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衣料品ECモール、PBで独自色

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 ファッションECモール運営企業によるプライベートブランド(PB)の取り組みが活発化している。PBを手がける理由は各社によって異なるものの、近年は各ECモールの品ぞろえが同質化してきたこともあり、割引クーポンなどサービス競争による顧客の獲得合戦が激化している。ECモールに出店するアパレルブランドや消費者にとって各モールの特色は大事で、商品面の差別化は顧客がECモールを選ぶ際のポイントにもなり得る。PB商品に取り組むECモールの現状と戦略を見ていく。

    ぴったりサイズで世界進出

       スタートトゥデイ

 
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業界の垣根を越えて注目を集めているのが、スタートトゥデイが手がける初のPB「ゾゾ」だ。

 同社のPBはサイズ問題の解消が発想の原点で、採寸用のボディースーツ「ゾゾスーツ」と一体で展開し、ぴったりサイズのPB商品をオーダーメード型で届けることで、ECの弱点でもあるサイズ違いによる返品や満足度の低下を払拭するだけでなく、一般的なサイズ展開にとどまる実店舗アパレルでの購入体験を上回ることで国内のみならず、一度は失敗した海外市場の開拓も狙う。

 PB展開に不可欠なゾゾスーツは昨年11月に発表。反響は大きく、予約数は100万件を突破したものの、スーツを大量生産できる体制が整わず、今年1月末に3億円で買い取ったアイデアをもとに開発した新型ゾゾスーツを4月下旬から投入し始めている。

 新型スーツは従来の伸縮センサー方式を改め、全身に300~400個付いたドットマーカーをスマホのカメラで360度撮影することで精度の高い計測ができる読み取り方式とした。

 同社は生産面の課題を解消したことで、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」の商品購入者への同梱や街頭配布などを通じて今期(2019年3月期)中に海外を含め600万~1000万着を無料配布する計画だ。

 一方、新型スーツは生産コストを旧型より大幅削減できるものの、1着約1000円かかることもあり、新型スーツの配布と並行して、さらなる採寸用スーツの開発やスーツなしで体型を計測できる技術の開発に着手しているという。

 PB商品については、オーダーメード型の強みを生かし、"究極のフィット感"を追求したベーシックアイテムを展開。1月末にTシャツ(税込1200円)とデニムパンツ(同3800円)を投入したほか、6月6日には綿100%のボタンダウンシャツ(同3900円)をレディースに先駆けてメンズ向けで展開を始めた。

 
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新商品のボタンダウンシャツは自分の好みで首まわりと肩幅、胸囲、袖丈、着丈、手首のサイズをカスタマイズでき、襟の大きさやポケットの大きさと位置など細部までミリ単位の調整を行う。

 今後はストレートデニムパンツやスキニーデニムパンツのほか、ビジネス用のシャツやスーツなどを開発し、今期中に展開型数を10~20型まで増やす予定だ。

 スタートトゥデイでは、「サイズの問題はグローバル」(前澤友作社長)とし、PBでは海外市場の開拓に力を注ぐ。同社では、21年3月期を最終年度とした3カ年の中期経営計画で商品取扱高7150億円を目指すほか、10年後ビジョンとしてPBを展開するオンラインSPAで世界ナンバーワン、グローバルアパレル企業トップ10入りを掲げており、これらの達成にはPBの国内での成功はもちろん、現状は認知度の低い海外で売り上げを作れるかが注目されており、「海外で成功しないと意味がない」(同)と強調する。

 PB「ゾゾ」としての売り上げ目標は初年度200億円(海外比率10%)、2年目に800億円(同25%)、3年目で2000億円(同40%)を計画するほか、長期ビジョンとして10年後のPB海外比率は80%を目指している。

 7月初旬からは海外72カ国でPBの販売をスタートするが、すでに米国や欧州では何度もフィッティングテストを実施し、PB「ゾゾ」への評価は上々という。

 足もとでは、海外におけるPBのブランディングやプロモーションの戦略立案が不可欠なほか、今後は商品のバリエーションを増やすためにも、新型ゾゾスーツではカバーしていない顔や手足の先といった体の末端部分を測定する技術の開発なども急ぐことになりそうだ。



     広義のオリジナルを強化

        マガシーク

 
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マガシークは、他の売り場にはない品ぞろえの強化策の一環として、有力取引先などとタッグを組んだPB展開に乗り出している。

 昨年12月には繊維総合商社のモリリンと組み、イージーケア性や原価開示などが特徴のPB「ネセサリーアンドサフィシェント」をスタートしたのに加え、今年3月にはレディースファッションブランドを手がけるネバーセイネバーと協業し、コスパの高いデイリーウエアブランド「マティナール」を、マガシークが運営するファッション通販サイト「マガシーク」と「dファッション」限定で販売を始めた。

 アパレル業界では最近、ECで収集した情報を物作りやブランド作りに生かす動きが出始めていることもあり、「マガシーク」を18年間運営する同社としても、「こうしたビッグデータ活用の動きに先駆けてブランド作りにチャレンジしている」(井上直也社長)という。

 第1弾の「ネセサリーアンドサフィシェント」は、モリリンから自宅で簡単に洗えて型崩れしにくい素材「ドリームヤーン」を提案され、忙しい大人の女性に適した素材であることから、素材とコンセプトをベースにPBを立ち上げた。

