の工場と研究所を持ち、自社内で化粧品の調合をテストできるのが強みだ。加えて、工場の敷地内に取水場があり、ミネラル分を含む天然水を地下3000メートルから汲み上げて製品のベースに使用している。

 現状、八ヶ岳の名水が生んだ自然派スキンケア化粧品「リスブラン」と、深海魚のオレンジラフィーから抽出した油を配合したスキンケアブランド「オレンジラフィーシリーズ」などを展開している。

 40年の歴史がある主力ブランド「リスブラン」は、消費者への直販はせず、漢方薬局への卸がメインでカウンセリング販売の商品として展開してきたため、ブランドの認知度こそ低いものの、敏感肌の人や、アトピーなど肌トラブルを抱える人に根強い人気があり、リピーターが多いという。

 同ブランドは、今後も薬局・薬店を中心としたカウンセリング販売をベースに伸ばしていく。また、ウェブサイトを整備して情報発信や認知拡大施策にも着手し、肌にトラブルを抱える人が情報を得やすくして、薬局・薬店に来店しやすい環境を作る。

 昨年9月に立ち上げた「オレンジラフィーシリーズ」はこれまで、先行販売の形で東急ハンズの店頭とECで展開してきた。国内ではオレンジラフィーのオイルを使ったコスメが少ないことや、肌への刺激が少なく、浸透力が高いオレンジラフィーの特徴を前面に出して差別化を図る考えで、10月をメドに千趣会の通販サイト「ベルメゾンネット」で販売を開始し、グループの他の売り場も活用したい意向だ。

 ユイット・ラボラトリーズは、まずは既存商材のブランディング強化や販路拡大に乗り出すことで、現状の売上高約10億円に対し、早期に20億円を目指す。

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 加えて、千趣会がアプローチを再強化する30~40代の子育て世代や敏感肌の女性を主要ターゲットに、通販チャネルを主軸としたソリューション型の化粧品ブランドを来春以降に立ち上げる計画で、新ブランドの専用サイトを開設し、定期購入顧客を開拓する。急拡大する敏感肌用コスメ市場において、「商品の質、中身を最重視し、パッケージもこれまで以上にデザイン性を高めることで、柱商材のひとつとしていく」(鈴木弘之ユイット・ラボラトリーズ社長=顔写真)とする。

安野社長に聞く「今後のネット戦略」③ 「連結売上高2千億円目指す」、ポートフォリオ経営に磨き

 前回・前々回に続き、ベルーナの安野清社長に今後の戦略を聞いた。

                             ◇

――専門通販事業では、ベビー用品のベストサンクスの営業赤字が続いている。

 「何とか収支均衡にしたいとは思っている。ギフト関係を伸ばしたいのだが、状況を見ながらアクセルを踏むのか踏まないのかを見極めたい。ただ、原価率が高く物流費もかかるので、収支を合わせるのが難しい部分がある」

――ナースリーとアンファミエの看護師向け通販2社は好調だ。

 「商品力が強くなっている。また、市場でのシェアが拡大したので競合が少なくなっているのも大きい」


――商品の共同仕入れは行っているのか。

 「やっていない。基本的には高価格帯がアンファミエ、低価格帯がナースリーということで住み分けはできている。利益率の高い事業だが、まだまだ利益は出せると思っている。原価率低減や在庫ロス削減を進めたい。両社とも利益率2桁台を達成し、売上高も合計200億円を目指す」

――アパレル店舗について、今期は不採算店の閉鎖を行うことで、前期末の64店から54店まで減らす計画だ。

 「今期は踊り場として、赤字店舗のスクラップ&ビルドを進めるが、来期以降は拡大基調にしたい。既存店の黒字を維持した上で、3年以内に100店舗で売上高100億円を達成する」

――赤字店舗の不振の理由はどう分析している。

 「中長期的に黒字になりそうもない店舗は整理するわけだが、儲かっていない店舗は出店するショッピングセンターの集客力がなかったり、場所が悪かったりといったケースが多い。逆に、宇都宮や伊勢崎の店舗は非常に好調だ。ある程度、どんなやり方なら儲かるのかが分かってきた」

