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ショップチャンネル 急成長の理由は? 売上、利益ともに2桁増に

 1-1.jpg通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)の前期(2017年3月)の業績は大幅な増収増益で着地した。毎年、成長を続けてきたショップチャンネルではあるが、近年はこれまで同社の成長をけん引してきた新規顧客の獲得に苦戦し、ここ数年の業績の伸長率は数%増程度にとどまっていた。ところが前期は一転、売上高、利益とも2桁増となり、高い伸びを見せた。ここにきての急成長の理由とは――。

 「やり方次第ではまだまだ伸ばせるということをお客様に教えて頂いた」──。JSCの前期の売上高は前年比11・1%増の1549億2300万円、営業利益は同11・0%増の269億6700万円、経常利益が同8・5%増の269億2000万円、当期純利益は同13・2%増の186億4200万円と近年にない大幅な成長をみせた。

 創業来、増収を維持し、テレビ通販最大手として君臨する同社だが、近年、成長率は鈍化傾向にあった。主因は新規顧客獲得の苦戦だ。さすがに年商1000億円を超えてくると、これまでの手法でリーチできる層にはすでにアプローチをしており、ウェブに活路を見出すものの、なかなか新規顧客の獲得が進まず、ついに前々期(2016年3月)には1年で1回以上、商品購入実績のある顧客であるアクティブカスタマーの数が、初めて減少に転じるという事態となっていた。

 ところがこうした状況から前期は一転。減少傾向だったアクティブカスタマー数は前年比1割増と大きく回復を見せ、無論、業績も前述した通り、ここ数年ない伸び率を見せるに至った。

 急成長の要因。それは前期に実施した「創業20周年」に伴う様々な商品開発や番組の企画、新たな販促策などこれまでにないチャレンジにあったようだ。

 商品や企画の面ではこれまで販売実績のないユニークな商品を紹介、販売する「開局20周年特番夢を買えたら」と題した記念企画を8月から10月まで毎月実施し、8月には新種のバラの命名権と石垣牛の頒布会を、9月には高級物件と往復の飛行機移動を専用プライベートジェットを用いるハワイ旅行を、10月には数億円の高級クルーザーと伊自動車メーカー「ランボルギーニ」のスーパーカー、希少なピンクダイヤモンドをそれぞれ番組で紹介、販売した。売り上げ面はもちろんだが、こうしたユニークな商品・企画で顧客の同社の番組に対する関心を高めた効果があったようだ。

 また、12月には24時間に渡って英家電メーカー「ダイソン」の主力の掃除機をはじめ、加湿器やファンヒーター、ヘアドライヤーなど同メーカーの人気商品を販売する特番を初めて放送したほか、11月1日には毎年恒例だが売れ筋商品や人気商品を特別価格で販売する年間最大の大型特番を実施。今回は20周年記念で「心おどる、大創業祭」と題して例年通り、売れ筋商品を通常よりも安価に販売したほか、購入者を対象としたプレゼント企画を実施するほか、昨年までにはなかった新たな試みとしてJSCで人気のアパレルブランドのお楽しみ袋(福袋)を当日放送の中で各所で紹介する企画などを実施するなどの試みを行った。

 こうした商品や番組の企画に合わせて、同社ではほぼ初めてとなる新聞広告やインフォマーシャルを出稿。訴求力の強い目玉商品を自社チャンネルにとどまらず、インフォマーシャルや新聞広告という形で"売り場"を広げることで新規顧客にリーチして、当該商品の売上拡大と特番の視聴促進につなげたい狙いからだ。

 例えば「大創業祭」に合わせて同日に特番で販売する掃除機および電気ファンヒーターの2商品を訴求する29分尺のインフォマーシャルを地上波24局、UHF局13局、BS局5局の合計42のテレビ局で放映。また、インフォマーシャルでも訴求した掃除機と電気ファンヒーターに加えて、加湿空気清浄機など合計4商品を特別価格で紹介するカラー15段広告を全国紙5紙(読売・朝日・毎日・産経・日経)に、カラー5段広告を地方紙28紙に出稿した。新聞広告ではこのほか、特番の目玉商品の1つである高級羽毛掛けふとんを訴求するカラー5段広告も別途、全国紙2紙(読売・朝日)に出稿した。

 こうした試みは12月の家電特番でも実施。特番で紹介する3商品を訴求する新聞広告を全国紙や地方紙の朝刊に出稿。加えて、地方局などで掃除機を訴求する29分尺のインフォマーシャルも放映した。こうした新聞広告は期中に合計13回、インフォマーシャルは4回、実施したという。

