Home > 特集企画 > ライザップ SPAで衣料品拡大、「イケてる服」で不振企業立て直し

ライザップ SPAで衣料品拡大、「イケてる服」で不振企業立て直し

 1-1.jpgRIZAPグループがアパレル事業を強化している。今年に入ってからも、2月にジーンズメイトを買収したほか、5月には堀田丸正の子会社化を発表。いずれも業績不振が続くアパレル企業だ。ダイエットクッキーや美顔器のネット販売からスタートした同社だが、現在の主力事業はトレーニングジム。そのRIZAPグループが、市場の縮小が止まらないアパレル産業になぜ参入したのか。RIZAPグループのアパレル戦略を探った。
 
 RIZAPグループ(以下、ライザップ)では、2012年のエンジェリーベ買収を皮切りに、今年5月に子会社化することを発表した堀田丸正も含めると、7つのアパレル関連企業を買収している(表のうち、マルコのみ美容・健康関連事業に入るため除外)。

 特徴的なのは「業績不振の企業ばかり」という点だ。例えば、マタニティーウエア通販のエンジェリーベは、ピーク時の売上高は60億円を超えていたものの、買収時の売上高は36億円まで低下。さらに営業赤字となっていた。ジーンズメイトは、サブプライムローン問題に端を発する世界金融危機以降、業績が低迷。00年2月期には247億円あった売上高も、直近の17年2月期は92億円まで低下、最終損益は17年2月期まで9期連続の赤字となっている。昨年9月から他社との資本業務提携を検討していたところに、ライザップが手を挙げた形となる。

 最近は上場企業を相次いで買収しているが、夢展望、マルコ、ジーンズメイト、堀田丸正はライザップが第三者割当増資を引き受けての子会社化。つまり、資金繰りに窮する企業に対して出資、助け舟を出す形で子会社としたわけだ。

 ライザップは、ダイエットクッキー「豆乳クッキーダイエット」のネット販売からスタートした会社。現在はトレーニングジム「ライザップ」が主力事業となっており、業績不振のアパレル企業を買収するメリットは一見するとないように思える。しかし、これらの企業は早くも立て直しの兆しが見えている。

 エンジェリーベでは、2014年にスタイライフ創業者である岩本眞二氏が入社。マタニティーカタログを廃止してネット販売に専念するという経営方針の転換を行い、16年3月期には通期で営業黒字となった。

 1-2.jpg夢展望は、売り上げの不振を背景にした在庫超過と円安による原価率の高騰が重なり、上場からわずか1年半で債務超過の危機に陥り、ライザップの出資を受けて子会社に。その後も業績は上向かなかったが、17年3月期は下期に2500万円の営業黒字となるなど、ようやく改善してきた。自社通販サイトは3月度に前年同月比37・1%増となり、48カ月ぶりに前年同月比100%超を達成。仮想モールでの販売も好調で「楽天市場」はピーク時の月間売上高が同87・5%増となったほか、「ショップリスト」は同7・5倍の伸び率に。売り場ごとの顧客属性に合わせた商品展開が奏功したようだ。

 昨年12月には、タカキューやジーンズメイトに在籍した経験のある濱中眞紀夫氏が社長に就任。仮想モールなどの販路ごとの顧客属性にあわせて商品構成を変え、売れ筋を積み上げる施策を進めることで、通期でも黒字化する見通しだ。

 実店舗が主力のアパレル子会社では、昨年7月に子会社化した補正下着のマルコは、不採算店の統廃合などコスト減を進めたことで原価率と販管費率が大幅に改善、3期ぶりに営業黒字に。今後はライザップとの新商品・サービスの共同開発や相互送客を展開することで大幅増益を狙う。

 1-3.jpgジーンズメイトでは現在、既存店舗の改装や商品見直し、スタッフの接客スキル向上などに取り組んでいる。今期は店舗ブランドの「ジーンズメイト」への集約を進めるほか、オリジナル商品の再開発などMD強化も行う方針で、営業黒字への転換を目指す。

