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企業動向 Archive

変わる表示規制、忍び寄る「保健所」の監視③ 変わるロジック、健康イメージ「全体印象」で監視

 健康食品が最も注意すべき表示関連法は、薬機法(旧薬事法)と景品表示法だ。だが、健康増進法も消費者庁への移管以来、「広告」を判断する3要件のうち「商品名の表示」を絶対条件とせず、「顧客を誘引する意図」をより重視するよう"景表法仕様"に変わっている(本紙1592号既報)。以降、運用のしやすさが格段にアップしている。

与えられた役割

 健康食品を監視する各法を横並びでみると、薬機法は医薬品的効果の暗示など「NGワード」が明確だ。景表法も「優良・有利誤認」を規制するなどその対象が明確。事業者も禁止事項が判断しやすい。その反面、「いわゆる健食」が得意とする"健康イメージ"のようなあいまいな表現の監視は行いにくい。そこで健増法の役割として重視されたのが「全体印象」の監視だ。健増法と景表法の一体的運用は、消費者庁に「食品表示対策室」が設置されて以来の課題とされてきた。消費者庁は、いかにしてその執行スキームを作りあげたのか。

イメージの監視

031.jpg 昨今、景表法処分が相次ぐダイエット健食の「痩身効果」と、昨年3月に行われたライオンの「トマト酢生活」に対する健増法適用を比べると分かりやすい。

 ダイエット対応の健食を飲んで「○週間で○キロ痩せました」というのは、景表法の「不実証広告規制」で取り締まりやすい。ダイエットは「食事制限や運動を行うことなく痩せることはない」というのが専門家の確定的評価。行き過ぎた表現をすれば事業者が根拠を提出しても十中八九認められない。

 一方、景表法の弱みは莫とした健康イメージからくる誤認を取り締りにくいことだ。「トマト酢生活」は、血圧の低下作用の科学的根拠が認められているれっきとした「トクホ」。「『血圧低下作用』といったところで国がその根拠を認め、『50・60・70・80代の方に朗報』などそれ以外の表現もこれが"著しく優良か"というと該当しない」(行政の元執行担当官)。

 一方、健増法の特徴は「診療の機会を逸する」など国民の健康に影響を与えるものについて「著しく誤認」するものを取り締まることができる。「50・60~」「薬に頼らず食生活で血圧対策」といった複数の表示からくる全体的な印象が"医者いらず"を想起させるとして健増法の要件に合致した。

指導中心の運用

 健増法の運用で断トツの指導実績を持つみなと保健所の担当者は「やはり有名人を使って若々しいイメージで訴求すると、無名の方が勧めるより効果的。有名人や疾患を抱えた人が"これ飲んでます"みたいなものは誤認を与える可能性が
高い。使い方によっては誇大広告になる」と話
す。

 問題はその指導に法的根拠があるか、という点だ。「指導担当は事件担当より違法性の判断基準が低い」というのが前出の元執行担当官の見方。指導を受けた事業者は「行政訴訟に発展したら行政側が違反を立証しうる論拠をもてるのか」と行政指導の乱発に警戒感を持つ。

 ただ、健増法の執行ステップは法的拘束力のない「勧告」、これに従わない場合、拘束力を持つ「命令」となる。行政指導、勧告段階では事業者は究極的に従う必要もない。いわばプレッシャーとしての運用だ。「法的拘束力のない指導を訴訟で争うのは難しい」(元執行担当官)と話すように、手軽に誇大広告に対する表示是正が図れるわけだ。

 「消費者庁からは指導に力を入れて、と言われている」(ある保健所の担当者)というが、厳密な認定を必要としない指導中心に運用を拡大していく狙いがあるとみられる。そうなると全国に480もの監視網を持つ保健所の存在が絶大な威力を発揮してくることになる。(つづく)

変わる表示規制、忍び寄る「保健所」の監視② 切り離された"薬事"

 健康増進法の「虚偽誇大広告の禁止」に基づく執行権限の移譲後、消費者庁はその迅速な運用を目的に指導指針を改定した。以来、保健所による指導が活発化しているがそれにはワケがある。「広告の定義」が大きく変わったのだ。


健増法では「ダメ」

 「消費者庁からは"薬機法(旧薬事法)に引っ張られすぎー"と。でもなぜと。薬機法には広告と判断する『3要件』がある。商品名がないなら、それは表現の自由じゃないかと」。保健所で健康食品の監視を行うある担当者はこう振り返る。

 担当者が言う3要件とは、薬機法上の広告の定義のこと。「顧客を誘引する意図」「特定の商品名の表示」「一般人が認知できる」という要件をもって広告とみなすものだ。だが、健増法上の広告の定義は異なるという。どういうことか。


