Home > 特集企画 > 消費者庁「反論書面」から発覚 「4・13事務連絡」再来か、個別表現挙げ「目」を暗示

消費者庁「反論書面」から発覚 「4・13事務連絡」再来か、個別表現挙げ「目」を暗示

1-1.jpg
 だいにち堂が消費者庁を相手取り、行政処分の取り消しを求めた訴訟は10月31日、東京地裁で第1回公判が開かれた。だいにち堂は、処分当初から消費者庁の景品表示法運用が「恣意的」であると指摘。一方の消費者庁は、処分は妥当として争う姿勢を示した。注目すべきは、消費者庁が反論書面でアイケア関連の健康食品の広告に使った個別表現や商品名をあげ、目の健康に対する"暗示"を指摘していること。訴訟の結果は健食業界に大きな影響を及ぼす可能性がある。

「もうボンヤリ使えない」 

1-2.jpg
 「商品名(「アスタキサンチン アイ&アイ」)の『アイ&アイ』自体、目を意味する英語の『eye(アイ)』を連想させうるもの」。訴訟を通じて健食業界に影響を及ぼしそうなのが、消費者庁が反論書面で行っている主張だ。

 また、広告に使用された「ボンヤリ」「スッキリ」といった各表現の意味をあげた上で「一般的に目の見え方が不良(良好)である状態を意味しうるもの」と指摘する。個別表現をあげたのは、表に示す以外に「くもり」、「鮮明」など6つの表現に渡る。

 思い起こされるのは2007年、厚生労働省が全国の自治体宛てに発出した事務連絡、通称「4・13事務連絡」問題だ。

 当時、厚労省は自治体感でばらつきのある行政指導の平準化を目的に、「さらさら」「ふしぶし」など事務連絡で効果を暗示する商品名62例を挙げた。健食通販大手、ディーエイチシーが行政指導に納得がいかないと厚労省の薬機法(旧薬事法)規制に文句をつけたのが契機だった。改善指導を受けた企業に加え、周辺企業も相次いで商品名を変更する事態に陥るなど混乱が続いた。

 最近でも、機能性表示食品制度の導入直後の16年、「脳の健康をサポートする」「目の健康に役立つ」など35例をあげて「不適切な表示例」についてあるセミナーで解説。当時も具体例を示して言葉狩りを行う手法に対し、「4・13事務連絡の再来」と指摘する声があった。行政が不適切な表示例を具体的に示すことは、それほど影響が大きく、企業の萎縮を招く。

 今回、訴訟の中で主張された各表現にも、企業関係者からは「もうアイケア関連の健食で指摘されたような表現は使えない」といった声が上がる。

調査時点、未出稿の広告で処分に

1-11.jpg
 健食の広告の具体的表現を挙げ、その"暗示"に切り込む訴訟の結果が健食の表示規制に及ぼす影響は大きい。だいにち堂はいかにして提訴に至ったか。

 「『醗酵黒にんにく酢卵黄』『ごま酢セサミン』『アスタキサンチン アイ&アイ』に関する販売状況や広告表示の状況、景品表示法第26条第1項(事業者が講ずべき表示の管理上の措置)の規定に基づく必要な措置を報告してください」。消費者庁からだいにち堂に報告依頼がきたのは16年4月にさかのぼる。

 だいにち堂の主張によると、消費者庁は当初、山梨日日新聞(16年1月27日付)に掲載した広告など問題視していたという。以降、種々の資料提出を消費者庁から求められ、役員への事情聴取を経て調書が作成されるなど、一連の調査手続きが行われたという。

 ただ、措置命令の対象は、朝日新聞(16年6月27日~30日付)の新聞広告。どういうことか。

コケにされた不服申立の主張

 だいにち堂は、山梨日日新聞に掲載した広告について、地方自治体とのやり取りで一部修正を行っていた。同年3月には、長野県松本保健所担当者から「視界」といった表記について健増法上の指摘を受け削除。同4月には、山梨県薬務担当課からカスミやボヤケ、チラツキから瞳を守り、クッキリ、クリアな毎日をサポートします」といった言い切り表現について「瞳を守り」という言葉と併記することで景表法上の問題を問われ修正したという。「30日分に納得」という表現も消費者庁担当官から"効果との誤認を与えかねない"との指摘を受ける形で、リピート率である旨の「打消し表示」を加えた。

 一方、消費者庁による任意聴取の最中、こうした指摘を反映する形で朝日新聞に出稿した広告について、その適法性を確認するため、日本広告審査機構(=JARO)にも審査を依頼。「法違反を問われることはないと思われる」(だいにち堂の広告代理店による証言)との回答を得たとしている(この点、JAROは本紙取材に「事業者からの相談に表現上のアドバイスは行うが、掲出前の広告を審査したり掲載の可否を判断するものではない」とコメント)。