 また、人材面では、エンジェリーベとマルコの社長を務める岩本氏、夢展望社長の濱中氏以外にも、ファーストリテイリングで執行役員CIOを務めた岡田章二氏、同じくファーストリテイリング出身で、ソルトレイクシティー五輪とアテネ五輪で日本選手団公式ユニフォームの開発責任者を務めた宇山敦氏などが相次いで入社している。

 「さまざまな人材を採用することで、多種多様な文化を導入している。自分に自信がある分野もあれば自信のない分野もあるので、自信のない分野は任せている。彼らの良さをどこまで引き出せるかが腕の見せどころ」(瀬戸健社長)。

 業績がふるわないアパレル企業を買い、アパレル企業で実績のある人物を続々と入社させるライザップ。その狙いはどこにあるのか。

 ヒントは5月に子会社化することを発表した堀田丸正にありそうだ。ライザップは、卸売・素材メーカーとしての強みがあり、海外生産・販売実績を持つ堀田丸正を、グループのアパレル事業の中核企業と位置付ける。その上で、SPA(製造小売り)としてのビジネスモデルを強化。消費者のニーズに対応した商品力の向上、プライベートブランド(PB)商品の開発力強化、スケールメリットを活かした共同調達によるコスト競争力向上などを推進。和装・子供服分野を中心とした商品ラインアップの拡大により、グループ全体としての顧客力の提案力の向上、収益機会の拡大を想定するとしている。

 これまでアパレルの小売企業を買いあさってきたライザップだが、素材メーカーや卸売企業を買うのは初めてだ。ライザップの瀬戸健社長は「クッキーから始まり、ジャパンギャルズの美顔器にしても自社開発商品。アパレルでも自社開発に力を入れるのは当然の流れ。他の商材やサービスと同様に、『きれいになりたい』『認められたい』という要望を満たすための商材として、服も売っていきたい」と説明する。

 とはいえ、SPAに乗り出す以上はスケールメリットを出す必要がある。17年3月期のアパレル事業売上高は130億4200万円とまだまだ小規模。加えて、子会社のアパレル企業は対象とする年齢層も商品テイストも多様だ。若年女性から中高年層の女性、さらには男性まで、トレーニングジムに通う顧客を幅広くカバーしているのは確かだが、商品開発も多様性が求められる。

 「ジーンズメイトの業績が悪化したのは、結局のところオリジナリティー、差別化ができる商品が少なかったから。着ていると他人から羨ましがられるような服を販売することが重要。『ライザップ』にしても、これまでのパーソナルトレーニングジムとは違い、客が本当に求めているものを提供できたからこそ急成長できた」(瀬戸社長)。PB商品の開発という点では、ファーストリテイリングで実績のある宇山氏の役割が大きくなりそうだ。

 ただ、他社で実績を挙げたからといって、ライザップでも同様に成功できるかどうかは未知数。特に夢展望・マルコ・ジーンズメイトの各社は、いずれもコスト削減やリブランディングなどで赤字からの脱却を図っている段階。手始めにマルコにおいて、「ライザップ」のボディメイクに関するノウハウと、「ライザップ」ブランドを活用した商品・サービスの開発、さらにはグループ各社とマルコ間での相互送客を進める。マルコの補正下着は、トレーニングジムで体型が変わった女性客に対し、アピールしやすい商材といえる。

 「SPAはあくまで手段であり、目的ではない」と話す瀬戸社長。今後、アパレル事業の売り上げを右肩上がりで拡大できるかどうかは、瀬戸社長のいう「イケてる商品」を矢継ぎ早に投入し、消費者の需要を喚起できるかがカギになりそうだ。