――呉服関連の店舗も好調だ。

 「コンプライアンスに気をつけながら事業を進めている。呉服市場は大きく縮小したが需要は残っているし、当社の場合若手のスタッフが中心という強みがある」

――プロパティ事業では、観光ホテルの開業を日本各地で進めている。

 「ベルーナ子会社で展開しているのは沖縄と裏磐梯、京都、軽井沢の4つだが、来年にはさらに1つ軽井沢に開業予定だ。今期はホテル事業で5億円程度の利益を出したい。観光は今後、基幹産業になるので、札幌や大阪などにも開業したい。プロパティ事業では、賃貸や海外の開発も手がけており、2019年3月期には事業全体で30億円の営業利益を出せるのではないか」

――17年3月期からスタートした3カ年の経営企画において、19年3月期の売上高目標を1600億円としていたが、今期にも達成する見通しだ。

 「連結売上高2000億円を目指したい。それには時代にあったビジネスを手がけることが重要なので、柔軟に対応したい。カタログ通販のほか、看護師向けや呉服など、さまざまな分野で業界ナンバー1となり、それを積み重ねていく。柱を複数作る『ポートフォリオ経営』に磨きをかける。柱がたくさんあれば新しい事業にも取り組みやすいわけで、チャレンジもしていきたい」

――売上高2000億円はM&Aも視野に入れてのものか。

 「現在の事業だけで19年3月期か20年3月期の達成を目指したい。30~40代の人材が育ってきているので、若い力に期待したい」

――今期は運賃値上げの問題もあるが、どう対応する。

 「運賃は総合通販で30%程度の値上げとなる。半分は顧客に転化してカバーするが、半分は企業努力で吸収する。表面的な原価率と、ロスなども考慮した実際の原価率には差があるので、この差を縮めたい。売り上げに響かない形でのSKUの削減で在庫ロス削減を進めている。また、値上げ可能な商品については商品価格に転化する。例えば1980円の商品を値上げしたら客離れをするが、上げても売り上げが減らない商品を見極めて対応したい」(おわり)

有力通販企業のトップに聞く「今」と「これから」 カタログハウスの髙遠裕之社長

031.jpg カタログハウス)がテレビやウェブなど新たなメディアでの通販の可能性について研究とテストを進めている。主力媒体である通販マガジン「通販生活」で安定的な収益を確保しつつも新たなチャネルを確立したい狙いだ。「現状の売上規模を維持し、これから先も安定的で持続可能な会社を目指す」とする髙遠裕之社長に同社の現状や今後の方向性などについて聞いた。
(聞き手は本紙編集長・鹿野利幸)

「持続可能な社会目指す」、〝効率〟と〝質〟のバランス大切

――2015年4月に社長に就任した。トップから見てカタログハウスという企業をどう見ているのか。

 「第一に"強い媒体力がある"こと、"ロングセラー商品が多い"ことが最大の強みだと思う。カタログ通販が逆風の中でも未だに存在感を保つ基幹媒体である『通販生活』を"母艦"として、そこから派生したベストセラーやロングセラーの商品を紹介する『ピカイチ事典』、化粧品を紹介する『スロワージュ』というカタログの存在。それら媒体で商品のよさを誌面で伝えるクリエイティブ力、コピー力を持っていること。今ではカタログ制作を外注する通販企業も増えたが、当社では社内でしっかりと行っている。『通販生活』はカタログマガジンとして雑誌スタイルを採っているため、一般的な通販カタログよりも圧倒的に文字量が多い。通販は写真と文字で説得するわけだから、その説得材料を自分達できちんと作れるのは強みだ。そうでないと価格などで訴求しなければならなくなり、過当競争になる。商品をきちんと説得してお客様にしっかり伝え、買って頂く。その買って頂くクリエイティブ力こそが最大の強みだろう。第二に非常に意識と購買意欲の高い115万人のお客様が今なお、いらっしゃり、かつ、そうしたお客様と"密な関係"が作れているということ。要は当社のことをよく知って頂けている、もっと言えば当社を好きと思って頂けるお客様に向けた商売をしていけているということが強みだ。それにより、安定した収益をあげられていると思う」

