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【仮想モールの出店者支援】 流通額を底上げせよ 

1-1.jpg 仮想モールにとって出店者支援は重要課題。中期経営計画において、国内ECの成長再加速を掲げる楽天では、「楽天市場」において有名店が他店を指導する企画を開始、流通総額底上げを狙う。一方、BASEの「BASE」では、若年層の購入チャネルが、ウェブからアプリにシフトしていることを踏まえ、アプリコンテンツを拡充することで集客力を強化する。
楽天、有名店の"講座"で店舗のコミュニティー作る

 楽天では昨年、有名店舗が他の店舗をコンサルティングする企画「R―Nations(アールネーションズ)」を開始。5つの有名店が、月商100~300万円の店舗(1店舗につき5店舗ずつ)を1年間サポートするというもので、参加店舗の平均月商は前年度比50%増、月商1000万円を超える事例も出た。2期はさらに好調で、現時点での平均月商は同77%増となっている。

 これを踏まえて同社では今年、新たに「Area―Nations(エリアネーションズ)」を開始。Rネーションズが家庭教師型だったのに対し、こちらは塾形式。全国各地に設けた拠点で月1回勉強会を開催する。先生店舗は各拠点1~2店で、生徒店舗は10~30程度。無料で参加できるのが特徴だ。2月から北海道と福岡でスタートし、その後仙台、大阪、神戸、松山でも開講。年内には金沢、京都、岐阜でも開始する予定だ。両方とも、先生店舗は生徒の売り上げの伸び次第で一定の対価を得られる。

 なぜこういった取り組みを始めたのか。同社ECカンパニー店舗コミュニケーション推進課の渡辺浩一シニアマネージャーは「これまで店舗はECコンサルタント(ECC)と接する機会多かったわけだが、店舗が店舗に伝える知識や経験は、ECCが店舗に伝えられることは違ってくるはずと考えた」と話す。

 1期が終わって見えてきたのは「コミュニティーはとても重要」(渡辺氏)ということ。店舗同士のつながりがあれば、教えあったり、何でも言いあえたり、さらには悩みを共有できたりするからだ。そこに、経験と実績がある「先生」や楽天市場の詳細な情報を持つECCが加わることでコミュニティーがうまく稼働する。「生徒は売り上げが低迷している店舗が多いが、仲間がいることで『あの人も頑張っているんだから』と火がつく。もともと商売のノウハウはあるのに、他の業務で忙しかったりとネット販売に力を入れられない人が多いわけで、コミュニティーがあれば長期間モチベーションを保つことができる」(渡辺氏)。

 また、ECCとコンタクトが増える効果もあるという。出店店舗の中には、ECCを「広告を売るだけの役割」と考えている店があるのも事実だが「システムは日々改善しているので、ECCでないとキャッチアップしにくい情報は多い。セールのトレンド紹介やアクセス数増のための手法を聞くなど、うまく活用すれば必ず売り上げにつながることが分かってもらえた」(渡辺氏)。

 ただ、家庭教師型は参加できる店舗が限られる。そこで2年目からは、より多くの店舗が受講できるエリアネーションズを始めた。毎月1回の講座以外にも、フェイスブックや楽天の無料通信アプリ「バイバー」などを使って店舗同士がコミュニケーションを頻繁に取っているという。

 エリアネーションズに関しても、流通額増の成果は出始めているというが、開始時期や参加店舗数、エリア特性や商材も違うことから具体的な数字は公表していない。ただ、塾を開講する拠点については、来年度さらに拡大する計画で、事業の位置づけも必然的に高くなってくる。

 これらの取り組みは、モール全体の流通額底上げという面ではどう捉えるべきか。渡辺氏は「確実につながってくる。講座終了後に、店舗に自走してもらえれば売り上げはどんどん増える。店舗は横のつながりが大切だと実体験から学ぶので、他の店舗に対して『こうした方がいい』アドバイスしてくれるのでは」と期待する。例えば、第1期のRネーションズ参加店舗は、講座終了後も勉強会を開いており、現在も売り上げは好調という。

 同社では出店店舗向けの電子掲示板「RON会議室」を刷新、コミュニティー機能を付加した。Rネーションズやエリアネーションズに参加していない店舗にも、RON会議室でノウハウや知識が伝わることが期待される。渡辺氏は「コミュニティーの重要性を知った店舗が少しずつ増えることで、時間はかかるかもしれないがモールの底上げにつながるのではないか」と話す。


1-2.jpg参加4店舗が"本音"語る】
「"楽天に時間使う"から始めよ」

 札幌では1回目のエリアネーションズが終了、参加店舗(10店)から月商が倍増する店舗が出るなど成果を産んだ。先生の「リーダー店舗」である、北海道お土産探検隊(運営は山ト小笠原商店)の小笠原航氏、「マンハッタンストア」(同竹栄)の竹田尚弘氏、生徒の「チャレンジ店舗」から、月商倍増を達成した「北海道美食生活」(同いころ)の牛島正貴氏、同じく「オルゴリオジャパン」(同T&S)の児玉隆浩氏の4人に振り返ってもらった。



