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企業動向 Archive

千趣会 官民ファンドから70億円調達、ECやブライダル等に投資、JFRの持分法適用外に

 千趣会は2月26日開催の取締役会で、REVICパートナーズが管理運営する官民ファンド「地域中核企業活性化投資事業有限責任組合」を割当先とした第三者割当により、25億円のA種優先株式(償還型)および45億円のB種優先株式(転換型)を発行することを決めた。千趣会はJフロントリテイリング(JFR)の持分法適用関連会社から外れることになる。

 千趣会は2015年4月にJFRと資本業務提携を締結。同社が千趣会の発行済み株式の22%超を取得して持分法適用関連会社化していたが、千趣会は衣料品を中心とした業績不振の影響もあって17年12月期に110億円の当期純損失を計上し、純資産が目減りして財務の安定化を図る必要があった。また、19年12月期を最終年度とした3カ年の新中期経営計画の目標達成に向けても多額の資金が必要で、銀行からの借り付けによる有利子負債を抑制するためにも官民ファンドの支援を仰ぐ形となったようだ。

 JFR側も千趣会が新中計を確実に実行するには株主としての影響力を軽減し、千趣会のパートナーを割当先に一本化することが望ましいとして賛同した。

 払込期日である3月30日以降、JFRの持分法適用会社から外れるが、両社は千趣会の婦人服ブランド「ケイカラット」や婦人靴の「べネビス」などを共同ブランド化し、一定の成果を上げていることから、こうした分野での協業は継続するとしている。

 新たに調達する総額70億円の資金については、ベルメゾン事業が目指す専門店化構想の実現に向けて複数専門店のECを同じシステムで運営するプラットフォームの構築や、顧客応答や受注予測などへのAI導入による販売効率の改善、紙媒体以外の受注拡大に向けたスマホサイトやアプリの充実などに35億円を投じる。通販以外ではブライダル事業や子育て支援事業などの女性関連事業の拡大や、M&Aなどに32億2500万円円を投資する計画だ。

 千趣会の新中計では、ベルメゾン事業の今期は引き続き売り上げ規模を追わず、徹底的なコストダウンで赤字体質の脱却に注力した上で、総合通販から専門店の集積型への転換を目指すとともに、ブライダルや子育て支援などの「コト売り事業」と、通販の「モノ売り事業」との相互送客や共同商品開発といったシナジーを追求する方針だ。

 なお、今回の第三者割当増資に伴い、割当先が指名する社外取締役と社外監査役が1人ずつ選任されることになるという。

世界文化社 「和美人百貨店」で実店舗、オリジナル商品など販売

3-1.jpg 世界文化社は2月20日~4月1日、雑誌「きものSalon」の通販サイト「和美人百貨店」がプロデュースするリアルショップ"和美人カフェ"を未来屋書店碑文谷店(東京都目黒区)のカフェスペースに開設している。

 今回、未来屋書店から世界文化社にリアル展開の依頼があり、和雑貨などを提案する機会が少ないこともあり、「和美人百貨店」の売り場を設けることになった。同社にとっても、通販サイトやカタログでは再現し切れない商品の魅力を実際に見てもらう絶好の機会として、また、「和美人百貨店」を知ってもらう場として活用。立地も同社および「和美人百貨店」と親和性のある客層が多いと判断し出店を決めた。

 和美人カフェでは、画家で随筆家でもあるド・ローラ・節子さんがデザインした帯などオリジナル商品のコーナーに加え、ワークショップも実施する筆ペンなど和の小物を扱うほか、通販サイトでは販売しづらい1点ものの商材として、型染め染色家の大場了子さんがデザインした数寄屋袋などを販売する。

 会場作りに際しては、着物を見る機会のない生活者を考慮し、店内に着物を飾ることで「着物の良さを少しでも感じられる工夫をした」(古谷尚子家庭画報編集部部長きものSalon編集長=画像㊤)という。

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 当該店ではミニ講座も開設して集客にもつなげているようで、着物を飾る企画に協力してくれた、絞り染め「京絞り寺田」の寺田豊氏を講師に招いて絞りの講座を2月23日に実施。着物の染色技法について学べる機会を作った(画像㊦))

 また、「自分の名前を堂々と記帳できるようになりたい」という編集部員が筆ペン講座に通ってコンプレックスを克服した経験から、筆ペンと名前の手本を用意して美文字のポイントを教える講座を3月22日に開催。さらに、古谷編集長が4月6日に「和菓子モダンスタイル」という本を出版することや、夜にもワークショップが欲しいという未来屋書店の要請もあり、3月31日午後6時からはモダン和菓子とワインを楽しむ会を催す。

