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企業動向 Archive

苦境の千趣会、立て直し策は? 2期連続の大幅赤字で正念場、経営陣刷新や本社ビル売却、大規模な早期退職募集も

 千趣会が正念場を迎えている。通販事業の業績悪化に歯止めがかからず、今期(2018年12月期)が初年度の3カ年中期経営計画を見直す。星野裕幸前社長は10月31日付けで引責辞任して顧問に退き、新社長には梶原健司取締役が昇格し経営再建の指揮をとる。また、大阪本社ビルの売却や東京本社の移転を決めたほか、年内に280人の早期退職者を募るなど構造改革に着手する。

 同社は近年、売り上げ規模を重視して商品型数を増やしてきたが、その分、競争力のない商品も増えたことで在庫過多となり、在庫圧縮を目的としたセールの乱発もあって利益率が低下している。そのため、収益改善を目指して商品数を絞り、カタログの発行部数も大幅に減らしているが、結果的に同社の屋台骨を支えてきたカタログ既存顧客の離脱を招き、売り上げを大きく落とすという悪循環にある。

 足もとでは"総合通販"の看板を下ろし、戦えるカテゴリーに特化した"専門店集積モデル"への転換を打ち出しているが、複雑化した事業構造が足かせとなって進捗が遅れ通販事業の売り上げ不振が続いていることから、さらなる経営・組織のスリム化が不可欠と判断。一環として、グループ全従業員の約15%に当たる280人の早期退職者募集を行い、固定費の圧縮につなげる。

 昨年11月の希望退職者募集では予定の50人を大幅に上回る134人が応募しているが、今回の募集人数はその倍となる。前回は商品開発部門の退職は少なかったと見られるが、第2弾となる大規模な人員削減によって現場の混乱や商品開発力の低下も懸念される。

 同社では早期退職者への特別退職金を特別損失として計上することや、業績低迷から18年12月期の連結業績予想を大幅に下方修正。当初は1年での黒字回復を計画していたが、90億円~103億円の当期純損失(前期は約111億円の赤字)と、2期連続で100億円規模の最終赤字を計上する見込みだ。

 こうした状況を受けて、社長交代と取締役の人数削減を含む経営体制の刷新に着手。星野前社長と社外取締役、監査役で構成される「指名・報酬諮問委員会」で梶原取締役の社長昇格を決めた。梶原新社長は通販事業で主力のファッション領域やEC事業、新規事業開発など幅広い経験を持つことなどが評価されたようで、同委員会には千趣会を支援するREVICパートナーズの経営陣も加わっていることから、同社の意向も反映されたと見られる。

 千趣会は経営再建に向け、コスト削減とグループ会社の再編にも取り組む。コスト面では、大阪本社ビルの売却と新本社への機能集約に加え、東京本社も移転する。また、在庫削減を行うことで物量減および自社倉庫への集約による賃貸料の削減を進める。

 グループ会社再編では、クレジットカード・保険などのサービス事業を手がける千趣会ゼネラルサービスと、千趣会の管理業務を一部受託する千趣ビジネスサービスの連結子会社2社を来年1月1日付けで千趣会が吸収合併するほか、テレマーケティング事業を行う千趣会コールセンターと通販事業の販促および顧客開拓を担う千趣会サービス・販売の連結子会社2社については前者を存続会社とする吸収合併を1月1日付けで行う。

 加えて、昨年3月にJフロントリテイリングから旧JFRオンラインのシニア向け通販カタログ事業を譲受し、連結子会社として設立したフィールライフが当該カタログ事業を継承しているが、通販インフラの負担やベルメゾン事業とのシナジーが得られていないこともあって当初の事業計画から遅れが生じている。千趣会も抜本的な構造改革が急務なことから、フィールライフは来年5月末まで事業を継続した後、同社が保有する顧客情報や運営の一部を千趣会に移管し、同年9月をメドに解散・清算するという。

