Home > 特集企画 > 服のアウトレットECの現状は? 各社差別化路線で成長持続

服のアウトレットECの現状は? 各社差別化路線で成長持続

1-1.jpg
ファッション商材のアウトレットEC市場が活況だ。売り上げ規模の大きい実店舗のアウトレットモールに飽和感も漂う中、ネット上にアウトレット品の売り場を構えるファッションEC専業のほとんどがプロパー(定価)品を販売する通販サイトも運営しているため、取引先のアパレル企業は手間をかけずに在庫を処分できたり、リアルではリーチできない消費者とのタッチポイントとしても活用しているようだ。一方、店舗閉鎖が続くアパレル業界では各商品の生産量自体を絞っており、少ない在庫をリアルのモールや、規模を拡大しているフラッシュセールサイトと奪い合うなど、事業環境としては逆風も吹いているが、アウトレットECを手がける各社は、あの手この手で差別化を図り、成長を続けている。特徴のある3つのアウトレットサイトの現状と成長戦略を見ていく。

ネットSPAや高額品など拡充

 マガシークは、2004年からアウトレット商材を扱うファッション通販サイト「アウトレットピーク」を展開しており、老舗としての品ぞろえの豊富さで固定ファンを多く抱える。

 昨今、プロパー商品を扱うファッション通販サイトは、従来であればアウトレットで展開する商品を長期間、手元に置いて販売するなど、アウトレットECの事業環境は変わってきている。そうした中にあっても、「アウトレットピーク」の売上高は前年比2桁以上の成長を続けているほか、NTTドコモと共同運営する「dファッション」の売り場も大きく伸ばしているようだ。

 現状、「アウトレットピーク」の成長を下支えしているは"ファストファッション"のアイテムで、「リエディ」や「ティティベイト」「神戸レタス」といったネットを軸にしたSPAブランドの商品は、大幅に値下げされたブランドファッションのアウトレット品と同様に安く購入できるほか、足もとのトレンドを押さえた商品が多く、既存顧客との相性も良いようで、「従来のキャリー品を中心としたアウトレット商材で戦えなければ、『お得な商品』という軸で伸ばしていく。やり方次第でまだまだ成長できる」(出戸和芳アウトレットピーク事業本部長)とする。

 実際に同サイトのファストファッションカテゴリーは伸びており、マガシークでは戦略領域のひとつとして取り扱いを広げていく考えだ。

 一方で、「グッチ」や「プラダ」など海外ラグジュアリーブランドの商品についても買い付けることでお得に提供できるため、顧客の反応が良いという。高額ブランドをテスト的に買い付けて販売したところ想定以上に売れたため、3~4カ月前から期間限定販売を中心に展開。今期(18年3月期)の戦略カテゴリーとなるくらいに急拡大している。

 成長をけん引してきたブランドファッションについても、売り上げは若干伸びているという。アパレル各社が在庫リスクを嫌って生産数を絞る中、マガシークは昨年春シーズンから、既存カテゴリー強化の手法のひとつとして、取引先ブランドからアウトレット品を買い取ることで商品量を確保する取り組みを始めた。まだ、買い取り商品のボリュームは少ないものの、今期は前年比2倍程度に増やす計画だ。

 販促面では、LINEやスマホアプリ経由の集客を強化。LINE限定やアプリ限定のクーポンを発行すると新規獲得数が飛躍的に伸びることから、今期は同様の施策を定期的に実施したい考え。また、「dファッション」も新客開拓の重要な売り場となっているため、同サイト限定のイベントなども検討する。

 MD面では新規の強化カテゴリーに加え、既存領域でも常設出店のない大手セレクトショップの開拓が課題で、売り場としての価値や集客力を高めるためにも、幅広い層に支持されるセレクト系の取り引き強化を図りたい意向だ。中期的にはファッション以外の軸も作りたい考えで、顧客属性に合致したお得な商材を検討していくという。