 和美人カフェの開設やミニ講座は通販サイトと雑誌「きものSalon」、世界文化社および雑誌「家庭画報」公式サイトのフェイスブックなどで告知している。

                    ◇

 昨年8月に開設した通販サイト「和美人百貨店」の売り上げは、18年2月までの半年間で計画比10%増で推移。電話注文が半分程度のため、購入者の約半数が既存通販顧客、残りのEC購入が新客と見ている。

 MDはカテゴリーを和雑貨や菓子類まで広げているほか、"通販視点"ではなく、古谷編集長を中心とした編集部が欲しくなる商品、本当にお薦めする商品を厳選。現状、こうした品ぞろえが奏功しているようで、雑貨や小物で可愛いアイテム、ちょっとしたアイデアグッズなどが売れ筋だ。ただ、帯の売り上げが少ないため、通販サイトや「きものSalon」本誌の信頼度をさらに高め、帯も購入してもらえるようにしたい考え。

 今後は、「作り手と使い手とをつなげる役割を担いたい」(古谷編集長)という思いが伝わるよう、コンテンツの充実やメルマガの定期配信も含めて商品のストーリーを打ち出しやすくするほか、「きものSalon」との誌面連動を強化して本誌掲載商品がサイトで購入できる仕組みも構築する。なお、「和美人百貨店」ではカタログ冊子の発刊も始めており、来期(2019年3月期)は4~5回の発行を計画する。

アマゾンの前期決算 日本の売上高は1割増、円換算では1兆3360億円に

 米アマゾン・ドット・コムが公表した前期(2017年12月)における日本(=アマゾンジャパン)の売上高は前年比10・2%増の119億700万ドルだった。同社が2月2日に米証券取引委員会に提出した年次報告書で明らかにした。同年の平均為替レート(112・2円)で円換算すると1兆3360億円となり、2016年12月期の日本の売上高を円換算した数字(※同年の平均為替レート109円で計算)は1兆1768億円だったため、それとの比較では13・5%の増収となった。

 アマゾンジャパンは前期、配送業者の配送費値上げ要請や同社が取引先などに対して課していた競合サイトと同等かより安い価格・最多の品ぞろえとしなければならないなどの条件が独占禁止法に抵触する恐れがあるとの公正取引委員会の指摘を受けて取引条件の見直しを行ったり、虚偽の参考価格を掲載するなどで景品表示法違反で消費者庁より措置命令を受けるなど様々な問題で揺れたものの引き続き、品ぞろえの拡充や有料会員「アマゾンプライム」の増加施策などが奏功、また、恒例の夏の大規模セール「プライムデー」などの販促策も好調で売れ行き自体は順調に推移した模様。一方で4月からは生鮮品販売サービス「アマゾンフレッシュ」を、9月からは法人向けのネット販売「アマゾンビジネス」をスタート。11月からはAIスピーカー「アマゾンエコー」の販売も開始するなど既存事業だけでなく、さらなる成長のための一手も展開している。また、スピード配送「プライムナウ」用の新たな配送拠点を6月に東京・三鷹市内に設けて同サービスの対象エリアを広げたり、10月には拡販に注力するファッションアイテムの専用配送拠点を大阪・藤井寺市内に新設するなど設備投資も着実に行い、物量のさらなる拡大に備え抜かりなく準備を整えている。

 なお、米アマゾンが公開した日本事業の売上高はアマゾンによる直販分や仮想モール事業における手数料収入など日本のアマゾンの売上高となり、「マーケットプレイス」に出店・出品する他社の売り上げを含んだ日本のアマゾンの流通総額ではない。流通総額は明らかにしていないが、関係筋によると2・2兆円程度となっている模様。

 同報告書では日本以外にも地域別の売上高も公開しており、米国、ドイツ、イギリスの2016年売上高はそれぞれ1204億8600万ドル(前年比33・3%増)、169億5100万ドル(同19・8%増)、113億7200万ドル(同19・1%増)、それ以外の地域の合計売上高は同53・8%増の171億5000万ドルだった。

