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2018年5月 Archive

【売れるネット広告社とFID 「コンバージョン」なき論争㊦】 「オリジナル」か「知財」か、見解相違に冷めた声も

 「確認画面でアップセル」の商標をめぐり法廷外論争に発展した売れるネット広告社(以下、売れるネット)とFID。和解となっても主張が平行線を辿る背景には、この商標に集約されたマーケティング手法が「オリジナル」か「知財」かという法的根拠の有無が見解の違いに表れている。

 「確認画面でアップセル」という商標の侵害を判断する場合、まずこれが商標権上の「商品等表示」(識別性のある商品・サービス)に該当するか、という点が争点になる。これにFIDは「確認画面でアップセルを行うという機能を営業ツール等の『説明文』で示すだけでは『商品等表示』にあたらないと和解協議の中で明らかにされた」とする。和解にあたり侵害がないことを認めることを求めており、和解内容は「商標権・著作権侵害はない」となっている。

 だが、売れるネットの見解は「違法なのに和解したというロジックではおかしいから。(侵害の)最終的な判断は下されていない」というもの。確認画面でアップセルを行う手法は05年に開発。「当時の企画書やランディングページ(LP)も残っており、100%確実」と"オリジナル"であると自負する。同様の手法を他社が使用することが許せなかったのだろう。

 もう一つの争点はFIDのLP等制作ツール「侍カート」で作ったLPが売れるネットのものに酷似していたとして著作権侵害を訴えた点。FIDは「争点にすらならなかった」という。実際にLPを制作したのは通販会社であり、そもそも訴えるべき対象が異なるためだ。

 この点、売れるネットも争点とはならなかったことに「間違いない」と認める。ただ、「FIDのツールは同じものができるもの。その点が許せなかった」とする。

 「確認画面でアップセル」を行う手法は、確かに売れるネットの"オリジナル"であるかもしれない。商標登録していることからも開発への強い思いが表れている。ただ、訴訟となれば問題は別。あくまで法的根拠の有無が判断されることになる。

 では、なぜ和解決着の道を選んだのか。これに売れるネットは、「FIDが『確認画面でアップセル』を変更・削除したため目的は果たした。パクリ文化が横行する業界への問題提起が目的。削除・変更を条件に和解に応じてあげた」とする。

 一方のFIDは「「互いに気持ちよくビジネスを行うため、嫌だというのであれば変更しようと。係争を続けても互いに生産性がない。これを勝訴と主張したいのであればそれもよいが、裁判上の判断は別」と和解した経緯を話す。

 法廷外で和解をめぐる互いの主張が平行線を辿る中、複数の通販事業者からは「だったら判決で明確にすればよかったのに」と、冷めた声が聞こえてくる。和解となった以上、その内容がすべて。解釈は各社に委ねられるが、和解後も互いの主張を喧伝し合うことは、両社にとってプラスになりそうもない。

 売れるネットは確認画面でアップセルを行う機能で近く特許を取得するという。「違法でないなら削除・変更したものを戻してもらっていい。業界をけん引するリーダーとして権利の不当な侵害には断固たる姿勢で臨む。取得後に改めて提訴も検討する」とも話す。「確認画面でアップセル」をめぐる問題はまだ緒を引きそうだ。
(おわり)


セシールのサウンドロゴ空耳実態調査 「しもふさ君幸せそうなのに」1位に

 「しもふさ君幸せそうなのに」が1位に。ディノス・セシールは5月23日、かつて"何と言っているのか"と話題となった「セシール」のテレビCMで流していた「愛と信頼をお届けする」というフランス語によるブランドメッセージ「イロッフル・サ・コンフィアンス・エ・ソナムール」が何と聞こえるか、などを尋ねたネットアンケート調査「セシールのサウンドロゴ空耳実態調査」の結果を発表した。

