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"強い商品"の作り方とは?

 1-1.jpgほかでは買えないオリジナリティある優れた商品をいかに企画・開発するか。通販企業にとって永遠のテーマの1つだ。無論、そうした商品はそう簡単には生み出せないわけだが、それでも独自の手法や工夫で訴求力の高い"強い商品"を作り出せた例も少なくない。注目すべき通販各社の商品開発の裏側について見ていく。
異業種・異分野の知見活用
【エムールの場合】


 オリジナル寝具商品のネット販売を手がけるエムールでは、家具やバッグなど他の事業展開で得たノウハウを取り入れたコラボレーション商品を展開するほか、異分野の見識から商品開発のヒントを見出すなど多角的な視点で自社ブランドの創出を図っている。

 数年前から発売するビーズクッションの「もちもちシリーズ」は、これまでも人気キャラクターとのコラボを実施し、SNSで拡散の輪が広がるなど布団セットと並ぶ同社の2大商品として売り上げを伸ばしていた。今年度に入ってからは国産帆布生地ブランドの「倉敷帆布」を生地素材に使ったビーズクッションを発売してヒット商品となっている。

 これは同社の高橋幸司社長が家具に関係した業務の出張で岡山県を訪れた際に、偶然の出会いから生まれたもの。元々、大手セレクトショップとコラボした倉敷帆布製のバッグの存在は頭の片隅にあったようで、現地で生地の実物に触れたことでその仕様と汎用性の高さを改めて認識。しっかりとした生地ならではの使い道を考え、製造元とも話し合いながらハードな座り心地で訴求するビーズクッションの開発に行きついたという。同社では寝具だけでなく、家具とバッグのオリジナル商品を展開しており、「寝具だけの世界にいると綿やニットの生地を使うという発想しか出ないが、家具の仕事先で見つけた素材と組み合わせたことでこれまでにはなかったものを生み出すことができた」(高橋社長)とする。

 最近ではバッグ商品開発の際に見つけた素材の「コーデュラ」にも注目。丈夫なナイロン素材としてアパレルの世界では有名で寝具ではあまり使われることのない素材でもあったが、ビーズクッションとの相性が高いと考えて新商品として売り出すことを計画している。
医療現場の課題から商品を開発

 また、コラボの対象先は素材やキャラクターデザインだけにとどまるものではない。異分野の知見やその現場での課題をもとにしたアイデア商品の開発にも力を入れている。「医療現場」の課題をテーマにしたものでは、現役の整形外科医と意見交換して従来の発想ではなかったあえて寝返りをすることができなくなる抱き枕「包まれ抱き枕」(仮)を開発した。

 これは病院で股関節の手術などをした患者が、術後にその箇所を傷めないように寝返りをできなくするための固定用クッションとして、独自の形状で身体を支えることができるように設計したもの。医療現場向けをはじめ、先行のサンプル品では寝ながらテレビを見る時にも適しているという意見もあったため、用途を限定せずに幅広く販売する。

 通常は企業と医療現場との共同開発と聞くと、あくまでも企業側の生産効率をベースにして提案した商品サンプルに、医療現場からのアイデアを形だけ取り入れただけのようなケースも多い。共同開発というよりも、商品への「権威付け」を図るための手段となってしまっているケースも珍しくはない。

 しかしながら、同社の場合はあくまでも対等な関係の中で意見交換して、自分達だけでは考え付かないようなアイデアを得るために行っているという。同商品についても商品化できるかどうかを考える前に、まずは話を聞いてその場でラフスケッチにおこす作業から始めるなど、先方の発想を基点とした商品開発を進めたようだ。

 「『自分が世の中で知っていることは1%もない。99%以上のことは他人から得なくてはいけない』という教えを受けた。自分の中だけで考えたり、模倣品を作っているような人たちは99%以上のチャンスを失っていることになる」(高橋社長)と説明。自分とは遠い距離にいる人たちと対話を重ねることこそが重要な資産になると捉えており、異分野とのアイデアを掛け合わせることで社内の意見だけでは生み出せなかった新機軸の商品が出来上がると考えている。


1-2.jpg全社員投票で"超挑戦商品"を決定
【ジュピターショップチャンネルの場合】


 通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)では昨夏に販売した"特別な商品"を決める際に、全社員投票による"社員の意思"で最終判断を下す試みを行った。初めての試みながら結果も上々だったようだ。

 同社は今期で創業20周年を迎えたことから、特に今回は過去最高日商を目指すなど注力する11月実施の開局特番「心おどる、大創業祭」に向けて、「売り上げをというよりは、インパクトある商品を紹介してお客様に『(JSCは)こんなに面白い商品も販売するようになったんだ』と驚いて頂き、(11月の特番を)盛り上げるため」(同社)に8月から「夢を買えたら」と題した記念特番を企画、その中でこれまで同社では取り扱ったことのないユニークな商品を紹介、販売することを決めた。

 当該企画で取り扱う商品での最重要テーマはユニークかつインパクトがあること。これを踏まえて同社の商品バイヤーが頭をひねり、様々な商品を企画した。本来はその中から、よりふさわしい商品をバイヤーチームで選び、当該商品を番組で紹介・販売する流れとなるが、20周年を迎えるにあたっての特別な商品となる「夢を買えたら」では"最終決定"を全社員の意思に委ねた。

