Home > 特集企画 > 進む物流作業のロボット導入、MonotaRO新拠点で154台導入、作業効率が従来拠点の3倍に

進む物流作業のロボット導入、MonotaRO新拠点で154台導入、作業効率が従来拠点の3倍に

1.jpg
増え続ける受注量や品ぞろえとともに増加する商品の入出荷作業をいかに効率的に、また、柔軟にさばくことができるかは通販事業者にとっては非常に重要でかつ永遠の課題とも言える。そんな中で、注目されてきているのが"ロボット"の活用だ。人が担っていた作業を機械で任せ、効率化や省人化を図ることができる利点から様々な通販企業が自らの物流拠点にロボットを導入し始めている。電動工具や物流用品などのBtoB通販を行うMonotaROも新たに稼働を始めた物流拠点に最新鋭のロボットを導入した1社だ。同センターのロボット活用の状況と狙いを見ていく。

「ピッキング作業、商品の棚入れ作業の効率が従来拠点の3倍に」。茨城・笠間に新設し、3月末から稼働を始めた本棟と危険物商品用の3棟からなるMonotaROの新たな物流拠点「笠間ディストリビューションセンター(DC)」では延床面積約5万6200平方メートルという広大なセンターのほぼ半分を使って設けられた専用スペース内で、いわゆる"搬送ロボット"に支えられた商品棚がところせましと動き回わっている。

 同社では今後の業容拡大に備え、また、特に東日本エリアでの出荷能力アップや有事の際などのBCP(事業継続計画)の観点から、基幹センターである兵庫・尼崎の「尼崎DC」に続く2つ目の基幹センターの開設を決めた。両拠点あわせて1500億円規模の売上高にも対応できることを目標に「笠間DC」では作業の効率化を高め、生産性を尼崎DCの2倍にするために最新鋭のロボットを導入することにした。

1-2.jpg
 同センターでは日立製作所が製造する幅900ミリ、長さ1000ミリ、高さ380ミリの小型低床式無人搬送車「Racrew(ラックルー)」を154台導入。同ロボットが幅・長さが1250ミリ、高さ2800ミリの商品棚(小型商品は4面棚、中大型商品は2面棚を使用)を支え(最大500キログラムまで積載可能)て、分速60~80メートルで動く自動可動棚として商品のピッキング作業や棚入れの効率化を進めている。

 この「ラックルー」の導入により、「従来の拠点では棚にある商品を人が取りにいく、もしくは棚入れをするといった作業が発生していたが、作業者の前に棚が来るようになり、『歩く』という作業が大きく軽減された。尼崎DCと比べて作業効率は3倍近くになる」(吉野宏樹執行役物流部門長)という。

1-3.jpg
 同社によれば、これまでピッキング作業員の作業の半分以上は「歩く」ということに費やしていたが、笠間DCでは受注データに従って、注文商品が入った商品棚が、作業員が作業をする「Recrewステーション」と呼ばれるエリア(現在、16カ所。最大32カ所まで増やせる)まで自ら来て、作業員は基本的に定位置から動かずに商品をピッキングできるようになった。しかも単に商品を目の前に運ぶだけでなく、作業員が作業しやすいよう「どの棚をどの順番で持って来れば連続して作業ができるか、またどのようなルートでくれば最速なのかを計算した上で選ばれた棚が来るようになっている」(吉野氏)という。

 また、目の前に来た棚からより素早くまた間違いなく商品をピッキングするために、緑色のレーザーで取り出すべき間口を照射して指し示すほか、「ステーション」内に設置したモニターにピッキングすべき商品の名前や画像などが表示される仕組みでより作業の効率性を高める工夫を行っている。なお、コピー用紙や軍手などの超売れ筋は「自走棚」ではなく、専用倉庫に収納され、効率の観点から従来通り、人によるピッキングを行っているという。

 ちなみに「ラックルー」は30~60分くらい稼働してあらかじめ定めた充電量がしきい値を超えるとエリア内に数カ所ある充電所に一番、電力が減ったロボットから順番に自ら充電に向かい、3~5分程度、充電した後に、作業に戻るという。

 「ラックルー」を活用し、商品のジャンルごとに全16カ所の「ステーション」で効率的にピッキングした商品を入れたコンテナはそれぞれのステーションから、コンベアで荷揃え装置「システマストリーマー」に格納され、それを1つに集約、荷揃えして、その後、コンテナから段ボールに移され、自動梱包され、出荷方面別に自動的に分けられる。こうした一連の受注から出荷までの工程は最短30分で完了するという。

 「ラックルー」を使った出荷作業は3月27日から開始したばかりだが「想定通りのスタートが切れている」(同)と特に不具合もなく順調な様子。現状、3500個ある「自走棚」には約2万SKUの商品を格納しており、1日の出荷件数は2000件までとなってきたよう。これを8~9月までに15万SKU、年末までに20万SKUまで拡大し、出荷能力も年末までをメドに1日当たり2万件としていきたい考え。

 なお、「笠間DC」は広大なため、物量に備えて各種の機器導入や在庫商品をさらに増やすことも可能で将来的には出荷能力を日当たり4万個、商品在庫は35~40万SKUまで増やしていく考えだ。

 「これまで『尼崎DC』でほぼ全国の配送を手がけてきたが、『笠間DC』の本稼働後は中部エリアを境に『尼崎DC』は日日本、『笠間DC』は東日本と配送エリアを分けて2拠点合計で当面は50万SUKの在庫(※売れ筋15万SUKは両拠点共通在庫とし、各拠点で独自在庫を保有)を持ってより安定したサービスとその向上を目指していきたい」(吉野氏)としている。