顧客の大半が主力サイトと併用

1-2.jpg
 ロコンドは約3年前にアウトレット品を扱う「ロコレット」を開設しており、同サイトの売上高は会社全体の15%程度となっているようだ。

 実店舗の場合、シーズン終了後の商品は倉庫に戻し、次のシーズンの商材と入れ替える必要があるが、ECではひとつの倉庫で管理しながら売り場だけを分けて販売できる。取引先ブランドの限られた在庫をフラッシュセールサイトなどと奪い合うことになるが、倉庫を移動すれば時間や物流費もかかり、別のサイトに預けると商品情報登録などの手間も増えるため、同社の主力サイト「ロコンド」から「ロコレット」に売り場を移すだけで販売を継続できる利便性は強みで、実際にそうした使い勝手の良さが支持されている。

 同社の場合、「ロコンド」でお気に入り登録したブランド、アイテムは商品が「ロコレット」の売り場に移ってもお気に入り情報として残るため、オフシーズンに割引価格となったお気に入りブランドの商品がお得に買える流れができている。

 システム面では、「ロコンド」も「ロコレット」も、あるブランドの商品を購入すれば当該ブランドの会員となる。アウトレット品を買った顧客には当該ブランドのプロパー品のメルマガも自動的に届くため、情報を得たい消費者にとっても、ファンを増やしたいブランド側にも有効で、大半のユーザーが「ロコンド」と「ロコレット」の両方の売り場を利用しているという。

 「ロコレット」の品ぞろえについては、開設時は靴だけだったが、アパレルやバッグ、ファッション小物に商材を広げてきた。他のアウトレットECと比べて靴の品ぞろえは充実しているが、靴だけでは年間購入回数が限られてしまうため、アパレルを強化してシーズンごとに購入してもらえるようにする。現状、靴の構成比が全体の65%程度で、アパレルは約15%にとどまっており、これを早い段階で30%まで広げたい考え。

 また、同社は昨年10月にサイトを刷新。トップページのクオリティーを「ロコンド」と遜色のない水準に高めた。同時に、赤文字のセール感を前面に打ち出し過ぎず、「ロコンド」と同様に"アフォーダブルラグジュアリー(手が届く高額品)"をコンセプトに展開しており、「ロコンド」でも売り上げランキング上位のイタリアブランド「ルコライン」などがアウトレットサイトでもよく売れるなど、刷新後の販売は順調に伸びているようだ。

 今期は品ぞろえ強化を優先し、「日本一のアウトレットサイトを確立したい」(藤樹賢司COO)とする。また、主要取引先の「エコー」とは昨年、アウトレット催事をECで実施。同ブランドは通常30%引き程度だが、1週間限定で50%オフ均一で販売しプロモーションも展開した結果、約3000万円を売った実績をもとに、他ブランドの催事需要を開拓する。

フルフィル力で新規取引先開拓

1-3.jpg
 海外ファッションのwaja(ワジャ)が手がけるアウトレット品の通販サイト「リーズンアウトレット」は、プロパーの商品が値下げされているものを販売しており、「14年AW(秋冬)」など、なぜこの値段で販売できるのかを明記しているのが特徴で、アウトレット用に作られた商品は販売しない。

 同社の強みは展示品などのサンプル品も販売できる点で、これまでに培った1点物の撮影技術やフルフィルメント力を活用してワンサイズだけ残った商品など、他社サイトでは最低ロット数に届かずに扱えない商品も販売できる。入荷後、素早く販売できるため、機会ロスも少ない。

 昨年6月にはビービーエフのアウトレットサイト「プレミアムブランドアヴェニュー(PBA)」を譲り受けて「リーズンアウトレット」に統合。取り扱いアイテム数は約1万点増えた。wajaの顧客は40代が中心だが、サイト統合で40代後半~50代に支持されるブランドが加わったことで年齢層も広がった。

 客層とファッションテイストが多少異なるため、当初は心配な部分もあったが、「PBA」の顧客も定着してきているようで、「リーズンアウトレット」の売り上げは前年比2倍以上で推移しているという。

 今期(17年9月期)の販売面については、「リーズンアウトレット」は割引率やタイムセールを新規および既存顧客の販促施策のひとつとして積極化しており、2月にスタートしたプレミアムフライデーに合わせたタイムセールを午後3~6時の3時間限定で実施。「通常は売り上げが少ない時間帯に受注の山を作ることで売り上げの底上げにつながった」(矢動丸藍リーズンアウトレットディレクター)としている。