――そうした強みがある中で業績面で言えば、ここ数年は横ばいだ。

 「形振り構わず右肩上がりで業績を拡大させればよいという経営感覚を持っていない。イギリスの経済学者、ジョン・メイナード・ケインズの『経済は市場原理で無限に拡大していく』という主張に対して、エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーはそうではなく『スモール・イズ・ビューティフル』と提唱したが、ひたすら拡大を求めることは決してよいことばかりではない、『拡大』より『バランス』が大事だと言っている。当社でも『スモール・イズ・ビューティフル』、つまりバランスの良さと適正規模をとても意識している。売り上げの増減だけを絶対視するのではなく、年商200~300億円の間で、顧客信頼を維持し、利益もしっかりと出して企業を持続させること、持続可能性こそが最も大切だ。目先の売り上げがよくても、『質』が低下したり、信頼が失われ、先行きが悪くなるような経営スタイルはとらない。それは創業者である斎藤(斎藤駿取締役相談役)の理念でもある。前期(2017年3月期)の売上高は前年比11・6%増の288億4000万円と上がったが、これは3年ぶりに『ピカイチ事典』を発刊したからであり、前の年は『スロワージュ』の発刊をやめたから下がった。そもそも売り上げというのは媒体を出せば上がり、出さなければ下がる。そういうことだと思う。大切なのは『売上』と『利益』、すなわち『効率』と『質』のバランスだと思う」

――社長に就任してこの2年間、注力してきたことは何か。

 「まず『内なる固め』を行ってきた。具体的には顧客信頼の徹底、職場環境の整備、経費構造の見直しなど本当にベーシックな部分だ。私は営業畑でずっと商品開発と編集をやってきたが、会社の経営では顧客対応や物流、人事、経理、総務などすべて把握しておく必要があり、そうすると自分の中で棚卸みたいなことが必要だったこともあるし、例えばだが、今後、いくら新しいことをやっていくらか業績を上げたとしても、これまでのビジネスで同じ分、減収となれば意味がない。今は非常に難しい時代だ。それゆえ、足をすくわれないよう、リスクをきちんとおさえて今の身代を維持する、今のお客様を維持していくということが非常に大切だと思ったからだ。

 例えば、私が社長になって始めたのは毎朝、お客様のクレームをすべて見て向き合うことだ。『カタログの誌面に書いてあるほどの品質が良くなかった』とか、『ここの使い勝手が悪かった』とか、『電話対応での説明がよくなかった』とかネットでの色々な書き込みなども1つ1つ見て、問題があれば対応してその解決方法を作るという仕事だ。お客様の考え違いの場合もあるが、当社の対応がまずかった場合は、その問題がどうすれば起きないかについて全社で話し合って、これを解決するためのシステムを3日間くらいで作ってしまう。それを丹念にやってきた」


――それで改善したこととは何か。

 「色々あるが、例えば、毎週月曜日の幹部朝礼で前週に起きた品質問題について発表してもらい、ある商品の縫製が悪いというお客様からのクレームがあれば、即日会議を開き、実態を確認し、メーカーでの品質管理を見直し、仕様書の精度を向上させ、検品体制や基準を強化する。他の商品も含め同類の不良を二度と発生させないようにする。電話がつながりにくい、というクレームの場合にはオペレーターのローテーションの見直しや増員など様々な対策を行い、それまでのカタログ発行直後の繁忙時に『1分以内につながる応答率80%』という基準を変え、30秒以内に80%つながるようにした。現在では直接、オペレーターが30秒以内に応答する率が96%になっている。また、商品の問い合わせについて『カタログハウスで買ったのに対応はメーカー任せなのね』という声を頂き、体制を変えたこともある。これについてはどこの会社もそうだと思うが、まずオペレーターが対応して、専門的な内容や難しい問題だった場合などは2次対応で社員や責任者、メーカーが対応することになるが、最初に電話に出たオペレーターがなるべくすべて応えられるようにした。そのためにはコストもかかるし、教育も必要だが、お客様のことを考え、会話を重視することにした。クレームを寄せられたお客様と対立構造を作るのではなく、お客様に寄り添い、カスタマーセクションはそれを社内に問題提起し、そのクレームが二度と起きないようにするお客様の声の代弁者にしようと考えた。また、商品不良やお届け遅延、欠品を起こしてしまったお客様には定期的にお詫びの手紙を書いて粗品をお送りするなど信頼回復施策なども丁寧に行ってきた。先々の話も大切だが、これまでのお客様に対してのケアをどれだけできるかが、お客様の気持ちを掴んで固定ファンを作ることに繋がる。それが企業の経営安定の礎となる。経営として極めて重要な業務だと思う。

