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ベルーナ、若年層取り込み強化 ネット販売が拡大 「ゾゾ」意識し他社商品販売も

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ベルーナの2018年3月期連結業績は、売上高は前期比9・5%増の1600億円、営業利益は同19・5%増の130億円を見込む。同社では、前期からスタートした3カ年の経営企画において、19年3月期の売上高目標を1600億円、営業利益目標を160億円としていたが、売上高については1年前倒しで今期中に達成する見通しだ。前期は主力の総合通販事業も増収増益となるなど好調を維持する同社だが、その理由はどこにあるのか。

ネット販売が拡大する中で苦戦が続く総合通販企業。この5年間をみても、最大手のニッセンホールディングスは業績不振からセブン&アイ・ホールディングスの完全子会社となり、業態が縮小した。また、イマージュホールディングスはセシールに衣料品通販事業を譲渡し、残った化粧品事業(アイム)も第一三共ヘルスケアの子会社となった。そのセシールはディノスと合併。スクロールは個人向け衣料品通販事業から撤退した。

 多くの総合通販企業が変革を余儀なくされている中で、カタログ通販を中心に安定した事業を展開しているのがベルーナだ。同社は中高年女性が主要顧客だけに、カタログ通販の比率が高く、通販売上高のうち78%を占めているのが大きな特徴だが、5年前と比較すると連結売上高・連結営業利益ともに伸ばしている。カタログ通販が安定しているだけではなく、化粧品や健康食品を中心とした専門通販事業が売上高400億円を超え、さらには利益率の高いソリューション事業やファイナンス事業などを抱えているのも強みだ。

 同社の安野清社長は「カタログ通販市場で残存者利益を獲得したい」と常々語っている。大手カタログ通販企業が発行するカタログの部数は大きく減少。その中で同社は、主力とする中高年層を中心に、カタログ通販に対する需要はある程度残るとみており、他社の撤退で「空いたマーケット」を獲得したいという狙いだ。

 安野社長は「マーケットが縮小する以上に他社の売り上げは減っており、カタログ通販は競争がなくなってきた。ただ、マーケットが空いているのに、期待しているほどには顧客を獲得できていないのが実情だ」と明かす。

 とはいえ、同社の17年3月期における、主要カタログ(ミセス層向けのベルーナ、ルフラン、素敵な生活)の発行部数は約3600万部で、前期から5%増えている。安野社長は「顧客リストの収集が比較的うまくいっている。テレビや新聞広告、折込チラシ、インターネットから新規顧客が取れている。発行部数が増えるか減るかはリストの収集次第だ」と話す。17年度の総合通販事業における新規会員獲得数は、前期比22%増の83万人、2年以内に稼働した会員数も5%増の480万人となっている。

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 売上高も750億円まで戻し、目標としてきた同事業1000億円が見えてきた。さらには利益面では大きく伸びている(表参照)。安野社長は、カタログ通販が伸びている理由について「媒体費を削ったら売れないし、原価率を削ったら商品の魅力がなくなり、やはり売れなくなる。その微妙なバランスがコントロールできているからだ」と自信を見せる。

 近年はネット販売を強化しており、特に20~30代女性向け「リュリュ」や40代女性向け「ラナン」ではネット販売比率が高まっている。昨年度獲得した新規客のうち、全体の40~45%がネットから、次が折込チラシからとなる。

 「ネットは出遅れていたが、ようやく格好がついてきた。先行する企業が100点満点で80~90点とすると、当社は50~60点だろう。まだまだ伸びしろはあるので、2~3年で追いつきたい」(安野清社長)。ここでベンチマークする「先行する企業」とは「スタートトゥデイやクルーズ」(同)だという。総合通販企業では、ニッセンホールディングスなどがネット販売では先行してきたものの、「カタログの顧客をネットに移行させても意味がないので、彼らのような形は目指していない」(同)とにべもない。60~70代女性については、これまで通りカタログをメインとして商売をする一方で、ネット販売と親和性の高い20~40代女性はネットで集客し、総合通販事業全体の売り上げを底上げする。

 つまり、ネットから新規顧客を大量に獲得するのが事業拡大への近道ということになる。ただ、スタートトゥデイの「ゾゾタウン」やクルーズの「ショップリスト」は自社が開発した商品を販売するサイトではない。ベルーナのように、オリジナル商品を中心に扱う企業の通販サイトとは比較しにくいはずだ。

 安野社長は「ゾゾタウンやショップリストのように、他社の商品を販売することも選択肢に入っている」と話す。現在、「大きいサイズ」アパレルを扱うネット販売企業であるミン(昨年7月に買収)など、子会社の商品をテスト的に扱っており、結果によっては他社商品の販売にも踏み込むという。「ネットから新規顧客をたくさん獲得したいのはやまやまだが、自社の商品だけでは限界がある。ネットでうまくいっている企業の事例研究も行っているので、参考にしたい。物流やシステム関連でインフラがなければ踏み込めないので、現在構築している」(安野社長)。他社の商品を扱う場合でも、レスポンスのある商品は深掘りし、あまりない商品は無理に追わないという「自然体」で臨む。