 このような20周年を意識した施策が予想以上に顧客に響いた結果、11月の「大創業祭」の売上高は28億7000万円(前年は14億円程度)と過去最高の日商を大きく更新。新規顧客を増やし、また、既存顧客の購入回数を押し上げ、アクティブカスタマー数を回復させ、業績を大きく伸ばすという結果に至ったようだ。

 今期は前期に効果的だった各種施策を踏襲。商品や番組の企画のほか、番組と連動した新聞広告やインフォマーシャルの展開も進める。すでに今期に入り、5回の新聞広告を出稿。そのうち、4月9日と6月4日はインフォマーシャルも同時に出稿しており、やはり順調に新規顧客を獲得し、売り上げも堅調に伸ばしているようだ。

 また、今期は、同社の株主であるジュピターテレコム(J:COM)などと集客面などで連携を強めていく考え。J:COMとは同社のケーブルテレビの加入者など300世帯に毎月送付している「ジェイコムマガジン」の裏表紙にJSCのクーポン券などを付けたりなどの試みを昨年11月からスタートさせているが、4月1日からはJ:COMの有料多チャンネルサービス「J:COM TV」の視聴世帯向け新たな通販専門チャンネル「ショップチャンネル プラス」をスタートしたほか、同社が近く販売を開始する加入者向けのセットトップボックスにJSCのチャンネルの専用ボタンを付ける試みなどを行うようでJSCの番組の視聴促進を図っていく。

 「今期は前期を一過性のフロッグではなく、ジャンプアップできた理由を考え、次に活かすための大事な年だ。お客様に教えていたヒントを皆で考えながら懸命にやっていく」(田中惠次社長)とし、前年を上回る業績を目指す考えだ。


1-2.jpg田中惠次社長に聞く
ショップチャンネルの現状と今後


 前期(2017年3月)は売上高、利益ともに2桁増と好調な成長を見せたジュピターショップチャンネル。同社を率いる田中惠次社長に前期の振り返りと今期以降の方向性などについて聞いた。



──前期は売上高、利益ともにここ数年ではなかった2桁成長で着した非常によい年だった。何が要因か。

 「前期は創業20周年の記念の年で様々な企画や新たな試みにチャレンジした。そのことが、お客様に支持頂けて結果として新規のお客様の数が増え、既存のお客様の購入回数も伸びた

──前期は積極的に新規顧客を獲得するための施策を展開するなどこれまでの年とは異なる"攻め"の姿勢が見えた。

 「『新規のお客様をとりに行くぞ』という攻めの姿勢というよりはせっかく20周年の記念で感謝の気持ちを込めて考えた様々な企画やお得な商品をそろえるなどしているので、なるべくたくさんの皆様に知って頂きたいという思いで新聞広告やインフォマーシャルを行った。もちろん、新しいお客様の獲得も狙っていたことには違いないが、当初はここまでいくとは思っていなかった。本当に攻めの姿勢だったとすれば、初めから予算目標はもっと高めに設定していたはずだが、そこまでではなかった。『感謝の気持ち』でやった結果が、お客様から思いのほか評価をされたという方が正しいのではないか

──結果的に最も新客獲得に効果があった施策は何か。
 
 「新客獲得策としては新聞広告やインフォマーシャル、(筆頭株主であるケーブルテレビ大手の)J:COMが加入者に毎月送る会報誌や(株主の)KDDIの『au』利用者が閲覧するポータルサイトでの告知など様々、主に特別編成で放送するイベント時などのタイミングに合わせて実施している。そのため、複合的に効いているわけでどれか1つとは言い切れない
 
──本格的な新聞広告の出稿は初めてだ。また、インフォマーシャルも過去にテスト的に行ったことはあったが、大規模に行うのは初めてだった。やはり、新規顧客の獲得という点ではこのあたりの施策が大きく貢献したのではないか。

 「複合的な要因のため、何とも言えないが、それもそうだろうとは思う。前期の実績で言えば、新聞広告やインフォマーシャルでは『ダイソン』など当社で売れ筋の自信を持っている強い商品であり、それをその日限りの特別な価格や特別なセット組みにして紙面上や映像で紹介、販売したが、こうした商品は世の中で知られていることもあり、テレビ通販の利用に抵抗のある方や当社で初めて商品を購入されるお客様にとって、『購入のハードル』を下げたのではないか。また、11月1日の(年間最大の大型特番である)『心おどる、大創業祭』など特別編成番組に合わせて基本的には出稿しているため、(JSCの専門チャンネルである)『ショップチャンネル』を見て頂けるきっかけになり、視聴を促せたことがもっとも大きいだろう