 もちろん、まだまだやるべきことは多いが、この2年で『内なる固め』はあるレベルまでは整ってきた。社内の様々な問題も自分の中で咀嚼できたし、また、お客様の声による改善活動の流れはできているので、最近は朝、私がクレームを見て関係部署に連絡すると『もう対応しています』ということが増えた。方針が全社に浸透してきたということだ。これは私の数少ない私の功績かなと思う」

――通販市場はここ数年でかなり市場を取り巻く状況が変わってきた。それら外的要因がカタログハウスに与える影響をどう考えるか。

 「カタログ通販が厳しくなってきているというのは事実だろう。我々が始めた30~40年前の通販は"通販会社"しかできなかった。つまり、特別なノウハウが必要だったわけだが、ネット通販の登場でメーカーも商社も個人も誰でも通販ができるようになった。ネット通販が出てきたことで、確かに状況はかなり変わった。以前は送ったカタログの中で商品を選択、購入されるお客様が多かったわけだが、今ではネットを検索すれば当社の商品に近しい他社のものが出てくる。同じ商品であれば安いところから買うのは当然だ。中には当社のことを指しているのだと思うが『あの通販会社のヒット商品が2割引き』のような形で、当社を利用しつつ、安売りしているところもある。そういった点では浸食されているということはある」

――そうした事態に対して、何か対策は行っているのか。

 「1つは当社の優良なお客様が他に行かれないようにすること。商品信頼と価格信頼を徹底していく。『他では買えない優位性の高い商品を適正価格で売っていく』ことが生命線になると思う。これからの時代で生き残っていくためには、どこでも売っているプロパー品をただ紹介するだけでは、先ほど申したように値段の安いところで買われてしまう。だから、よそでは買えないうちだけの商品を開発することに現在、注力している。もちろん、当社がメーカーとなって実際にもの作りを行うわけでない。『メーカー的小売りへのシフト』、要は疑似メーカーになるということだ」

――"疑似メーカー"とはどういうことか。

 「現在、好調な小売り事業者はみな製造小売であり、プロパー商品を販売している企業は苦戦している。我々は製造小売にはならないが、メーカーとしっかりと組み、一緒に商品を開発して、ありていに言うとうちでしか販売しない独占販売商品を増やして、それを大胆な適正価格で売ろうと思っている。無論、これまでもそうした方針でやってきたわけだが、それを当社の大方針の1つに掲げた。具体的には『パートナーメーカー』という制度を設けて、各メーカーと濃密な関係を築き、一体となって商品開発を進めることにした」

―― 「パートナーメーカー」とは何か。

 「日本の大手家電メーカーをずっと支えてきた技術力のある下請メーカーはたくさんある。ところが日本の白物家電は芳しくない状況が続いており、各メーカーさんは自分たちの力で立たねばならない状況となっている。とはいえ、もちろん、技術力はあるが、なかなか自分たちで売れる商品を作り、販売していくことが難しい場合もある。そこを当社が一緒になって商品開発や販売を行っていこうということだ。例えば『理美容分野であればここ』というように技術力の高い各分野で有力なメーカー各社にお声掛けをして現場の担当者はもちろん、経営トップも含めて濃密な関係性を築きたいと考えた。まずは30社ほどを『パートナーメーカー』として認定して勉強会を開いている。勉強会ではメーカーからは今後、作ろうと考えている新商品のコンセプトや商品開発の考え方を、当社は商品の売れ筋のトレンドや顧客が求めている商品や機能性などについてぶつけ合っている。その中で商品開発の方向性を決めて、具体的に売れる商品の開発に着手していくわけだ。こうした取り組みは去年から始めているが、今年1月に各メーカーに参加頂き、都内のホテルで初めて『キックオフミーティング』を開催して、当社としての趣旨、要は『我々と組むとこういうよいことがある』ということを具体的な事例を織り交ぜて説明した。その後は個別にメーカーと当社で5人ずつ程度、参加する勉強会をメーカーと当社で交互に開催している」