カタログ起点の集客を再構築へ

 経営・組織のスリム化、コスト削減といった業績改善策を集中実施するのと同時に、成長に向けた戦略も見直す考えで、カタログ起点の集客モデル再構築と、オペレーション改革に重点を置く。

 同社ではカタログからECへのシフトを掲げ、紙媒体の統廃合や発行部数の大幅削減を進めてきたが、カタログ顧客のベルメゾン離れが年間購入者数減少の要因となっていることから、タッチポイントとしてのカタログに回帰しつつ、アナログとデジタルを連携させた集客施策を構築するとともに、効率的な配布方法を模索する。

 ECチャネルでは、デジタルマーケティングやウェブ集客を強化することで接客品質を高めるのに加え、国内外の外部ECモールへの出店強化などを通じて販路を広げ、売り上げ増とベルメゾンの認知度向上を目指す。

 オペレーション改革では、生産リードタイムの短縮とモニター調査を効果的に実施することで商品発注予測の精度向上を図り、正価販売割合の改善と余剰在庫の抑制につなげたい意向だ。

 ウェブ中心の販売では、購入者の商品レビューの影響もあって人気商品が集中的に売れる傾向が強く、同社でも春夏、秋冬の両シーズンで看板商品の在庫切れが発生しがちで、今後は仕入れのコントロールを含めた在庫管理の強化は不可欠だ。

 同社では、昨年10月に発表した中期経営計画を仕切り直し、計画期間を来期からの3カ年に変更。一連の事業構造改革の大半が来期中に完了し、効果が出てくる20年12月期には黒字化を見込むとともに、最終年度(21年12月期)は連結売上高920億円以上、同営業利益40億円以上を計画するとしている。

 ただ、こうした経営目標の達成には専門店化構想の進展が欠かせないが、まだ青写真が見えにくい。同社ではフォーマルウエアや育児、インナー、大きいサイズ、ディズニー、インテリアなど単独カタログを展開する領域をベースに専門店を立ち上げる計画だが、当然ながら各分野には通有店舗小売りを含めた強い専門企業が待ち構えており、短期間で一定のシェアを確保するのは簡単ではない。また、大規模な人員削減で商品開発力が低下するようなことがあれば、専門店化構想自体が崩れかねないだけに、経営再建策の実行とあわせて、専門店化ビジョンについても一歩踏み込んだ共有化が不可欠になりそうだ。

 なお、同社は9月末時点で現金および預金を約117億円、取引先金融機関と総額100億円のコミットメントライン契約の一部変更について合意しており、資金繰りの懸念はないとする。

ドゥクラッセのマーケ戦略 4年ぶりにTVCM放映、LINEやアプリで顧客接点拡充しターゲット層を明確化

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 DoCLASSE(ドゥクラッセ)は11月2日、戦略商品「マジカルサーモコート」のプロモーションで4年ぶりのテレビCMに挑戦する。これに先駆け、9月にはLINEの公式アカウントを開設して顧客接点の拡充を図ったほか、通販サイトのリニューアルも実施し、CM視聴者の受け皿としてフル活用する。

 同社は創業11年でグループ売上高が275億円(2018年7月期)まで拡大しているが、「ドゥクラッセ」ブランドの関東での認知度は26%にとどまっており、次の成長に向けてブランドの"顔"となる戦略アイテムを「マジカルサーモコート」に設定し、ブランド認知を高めながら当該商品の価値を訴求するためにはテレビCMが最適と判断した。

 15秒と30秒の尺の中で、"スリムで軽くて暖かい"という「マジカルサーモコート」の特徴を効果的に打ち出すためにもインパクトを重視。米映像コンテンツ制作会社のメソッドスタジオNYとタッグを組み、最先端のビジュアルエフェクトの技術を駆使したCGキャラクター(画像(上))と、印象に残る激しいダンス、「ドゥ・ドゥ・ドゥクラッセ」という音楽の3つの要素でCMの世界観を構築した。また、CMにはドゥクラッセの通販カタログでもモデルとして活躍するRINAさんを起用。羽毛やダウンジャケットを模して丸々したCGキャラクターに変身して踊り、最後は同キャラクターがはじけて、「ダウンにさよなら」「スリムであったかい」の文字と一緒にRINAさんが「マジカルサーモコート」を着用して登場(画像(下))。「ダウンは暖かいけど太って見える」という女性の悩みを解消できるコートとして訴求している。