 それによると、「しもふさ君 幸せそうなのに」と回答した人が全体の約3割となり最も多かった。次いで「自分は幸せそうなムーン」などとなった。同社では昨年のCMで同フレーズを久々に復活させた結果、ネット上などで大きな反響を呼んだことから今年のCMでも当該サウンドロゴを流したほか「多くの皆様が長きに渡って関心を寄せて頂いたことし真摯にお応えしたい」として同調査を行ったという。なお、同サウンドロゴが「長らく皆に愛されている当社の大事な財産」(同社)としてこのほど、同社では初めてとなる"音商標"の申請を行ったという。

 「セシールのサウンドロゴ空耳実態調査」は4月27~30日まで20~60代の男女を対象に各年代・性別で100人ずつ、合計1000人に1983年当時にセシールのCMで使用された当該サウンドロゴの音声データを聴取させた上で同社がウェブ上などであった同サウンドロゴが「こう聞こえる」という意見の中から比較的数が多かった9つの"空耳フレーズ"を選択肢とし、それを回答者が選ぶ形でネットアンケートを行った。この結果、「しもふさ君 幸せそうなのに」が全体の29・5%と最も多く、次いで「自分は幸せそうなムーン」(21・1%)、「篠塚君 幸せそうなの」(16・4%)、「イノフサ君 幸せそうなの」(15・2%)、「白くまくん幸せそうなの」(6・3%)などの順となった。1位の「しもふさ君 幸せそうなのに」は男女別、年代別、エリア別でみてもすべてで1位だった。また、同社社員を対象としたアンケート調査(5月10~17日に実施。402人回答)でも1位となったという。

 なお、「セシールのサウンドロゴ空耳実態調査」では同サウンドロゴを聴いたことがあるか、という設問を設け、認知度について尋ねたところ、全体の77%が「聴いたことがある」と回答した。前年別にみると当時のCMを見ていた30代以上の平均認知率は85・3%で特に40代では93・5%と最も高かった。一方、当該CMをリアルタイムではあまり見ていないはずの20代も44%となっている。

楽天 ビームスとO2O企画、スタッフが商品選定、電子看板をスマホで操作

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 楽天とセレクトショップ運営のビームスは5月23日から、両社がコラボレーションしたO2O企画として、「Rakuten meets BEAMS JAPAN」を、仮想モール「楽天市場」やビームスの実店舗「ビームス ジャパン」などで開始した。

 イベントでは、ビームスの人気バイヤーとショップスタッフなど16名が、愛用している楽天市場の商品を、ライフスタイルとともに紹介する。東京・新宿にあるビームス ジャパンの1階には、スマホで操作できる巨大なデジタルサイネージ(電子看板)を用意。消費者は、まずスマートフォンでQRコードを読み込むことで、スマホがサイネージを操作するコントローラーとなる。そして、サイネージに表示される商品から「楽天市場」の商品ページにアクセスし、購入することができる。商品ページからは、スタッフが商品を紹介する動画を閲覧できるほか、店頭のQRコードからアクセスした場合のみ、特製缶バッジのプレゼント画面が表示される。また、店頭ではスタッフを紹介するとともに、商品のサンプルも展示している。

 サイネージに表示されるのは48商品。16人がそれぞれ選んだ3商品を表示する形で、会期の前半は24商品、後半に24商品表示する。デジタルサイネージを利用した広告は増えているが、映像を表示するだけだったり、操作できるものでもタッチ方式であることが多い。スマホを使う今回のやり方は、タッチ方式と違って複数が同時にアクセスできるほか、街中でサイネージを触ることに抵抗がある人でも参加しやすいメリットがある。

 同社ECカンパニー編成部CWD戦略推進課の山口貴弘シニアマネージャーは「ビームスのコンテンツを楽天市場の商品を入れ込むことで、無人のセレクトショップを実現した」と話す。家電や雑貨、食品、さらには「スニーカーレインカバー」といった個性的な商品を紹介している。

 さらには、楽天のキュレーションサービス「ROOM(ルーム)」においては、16名が運営するアカウントを集約した特設ページを開設。各スタッフのルームは、イベントに先立って4月1日から運用しており、フォロワーも千人単位と多く、売り切れになる商品も出ているという。また、紹介する商品を扱う店舗には、「コラボ企画に選ばれた」ことを示すエンブレムを配布。商品ページに表示することができる。

