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ファンケル 1000億の大台突破へ、チャネル戦略を転換

 1-2.jpgファンケルは中期経営計画の最終年度となる今期(2018年3月期)、07年以来となる売上高1000億円の壁に挑戦する。チャネル戦略を転換。カタログ依存のコミュニケーションから脱却し、広告、コミュニケーション戦略を「ウェブ」に大きく舵を切る。今年4月に就任した島田新社長は、同月行った決算説明会で「高収益体質達成に向けた正念場となる年」と抱負を語り、ここ数年の広告先行戦略から収益確保に向けた戦略を進める。

 1-3.jpg中計2年目の前期売上高(17年3月期)は、連結売上高が963億円となり、過去最高だった07年3月期の1010億円を射程にとらえる。一時、700億円台にまで落ち込んだ売り上げがV字回復を果たした要因の一つは、利益を犠牲にした広告先行戦略だ。

 16年3月期を初年度とする中計では、顧客基盤の拡大など長期的視野に立った戦略的な広告投資を実施。一方、流通戦略の強化で足もとの業績安定化を図った。

 前期は、化粧品事業で「ファンケル化粧品」の売上高が449億円となり、2期連続で過去最高の売り上げを更新。「アテニア化粧品」も顧客数が08年の過去最高水準まで回復し、安定成長の地盤を築いた。健康食品事業も通販顧客数は過去最高水準に達し、長期低落傾向から脱した。

 とはいえ、中計2年目は、当初計画(期初に連結売上高1025億円、のち990億円に修正)を未達。課題も見えてきている。5月に行った決算説明会では、池森賢二会長が「持株会社体制に移行したことで各事業の専門性は高まったが職場が増え、セクショナリズムが目につき始めた」と語った。流通卸も展開店舗は健食で5万5000店、化粧品で約2万3000店(今年4月からファミリーマートなど約1万8000店への卸も開始)まで拡大。ドラッグストアやコンビニに販路が広がった代償として直営店の位置づけがあいまいになった。

 こうした状況を受け、4月に持株会社体制を解消。「内外美容」の提案などグループの総合力を活かす体制に組織を改編した。今期は、連結売上高で前年比9%増の1050億円、営業利益は167・3%増の60億円を目指す。



 「次期中計は売り上げ増大による利益増加だけでなく、広告・販促費の効率的運用で収益性にしっかりこだわりたい」。島田社長は高収益体質の確立に向け「チャネル戦略の転換」「クロスセル強化(顧客育成)」「店舗の集客力強化」を成長のポイントに挙げる。

 中でも最大のチャレンジとなるのがカタログ通販から「ウェブ」へのシフトだ。

 4月の組織再編ではカタログ通販とネット販売を担う部署を一本化し「通販営業本部」を設置。全世代に同一のカタログを送っていたこれまでの戦略を見直す。

 カタログはこれまで化粧品、健食それぞれ月約70万部を発行。広告先行戦略で顧客基盤が拡大する中、収益を圧迫する要因にもなっていた。今後、20~40代のPC・スマートフォンユーザーはデジタル媒体を中心とした情報提供を基本に自動メールマーケティングを活用し、カタログは送付対象の絞り込みを進め収益性の改善を図る。一方、50代以降の世代をカタログのコアターゲットとして健食と化粧品の併売を意識した内容に変えていく。

 広告も化粧品はシニア向けに展開するブランド「ビューティブーケ」を除き、チラシを全廃する。今期の年間広告費は前年比マイナス5億円となる143億円。売り上げ拡大の中にあって例年の水準にとどめ、ウェブを中心とした効率的なマーケティングに努める。



 「セルフ&カウンセリング」を基本にしてきた店舗戦略も転換、集客力の強化を図る。流通卸の強化による販路拡大で、とくに化粧品事業では主力クレンジングや洗顔料は「どこでも買える」状況になり、カニバリが生じ始めていた。今後、化粧品事業でターゲット別のアプローチを強化するのに合わせて、カウンセリング主体の店舗に変えていく。

 昨年、テスト展開していた「ビューティブーケ」は新規顧客数が計画比18%増。60代以上の「非ファンケルユーザー」が7割を占めるなど獲得が好調なことから展開を本格化する。直営店全店での展開や流通エリア拡大を進める。これに合わせ、シニア層に応じた専用の接客技術を取り入れ対応品質を高め、現在、約14%にとどまる中高齢層の来店客数増加を図る。通販でも今上期に定期購入制度を導入し、今期は前年比約5倍となる10億円の売り上げを目指す。

 一方で今年3月には、20~30代女性向けに「内外美容」の提案に軸足を置いた新業態店舗も出店した。今後、成功事例を築き、丸井やルミネ、アトレなど若年層が多い商業施設に水平展開して集客力を強化する。若年層は、スキンケアのベーシックラインやアクネケアで獲得を進めるほか、来年には、新ブランドの立ち上げも視野に入れる。また、今期中にはこれまで30ミリリットルで展開していたスキンケアで、100ミリリットルの大容器の展開も検討。幅広いニーズに応えることを目指す。



 健食事業は、通販顧客が10年前の過去ピークに近い水準になり、顧客基盤が拡大したことからクロスセルを強化する。

 機能性表示食品は、アイケア関連の「えんきん」で中高年層を中心に顧客基盤が拡大。今年3月には、若年層向けの「スマホえんきん」を発売。今期にシリーズで前年比27%増となる68億円の売り上げを目指す。ダイエット関連の「カロリミット」は20代女性を中心に顧客基盤を築き、今年6月に発売する「大人のカロリミット」では40代女性を対象に展開。今期にシリーズで同9%増となる82億円の売り上げを目指す。