消えた3要件

 「過去に商品名がなく、(健食原料の)機能をうたうものがあった。でも表示するような機能の科学的根拠はある。"それなりの根拠だし、企業広告だからいいか"と思ったら、だめだと。それが健増法を運用する上での大きな違い」(前出の担当者)という。

 実際、健増法の「虚偽誇大広告の禁止」を巡る三つの指針を見比べてみると、03年、厚生労働省が策定した当時のまま残る一つ(※1)を除き、昨年6月に改定した「健食留意事項(※2)」など2つの指針では「顧客を誘引するための手段として行う(もの)」を広告とする判断が示され、そこに3要件の記載はない。すべての指針から3要件が消えたわけではないものの、「広告の判断は薬事ではなく、むしろ景表法の考え方が反映されている」(同)と話す。


健増法で「拾える」


 厚生労働省関東信越厚生局管区内の執行担当官を集めて行われた研修会では消費者庁がもう一つ、重要な見解を示している。「企業広告」の定義だ。

 内容は、『企業のイメージ向上を目的としたもので自社商品とまったく関係のない、例えば環境問題等への取り組みなどを広告すること』というもの。一方で、『(広告に)商品名がなくても消費者がその会社が製造している商品であることを容易に認知できれば、当然、その会社の商品と関連づけ、結果としてその広告には顧客を誘引する効果が認められる。よってそのような広告は商品広告とし、根拠がなければ健康の保持増進効果を表示してはいけない』としている。出席者によると、消費者庁はすでに14年頃、こうした見解を示していたという。

 薬事法は、商品名がないことをもってこれを広告とせず、一切見ない。だが、健増法ではその抜け穴をついて誇大な表現をする広告を拾えるというわけだ。


溢れる「商品広告」


 消費者庁に尋ねても広告の定義は「(薬事法と)異なる」とする。実際、その解釈に近いものとして昨年3月、消費者庁が景品表示法に基づく措置命令を下したココナッツジャパンを例に挙げる。商品の販売サイトのリンク先で認知症やガン予防をうたっていたもの。処分は景表法だが、程度の差こそあれ「商品」と切り離しつつ、巧みに消費者に訴求する広告は巷に氾濫している。

 保健所の担当者は「例えば乳酸菌を扱っている会社が商品名を出さず機能をうたい、『企業広告だから』と。確かに薬事はクリアしている。けれど乳酸菌などは○○社の××菌と、独自の菌名がそのまま商品名になっているところもある。そうなるとまさにあの商品を連想させるじゃないかと。そこに顧客を誘引する狙いがあれば商品名がなくても科学的根拠がなければアウト」と、健増法上の解釈を話す。

 科学的根拠も「例えばヒトを対象にした立派な論文がある。けれど機能を得るには5リットル食べないといけない。商品名のない広告なら5リットル必要だろうが、薬事の観点からは得られた研究成果ならウソじゃないじゃんと。でも健増法上『商品広告』にあたれば、もっと食べなきゃというのは根拠といえない」。



 これまで表示規制法といえば「何人も」を対象に疾病の予防など明らかなNGワードを規制する薬機法、「表示主体者」を対象に課徴金を導入した景表法だった。だが、保健所など地方自治体のスケールに合わせ、両法からこぼれ落ちる広告に対応可能な健増法という新たな取締り手法が確立したことで、健食の規制対象の範囲は大幅に広がる。 (つづく


※1 食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告の禁止及び広告適正化のための監視指導等に関する指針

 健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について

楽天・三木谷社長が講演 「AIで商品おすすめ」、"ジャンル戦略"に成果

 3-1.jpg楽天では1月26日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で「楽天新春カンファレンス2017」を開催した。当日は、参加した「楽天市場」出店店舗同士の交流の場や課題解決のための講座などを設けた。また、PEZY Computingの齊藤元章社長が基調講演を行ったほか、三木谷浩史社長(=写真)が講演を行った。

 講演で三木谷社長は、楽天市場における人工知能(AI)やドローン配送、ビッグデータ、さらには拡張現実(AR)、仮想現実(VR)の活用について説明。AIのショッピングにおける活用例については「今までのように検索経由ではなく、音声によるAIとの対話で買い物をする日がそこまで来ている」とした。例えば「来週の金曜日に渋谷で5歳の息子と誕生日パーティーがしたい」と入力すると、ケーキやプレゼント、レストランなどが瞬時におすすめされる。さらに、講演では「ファッションコンシェジュ」のデモを行った。「もっと赤い」「もっとかわいい」などと音声で入力すると、AIが選定した商品が一覧で表示されるというものだ。

