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生鮮品の通販、有力各社の戦略は 差別化のカギは"配送力"にあり、早朝配送・細かな時間指定などに対応

1-1.jpg アマゾンジャパンによる本格参入やセブン&アイ・ホールディングスがアスクルとタッグを組んで新たな事業を開始するなど、ここに来て目まぐるしい動きをみせる生鮮食品通販。強力なプレイヤーの参戦により、これまで以上にシェア争いが激化していきそう。無論、商品力や価格なども重要なポイントといえようが、もう1つ、競合他社との差別化のための重要な要素になるのが配送サービスだ。日常生活に深く根差した生鮮品という商材であるがゆえに他の商材よりも配送の利便性が当該サービスを選択するための決め手となり得る重要なポイントとなるためだ。注目すべき食品通販各社が展開する配送サービスについてみていく。

 セブン&アイ・ホールディングス(7&i)がまずは都内2区(新宿・文京)限定で11月28日からアスクルが運営する通販サイト「ロハコ」に出店する形で、必要な分だけの食材や調味料、レシピなどをセットにした「ミールキット」やカット野菜、レトルト食品、果物、鮮魚、精肉など、5000点の品ぞろえからスタートした生鮮品のネット販売「IYフレッシュ」の商品の配送はすべてアスクルが担っている。
 7&iではこれまでも傘下のイトーヨーカ堂が展開する「イトーヨーカドーのネットスーパー」で生鮮品のECを展開してきたが、各店舗から商品をピッキングして配送する仕組みが主流のため、ピーク時には車が足りなくなり、顧客が希望する時間帯に配送ができないなど販売機会の損失を起こすこともあり、思うように売り上げを伸ばせずにいたようで、「IYフレッシュ」では物流に強いアスクルと協業。アスクルは都内や大阪市内などの地域限定となるが、配送会社へ委託せず、物流子会社の配送員などが直接、顧客が指定した時間に配送する「ハッピー・オン・タイム」を展開しており、「IYフレッシュ」の商品も同仕組みを使って配送している。

 この「IYフレッシュ」が採用した配送「ハッピー・オン・タイム」とは顧客が商品購入時に午前6時~深夜12時まで1時間単位で配送時間を指定でき、かつ配送日の前日(当日配送の場合は当日昼)までに30分単位で配送時刻を「ロハコ」の専用アプリのプッシュ通知などで顧客に知らせ、また、配送10分前にも再度通知する仕組みで、同配送サービス導入後、商品配送時不在持ち帰り率(不在率)が一般的には約20%(国交省調べ)であるのに対し、同サービスでは2・5%まで低減するなどネット通販で1つの課題となっている「購入商品の受け取りのための"待つ時間"」を極力、減らすことができる利便性の高い配送サービスとして注目されている。

 「IYフレッシュ」では受注を受けた生鮮品を、イトーヨーカ堂が東京・荒川区内に構えるネットスーパー専用店舗「ネットスーパー西日暮里店」で受注データを基にピッキングし、梱包した商品をアスクルの配送員が取りに行き、保冷剤などを使いながら鮮度を保ちつつ、同時にアスクルの直販商品が注文された場合は、アスクルの物流センターから出荷された直販商品を都内にある配送デポで荷合わせし、一緒に配送する流れ。当日午後2時までの受注分は翌日9時~翌々日午後10時まで、当日午後2~11時までの受注分は翌日午後4時~翌々日午後10時まで、午前9時~午後10時の間で1時間単位で指定された時間に配送している。配送料は税込350円だが、1回の受注額が税込4500円を超える場合は配送料は徴収しない。

 なお、通常、「ロハコ」の出店者の商品はアスクルの直販分とは別のショッピングカートで決済や配送も別々となるが、「IYフレッシュ」ではアスクル直販分とショッピングカートを共有し、「ロハコ」の顧客が「IYフレッシュ」とアスクルの商品を一緒に注文できるようにしており、アスクル直販商品と注文額が合算できることで、"送料無料金額"を越えやすくしている。

 「ハッピー・オン・タイム」ではアスクル直販商品を配送する場合、午前9時までの受注分は当日配送に対応したり、早朝・深夜の時間指定対応、「置き配」や宅配ボックス配送なども行っているが、「IYフレッシュ」での配送ではこれらに現時点では対応していない。今後、サービスエリアを広げたり、売上規模が拡大してきた段階でこれらに「IYフレッシュ」でも対応していく可能性もありそうで"待たせない配送"の進化も注目されそうだ。

