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読者が選ぶ2016年10大ニュース トップは「消費増税の延期」

011.jpg 2016年も様々なニュースやトレンドが生まれた通販業界。鍵となったのは「方針転換」で、消費増税の「延期」や送料無料化の「廃止」といった予想外の大きな決断が驚きの声と共に迎えられ、注目のニュースとして得票数を伸ばした。ほかにも新技術の台頭に関するキーワードや企業の不祥事に関する話題なども例年通り上位にランクイン。今年1年間に通販業界で起きた主な出来事を読者と共に振り返ってみた。

012.jpg 「2016年の通販業界10大ニュース」は、今年の通販業界で起きた主な出来事やトレンドを本紙編集部が20項目程度に絞り込んで、読者アンケートを受けてランキング化したもの。アンケートは今後の市場動向にとって重要だと思う項目から順番に3つまで受け付けており、合わせてその理由も聞いている。

増税延期で計画見直し

 今回1位となったのが、通販業界のみならず全産業、消費者すべてに影響のあった「消費税率の引き上げ延期」。47ポイントを獲得し、2位以下を15ポイント以上引き離した大差でトップとなっている。当初は17年4月に実施される予定だった消費税率の8%から10%の引き上げについて、6月に安倍首相が延期を表明。19年10月に再延期する税制改正関連法が11月に成立した。延期の理由としては世界経済の不透明な状況が続いていることや、増税後の消費の低迷を懸念することなどが背景にあるとされている。

 14年4月に5%から8%に引き上げられた際は、年度末の大規模な駆け込み需要への対応やその後の反動による購買の落ち込みなどが起きていた。今年も年度末の消費増税を見据えたカタログの発刊回数の変更やDMの配布数量の調整などを計画していた通販企業も多かったが、延期によってそれらの計画の見直しを余儀なくされている。

 読者からの意見としても「延期により中長期の売上計画、システム投資計画などの見直しが必要になる」や「延期による特筆した影響が感じられなかったのが残念」といった声が聞かれた。その一方で「国内景気を踏まえれば延期は適切だったと考えている。社会保障について国民が安心できる青写真を示せない限り、中止も視野に再検討すべきと思われる」という意見もあった。

「即時配送」今年も拡大

 2位となったのは「即時配送の拡大」で31ポイント。前回の15年の10大ニュースでも3位にランクインしており、仮想モールを中心とした配送サービス競争に対する注目度の高さが伺えた。

 今年はアマゾンジャパンが有料会員「Amazonプライム会員」向けに展開するスピード配送「プライムナウ」の対象エリアについて、段階的に拡大を進めており、東京では11月に23区全区をカバーできるようになっている。同サービスは昨年11月から東京世田谷区内に設置した専用配送拠点によってスタートし、その後も大阪や横浜に同様の拠点を開設して周辺地域をカバーしている。直近では東京豊島区に新たな拠点として「アーバンFC豊島」を開設した。

 一方、楽天でも子会社の楽天マートが最短20分で商品を届ける短時間配送サービス「楽びん!」について、それまで港区の約50%をカバーするエリアで展開していたが10月からは港区、渋谷区、目黒区、世田谷区の全域まで対象を拡大。新橋や汐留、お台場、浜松町といったエリアを含む区内全域でサービスを提供している。

 そして、この分野での先駆者でもあるヨドバシカメラにも新たな動きがあった。9月に始まった「ヨドバシエクストリーム」は、東京23区を対象に、価格によらず通販サイトの1商品から配送無料で最短2時間30分以内に届けるというもの。昨年話題となった注文から約6時間で配送する従来までの「ヨドバシエクスプレスメール便」をさらに進化させた内容となっており、即時配送を巡る各社の争いが今年に入ってからまた一段と過熱した様子が伺える。

 これらの動きに関して読者の意見は賛否両論で、「顧客要望にどこまで応えるのか。過剰サービスが激化してコストだけが増えている」という声がある一方、「特に20~30代の顧客ニーズが高く、当社の客層を拡大する上で重要な動向と捉える」、「即時配送や送料無料などのサービスが広がる中、それに対応できない通販は差別化された独自の価値を提供できなければ生き残りが難しい」といった声も聞かれた。

 なお、配送スピードの短縮に関しては通販専業企業のみならず大手小売りにとっても優先度が高い施策のようで、カジュアル衣料のファーストリテイリングでは今秋冬商品からユニクロ通販商品の翌日配送を開始。その起点となる東京江東区に今春新設した多機能型物流センターでは、即日配送なども見据えた更なる短時間配送の実現を目指している。

送料無料化廃止の波紋

013.jpg 3位にランクインしたのも物流関連の話題で、「アマゾン、全品送料無料を廃止」が30ポイントを獲得した。

 具体的な理由は明らかにしていないものの、これまで実施してきた同社が発送する全商品を対象とした「送料無料」サービスを4月から廃止。競合他社とのシェア争いにおいて有効な手段として展開していたが、今後は即時配送をはじめとする優良会員向けの施策を手厚つくしていく戦略に方針転換したとの見方もある。

