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国土交通省 EC・宅配の連絡会、「再配達削減」テーマに議論

 EC市場拡大に伴う宅配便の数量増加を受け、EC・宅配事業者が連絡会を立ち上げた。双方の連携により、事業の生産性やサービス向上に向けた議論を目的にするもの。5月28日、国土交通省で行われた初会合では、「再配達削減」が第1のテーマにあげられた。だが、宅配便をめぐる問題は「再配達」に集約されるものではない。EC事業者の負担軽減など双方の課題を広く探り、連携に向け議論を発展させることができるか。初回から意義を問われる展開になった。

 「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」は、国交省に設置。経済産業省、環境省も参加する。

 冒頭あいさつに立った国交省の重田雅史物流審議官が掲げた課題は3つ。「再配達削減」、「人手不足」、CO2削減など「省エネ社会」の実現に向けた取り組みだ。宅配便の小口化・多頻度化が進む中、一方では、ドライバーなど労働力不足、高齢化が進む。政府は現在16%ほどある再配達を2020年に13%まで減らす目標を掲げており、EC・宅配事業者の連携により双方の生産性・サービス向上を図る意見交換を行うのが目的だ。

 連絡会は9月下旬まで月1回のペースで開催。10月をめどに「再配達削減」等に向けた取り組み事例集を公表する。以降も定期開催を予定する。

 参加は、EC事業者からアスクル、アマゾンジャパン、オルビス、スタートトゥデイ、千趣会、ファンケル、ヤフー、楽天、リンベルの9社。宅配事業者は、佐川急便、日本郵便、丸和運輸機関、ヤマト運輸の4社が参加した。このほか、日本通信販売協会がオブザーバーとして参加した。



「国交省主導」に懸念の声 【解説】


 「再配達削減」「人手不足」。つまるところ、連絡会の第1回会合で示された課題は、荷主サイドの課題解決に向けた道筋を探る点に絞られている。だが、連絡会は、EC・宅配事業者の「サービス」の向上を図る目的もある。宅配サイドだけでなく、EC事業者の負担にも目を向ける必要がある。

 宅配便の荷受量増加が顕在化して以降、EC事業者の負担は増している。大手物流はそろって「運賃値上げ」の要請に乗り出し、通販各社は送料無料サービスなどを見直した。その負担は、顧客にもしわ寄せがきている。

 「運賃値上げ」の機運に乗じた宅配事業者の要請はこれにとどまらない。一部大手は「荷受量抑制」の方針を打ち出した。ほかに「集荷の時間帯切り上げを要請された」という通販企業も複数社に上る。これら要請は、時間帯指定枠の削減、配送リードタイムの遅れなど顧客の利便性低下にもつながるもの。EC・宅配事業者の連携が必要で難しい問題ではあるものの、「再配達削減」のみに焦点をあてた議論では解決できない。

 連絡会が国土交通省で開かれ、仕切りが"国交省マター"であることも、今後の議論のバランスを取る上で注目すべき点だ。行政サイドの出席は、国交省、経済産業省、環境省。国交省が審議官クラスを臨席させているのに対し、経産省の出席は室長クラス。冒頭あいさつに立った重田物流審議官は「再配達削減」を第一の課題として挙げたが、そこにこの連絡会の企図が見てとれる。業界関係者からは「宅配サイドの負担軽減を念頭に議論が進むのでは」との懸念の声が上がる。業界団体として参加する日本通信販売協会も"オブザーバー"としての参加にとどまる。

 EC事業者は「運賃値上げ」の要請を受けながら、「再配達削減」に向け、すでに置き配や宅配ボックスの設置、配送通知、梱包の工夫など独自の企業努力で「サービス品質」の維持に取り組む。国交省はすでに15年に「再配達削減」に向けた検討会を行い、配達日時等に関する顧客とEC・宅配事業者のコミュニケーション強化、宅配ボックスの設置などインフラ整備に向けた一定の方向性を示している。今回、取り組み事例集の公表にとどまるものでは連絡会の意味をなさない。

 連絡会は原則非公開。新たに発足し、継続的に議論するのであれば、成長領域を担うEC事業者の事業を圧迫する問題とセットに、これをどこまで解消できるか、本音の議論を行うべきだ。今後、連絡会は"何を議論するか"を問われることになる。

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