 セレクトした商品は、ビームスのスタッフが実際に楽天市場で購入したもの。ビームスのスタッフならではの視点で商品を発掘してもらうということだけではなく、ルームの利用促進につなげる狙いもある。

 山口シニアマネージャーは「最近はSNS経由の購買が流行しているが、商売が前面に出ていることも多い。今回の企画はそういったものを抑えているが、ビームススタッフが本当に良いと思った商品を紹介してもらうことで、消費者の購買意欲をくすぐる企画になったのではないか」と自信をのぞかせる。

 イベント開始にあわせて、ビームス ジャパンでは、楽天のスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」を導入。消費者は、ビームス ジャパンでの買い物をする際に「楽天ペイ」アプリで決済を行うことで、楽天のポイントサービス「楽天スーパーポイント」を貯めたり、支払いに使ったりすることが可能になる。今秋には、ビームス ジャパン以外の全国のビームスショップへも導入を予定している。

ベルーナ 若年層向け事業強化へ、仮想モールのシステム開発

 ベルーナでは、20~30代向け衣料品通販の「リュリュ」を強化する。ネット販売を伸ばすために、ネット専用商品を増やすほか、昨年から展開している仮想モールを強化する。同社の主力事業である総合通販事業においては、中高年向けの「ベルーナ」は好調に推移、事業全体では増収となったものの、リュリュは減収だった。他社商品の取り扱いも拡大することで、若年層向け事業をテコ入れする。


 リュリュの2018年3月期売上高は、前期比11・5%減の65億9400万円だった。リュリュでは昨年から他社ブランド商品の取り扱いを始めており、夢展望やマキシムの「神戸レタス」など30前後のブランドが出店している。現在、来年4月をめどに、仮想モールのシステム開発を進めており、出店店舗数は70~80まで拡大する予定。

 ネット専用商品に関しては受注構成比が拡大しており、2017年1~3月には6・7%だったものが、18年1~3月には15・7%まで増えた。19年3月期は定番商品の拡充などを中心にラインアップを増やす。

 専門通販事業では、化粧品のオージオが売上高は前期比23・2%増の67億5400万円、営業利益が同16・6%増の7億3200万円と好調に推移。卵殻膜系化粧品などが成長をけん引した。また、台湾向けの越境ECについては、売上高が17年3月期の3000万円から18年3月期は1億4000万円まで拡大、単月黒字も確保した。19年3月期の売上高は4億円を見込んでいる。

 一方、ベビー用品やギフトのベストサンクスは苦戦。売上高は前期比14・3%減の21億9300万円、営業損益は2億7000万円の赤字(前年同期は1億8400万円の赤字)で、5期連続の赤字となった。これを受けてベルーナでは事業の収益化を断念。「売却も検討したが、ベストサンクスには固定資産があるため、営業停止がコスト面で最も効率が良い」(安野清社長)として、今年度上半期をめどに営業を停止する。ベストサンクスは、レモールのベビー事業とギフト事業を承継したもので、14年2月にベルーナが子会社化していた。

 アパレル店舗の売上高は、前期比13・1%増の56億2600万円、営業損益は2億5700万円の黒字(前年同期は5億300万円の赤字)だった。コスト構造の見直しを進めたほか、不採算店を閉店。また、直近のトレンドを反映させた店舗専用商品の割合が拡大したことで、既存店売上高が同31・8%増と好調に推移、事業全体でも2桁増収となった。店舗数は17年3月期末の64店から18年3月期末は59店に減ったが、19年3月期末は90店となる予定。

 同社では4月から、衣料品通販において購入額によらず送料を請求するようにしたほか、食品通販やワイン通販などでも送料を値上げした。影響について安野社長は「まだはっきりとはわからないが、ゼロではないだろう。商品力強化とネットの充実でカバーしたい」としている。

