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ドゥクラッセの店舗事業戦略、次のステージへ 新宿アルタに大規模店

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 DoCLASSEグループは、実店舗事業が新しいステージへ進もうとしている。足もとでは婦人服ブランド「ドゥクラッセ」が43店舗、婦人靴の「フィットフィット」が52店舗を構えるなど店舗展開を加速しているが、6月22日には新宿アルタ1階に紳士服も含めたグループの大規模店舗を出店。統一感を持たせた店舗デザインや商品の新たな見せ方、幅広い品ぞろえで新規顧客層の開拓にも挑戦する。実店舗で苦戦する通販企業が多い中、アルタ出店でさらに勢いがつきそうな同社グループのリアル店舗の"強さ"にスポットを当てる。

 ドゥクラッセは、40~50代の体型をカバーしつつトレンドをとり入れ、品質を重視しながらも手ごろな価格で婦人服を提供して成長しており、最近では紳士服も強化している。フィットフィットは、デザイン性はもちろん、人間工学を熟知した靴の匠と組んで外反母趾にもやさしいコンフォートシューズブランドとして人気だ。

 創業10年目の前期(2017年7月期)は、グループ売上高が210億円に拡大。カタログを中心に通販チャネルが好調だが、ブランド認知拡大や新客開拓、スケールメリット追求などを目的に店舗展開にも積極的で、前期の売上高に占める店舗事業の割合はドゥクラッセが約25%、フィットフィットは商品特性もあって約75%まで拡大した。19年末には婦人服で60店舗、婦人靴66店舗の販売体制を整える計画で、店舗事業の重要性はさらに高まってきそうだ。

 これまで通販からスタートしたファッションブランドの店舗展開については、大手通販企業が百貨店に出店したものの百貨店顧客から相手にされなかったり、EC専業が店舗を増やして失敗したり、倒産した事例も少なくない。

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 ではなぜ、ドゥクラッセグループの店舗展開は好調を維持しているのか。同社によると、店舗人件費と家賃、粗利(と原価)を店舗責任者がコントロールできなければ実店舗は失敗するという。加えて、「価値のある商品を最適なチャネルで提供することが大事」(岡田峰昌COO)と指摘する。

 ドゥクラッセの店舗展開も最初は駅ビルや地下街などに出店していたが、最近では百貨店の顧客がブランドのターゲットにもっとも近いようで、関東では京王百貨店新宿店や小田急百貨店新宿店、関西では大丸梅田店やあべのハルカス近鉄本店などの主要百貨店でブランド認知が拡大。フロア内の売り上げは常に上位に位置しているという。

 通販チャネルの強さも店舗事業には好都合で、ドゥクラッセのカタログ会員230万人が毎月届くカタログを見た後に実店舗で商品を確認するケースは珍しくなく、新聞広告に掲載された商品の店舗売り上げは他商材に比べて確実に伸びるという。フィットフィットも通販チャネルが実店舗にとって「トラフィックのジェネレーター(発生源)になっている」(石川淳フィットフィット店舗事業責任者)とする。

 一方、ドゥクラッセのカタログでは毎月約120品番を掲載しているが、実店舗で展開できるのは平均100品番程度で、かつ毎月すべての商品を入れ替えることはできないため、店舗事業では独自に強化品番を設定。効率よく販売を集中してトップラインを上げる手法を採用している。ただし、カタログの強化品番は店舗でも在庫をしっかり持って販売している。

専門部隊が全国で催事

 通販企業に限らず、常設店を開設する前に期間限定店を構えて消費者ニーズなどを確認するケースは多いが、同社グループでもとくにフィットフィットは専門部隊が全国を駆け回って催事店舗を展開している。

 フィットフィットはターゲット層が普段、婦人靴を購入する場所として百貨店が多いため、地方出店を計画する際はそのエリアで一番店の百貨店で催事を行い、販売実績を確認する。加えて、都市ごとの人口や世帯収入などから商圏のポテンシャルを割り出し、催事の結果と合わせて出店の判断材料にする。同社によると、年間の靴購入点数は世帯収入に比例する傾向があり、重視するポイントのひとつという。

 一方、催事は期間限定ということもあって購入意欲の高い消費者が多く、常設店とは来店時のマインドが異なるため、単純に催事の売り上げだけで判断せず、来店客やニーズも見極めているようだ。また、催事の時期や実施期間、何階に出たかなどの条件によっても売り上げが左右されるため、できるだけ平準化して催事を行っている。

購買客数はブランド力

 実店舗事業が健全な状態にあるかの判断基準としてドゥクラッセグループが重要視しているのが"購買客数"で、「客単価よりも大事でブランド力の指標になる」(石川氏)とし、どの成長段階においても大事だという。

 同時に、既存店売り上げの前年比にも注視しており、「既存店の前年比がとまるとか、購買客数が前年を割ることはブランドにとっての危機」(岡田氏)と指摘。ドゥクラッセでは売り上げの上位15店舗、フィットフィットも上位16店舗の経営状態をとくに重視しているようで、旗艦店には商品を集中させて商品の質に問題がないかを必ず確認している。

 また、同社グループでは"商売人"としての原点を大事にするためにも、商品原価や家賃比率、本部経費、人件費率、間接費率など損益計算書の数字をすべて各店の店長に公開。経営者目線で店舗の状態を把握することは店長の大事な役目だ。商品在庫については、両ブランドとも現在は本部主導でコントロールしているが、将来的には商品の発注や在庫管理を各店で行えるようにしたい意向だ。ファッション業界では店舗ごとの在庫管理は企業によって考え方がことなるが、店長が損益計算書まで把握している企業は少ないようだ。

