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主要通販各社の2018年新卒採用 圧倒的「売り手」市場に、前年に続き"学生優位"変わらず

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 本紙が2月末に実施した「主要通販各社の新卒採用状況」によると、2018年春に入社予定の新卒社員の採用活動について、ほぼすべての企業が「売り手」市場であると回答しており、昨年に引き続き"学生側が企業を選別する"状況にあることが分かった。また、採用人数に関しては前年と比べて「増加」した企業が「減少」をやや上回っており、景気回復が続く中で各企業の採用枠の拡大が進んでいることも伺えた。主要通販各社の新卒採用に関する詳しい状況を見てみる。

 本紙が主要な通販実施企業約30社を対象に調査を実施し、有効回答を得られた各社の今春の新卒採用状況は別表の通りとなった。前年との採用人数の比較について回答があった企業を集計したところ、「増加」が9社、「減少」が7社となった。また、「前年と同数」とした企業は2社だった。

 採用人数の前年比での増減幅を見てみると、5人以上増えているところが目立っており、中でもベルーナは10人増加。「事業の成長」をその理由に挙げている。ファンケルでは、大卒以上44人と高卒3人の合計で47人となり前年よりも7人増加。近年は新卒採用人数の絞り込みにより若手社員が減少していたため16年、17年と第二新卒採用を実施して補充していたが、18年は第二新卒採用を凍結して新卒採用数を増加させることにしている。

 減少した企業については採用枠そのものに変わりはなく「単純な誤差の範囲」とする回答がある一方で、「学生の質の低下」や「当社の採用基準にマッチした学生が少なかったこと」といった意見も見られ、新卒学生の能力そのものに苦言を呈するようなケースもあった。

 また、売り手市場に代表される問題でもある「内定辞退」への対応策として、ディノス・セシールでは前年に比べて選考時の志望度の醸成や見極めを強化しており、内定辞退率が改善したという。
 
 19年度の新卒採用については、事業拡大を理由に多くの企業が18年度実績を上回る採用数を予定。ジャパネットホールディングスは100人、ドゥクラッセでは50人を計画。ベルーナでも事業の成長に合わせて前年比20人増を予定している。そのほか、社員の構成年齢に偏りがあるため、今後は若手採用を強化することで調整を図っていく企業もあった。

採用費が前年比50%増の企業も

 エントリー数は1000件以上と回答する企業が中心で、中でもジュピターショップチャンネルが約1万100件、ベルーナが約1万件となり、次いでオルビスが約7000件、ファンケルが約5000件となった。前年との件数比較では「増加」と「減少」の割合がほぼ同じとなった。

 採用告知に当たって活用した手段(複数回答)としては、自社サイトと大手就活サイトの「マイナビ」が同数で最も多く、次いで、合同説明会、「リクナビ」という順になった。そのほかにも、自社で単独に開催した説明会・イベントを通じての告知、インターンシップ(専用サイト経由を含む)を通じたものなどが見られた。

 採用コストの総額として、回答企業の中で最も高額だったのが約1200万円。「前年と同額」か「前年よりも増額」という企業が多く、「減額」は少数だった。中には50%以上増額している企業も見られた。

 選考過程での特徴的な取り組みでは、オルビスが丸一日に渡って実施するグループワーク選考があるほか、ファンケルが総合職の三次選考において役員と1対1の個人面接を3回(3人の役員と実施)行う。ドゥクラッセではアントレプレナー(起業家)枠の最終選考において、個別面接として直接代表への「夢のプレゼン」を行っている。ルクサでは選考ごとに人事担当者からフィードバックを行い、ステップが進むごとに志望理由や入社後のキャリアを明確にするなど、志望度が上がるような内容になっている。

採用活動期間は3~6月に集中

 採用活動の時期に関しては、前回の17年春入社向けの新卒採用活動と同様に、経団連の加盟企業を中心に従来よりも2カ月早い6月からの開始となっている。募集の告知開始時期は以前からの3月で変わりはない。

 今回も回答企業のほとんどが3月に募集告知を開始し、内定(内々定)を6月頃に出すというスケジュールで展開。中には内定時期を8月や9月に設定している企業や、募集告知を前年の秋から長期に渡って実施している企業もあった。