1-4.jpg瀬戸健社長に聞く
アパレル強化の狙いは


 瀬戸社長にアパレル事業の戦略を聞いた。

──アパレル事業に進出したのは2012年。その頃からSPAをやりたいと考えていたのか。
 
 「そうです。『豆乳クッキーダイエット』は当初は私の実家のパン屋で作っていたし、美顔器はジャパンギャルズをグループ化して始めたものです。特にクッキーは原料集めから宣伝までゼロから手がけたので、自社での製造を考えて事業に乗り出すのは、ある意味で必然といえます
 
──買収したアパレル企業は対象となる年齢層などが幅広い。意図は。
 
 「グループ化する際には、その会社の事業ドメインと強みを把握することが重要だと思っています。ジャパンギャルズ子会社化の際、当時の主力商品であるクッキーと関係ない企業をなぜ買うのかとの意見もありましたが、お客様はクッキーが欲しいのではなく、痩せたりきれいになったりするのが目的で購入しています。美顔器も『きれいになりたい』『認められたい』という目的を達成するために使うもの。私は自分の価値を実感できる、人生に意味を見いだせる商品やサービスを扱いたいと思っています
 
──アパレルは市場が縮小している。大量生産が前提となるSPAにはリスクもあるのでは。
 
 「SPAが目的化してはいけないと思っています。例えば、他社のプライベートブランド商品でも、お客様にとって『買いたいブランド』と『あまり買いたくないブランド』があるはず。重要なのはお客様が欲しい商品があるかどうかであり、それを作れるのであれば内製化するべきです。そうでないのなら仕入れるわけですが、無理やり内製化すると訳が分からなくなる危険性があります。SPAは難しい部分もありますが、コントロールできれば競争力が生まれるはずです
 
──業績不振の会社を買うのは、MD改善で立て直せるとの判断か。
 
 「お客様が必要としている商品を提供できていないということを認識することが大事です。『ライザップ』にしても、以前にもパーソナルトレーニングジムは存在しましたが、市場は広がりませんでした。それは、お客様が求めているのがトレーニングだと勘違いしていて、『痩せたい』『きれいになりたい』というニーズを読み取れていなかったからだと思います
 
 「ジーンズメイトが不調に陥った理由は明確で、これまでのジーンズメイトの商品では自分の価値を高めてくれたり、服を着ることで他人から憧れてもらえたりするまでには十分でなかったからです。つまり、『イケてる服』を作らないといけない。そういった観点から、高品質な商品とは何かを再定義する必要があります。そのためにデザイナーなどとの連携を進めていますし、ファーストリテイリングで活躍した宇山敦も在籍しています
 
──昨年には伊藤忠商事とライセンス契約を結び、「ライザップ」ブランドのスポーツウエアなどを販売している。
 
 「非常に好調です。今後も一般向け、会員向け問わず販売していく予定です。衣料品以外でもファミリーマートでのコラボレーション商品は非常に好調ですし、ライザップブランドのアパレルも百貨店などで販売していく予定です
 
──もっと大規模な買収は考えているか。
 
 「知見は貯まっているので、十分あり得ます
 
──子会社商品のライザップ会員へのクロスセルは進んでいるのか。
 
 「それを目的とはしてはいません。まずイケてる商品を作るのが先ですし、マルコにしても店舗のサービスレベルをもっと上げていきたい
 
──化粧品や健康食品を中心とした通販事業のグループでの役割は。
 
 「通販はアウトソースする部分が減りますので、広告宣伝にコストをかけられるのが強みになります。通販で得たノウハウは他の事業に活かすことができます。例えば、エンジェリーベではインフォマーシャルを始めましたが、これまで通販で得たノウハウを活かすことができます。そのため、もう一度通販を強化したいと思っています

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/3885
Listed below are links to weblogs that reference
ライザップ SPAで衣料品拡大、「イケてる服」で不振企業立て直し from 通販新聞

Home > 特集企画 > ライザップ SPAで衣料品拡大、「イケてる服」で不振企業立て直し

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