―― メーカー側にとっての「パートナーメーカー」になるメリットとは何か。
 
 「当社のロングセラーに育てていく販売力とブランディング力ではないか。例えば雑貨や健康関連商品などは何かがヒットしても短期で商品寿命がなくなってしまう。これをメーカー側は危惧しているわけだ。商品開発の効率が悪く死活問題になるからだ。商品寿命の短命化は類似商品の問題もあるが、家電量販店や大手ネット販売サイトなどで仕入れ価格を叩かれ、安売りをするという部分も大きいと思う。一時期は売れるかもしれないが、すぐにピークが終わってしまうと。それは商品の価値が"安さ"でしか評価されなくなってしまうからだ。一方、カタログハウスで販売する売れ筋の『べスト100』の商品の8割はロングセラーだ。それも中途半端ではなく、20年選手、30年選手がごろごろいる。メーカーからすると一時だけ売れるが短命に終わる商品か、爆発的なヒットではないがロングセラー商品となるか、どちらを選ぶかということだ。また、当社の場合は、メーカーの名前を全面に出して当該メーカーの技術力やその価値を訴求している。メーカーにとっては自分たちの哲学や商品のよさを表現できるため、メリットが高いと感じていただいていると思う。商品の開発でも当社は日ごろの商品販売の中で、マーケティングができている。要は顧客の声を反映した商品作りができるわけで、そうしたところと組むことがヒット商品を作るために必要だと思う。

 今回の取り組みは互いに戦略的にがっぷりと組んで売れる商品を開発、販売していくわけだ。オリジナルでヒット商品を作るということは、メーカーも投資するわけで、当社としても当然、何千、何万個と買い取りを行い、当社としても腹をくくって売れなくても売り続ける。互いにリスクを背負い、真剣勝負をしっかりやっていくと。自分たちだけリスクを取らないと一見、『リスクがない』ような気がするが、それでは成長がない。また、『売ってみたら売れないから、販売をやめます』ではメーカーさんにはついてきて頂けない。『カタログハウスは1回売れなくても何回でもトライして最終的にヒット商品にしてくれる』という信頼感が必要だと思う。まだ、取り組み始めたばかりだがいくつかヒット商品が出てきており、非常に期待している。『パートナーメーカー』としてお声掛けしたのはいずれも技術力があって、当社とはこれまで取り引きがあまりなかったところが中心だ。『新しいメーカーとの新しい取り組みが、新しい可能性を生む』と思っている。メーカーさんとしても期待されていると思う。我々としてはその期待に対して、実際に結果を出して長い取引関係を続けていきたいと思っている」

―― 前期はテレビショッピングにも着手したが状況はどうか。

 「メディカル枕やマキタの掃除機、ドライヤーのルーツアップなど『通販生活』で売れている商品からまずは初めて、最近では健康食品などリピート商品のようなものに変えて可能性を試している。カタログとテレビの表現はだいぶ違う。例えば、テレビショッピングでは『今なら3000円引き』など煽る表現で訴求力を強めるのが主流でそれをやればある程度、売れることはわかっているが当社が今、それをやっても仕方ない。それをやればやるほど過当競争になるし、当社のカラーを損ねることにもなる。目指すべきは『大人がきちんと見られるようなテレビショッピング』で、品があって信頼できる作りや表現の方法を模索している。"ないものねだり"をしているから、なかなか難しく、時間もかかっている。ただし、もともとの目的は『新しいスタイルを確立するための研究』だ。あくまでも当社らしさを突き詰めていきたい。それでもCS局やBS局で関しては利益を出せる構造がしっかりと見えてきた。この時間帯にこの商品でこういう表現であれば大丈夫というような段階に来れば地上波でもやっていけるようになってくると思う。テレビ通販に限らず通販カタログではない媒体での可能性を見ていくことも大切だ。『通販生活』で売れている商品は他でも売れる可能性があるわけで、テレビやウェブ、織り込みチラシと新聞など外の媒体を使ってテストをしていかねばならない。この媒体ではこういう表現をしたら、これだけレスポンスが伸びるだとか、逆にだめだとか。丁寧にトライアンドエラーを繰り返しながら、その成功ルールを今、作っていっているところだ。PDCAを速く回しそれぞれの"お客様像"を見極めていくことが必要だと思う」