1-4.jpg
MonotaROの鈴木社長に聞く
新拠点開設とロボット導入の狙い

自動搬送ロボットを導入した新たな物流拠点「笠間DC」を3月末から稼働させたMonotaRO。ロボット導入の狙いやセンター開設の狙いについて鈴木雅哉社長に聞いた。
 「笠間DC」の開設の狙いは。

 「業容拡大に応じて新たな物流センターが関東方面に必要だと感じたのは3年程前からだ」

 茨城・笠間に設置した理由は。

 「より生産性の高いオペレーションを実現していくには広大な土地に"平屋"で建てる必要があった。平屋にすることで昨今、非常に上がっている建設コストも複層階拠点と比較して坪あたりの単価が6掛けくらいにはなる。また建築コストの低減だけでなく、建物の構造としても柱が細く、数も少なくでき、有効面積を広くできる。上下搬送もなくなり、非常に作業がしやすいことも利点だ。また、アマゾンなどが行っている当日配送のようなことはBtoBの世界ではそれほど求められていない。そのため、我々はそこまでのサービスレベルを考慮したネットワークの構築ではなく、注文した翌日の午前中までに商品が届けられることをベースにサービスを設計している。そうであれば必ずしも都心から近くのところに物流センターは必要ない。現状、圏央道の周辺に物流センターが多く建っており、土地代も非常に上がっている。また、地盤はそれほど硬いところはなく、利根川周辺など場所によっては建設時に杭を50メートルくらい打たなくてはいけなくなるので建設コストもやはり高くなる。もう1つ外側の北関東道まで来ると土地代も非常に安くなるし、地盤も問題ない。いくつかの候補地の中で広大な土地に平屋で建てられて、また、この地がもともと茨城県の畜産試験場であったため、茨城県や笠間市から多大な支援を頂けること。さらに駅(JR友部駅)からもさほど遠くなく、電車で通われる作業員の方も不便なく、仕事をして頂ける環境ということで選んだ」

 「笠間DC」は賃貸でなく初の自社所有のセンターとなる。

 「自社所有にした1番の理由はコストと生産性だ。現状の基幹センターである『尼崎DC』は賃貸だが、現在、物流センターはプロロジスやGLPといったリートがファンドを組んで、建設したものを借りるというのが主流になっているが、賃貸では先ほど申し上げたようにコストや生産性を考えても難しいところがある。リートの物流センターは埼玉など東京の郊外の利便性の高いところに複層階で建てるやり方だ。コストをかけても30年間、きちんと借り手がつく建物を作ることが重要なポイントだからだ。我々が望む平屋で上下搬送をなくすことなどで生産性を上げるというような物件がそもそもなく、最近は多い圏央道周辺の施設は建築コストが上がっていることもあって、賃料は坪4000~5000円のレンジと高い。自社所有で建築コストをあるべき形で作れば、コストは7、8年あれば回収できるはずで、そうであれば賃貸よりも自社所有を選択した方がいいのではないかと考えた」

 初めて自動搬送ロボットを導入した狙いは。

 「当社の扱う商品の特性は非常にロングテールであるということ。例えば事務用品というカテゴリの通信販売では商品点数は約10万商品くらいだが、当社が扱う産業用の間接資材、原材料以外の副資材と呼ばれる領域はそれぞれの産業のお客様ごとに非常に多品種があり、品ぞろえは非在庫の商品も含めて1000万商品を超えている。当社ではこれから50万商品に在庫を目指しているが、より多くの商品を在庫するために、どのような保管方法がよいかと。また、生産性を考えても、尼崎DCでは人が台車を押し、棚から商品をとって、コンテナに入れて、また歩いてということを1日繰り返しているわけだが、1日にうち、半分以上は歩いている時間になるわけだ。搬送ロボットを導入して『人のところに棚を持ってくる』ことで歩く必要がなくなり、1日の出荷量を上げることができると考えた。ロボットはいくつかあったが日立製作所の技術力と信頼性というものもあって、『ラックルー』を選ぶことにした」(つづく)

1-5.jpg
ロボット導入、各社の動きは

物流拠点での「ロボット」化が急激に進んでいる。アマゾンジャパンは昨年8月から稼働させた神奈川・川崎の「アマゾン川崎フルフィルメントセンター」に米アマゾンなどで導入している自動搬送ロボ「アマゾンロボティクス」を日本で初めて導入している。MonotaROの「ラックルー」と同様、作業員がその場から動かずにピッキングや棚入れ作業が可能になることで作業効率は「数字的にどれだけよくなったとは言えないが、本来、この作業量をこなすには通常センターではもっと人が必要となるが、ある程度の人数でできていることを考えれば(効率は)相当よくなっている」(同社)という。

 ニトリホールディングスのグループ会社で物流事業を手がけるホームロジスティクスでも10月をメドに、グループの通販物流拠点である大阪・茨城の「西日本通販発送センター」に搬送ロボット「Butler(バトラー)」を79台導入する計画のよう。

 一歩進んだところではアスクルが昨年5月に稼働させた神奈川・横浜の「アスクルロジパーク横浜」でベルトコンベアでピッキング作業員の手元に商品を流す仕組み「自動倉庫型GTP」に加えて、高精度カメラと画像認識システムを搭載したピッキングロボットを昨年末から実戦投入し、より高いレベルでのロボット化を進めている。

 すべての通販事業者にとってロボット化が効率的とは言えないかもしれないが、商品のジャンルや取扱数、売上規模によっては非常に効果的に働く可能性が高いロボット導入。検討してみる余地はありそうだ。


Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/3824
Listed below are links to weblogs that reference
進む物流作業のロボット導入、MonotaRO新拠点で154台導入、作業効率が従来拠点の3倍に from 通販新聞

Home > 特集企画 > 進む物流作業のロボット導入、MonotaRO新拠点で154台導入、作業効率が従来拠点の3倍に

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