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ケフィア事業振興会が破産 被害1000億円超えも

1-2.jpg ケフィア事業振興会と関連3社が9月3日、東京地裁に破産を申し立てた。負債総額は4社で1053億円。債権者は3万人超に上る。同社をめぐっては、「オーナー制度」と呼ぶ買戻し特約付の売買契約の支払いが遅延していたことから問題が顕在化。すでに被害対策弁護団が結成されている。ただ、会員数はグループで200万人超に上ることから被害総額は1000億円に達する可能性もある。通販で過去最大の被害となる事件は、業界への影響も懸念される。

売上高、4年で15倍に拡大

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 破産手続きの開始が決定したのは、同社のほか、関係会社で太陽光発電事業を行うかぶちゃんメガソーラー、観光施設を運営する水晶山温泉ランド、干し芋等の製造を行うかぶちゃん九州の3社(いずれも代表者は鏑木秀彌氏)。中核企業であるケフィア事業振興会の2017年7月期の売上高は、約1004億円。13年の約65億円からわずか4年で15倍に増えていた。

 ただ、売り上げのほとんどは、通販による物品の販売ではなく、「オーナー制度」によるものだった。ダイレクトメール(DM)で、干し柿やメープルシロップ、ヨーグルトなどの商品のオーナーを募集。商品により償還期間は異なるが、年間10%程度の利子をつけて資金を集めていた。

 通販広告を通じて集めた顧客のもとには月数回程度、多い時には週2回ほどさまざまな商品のオーナー募集のDMが送付されていた。把握できた中で出資の最高額は「60代女性による1億円というものがあった」(消費者庁)という。

昨年末から支払い滞納が表面化

 支払いは昨年11月頃から滞り、すでに一部顧客が返金を求め提訴。現在、10件ほどの訴訟が行われている。

 今年7月には「ケフィアグループ被害対策弁護団」(団長=紀藤正樹弁護士)が結成。9月2日、都内で行われた被害者説明会は、400人収容の会場が満席になり、2回に分けて行われた。弁護団ではこれまでに約1600人、84億円の被害総額を確認している(8月31日時点)。

 消費者庁も8月31日、「オーナー制度」に対する注意喚起を行っている。昨年9月以降、月数件ほど寄せられていた相談が今年に入り急増。消費者庁の調査にケフィア側は、支払い滞納は2万人で少なくとも計340億円と説明しているという。

 ケフィア事業振興会は、破産申し立てに至った経緯について「会員から拠出いただいた資金で食品加工、環境関連事業など多数の事業を行ってきたが、現在まで事業の多くが低調だった」と説明。加えてシステム不具合により支払いが遅滞するトラブルが急増し、会員による契約解除、更新の停止が相次いだことから「信用が著しく悪化した。多数の契約解除から資金繰りがひっ迫した」としている。

かぶちゃん農園関連を否定

 ただ、今回、破産に至ったのはケフィア事業振興会を含め4社。グループ関連企業は70社近くに上るとみられる。弁護団は、こうした状況を受けて「資産の隠匿が強く懸念される」として関連会社を含め資産の保全や事業実態の解明、隠匿状況の調査を求めていく方針。また、「代表者である鏑木秀彌氏、関連会社のかぶちゃん農園の代表であり、秀彌氏の長男である武弥氏の破産申し立てがなされておらず、個人として自ら責任を負うことが明らかにされていない」として、勧誘が出資法違反にあたる可能性に言及。警視庁への刑事告訴など刑事、民事の両面から責任を追及していくことを検討している。

 かぶちゃん農園は、ホームページで「『ケフィア事業振興会』は(主要取引先で)関係はなく、弊社の名前で金銭的な融資の勧誘は行っていない」と関連を否定している。


「遅きに失した」

事業モデル、異様さ把握も対応後手に


【ケフィア事件の行方は?】


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 「遅きに失した」。日本通信販売協会の関係者は悔しさをにじませる。かつて取引関係にあった広告代理店も「10年ほど前から『オーナー制度』はあり、事業モデルが危うく、いずれおかしくなるという判断から手を引いた」と話す。ケフィア事業振興会が行っていた相次ぐ私募債募集や「オーナー制度」による資金調達の異様さは、多くの業界関係者が感じていた。だが、一定時期まで顧客への返済が行われてきたことから歯止めをかけることはできなかった。