 顧客にはLINEのプッシュ通知でセールの情報を発信したが、売れるスピードが速かったという。2月のプレミアムフライデーはオール90%オフ企画を、3月は通常より10%オフとするなど、タイムセールでも内容を変えて検証し、今後は定例のイベントにしていく考え。

 MD面では、改めて、1点ものが取り扱えるwajaの強みを前面に打ち出し、店舗数が少なく在庫も少ないアパレルであっても魅力的なブランドをターゲットに新規取引先を開拓する。

アパレル企業の取り組みは?
アーバンリサーチ、専用サイトで旧商品を販売

1-4.jpg
アウトレット品のネット販売はEC専業だけでなく、アパレル企業が自社通販サイトで展開するケースも多くみられる。ただ、プロパー品と同じ売り場でアウトレット商材を販売するのは、ブランドイメージの毀損につながる恐れがある。加えて、プロパー品と一緒にアウトレット商材を扱うと、アウトレット商材の販促やコンテンツを打ち出しづらいといったデメリットも生じる。

 そのため、セレクトショップ運営のアーバンリサーチは昨年11月に自社のアウトレット商材を扱う専用通販サイト「アーバンリサーチアウトレット」をプロパー品の通販サイト「アーバンリサーチオンラインストア」とは別ドメインで運営し、成果を上げている。

 同社は、これまでもウェブ上では楽天市場やマガシークの「アウトレットピーク」、フラッシュセールサイトの「グラッド」などを利用して旧商品を販売しているが、実店舗の新設が続いていることから在庫も抱えており、自らアウトレット専用サイトを構えることで販売機会を増やす。同時に、主力の「アーバンリサーチオンラインストア」や実店舗では商品を早めに引き揚げて売り場の鮮度を保ち、定価販売につなげる狙いもある。

 「アーバンリサーチアウトレット」の開設に当たっては、複数の倉庫に分散していた旧商品を東大阪の倉庫に集約し、在庫データを同サイトと一元管理。当該拠点に入庫した旧商品はアウトレットサイトを通じて一年中、販売できるようにした。

 運営面では、商品情報をもとに各アイテムの割引率を決めており、旧商品だからといって在庫処分だけを重視するのではなく、利益面を考慮しながら在庫を減らしていく考えだ。

 また、アウトレットサイトで扱うのは以前にもネットで販売したことがある商品のため、新たな"ささげ"は発生せず、運営コストは抑えられる。ただ、サイトのクオリティーは主力サイトと同様に手を抜かない。「アウトレット専用のドメインとコンテンツを持つことで商品面や品質面でも、競合になり得るCtoCやレンタルサービス、古着のECに対して優位性を発揮できる」(坂本満広WEB事業部部長)としている。

 当初は約1000品番で始動したが、現在はグローバルトレンドをリーズナブルな価格で提供するブランド「センスオブプレイス」の取り扱いや、インポート商材も展開。5000品番程度まで広げた。

 同社では既存顧客からアプローチを始めたが、直近では新規客の利用が多く、旧商品のEC需要が高いため、ウェブ上での広告やSNSで情報発信を行って新客開拓を強化。プロパー品に比べて商品単価が低い分、顧客数の拡大に力を注ぐことにしている。

 サイトを開設した昨年11月は実働約半月で5600万円を販売。冬シーズンが終わる2月も単月で約8000万円を売ったという。同社では、プロパー品のセールが終わる2月と8月をアウトレットサイトのお祭り月と位置付けて在庫を集中させ、日替わりセールやタイムセールなど、さまざまな施策を打つ考えで、顧客が楽しめる遊びの要素も入れていく。

 サイト開設から約半年が経つが、売上高は順調に推移しているようで、同サイトの初年度(18年1月期)は当初計画の3億円を大きく上回る7億~8億円を見込んでいる。また、旧商品のニーズが高いことからも、将来的には「アーバンリサーチアウトレット」で他社の旧商品を扱うことも検討しているようだ。


Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/3850
Listed below are links to weblogs that reference
服のアウトレットECの現状は? 各社差別化路線で成長持続 from 通販新聞

Home > 特集企画 > 服のアウトレットECの現状は? 各社差別化路線で成長持続

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