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楽天の「楽天市場」 スマホに適した商品ページへ、チャット試験導入し画像の扱いも変更

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 楽天がスマートフォンからの閲覧により適した商品ページへと変えるための施策を打ち出す。スマホ経由の注文が主流となり、楽天市場の象徴でもあった「画像を大量に使い、縦にスクロールさせる長大な商品ページ」による販促がやりにくくなったことが背景にある。同社では、チャットを試験的に導入し、ユーザーに情報を伝えやすくするほか、ガイドラインを設けて「商品画像に書き込むテキスト」の量を減らすよう店舗に要請する。



これまで、店舗とユーザー間のコミュニケーションは、メールでのやり取りが中心だった。しかし、最近ではコミュニケーションツールとして、メッセージアプリなどが普及。そもそもメールを見ないユーザーも増えているのが実情だ。また、スマホでは、パソコンで閲覧する場合に比べて、あまりに縦に長いページは見るのが面倒なため、ユーザーに敬遠されやすい。スマホ向けページで店舗が使える画像は以前より多くなったものの、ユーザーが画像を閲覧する際は横にスワイプするスタイルだ。

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 同社では、チャットツールの活用を昨年11月から試験的に開始している。狙いはどこにあるのか。野原彰人執行役員は「楽天のプラットフォームはこれまで、いかに商品をリッチに見せるかという点に心を砕いてきた。ロングページについても、商品の良さを3次元から2次元に落とし込んで表現するのが狙いだ。しかし、パソコン時代はそれで良かったものが、スマホ時代になってそうはいかなくなった。そこで、店舗が持っている情報をユーザーに渡すためのツールを当社が提供することによって、店がユーザーに伝えられる情報の量を豊かにしていきたい」と説明する。

 現在、約100店舗がチャットツールを使っている。商品ページにチャット画面が表示される仕組みで、ユーザーは商品に対する疑問や店舗に対する要望など、店舗とリアルタイムでやり取りすることができる。野原執行役員は「(導入することで)どんな使い方がされるのか、どんなインパクトがあるのかを調べている段階だ。夜間にチャット対応をしている店舗については、すでにユーザー満足度や流通額が上がっている」と成果を口にする。

 商品画像の扱いも大きく方針を転換する。楽天市場における商品ページで目に付くのは「商品画像へのテキスト書き込み」だ。画像に商品の特徴を入れるだけではなく、「送料無料」であることや価格を強調する画像も多くみられる。

 ただ、近年はユーザー動向に変化がみられる。テキストを書き込んだ画像と、何もないきれいな画像を比較した場合、ユーザーは圧倒的に後者を選ぶのだという。「これまで店舗に対して『いかにユーザーの目を引くか』という視点で『こうやると売れますよ』と教えてきたのだが、トレンドにあわなくなってきている」(野原執行役員)。

 そこで、商品画像に関するガイドラインを新たに設けた。まず、商品画像に書き込むテキスト要素は、画像面積のうち20%以下に抑えることを推奨する。さらに「黄色い枠で囲んで画像目立たせる」といった手法を使う店舗もあるが、これについても「枠線なし」を推奨。さらには、商品画像の背景に幾何学模様などを使わないことも推奨する。

 これは、ガイドラインに反した画像を使ったからといって、ペナルティーを与えるといったものではない。しかし、野原執行役員は「『10数年間言ってきたことと全く違うではないか』とお叱りを受けるかもしれないが、ユーザーの認識が大きく変わっているのが事実。インスタ映えという言葉も浸透したが、『この商品を買った』などと、そのままインスタグラムに投稿できるような画像にした方が売り上げは伸びる。ただ、食べ物などは画像にテキストを入れた方がいい場合もあるので、さまざまなテストを繰り返した結果、20%以下を推奨する形にした」と話す。同社では画像のテキストあり/なしで入念にA/Bテストを繰り返しており、コンバージョン率は後者の方が明確に高いという。

 なお、「商品の第1画像」(検索結果に出てくる商品画像)に対する推奨となっているため、商品ページ内で購入者レビューを紹介している画像など、その他の画像については、引き続きテキストを入れても問題はないという。

 2017年9月現在で、モバイル流通総額の比率が64%に達した楽天市場。特徴的だった「ユーザーの目を引く賑々しい画像」からの脱却を進めることで、スマホ時代にあった商品ページや顧客対応への転換を進めていく。

 また、同社のECカンパニーで展開する他のサービスとの連携をさらに強化する。「楽天会員IDや楽天スーパーポイントを共通プラットフォームに載せ、顧客基盤に横串を刺せる環境にすることで、より本質的なシナジー効果を生み出せるようになる。競合にはない価値提供が可能だ」(野原執行役員)。

 例えば、ビューティーサロン検索・予約サイト「楽天ビューティ」であれば、楽天市場のファッションや化粧品と組み合わせてプロモーションをするといったもの。「当社から付加価値を提供することで、例えば美容室の単価向上も期待できるのではないか。その準備段階として『楽天ペイ(実店舗決済)』の導入を進めている」(同)

導入進む楽天ペイ

 同社では昨年、出店店舗向けの電子掲示板「RON会議室」を刷新。楽天からメールで配信されたサポートニュースをウェブから確認できるようにしたほか、興味やジャンルが共通する店舗同士で集まって話し合うことができるよう、コミュニティー機能を追加。また、運営上の悩みや疑問点を解決するために、質問コーナーを設けている。そこで、店舗の意見を汲み取った上で新たに打ち出すのが「店舗にとってあまり望ましくないユーザーへの踏み込んだ対応」だ。