――ネット販売についてはどうか。ここ数年、様々な施策を行い、試行錯誤を続けてきたが。

 「まだ、試行錯誤の真っ最中だ。本当の意味で紙の通販会社でウェブで成功しているところはないと思う。強い媒体をもっていると軸足がどうしてもそこに行ってしまうという側面もあるのではないか。当社としても正直、まだ確たるものがないが、モバイルと動画に可能性があるのだと思う。若い層はパソコンは使わず、もはやスマートフォンしか使っていない傾向にある。そのモバイルでモノを売る時に文字で説得して売れるかと考えると難しいだろうと思う。そのため、重要となってくるのが動画ではないかと考え、我々は『購買につながる動画』とはどういうものなのかを研究中だ。活字で言えば商品説明をなぞる文章は誰でも書けるが、『買わせる文章』を書けるかが重要でそれは動画についてもそうだと思う。若干ながら答えも見えつつある」

――今後の戦略は。

 「これだけ混迷した複雑な時代に何年か先の会社の状態とか、経済状況を読み抜いて計画を発表できる経営者はそんなにいないと思う。私もそうだ。ただ言えることは、『通販生活』で安定的な収益を確保しつつ、新たなテレビやウェブ、モバイルといった新たなチャネルを確立し、その連動で収益と顧客リストを集めていく。この新しいメディアへのパラダイムシフトを進めることが重要な戦略となる」

――今期の業績目標は。

 「先ほど、申し上げたようにもともと右肩上がりでどんどん業績を拡大させようという考え方ではない。現実的なことを言えば、今年は鮮度維持とマンネリ防止策として『ピカイチ辞典』を出さないが、新聞広告、折り込みチラシ、テレビ通販、ネット販売などの他の媒体での売り上げ拡大を図っていくつもりだ。今期は前期よりは多少、下がると思う」

――現状の課題は。

 「通販でやることは商品とリスト、媒体の3つしかない。先ほど申し上げたように他では買えないオリジナル商品をしっかり作っていく。それが売れればお客様が増えるし、売り上げも維持できる。『通販生活』にそうした新鮮な商品が掲載できれば、マンネリ防止になり媒体の持続性が高まる。持続性を高めつつ、テレビやウェブ、DMとかなどの他の媒体や、化粧品や健康食品といった新しい商材をその余力を持って成長させていければと思っている」

――カタログハウスという会社を今後、どのような会社にしていきたいと考えるか。

 「『スモール・イズ・ビューティフル』という話をしたが、資本主義経済はフロンティア(未開の市場や消費者)の消滅と富の格差により破たんし、右肩上がりの経済は幻想になった。インターネットの普及により誰もが通販を行う究極の『オーバーストア状態』になった。相対的にモノが売れない時代に、現実を無視して毎年10%アップを目指すといっても絵に描いた餅だ。これからも当社は1000億円を目指すとかいう話はない。現実を無視した無理な計画は何かしらの破綻を生む。大切なのは『確実性』と『安定性』ではないか。今の会社の適性規模とバランスを維持して、社員と社員の家族のために持続可能性をしっかり作って、しっかりと収益を上げて、会社を持続させていく。その結果として当社では様々な支援活動を行っているが、そういう活動も続けられ、社会的な弱者の方たちに手を差し伸べることもできる。そういう会社にしたい。それは私の考えだけでなく、創業者の斎藤が描いた理念でもあり、当社の社員みなが思っていることだ」