 「20周年を記念する特別企画商品を決めるにあたり、(バイヤーたちが我々だけで決めるのではなく)社員の声を聞きたい」(同社)と全従業員約900人による"投票"で最終的な商品選びを行うことにした。

 流れは各バイヤーから担当する候補商品について、その特徴や想いなどが説明された資料が従業員に提示され、当該商品は"挑戦"か。はたまた、"超挑戦"かを従業員が閲覧できるPC上の画面から投票するものだ。

 同社では今期、「これまでも様々な挑戦をして形にしてきたが、これから先の厳しい事業環境で勝ち残っていくために、20周年を迎えた今期からこれまで以上の挑戦を行っていく意味の"超挑戦"を合言葉に事業を進めている」(篠原社長)こともあり、普通の商品を「挑戦」、今回の企画に合致するインパクトある商品を「超挑戦」と定義したという。

 「夢を買えたら」は8、9、10月に1回ずつ放送するため、それぞれの放送回で紹介する商品決めるべく社員投票も8、9、10月の全3回実施。バイヤーからの商品エントリーは1回あたり7~9商品でそのうち2~3商品を投票で「超挑戦!である」との得票数が多かった商品を選んだという。

 社員投票の結果、8月はテレビ通販では史上初の取り扱いとなる新種のバラの命名権と石垣牛の頒布会、9月は高級物件と往復の飛行機移動に専用プライベートジェットを用いるハワイ旅行、10月には数億円の高級クルーザーと伊自動車メーカー「ランボルギーニ」のスーパーカー、希少なピンクダイヤモンドをそれぞれ番組で紹介、販売した。なお、高級物件やクルーザー、旅行、車については番組では購入希望者は募る(資料請求の受付)が実販売は連携する販売会社がそれぞれ行い、JSCは手数料収入を得る形となる。

 同社では当初から、"インパクト"を重視していたが、反響も想定以上に高かったよう。バラ命名権は実際に成約があり、石垣牛は販売開始時30分で完売。高級物件は400件、ハワイ旅行は300件の資料請求、クルーザーおよびランボルギーニはそれぞれ約50件の問い合せがあったよう。同社によると高級物件やハワイ旅行、クルーザー、ランボルギーニは現在、販売会社で商談が進んでいるという。

 同社では初めての試みとなった企画「夢を買えたら」および当該企画の商品選びを決定する「社員投票」について「本当にやってよかった。非常にインパクトのあるお客様に驚いてもらえ、喜んで頂ける商品を紹介できたと思う。(「夢を買えたら」で)盛り上げられたことで、11月1日に実施した開局特番では日商28億7000万円というこれまでの最高日商約14億円はもちろん、20周年にちなんで目標としていた20億円をも大きく上回ることができた」(同社)としている。


1-3.jpg趣味が高じて商品化
【ベガコーポレーションの場合】


 家具の通販サイトなどを運営するベガコーポレーションでは売り上げの9割をPB商品が生み出している。特にこの数年間はゼロベースから商品を提案・企画することにも力を入れており、自社ブランドの拡充を図っている。

 同社の商品づくりで特徴的なのが既存の商品開発部員だけでなく、正社員、契約社員、アルバイト、派遣など雇用形態・部署を問わずいつでも誰でも提案できる制度を取り入れていること。「やはりその商品の分野が好きで、ニーズが分かっている人が企画したものは非常に手堅い」(浮城智和社長)と説明する。

 直近ではアウトドア好きの一般職の社員が発案者となり開発チームを組織して企画したテントがある。持ち運び時の軽量性やデザイン性だけでなく、同クラスのサイズ・機能のテントよりも価格を抑えた値付けにするなど、市場特性を分析した上でユーザー目線の商品開発を展開。さらには実際に開発チームで山に行って一泊し、同テントの設営の様子や使用中の状況を撮影して、通販サイトの画像にも採用している。サイトでの露出方法までプロデュースするこだわりようでアウトドア入門者も含めて多くの顧客を獲得し、結果的に想定以上の売り上げを記録。アウトドア分野については今後、同社の成長ジャンルとして期待されるようになっているという。

 そのほかにも店舗運営者が発案したハンガーラック付きの引き出し収納や、ウェブデザイナーの社員が企画したクリスマスツリーもヒットしている。

 16年12月末までにシリーズ累計で約42万2000枚を販売しているロングセラーの着る毛布「グルーニー」については、一般職社員の提案から新たにカップル用も企画して追加発売するなどシリーズの横展開も実施。また、時には顧客からの声も製品改良に反映させて、レビューを元にリクライニングの角度を開発当初の14段階から最大42段階まで調整できるように座椅子を刷新するなど、様々な気づきやアイデアを商品で形にしている。

 「型番商品はローコストオペレーションで回せるような大手が勝つ世界。しかし、家具・インテリアは一部を除いて型番がないジャンルなので、PBが受け入れられやすくブランドを作りやすい」(同)とした。今後は商品開発の中で、よりデザイン性に力点を置いた内容で取り組むことなども検討している。

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