 確認できたものでケフィア事業振興会は2000年頃、「ケフィア倶楽部社債共同購入会」の名称で、中小企業の資金調達への活用を念頭に導入された少人数私募債の募集を行っている。

 09年には「かぶちゃん農園会員持株会」(理事長が秀彌氏、理事に武弥氏)の名称での出資を募り、11年には関連のかぶちゃんフードサービスが、フランチャイズ展開を念頭に借入金を募集。5億円を調達している(14年に返済)。募集広告では、かぶちゃん農園の代表である鏑木武弥氏があいさつ文を寄せている。また同年には「『かぶちゃん農園』東日本大震災チャリティ苗木販売」として1本10万円で苗木を販売。募集広告にはかぶちゃん農園の名もある。

                     ◇

 国民生活センターには、ケフィア事業振興会をめぐり、過去10年間で2000件近い相談が寄せられていた(=)。急増したのは、支払い遅延が顕在化した昨年末以降。ただ、ここ数年をみても年間数十件ほどの相談が寄せられていた。「破たんが明らかになったところで(消費者庁が)注意喚起しても遅い。国センに相談が寄せられている中でなぜ早く警告できなかったか。ネットの『Q&A』サイトにもケフィア事業振興会に関する多くの書き込みがされていた」(業界関係者)と、行政の対応の遅れを指摘する声もある。先の協会関係者の元にも5、6年前からケフィア事業振興会に関する問い合わせが寄せられていた。経済産業省や金融庁に情報は伝えていたものの、具体的な対応にはつながらなかった。

 これまで悪質商法の端緒情報は、「PIO―NET」など全国の消費生活センターに寄せられる情報に依存していた。ただ、ジャパンライフなどの事件をみても破たんが明らかになり、巨額被害が露見するまで対応できていない。

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 現在、消費者庁では、ネット上のSNSなどから消費者トラブルの端緒を収集・分析し、行政処分や注意喚起に活かすシステムの実証実験を行っている。ツイッターのほか、「Yahoo!知恵袋」などのナレッジコミュニティ、「2ちゃんねる」などの掲示板の書き込みを分析するものだ。まだ、本格導入に至っていないが、こうしたシステムの構築を急ぐ必要もあるだろう。

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 関連会社が70近くに上ることも私募債や「オーナー制度」の実態をあいまいなものにし、把握を難しくしていた。

 今回、破産申し立てに至ったのも4社。関連会社は多岐に渡り、資産隠しが行われている可能性もある。

 弁護団によると、ケフィア事業振興会が本社を置くケフィア・ビル(東京都千代田区)の評価額は10数億円。ただ、債権者がいるため、どの程度、被害回復に寄与するかは不明だ。確認できた一部の預金口座も「微々たるもので1億円程度残っているだけ」(弁護団)という。



「DMが怪しい」


通販業界に悪影響も


 被害総額が1000億円に達するとも言われるケフィア事業振興会の事件は、通販業界で過去最大のものだ。業界への悪影響も懸念される。

 「報道を通じて"通販会社が悪さをした"と、イメージが貶められている。顧客もダイレクトメール(DM)は怪しいから信用しないほうがいいとなる」(業界関係者)。別の関係者も「通販広告を通じてモノ(商品)から入ってDMで勧誘を行っていた。ようやく社会的認知を得た業界の印象後退は免れない」と話す。

 ケフィア事業振興会は、通販を"手段"として利用した。大手紙に干し柿やメープルシロップ、ヨーグルトの販売を目的にした通販広告を出稿していたが、通販広告はあくまで勧誘のためのターゲットリストを集めるための手段。これをもとにDMで投資を募っていた。実態は、通販とは似て非なるもの。

 とはいえ、消費者への影響は免れない。通販はこれまで、顧客と対面で接する機会が少なく、店舗を持たないことに対する不安感を、商品同梱物やDM、電話といったコミュニケーションで補ってきた。その精度を高めることで顧客の信頼を得て、強固な関係を築いてきた。だが、今回の事件を受け、顧客の通販への不信感が高まる可能性がある。

 通販が社会的認知を得るに至ったのは、健全な市場の形成に尽力してきた先人の努力があってこそのものだ。これにタダ乗りし、投資の手段として利用したケフィア事業振興会の事業は許されるものではない。

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