 訴求力の強い機能性表示食品で新規獲得を進める一方、底堅いニーズのあるビタミン・ミネラル市場でも、5月に発売した「基本栄養パック」をスター商品に育成していく。ベースサプリメントとして提案する一方、血圧、中性脂肪関連の機能性表示食品など総合サプリメントメーカーとして幅広い商品ラインアップを持つ強みを活かし、個々の悩みに対応した商品のクロスセルを進める。「基本栄養パック」は、将来的に若年層、中高齢層、高齢者層向けなどバリエーションを持たせていくことも視野に入れる。


1-1.jpgファンケル・島田社長に聞く
【中計2年目の評価と成長戦略】㊤


 ファンケルの島田新社長に中計2年目の評価を聞いた。


──就任の経緯は。
 
 「当初計画は未達だったものの、今後の成長につながる道筋はつけることができた。持株会社体制を解消し、グループの総合力を活かしていく必要があるという組織体制の大きな変化のタイミングもあった
 
──経営者としての自らの強みは。
 
 「これまで経営企画や本社管理部門の責任者をさせてもらってきた。池森(賢二会長)が経営に復帰してから丸4年、そのそばで経営者がどうものを考えるか、その経営哲学を学ばせてもらってきたことが強みであると思っている
 
──中計2年目の評価は。
 
 「化粧品は2期連続で過去最高の売り上げを達成し、『アテニア化粧品』は過去最高の顧客数となるなど持続的な成長の土台が築けた。健康食品も通販顧客数は過去最高水準に達した。お客様と継続的な関係を築く事業モデルの中で顧客基盤を築けた点で成果はあった
 
──一方で課題は。
 
 「広告先行戦略を掲げ2期連続で150億円の追加的投資を行ってきた。ただ、端的に言えば1年目と同じことをやってしまったということ。マス広告に依存して広告の進化がなかった
 
──どう変えていく。
 
 「チャネル戦略を紙からウェブにシフトする。その中で広告も昨年からネットの比率を高めてきたが継続性は悪くない。化粧品事業では、60代向けの『ビューティブーケ』を除き、『ファンケル化粧品』は新規広告のチラシをやめる。チラシは1回つくってしまうと差し替えがきかないが、ウェブであれば複数種類の広告の効果を比較しながら機動的に施策を変更できる。サプリメントも伸びシロのある商品があるが、広告はスター商品に偏っていた。今期は、(企業姿勢を示す)スタンス広告も年間を通じて展開していく
 
──ほかに中計2年目を振り返っての課題は。
 
 「顧客数は増えたが、クロスセルの強化など顧客育成がまだ不十分である点が課題だと考えている。店舗も期初に掲げた『350店舗体制』の看板を早々に下ろした。流通卸が拡大する中、店舗の意味づけ、集客力に課題が残った
 
──クロスセルは中計最終年度に105億円の計画未達を見込んでいる。要因は。
 
 「とくにサプリメントのクロスセルが課題で内訳は通販で約50億円、流通で25億、店舗で30億円の計画未達があったと思っている。新しい顧客と接点を築ければすぐに育成につなげられるという見通しの甘さはあった。これまで事業単位の管理をしていたことで化粧品ユーザーにサプリを推奨することはほとんどしてこなかった。ただ、持株会社体制を解消したことで今後は化粧品、健食の事業セグメントを越えたクロスセルもより積極的に進めることができるようになる
 
──各事業の評価を聞きたい。健康食品事業では、機能性表示食品の「えんきん」を中心に新規獲得は進んだ。その後のリピートの評価は。

  「サプリメントへの消費支出は50、60代が圧倒的に多い。その中で中高年層と接点を築くことはこれまで長年の課題だった。確かに広告投資も増やしたがこの層が『えんきん』で一気に獲得できたのは成果。『えんきん』は『カロリミット』と比べても継続性が高い。それだけに今後『えんきん』で獲得した顧客をどう育成につなげるか、クロスセルを強化する中で一番の課題になる。ただ、少なくとも5~9回継続購入してくれないと購入単価は上がらず、育成には時間もかかるし工夫も必要になる。昨年11月以降は、顧客特性に合わせた商品の提案やタイミングを試行錯誤する中で成果が見え始めた。顧客属性に応じてアプローチを変えた自動メールを配信、ウェブの活用によるコスト効率化などシステム面の進化と相まって相乗効果が現れはじめた
 
──化粧品事業はどうか。
 
 「『ファンケル化粧品』は主力の『マイルドクレンジングオイル』『洗顔パウダー』が大半のドラッグストア、コンビニで購入できる状況にある中で来店の動機が薄れている。カウンセリングなど、直営店に行く動機づけに課題が残った。下期は雑誌とのタイアップ企画やカウンセリングフェアなどの施策を強化し、来店客の増加を図った成果が徐々に出始めた
 
──青汁と発芽米事業の評価は。
 
 「難しい問題だ。中計初年度に広告宣伝費を10数億円増やした。それで売り上げが多少拡大したがマーケティング費用が嵩み赤字に転落した。2年目からマス広告を止めて新聞やチラシで継続的に新規を獲得していくようにしたため、今期は赤字がなくなるとは思う。ただ、今後どう拡大を図るかは課題。青汁は効果実感もあり、原価構造を変えるなどすれば売り上げを伸ばし、収益改善の余地はある」  (つづく)


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