国土交通省 EC・宅配の連絡会、「再配達削減」テーマに議論

 EC市場拡大に伴う宅配便の数量増加を受け、EC・宅配事業者が連絡会を立ち上げた。双方の連携により、事業の生産性やサービス向上に向けた議論を目的にするもの。5月28日、国土交通省で行われた初会合では、「再配達削減」が第1のテーマにあげられた。だが、宅配便をめぐる問題は「再配達」に集約されるものではない。EC事業者の負担軽減など双方の課題を広く探り、連携に向け議論を発展させることができるか。初回から意義を問われる展開になった。

 「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」は、国交省に設置。経済産業省、環境省も参加する。

 冒頭あいさつに立った国交省の重田雅史物流審議官が掲げた課題は3つ。「再配達削減」、「人手不足」、CO2削減など「省エネ社会」の実現に向けた取り組みだ。宅配便の小口化・多頻度化が進む中、一方では、ドライバーなど労働力不足、高齢化が進む。政府は現在16%ほどある再配達を2020年に13%まで減らす目標を掲げており、EC・宅配事業者の連携により双方の生産性・サービス向上を図る意見交換を行うのが目的だ。

 連絡会は9月下旬まで月1回のペースで開催。10月をめどに「再配達削減」等に向けた取り組み事例集を公表する。以降も定期開催を予定する。

 参加は、EC事業者からアスクル、アマゾンジャパン、オルビス、スタートトゥデイ、千趣会、ファンケル、ヤフー、楽天、リンベルの9社。宅配事業者は、佐川急便、日本郵便、丸和運輸機関、ヤマト運輸の4社が参加した。このほか、日本通信販売協会がオブザーバーとして参加した。



「国交省主導」に懸念の声 【解説】


 「再配達削減」「人手不足」。つまるところ、連絡会の第1回会合で示された課題は、荷主サイドの課題解決に向けた道筋を探る点に絞られている。だが、連絡会は、EC・宅配事業者の「サービス」の向上を図る目的もある。宅配サイドだけでなく、EC事業者の負担にも目を向ける必要がある。

 宅配便の荷受量増加が顕在化して以降、EC事業者の負担は増している。大手物流はそろって「運賃値上げ」の要請に乗り出し、通販各社は送料無料サービスなどを見直した。その負担は、顧客にもしわ寄せがきている。

 「運賃値上げ」の機運に乗じた宅配事業者の要請はこれにとどまらない。一部大手は「荷受量抑制」の方針を打ち出した。ほかに「集荷の時間帯切り上げを要請された」という通販企業も複数社に上る。これら要請は、時間帯指定枠の削減、配送リードタイムの遅れなど顧客の利便性低下にもつながるもの。EC・宅配事業者の連携が必要で難しい問題ではあるものの、「再配達削減」のみに焦点をあてた議論では解決できない。

 連絡会が国土交通省で開かれ、仕切りが"国交省マター"であることも、今後の議論のバランスを取る上で注目すべき点だ。行政サイドの出席は、国交省、経済産業省、環境省。国交省が審議官クラスを臨席させているのに対し、経産省の出席は室長クラス。冒頭あいさつに立った重田物流審議官は「再配達削減」を第一の課題として挙げたが、そこにこの連絡会の企図が見てとれる。業界関係者からは「宅配サイドの負担軽減を念頭に議論が進むのでは」との懸念の声が上がる。業界団体として参加する日本通信販売協会も"オブザーバー"としての参加にとどまる。

 EC事業者は「運賃値上げ」の要請を受けながら、「再配達削減」に向け、すでに置き配や宅配ボックスの設置、配送通知、梱包の工夫など独自の企業努力で「サービス品質」の維持に取り組む。国交省はすでに15年に「再配達削減」に向けた検討会を行い、配達日時等に関する顧客とEC・宅配事業者のコミュニケーション強化、宅配ボックスの設置などインフラ整備に向けた一定の方向性を示している。今回、取り組み事例集の公表にとどまるものでは連絡会の意味をなさない。

 連絡会は原則非公開。新たに発足し、継続的に議論するのであれば、成長領域を担うEC事業者の事業を圧迫する問題とセットに、これをどこまで解消できるか、本音の議論を行うべきだ。今後、連絡会は"何を議論するか"を問われることになる。

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