過去最大面積の旗艦店開設

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 店舗事業を拡大中の同社グループが一段上のステージに上る絶好の機会と位置付けているのが、6月22日に決まった新宿アルタへの出店だ。

 ヤングマーケットが縮小していることを受け、新宿アルタはターゲットをピュアヤングからトレンドに関心の高い幅広い世代へと再設定。ドゥクラッセの婦人服と紳士服、フィットフィットが新宿アルタ1階の大部分に入居することで、従来は若者のイメージが強かった当該施設が、カップルや婦人など幅広い年齢層が楽しめるスポットとして生まれ変わるという。

 両ブランドにとっても旗艦店となる新宿アルタ店は過去最大面積の店舗で、婦人服が約340平方メートル、紳士服が約142平方メートル、フィットフィットが約70平方メートルとなり、合計面積は約552平方メートルに上る。

 同店は全国の店舗の中でもっとも豊富な商品ラインアップとし、幅広い年齢の消費者にさまざまなファッションを提案。ドゥクラッセはカタログに近い品ぞろえで臨むほか、強化品番や同ブランドの強みにもなっている柄物などを効果的に打ち出せる商品ステージを設けるという。フィットフィットも少し若い層向けの商品展開や、通販チャネルと新宿アルタ店だけの限定商品も提案する計画だ。

 店舗デザインはグループの旗艦店として売り場全体に統一感を持たせ、夫婦で来店してもらえるように男性客が休憩できるコーナーも設ける予定だ。また、店舗外には大型看板を設置して集客につなげる。

 店前通行量の多い好立地に最大店舗を構えることもあり、新宿アルタ店はグループ全体で2~3年後に年間25億円を売り上げる店舗を目指すとしている。



紳士服の売り場を拡充

筋肉質の事業構造へ前進


【店舗事業のトップに聞く 今期戦略の進捗は?】


 
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ドゥクラッセCOOの岡田峰昌氏(写真右)と、フィットフィット店舗事業責任者の石川淳氏に、両ブランドにおける店舗事業の重点取り組みや新宿アルタ店にかける意気込みなどを聞いた。

 ――ドゥクラッセは店舗の大型化やMD強化を今期テーマに掲げる。

 岡田「メンズを拡大しており、京都四条通店の地下にメンズコーナーを設けたり、あべのハルカス近鉄本店は約50平方メートル増床し、大丸梅田店も約26平方メートル増床した。また、近鉄百貨店和歌山店はレディースとメンズの併売店舗としてスタートし、町田東急ツインズ店もメンズ売り場を増床して大型化するなど、今春夏はメンズを踏まえた増床を実施した。現時点でドゥクラッセ43店舗のうち、メンズ商品を購入できる店舗はメンズ単独店1店舗を含めて13店舗に拡大した」

 ――メンズも支持されている。

 岡田「メンズの店舗に行くと、お客様から『こういうブランドが欲しかった』という声をよく聞く。いま、当社がターゲットにしている40~50代くらいの男性が買えるブランドが少なく、そこに当社のメンズ商材がはまっている」

 ――フィットフィットは利益構造の見直しなどに取り組んでいる。

 石川「事業を筋肉質にする取り組みは順調に進んでいる。利益がしっかり出る構造を作ることが大事だが、単純にコストを削減しろと言うのは会社の文化としては良くない。コスト削減というネガティブな言葉を使わずにスタッフのモチベーションを高められるかが私自身の挑戦で、"ムリ・ムダ・ムラ"をなくすことで利益構造の見直しを図っている」

 ――グループで新宿アルタに大型店を出す。

 岡田「次のステージに上がるための大事な店舗になる。これまでの平均店舗面積は約115平方メートルだが、新宿アルタ店はグループ全体で約552平方メートルという過去最大の店舗で、1階の大部分を占める。いままでと品ぞろえや見せ方、オペレーションなどすべてを変えないといけない。オペレーショは、ドゥクラッセだけで店舗スタッフ20人体制で臨む。本部の補強も必要になる」

 ――見せ方や品ぞろえでのチャレンジは。

 岡田「見せ方については、まだカタログに比べて店舗のインパクトが弱い部分があり、新宿アルタ店で大きく変えていきたい。例えば、強化アイテムやドゥクラッセの強みである柄物商品などを見せるステージをいくつも設け、月別にMDを組んで変えていく。品ぞろえについては、ほかの店舗は平均100型くらいを扱うが、アルタ店では130~140型程度の展開を考えていて、よりカタログの品ぞろえに近づく。メンズ商材も取り扱うため、夫婦で来店してもらえるようにターゲット年齢層を少し幅広く設定していく」

 ――フィットフィットの売り場は。

 石川「次のステージの店作りとして、フィットフィットの売り場もドゥクラッセとの統一感を持たせ、グループ店舗内の靴売り場のイメージで店作りをしている。フロア全体の店舗設計を1社に任せ、全体のトーンを崩さないようにフィットフィットのブランドカラーである赤も入れた。両ブランドにとって従来にないデザインの店舗で、フィットフィットとしてはドゥクラッセのお客様も取り込んでいきたいし、少し若い方に向けた商品も展開する。まだ詳しく言えないが、他店では扱わず、通販チャネルと新宿アルタ店だけの限定商品も提案していく」

 ――アルタ店の売り上げ目標は。

 岡田「新宿アルタ店はグループ全体で2~3年後に年間25億円を売り上げる店舗を目指す。東京オリンピックの開催と重なってくるため、もっと上を目指せる可能性もあると思っている」

 ――新しい顧客層との接点にもなりそうだ。

 岡田「店前の通行量が非常に多い立地やアルタという館のポテンシャルもあり、広告塔としても有益だ。新宿アルタ店ではさまざまなことに挑戦するためプレッシャーを感じているが、次のステージに上がるためのチャンスととらえている」





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