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企業動向 Archive

ニッセン 上場廃止の背景は② 家具撤退で稼働客大幅減

ニッセン連載用画像Web.jpg 2014年1月にセブン&アイ・ホールディングス(HD)の子会社となったニッセンホールディングス(HD)。だが、業績回復の兆しは見えなかった。

 カタログ通販企業の弱点といえるのが、「カタログの発行時期と販売する商品の季節感が合致していない」という点。ニッセンHDでは13年時点で、売り上げ不振の原因を「気候に合わせて必要な時期に必要な衣料品を買う傾向が進展したことが大きい。例えば、夏物の衣料品であれば、暑くなってからでないと買わなくなってきている」(広報企画室)と分析。そこで、カタログのページ数を減らす代わりに配布頻度を増やすことで、季節感のある商品を、カタログでも販売できる体制を目指した。
 
 しかし、この戦略は失敗に終わる。14年8月に発行した初秋号以降のカタログ発行回数を、従来の2回から3回に増やして売り上げ回復を目指したが、品揃えの不足やカタログ有効期間の重なり、閑散期となる盆休みにカタログを発行したことなどにより、14年下期の売り上げは計画を大きく下回り、販売固定費率も悪化した。
 
 14年末には社長が市場信行氏に交代。15年12月期はカタログ発行回数減少や不採算事業の整理・縮小を進めた。ページ数を減らした薄型カタログに転換し、カタログ発行回数を削減。F1層女性の獲得を狙った販促をやめ、ワーキングマザーとファミリー層にターゲットを絞った。これに伴い、主力ターゲットから外れるシニア向けカタログや和装カタログ、ハイティーン向けカタログなど整理・縮小した。
 
 15年8月には大規模な経営合理化を実施。ソファーやベッドといった大型家具事業から撤退。さらに、120人もの希望退職を募集した。大型家具事業では、破損防止のために配送時に2名体制で対応していたことや、原油高による配送原価高騰などにより、配送コストが大幅に増加しており、赤字が拡大していた。
 
 15年12月期の連結業績は、赤字幅がさらに拡大した。今期はカタログのビジュアルを一新し、ファッション雑誌を意識したスタイルとするなど大幅に刷新(画像は刷新後の2016年春カタログ)。これまで受注予測に使ってきたテストカタログと、新規顧客獲得を目的とした無料配布カタログを完全に廃止し、有料カタログにシフトした。

 さらに、「安さのニッセンから価値のニッセンへと変えたい」(市場信行社長)として、MD改革を打ち出した。セブン&アイグループのノウハウを活用した商品として「セレクト10」を開発。15年春の段階では、2000円以下の商品ラインアップが中心となっていたことから、同一価格帯に集中した品揃えを是正。今年の春カタログでは2000~2499円を中心価格帯として品揃えを厚くし、下は500円から上は4000円までカバーするなど「プライス構成を以前の三角形からヒシ形に変えた」(市場社長)。

 しかし、今期も不振は続く。ニッセンの月次売上高は、今年6月まで17カ月連続前年同期を下回った。2月には大型家具事業から撤退した影響で、家具とインテリア商品、アパレルを同時に購入していた顧客が離れ、想定以上に稼働客数が減少したという。ニッセンHDの今中間期の純資産は6900万円で債務超過寸前となった。

 さらに、ニッセンHDの資金繰りに重大なリスクが生じる可能性まで出ていたことから、6月初めにはセブン&アイHDに対し、債務超過リスクや銀行や取引先からの与信低下、資金繰りリスク等に対処するため、完全子会社となることを前提に、財務・事業の両面での経営支援を願い出たという。(つづく)

アスタキサンチン特許侵害訴訟 富士フイルムの請求棄却、特許庁審決背景に控訴へ

富士フイルムがディーエイチシー(DHC)が販売する化粧品の一部が特許を侵害していると訴えていた裁判で、東京地裁は8月30日、「特許は無効とされるべき」として富士フイルムの請求を棄却した。富士フイルムは「判決を不服として速やかに控訴します」とコメント。DHCは、「御社の質問には答えかねます」とした。

 裁判を巡っては、DHCが提訴を受けて特許庁に特許無効の申し立てを行っていた。これについて今年3月、特許庁は富士フイルムの特許を「有効」とし、審判費用の負担をDHCに命じる審決を下している。富士フイルムは特許庁の審決が「(今回の判決と)真逆の結論を示すもの」として控訴して争っていく。

