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企業動向 Archive

再春館製薬所、新会社でテレマーケティング事業参入へ 「LTV」重視のセンター運営で差別化図る

 033.jpg化粧品通販大手の再春館製薬所が、テレマーケティング事業の外販に乗り出す。再春館製薬所は、1982年のテレマーケティングシステムの本格導入以来、テレコミュニケーションを軸にしたビジネスモデルで強みを発揮してきた。新事業では、累計900万人を超える顧客と築いてきた関係性の構築で培ってきたノウハウを活かし、効率性を追わず、「LTV(顧客生涯価値)」にこだわったコールセンター運営を目指す。

5年で10億円の売り上げ視野

 テレマーケティング事業は昨年10月に立ち上げた新会社、ヒューマンリレーション(本社・福岡市中央区、西川正明社長)を通じて行う。手がけるのは、「コールセンター事業」のほかにコミュニケーターや管理者の教育研修を行う「教育事業」、コールセンター体制の構築を支援する「業務支援(コンサルティング)事業」の3つ。

 コールセンターは現在、50席を展開する。コミュニケーター22人、管理者であるスーパーバイザー(SV)4人を含む従業員32人が在籍。従業員はすべて正社員として雇用しており、応対品質やカウンセリング力の熟練度を高めていく。取引先の拡大に応じて早期に100席の展開を視野に入れており、5年で10億円の売り上げを目指す。

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「再春館クオリティ」強みに事業展開

 コールセンター事業では、取引先ニーズに応じて少席数からのインバウンド、アウトバウンドの受託に対応する。対象とする商品は、再春館製薬所でノウハウを培ってきた化粧品や健康食品などリピート商品が中心。ただ、高単価、高付加価値の商品を扱ってきた経験を活かし、取引先ニーズに応じて幅広い商品を手がけていく。

 強みにするのは、再春館製薬所が独自のコールセンター運営で培ってきた「傾聴力」「応対品質」
カウンセリング力」だ。

再春館製薬所は、82年のテレマーケティングシステムの本格導入以来、これまで900万人を超える顧客と接点を持ち、これら顧客と継続的な関係を築くことを目指してきた。独自の教育研修で応対品質を高めてきたことで、リピートによる売上高の割合は年々増加。92年に83%だった割合は、14年に94%に達している(=表上)。2000年に28%程度(約6万人)だった5年以上の愛用者も今では6割(約20万人)を越えている。

 昨今、デジタルコミュニケーションは多様化し、コールセンター業界でもAIの活用などが注目されている。ただ、ヒューマンリレーションでは、高齢化社会の進展を背景に、今後も電話によるサポートに利便性を感じる層は一定数に上ると判断。声を通じて行うテレコミュニケーションでは、単なる注文といった機能だけでなく、顧客の悩みを捉えるなどの要素が重要になるとみる。

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 再春館製薬所で電話応対する「お客様プリーザー」(コミュニケーター)は、商品の受注だけでなく、個々の顧客に応じたアドバイス、潜在的なニーズや悩みを捉えるなど顧客に寄り添った応対が強み。ヒューマンリレーションでも再春館製薬所で経験を持つSVが複数人在籍するほか、コミュニケーターの研修でも一部で連携して実施。長年のテレコミュニケーションで培ったノウハウを積極的に取り入れていくことで、応対品質やカウンセリング力を高めていく。

 再春館製薬所がテレコミュニケーションを軸にビジネスモデルを構築してきた背景もあり、新会社もまずは受託する分野を「電話でのコミュニケーション」に限定。強みを最大限発揮できる分野で事業拡大を目指していく。

従来のセンターと一線画す運営

 特徴的なのは、時間短縮など"効率性"を重視しないこと。「コールセンターの代行事業では、いかに短時間で処理を行うか、効率的な運営に特化するところが少なくない」(松本隆明取締役事業統括本部長)と従来のアウトソーサーと一線を画すセンター運営を目指す。

