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機能性表示「解禁」と「規制」 暗転する新市場⑤ 「SR」のリスク浮上、コモディティ化で差別化困難

6-1.jpg 「葛の花由来イソフラボン」を含む機能性表示食品(以下、葛の花)をめぐる今回の騒動で浮上したのが機能性表示食品制度における"システマティックレビュー(SR)"のリスクだ。

活用促すSR

 制度における機能性の評価は「最終製品を使った臨床試験」「SR」の二択がある。端的にいえば後者は製品ではなく、成分をめぐる学術論文の総体から機能を評価するもの。製品による臨床試験が必須のトクホにはなく、新制度で新たに導入されたものだ。

 6-2.jpg中小企業の場合、自ら論文の評価できる専門家を雇用していないケースが少なくない。臨床試験に向けた投資も簡単ではなく、原料やOEMメーカーの協力を得て行うこの手法は中小に制度活用の門戸を開いた。

 だが、今回の騒動拡大の背景にも「SR」により、活用企業が増えたことが一因としてあるとみられる。今回、消費者庁による「葛の花」に関する調査について、本紙掲載までに回答が得られた企業で「調査を受けていない」と明確に否定したのは6社(社告掲載企業を除く)。調査対象は十数社に及んでいるとされる。

誰かが「逸脱」


 「SR」により制度を活用する販売企業には、原料やOEMメーカーから一律に根拠資料が示され、サポートを受けて届出が行われる。「葛の花」も東洋新薬の独自原料であり、多くの企業にOEM供給されていた。広告は基本的に各販売企業の判断。表現の程度も異なる。

 だが、制度は、届出を行った表示に忠実であることが求められ、それ以外の表現は大幅に規制される。

 事業者からは「機能性関与成分は横並びで同じ。コモディティ化して差別化が難しい。企業努力できる余地が限られる」「差別化を『機能性』に求めた瞬間、商品がより医薬品的なものになり、それ以外の商品へのこだわりなど付加価値で差別化が図れない」といった声があがる。

 消費者庁からすれば管理は容易になるが、事業者は原材料へのこだわりなど差別化を図ることができる範囲が限られれば、結局、「表現」で競争せざるを得ない。"あそこがそう表現するなら"と競争がエスカレートする中で表示を逸脱する事業者が現れかねない。

 一方で表示問題が起これば芋づる式に騒動の拡大を招くリスクがある。大手から中小まで同様の商品で扱いが増えることで広告のバリエーションも増え、風評被害を受けるリスクも高まる。

企業に不満も

 機能性表示食品制度は届出件数こそ開始2年半でトクホの許可件数と同じ規模に達している。だが、現状で成功例はわずか。研究開発型の大手は臨床試験による機能性評価で製品を差別化し、他社優位性を発揮できるものの、制度活用に懐疑的な事業者も少なくない。

 ネットを中心に依然として「いわゆる健食」で効果に言及したような表示が氾濫する中、これら健食に対処せず、早くも始まった機能性表示食品に対する規制に「消費者に分かりやすく、という趣旨はわかるが中小が差別化を図るのは難しく、結局は大手のための制度でメリットがない」などと不満を持つ中小事業者もいる。

 今回、消費者庁は、「葛の花」の広告の「打消し表示」も問題視しているとみられるが、今年7月、消費者庁が行った「打消し表示」の実態調査に続き、9月5日には「打消し表示」をより見落としがちなスマートフォンに絞って消費者意識調査を行う方針も発表。調査の委託先の公募を始めている。



 制度の導入で企業は自己責任ながら、根拠を持てば"身体の部位"への訴求など一定レベルで機能を表示できるようになった。制度の運用改善を目的に消費者庁と業界団体の連絡会も定期的に開催。新制度は、これまで一切の機能性への言及を認められなかった健食に光をあてるものでもある。行政と業界で連携し、制度を消費者に信頼される制度にしていく必要がある。だが、「いわゆる健食」を差し置いた機能性表示食品の取締り強化は、ようやく認知を得はじめた市場を冷え込ませる可能性がある。   (おわり)

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