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機能性表示「解禁」と「規制」 暗転する新市場④ 2つのジレンマ、「打消し表示」と「中小活用」の弊害

「葛の花由来イソフラボン」を含む機能性表示食品(以下、葛の花)をめぐる消費者庁の調査の背景には、自らが抱える2つのジレンマがあるとみられる。「打消し表示」と「中小活用」の弊害だ。

「打消し」を問題視

 調査の背景には、これと前後して今年7月、消費者庁が公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」の存在があるとの見方が濃厚だ。

 報告書は、昨年10月末から約半年に渡り、1000人規模のウェブアンケート調査と、30~50歳代の消費者12人に対するグループインタビューを行った大規模なもの。広告でみられる「強調表示」の例外条件などを示すため「※」マークなどを用いて示される「打消し表示」の問題を指摘している。

 消費者の多くがこれら「打消し表示」を見ていないと指摘。たとえばダイエット食品では、「カロリーを気にせず食べられる!ガマンしなくていいって幸せ!」といった「体験談(強調表示)」を行った場合、「※個人の感想です。」といった「打消し表示」を行ったとしても多くの消費者が"効果が得られる"という認識を変えておらず、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあるとして商品の試験・調査結果と表示の適切な対応を求めている。

 適切な対応とは何か。ダイエット食品では、商品の使用にあたり「併用(食事療法や運動療法)」や「特定の条件(BMI25の数値が25以上)」がある場合、これを明確に表示することを求めている。体験談による誤認を避けるため、表示の根拠となる試験結果に基づき「被験者の数・属性」「体験談と同じような効果等が得られた者が占める割合」「体験談と同じような効果等が得られなかった者が占める割合」などを表示する必要性に触れている。

届出より試験条件

 「葛の花」にこれをあてはめてみる。

 「葛の花」は、2015年4月、東洋新薬が最初に届出。機能性の評価における試験条件は、「BMI25~30」の健常者を対象に「1日9000歩の運動」「2000カロリーの摂取」を課して行われている。これに基づき届出されたシステマティックレビュー(SR)の表示は、「体重、お腹の脂肪(内臓脂肪と皮下脂肪)、ウエスト周囲径を減らすのを助ける」という3機能へのアプローチと「肥満気味な方、体重(BMI)が気になる方、お腹の脂肪が気になる方、ウエスト周囲径が気になる方」という対象者の表示だ。

 調査を受けた企業の中には、「1日9000歩の運動」という試験条件を厳密に示すため「食事制限と適度な運動」といった特定条件の明確な表示を求められたところがある。対象者も「肥満気味な方」といった届出表示ではなく、臨床試験に基づく対象者を明確に示すよう指摘された企業もある。

 実際、ある企業の「葛の花」の現在の表示を見ると対象者は「BMI25~30の方に」などとなっている。複数の企業が受けた指摘は、「打消し表示に関する実態調査報告書」の解釈と一致する。

 ただ、こうした指摘には、「届出とはいえ(消費者庁で)届出手続きを行う『食品表示企画課』が受けた届出表示を表示監視を担う『表示対策課』が正す。庁内で認識は一致しているのか」「届出表示の対象者を書き、試験条件で詳細を触れているのに納得がいかないが"書くべきだ"と言われた」といった不満が聞かれる。

メーカーを注意

 もう一つ、消費者庁が抱えるジレンマが「中小活用」で生じた弊害だろう。機能性表示食品制度は、トクホのように最終製品による臨床試験を必要とせず、論文の総体から機能を評価できるSRを初めて導入した。これが、中小企業に制度活用のすそ野を広げた。実際、消費者庁もこれまで幾度となく中小の活用が進んでいることを制度の成果にあげていた。だが、このことが制度への理解が未熟な企業の制度活用を招いてもいる。

 「いわゆる健康食品」の場合、原料・OEMメーカーは商品を供給するだけでよかった。表示は販売側で責任を持つ。だが、新制度は「機能性評価の内容」と「表示」の整合性が重要になる。学術論文を読める専門家を抱えていない中小企業の場合、どういった表示が可能か、OEMや原料メーカーに頼らざるを得ない面がある。

 OEM、原料メーカー側の協力姿勢もさまざまだ。積極姿勢、消極姿勢に分かれる。ただ、営業資料の存在からも明らかなように、その中で積極的に販売企業をサポートする1社が東洋新薬だった。

 だが、制度の趣旨に対する理解が乏しい企業を含め、活用のすそ野が広がったことを受け、「販売企業が届出を逸脱しないよう、見極めをきちんとするよう消費者庁から注意された原料メーカーもある」(OEMメーカー)といった声も聞かれ、原料メーカーに対する要請を強めているとみられる。

 こうした状況下、「仮に東洋新薬にまで処分や指導が行われることになればインパクトが大きい。原料、OEMメーカーも責任の重さを再認識すると思う」(別のOEMメーカー)との声も聞かれる。消費者庁は、自らが抱えるジレンマの解消をどう図るのか。
(つづく)

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