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「トクホの大嘘」の真実㊦ 「新潮砲」空砲か?

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週刊新潮の真骨頂といえば政治スキャンダルだ。それが「トクホの大嘘」という新潮におよそ似つかわしくない企画に手を出した狙いは何か。

「確実に売れる」

 「ここ数年、健康ネタは週刊誌のトレンド。というのも主要読者層は、週刊現代・ポストが60代、週刊新潮・文春が70代。高齢者におなじみのもの、ということで健康雑誌になりつつある」。雑誌メディアに詳しいフリーライターが明かす。

 「週刊誌も苦境に立たされ何かやらなければいけないという中、昨年、週刊現代が『医者に出されても飲んではいけない薬』という企画をやった。部数が伸びた、というほどではないが右には上がったと。それで続報を打ち続けた」(同)。

 その内容は端的に言えば、アンチ医薬品の医師を登場させ、極端な危害事例を引きあいに"薬に殺される"と批判を展開するもの。その構図は、アンチ健食の面々を集めた「大嘘」と同じだ。「薬以外で口に入れるもの叩きといえば健食やトクホ。週刊現代の流れで企画されたのでは」(同)という。

 布石もある。週刊新潮は今年1月、健康・医療ネタを再録して「ドクター週刊新潮」というムック本を発行した。当時、これに関わった関係者が"なんで出したの"と聞くと「確実に売れるから、と言っていた」(週刊誌関係者)という。要は、商業主義に立った企画だったわけだ。

群盲象を評す

 週刊誌業界でキラーコンテンツ化する健康・医療ネタ。ただ、その内容はお粗末なものも少なくない。週刊現代の企画も「薬や成分名など初歩的な間違いが目立った。製薬業界もまともに相手にするのがあほらしいと放っておいた」(前出のライター)という。「大嘘」はどうか。

 「(新潮さんが)オリゴ糖についてちょっと教えてもらえませんか、と。あんな書かれ方すると思わないから一番分かりやすい、素人受けする資料を出したんだよね」。記事で指摘を受けた日本オリゴの担当者が答える。

 引用されたのは、オリゴ糖を摂取した時の試験データ。記事では日本健康・栄養食品協会で要職に就き、"健食のサポーター"を自任する唐木英明氏が摂取前後の糞便量の変化に意味がないことを指摘、効果がないかのように印象づける。被験者が7人であることも「規模が小さすぎる」「比較対照群がない」と、唐木氏が質の低さを喝破したと伝える。読者はさぞ不安に感じたことだろう。

 だが、紹介された試験はそもそも糞便量の変化を見るのが目的ではない。記事でも指摘するように糞便量は個人差があるため、客観的に分析できる善玉菌等の量の変化を見ることが主眼。試験もその後の臨床試験につなげる一環で行われ、より多くの被験者や比較対照群を設けた試験などこれ1報ではない。多角的な検証を欠くわけだ。これには、業界関係者から「象のしっぽを握って蛇と言うようなもの」「結論ありきで都合のよいところをつなぎ合わせた」と指摘がある。

黙して語らず

 シニアには小難しい内容な上、書かれた企業も「問い合わせはほとんどない」とそっぽを向かれた今回の企画。ただ「反響の薄さとは別に広告クライアントにもなる一部メーカーは激怒していた」(業界関係者)といった話も聞こえてくる。

 読者には伝わらず、広告主からも見放されるなど裏目に出ては心中穏やかでいられない...。巷では「文春砲」が評判だが、「大嘘」を放った新潮砲は、さながら"空砲"ではなかったか。週刊新潮の記事担当デスクに特集の狙いや「週刊現代」の企画との関連性、客観性を担保する十分な人選かを尋ねたが、「自分の立場で言えるのは、記事に書いたことが全てということだけ」と話すのみだ。

 とはいえ、週刊誌の健食叩きは今後も続くだろう。「週刊誌がシニアに軸足を移している意味ではいずれ機能性表示食品もあるし、しばらくこのトレンドは続く」(前出のライター)と見るからだ。

 だが、日健栄協は「コメントの予定はない」と、黙して語らず。業界7団体で構成する健康食品産業協議会も「体制を固め、理論武装しないと揚げ足をとられる」と悠長に構え、「日健栄協が動くなら協力するが差し置いてはできない」と、どっちが舵取り役か分からない状況。そんなトホホな団体に依存してよいかを考えるきっかけ程度にはなったかもしれない。
(おわり)

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