──既存客の購入回数も増えた。
 
 「そうだ。ダイレクトメールやメールマガジンを送り方を含めてより高度化して適切な相手に適切なタイミングで訴求して継続的に買い物を頂けるアプローチを行ったこともあるが、やはり、20周年ということで考えた特別感のあるショー(番組)の内容がよく、これまで以上に番組を見て頂けたことがよかったのではないか。視聴時間と購買は相関関係にあるわけで、番組の面白さが購入頻度アップにつながったことは間違いない
 
──前期は創業20周年の特別企画としてこれまで販売実績のないユニークな商品を紹介、販売する「開局20周年特番 夢を買えたら」と題した記念企画を8月から10月まで毎月放送し、「新種のバラの命名権」や「高級物件」「往復の飛行機移動に専用プライベートジェットを用いるハワイ旅行」、「高級クルーザー」「ランボルギーニ」など販売する試みを行った。また、初めての試みとして24時間、「ダイソン」の商品のみを紹介する特番なども行ったがこうした番組が既存顧客の視聴時間の増加につながったということか。

 「そうだろう。ショップチャンネルを見慣れている方にとっても特別感があり、面白いと思って頂けたのではないか。特に『夢を買えたら』で言えば、もちろん、売れた商品もたくさんあったが、売れ行きよりも『夢を売る』という部分を重視した企画であり、それによる特別感がかなり出せたと思う。これによって、視聴時間が増えて他の通常の番組についても売り上げが伸ばせたのではないか

──新規顧客獲得や既存顧客の購入回数増加はどの程度の効果が具体的にあったのか。
 
 「新規顧客や購入回数の実数は重要KPIであるため開示できないが、当社では1年で1回以上、商品を購入された人、いわゆるアクティブカスタマーの数を重要な指標の1つとして見ているが、これが前年比で10%程度、増えた
 
──創業20周年であった前期はある意味で特殊な年であり、それゆえ、様々な試みを行え、業績が大幅に伸びた側面もあったと思う。
 
 「創業20周年のために行った商品開発や番組企画、新聞やインフォマーシャル、ウェブなどによるお客様との新しい接点作りなどの様々な施策を通して、感謝の気持ちを伝えたことで新規のお客様の数や既存のお客様の購入頻度が増えるということが分かった。『こんなことをやったらお客様に喜んで頂けるんだ』というこれまで模索してきた今後の方向性のヒントをお客様に教えて頂いた。これを今期もいかしていきたい
 
──今期も20周年で実施した施策を継続していくということか。
 
 「そうだ。我々からお客様への『感謝の気持ち』が支持を頂いた。では、その努力をもっと続けようと。同様の取り組みを続けようと思う。もちろん、今期は20周年の時のように特別なことはできないが、"20周年並みの努力"をしようと社員皆、思っている
 
──前期は新聞広告の企画は13、インフォマーシャルは4企画だったが、今期もそれに匹敵するくらいやっていくのか。
 
 「そうだ。すでに始めている。例えば5月に『夏いち!大感謝祭』という大型特番を行ったが合わせて、当日、販売するダイソンの扇風機を紹介した大手新聞3紙で15段広告を出稿した。また、7月2日にも24時間、家電のみを販売する企画に合わせて、同じく当日販売するエアコンや掃除機など数商品を掲載した新聞広告を大手新聞7紙に30段で出稿した。また、インフォマーシャルもすでに4月と6月の2回、行っている。新規顧客も増えており、結果も上々だ
 
──商品企画や番組作りに関しては。
 
 「例えば5月の『夏いち!』では(特におすすめ商品を紹介する特別な枠である)『SSV』に初めて登場した人ばかりを集めた企画をやってみたが、非常に面白い企画だった。お客様にとってもすごく新鮮でわくわくして頂けたと思う
 
──今期の業績目標は。
 
 「前期は一気にジャンプアップできた年だったが、これを特別な年と考えて、今期は前々期並みに戻るのか。またはジャンプアップできたヒントをきちんと踏襲し、一時的な業績ではなく、それを起点に"変われた年"とできるか。当然、後者にすることが私の仕事だ。ちなみに今期に入ってから4~6月は非常に好調にきている。前期は『大創業祭』に向けて9~11月の売り上げの伸びは非常に高く前年をクリアできるか現時点では分からないが、学んだことをしっかり今期も行い、前年実績を超えて、増収増益を目指す

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