 裁判は、DHCが販売する「DHCアスタキサンチン ジェル」と「DHCアスタキサンチン ローション」が富士フイルムが持つ特許を侵害しているとして2014年9月に起こしていたもの。富士フイルムは、商品の製造、販売の差し止めと、1億円の損害賠償を求めていた。

 富士フイルムは、従来の技術では安定的に化粧品に配合することが難しかったアスタキサンチンの安定配合に関する特許(「アスタキサンチンを含む分散組成物およびスキンケア用化粧料に関する特許」)を12年7月に取得。07年からこの技術を使った「アスタリフトシリーズ」を販売している。

 争っていたのは、この商品の「pH(ペーハー)」調整に関する部分。脂溶性であるアスタキサンチンは水に溶かしても一定期間を置くと分離してしまう。これを水に溶けた状態で保つには、製品のpH値を「5・0~7・5」の範囲にとどめる必要がある。

 富士フイルムが所有していたのは、アスタキサンチン以外のさまざまな化粧品成分を含め、pH値を範囲内に維持し、アスタキサンチンを安定的に化粧品に配合する技術。特許庁はこの技術の特許権を認めたが、地裁はその進歩性(先行技術に基づき簡単に行えないこと)を認めず、特許出願前にウェブ上で公開されていた発明を使って容易に発明できたと判断。特許が無効とされるべきとした。

オットージャパン・主力事業の次の一手㊦ 16年秋冬にブランド刷新、ECチャネルも強化へ

031.jpg オットージャパンは、30周年を迎えた基幹ブランド「オットー」をリニューアルし、2016年秋冬シーズンに臨む。

 近年、他社ブランドとの同質化が進み、成長期のオットーブランドの強みだった「強烈な個性や大胆さ、華やかさが薄れてきていた」(松村光庸執行役員)とし、多くの顧客に支持されていた当時の"個性"に現代のエッセンスを加える。

 新生「オットー」では、新たなブランドステイトメントとして"おしゃれをしない人生なんて~dress your life~"を打ち出し、「艶」をキーワードに商品とクリエイティブを刷新した。

 商品面ではエレガントで知性があり、自信に満ちた大人の女性をコアターゲットに、シンプルなアイテムでも艶感のある着こなしや色合いを重視してアイテムの魅力を引き上げる。

 8月22日に発刊したカタログ秋号の巻頭では、「オットー」が得意とする"花柄プリントワンピース"と"レース使いアイテム""主役となるトップス"を展開。価格以上の価値があるアイテムを届ける。

 クリエイティブについては、秋号の表紙(=画像)を含めたモデルの表情やロケ撮影による動きのあるポージングに加え、置き撮りや寄りの撮影で生地の質感が伝わりやすい商品写真を増やした。商品の良さを一瞬で伝えることに力点を置き、例えば、ワンピースを上半身だけのカットで見せるなど、従来にはない表現の仕方で大人の艶や素材感を見せて購買意欲を喚起する。

 通販サイトでは、「オットー」では初めてルックブックを展開。艶感を感じられるクリエイティブにこだわったほか、カタログでは表現しきれないコーディネート提案に加え、動画で服の動きや素材感を伝える取り組みも行う。

 また、秋号では単品訴求にも力を注いでおり、1アイテム当たりの売り場面積を従来よりも割いて臨んでいるほか、商品開発のプロセスも見直したという。

 通常、「オットー」は基幹ブランドのため、テストカタログからスタートする長い商品開発サイクルが特徴で、トレンドの傾向が分かる前に企画をスタートしている。これに対し、夏号から一部のアイテムに関してはテストカタログでは展開せず、社内の判断スピードを早めることなどで期中の商品投入に挑戦した結果、消費者の反応も良かったことから、秋号ではこうしたアイテムを全体の10%前後に増やしているようだ。

 一方で、新規顧客の開拓に向けてはECチャネルを成長のドライバーととらえ、Eコマース部と商品部が一緒に他社と自社の分析を行い、「ネットで勝てる物作りに挑戦した」(冨田晶子オットー事業部門長)という。

 とくに、画面の小さなモバイルを意識。分かりやすさと、価格訴求力などに注力し、今秋冬シーズンから販売する。ウェブ広告やSNSを通じて新規客にアプローチするが、30周年企画で人気漫画「ベルサイユのばら」とのタイアップ企画にも取り組んでおり、同企画は通販サイトを中心にフェイスブックやLINEなどのウェブ限定とすることで、新しい顧客層を開拓する。

 「オットー」ブランドはカタログがメインではあるものの、今春夏シーズンもECの売り上げ構成比は高まってきており、秋冬でもこの流れを加速したい考えで、ウェブへの投資を継続して早期にEC化率50%を目標とする。   (おわり)