 にもかかわらず、16年末、消費者庁から「不実証広告規制」に基づき合理的根拠を求められたのは、朝日新聞の広告表現。「(山梨日日新聞の広告を端緒に)一連の調査手続きを行いながら『結論が示されないまま』、これとは大幅に異なる朝日新聞の広告を対象に表現の修正を行政指導することもなく突然、資料要求された」(行政処分に対する不服申し立てを行った審査請求より抜粋)。

 だが、だいにち堂のこの主張は、審査請求の中で消費者庁に一刀両断されている。

 山梨日日新聞の広告に対する結論が示されていないことに、消費者庁は「17年3月に措置命令を行っており、(結論は示されている。)内容が不明なため認否できない」と回答。だいにち堂が、当初の対象が同広告だったと主張したことにも「文意(趣旨)が不明である上、争点(=朝日新聞の広告を対象にした措置命令)との関連も不明確であるため認否できない」と切り捨てている。

 地方自治体との協議、JAROへの確認も「不知(知らない)」。要はコケにされたことに憤慨したわけだ。

                   ◇

 「そもそも景表法の専門家集団である消費者庁が、8カ月もかけて誤認があるか否か協議している内容を、消費者が『著しく優良』と認識することは到底考えられない」。審査請求の中で、だいにち堂はこうも主張する。新聞広告のレスポンスは掲載当日から3日間、長くとも1週間で終わるためだ。「不実証広告規制」に基づき、合理的根拠の提出要求を受けた際、担当官が「(16年)4月以降、今日まで協議している」とコメントしたとする主張を背景に、そんな不満も漏らす。ただ、審査請求は今年2月に棄却。これを受け、訴訟に至った。





表示管理体制を聴取

「課徴金命令」判断に影響も


【健増法一体運用で変わる調査手法】



1-3.jpg
 だいにち堂のケースでもみられたが、消費者庁による"任意"の調査依頼は今に始まったことではない。ライオンのトクホ飲料に対する健康増進法に基づく「勧告」(16年3月)をめぐる調査、最近でも「耳の健康」に働きかけることを目的とした健康食品に対する調査で同様の手法が取られている。

 ライオンは15年末、「報告書」という表題の書面で調査を依頼された。当時、「勧告」の対象になった「トマト酢生活」の販売実績や表示状況、広告表現の根拠資料の提出を求められた。ただ、適用した健増法に認められた権限は「収去」(商品を無償で提供してもらうこと)のみ。景品表示法のような根拠資料を要求する権限の規定はない。景表法であれば、「不実証広告規制」の規定に基づき、「命令書」といった形で根拠を要求できるためだ。

 消費者庁は創設以来、景表法と健増法の一体的運用を進めている。当時もライオンの調査をめぐり「事業者側には(健増法に根拠の要求権限がないことを)知らない者もいる。とくにこのことを説明せず、『報告書』と"任意"で求めても素直に提出してくる事業者はいる」(景表法の元執行担当官)と話す関係者がいた。

 昨年秋頃には、消費者庁が「耳の健康」に関する健食を販売する複数社の一斉調査も始めている(消費者庁は「調査内容は答えられない」とコメント)。この時は、ある企業が景表法、健増法に抵触する可能性があることを前提に根拠資料の提出を求められている。ただ、これも「命令書」とは異なる任意の調査依頼。企業も消費者庁の依頼を理解した上で、対応することが必要だろう。

                   ◇

 もう一つ、だいにち堂を巡る調査で注目されるのが報告依頼の中で行われた景表法第26条第1項(事業者が講ずべき表示の管理上の措置)に関する報告だ。これに対する対処が、「課徴金」の有無に影響を与える可能性もある。

 景表法第26条は、14年12月、改正景表法の施行で新たに盛り込まれたもの。消費者庁が指針も示しており、その中で景表法の考え方の従業員への周知や、知識を得るための教育研修、表示管理担当者の配置など、表示管理体制の明確化が求められている。

 一方、16年4月に導入された課徴金制度には、その"免除"に関する要件が規定されている。一つは、課徴金対象期間の売上高が5000万円未満であった場合、もう一つは、不当表示と知らず、表示に相当な注意を払っていたことが認められた場合だ。景表法の元執行担当官は「措置命令は『故意』『過失』を問わないが、課徴金は免除規定があり、過失など表示の確認で相当の注意を払っていたのに騙されてしまった、ということを勘案する。第26条に基づく子措置を講じていたかは、課徴金納付命令の有無を判断する上で判断基準の一つになる」と話しており、だいにち堂に依頼された「第26条」への対応が、課徴金納付命令の有無の判断に一定の影響を与える可能性がある。


Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/4558
Listed below are links to weblogs that reference
消費者庁「反論書面」から発覚 「4・13事務連絡」再来か、個別表現挙げ「目」を暗示 from 通販新聞

Home > 特集企画 > 消費者庁「反論書面」から発覚 「4・13事務連絡」再来か、個別表現挙げ「目」を暗示

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