 店舗向けのAIサービスとしては、チャットボット「相楽しんく」を開始。24時間365日対応するもので、過去の問い合わせ80%を網羅。会話形式のインターフェースを採用している。

 三木谷社長は「楽天市場は楽天と店舗の共存共栄モデル。データやAIを皆さんに開放する。AIやオートメーションを導入することで効率化するとともに、より楽しい・より安心できる・よりスマートな店舗を作っていただきたい。AI導入で自動販売機化するのではなく、より人間らしいサービスを皆さんとともに実現する」と話した。

 また、楽天市場では昨年から、商品ジャンルに特化した戦略を打ち出している。組織体制を変更し、各ジャンルの担当者がジャンルごとのナビゲーションや企画を手掛けている。

 ファッションジャンルでは、ブランド力強化を目指しコンテンツを充実、ソーシャルメディアとの連携も行った。「画像をきれいに表示させて、検索などでニーズを拾っていくことを重視している」(河野奈保上級執行役員)。家具などのホーム&ライフジャンルでは、新生活需要などの企画を展開するとともに、色やサイズ、素材、「シンプル」「ポップ」といったテイストなど、ジャンルに特化した検索を可能とした。

 フードジャンルでは高品質な商品を認定する制度を開始。「楽天で売る商品の安心感を生み出すとともに、店舗が新たなPRができるような認定制度を今後も手掛ける」(同)。さらに、限定商品にも注力。例えば2月のバレンタイン商戦においては、20店舗と限定商品を開発し、限定商品数を前年の7倍に拡大。特集ページ内では限定商品を露出しており、他の商品よりも閲覧数が多くなっている。家電などのリテールジャンルでは、価格比較機能を強化するとともに、「不用品をリサイクルに出した上で新しいものを買うというフローをウェブ上で完結できるようにしたい」(同)。

 ファッションジャンルでは近年、スタートトゥデイの「ゾゾタウン」のほか、クルーズの「ショップリスト」、さらにはメルカリに代表されるフリマアプリが台頭している。楽天でもファッション通販サイト「スタイライフ」と、楽天市場内の「楽天ブランドアベニュー」を統合するなど、テコ入れを進めている。河野上級執行役員は「スタイライフのブランドは認知度が高かったが、昨年スタイライフと楽天のID統合を行い、楽天スーパーポイントが貯まることなどのメリットが浸透したと判断した」とサイト統合の背景を説明。その上で「ゾゾタウンとは良く比較されるが、楽天ブランドアベニューも各ブランドとの提携は進んでいる」とした。

 近年はアマゾンやヨドバシカメラ、ロハコなど、短時間配達を打ち出す通販サイトが増えている。河野上級執行役員は「当社でも『楽びん』が拡大しており、今年はさらに進化させたい。自社配送についてもテストしており、今年は形になるのではないか。他社に遅れを取っているのは事実だが、方向性は見えてきた」と説明。また、コンビニエンスストア受け取りについても、複数店舗で注文した商品をまとめて受け取れるようなサービスを検討している。

 昨年9月には、店舗がルール違反を犯した際に点数を付与し、累積点数で罰則を課したりする「違反点数制度」を開始した。「対象になったケースはあるがごく少数。ペナルティーも退店につながるというよりも、改善活動に活かしている」(河野上級執行役員)という。

変わる表示規制、忍び寄る「保健所」の監視① 「いわゆる健食」狩り

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「いわゆる健康食品」の監視を行う新たな規制当局として「保健所」が台頭している。昨年4月、政府は第4次一括法を施行。その中で健康増進法の執行権限(勧告・命令)が地方自治体に移譲されたからだ。中でも、規制が最も苛烈なのが民放キー局5社と大手広告代理店の電通、博報堂が本社を置く「東京都・港区」(本紙1590号既報)。ただ、監視の目は港区を中心に全国に広がっている。「保健所」の規制当局化で健食の表示規制が変わろうとしている。

「事後規制」に転換

 「『いわゆる健食狩り』をするんだと。科学的根拠があるなら『機能性表示食品』を使え、というメッセージを感じた」。保健所から指導を受けた事業者はこう話す。

 規制の中心は東京都港区の「みなと保健所」(=写真)。健増法では、都内で断トツの年間200件前後の指導を行っている。

 保健所の指導は3つに分かれる。職権探知による「積極監視(指導)」、広告主が管轄外であった場合にその地区の自治体に指導・報告を依頼する「回付(情報提供)」、事業者からの相談に対応する「相談指導」だ。つまり、本社が港区でないからといって対象にならないわけではない。

 これまで「みなと保健所」は、テレビ局や広告代理店からの相談を受ける「相談指導」にも対応していた。だが、権限移譲後は「相談と執行を行う部署が同一なのはいかがなものかということもあり、事後規制に転換した」と、今後は事業者と距離を置く姿勢を示す。指導の対象も媒体社から販売事業者(広告主)に軸足を置く。