 一般的に、コールセンターは、一人あたりの応対時間を短縮し、効率性を追求する。ただ、クレームのない正確な応対は、"事務的"なものにもなりがちだ。

 一方、ヒューマンリレーションでは運営にあたり、マニュアルやトークスクリプトに依存しない顧客一人ひとりに応じた応対品質を重視。単なる注文処理業務にとどまらず、顧客の潜在的ニーズを引き出すことで顧客満足度を高め、企業と永続的な関係を築くことを目指す。

 コミュニケーターの研修でも、一般的な企業情報や商品知識の習得にとどまらず、肌や身体の健康、老化のメカニズムなど関連する知識にまで踏み込んで習得する独自の研修で対応力を高めていく。これにより、顧客の離脱防止やクロスセルにつなげていく。顧客の性別や年代など属性ごとに潜在的ニーズを分析し、効果的なプロモーションの提案も行っていく。

教育事業、コンサル事業も開始へ

 新会社では、「コールセンター事業」のほかに、コミュニケーターやSVの育成に向けた「教育事業」も手掛ける。

 研修では、企業情報や商品知識の習得に加え、マーケティングやビジネスの基礎知識、関連する法知識や競合他社の商品を含めた知識、季節に応じた商品の使用方法の習得まで一貫して請け負う。これにより幅広い対応力を身につけることを目指す。

 応対品質でも、一般的な会話スキル、マナーだけでなく、個々のコミュニケーターの応対品質を評価することで個別指導を行う。行動心理学などの要素を踏まえ、顧客のタイプ別の応対方法も研修で身につけていく。取引先ニーズに応じてこれら「商品研修」や「トーク研修」「ロールプレイング」の実施で潜在的ニーズを引き出す質問スキルを身につけ、単なる"問い合わせセンター"の機能にとどまらず、顧客をファン化できるセンターを目指す。

 研修メニューは、1日~5日の短期コースから長期まで取引先の要望に応じて個別にカリキュラムを組むなど多様なメニューを揃える。

 また、「業務支援(コンサルティング)事業」では、数カ月から半年をかけ、取引先の要望に応じてコールセンターの立ち上げや改革などを請け負う。

 インハウスでコールセンターを運営する上で多くの企業が直面する課題が、「目指す姿」と現状のギャップ。応対品質のばらつきや業務の属人化、サービス範囲が限定されてしまうなどの課題がある。これら各センターの課題を抽出、現場調査や分析を行った上で、教育研修や評価制度の構築、業務マニュアルの整備による業務の標準化、窓口の受付時間の延長などの改善案の提案と実行までを支援する。

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新事業立ち上げの経緯と強みは

強みは「応対クオリティ」
潜在ニーズ捉え、信頼関係構築

テレマーケティング事業など通販支援事業に参入したヒューマンリレーションの松本隆明取締役事業統括本部長(顔写真㊤)と、荒木莉恵コンタクトセンター長(顔写真㊦)に、参入の経緯と自社の強みを聞いた。

参入の経緯は。

松本「再春館製薬所では外部の見学者を積極的に受け入れており、これまでもリピート率の高さや応対品質など、センター運営のノウハウに関心を持たれる方が多かっ
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た。これを事業化し、他社に提供できないかと考えた。事業化の検討を進める中で昨年4月、熊本地震でコールセンターが一時操業を停止した際、BPO対策の一環でセンター機能の分散を検討したことがきっかけにはなった」

強みは。

松本「一般的なセンターの運営では、いかに短時間で多くの処理を行うかという効率的な運営に特化するところが少なくない。トークスクリプトに沿った対応に注力し、事務的な対応になりがちだ。一方で、再春館製薬所ではこれまで、モノを売るというより『企業』と『お客様』の関係を考え、マニュアルに依存せず、潜在的なニーズを捉えるよう努めることで、お客様に信頼してもらえる応対を目指してきた。そこで培ってきた『応対品質』や『カウンセリング力』は、ほかのアウトソーサーにはない強みを身につけているのではないかと思う」

