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アスクル 「ロハコ」復活に向け始動、〝手作業〟から再起、成長軌道へ

101.jpg 2月16日に発生し、その後、鎮火までに13日間を要し、施設の大半を燃やし尽くしたアスクルの大型物流拠点の大規模火災。焼失した拠点は近年、急成長をみせている同社の個人向け日用品通販サイト「ロハコ」の東日本エリアの物流を担うメイン拠点だったことから、当該エリアでは取扱商品の制限や欠品、出荷遅延が発生し、受注時間を制限せざる得なくなるなどで火災前には破竹の勢いで売り上げを拡大し続けていた「ロハコ」の成長に暗い影を落としていた。火災発生から4カ月。新たな物流拠点を軸に着実に「ロハコ」は"復活"の道を歩み始めているようだ。

102.jpg 「今はほとんど"手作業"。『10年前に戻ったみたい』と皆、言っている(笑)」。アスクルは4月20日から、埼玉・日高市内に新物流拠点「アスクルバリューセンター(AVC)日高」を稼働させた。「ロハコ」における東日本エリアの配送の主力を担ってきた埼玉・三芳町の「アスクルロジパーク(ALP)首都圏」の火災で落ち込んだ「ロハコ」の出荷能力を取り戻すべく、「ロハコ」専用の東日本エリアの基幹センターとして開設したものだ。

 この「AVC日高」だが、最新鋭の設備を導入し、高度に自動化された近103.jpg年のアスクルの物流拠点とは現時点では真逆といえるセンターとなっている。施設は1、2、3階部分を借り受けているが、6月中旬現在、2、3階は設備導入待ちで一部在庫を保管しているだけにとどまり、実作業はほぼ1階部分のみで行っている。現時点ではマテハン機器はほとんど導入されておらず、出荷からピッキング、検品、梱包、出荷までほぼ庫内作業員による手作業だ。

 アスクルの他の物流拠点では送り状などを一緒に入れた折畳みコンテナ(オリコン)がコンベアに乗って、必104.jpg要な商品が在庫されているピッキング棚の前に流れ、作業員は必要な商品を取りつつ、当該商品のバーコードをハンディースキャナー等で読み取り、検品も同時に行いながらオリコンに入れていく。ピッキングが完了したオリコンは自動梱包機などで梱包され、梱包された商品は大型ソーターで自動的に方面別仕分けが行われるという極力、人手を介さないオートメーション化を進めている。

 一方、「AVC日高」での庫内作業は人力がメインで現場は多くの人が歩き回り、活気に満ちている。作業員は1客ごとの注文商品を入れるオリコンを複数、乗せたキャスター付きのカートを引いて、1階奥に並ぶピッキング棚からそれぞれのピッキングリストを見ながら、必要な商品をピッキングする。ピッキング作業を終えたオリコンは検品エリアに持ち込まれ、ピッキングリストと商品を照らし合わせて検品を行い、その後、送り状が発行され、梱包エリアに送られ、人の手で段ボールに梱包され、出荷準備が整った荷物は出荷先の方面別に人の手でカゴ車に乗せて仕分けし、運送会社に引き渡す流れとなっている。

105.jpg 来年1月末に予定する10万SKUの商品を在庫し、様々なマテハン設備などを導入し終えた"完成形"に向けて段階的に設備投資を行っていくため、現時点の同拠点は言ってみれば「作りかけ」の状態と言える。しかし、それでも1日の出荷量は6月中旬現在で行数ベースで1万まで伸びている。現状、「ロハコ」の東日本エリアの配送はこの「AVC日高」と横浜にある既存拠点「アスクルロジパーク横浜」でまかなっているが、すでに横浜の拠点の出荷行数の半分まで「AVC日高」が達しているようで、手作業ながら一定の役割をすでに担っているという。

 その理由の1つが「AVC日高」が初めて法人向けオフィス用品通販との兼用ではなく「ロハコ」専用のセンターとして立ち上げた点にある。今後、様々な試みを施していくようだが、現時点でもピッキング棚に置く商品の配置を工夫している。同社の従来の物流拠点の場合、商品は受注頻度別に集めて配置されるが、同拠点では同一カテゴリーごとに配置されている。同社によると例えば、カップ麺の場合、醤油らーめんと一緒に味噌らーめんを併売する割合が高いようだが、こうしたBtoC通販で顕著な同一カテゴリー商品の併売傾向を考慮して当該商品を近くに置くことで極力、作業員の歩く時間を減らしピッキングのコストを圧縮していく考え。商品の配置の工夫は現状のほぼ人手による作業でも一定の効果を上げている模様で今後、マテハン設備を本格導入したのちにはより効果を高めていくことは間違いなさそうだ。