オットージャパン・主力事業の次の一手㊤ 新ミューズに佐々木希さん

 4-1.jpgオットージャパンは、ファッションブランド「FABIA(ファビア)」の成長スピードを加速する目的で、今秋冬シーズンからブランディングやマーケティング、販促などの各領域で新たな挑戦に乗り出す。

 ブランディングでは、2015年春夏からブランドミューズを務めるモデルで女優の松島花さんを継続起用するとともに、モデルで女優の佐々木希さんを新ミューズに迎える"ダブルミューズ"の展開で「ファビア」の認知拡大につなげる(=画像)。また、クールな着こなしが似合う松島さんと、柔らかくフェミニンな印象の佐々木さんの同時起用はブランドとしての世界観の幅が広がるメリットもあるという。8月19日には2人が登場する今秋冬シーズンのウェブムービーを公開している。

 ウェブマーケティングについては、7月26日にLINEの公式アカウントを開設して無料スタンプを配布したところ、3週間程度で累計の友だち数が300万人を超えるなど、タッチポイントが大きく広がった。今後は"パーソナライゼーション"と"マルチチャネル"をキーワードに効果的なアプローチを図る。

 パーソナライゼーションについては、LINEビジネスコネクトを使った1to1コミュニケーションを実施。LINEユーザーがお気に入り登録した商品が値下がりしたときなどにプッシュ通知を送る。また、同様の取り組みはマーケティングオートメーションツールを活用してメール配信も行っているが、シナリオを増やして顧客ごとの情報発信を強化する。

 加えて、通販サイト自体のパーソナライズ化にも着手。人工知能アプリを導入して画像認識によるレコメンドを実践しているが、今後はチャットのインターフェイス上で服のレコメンドやカスタマーサポートも行う。

 11月上旬をメドにシナリオベースでの想定Q&Aを開始するが、吹き出し部分にダブルミューズが登場し、パーソナルスタイリストのように答えてくれるという。また、17年中には想定Q&Aではなく、自然言語処理で回答できるサポート体制を整えたい考え。

 マルチチャネル化については、カート放棄メールを送っても開封しない顧客に、例えばフェイスブックでカートに入ったままの商品を広告として表示する取り組みを9月にも始める。また、カタログを届けたユーザーの購買状況を把握し、購入していない顧客にはマーケティングオートメーションツールを使ってフォローメールを送る取り組みも今秋冬から始める予定で、各種メディアを横串にして顧客コミュニケーションのマルチチャネル化を推進する。

 秋冬のプロモーションは、ポップアップストアを都内に2店舗展開する計画で、10月6~19日までは渋谷駅・東急東横店西館1階SHIBUYAスクランブルⅠポップアップステージAに、11月3~23日までは渋谷ヒカリエShinQs4階イベントステージ4にそれぞれ出店する。

 店舗展開に合わせて、「ファビア」では10月からは従来よりもワンランク上のコレクションを初めて投入する。裏地にこだわって脱いでもおしゃれな商材など、一歩大人の女性になれるアイテムを中心に20型程度を展開。ボトムやトップス、ワンピース、アウターなど同コレクションでコーディネートが組めるようにし、カタログやウェブでも特集を組む。価格帯は通常商品に比べて20~30%高いという。

 また、「ファビア」はワンピースが商品構成比、売り上げともに高いが、コンセプトでもある働く女性を応援するためにも、靴の強化に乗り出す計画で、履き心地と格好良さを両立した新コンセプトの靴を17年春夏から投入したい意向だ。

 3周年を迎えた「ファビア」は売上高が順調に伸びているのに加え、EC化率も17年2月期は80%に拡大する見通しだが、「ブランドの成長は3年~5年目が非常に大事」(大久保武執行役員)とし、投資を継続してパーソナライゼーションやブランディングなどの強化に努める。 (つづく)

ベルネージュダイレクト柿﨑社長に聞く、事業再編の成果と成長戦略は?㊦

 前号に引き続き、千趣会グループのベルネージュダイレクトの柿﨑富久社長に、事業再編の成果や成長戦略について聞いた。


──前期の売り上げの状況は。
 
 「15年12月期の売上高は機能性食品事業がかなりの部分を占めている。機能性食品は雪印メグミルクが宣伝・販促を担当し、当社はEC運営を含めた商品の仕入れ販売と、通販に必要なフルフィルメント業務全般を担っている。物流とコールセンターは外部に委託し、管理者として社員が常駐している。ただ、当社の最大の命題は雪印メグミルクの通販事業のプラットフォームとして機能を強化していくこと。とくに、コールセンターは顧客接点機能として、どれだけ価値を生み出せるかが当社の存在意義になる。フルフィルを回すだけのコストセンターではなく、プロフィットセンターになることが大事だ
 