 当初、CMは関西だけで放映する予定だったが、6月にグループの最大店舗となる新宿アルタ店をオープンしたことや、4年前に関西でCMを放映したときとは異なり、ドゥクラッセの売り上げ、店舗数ともに関東が6割程度を占めていることから、関東・関西の両エリアでの放送を決めた。

 新CMでは冒頭から「マジカルサーモ」の検索窓を表示することでウェブ誘導を図る。同社では、9月12日に通販サイトを刷新。トップページで「マジカルサーモコート」を紹介するほか、特集ページも設け、CM視聴者が迷わずに購入できるようにした。放映開始前日からはトップページでもCM動画を流す。

 近年、同社では新規顧客の開拓に新聞広告を多用してきたこともあって60~70代の顧客が増えているが、「次のステージに向かうためにはメインターゲットを創業時の53歳に戻す必要がある」(藤原尚也CMO兼web事業長)とし、テレビとウェブを有機的につなぐためにもサイト刷新を先行実施した。

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 同社はCMを視聴してサイトを訪れた消費者に、「マジカルサーモコート」購入後も定着してもらえるようにサイトの使い勝手も改善。購入ステップの簡略化などを実施した結果、CM放送前からサイト訪問者の離脱率や直帰率が減った。

 9月4日にはLINEの公式アカウントを開設。友だち追加で人気スタンプクリエイターのnaonao3さんが描く「ガーリーくまさん」とドゥクラッセのコラボLINEスタンプをプレゼントするキャンペーンを実施し、LINEの友だちが大勢いる間にテレビCMが始まるようにスケジュールを組んだ。

 スタンプは顧客年齢層を考慮したキャラクター設定としたほか、「おつかれさまです」や「ありがとう」など、当該層が日常的に使える言葉を選んだこともあり、プレゼント期間中に計画を上回る360万人の友だちを獲得。ブロック率は想定より低いようで、かなりの人数にメッセージを届けられる状況にある。

 また、同社では新たな集客ツールとしてスマホ用のウェブアプリも始動しており、実店舗ではアプリのダウンロードを促し、プッシュ通知で情報を配信している。今後は、ECシステムを来年8月にフルリニューアルする計画で、同年10月頃には、ブラウザーを介さずスマホ端末の処理で動くネイティブアプリをローンチし、スマホ経由の売り上げを伸ばしたい考え。

 なお、CMにも登場する新作「マジカルサーモ・フードコート」はテレビ東京系の経済ドキュメンタリー番組でとり上げられたこともあり、10月下旬時点で4万枚を販売。同社ではCM効果を期待し、今シーズンは当該商品だけで18万枚の販売を目標としている。

トウ・キユーピー 愛用者と接点強化、今期15%増の23億円目指す

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 健康食品通販を行うトウ・キユーピーは、今期(2018年11月期)に前年比15%増の約23億円の売り上げを見込んでいる。数年前から顧客を対象にした撮影会などを通じて愛用者との接点を強化。地道に商品の提供価値を象徴する愛用者モデルを探してきた。主力の機能性表示食品の広告にモデルとして起用したことで獲得効率が改善。堅調な成長を維持している。

 主力は、機能性表示食品の「ヒアロモイスチャー240」。「肌の保湿」をうたう初の機能性表示食品として15年に届出が受理。「提供価値をダイレクトに伝えることができるようになったことが大きかった」(井上泰孝通信販売部課長)と成長のきっかけを話す。商品単体の前期売上高は約11億円。今期に同27%増となる約14億円の売り上げを目指す。新規獲得は新聞のほか、16年から放映を始めたインフォマーシャルで進める。