ただ、そうした部分は目に見える価値として捉えにくい部分ではある。

荒木「すぐに数値に現れる部分ではないが、再春館製薬所は9割を超えるリピーターに支えられ、5年以上愛用されるお客様が今も増え続けている。定期の継続や、顧客離脱に悩まれる企業も少なくないと思うが、お客様に寄り添った対応を心掛けることで最終的に長く続けてもらえる関係が築ければ価値を感じてもらえるのではないか」

コミュニケーターの研修も一朝一夕にはいかない。

荒木「研修でスキルを身につけることはできるが、マインドの部分を養わなければ目指す対応にはいきつかない。(再春館製薬所では)よく"誰がでても同じ対応だね"と言われるがマニュアルがあるわけではない。『対応の流れ』が同じなのではなく、お客様の話を興味を持って聞く姿勢、お客様の悩みに親身になってヒアリングするやり取りにお客様が"同じだ"と感じてもらえているのだと思う。目指す方向性があれば、個々のコミュニケーターの不足する部分を指導しつつ、応対品質やカウンセリング力は高めていけると思う。そこにお客様の性別や、タイプ別の対応などノウハウを組み合わせ、リピートしてもらえるような仕組みづくりができる」

松本「正社員雇用している理由でもあるが、商品だけでなく肌や身体の健康に関する根本的な知識まで深め習得できる体制を敷いている。必要に応じて再春館製薬所の業務も一部受託しつつ、力をつけているところだが、応対品質も再春館製薬所のきずなづくりをベースに個々のお客様に対応できる独自の研修を行っている」




オルビス・小林琢磨取締役に聞く ブランド再構築の行方

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オルビスは今年4月、通販カタログを刷新した。創業来、3度目となるもの。「商品価値の向上(商品リニューアル)」「コミュニケーション変革(販促制度の刷新)」などブランド再構築の成果を受け、顧客接点で重要な役割を果たすカタログ改革に着手する。一方で今第1四半期(1~3月)は減収減益で着地した。今後の成長戦略を今年1月、取締役商品・通販事業担当に就任した小林琢磨氏に聞いた。

カタログは刷新でどう変わる。

 「レスポンス重視のスタイルから『対話』を重視したものに変える。端的に言えば、キャンペーンなど購入を喚起する訴求を弱め、コピーも親しみやすさを演出したり、語りかける内容に変える」

 想定する読者は。

 「ブランド再構築の中でターゲットをより明確にしてきた経緯はある。中心顧客層である30~40代の顧客をより意識し取捨選択する部分はある」

 送付対象、発行部数(月平均200万部)も変えていくのか。

 「意図的に部数を減らすことは現状では考えていない。投資対効果を見極めつつ送る。ただ、新規獲得、育成を意識して媒体を使い分けるコミュニケーション設計は必要かもしれない。例えば、これまでは新規獲得の顧客に同じカタログを送っていた。ただ、どの顧客にも画一的にカタログを送ると訴求が散漫になる。ブランド再構築ではスキンケアを中心に事業ドメインを明確にした。LTVを意識すると『オルビスユー』で獲得した顧客には、まずブランドスイッチの高揚感があるうちにラインで使ってもらうための価値を伝えるコミュニケーションがあってもよい」

 コアターゲット以外の層のフォローは。

 「内容は普遍的なテーマも扱うためほかの世代に否定されるものではない。コールセンターを中心としたフォローも行うが、媒体は多少割り切りが必要に思う」

 ブランド再構築を経て収益性は向上した。ただ、今第1四半期は減収減益だった。評価は。

 「四半期の結果は、昨年、『オルビスユーホワイト』など大型商品を投入した反動、今年リニューアルした『アクアフォース』との相対的な単価の差など商品戦略上の要因に左右される。ただ、本質的な課題として、市場におけるブランドの存在感が若干低下していると認識している」

 ブランド再構築でコアな顧客との結びつきは強まったはずだが。

 「付加価値の高い商品が受け入れられ、既存顧客との関係は強固になり収益性は高まった。スキンケア中心の獲得でLTVも向上している。ただ、外部顧客とのコミュニケーションが閉鎖的なものに偏っている面がある」

