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ネスレ 化粧品通販へ、ガシー・レンカーと合弁会社設立

 1-1.jpg食品世界最大手のネスレがグループ会社を通じ、日本国内で化粧品通販に乗り出す。グループで美容、健康事業を手掛けるネスレ・スキン・ヘルスが米国のニキビケア化粧品でトップシェアを誇るガシー・レンカーと合弁会社を設立。これに伴い、年内にガシー・レンカー・ジャパン(GRJ)は社名を変更して再出発を予定する。国内のニキビケア化粧品市場が少子高齢化の中でシュリンクしていく中、ネスレはGRJを再び成長軌道に乗せることができるのか。
核商品「プロアクティブ」に集約か

 1-2.jpg昨年3月、ネスレ・スキン・ヘルス(本社・スイス)は米ガシー・レンカーと合弁会社「ザ・プロアクティブ・カンパニー」を設立することを発表した。ネスレ側が株式の過半を保有。出資比率は公表していないが、一部では約7割をネスレが保有しているとの報道もある。これに伴い、GRJも年内に社名を「ザ・プロアクティブ・カンパニー・ジャパン(仮称)」に変更する予定という。

 主力スキンケアのブランド名を前面に打ち出す背景には、商品ラインアップの集約を進めていくことがあるとみられる。

 関係筋によると、現在、GRJの国内売上高の約9割は「プロアクティブ+(プラス)」が占め、残り約11-3.jpg割の大半をヘアケアブランドの「wen(ウェン)」が占めているとみられる。ただ、「ウェン」は米国でも人気が高く、米ガシー・レンカーが引き続き販売権を保有。これを受けてGRJも2018年をめどに販売を終了するという話がある。GRJは「まだ検討中の案件で明確な方針は決まっていない」とする。ただ、昨年9月にはエイジングケア対応のスキンケア「リクレイム」の販売を終えており、展開ブランドの集約を進めている。


海外でネスレの事業基盤活用か

 合弁会社設立の背景には、海外展開で苦戦することがあるとみられる。
 GRJのホームページによると現在、ガシー・レンカーは、米国のほかカナダ、日本、オーストラリア、英国、中国など10カ国で事業展開している。ただ、「規模で米国に続くのは日本が圧倒的に大きく、米国本社がハンドリングするカナダを除き、海外売上高の約8割を日本が占めている」(関係筋)とされる。

 ただ、日本国内の状況も順調とはいえない。GRJは売上高を公表していないが、関係筋の話を総合すると、現在、年間売上高は150億円前後で推移しているとみられる。国内のニキビケア化粧品市場で依然として圧倒的シェアを誇るものの、かつては200億円前後の売り上げに達していた。「国内市場は現状維持が精いっぱい。その中で海外に広く事業基盤を持つネスレの傘下に加わることで海外展開を加速させようとしているのではないか」(同)、「海外の成功例は日本のみともいえる。ただ、アジア圏で横展開ができておらず、中国や韓国、東南アジアなどに市場を広げたいのでは」(同)と関係者らは見る。


ガルデルマとシナジー創出か


 ネスレにとっても日本国内におけるニキビケア化粧品のトップブランドを得る意味は大きい。

 ネスレ・スキン・ヘルスはロレアルとの合弁(現在は解消)で立ち上げた製薬会社、ガルデルマを通じて日本国内でニキビ治療薬を展開している。ただ、独自に展開するニキビケア化粧品は、市場において存在感を発揮してはいない。

 国内企業では常盤薬品工業のニキビケア化粧品「NOV(ノブ)」が医療機関を主な販路に展開しており、ロート製薬も「アクネス」で医薬部外品から医薬品まで幅広くラインアップする。GRJは一時の勢いこそないものの「ニキビケア化粧品市場におけるシェアは圧倒的。どちらかといえば医療機関を競合と見ていた」(同)としており、将来的にクリニックルートなど新たな販路を開拓していく選択肢も広がる。

 この点、「ガルデルマのビジネスにおけるシナジーを最大限にするための組織再編を検討中であり、方向性が定まった段階で改めてお知らせする」(GRJ)と話すにとどめるが、ネスレは、スキンケア領域から皮膚疾患の治療領域までカバーできるようになる。


テレビ依存から脱却がカギに

 ただ、ニキビケア化粧品の国内市場の見通しは決して明るくない。市場規模は400~500億円ほどの規模あるとされる。ただ、少子高齢化の進行で今後ますますシュリンクしていく。

 これまでGRJはテレビCMを軸に展開。著名なタレントや歌手、女優をイメージキャラクターに使い、ニキビに悩んだ経験に共感を生むストーリーを展開するシンプルなプロモーションで知名度を一気に高めた。

 1-4.jpg一方、今では市場の競競争環境が変化。最近ではウェブを中心に「背中ニキビ」「お尻ニキビ」などターゲットを絞った展開で訴求する新興企業が増加。GRJも商品に「電動洗顔ブラシ」や「ボディブラシ(背中用)」をつけるオファー設計で対抗するものの、"オールターゲット"を打ち出し間口を広くとる戦略には限界もある。GRJに限らずテレビの広告効率は悪化しており、広告考査も年々厳しくなっている。