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 ただ、成長の背景にあるのは、機能性表示食品制度の導入だけではない。「(独立系の)通販専業で成功した企業
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の多くは、商品の顔となるような愛用者モデルを打ち出している」(同)と、数年前から同梱物で愛用者モデルの募集を始めた。撮影会やインタビューを行い接点を築き、商品の提供価値やブランドを象徴する50~60代の複数の愛用者モデルを採用。広告に活かしたことで、顧客に商品に対する親近感が生まれ、効率が高まった。

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 成長に向け、今後はCRM戦略の見直しを進める。年間の継続率は一定の水準で推移するものの、2回目購入など継続率が課題。一因は、外注するコールセンターにおける「インバウンド(新規受注、定期引き上げ)」と「カスタマーサポート(継続)」という担当分野間の情報連携の不足だ。

 トウ・キユーピーに限らず、定期コースを導入する企業の多くは、一定の割合で「定期購入にした覚えがない」といった声が寄せられる。獲得効率の改善と継続率向上という異なる目標を掲げる部署の情報共有の不足から、改善が進まないケースは少なくない。

 こうした状況を受け、昨年7月からコールセンターの外注先を複数社に委託する体制に変更。定期コースに関する問い合わせが寄せられることをあらかじめ想定した上で、顧客対応する体制に変えたことで継続率の改善につながりつつある。

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 継続率の向上に向け、クロスセルも強化している。「ヒアロモイスチャー240」に関連の深いスキンケア商品、ヒアルロン酸配合のハンドソープやハンドクリームを同梱物で提案し、「ヒアルロン酸」の魅力を分かりやすく伝えることで効果実感を得やすくしている(=画像)。卵由来の抗ウイルス成分を配合したキッチン用アルコール除菌スプレーなど、豊富な商品ラインアップを持つメーカーとしての強みも活かしクロスセルを提案する。

 これらスポットで使う同梱物の多くは、社内で作成。「外注すると大量印刷になり、時間も費用もかかる」(同)と、ネット印刷の「ラクスル」などのサービスを使い、手作りで行う。撮影会などイベントの様子も、同様の手法でレポートを作成して同梱することでその魅力を伝えている。

楽天 「楽天の商品」でリフォーム提案、インテリアサイト開設にあわせてインスタグラマーとコラボ

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 楽天は、リフォーム商品とインテリアグッズの特設サイト「楽天でかなえる 理想のおうち」を開設するのにあわせて、大阪府吹田市内のマンションの一室を特集ページで紹介した商品でリフォームし、インテリアでコーディネートした。10月11日にはリフォームした部屋を報道陣に公開するとともに、キュレーションサービス「ROOM(ルーム)」の人気ユーザーを招いたワークショップを開催した。

 特集ページでは、インテリア関連の投稿が人気のインフルエンサー、yukiさんとコラボレーション。インスタグラムではフォロワー数16万人を越え、ルームでも人気のyukiさんが監修した「理想のおうち」を作るためのテクニックや実現するための商品を紹介している。さらには、yukiさんと、育児中のユーザーに実用的な情報やポイントアップやクーポンなどの特典を提供するプログラム「楽天 ママ割」による、主婦の悩みを解決する限定商品を共同開発し、販売する。

 今回の企画は「楽天は大きい百貨店で買い物をするような楽しさはあるが、『暮らしをデザインする』という視点が欠けているのではないか」というyukiさんからの指摘を受けて始まったものだという。具体的には「商品をどう使うのか」、「どのようにコーディネートするのか」、「他店舗の商品とどう組み合せるのか」といった情報が不足しているために「(私の)インスタグラムに質問が来たり、ルームが活用されたりするのではないか」(yukiさん)。

 特設サイトでは、設備費用と基本工事費用を含んだパッケージ価格という同一条件で商品を比較検討でき、施工可能地域も一覧で分かるサービス「らくらく楽天リフォーム」をアピール。理想の風呂やトイレを実現するためのリフォーム術を紹介した。