480の監視の目

 健増法の移譲で何が変わるのか。一つは「ハード面」の変化だ。

 もう一つの表示規制法である景品表示法は、これまでは消費者庁が執行権限を所管。消費者庁は出先機関を持たないため、全国に8つある公正取引委員会の地方事務所も調査権限を持っていた。14年末、措置命令権限が都道府県に移譲されたが、それでもその数は50ほどになる計算だ。

 一方の健増法はこれまで消費者庁のみが執行権限を持っていた。だが、昨年4月、都道府県知事と東京都下23区の区長、全国の保健所設置都市の市長にその権限が移譲された。つまり、全国にある保健所480カ所(昨年4月時点、支所を除く)が監視の目を光らせることになるわけだ。景表法と比べても規制当局は圧倒的に増えることになる。

新たな監視手法

 二つ目の変化は「ソフト面」。健食広告に対する監視手法が生まれたことだ。

 景表法は、商品の機能について合理的根拠を要求し、これを違反とみなす「不実証広告規制」を特徴とする。一方の健増法は、複数の表示からくる広告の"健康イメージ"など「全体印象」を規制するもの。みなと保健所も「消費者庁からは違反に至らないための改善指導に力を入れてくれと言われている」としており、違反の前段階の「指導」で表示改善を迫ることができる。課徴金制度が導入され、より厳密な認定と悪質な事例に対処する景表法と、運用は明確にすみ分けられるようになる。

「何人」も規制

 加えて、規制対象も広がる。健増法は、テレビや新聞など媒体社、広告代理店を含め「何人も」を規制対象にしていることだ。この点、主に商品の販売者を「表示主体者」とみなし規制する景表法と大きく異なる。

 媒体社が最も恐れるのは、健増法で自らの関与の責任を問われ「勧告・命令」を受けること。保健所をはじめとする地方自治体は、「指導」というプレッシャーをかけることで媒体社を萎縮させ、直接、事業者を指導せずとも「広告考査」の側から広告表現を是正できる。媒体からの"逆流"という新たな規制強化が起こってくることになる。(つづく)

適格消費者団体、〝定期縛り〟で初の差止訴訟

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ここ最近、健康食品や化粧品のネット販売手法で消費者団体が問題視する"定期縛り"を対象にした初の差止請求訴訟が提起された。提訴したのは、サン・クロレラ販売に対する差止請求訴訟で知られる適格消費者団体の京都消費者契約ネットワーク(KCCN)。1月11日、京都地裁に健食のネット販売を行うBRONXの表示に対する差止請求を求めた。

BRONXが販売する「ナチュラルオリジナルスムージー」の販売を巡るウェブ上の表示に対し、景表法上の違法性を指摘した。BRONXは「訴状が届いていないためコメントできない」としている。同種の販売手法を巡って消費者庁が景表法に基づく行政処分を行った例はなく、司法の場で違法性が認められれば今後の法運用に影響を及ぼす可能性がある。

 商品は「キレイ痩せコース」の名称で通常価格が3280円(税別)のところ、70%割引の特別価格である980円(同)で販売されていた。BRONXは、「こんな悩みがたった980円で解決するとしたら?」「70%オフの980円(1日あたり32円)でダイエットが続けられます」などと広告。ただ、実際は5カ月間の定期購入が最低利用期間が定められており、2回目以降の購入価格は3280円(17%オフ)。初回を含め計5回の購入が義務づけられ、支払総額が1万4100円になる点のウェブ表示は「980円」の表示の半分以下のポイントで記載されている。こうした表示が「有利誤認」(商品価格など取引条件についてほかの事業者より著しく有利であると誤認させる)にあたるとしている。

 KCCNでは12月末、BRONXに差止請求書を送付。回答が得られなかったことから訴訟に踏み切った。

 国民生活センターに寄せられる相談件数も年々増加している。「初回無料」などとうたいながら、実際は定期購入契約だったトラブルは、2011年以降、約1万2000件寄せられている。年度別の相談件数でも15年度の相談件数は5620件。11年度(520件)の10倍以上に膨れ上がっている。

 こうした状況を受け、"定期縛り"を巡る消費者団体の監視強化も進んでいる。昨年1月には、消費者被害防止ネットワーク東海が青汁のネット販売を行うメディアハーツに申し入れを行ったほか、ひょうご消費者ネットが同じく健食のネット販売を行うビケンコやクワンジャパン、JBSコスメティックに、全国消費生活相談員協会がビーボに、埼玉消費者被害をなくす会がモイストに同様の表示改善を求める申し入れを行うなどしている。

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