 ──小笠原さんは昨年のRネーションズでも指導経験があり、5店中4店で月商が倍増となりました。この企画にどんな感想をお持ちですか。
 
小笠原 「楽天と店舗の新しい店舗の形が始まりつつあると感じています。ECCは売り方を教えるのが中心ですが、店は売り方以外にも、物流や人材問題、お金のやりくりも含めて、総合的に話ができます。ECCと店のノウハウをうまく共有できれば、楽天としても強くなるのでは
 
──竹田さんは実際に指導していかがでしたか。
 
竹田 「北海道を盛り上げたい気持ちが強かったので引き受けました。悩みは店舗によって違うので、一筋縄では行かなかったというのが率直な感想です。ただ、皆さんのやる気がすごく感じられましたし、自分が教えられる面もありました
 
──多くの参加店舗は売り上げが伸び悩んでいたようですが、その原因をどう分析しましたか。
 
小笠原 「『楽天で売ること』に時間を使っていませんでした。まず作業時間や売り方を考える時間を捻出することが基本。ただ、雇われの人は時間が限られますし、決済権もないですから、不利な部分はあります。ある店舗は在庫があるのに卸との兼ね合いもあり、ネットには出せない状況でした。そこで、私が社長に会って交渉して在庫を出してもらいました
 
竹田 「何事も前向きに捉えて、何でもチャレンジすることも重要です。また、顧客を待っているのではなく、バナーをうまく使ったり、セールに参加したり、自分からアクションを起こすという基本ができていない店舗も多かった。RMS(店舗管理システム)の使い方が良く分かっていないケースもありました
 
──チャレンジ店舗のお二方は参加してみていかがでしたか。
 
牛島 「バナーに関して、単に企画ページにリンクするのではなく、『300円クーポン』『200円クーポン』と細分化し個別にリンクするというテクニックが参考になりました
 
児玉 「店のコンセプトがなく、何を売っているのか分からない状況で、『時間配分』については最初の面談で言われました。やはり結果を出している人に指摘されるのは大きいです。この半年は楽天に時間を注ぎ、言われたことをやることで結果もついてきましたね
 
牛島 「人と人とのつながりの重要さを認識しました。他店舗から学ぶことで目標が達成できました。また、ページ作成についても勉強になりましたね。単に商品を紹介するのではなく、作っている人の声をページに反映させることが使命だと考えるようになりました
 
児玉 「売るために自分が何をすべきかを学びました。RMSの使い方も分かりましたし、データを活用した販促手法も教えてもらいました
 
──2店舗が目標を達成できた理由をどう考えますか。
 
小笠原 「時間を使い、スピード感を持って施策を進めたことですね。仮に失敗してもすぐに次の手を打つということの積み重ねでしょう
 
竹田 「学ぶ姿勢があったことです。言われたことをすぐ実行し、それを情報発信していました



BASE、「本当に好きなもの」発信


 1-3.jpg無料で通販サイトが作れるサービス「BASE」を提供するBASEは8月、芸能事務所のアソビシステムと事業提携し、同社の所属タレントを起用して「BASE」に出店する40万店舗の商品をPRする取り組みを開始した。第1弾として、9月8日~10日に東京都世田谷区のイベントスペース「下北沢ゲージ」において、イベント「アソベイス」を共同開催した。

 BASEは近年モール機能を強化しており、利用店舗の商品を集めたスマートフォン向け買い物アプリの利用を促進している。鶴岡裕太代表取締役は提携の狙いについて「『BASE』の店舗は良いものを作っていても、あと一歩知名度が足りないケースが多く、これが課題と感じていた。点在する価値の種を世の中の人に知ってもらうために何かできないかと、中川社長に相談したのがきっかけ」と話す。一方、アソビシステムの中川悠介社長は「『BASE』のショップオーナーはクリエイティブな人が多く、新しいクリエイターの発掘に興味があった」と話す。

 6月にBASEが実施した「うつわ展」に、アソビシステム所属のタレントである柴田紗希さんが参加。「作家との交流を自発的にしていただき、作家にとっては宣伝になったし柴田さんはご自分の好きな器を見つけた。お互いに幸せになる関係性が一番良い。これが他のコンテンツとタレントにおいて、いろいろなパターンが生まれると面白い。『BASE』には何でも商品があるし、アソビシステム所属のタレントも趣味は多様なので」(鶴岡代表取締役)。

 ただ、タレントが宣伝に絡むと「嫌々引き受けているのではと」疑う向きも出てくる。これに対し、鶴岡代表取締役は「例えば、柴田さんのファンなら器が本当に好きなのか、言わされているのかは分かると思う。本当にいいと思った商品を宣伝してもらうという関係性は大事。無理に言わせるのは簡単に見破られると思う」と断言。SNSでタレントが常に情報発信する時代だけに、ファンも趣味を分かっている。単に「いい商品です」とつぶやいてもらうだけでは意味がないため、本当に好きになった商品を紹介してもらい、いずれは店舗とタレント間での商品の共同開発も視野に入れるという。

 モールの流通額底上げにはどこまで貢献するのか。鶴岡代表取締役は「今回は20店がイベントに参加したが、他の地域でも開催したい。商品の共同開発や取材型のコンテンツ発信などさまざまな取り組みで、なるべく多くのショップと触れ合い、『BASE』のコンテンツ力を高めたい。実店舗展開を希望する店舗も多いので、アソビシステムとできることはたくさんあると思う」と話す。


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