企業が見た学生の傾向

「福利厚生」「働き方」を重視


「買い手」市場の認識は皆無

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 今年春入社の新卒採用市場について企業が感じた印象を聞いた。本項目の質問に回答した19社の内、実に18社が「売り手(学生側が優位)」と回答。「買い手(企業側が優位)」と回答した企業は1社もなく、7割以上が「売り手」と回答した前回調査時(17年2月)よりもさらに学生にとって優位な状況に進んでいることが伺えた。

 「売り手」とした主な回答理由では「昨年同様、学生の持つ内々定の量・質ともに上がっているから」(千趣会)、「複数内定保有の学生が多く、辞退もあったため」(オルビス)、「前年同様、内定後に複数内定保持者の相談や辞退連絡を受けることが多かった。選考中、強い志望動機を持った学生が少なく、こちらが企業アピールすることがあった」(ファンケル)、「従来通りHPでの採用活動をメインに行い、従来と変わらないエントリー数であったものの、会社説明会への参加および選考に進む学生の数に多少差があった」(ユーグレナ)、「体感にはなるが、昨年よりも内定を持っていながら当社の選考に参加している学生が多かったように思う」(ロコンド)といった意見があった。

 なお、「売り手」以外の回答としては、「自社のみの感触では売り手・買い手の影響は軽微だったと分析している」(フェリシモ)という声があった。

労働環境を見る学生が増加傾向

 圧倒的な「売り手」と評された今回の採用市場の中で、学生側が企業を選ぶ上でどのような項目を重視していたのか。

 企業側が学生から感じ取った傾向としては、「ワークライフバランスへの意識が高い印象を持った」(アスクル)、「福利厚生の質問が増えた。やりがいよりも安定を重視している傾向にあると感じる」(ベルーナ)、「働きやすさや制度、福利厚生などの内容を例年以上に重視している学生が多く感じた」(ディノス・セシール)、「ワークライフバランスがとれているなどの『働きやすさ』を求めている傾向を感じた」(オークローンマーケティング)、「理念に共感、勤務地(転勤がない)、福利厚生、女性活躍企業、チャレンジできる、人がいいなど。前年までと比較して当社に入社を決めた理由に『転勤がない』ことをポイントにしている人が多かった」(ファンケル)、「安定志向。制度や働き方の質問を多く受けた」(ドゥクラッセ)、「成長できる環境であること。ある程度の安定性」(ルクサ)、「自分自身のキャリア形成、企業の成長性、仕事のやりがいを重視する一方、待遇面(福利厚生、給与)を気にする学生が増加している傾向があると感じた」(アンファー)との声が聞かれた。

 業務内容への興味や仕事そのものへのやりがいなどよりも、ワークライフバランスや福利厚生の充実といった、自身が働きやすい労働環境がきちんと整備されているかを重要視している学生が例年と比べて増えている傾向にあったようだ。

社風や若手の活躍などアピール

 こうした状況下において、求める学生を獲得することができた自社のアピールポイントについてもアンケートを実施した。

 最も多かったのが、「自由でオープンな社風・多様性のある職種と環境」(QVCジャパン)、「自社サービスを持つEC事業を行っていること。大手企業の連結子会社である安定した環境であること。成長を後押しできる社風・環境であること」(ルクサ)、「スポーツビジネス、働き方、発信しやすい社風」(ゴルフダイジェスト・オンライン)といったように企業理念やビジネスモデル、社風などに対しての共感。

 また、「若手のうちから、裁量の大きな責任のある仕事を任される点。経営層と近い距離で仕事が進められる点」(オルビス)、「若いうちから活躍できる(若手管理職実績あり)。少数精鋭」(アンファー)のように若手社員が活躍できる環境であることをアピールできたことが獲得につながったと見ているケースもあった。

 そのほかには、「新規事業や新たな商品とサービスの創出に携われる。栽培から生産、販売まで幅広い職種を経験できる」(キューサイ)といったように入社後の業務内容の魅力で訴求していったケースや、「ビッグデータやテクノロジーを活用した新たな取り組み」(アスクル)のように、今後の成長性を予感させるような先進的な戦略が支持された事例もある。




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