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KDDIが新モール、商品・プロモ強化で利用増へ、出店料無料化も視野に

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KDDIが仮想モール事業に本腰を入れる。1月30日には子会社のKDDIコマースフォワード(KCF)が運営する仮想モールを、「Wowma!(ワウマ)」として刷新。新たに丸井などの有名企業も出店する予定で、急成長をもくろむ。ただ、競合の「楽天市場」「アマゾン」「ヤフーショッピング」には大きく離されているだけに課題は山積。DeNAから引き継いだ仮想モールをどう伸ばしていくのか。

KDDIでは昨年12月、DeNAとモバオクから「DeNAショッピング」「auショッピングモール」事業を買収。完全子会社としてKCFを立ち上げ承継した。DeNAショッピングは誰でも買える仮想モール、auショッピングモールは「au」ユーザー対象のモールで、DeNAに出店するとauでも同じ商品が販売される仕組みだった。

 かつては楽天の「楽天市場」、ヤフーの「ヤフーショッピング」に次ぐ「第3のモール」と位置づけられていた時期が長かったものの、近年は流通額でみると、両モール、さらにはアマゾンの後塵を拝する状況に。取扱高・出店店舗数も伸び悩んでおり、2016年3月期の取扱高(DeNAショッピングとauショッピングモール含む)は前期比3%減の622億円。これは西友とDeNAが共同で運営する「SEIYUドットコム」なども含まれるため、実際にはもっと少ない。

 DeNAではフィーチャーフォン全盛期にはモバイルに注力しており、特に若年層向けファッションが強かった。しかし、スマートフォン全盛となってからは、各社がスマホサイトに注力しており、差別化ポイントとして打ち出すことが難しくなっていた。ファッションに特化した「ショップリスト」など、他サイトにユーザーを奪われていた面もあるようだ。

 DeNA時代はショッピングモール事業部長を務め、KCFの社長に就任した八津川博史氏は「これまで1つのプラットフォームなのに複数のブランドがあったため、座組みのねじれや制約を受ける面があり、クオリティーなどの面で店舗に迷惑をかけていた。KDDI子会社になったことで、関連会社の技術なども使えるようになり、それをユーザーや店舗に還元していきたい」と話す。

 「auショッピングモール」もauユーザー向けのサービスではあったが、携帯電話利用者を十分に取り込めているとは言えなかった。「auの主力サービスとの連携に不十分な部分があった。キャンペーンの規模感やモールの機能面・マーケティング周りの開発など、ギアを踏み込んで強化する」(八津川氏)。

「閉塞感」に対応

 新モールでは、毎週土曜の還元率を通常の1%から10%に増量。その上で、1月20日からKDDIが開始した「auスマートパスプレミアム」会員に限り、毎週土曜はさらに5%プラスし、合計15%のポイントを付与する。ポイント施策でワウマを携帯電話ユーザーに浸透させる狙いだ。まずは2月から3月末まで、auユーザーだけではなく、全ユーザーに向けてポイントキャンペーンを実施する。

 ただ、auショッピングモール時代も15%還元や20%還元セールを頻繁に行っており、ポイント施策そのものが大きく変わったわけではない。カギになるのはプロモーションだ。「これまではセールを行っていたこと自体が知られていなかった。『買い物はワウマで』ということを、約4000万人のauユーザーに伝えられれば利用者数は伸びていくだろう」(KDDIバリュー事業本部の勝木朋彦金融・コマース推進本部長)。テレビCMやネット広告などを活用し、ワウマをアピールしていくとみられる。

 そこで問題となるのが、商品数と出店店舗の少なさ。現状の商品数は2000万アイテム強、店舗数は3000強。楽天市場の店舗数が4万4000超(昨年9月現在)であることを考えると、かなり見劣りする。

 KDDI側でもその問題は認識している。例えば家電量販店であれば、楽天・アマゾン・ヤフーにはほとんどの企業が出店しているが、KDDIは上新電機のみ。「有名店の取り込み」という点では、DeNA時代から注力してきたものの、思うように進んでいない。

 出店してもらうためには、ワウマが店舗にとって魅力ある場であることが重要だ。八津川氏は「料金への不満や露出するのが難しい点など、既存のモールに閉塞感を覚えている店舗は多いのではないか。伸びしろを求める店舗側の需要を取り込んでいきたい。KDDI子会社になったことで、(未出店店舗には)想定以上に前向きに捉えてもらっている」と自信を見せる。「auユーザーに対するアピール強化」が店舗への期待感につながっているようだ。

データ活用も検討

 まずはポイントキャンペーンで新モールをアピール。並行して店舗数・商品数を増やし、広告宣伝を活用しながらさらに新規客を獲得する。とはいえ、一時的にポイントを乱発して顧客を呼び込んでも、定期的なポイント増量がなければ離反される可能性が高い。八津川氏は「KDDIには会員基盤があり、顧客の個人情報やアクションなど、積み上げてきたデータがある。そこをコマースに活かすことができれば、顧客の定着につなげられるのではないか」と話す。ビッグデータなども活用することで、効率的な販促につなげるものとみられる。