 広告投資は約9割(15年時点)をテレビCMにつぎ込むが、効率を維持する中では露出も限られる。約7割(同)の顧客がウェブ、とくにその大半はスマートフォンによる購入。ウェブではニキビの情報サイト「ニキペディア」を立ち上げたり、ユーチューブの動画広告で反響を得るなど新たな試みもみられるが、テレビで確立した成功事例から脱し、ウェブマーケティングで地歩を固めることができるかもカギになりそうだ。


「思春期」のイメージ崩せるか

 「プロアクティブは、どの年代、どのタイプのニキビにも合う"オールターゲット"がコアコンピタンス」。かつてGRJに在籍したある社員によると、GRJの経営陣はこうした信念を持っているという。「間口を広くとるか、ニッチ訴求するか、どちらも考え方自体間違っていない。ただ、商品リニューアルを行った時も"変わったの?"と認知はそれほど広がらなかった。今思えばチャレンジしたほうがよかったかもしれない」と話す。

 転機は14年末、GRJが主力スキンケアを「プロアクティブ+」としてリニューアルし、ブランド再構築に乗り出した時だ。薬用クリームに美白ケアの機能を持たせるなど、ニキビケアにとどまらず、スキンケア要素を強化した。

 ウェブでは20代以降の女性をイメージしてあえて「ニキビ」といった表現を使わず、「肌あれ」や「吹き出物」といった表現で肌悩みを表現。「プロアクティブ=思春期ニキビ」とのイメージから脱し、"スキンケア"として認知を高めることでニキビに悩む層以外のより幅広い層へのアプローチを図った。

 ただ、これはあくまでウェブマーケティングにおける戦略。あくまで軸足はテレビであり「CMのストーリー構成など本質的なところの改善には踏み込めていない。マスマーケットで築いた成功事例に依存し、広告効率を維持できる枠を求めてバイイングを続ける日々だった」(関係筋)、「大人の女性向けに訴求するものは深夜帯に流したり、これまで放映していない枠で獲得できるようストーリー構成を見直すことも検討の余地はあると思う」(同)と話す。「思春期ニキビ用」とのイメージを崩せるかも再成長のカギになりそうだ。


【ネスレ傘下でシナジーは?】
テレビ依存脱却がカギ

 ガシー・レンカー・ジャパン(=GRJ)は、著名人を採用し、「60日間返金保証」「日米売上実績№1」といったコピーで訴求するシンプルなコミュニケーションで日本市場において確固たる地位を築いてきた。テレビにおける圧倒的な露出もこれを後押しした。一方、テレビの効率悪化が避けられない中、次の一手も必要になる。

 ニキビケア化粧品を展開するある通販企業は、「最近の市場は『アンチエイジング』『保湿』に引っ張られている」と話す。女性誌もかつては「大人ニキビ」などで特集を組んだが最近は少なくなっている。GRJも主力スキンケア「プロアクティブ」のリニューアルでは、美白ケアの機能をもたせるなどスキンケア機能を強化。過去には、マイルド処方の敏感肌用を展開するなど、ターゲット層の拡大を図っていた。

 媒体戦略でも過去には折込チラシや新聞広告など紙媒体の活用をテスト。テレビCMでも著名人を使ったインパクトの強いCMではなく、一般のモデルを使ったブランディング広告を展開していたこともある。

 また、ウェブ上にニキビを巡る情報が溢れ、「ニキビ=プロアクティブ」の図式が崩れる中、最近ではニキビケアの情報サイト「ニキペディア」を立ち上げるなどコンテンツマーケティングで潜在顧客にアプローチするマーケティングも進めている。ただ、テレビを軸に王道のコミュニケーションを展開する手法は大きく変わっていない。



 市場でニキビケア化粧品を展開するプレーヤーはいくつかに分かれる。"オールターゲット"に訴求してシェアを伸ばしてきたのがGRJ。一方、通販大手のオルビスは女性特有のホルモンバランスの変化を原因とする「大人ニキビ」を訴求して新たな顧客層を開拓した。一方、ここ数年で増えているのが"ニッチ訴求"。「背中」や「あご」「デコルテ(胸元)」「お尻」など気になる箇所にできるニキビケアを訴求するもの。ウェブを中心にこうした新興企業が増えている。

 独自の販路を築く企業もある。常盤薬品工業は医療機関を主な販路にニキビケア化粧品「NOV(ノブ)」を展開。ニキビケア化粧品市場で圧倒的シェアを築く一方、医療機関向けルートを持つ企業もGRJにとって競合になってくる。



 こうした中、ネスレグループの傘下に入ることで販売チャネルの面で新たな打ち手を得られる可能性もある。同じグループで展開する製薬会社、ガルデルマとの連携だ。

 ガルデルマは日本国内で医療機関向けにニキビ治療薬を展開。独自にニキビケア化粧品も展開する。ただ、早い段階でシナジーを生み出すのは難しそうだ。

 ガルデルマはこれまでニキビ治療薬について塩野義製薬と共同でプロモーションを展開してきた。昨年7月に販売契約を満了。切り替わる形で製薬会社のマルホに販売を委託し、国内でニキビ治療薬を展開している。ただ、マルホが販売するのは医療用医薬品のみ。「化粧品に関する販売は含まれていない」(マルホ)と話す。マルホも独自にニキビケア化粧品「イニクス」を扱っており、ガルデルマが独自に築く医療機関向け販路は限定されるとみられる。


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