 米アマゾン全体の2017年12月期の連結決算は売上高は前年比30・7%増の1778億6600万ドル、純利益は同27・9%増の30億3300万ドル。売上高の内訳はデジタルコンテンツを含む仕入れ商品の直販「オンラインストア」が同18・5%増の1083億5400万ドル、「店舗販売」が57億9800万ドル(主に昨年子会社化した米食品スーパーのホールフーズの売り上げのため、前年比は出ない)、マーケットプレイス事業などでの手数料収入などの「サードパーティーセラーサービス」が同38・6%増の318億8100万ドル、有料会員「アマゾンプライム」の会費や定期販売ビジネス関連などの「サブスクリプションサービス」が同52・0%増の97億2100万ドル、グループのアマゾンウェブサービスが展開するクラウドサービスの売り上げなどの「AWS」が同42・8%増の174億5900万ドル、広告サービスやクレジットカード契約など「その他」が同57・7%増の46億5300万ドルとなっている。

髙谷成夫社長に聞く健康コーポレーションの再成長戦略は? 「リブランディングを推進」、顧客に驚き与える商品を開発

2-1.jpg RIZAPグループ子会社の健康コーポレーションでは昨年10月、元オルビス社長の髙谷成夫氏が社長に就任した。豆乳クッキーダイエットや美顔器の通販で一世を風靡(ふうび)した同社だが、近年はプライベートジム「ライザップ」が急成長。M&Aを積極的に行っていることもあり、グループに占める同社の売り上げ比率は低下している。経験豊富な髙谷社長は、グループの祖業でもある同社をどう再成長させるのか。方策を聞いた。

 ――RIZAPグループに参画したきっかけは。

 「瀬戸健社長から『RIZAPグループで力を発揮してほしい』という誘いがあった。アグレッシブに挑戦したいという想いから入社を決めた」

 ――プライベートジム事業などを手掛ける子会社のRIZAPでは取締役を務めている。

 「まず、RIZAPでは1月1日付で組織の再編成を実施した。5つの本部体制とし、私はプロダクト事業本部とマーケティング事業本部を統括している。プロダクトに関しては、これまでボディメイクのスタジオ事業として『ライザップ』が立ち上がり、成長してきたわけだが、プラスアルファーとしてプロダクトに関連する事業を第2の柱とするための事業本部だ

 ――具体的には。

 「ボディメイクに関していえば、低糖質の食事に加え、減量期・維持期を通してたんぱく質やビタミンなど必要なものはたくさんある。これをフードやサプリメントとして提供していく。これまでもやってきたことではあるが、CRMを強化し、減量期はもとより、その後の長い継続的な顧客との関係性を構築し、その中でプロダクト事業をスタジオ事業とほぼ同等の売り上げまで引き上げていく」

 ――販路は。

 「対象としてはスタジオでトレーニングをする『ゲスト』とスタジオに来たことがない『非ゲスト』の2種類がある。ゲスト向けについては、減量やボディメイクだけでなく、健康をサポートする食品群を拡充する。販売チャネルとしてはスタジオやネット販売、さらには法人に向けた営業や直営店も視野に入れる。非ゲストは直営店やネット販売に加えて、コンビニエンスストアやGMSにもライザップブランドとして投入する」

 「ボディメイクは健康に直結するので、健康領域への広がりと、さらには痩せることに付随してビューティー領域への広がりを考えている。そこへの商品の提供が成長戦略を考える上で重要になってくる。ゲスト向けについては、スタジオに来ているゲストのパーソナルデータやビッグデータも活かし、よりパーソナライズしたものにしていきたい。一方、非ゲスト向けに関しては、幅広い消費者に触れてもらうために、コンビニで手に取ってもらえる商品群の開発を強化していく」

 ――ビューティー領域とは、具体的にどんな商品なのか。

 「従来のような化粧品だけではなく、ライザップのプログラムやパーソナルデータを組み合わせたものも考えている」

 ――マーケティングに関しては。

 「ライザップではテレビCMの『ビフォアー・アフター』が成功モデルとなったわけだが、それをいかに進化させるかを考えている。また、テレビCMだけではなく、ソーシャルメディアも含めて、広い意味でのメディアマーケティングをどう組み立てるかも課題となる。ボディメイクからスタートしたライザップは領域を広げているわけだが、ブランド価値をさらに上げていく必要がある」

 「近年、ライザップのCMに起用するタレントの選定は、健康維持に悩みが出て来る年齢層を中心にしてきた。ただ、ブランドとしての先進性を維持し続けるためには若い層は無視できない。今後もボディメイクから健康までをカバーしていくが、ペイドメディアだけでなく、ソーシャルメディアでのマーケティングも強化したい」