 インテリア商品に関しては、楽天市場に出店するインテリア関連のショップからyukiさんが選定。「『楽天でこんなものも買えるんだ』ということをテーマに、床もキッチンもトイレも風呂もライトも全て楽天で購入し、まさに『楽天ハウス』になった」(yukiさん)。

 また、共同開発商品としては、2人掛けのソファー「Copain」(価格は税込2万4990円)と、ビーズクッション「人と暮らしになじむクッション」(同1万5800円)を販売。「マンションはスペースに悩む人が多いので、小さめのソファーにビーズクッションをプラスするコーディネートを提案する」(yukiさん)。小さい子供がいるとソファーを汚してしまうことがあり、高いソファーは買いにくいため、低価格のソファーを開発。さらに、子供部屋にも運べるビーズクッションをセットにすることで、家族でくつろぎやすい空間を作ることを目的にしている。

 さらには、シンプルなデザインを採用し、部屋に置いてもインテリアに馴染むようにした「シンプルかわいい"おりしふき"」(同1888円)や、リバーシブルで使いやすいランチョンマット「fit」(同2160円)もコラボアイテムとして販売。10月15日現在で、ビーズクッションやランチョンマットは品切れになるなど、人気を呼んでいる。

 ワークショップは、リフォームのコツや洗濯のコツ、DIY講座、フードスタイリストによる「おいしく見える盛り付けスマホ講座」を開催した。ルームの人気ユーザーを招いて実施したもので、今回の取り組みについて、ルームで拡散してもらうのが狙いだ。

 DIY講座は、楽天市場に出店する「DIYファクトリー」(運営は大都)のスタッフが行った。同社の山田岳人社長は「日本の流通は多重構造になっており、建材関連の業界でも、今まではユーザーの声がメーカーに届いていなかった。ところが、インターネットやSNSの発展で、これまでのメーカー↓代理店↓問屋↓納材店↓工務店↓ユーザーという商流が変化し、メーカーとユーザーが直接つながれるようになってきており、ユーザーがメーカーに影響を与えている。yukiさんのようなインフルエンサーが発言力を持ち始めているが、『ヒト』を軸としたマーケティングや売り方がとても重要であり、今回の取り組みは非常に面白いのではないか」と評価する。

 同社でも、「ラブリコ」というDIYパーツブランドの売れ行きが、DIYが好きなインスタグラマーが取り上げたことで大きく伸びたという。

 なお、企画を再現した吹田市内のマンションは、今回の施工協力店である「ハウスコード」が12月1日から販売する。

【MOA・佐伯澄代表取締役に聞く 家電ネット専業の成長戦略②】 「非家電商材、売り上げの10%に」、データ活用進めてリピート購入増へ

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 前号に続き、MOAの佐伯澄代表取締役(=写真)に今後の戦略などを聞いた。

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 ――家電以外の商材の取り扱いも増えており、一昨年には酒類の販売も開始した。売れ行きは。

 「酒類に関してはなかなか難しいという印象だ。酒専門の通販サイトは多く、対等に戦おうと思うとなかなか難しい。例えば、ワインであれば多くの種類を取り扱う通販サイトに勝つのは難しいし、対抗して揃えようと思うと利益がほとんど出なくなってしまう。どこまで商材を絞って勝負するかを模索中だ」

 ――食品や日用品については。

 「伸びてはいるが、家電とはサイズが違うので管理が難しい。商品数を増やせば売り上げは増えるはずだが、運賃の問題もある。ある程度商品数を絞るつもりだ」

 ――こうした商材の取り扱いは、サイトへの来訪回数増や購入回数増という狙いがあると思うが、既存客にはどうアピールしているのか。

 「ここが当社の課題となっている。これまで1カ月あたりの購買回数についてはあまり考えておらず、当社の通販サイトで家電を買ったユーザーが二度と来訪しないということの方が圧倒的に多かった。会員登録したユーザーに対し、家電以外の商材や家電に近い商材を買ってもらえるよう、プロモーションをかけようと思っている。そのためにはどんな商品を販売したらいいのか、8月に着任してから手を付けている」