 これまでも同社ではこうしたユーザーへの対策に取り組んでおり、問題があるユーザーに対しては受注画面に警告が出る仕組みになっている。ただ、これは本当に一部のユーザーに限られていたことから、今後は一歩踏み込んだ対応を実施する。「例えば、受け取り拒否やキャンセルをあまりに頻繁に行うユーザーなどに対しては、当社から連絡するようにする」(野原執行役員)。データを活用することで、より商売してもらいやすい環境を整備する狙いだ。

 すでに、昨年末から対応を開始。野原執行役員は「RON会議室に書き込まれる店舗からの声を見て、もう一歩踏み込んだ対応が必要だと考えた。今後も楽天と店舗間のコミュニケーションの線を太くしていきたい」と話す。

 また、16年に導入することを公表している、店舗向け決済代行サービス「楽天ペイ(楽天市場決済)」については、既存店舗での導入が始まっており「18年中にはやりきりたい」(野原執行役員)考え。全店舗の決済手段を統一することで使いやすさを向上し、楽天市場全体の購入率向上につなげる狙いだ。

 昨年1月に導入を発表していた、出店店舗向けの後払い決済については、同様に18年中に導入する予定。楽天ペイは決済手数料が全決済手段の決済高に応じて利用料を計算する仕組みのため、後払い決済の場合はサービス提供会社にも手数料を支払う必要があった。楽天が提供する後払い決済を利用すれば「二重取り」が起きなくなる。

直販は型番中心に

 楽天では16年2月、20年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表しており、国内EC流通総額(楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベルのほか、オークションやチケット販売、ダウンロードなども含む)は5兆2000億円(16年12月期は3兆円)を見込んでいる。楽天市場単体での流通額は公表していないが「昨年度も引き続き力強く伸びた」(野原執行役員)という。

 こうした中で昨年12月、ビックカメラとの合弁会社設立を公表した。ビックカメラの運営している「ビックカメラ楽天市場店」を「楽天ビック」として刷新するもので、今後は事実上、楽天による家電直販となる。また、生活用品や日用品を販売する「爽快ドラッグ」や「ケンコーコム」など、通販サイトを運営する子会社・Rakuten Directの売り上げも大きく伸びている。

 野原執行役員は直販強化の狙いについて「直販は型番商品が中心となる。競合と比較して価格が負けていれば楽天市場にユーザーは来てくれないという事実がある。当社が型番商品の直販を手掛け、ポイントも付与することで次の購入につなげ、楽天市場にポイントを循環させることができれば、結果的に店舗はハッピーになるのではないか」と話す。



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「今年のテーマは『つなげる』」、楽天・店舗・ユーザーの関係性強化

野原彰人執行役員に聞く

 2018年における楽天市場の戦略について、野原彰人執行役員に聞いた。

 ――今年のテーマは。

 「『つなげる』ということだ。いろいろなサービスや組織をしっかりとつなげていくことに、よりフォーカスしていく。当社は場の提供者であり、店舗とユーザー両サイドがお客様だ。当社と店舗、当社とユーザー、店舗とユーザー、それぞれをつなぐ線をより太くしていく。これは終わりのない取り組みであり、より良い関係性を常に追い求めていく」

 ――具体的な取り組みは。

 「これまで、店舗とユーザーとのコミュニケーションはメールがベースだった。しかし、最近はメールを見ない人が増え、SNSなどのツールを使ったコミュニケーションが主流となっている。そこで、店舗とユーザーが直接コミュニケーションできるようにしていきたい。昨年末から、一部店舗の商品ページにチャットを試験導入している」

 ――出店者支援として、有名店舗が他の店舗を指導する「R―Nations(アールネーションズ)」や「Area―Nations(エリアネーションズ)」を展開している。

 「今年も引き続き行う。店舗同士のつながりを深める企画だ。楽天市場がスタートしてから20年が経過し、古参店舗の中には『自分の経験を新しい人たちに伝えたい』という意欲が生まれていて、それが企画の原動力となっている。指導した店舗からは『まるで中学校の部活動を思い出すような体験で、もっと頑張ろうという気持ちになった』という声を聞いている。この企画が店舗同士のつながりを活性化するフレームワークになっているのではないか」

 ――店舗向け決済代行サービス「楽天ペイ(楽天市場決済)」の導入は進んでいるのか。

 「例えば、高速道路を全面通行止めにするなら、工事は楽だろう。しかし、そうしないのであれば、片側3車線を2車線にして工事をしなければいけない。楽天ペイもこれと同じで、段階的に導入を進めざるを得ないため、少し時間はかかっている。ただ、2018年中にはやりきる方向性だ」

 ――急増する通販の荷物や再配達が社会問題になっている。

 「昨年末は荷物の『総量規制』があった。確かに昨年末に関しては仕方のない面もあるが、もっと違う合意点に達するように、お互いに知恵を出し合うフェーズに来ていると思う。業界の健全な発展のためには、宅配会社との連携をさらに深めなければいけない。再配達削減のためには、受け取れる場所の多様化や、例えば『置き配』のような受け取り方法の多様化など、一度で配達が完了できるような工夫が必要になる」

 ――楽天主導での物流体制強化は考えていないのか。

 「出店店舗の物流業務を請け負う『楽天スーパーロジスティクス』に関して、既存の倉庫強化や効率化は進めなければいけない。また、具体的な計画があるわけではないが、中長期的な視点からみた場合、物流ネットワークが現在のような状況で、これが店舗が成長する際のボトルネックになるのであれば、補完的なネットワークを自分たちで手がけるということも選択肢としてはある」



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