三陽商会 EC事業の現状と戦略は?㊤ 3カ年でEC倍増、順調な出足

 3-1.jpg三陽商会は、今期(2017年12月期)からスタートした3カ年の新経営計画でEC事業の本格強化に着手している。16年12月期のEC売上高約42億円に対し、最終年の19年12月期は80億円を目標に掲げており、計画達成には年平均成長率24%程度が必要となる。

 そのため、EC売上高の約74%を占める自社ECの基盤強化に向け、主力の通販サイト「サンヨー・アイストア」(=画像)の機能拡充やパーソナル対応の強化に加え、EC専用商材の拡充やEC専用ブランドの開発にも取り組む。

 今期のEC売上高は前年比25・3%増の57億円を計画するが、不採算ブランドを休止した影響や、全社的に在庫圧縮を進めるなどEC事業にとっては「今期が正念場」(杉澤幸毅執行役員)とするが、上期のEC売上高は前年同期比27・4%増の28億4000万円で、「想定以上に順調なスタートを切った」(同)という。

 自社ECに限定すると、「サンヨー・アイストア」および15年秋冬に始動したブランド「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ」の専用サイトを合わせたEC売上高は前年同期を約3割上回った。

 自社ECでは3月末にマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入したほか、4月初旬にウェブ接客ツールも実装し、1to1マーケティングの精度を高めた。同社はMAをベースにしながらも、非会員向けの施策はウェブ接客でフォローするなど住み分けている。決済面では「楽天ペイ」との連携を始めたほか、6月にはゲスト購入機能を追加した。

 オムニチャネル化の取り組みでは、リアル店舗とECの顧客情報を統合し、自社ECでも店頭でも共通のポイントが貯まって使える会員制度「サンヨーメンバーシップ」が昨年9月頃から本格始動しているが、今年2月には百貨店に構える大部分の売り場でもメンバーシップがスタートしたことで、母数が多い既存店頭顧客のEC利用にもつながっているようだ。

 メンバーシップが浸透してきたことで、実店舗とECとが連動した販促もできるようになった。最近ではプレミアムフライデーに合わせ、自社ECか店頭で買い物をすると通常よりも高いポイントを付与するキャンペーンを実施。とくに2月の第1弾ではECと店頭の双方で期間中の売り上げ拡大に寄与するなど一定の成果があったという。

 5月半ばには会員証機能付きのメンバーシップ専用アプリを開始。通販利用も可能なため、オムニ施策を補完するアプリとして活用したい考え。

 また、同社では「サンヨー・アイストア」で完売したアイテムを店頭在庫から引き当てて販売する「お取り寄せ購入」サービスを14年4月にスタートしているが、EC売り上げへの貢献度が増している。

 「お取り寄せ購入」は、通販サイトで欲しい商品の在庫がない場合、商品詳細ページの「お取り寄せ購入」ボタンをクリックすると、在庫がある実店舗の業務端末にリクエストが届き、対応できる店舗が取り寄せ依頼に応える仕組みだ。

 当初は、各ブランドで取り寄せ依頼に対する積極性に温度差があったが、リクエストに応えた店舗・販売員の評価浸透に加え、経営改革委員会を中心としたECの啓発活動もあってブランドごとの考え方も平準化してきており、この1年で取り寄せリクエストの成功率が大きく改善。自社EC売上高に占める取り寄せ販売の比率は10%弱まで拡大している。

 また、同サービスの開始当初は運用が煩雑になるためセール期は中止してきたが、最近ではセール初日と2日目以降はサービスを再開。ウェブ上で商品を押さえたい消費者ニーズもあって、セール期の取り寄せ販売比率は20%程度まで高まるという。 (つづく


栁澤孝旨副社長兼CFOに聞く・スタートトゥデイの好調要因は?㊦ 「ツケ払い」はホームラン施策

 2-1.jpg前号に続き、スタートトゥデイの栁澤孝旨副社長兼CFO(=㊨写真)に同社の好調要因などを聞いた。



──前期は商品取扱高が2120億円まで拡大した。
 
 「前期は新規ショップの誘致や、最大2カ月後の支払いが可能な『ツケ払い』、対象ブランドの商品が割引になる『ブランドクーポン』などが主な成長要因だ。昨年11月から、成長を支える3本柱に『ツケ払い』が入ってきた
 