 どういうことか。

 「例えば、早い段階でLINEによる新規獲得に取り組み成功した。中心ターゲット層はスマートフォンやSNSと親和性も高く、投資も集中させて効率は改善している。反面、LINEは『友達登録』を行っていない層とは接点を築けないクローズドのコミュニケーションではある。当然、LINEの外にもターゲットはおり、マス市場におけるプレゼンスの低下は既存顧客にも遅れて響いてくる可能性がある。クロスメディアマーケティングでターゲット層の生活導線において接点を増やしていく必要がある」

 外部顧客との接点をどこに築く。

 「一つの施策、CPOで効果を判断できない時代になって久しい。旧来の『通販化粧品』の考え方から脱し、ウェブやリアルを複合的に捉えクロスマーケティングを行っていく必要がある。評価も定性的な指標を含め、トータルで評価していく必要がある」

 テレビなどマス広告の展開も選択肢か。

 「すべての可能性を排除しないが、ターゲットとする層の価値観に有効かといえば、異なるのではないかと思っている」

 中間期の見通しは。

 「楽観視はできない」

 売上高500億円を超えて踊り場を迎えたが今後の成長戦略は。

 「500億を超えるブランドはいくつかある。薄利多売で面を取る、ターゲットを絞り収益性を高めるなど戦略次第で成長はできる。どちらかといえば後者だが、ターゲットを明確にし、セグメンテーションをいかに捉えるかでまだ成長できると考えている」

 「オルビスは顧客との関係性、購買行動の分析など自社リソースをベースに改善するダイレクトマーケティングには非常に強みがある。一方、ブランドが成熟期に入る中でいかに市場でのプレゼンスを高めるか。もう一度考える必要が出てきている」
     

ジャパネットたかた、新スタジオが稼働――番組制作力アップへ

3面.JPG ジャパネットたかたは7月7日から、新たな番組収録スタジオの稼働を開始した。5月に都内に新設した新たな事務所内に広さの異なる3つのスタジオを開設したもの。長崎・佐世保の本社スタジオがメインで行う生放送番組以外の収録番組を主に制作していくほか、注力しているネット販売サイト用の商品説明動画も同スタジオで制作していく計画。新スタジオの稼働で番組制作力や訴求力の向上を図っていく狙いのようだ。

 新たなスタジオは5月8日に営業を開始した東京・麻布の事務所の中に設置したもの。なお、当該事務所はこれまで麻布と六本木に2つの拠点を構え、ジャパネットたかたのほか、ジャパネットホールディングス、ジャパネットビジネスアソシエイツ、ジャパネットメディアクリエーションのグループ4社が入居していたが、グループ各社の連携強化などを図るため、両事務所を統合・集約し、商業ビルの住友不動産麻布十番ビル(所在地・東京都港区三田1‐4‐1)の7階全フロアと8階の一部を借り受けて新設した拠点となる。

 新たなスタジオは7階の一角に設置。メインとなる「Aスタジオ」(広さ221・62平方メートル)とサブのスタジオで執務エリアが隣接した「Bスタジオ」(同95・84平方メートル)、主にネット販売サイトで配信する商品説明動画の制作を行う「Cスタジオ」(同57・73平方メートル)の大きさの異なる大中小3つのスタジオを設けた。六本木にあった旧拠点内にもスタジオを構えていたが、総面積は1・3倍程度、拡大したという。

 稼働を始めた7月7日には同社が保有するテレビ東京の午前枠で同スタジオから生放送を行い、売れ筋の掃除機などを紹介した。今後は引き続き、長崎・佐世保の本社内のスタジオが生放送は主に担当し、東京のスタジオは60秒や90秒、60分などの収録通販番組の制作をメインに行っていくようだ。ただ、テレビ東京の平日夕方の生放送のレギュラー枠でも東京スタジオを活用するケースなどもあり、状況に応じて活用していく考えのようだ。また、Cスタジオはウェブ動画専用スタジオとして今後、無人ロボットカメラなどを導入し、昨年7月のサイト刷新以降、特に強化している動画による商品説明をより充実させていく考えだ。