 第2弾の「マティナール」でタッグを組むネバーセイネバーは主要取引先ブランドのひとつで、これまでも同社の主力ブランド「スタイルデリ」で「マガシーク」専用アイテムを販売して好評を得たこともあり、協業によるPB展開に踏み込んだ格好だ。

 マガシークによると、両PBが既存顧客に認知されるには「少し時間が必要」(井上社長)という。現状、PBに専任者は置いておらず、MDチームのスタッフが兼務。時間をかけて育てていく考えで、今後、マンパワーをかけるタイミングを見極める。

 PBのコンバージョン率は高いものの、商品の閲覧数が人気ブランドのアイテムと比較すると少ないため、メルマガやサイトのトップページで露出するなど、顧客の目に触れる機会を増やしているという。

 一方、最近では「dファッション」で安室奈美恵さんの公式ツアーグッズを販売したところ非常に大きな反響があり、同サイトのランキング上位を独占したこともあって、「マガシーク」や「dファッション」ならではの品ぞろえをPBに限定せず強化したい考えで、今後はコスト面も考慮しながら海外セレブや日本の女優とコラボしたアイテムなど、注目度の高い商品開発も視野に入れる。

 同社では、「主要顧客層の女性が服を購入するときに何を一番気にしているのかを見定めた上で、広い意味でのPBのあり方を考えていきたい」(井上社長)としている。

 現状ではPBの認知が十分でないこともあり、限定感と話題作りに根差した商品開発が不可欠と判断。オリジナルのブランド作りという観点だけでなく、プロモーションを重視したブランド、商品作りも行いたい意向で、人気ブランドとの限定アイテムなども引き続き強化していく。



     通販部門主導でPB拡充


         集英社


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 集英社は、今期(2019年5月期)から通販部隊主導でオリジナルブランドの強化に再度アクセルを踏む。

 同社は利益率の改善や、品ぞろえの差別化による新客開拓が見込めるオリジナルブランドを7~8年前から手がけている。商品調達面でも、誰もが知るアパレルブランドに比べてオリジナルブランドは在庫を確保しやすく、出版社が得意とする企画力を最大限に発揮できることから強化してきた。

 同社では人気雑誌のオリジナルブランドとして「トゥエルブクローゼット」(LEE)をはじめ、「エムセブンデイズ」(マリソル)、「イーバイエクラ」(エクラ)、「フェリースルネス」(バイラ)、「フラワーデイズ」(モア)を展開するほか、唯一、雑誌に紐付かないオリジナルブランド「スアデオ」も手がけている。

 「スアデオ」以外のオリジナルブランドは、各雑誌の通販ページで企画を立て、アパレル企業から仕入れた商材とともに提案するほか、運営するモール型のファッション通販サイト「フラッグショップ」内に雑誌ごとの単独ショップを構え、当該ショップでもセレクト品とオリジナルブランドを扱っている。通販売上高に占めるオリジナルブランドの比率は少しずつ拡大しており、18年5月期は13%(7億円強)程度の見込みで、今期は同20%をターゲットとし、中長期的には50%をオリジナルブランドで稼ぎたい意向だ。

 目標達成に向け、今期は伸び悩んでいる「モア」と「バイラ」の売り場を対象にテコ入れを図る。具体的には、両媒体の単独ショップを6月18日に閉じ、「フラッグショップ」内で両媒体のオリジナルブランドを含む取り扱いブランドを販売。雑誌の通販ページについてもそれぞれ10月号で終了するが、「決して後ろ向きの決断ではない」(同社)とする。

 実際、両媒体の単独ショップよりも「フラッグショップ」の方が集客力、売り上げともに大きいため、訪問者数の多い売り場で展開した方が成長できるとの判断で、小さな路面店での展開を改めて大きなショッピングモールに店を構えるイメージという。両媒体のオリジナルブランド「フラワーデイズ」と「フェリースルネス」も「フラッグショップ」の企画で打ち出しを強める。

 これまでは「モア」と「バイラ」本誌に毎月、通販ページを設けていたため雑誌コンテンツとしてMD面での編集者のこだわりと、通販部隊が主張する"売れるセオリー"が一致しないケースもあったようだが、今後は通販部隊が主導権を持って雑誌読者向けの商品提案も行いながら、より通販顧客に響くようにマーケティングデータに基づいたMD展開を強めることでEC売り上げを伸ばす。

 また、従来であれば通販ページの範囲内でMDを組む必要があったが、これからはオリジナルブランドとして必要な型数をそろえたり、ウェブならではのコンテンツを発信していくほか、ブロガーを活用した情報発信も強化する考えだ。

 一方、雑誌に紐付かないオリジナルブランドの「スアデオ」の強化にも本腰を入れる。同社は今年2月から約半年間の予定で「フラッグショップ」の実店舗をルミネ新宿ルミネ2で展開しており、3~4週間ごとにテーマを変え、店頭の商品を入れ替えているが、雑誌の毎月のテーマに引っ張られる他のオリジナルブランドとは異なり、「スアデオ」は店頭テーマに沿ったMDを計画的に組めているようで、雑誌を持たないことも強みに、短サイクルのMD構築などに磨きをかける。

 今後は、他のオリジナルブランドも含め、再入荷希望がクリックされてから2週間以内に商品を届けられるよう、追加生産に迅速に対応できる体制の整備を急ぐ。


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