──フルフィル部門の内製化については。
 
 「単品通販の場合は繁閑の差が大きいため、内製化するのはリスクが高い。司令部というかコントロール機能として社員が入り込んでいく
 
──今上期の業績は。
 
 「1~6月期の売上高は前年同期比2桁増となった。増収要因は機能性とギフトの両輪がともに良かったこと。ギフトは昨年3月に仕入れ先を変更してカタログ、商品を一新し、品ぞろえも豊富になった。発送のインフラもレベルアップした。サイトの刷新効果もあり、昨年後半からグッと伸びてきている
 
──上期の機能性食品事業は。
 
 「広告投資が活発で伸びた。また、広告や媒体の制作受託といった本業以外も含めて残ったセグメントがすべて黒字化した。セグメントごとの営業利益はすべて予算を達成し、V字回復に近い状態にある。カタログをやめたことがPL上のインパクトが大きい。通期でも増収増益、黒字化が見えている
 
──現状、千趣会との連携は。
 
 「育児通販をやめたことで商品面での連携はなくなったが、ECノウハウや、新しい基幹システムの開発にはどっぷりと入ってもらっている
 
──主婦の友社とは。
 
 「14年に資本関係がなくなり、15年には社名も変更した。当社の都合で雑誌通販から手をひいたが、もちろん主婦の友社が他の企業と雑誌通販を続ける可能性は十分にある。一部、雑誌に入る広告を当社が獲得する代理店機能があるのと、内祝いは主婦の友社のマタニティー誌に付録としてつけてもらうなどの取り組みは継続しているが、通販の営業権契約などは8月末で解消する
 
──企業が長く存続するには変化し続けることも大事だ。
 
 「社長就任以来、会社の存続と社員の雇用を守ることを最優先に考えてきたため、雑誌通販を続けるという選択肢はなかった。雪印メグミルクは大きな投資をして中期的に事業規模を大きく拡大すると聞いている。その計画に合わせて当社のスタッフはもちろん、機能やインフラ、システムも強固なものにしていく
 
──機能性食品の基本方針は。
 
 「新聞広告や折り込みチラシ、テレビのインフォマーシャル、ラジオなどを活用した販促は雪印メグミルク側で展開しているが、当社も今年からBIツールなどを導入して販促を実施した結果を検証し、PDCAを回して常に改善を目指す。コールセンター機能については、単品通販はアウトバウンドでアップセルをしたり、インバウンドに対してクロスセルをしたりして顧客生涯価値を高めることが求められる。そうした機能は当社が備えていくべき部分だ。メーカーの企業理念も大事で、コールセンターには当社だけでなく、雪印ビーンスタークの社員が常駐して企業理念の浸透を図るなどしている
 
──通販サイトのリプレイスについては。
 
 「サイト改修によって、来年からは"初回お試し価格"での販売などもECでできるようになる。機能性食品は高齢の女性が圧倒的に多く、電話注文が中心だが、ネットの強化は不可欠だ
 
──ギフト顧客へのアプローチ手法は。
 
 「雪印ビーンスタークが産院ルートで配布している内祝いカタログ『ベビーパラダイス』が主力で、主婦の友社のマタニティー誌『プレモ』にも別冊付録をつけおり、今後も続けていく予定だ。両媒体とECの合計3つが顧客獲得の入り口になる。中期的には売り上げ、利益ともに伸ばしたい
 
──全社的な中期目標については。
 
 「今期からの3カ年で売り上げは約1・5倍を計画している。機能性食品については雪印メグミルクの中期計画とすり合わせている。増収の大きな部分が機能性食品にかかっている。今後は人員増強も必要になる。総合通販に取り組んできた社員を単品向けに教育し直すことや、ノウハウを持つ外部人材の登用も含めて短期的に強化する必要がある
 
──商材の将来性については。
 
 「『毎日骨ケアMBP』は拡大しているシニア層をターゲットにしており、唯一、骨密度を高めるという特保を取得している商品で、これから浸透、拡大していく余地は十分にある。中期計画の中には商品ラインアップの強化も出てくる
 
──中計の課題は。
 
 「当社がフルフィルを回す会社になっていく中で、企業価値を高めるとともに、社員のモチベーションをいかに上げていくかにつきる。この数年、資本も含めて事業転換をほとんどトップダウンで決めてきたため、社員全体のマインドスイッチが重要になる」  (おわり ※㊤はこちら

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