 これまでマーケットリーダーとして様々なサービス・分野で新しい提案を進めてきた同社の決断が、通販業界の方向性に大きく影響することは間違いなく、読者からも「今後、条件付き送料無料化がスタンダード化され、運送業者の負担が軽減されることを期待する」、「大手が先行する形で適正化が進めば大変ありがたい」と歓迎を示す反応が多数あった。一方で「アマゾンの送料無料を無視できず業界のスタンダードが『無料』へと動いた途端に張本人が廃止に切り替えた。一度始めたサービスを元へ戻す『改悪』は容易にできない」という厳しい意見もあった。

 中には「アマゾンでも費用の圧縮を実施に踏み切ったことに少々驚きを感じた」や、「顧客集めの一律無料制度の舵を切ったことは課金収入が通販ビジネスより収益性が大きいことを明示したものである。同時に体力を奪うものであることも暗に示している。ヨドバシカメラなど一律送料無料を掲げる他社の動向に注目したい」といった冷静な分析も見られている。


 4位につけたのが「不正アクセスで通販企業の情報流出が続出」。今年もまた起きてしまった個人情報を巡る企業の不祥事としては、江崎グリコや講談社、JTBグループなどの通販サイト利用者の個人情報が流出被害にあっている。直近では12月に資生堂子会社のイプサが通販サイトの会員約42万件分の個人情報流出を発表した。いずれも外部からの不正アクセスを受けたことによるもので、今後の対策内容が注視されている。読者からは「ハード面のみならず、社員一人一人の意識といったソフト面も重要」といった声があった。

 5位となったのは「AI(人工知能)の通販利用が活況」。物流現場でのピッキング作業やウェブ上での接客、顧客のセグメントなど様々な切り口でAIによる自動化が始まり、これまで人力で行っていた作業の効率化や精緻化が進むことが期待されている。「リソース不足で実施できなかった細かな施策にAIを充てて、収益に大きく貢献する部分に人が注力できる」という声が聞かれた。

014.jpg 6位には「越境EC、今年も堅調」がランクイン。中国のネット販売の一大商戦でもある「独身の日」を中心に盛況となった。読者からも「中国人のリアルでの爆買いが終焉し、世界的な越境ECによるボーダレス化と『逆越境EC』にも興味がある」という意見があった。一方で、以前よりも参加企業が増えたことで勝ち抜くためのハードルが年々高くなっていることも指摘されている。

 7位となったのは「日本郵便、大口料金値上げ」。日本郵便が6月に実施した大口利用向け割引率の引き下げは、DM送付など大量の郵便物を扱う通販企業にとっては大きなコスト増となり、対応に頭を抱えることになった。「送料無料が当たり前になりつつある状況下において、配送コストが増えることは事業の収支にダイレクトに影響してしまう」、「他の運送会社にも値上げが波及するのが不安」といった声が聞かれた。

 8位には「トランプ大統領誕生でTPPに暗雲?」が選出。すでに大筋合意されていた「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」協議について、以前より否定的な意見を唱えていたトランプ氏が米大統領に就任することとなり、その行方が一気に不透明になったもの。「景況感の悪化、投資環境の低下に伴う日本経済への悪影響による消費購買力の低下を懸念する」など不安を訴える声が見られた。

015.jpg 9位は「景品表示法に課徴金を導入」。4月から始まった制度で、不当表示(有利・優良誤認)で措置命令を受けた事業者は、当該商品の売り上げの3%を納付しなければいけないもの。「二重価格の表記や不実証広告とならないようエビデンス整備など、今後も広告出稿やDMを定期的に発送していく上で注意が必要」という声があった。

 そして10位となったのが「ニッセン、上場廃止」。セブン&アイHDによる完全子会社化で、ニッセンホールディングスが10月27日付で上場廃止となったもの。近年は大型家具事業からの撤退や希望退職者募集による人員整理を続けるなど苦戦を強いられていた。読者からは「業界再編は今後も続く」、「従来型の通販の失速は他人事ではない」といった感想が聞かれた。

016.jpg なお、ベスト10からは圏外となってしまったが「IoTの通販導入広がる」、「ドローン配送実験開始」もそれぞれ同数で次点につけている。共に通販での利用が期待できる新ツールとして注目されており、「IoTで実店舗の購買行動をビッグデータ化して販売に活用する取り組みが始まっており、通販にも共有することで更なる販売効率のアップと顧客満足度の向上につながる」。ドローンについても「僻地や買い物弱者に対しての貢献を期待」という意見があった。

 また、「その他」の項目としては、11月末にディー・エヌ・エーが運営するヘルスケア情報サイトの「WELQ」の公開を停止したことでも話題になった、「キュレーションサイトの記事不正利用」を選ぶ声もあった。「通販サイトにおいて購入喚起の有効な策の1つだと考えられていたが、一部企業の不適切な扱いで策自体が"悪"と考えられつつある」と指摘している。


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