 一方で、ポイントキャンペーンは先行する楽天やヤフーも大々的に展開し、囲い込みをしているという事実がある。KDDIの勝木本部長は「ネット販売の伸びしろはまだまだ大きい。検索経由でさまざまなサイトから商品を買うユーザーも多いとみており、auユーザーに使っていただければ、『WALLETポイント』や『auスター』(利用者向け優待プログラム)などもあり、囲い込みはしやすいのではないか」と断言する。

 しかし、新規客を呼び込んでも、商品や店舗の選択肢が少なければリピーターも増えない。それには短期間の爆発的な伸びが必要だ。まずは丸井グループとの提携を発表。丸井はファッション分野のパートナーとして参画し、春物の新作が出そろう今春をめどとして、ブランドファッション専門の売り場を開設する。

 丸井は100以上のブランド、約15万点を取り扱うファッション通販サイト「マルイウェブチャネル」を運営しており、ワウマでもほぼ同規模の品ぞろえで展開、マルイウェブチャネルの共通在庫から販売する。

 また、ネット販売企業が出店する際にネックとなるのは利用料金。ヤフーが「無料」を大々的にアピールすることで店舗数を大きく伸ばしたのは記憶に新しい。「(出店料の大幅な値下げや無料化は)選択肢としてはある。これまでの延長でやっていては以前と同じ数字しか出ないだろう」(八津川氏)。ここ数年は出店者数が伸び悩んでいるだけに、思い切った施策が必要になりそうだ。

 「店舗や商品のラインアップを揃えることは結果的に数字にもつながっていくだろう」(同)。総合モールとしてはまだまだ規模が小さいのが実情だが、DeNA時代の昨年、カテゴリーごとに専任の担当者がつく「カテゴリーマスター」を設けており、カテゴリーごとに同社ならではの「売場」づくりを進める。

流通額の目標は明らかにしていないが、KDDIでは、オンラインコンテンツや実店舗決済、ネット販売・金融などを含む、顧客基盤上の新たな経済圏を「au経済圏」として、2019年3月期には流通額2兆円超にする計画を開示している。仮想モールも重要な役回りだけに、現状の流通額は物足りない。八津川氏も「早期に流通額1000億円はクリアしたい」と話す。


仮想モールの戦略を聞く
「店舗の期待は大きい」
auユーザーの流入見込む

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KCFの八津川博史社長(写真㊧)とKDDIの勝木朋彦本部長に今後の戦略を聞いた。
モール統合の狙いは。

八津川「一本化・一体化が狙い。KDDIの経済圏、auユーザー、関連会社の技術など、KDDI子会社だからこそ、というメリットが多々ある。それを店舗・ユーザーに還元するためにリスタートした。モール名の『ワウ』はCX(顧客体験)を大事にするという意味を込めた」

勝木「KCFはKDDIの完全子会社であり、当社としてもこれまで以上に力を入れていかなければいかないと思っている。ポイント増量キャンペーンは毎週行うので、ワウマの浸透・利用促進を図る」

ポイント増量キャンペーンはこれまでも行っていた。

勝木「これまでとの違いはプロモーション。キャンペーンをしているだけでは供給者論理なので、顧客に認知してもらうための活動を強化していきたい」

商品点数や出店店舗数は競合と比較するとかなり劣っている。

八津川「MDは圧倒的にラインアップが足りていない。かなり大がかりに強化していきたいと思っている。さらに、キャンペーンによる認知度向上も含めて『ワウ』の素地が以前とは全く変わってくるのではないか」

店舗獲得は以前から取り組んできたが、あまり成果が出ていないように見えた。

八津川「KDDI子会社になったことで、未出店の店舗と話をしても想定以上に期待が高まっていると感じる。また、ネット販売企業の間に閉塞感が漂っているように思うので、その需要を取り込みたい」

具体的にどうメリットを説明する。

八津川「ワウマの『ワウ』で体現したい。商品の発見や出会い、購入体験そのものに価値を感じてもらうことがリピートにつながると思う。『見ているだけでワクワクする』というような部分について、『ワウ』を体現したサービスを実現したい。品番で検索する需要はアマゾンに流れている部分はあるだろうが、それ以外の部分に存在価値を見出したい」

やや抽象的では。

八津川「もう少し具体的に言うと、KDDIの持つビッグデータを活用できればと思っている」

勝木「これまでキャリアはMNPに販促費をつぎ込んできたが、最近は既存顧客のロイヤリティーを向上し、定着させる取り組みをしている。『au WALLET』や『auスター』特典などがワウマに流れ込めば流通額は桁違いに伸びる。もちろん、誰でも買える点はアピールするので、auユーザー以外の獲得も期待できるだろう」

プロモーションはいつから行う。

八津川「マスメディアでのプロモは来期以降で計画している」

無料化など、料金プランの見直しは考えているか。

八津川「選択肢としてはありうる。『ワウ』という名に合うよう大きく打ち出したい」

丸井と同じ形で他社との提携はあるか。

八津川「MDが足りないことや、auユーザーの絶対数といったメリットを説明できれば、そういったことも出て来るのではないか」



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