 なお、東京の拠点は全フロアを賃借する7階(約1500平方メートル)に3つのスタジオのほか、グループ4社の社員、約250人が働くフリーアドレス制の執務エリアや同社が現在、販売する商品のうち、食品などを除く約60ジャンル、600点のほぼすべての商品を展示し、社員が商品をすぐ確認でき番組制作などに活かせる目的で設置した「senQua Loom(センカルーム)」を設けている、また、8階の一部(754・22平方メートル)も賃貸し、様々なタイプの机や椅子を置き、従業員が食事をとったり、仮眠室やマッサージ機、従業員からの相談に対応する産業医が常勤している健康開発室などを備えた「リフレッシュルーム」も設けている。

グラッドの現状と成長戦略は?㊦ 在庫の買い取り強化も視野

2面.jpg  前号に引き続き、GLADD(グラッド)の共同COOである渡辺サブリナ氏(写真右)と香取純一氏(同左)に事業拡大に向けた基本戦略などを聞いた。

 「グラッド」の品ぞろえの強みは。

 香取「ライフスタイル領域全般に幅広く商品を扱っていることや、大手セレクトショップとの関係性が深いのも強みだ。これまで、約4000ブランドを扱ってきたが、品ぞろえの広さで取引先の各業界で起こるさまざまな波に対応できている。商品カテゴリーごとに好不調の波やトレンドの変化、価格変動の波があっても吸収できる」

 一部地域で自社便を走らせている。

 渡辺「自社便は3台保有している。世田谷区内は基本的に自社便で届けているが、お客様との接点として大事にしたい。いまはドライバーの服装もシンプルだが、自社便では何か面白いことができると思っている」

 新規取引先の開拓で成果は。

 香取「昨年は初めて百貨店との取り引きが始まった。伊勢丹さん、阪急百貨店さん、大丸さんなどのオリジナルアイテムや、百貨店が買い取り販売している商品をセール価格で販売した。ファッション商材だけでなく、ホームグッズや家電など幅広く扱った。3~4年前からアプローチしていたが、百貨店の中でもオンラインで商品を売る体制が整ってきたことは当社にも追い風だ。百貨店の商材は魅力的なものが多く、屋号の知名度もあって、とくに40代以上の顧客に響いた。また、昨年はデザイナーズブランドやラグジュアリーブランドの品ぞろえも戦略的に拡充した」

 今期は。

 香取「今後も、当社のコアとなるブランド群の中で開拓できていない取引先との関係を築いていきたい。ある程度、商品の調達先としては網羅してきており、いかにブランドさんにとって使い勝手の良いサイトになるかが大事だ。また、スピーディーな商品調達を目指す上で、これまでは委託販売が中心だが、会員数が増えて販売力も高まっており、在庫リスクを考慮した上で買い取りにつても強化したい。これまでの実績もあり、買い取りを行う前にデータ分析の精度は高められる。買い取り商品は在庫を手元に置けるため、速く届けられる商品も増える」

 社員数も増えている。

 香取「現在、正社員が約200人、アルバイトが60人程度だ。昨年は約100人増員し、MDと市川塩浜センターのオペレーション部隊を十分に補強できた。今期はITとデータ分析を行うスタッフの採用に力を注いでいる。商品は集まっており、その商品を最適に提案できるかになる」

 to1マーケティングについては。

 渡辺「ユーザー数とアイテム数が大きく増えており、情報もたくさんある。各ユーザーにベストな商品を見せてストレスなく購入してもらえるようにしていく。精度の高いレコメンドとベストなタイミングで見せるためにカスタマージャーニーマップのようなものを作っていく。そうなると、売り上げ予測が立てやすく、先に商品を調達して速く届けることもできる。ただ、データがあるだけでは不十分で、情報を整理し、ロジックを組み立てる人材が必要だ」

 組織面にも手をつけた。

 渡辺「マーケティング部の中にデータチームがあったが、4月にデータ戦略室を立ち上げた。全部署でデータを活用してお客様により良いサービスを提供し、新規やリピート化につなげる」

