Home > 特集企画 > 日本サプリメントに措置命令、通販初の「課徴金」適用か?

日本サプリメントに措置命令、通販初の「課徴金」適用か?

1-1.jpg消費者庁は2月14日、日本サプリメントが販売していた特定保健用食品(トクホ)全商品に景品表示法に基づく措置命令を下した。トクホに対する景表法の適用は初めて。品質管理を怠るなどトクホの「許可要件」を満たさない点が優良誤認にあたると判断した。処分対象となった表示期間の一部は、課徴金の対象にもなるため、通販初の課徴金命令が下される可能性もある。だが、日本サプリメントは「見解の相違がある」として反論の構えもみせている。


「品質管理」の実態を問題視

0111.png 処分の対象は、日本サプリメントの販売するトクホ8商品(「ペプチド」シリーズ5商品、「豆鼓」シリーズ3商品)。有効性や安全性の面で疑義が生じ、昨年9月、すでに販売を終了。トクホの許可が取り消されていた。

 消費者庁は許可取り消し後も調査を継続。証拠書類から確認できた11年8月以降、トクホの許可申請時の手法で商品の品質管理が行われていないこと、14年9月(豆鼓シリーズは10月)に「関与成分(有効性を発揮する成分)」が特定できないことが判明した2点を重くみて処分を下した。

 これら許可要件を欠きながらトクホをうたい、「ペプチド」シリーズでは「かつお節オリゴペプチド配合(関与成分名)」「血圧が高めの方に適した食品」と表示。「豆鼓」シリーズで同様に「豆鼓エキス配合(同)」「血糖値が気になり始めた方に」と表示したことを「優良誤認」にあたるとした。

課徴金、出れば5000万円?

011111.jpg 課徴金の適用に消費者庁は、「調査中」とする。ただ、課徴金の導入は昨年4月。導入後も約5カ月間、不当表示のまま販売を続けている。この間、課徴金額(対象商品の売上額の3%)が150万円以下でない場合、命令が下される可能性が高い。

 日本サプリメントは、対象となった商品の売上高を公表していない。だが、関係筋によると年間売上高(15年12月期)は、約47億円前後(前年比約23%減)とみられる。「95%前後をトクホ製品の売り上げが占める。前期は40億円を割るのでは」(別の関係筋)とも言われている。

 仮に売上高を「40億円」とした場合の商品売上高は単純計算で約16億円(5カ月分)。課徴金が課されれば約4800万円になる計算だ。前出関係者も「課徴金がでれば4~5000万円になるのでは」(同)と見ている。

 課徴金が出された場合も消費者庁に申請した返金計画が認められれば減額されることになる。ただ、減額は"対象期間に販売した全顧客への返金"が前提。日本サプリメントは「現時点で課徴金命令がなく、返金計画も判断する状況にない」とする。また、許可取り消しを受けて自主的な返金措置も講じている。ただ、返金は手元に商品がある顧客のみ対象。すでに消費した顧客は対象としておらず、現状のまま「返金計画」として認められる可能性は低いとみられている。

トクホ「品質管理」の徹底求める

 処分を重く見る消費者庁は、トクホの監視を厳格化する。

 トクホ許可の大前提となる安全性や有効性の確認、品質管理などの要件を満たさない商品は「景表法上の問題になる」として厳正に対処する。この執行方針をトクホの全許可事業者と機能性表示食品の全届出事業者に通知。今年度に予定するトクホの「買上調査」でも違反が見つかれば厳正に対処する。

 新たにネット監視も行う。実施時期や頻度は非公開。現在、四半期ごとに行う「ネット監視事業」とは別にトクホや機能性表示食品について、ウェブサイトを中心に表示の監視を行う。

 今回、消費者庁からとくに強いメッセージとして発信されているのが関与成分に基づく「品質管理」の徹底だ。

 昨年9月、消費者庁は日本サプリメントのトクホに対する許可取り消しを受けて、トクホ全商品の調査を業界団体に依頼。全商品とも関与成分が適切に含まれていることを確認した。ただ、調査はあくまで事業者の自主申告に基づくもの。品質管理の問題が露呈した企業に厳しい態度で臨むことで、事業者への戒めとする狙いがあるとみられる。 ただ、処分はまだ尾を引きそうだ。当の日本サプリメントは処分に「見解の相違がある」とコメント。「弁明したが今回の結果は残念。品質管理の手法を巡り(許可要件を満たさないと)不当表示が判断された。法的観点から行政への対応を引き続き検討したい」としているためだ。

 品質管理を巡り、消費者庁は「許可申請時と異なる手法をとっていた」とする。許可時点では"包装後の商品の製造ロットごとの確認"で申請していたが、遅くとも11年8月以降、行っていた確認は"原料段階での血圧や血糖値への作用の確認"のみ。「そもそも関与成分が特定できないから品質管理のしようがない」と断定している。

 だが、一方の日本サプリメントはこの点、「使用する原料は許可申請事と同じ。成分に影響を与える変更は行っていない」とする。品質管理も「原料の全ロットで有効性、安全性を確認していた」と話す。

 関与成分に対する判断にも「見解が異なる」という姿勢。「『ペプチド』シリーズは関与成分(かつお節オリゴペプチド)以外に機能に関与するペプチドが複数確認はされたが関与成分の存在自体を否定するものではない。『豆鼓』も同じ。『なかった』ではなく特定できなかったということ。だから疑義が生じ、2年間調査していた。放置していたわけではない」と、見解が分かれる。

 親会社のキューサイも「処分は厳粛に受け止め、日本サプリメントをサポートする」と言うが、見解の相違には「(日本サプリメントと)立場を共有」とコメントしている。
 いずれにしても、日本サプリメントの通販事業への打撃は深刻だ。事業継続については「たくさんの顧客がいるので今後ももちろん行っていく」としているが、 一方で処分を巡り、腑に落ちない面もある。申請時と異なる品質管理が行われていたのであれば処分は順当。ただ、処分は国が許可したトクホを巡るもの。「品質管理」と許可要件の問題がクローズアップされているが、国も一旦は関与成分として認めている。日本サプリメントを巡る"トクホ問題"はしばらく続きそうだ。


処分の背景は?