──「ツケ払い」が若者層の獲得につながっているのか。
 
 「まず、『ツケ払い』は想定以上に業績に貢献していて、サービスとしては"ホームラン"と言える。利用者は100万人を超えた。元々は若年層向けに良いと思って始めたサービスで、実際に若年層はサービス開始以前と比べて増えている。ただ、『ツケ払い』の利用が若年層だけかというとそうでもなく、幅広い年齢層に割とまんべんなく使ってもらっている。大学生の利用を想定していたが、20代を中心に30代も多い。代引きを利用していた層の一部が『ツケ払い』に置き換わっているのかもしれない
 
──ブランドクーポンは一巡したが、成長をさらに後押しする要素になり得るのか。
 
 「ブランドクーポンは1日限定で取り組んでいるため、数に限りがある。そこで、1回(1日)当たりの取扱高を伸ばすために複数ショップ合同のクーポンを展開している。1ブランドでは取扱高に限りがあるブランドさんにも参加できるようにしたことで、喜んでもらえている。引き続き、ブランドクーポンに対する需要は比較的旺盛だ
 
──競合モールにもクーポン施策が広がり、やめられないのでは。
 
 「現状ではやめられない。ただ、クーポン施策を行うサイトを選ぶのはブランドさんで、効果の出ない売り場では実施しなくなるのではないか
 
──昨年11月には「買い替え割」も始めた。
 
 「『ゾゾタウン』で新品を購入する際に不用な服を下取りに出すことで新品を割り引く『買い替え割』を始めた。新品が割り引きになるため、より買いやすくなるという側面があり、購入単価の上昇や買い回りにつながるケースもある。古着を扱う『ゾゾユーズド』の仕入れが強化できる面もあるが、当社にとっては新品の販売促進という付加価値サービスで、セール前に定価で購入するきっかけにもなる
 
──今期は2700億円の商品取扱高を掲げ、出だし好調だ。
 
 「第1四半期(4~6月)は会社計画に対して上振れしたが、前期の成長軌道に乗れば上期の計画達成は手堅いと見ている。下期は、前期の『ツケ払い』効果が一巡するため、何か仕掛けていかないと簡単には達成できない。そういう意味では第1四半期に大した貯金はできていない。下期はプロモーションコストをかけていくことを発表していて、すでにテストを行っている
 
──プライベートブランド(PB)も今期中の始動を目指している。
 
 「PBは既存の出店ブランドとタッグを組むわけではないため、素材から開拓する必要がある。『ゾゾタウン』がPBの売り場になると思うが、既存の出店ブランドさんとケンカにならないように、ちゃんと考えていく必要はある
 
──物流拠点の拡大計画も発表した。
 
 「物流センターは千葉県習志野市の『プロロジスパーク習志野4』に加え、千葉県印西市の『プロロジスパーク千葉ニュータウン』の一部を7月から新たに賃借し、また、来年秋に稼働する茨城県つくば市の『プロロジスパークつくば1』の全棟を利用することで、現状の2倍程度に増床する。千葉ニュータウンはすぐに利用しないといけない状況ではないが、秋冬シーズンの本格化と年末に向けて手当した
 
──すべて関東の拠点を選んだ。
 
 「物流に関しては将来を見据えてどういう拠点配置にしていくかというシミュレーションをしてきたが、現状では費用対効果も含めて関東圏に持っていた方が良いと判断した。当社のユーザー分布やブランドさんの倉庫配置などさまざまなことを考慮した上で、新拠点を決めた。両拠点が加われば、商品取扱高で中長期目標の5000億円くらいまで対応できる
 
──各拠点の役割は。
 
 「基本的には千葉ニュータウンは出荷機能を持たずに保管がメインで、出荷は既存拠点からとなる。品ぞろえが増えて商品の置き場所が足りない。来秋にはつくばのセンターが稼働するが、その頃には出荷も既存拠点だけでは耐えられなくなり、出荷機能が必要になってくると思う
 
──配送会社の人手不足が深刻化している。
 
 「基本スタンスとして、当社ではヤマト運輸さんを使い続けたい。複数の運送業者さんを活用することなどはあまり考えていない」  (おわり

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