 「AVC日高」は今後、段階的に"変化"していくようだ。作業はほぼ人力で商品在庫数は約6000SKUである現在から、まず6月末までに1階にローラーコンベアと自動梱包機、そして「GAS」と呼ばれる仕分けソーターを導入する。これを機にこれまで1受注につき1つの箱にまとめて行っていたピッキング方式を一部変更。受注単位でなく商品単位でピッキングする方式を取り入れる考え。例えば「洗剤A」を複数の受注分をまとめてピッキングし、それをコンベアで「GAS」まで運び、そこでまとめて各受注のオリコンに入れ込むもの。必要な商品の棚をすべて回ってピッキングする現行の形式よりも効率が高まる可能性が高いようで出荷行数も大きく伸びる見込み。さらに7、8月をメドにピッキングエリアを2階に移し、1階を方面別仕分けおよび出荷の場所とし、9月末には3階部分が本稼働し、1、2階からピッキングした商品を3階に導入する自動梱包機や方面仕分け用ソーター、「GAS」を使って出荷するという。この段階で焼失した旧拠点が補修していた商品数である5万SKUに近い在庫商品数を保有する計画だ。さらに来年1月には自動倉庫なども導入し、1日10万行数の出荷能力を有する完成形の「AVC日高」としたい考えだ。

 なお、同センターでは9月をメドに「ロハコ」上での顧客の行動や購買履歴などのビックデータなどを基に特定の属性の顧客などに限定してメーカーのサンプル品やチラシ、リーフレットを商品同梱で発送する試みや「お茶と水のセット」や「歯ブラシと歯磨きのセット」などメーカーが希望するセット組みなど流通加工を行うなどの取り組みも開始する計画だ。

 「ロハコ」復活のカギを握る「AVC日高」がどう変化していくのか。今後の行方が注視されそうだ。

物流部門の責任者に聞く「『AVC日高』の現状と今後」

「ロハコ」に特化した運営、9月末メドにサンプル同梱も

 「ロハコ」の東日本エリアの物流の中心を担う「AVC日高」。同センターの特徴や今後の展開について物流部門の責任者である川村勝宏執行役員に聞いた。

                                 ◇

――「AVC日高」は初のロハコ専用の物流拠点とのことだが具体的にはどう違うのか。

 「これまでの拠点はBtoBと『ロハコ』の商品を両方出荷する兼用センターだった。しかし、BtoBとロハコでは受注時間や商品の買われ方が異なる。『AVC日高』ではロハコに特化したセンターとして、夜に集中する受注を踏まえて朝早くから作業をまとめて行うことを前提に運営方法を考えたり、同一カテゴリーの商品が割と併売される率が高いことを考慮して商品の置き方を考えたりして極力、人が歩く距離を短くするなど従来センターと違う設計にしている。また、メーカー向けにプロモーションのためのサンプルや販促チラシを『ロハコ』内のビックデータを活用して、特定のターゲットに商品同梱したり、『ロハコ』で販売する特別セットを我々が作るなどの流通加工を請け負ったりなども『ロハコ』に特化したセンターの1つの特徴としてやろうと思っている」

――サンプル品の同梱や流通加工サービスを開始する時期はいつごろになるか。

 「料金などはこれから詰めるが9月末の段階で何らかまずパイロットとしてやってみたい」

――流通加工とはどんなことをするのか。

 「例えばだが、歯磨き粉と歯ブラシのセットを作りたいとか、そういうセット商品をメーカーから料金を頂いて我々が代行してセットを作るものだ。同一メーカーの商品のセットはもちろんだがニースがあれば、異なるメーカーの商品でセット組みを作ってみるのも面白いと思う」

――火災で焼失した「ロジパーク首都圏」では精米所があり、オリジナル米「ろはこ米」を販売していたが、「AVC日高」ではどうするのか。

 「新米の時期に合わせて9月か10月には精米できる設備を入れて、『ろはこ米』の販売を再開させる」

――「AVC日高」を皮切りに今後も「ロハコ専用センター」を作っていくのか。

 「8月に稼働させる予定の大阪の新センター『アスクルロジパーク関西』は『AVC日高』とは逆に非常に高度自動化のセンターだ。ここではBtoBもBtoCも関係なく高い生産性が出せるのではないかと思う。『AVC日高』と『ロジパーク関西』でBtoCだけを切り取った時に、どちらのほうが生産性が高いのかを今後、検証していって、今後のセンターの設計に活かしていきたいと思っている」





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