 ――社長を務める健康コーポレーションの戦略は。

 「現在リブランディングを進めている。コーポレートのブランドを作り直すほか、前提となる商品群についても、商品の刷新とマーケティングの変革も含めてリブランディングする。コーポレートブランドについては、新たに『健康を、日本を代表する価値にする』という企業理念を定めた。さらに、"KENKO MARK"という新しいブランドとそれにあわせたブランドロゴを作り、消費者に浸透させていく。商品については豆乳クッキーダイエットや美顔器、洗顔石けんなど、一つの時代を作ってきた自負はあるが、現状は競合と比較しさらなる強化が必要な状況なのは否めない」

 ――問題点はどこにあるのか。

 「商品力の課題は大きいだろう。これまで健康コーポレーションは『クッキーをダイエット商材にする』『高価な美顔器を安価に提供し、洗顔ジェルの継続性を高めることで収益化する』など、常識から少し外れた、驚きを与える商品を作っていたし、それが成功の要因でもあった。しかし、それが洗顔石けん『どろあわわ』以降は作れていない。改めて、健康コーポレーションとして、どうすれば驚きやわくわくするような商品やサービスに提供できるかを考えていく」

 ――定期購入が柱だ。

 「ここ数年、定期購入顧客向けの施策よりも新規顧客の獲得を重視した割引のキャンペーンに注力してしまったという反省点がある。やはり、優良顧客をいかに作るかという、お客様を起点とするマーケティングの姿に立ち返るのがリブランディングの大きなテーマになる」

 ――割引施策をやめるということか。

 「継続して買ってくれている顧客に対し、どのようなメリットを与えられるかということだ。商品の作り方から情報の出し方、販売の仕方まで、何を軸に組み立て直すか。ダイレクトマーケティング的な、ストーリーのある商品を作り、継続性を高められるような仕組みを取り入れて価値づけしていく。定期購入者へのメリットを重視した施策とするため、これまでのやり方をゼロベースで見直していく」

 ――広告のクリエイティブに関しては。

 「これからのメディアや情報の流通のあり方にあわせて、ストーリーとして価値を伝えられるクリエイティブを作れるかどうかが勝負だ。語れる商品を作りあげることが前提だが、『語り口』はメディアのあり方で変わってくる」

 ――RIZAPグループ子会社である点は押し出さないのか。

 「ライザップブランドと分けて展開しているのは、ターゲットや提供すべき価値が異なるからであり、そこは分けて考えたい。ただ、親和性の高い提供の仕方は、グループのシナジーも含めてありうるので検討したい」

 ――人材育成は。

 「既存社員とのコミュニケーションを密に取るほか、経験者採用を強化している。当社は急成長中だからこそ、さまざまなことへ挑戦できる。マーケティングやプロダクト経験者は特に、これまでのスキルをすぐに活かすことができるポジションが多数ある。自分でやるべき仕事を探し実行していきたい方には、最高の環境でしょう」

スタートトゥデイ初のPBが始動 数千パターンからサイズ提案、採寸用スーツは最大8カ月待ち、セールせず限界価格で販売

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 スタートトゥデイは1月31日、初のプライベートブランド(PB)「ゾゾ」の第1弾として、Tシャツとデニムパンツを発表し、通販サイト「ゾゾタウン」で販売を始めた。

 PBについては昨年10月下旬から段階的に情報を開示。"究極のフィット感""ベーシックアイテム"などのキーワードや採寸用ボディースーツの存在を公表していたことや、まだ規模が小さいオーダーメード市場の開拓に乗り出したことからも、「ゾゾタウン」に出店するアパレル企業がPB展開に対して警戒感を示すケースは少なく、むしろ「スポーツ系アパレルの取り込みが進むのでは」「業界を越えた活用が期待できそう」など、同社のPB展開に欠かせないボディースーツの可能性に注目する向きが強い印象だ。

 同社初のPBは、伸縮センサー内蔵の採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」で計測した体型データを基に、顧客一人ひとりの体型に合ったベーシックな商品をオーダーメード方式で製造販売するブランドで、ゾゾスーツの無料配布が当初計画から遅れたことで、昨年中を予定していたPBの販売もずれ込んだ。

 ゾゾスーツの出荷は1月31日から一部で始まったが、昨年11月に注文した人でも最大で6カ月後の配送となるほか、12月以降のオーダーは最大8カ月待ちとなる可能性があるため、ゾゾスーツ注文者が実際にPB商品を手にとれるのにはまだ時間がかかりそうだ。

 同社は現時点でのゾゾスーツのオーダー数を公開していないが、注文数自体は「想定の範囲内」(前澤友作社長)とし、一般的な体型の人に対するサイズ測定の精度は高かったものの、イレギュラーサイズで精度誤差が生じ、最後まで採寸精度を追求した結果、ゾゾスーツの発送開始が1~2カ月遅れたという。