 ただ、若年女性向けリュリュについては、17年3月期の売上高は8%減の74億4800万円で前期から減らしている。ネットを強化するには若年層の取り込みは必須のはずだ。安野社長は減収の理由について「テイストを広げすぎたのが原因だ。拾うべき顧客と捨ててもいい顧客を明確にしなければならない」と話す。今後はメインターゲットとサブターゲットについては、ライフスタイルを研究し、ターゲットに合った商品を提供していくという。商品力については、企画力のみならず、ベンダー開拓も含めて見直しを図る。具体的には「競馬でいえば20頭立てで8頭目を狙う。あまり流行を追わないが、おしゃれに興味がないわけではない、1・5流の層をイメージしている」(同)。

 ただ、そもそも「リュリュがあまり存在感を示せていない」(同)のが実情。そのためにも、テイストの絞り込みや商品力強化を進める。また、ブランド力向上や情報収集を目的に、若年層向けのアンテナショップ開設も考えているという。

 好調に売り上げを伸ばす同社だが、今期ネックとなりそうなのが運賃値上げ。連結では他の事業がカバーすることで営業増益を見込むものの、カタログ通販やネット販売の収益減は避けられない情勢だ。安野社長は「送料値上げのほか、売り上げ増やコスト削減でカバーしていきたい。値上げ可能な商品については価格を上げたり、SKU削減で在庫ロスも減らしたい」とし、コスト吸収への対応策は万全だと強調する。

 また、近年出店を進めるアパレル店舗については、今期は不採算店の閉鎖を行うことで、前期末の64店から54店まで減らす計画。安野社長は以前から「店舗とネット販売、さらにカタログ通販という3者のシナジー効果を発揮することで、広告宣伝の効率を上げて売り上げも伸ばしていきたい」としてきたが、店舗の成長にややブレーキがかかった形だ。

 ベルーナでは「今後の成長性をキープするため、中長期的に黒字にならない店はスクラップする」(同)としているが、全国に店舗を拡大するには早期の収益性確保が求められそうだ。


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安野社長に聞く「今後のネット戦略」①
「ネットから新規を大量に獲得」
先行企業に2~3年で追いつく

安野清社長(=写真)に今後の戦略などを聞いた。

総合通販各社がカタログ通販を縮小する中で、残存者利益を取りに行きたいとしていたが、想定通りになっているか。

 「マーケットが空いてきた割には取れてないように思う。マーケットが縮小する以上の速度で各社の売上高が減っており、その分を食えるのではないかと期待しているが、まだまだだ」

ただ、総合通販事業の売り上げは伸びており、カタログの発行部数も増やした。

 「リストの収集がうまくいっている。発行部数についてはリスト次第なので自然体。昔は折込チラシ経由ほぼ100%だったが、ネット経由も増えている。折込チラシの効率については、単価が下がった影響で悪くなっている」

新規顧客の獲得経路はネットが一番多いのか。

 「ネットの割合が一番大きくなっており、全体の40~45%。その次が折込チラシとなっている」

ネット販売の売上高も伸びている。

 「60~70代女性が中心だったので、無理にネット化する必要はなかった。ただ、ネットに取り組む以上、20~40代をターゲットにしないと意味がない。メインの顧客層についてはカタログメインでやっていく」

 「そういう訳で出遅れていたが、ようやく格好がついてきた。先行する企業を80~90点とすると、
当社は50~60点。伸びしろはあるので、先行する企業に2~3年で追いつきたい」

先行する企業のイメージは。

 「スタートトゥデイやクルーズ。他の総合通販企業のような形は目指していない。カタログの顧客をネットに流しても意味はなく、新規顧客を大量に獲得するのが大前提」

ただ、その2社の通販サイトは他社ブランドの商材を扱っているので、商売の形態が違う。

 「そういう形も選択肢の一つ。今のところ、テストで子会社の商品を販売しており、状況次第ではもう一段踏み込みたい。自社の商品だけでは限界がある。ネットで成功した企業の事例研究も行っているので参考にしたい。確かに、自社ブランドを扱う以上は在庫リスクがあるわけで、自社ブランドを売るのか他社ブランドを売るのかのバランスについては、最適解を求めるためにテストをしている」

なぜベルーナではカタログ通販が伸びているのか。

 「媒体費を削ったら売れないし、原価率を削ったら商品の魅力が落ちるので、そこの微妙なコントロールをどうするか。そのためにはリスト収集が重要だ。折込チラシやネット、新聞広告、無料カタログなどで新規顧客を取ってくる。ただ、基本となるのは商品力。これがないとリピーターが生まれない」

ネット販売が伸びる一方で、ネットが主力となる若年女性向け「リュリュ」は減収だ。

 「テイストを広げすぎたのが原因。これは『仮説・検証』を繰り返した弊害ではないかと思っている。来年の春カタログからは絞り込む。拾うべき顧客と捨ててもいい顧客を明確にして、メインターゲットとサブターゲットを明確にし、ライフスタイルも研究して合致したテイストの商品を提供する」
(つづく)



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