ここ最近、消費者庁は「既往の行為(すでに終わった行為)」に厳しい姿勢で臨むケースが増えている。

 昨年3月には、健食通販大手のえがおを景表法で処分。指摘を受けて自主的に表示の見直し、ホームページにお詫びも掲載したが処分は免れなかった。最近でも国交省や経産省の指示を受けた三菱自に対して課徴金をかける厳しい処分を行っている。

 行政の元執行担当官はその背景を「景表法の所管が公正取引委員会から消費者庁に変わったことが関係している」と見る。独禁法の特例法として制定された景表法は当初、企業間の競争秩序の観点から運用されるケースが多かった。このため、処分を前に社会的制裁を受けた企業に追い打ちをかけるような処分は少なかった。

 だが、移管後は消費者と事業者間の不公正取引を是正する法律としての性格がより強まった。今回の処分をえがおと同一視はできないが「社会的制裁を受けた企業の既往の行為でも見逃さない厳しい姿勢が見える」(前出の元職員)と話す。

 今回、より厳しい態度で臨んだのは、消費者庁の"メンツを潰された"こともあるかもしれない。

 91年に始まったトクホは、国が許可する唯一の食品として地道に知名度と信頼を高めてきた。事業者の負担軽減を目的に「更新制」を廃止するなど規制緩和も進めてきた。

 だが、許可取り消しを受けた日本サプリメントの「トクホ問題」は、その信頼を一気に揺るがせた。問題発覚から2年以上に渡り報告を怠り、これを機に消費者委員会が「更新制」の再検討など制度の運用厳格化を要請。消費者庁を締めあげる事態に発展し、制度は一気に後退しつつある。「消費者庁からすれば、企業との信頼で成り立ってきた制度に泥を塗られた、という思いもあるのではないか」(別の行政関係筋)との見る関係者もいる。


消費者庁・大元慎二表示対策課長との一問一答

「トクホが常時監視体制にあることを認識してほしい」。処分公表に際し、消費者庁はこう強い口調で事業者に"品質管理"の徹底を求めた。今後も厳正な法執行でトクホの信頼確保につなげる方針を表明。会見での大元慎二表示対策課長との一問一答は以下の通り。
     ◇
 処分の経緯は。

 「トクホは、関与成分の特定が大前提。これを軸に安全性、機能性、品質管理の要件を満たして許可する。今回はまず許可要件の品質管理を行っていないことを問題にしている。加えて関与成分を特定できていない」

 品質管理を怠ったのは関与成分量の確認、有効性についてか。

 「(関与成分が特定できないため)トクホに求められるレベルの品質管理ができないということ」

 昨年9月の許可取り消し時点で日本サプリメントは「ペプチド」は関与成分量が規定量に満たず、「豆鼓」は関与成分が特定できないとしていた。今回2シリーズとも「特定できない」と公表している。

 「詳細を調べた結果、(2シリーズとも)特定できない事実関係が認められた。特定できなければ品質管理も行えない。大問題と判断した」

 「特定できない」だけで「入ってない」とまでは言っていない。関与成分は申請時に受託試験機関で確認したと思うが試験機関の問題は。

 「その点は分からない。調べていない」

 「検出されない」ではなく「特定できない」。

 「そういうこと。何が効いているか分からない。有効性自体は事業者も(あることを)説明し、一定の試験データもある。(関与成分が)分からなくても機能のある商品はあるかもしれないが、それも全部トクホと認めることはできない」

 特定できないものが入っていて、申請時に国が許可したのはなぜか。

 「その時点ではデータがあったのだろうと思う。その時点の判断がどうかは検証していない」

 国としては出された資料ともって関与成分として認めた。

 「そういうことだと思う」

 トクホを含む保健機能食品は事後チェックによる対応を重視する方針と認識していたが、今回は事前の管理に起因して処分している。

 「(対策課として)事後チェックだけを行うということではない。トクホは製造ロットごとにきちんと管理することを前提に許可される。求められる品質管理を行っていないのは許可要件に反する。事後ではなく、リアルタイムに(品質等が)確認できなければ商品を販売してはいけない。大前提となる品質管理が申請時と同じ状況で行われることが必要」

 昨年3月、ライオンのトクホには健康増進法を適用した。景表法とのすみ分けは。

 「ケースバイケースで一律ではない。少なくともトクホとうたいながら消費者の期待と差があるのは優良誤認にあたる」

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.tsuhanshinbun.com/mtos-admin/mt-tb.cgi/3747
Listed below are links to weblogs that reference
日本サプリメントに措置命令、通販初の「課徴金」適用か? from 通販新聞

Home > 特集企画 > 日本サプリメントに措置命令、通販初の「課徴金」適用か?

Amazon出品サービス
Search
Feeds

△ ページtopへ