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変わる表示規制、忍び寄る「保健所」の監視④ 求められる科学的根拠

 健康増進法における「商品広告」の判断が薬機法(旧薬事法)の3要件を基本とするスタイルから"景品表示法仕様"に変わったことで、規制対象になる「商品広告」の範囲が広がっている。健増法上、「商品広告」と判断された場合、そこで求められる根拠はどういったものなのか。

「商品」なくても...


 健増法の「広告の定義」では、薬機法上、広告の重要な判断基準となる「商品名の表示」より「顧客を誘引する意図」が重視される。

 実際のケースを想定してみる。数年前、関節対応の健康食品を販売する企業が500円のサンプル購入者向けに数日後、「成分情報」をDMで提供する販促を行っていた。DMを開くとまず目に入ってくるのが「グルコサミンとコラーゲンがひざの痛みに効く」の文字。内容も「関節痛」「変形膝関節症」といった病名をあげ、コラーゲンやグルコサミンの効能が書かれているものだ。

 ウェブでも数年前から「研究サイト」なるものが氾濫している。通販サイトと切り離して特定の成分に対して自社の研究成果や疾病に対する効果を大々的に宣伝するもの。訪れたユーザーをリターゲティング広告で通販サイトに誘導するパターンもある。

「顧客誘引」を重視


 各事例は「個別の判断となる」(ある保健所の担当者)ため、一概に商品広告とみなすことはできない。

 ただ、14年には、機能性があるという水を通販するエーイーエムの代表者らが長野県警に薬事法違反で逮捕される事件があった。通販サイトで"検索キーワード"を表示し「体験談サイト」に検索誘導。別サイトで医薬品効果をうたっていたものだ。

 普通であれば薬事法上、「商品名」がないため問題にはならない。だが、このケースの場合、「商品」とのつながりが濃いため摘発の対象になった。

 健増法であれば、その判断のハードルはより低くなる。というのも「商品を容易に連想させ、顧客を誘引する意図」があれば広告とみなすのが、「薬事法との決定的な違い」(同)であるためだ。個別事例ごとの判断にはなるが、健増法と広告に対する見解が一致する景表法では昨年3月、通販サイトからのリンク先で商品の効果をうたっていたとして、消費者庁が健食通販のココナッツジャパンに措置命令を下している。

「医薬品にすれば」

 そこではどういった科学的根拠が求められるのか。「極端な話、例えば毎日5リットル飲まないと機能が得られないものがある。健食は継続的な利用を推奨しているが毎日飲めるのか。研究成果はウソではないがさすがに荒唐無稽じゃないかと思う」(別の保健所担当者)と、「商品」の内容と「根拠」の一致を求める。たとえ査読つき学術誌に掲載された研究論文であっても「商品に配合されている成分量と論文で効果が得られる成分量を見ると違っていたりするのは問題」(同)というわけだ。

 ヒトを対象にした試験であっても「病者データ」には疑問を呈してもいる。

 「病人を対象にしたものを食品にあてはめて表現できるか。それは根拠といえない。仮に病人でさまざまな効果が得られているなら"薬にしたらどうですか"と言いますね」(同)。健康増進効果があれば「保健機能食品(トクホ、機能性表示食品)」、病人に効くなら「医薬品」に、というわけだ。

 当然、動物や試験管内で行ったような試験は、ヒトで得られた効果と異なるため根拠とみなさない。「学会発表や(大学教授や医師など)先生のコラムみたいなものを含めて『研究が何千本』と表示しているような広告を見る。でも論文の数じゃなくて質。1本でも優れた論文があればいいし、これから先は機能性表示食品のように、商品について広く情報開示が求められる」(同)。

 見解の背景にあるのは、機能性表示食品制度の導入によって、科学的根拠に対する考えが明確になったこと。企業は根拠に対する認識を改める必要がある。 (つづく)

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