 前期の成長率と今期の目標は。

 渡辺「2016年12月期の売上高は前年比約30%増で着地した。単月では黒字化する月があるが、もっとトップラインを狙えるため、『成長をとめない黒字化』を目指しながら、今期もしっかり売り上げ拡大を図る」

 上場は選択肢にあるのか。

 香取「選択肢としてはある。ただ、資金集めのひとつの方法として上場する企業が多いと思うが、当社の投資家はまだまだやる気で、『もっとトップラインを上げていこう』と言ってくれており、成長を第一に考えている」

 渡辺「サービス開始から8年が経ち、組織としては体制を整えてきているが、仕事の仕方やスピード感などはベンチャー気質を大事にすべきで、ビジネスを成長させ続けることに全力を尽くす」(おわり)

JALUX ウェブ販促を強化、メルマガやカタログから送客

 3-1.jpgJALUXではウェブ販促の強化を進めている。メルマガやカタログのテコ入れで、自社通販サイト「JALショッピング」(=画像)への送客を図ることで、ウェブの購入比率を年々高めているようだ。

 同社の2017年3月期の通販事業におけるウェブの売上高は上半期が前年同期比で20%近い減収となっていたが、下半期については販促施策を強化したこともあって前年同期比17%増と巻き返し、通年では前年比横ばいをキープすることができた。

 下半期にまず着手したのがメルマガによる販促の強化。それまではメルマガ会員に対して月に3~4本程度だった配信頻度を、多い時には週に2回程度まで引き上げた。メルマガでは細かなセール企画の告知をはじめ、購入者の属性に応じた商品紹介、10%割引のクーポンなどを配信。セグメントごとの出し分けを進めることでメルマガの訴求力を高め、再購入を促す仕組みを構築していった。その結果、17年3月期のメルマガ経由の売上高は前年比で40%増と大幅に伸長した。

 メルマガからの送客が奏功した理由としてはモバイル客数の増加も背景にある。同社のネット販売の内、タブレットを含むモバイルの比率は、16年3月期が訪問者数ベースで48%、受注金額ベースでは31%だった。それが17年3月期には訪問者数ベースで53%、受注金額ベースでは34%と共に伸長している。「メルマガをスマホで読む人が増えている。PCと違って商品の複数購入などが少ないため受注金額ではやや低いものの、訪問者数では確実に伸びた」(同社)とした。

 そのほかの施策ではウェブ接客ツールを初めて導入。新規顧客や途中離脱して再訪した顧客に対してバナーからのメッセージ表示や商品の再訴求を実施していき、ワントゥワンでの接客を高めていった。

 また、ウェブ広告に関してもリスティングの広告代理店を変更したことでコンバージョン率の向上が見られたという。リスティング広告経由の売上高については17年3月期の上半期が前年同期比で33%減だったが、代理店変更後の下半期には前年同期比31%増となり、通期では前年比5%減の水準まで寄り戻している。


カタログにウェブ誘導の特集ページ

 紙媒体からの通販サイト送客に関しては、ウェブ誘導専用の特集ページづくりも前期から実施している。主力媒体の「JAL SHOP」においては、「JAL Shopping Recommend」と題した特集ページで、通販サイトでしか購入できない商品の一部を紹介。直近の5、6月号ではスーツケースとキャリーケースを特集しており、選び方のポイントが分かるように利用シーンに応じて厳選した商品を画像、商品番号とともに掲載している。

 加えて、ページ上では通販サイトへのQRコードを印字したほか、「掲載商品はネットショップ『JALショッピング』でお求めいただけます」の文言や、サイトでの商品購入スキームなどを掲載。紙面を見た顧客を通販サイトで同時展開する同商品の特集ページなどに送客する仕組みとなっている。

 カタログ上で商品を販売するためには細かい商品スペックなどを掲載する必要があるため、限られた紙面のスペースでは一度に多くの情報を盛り込むことはできないが、ネット誘導に特化した特集記事にすることでウェブへの効率的な送客が可能になっているようだ。

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