 「これまで、インターネットで通販をしていながら、あまりネットを活用していなかった部分がある。購入履歴などのデータを活用し、フリークエンシー(頻度)を上げて購入金額を上げていきたい」

 ――具体的には。

 「仮想モールも含めると当社は『エープライス』と『プレモア』という2つの名前を使って通販サイトを展開しているわけだが、ブランディングできていない。現在、KDDIの仮想モール『ワウマ』に追加出店を予定しており、家電と家電以外で商材を分けて展開したいと思っている。『エープライス』では家電を販売し、『プレモア』は日用品を扱うサイトにしていきたい。携帯電話ユーザーが中心のワウマは当社の従来の顧客層とは少し違うので、実験的に日用品を集めたショップを出店し、販売する仕組みを構築していきたいと思っている」

 ――自社サイトは価格比較サイト経由の顧客が多いのか。

 「そうだ。サイト名は気にせず、価格だけを見て購入する顧客が多いので、いかにリピーターになってもらうかが大きなポイント。そのために、ビッグデータを使いながらフリークエンシーを上げる仕組みを導入していく。スマートフォンのプッシュ通知を使った販促や、チャットボットのような人工知能を使ったレコメンドも考えている。プッシュ通知を使うのであればスマホアプリの導入が必要になる。ただ、家電だけを売るのであればアプリはユーザーにダウンロードしてもらえないと思うので、購入頻度の高い食品や雑貨の品揃えが増えた段階でリリースしたい」

 ――日用品についてはアマゾンやヨドバシカメラのような大手と競合する。サービス面で優れた巨大サイトにどう対抗するのか。

 「彼らがあまり得意としていなかったり、KPIの観点から注力していなかったりする商材を販売していきたい。具体的には価格競争がそこまで激しくない商材として、ペット用品やDIY関連、住宅設備系を考えている。ただ、まだバイイングパワーが足りないので、規模が巨大なGMSと同じ品揃えにしても仕方がない。ロングテール型ではなく、分野を絞りたい」

 ――そこはどう見極めるのか。

 「購買履歴やテスト販売の結果、仮想モールから得られるデータなどを通じて、家電と一緒に購入してもらえるような商材を扱っていきたい」

 ――運賃値上げへの対処は。

 「5000円未満の購入に対する送料を700円から864円に値上げした。現在の規模では自社物流に踏み切るのは難しいので、何とか対処するしかないだろう。今期の業績に影響する部分だが、経費増を吸収するために粗利を増やし、EBITDA(営業利益+償却費)ではトントンかややプラスに持っていきたい」

 ――2018年6月期の業績は。

 「売上高は前期比35・4%増の423億8700万円、営業利益は6億6000万円、経常利益は5億4000万円。プライベートブランド(PB)シリーズ『マクスゼン』が伸びたほか、各社仮想モール店舗の売り上げが好調だった。売り上げ比率としては自社サイトが1、仮想モール2となっており、セールを定期的に開催している楽天市場やヤフーショッピングなどが好調だ」

 ――今期の業績見込みは。

 「売り上げについては毎月のアベレージで15%増は最低でも達成したい」

 ――株式上場の時期はいつになる。

 「まだ決まっていないが、数年内というイメージだ」

 ――売上高1000億円に向けた施策は。

 「現在の成長ペースなら6~7年後にはいけると思う。まずはデータ活用など、ウェブマーケティングができてないので力を入れていく。既存客にもう一度買ってもらうための仕組み作りやプロモーションを手掛けることで業績向上につなげたい。5~6年後には非家電商材が売り上げのうち約10%を占める計算だ。またPBシリーズについても15~20%にしたい」

 「これまで勢いで伸びてきた会社ということもあり、『より安く売る』ことを重視しており、既存客へのフォローなど顧客視点の施策ができていなかった。今後はそこに注力することで、価格比較サイト経由ではなく、直接当社の通販サイトに来てもらえるようにしていきたい」(おわり)


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