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配送料金の見直しで単価アップ

 らでぃっしゅぼーやは今年10月に、配送料金を見直して送料無料となる購入金額を引き下げた。これまで送料無料金額は8000円以上としていたが、5000円以上に引き下げた。送料の価格設定も従来の5段階から3段階に見直しシンプルな料金体系に変更した。定期購入する野菜セットに加えてカタログ注文を促すことで客単価の向上を目指した。スタートから2カ月で、客単価アップに少しずつ効果が出始めているようだ。

 10月の見直しでは送料無料金額を引き下げた。3年以上の継続利用者のうち、直近3カ月以内に3回以上購入する顧客の送料は無料とした。当初計画では、これにより送料無料で利用できる顧客数は20%増える見通しとなっていた。

 購入した商品と金額に応じて送料が変わる料金体系はわかりやすく刷新した。購入金額は3000円未満、3000円以上~5000円未満、5000円以上の3段階に分け、野菜セットと週刊カタログの注文分をあわせて購入金額5000円以上の顧客は送料が無料となるように変更した。

 これまでは8000円以上を送料無料とし、3000円未満から8000円まで5段階でそれぞれ送料を設定していた。わかりやすい料金体系に変更し、カタログ受注比率の拡大を目指す。客単価は3000~4000円の顧客の利用金額は5000円以上に引き上げる。

 もともと配送料金の見直しは、大手宅配業者各社の配送料金値上げの社会問題を受けて検討したもの。消費者の宅配に対する消費者の心理的負担が大きくなることを懸念していた。委託する配送業者とは成果報酬の仕組みを取っており、客単価アップは配送業者の収益向上にもつながる。配送料金の見直しに関する説明会では「委託する配送業者に寄り添った形となっている。競合他社と差別化したい」(国枝俊成社長)と説明していた。

 配送料金の値上げが課題になる中で送料見直したことは、新規客向けのアピールにもなる。資料請求など問い合わせのあった顧客への戸別訪問時に、送料を見直したことを説明し、他社との差別化につなげている。

 既存客からは週刊カタログの注文する顧客の割合が増えつつあるという。実際に顧客からは「お得になった」と評価する意見が1件寄せられたという。

早朝配送は 高い注文率に

 コープみらいは今期から、朝5時~7時までに配達する早朝配送をテストしている。もともと配送の効率化と、顧客サービスの充実を目指してスタートしたもの。東京と千葉の2エリアでそれぞれ1コースずつを展開し、300人が利用している。通常の配送と比べて注文率が高く、やめる顧客が少ないことから、満足度の高い試みとなっているようだ。

 早朝配送は東京・目黒と千葉・市川の2エリアで展開している。早朝の時間帯のためインターホンは押さずに留め置きをし、顧客自身で家の中に運び入れる仕組み。

 配送件数が限定していることや、騒音などを考慮して冷蔵品や冷凍品、常温品を1件ずつ仕分けた状態で配送する。通常は複数件分の冷蔵品や冷凍品、常温品をまとめてトラックに積み、現場で個人の注文データを見ながら、冷蔵品や冷凍品などを組み合わせていた。

 現状はテスト段階とし、早朝配送は大きく展開していないが、顧客からは継続を望む声があるという。出勤前に商品の受け取りができるほか、留め置き時間が短いため、品質面での安心感の醸成につながっているという。顧客の満足度の向上につながっているものの、今後の拡大は未定で、「物流体制の整備や人手不足の解消などの課題がある」(コープみらい)としている。

 一方で、配送の現場では効率化に寄与している。早朝の時間帯は交通量が少なく渋滞がないためスムーズに配達ができるという。また、顧客との対面や仕分けの手間をなくしたことが奏功し、配達1件あたりの滞在時間の短縮化に貢献しているようだ。

 スタッフの働き方の見直しにもつながっているようで、早朝出勤のシフトを作成して早朝配送に対応している。早朝から勤務したスタッフは午後には退勤できるため、スタッフからは「家族団らんの時間が過ごせる」「子どもと過ごす時間ができた」などの声も上がっているという。

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自社配送をテスト  

 オイシックスドット大地も、配送サービスのテストを開始している。これまで配送業者に委託していたが、顧客の利便性を高めることで、購入頻度の向上と会員数の拡大に期待できると予想する。今期から、顧客ニーズの把握や共同配送ルートの最適化などのテストをすすめており、18年度に本格展開したい考え。

 自社便での配送は、「オイシックス」で行う。顧客数が多いエリアを中心に専用トラックを稼働させているもよう。稼働する便数は限られているが、まずは自社配送の効果検証をすすめる。

 経営統合した大地を守る会の配送網を活用した施策も検討しているもよう。当初、「顧客の待ち時間の最短化につながるなど、両社で配送の問題解決を議論したい」(高島宏平社長)などとコメントしていた。すでに大地を守る会が稼働するトラックの一部に、オイシックスの商品を積載するなどの共同配送の取り組みも進めているようだ。配送方法の多様化を図り、他社との差別化を目指すようだ。


注目のアマゾンの生鮮品ECの現状は?