 PB商品は、生産プロセスのIT化や自動化を図り、オーダーメード注文に対応する生産ラインを確立したという。また、受注発注に近い在庫管理を行って過剰に在庫を持たないのに加え、オーダーメード生産では余分な生地が発生せず、コストを抑えられるとし、PB「ゾゾ」の第1弾となるTシャツは税込1200円、デニムパンツは同3800円で販売する。

 既製品のアパレルに比べて割高になるオーダーメード品としてはかなり低価格に抑えた印象で、「アパレル業界の常識が崩れる価格設定ではないか」(同)と自信をのぞかせる。アパレルに詳しい業界関係者はPBの価格設定について「ベーシックなファッション商材として真っ先に競合となるユニクロを意識したのでは」と分析する。

 同社のPB商品は一般的なアパレル商材と比べて原価率が高いとし、「販売開始時から"限界プライス"で提供してセールは行わない」(前澤社長)という。原価率は高いものの、実店舗を持たずに「ゾゾタウン」だけで販売することなどにより、PBの最終的な利益率は主力のゾゾタウン事業の商品取扱高比10~15%程度よりも高い数値を目指すとしている。

 第1弾のTシャツとデニムパンツはともに中国製だが、品質管理を徹底。日本でも検品を行うなど複数の検品体制を組む。

体型データを異業種活用も

 スタートトゥデイがPBと採寸用ボディースーツの情報を段階的に発表してきた中で、アパレル企業からは「服を作るのに膨大な体型データは必要ないし、消費者はフィット感だけを求めていない」という声が聞かれたのも事実だが、同社のPBはTシャツやデニムパンツなど、フィット感が重視されやすいアイテムであると同時に、消費者の着こなしの好みにも対応することで、同社なりの答えを示している。

 同社では、ゾゾスーツで計測した体型データに基づくサイズを強要するのではなく、例えばデニムパンツであれば、ヒップやウエストは現状で3センチ単位、レングスは2センチ単位などでサイズ調整できるようにしており、ウエストを少し緩くして腰ではいたり、レングスを少し短くして踝を見せてはきたいニーズなどにも応える。同時に、オーダーメードの強みを生かし、膝裏のヒゲ加工は購入者の膝裏にぴったり合うように加工時にすべて調整するという。

 一方、PBの最大の売りでもある"究極のフィット感"を実現するため、単に体型データを基に商品を作るのではなく、さまざまな年代、体型の人を対象にフィッティングテストを行い、デザインパターンの作り直しを繰り返し、これらのデータをディープラーニングの教師データとして活用することで精度を高めてきたようで、「スペック(体型データ)だけでお薦めするわけではない」(前澤社長)という。

 デニムパンツであれば数千のサイズパターンを持つとし、オーダーが入ると数千パターンの中から一番近いものですぐに生産できるようにしており、サイズが合わない場合は返品も受ける。

 また、PB商品は即日から約2週間以内の納品を実現するために、顧客の体型データと需要をあらかじめ分析。過度な在庫は持たないものの、高需要が見込まれる特定のサイズパターンはあらかじめ一定量の在庫を抱え、注文後すぐに届けられるようにする。

 Tシャツとデニムパンツ以外にも、今後はカットソー全般やシャツ、ビジネスシャツなどにPBのアイテムを広げていく計画で、数年後には主力のゾゾタウン事業の規模(前期で約2000億円)を超えることを目標とし、「将来的にはザラやH&M、ファーストリテイリングといった世界のトップファッションブランドに並び、越えていきたい」(前澤社長)としている。

 また、スタートトゥデイでは、PB展開に合わせて、ゾゾスーツで体型を計測したユーザーを対象に、「ゾゾタウン」で商品を探す際に自分のサイズに合った商品だけを表示する「自分サイズ検索」を実装している。

 さらに、「計測された体型データを自社のPBだけに使うのはもったいない。服を作るだけでなく、いろいろな形で社会に貢献していきたい」(同)とし、1月31日付でプロジェクトチーム「スタートトゥデイ研究所」を発足。ゾゾスーツで得た体型データをヘルスケアや医療、フィットネス分野などに生かせるように協力企業も募ってオープンな立場で取り組むという。また、同研究所では「ゾゾタウン」やファッションコーディネートアプリ「ウェア」で得た1億件以上の購買データや約3000万件のブランド公式商品データ、各種ランキング情報、約1000万枚のコーディネートデータ、約2300万人のユーザー情報なども活用し、これまで感覚に頼っていた"ファッションセンス"を数値化できるようにしたいとする。

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