「利用者は順調な伸び」

 ECの王者、アマゾンジャパンが満を持して今年の4月21日からスタートした生鮮品販売サービス「Amazonフレッシュ」の動向は気になるところ。現状はどうなっているのか。

 同サービスは有料会員「アマゾンプライム会員」でさらに別途月額税込500円を徴収した東京、神奈川、千葉の一部の会員に対して生鮮品・食料品などを中心に直販または外部出店者の商品を販売・配送しているサービスで、配送は同社が同じく有料会員に限定して展開中のスピード配送サービス「プライムナウ」の配送網を活用し、顧客が注文時に指定した午前8時から深夜12時まで2時間刻みの時間帯で顧客宅まで指定の時間帯に配送するもの。ちなみに正午12時までの受注分までは午後4時の配送枠に間に合うため、最速4時間で配送で配送できる。

 月額費を徴収したり、有料会員限定など様々なネックはあるものの、やはり、「当日のお届けから可能な配送のスピードとお届けの正確さも、高く評価頂いている」(同社)という「プライムナウ」の即配網を活用した配送サービスは「朝8時~深夜12時まで2時間単位の配送枠で商品を届けているが、どの配送枠もまんべんなく利用頂いている。朝、外出前に商品を受け取りたい方や仕事帰りで帰宅が夜遅くになってしまう方など色々なお客様のニーズやシチュエーションにお応えできている」(同)と一定の評価を受けているようで「4月のサービス開始以降、利用者数は順調に伸びている」(同)という。

 品ぞろえもついては開始当初は食品・日用品含め10万点程度だったが顧客からの意見や要望を踏まえ、現在は17万点以上に拡大し、「品ぞろえの横幅だけではなく、多様なニーズに応えられるよう"深さ"も重視し、例えばバナナは約20種類、トマトは約30種類、鶏卵も約30種類、米は90種類以上(サイズ展開含む)を用意している」という。カスタマーセンターやカスタマーレビューを通じて、顧客から寄せられた意見を踏まえて導入した商品も多いようで、例えば「精米日当日入荷のあきたこまち」などは「精米日にこだわりのあるお客様が多くいることをふまえ、毎週金曜日に精米した米をその日のうちに入荷し、最短で当日20時~22時の配送枠で届けている」という。また、「届いたらすぐに食べられる商品も一緒に購入したい」とのニーズに応え、具材やドレッシングを混ぜるだけでサラダができるサラダキットや、温めてすぐに食べられるチルド総菜なども導入したという。さらに6月下旬からは米熱処理、濾過を行わず、醸造所から配送まで冷蔵で保管、輸送し、「できたての酒の生きた酵母のさわやかな香り、味をお楽しみいただける日本酒やクラフトビール」などの「チルドリカー」の取り扱いも開始したという。

 なお、現状の「Amazonフレッシュ」での売れ筋は「肉類では鶏もも肉や豚こま切れ肉、合い挽きミンチ肉など。野菜類ではキュウリ、玉ねぎ、人参など。そのほか、牛乳や卵など一般的なスーパーで購入される商品と同じような商品がよく売れている」(同社)とした上で「これらの売れ筋商品からはお客様が日常的な食料品の購入場所として利用いただいている様子が伺える。一方で幅広い品ぞろえのバナナや、高品質かつお求めやすい価格で提供を続けているアボカドなども人気で通常の売れ筋だけでなく、独自に注力する商品もますますお買い上げいただけるよう、提案力を高めていきたい」(同)としている。

 現在、利用者促進策として、2回目以降の買い物時にも利用できる500円OFFクーポンの付与や月末最後の金曜日の「プレミアムフライデー」の前日の木曜日中の注文分は10%引きになる「プレミアムフライデー前日祭」の実施、毎月9日と10日に10%OFFとする「トクの日キャンペーン」を実施しているほか、来年1月末までの期間限定で、1回の注文が税込4000円以上で配送料を無料とするキャンペーン(※通常は6000円以上)も実施するなどしているようだ。

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