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ドゥクラッセ 3年後300億へ着々と、通販は「もっと伸ばせる」

 1-1.jpg婦人服ブランドを手がけるDoCLASSE(ドゥクラッセ)は、前期(2016年7月期)までにシーズン中の値下げを含めた在庫圧縮などで店舗事業の利益改善が進んだほか、主力の通販チャネルでも新客開拓で成果を上げるなど、力強さが戻っている。"グループ売上高300億円"の達成計画こそ1年遅れとなる19年7月期へと改めたものの、次の飛躍に不可欠な「物作り」と「人」の基盤整備は進展しているようだ。前期の取り組み事例や今期のチャレンジを中心に見ていく。

 1-2.jpg同社は、40~50代女性をメインターゲットにした婦人服通販の「ドゥクラッセ」で急成長し、婦人靴「フィットフィット」や紳士服、リアル店舗へと事業の幅を広げて売り上げを伸ばしてきた。

 14年7月期には、新客開拓の主戦場である新聞広告に競合が現れ、当該企業の価格訴求力に押されて売り上げを伸ばせなかったことも影響し初の赤字を計上したが、在庫管理の強化や紙媒体への投資効率を徹底的に追求したほか、全スタッフが危機感を共有。失敗から多くの学びを得たこともあって現場力は向上し、1年で黒字回復した。

 前期(16年7月期)は、「価値ある商品を消費者に安く届けるためにはスケールメリットが必要」(林恵子社長)という思いから、一気に成長を加速させるべく、15年7月期のグループ売上高136億円に対し、3年後の18年7月期に300億円を目指すことを明らかにしていた。

 ただ、店舗事業の収益性改善などの諸課題を抱えたまま目標に挑むのはリスクが高いと判断。早い段階で目標の達成時期を19年7月期と改め、前期は体力強化に向けた準備期間とした。

 具体的には、店舗事業の収益改善に向けて在庫の圧縮を推進。店頭でも期中の売価変更に着手した。年末やシーズンオフなどにセールを開催する一般的なアパレル店頭の販売手法をやめ、各商品の売り切るタイミングを先に決定し、そこから逆算して計画の進捗状況に合わせた売価変更を行うことで、在庫減による粗利の改善につなげた。

 1-3.jpg通販チャネルでは戦略商品の拡販に向け、地方紙やウェブでABテストを繰り返し、消費者の嗜好をつかんだ上で大々的な広告展開を行うなど投資効果を最大化する取り組みを継続的に実施した。また、他社媒体の活用などにも取り組んでおり、前期の通販チャネルでの新客獲得数は前年比50%増と大幅に増えたという。

 基礎固めに力点を置いた前期のグループ売上高は前年比14・0%増の155億円で着地し、前年とほぼ同水準の伸びとなった。とくに、主力の「ドゥクラッセ」は通販売上高が84億円、店舗が28億円となり、ブランド単体で初めて100億円を超えるなど、市場での存在感も高まってきた。

 一定の規模感に達したことや、協力工場側の取り組みなどもあり、物作りの力も着実に高まっているようで、試しやすい価格で販売できる価値のあるアイテムが増えた。とくにニットやカットソーなどは通販チャネルでの動きが活発化。300億円を目指す中で、通販は平均18%成長を計画していたが、「もっと伸ばせる」(林社長)と手応えをつかんでいる。


メンズ単独店の拡充も視野

 今期のグループ売上高は前年比21・9%増の189億円を計画。前年からの基盤固めを継続しつつ、マーケット規模の大きな実店舗でのシェア拡大も欠かせない。

 30%以上の成長を目指す「ドゥクラッセ」の店舗事業については、商品力の強化や通販チャネルからの送客効果もあり、とくに前期後半から好調を維持している。

 旗艦店の大丸梅田店の前期売上高は5億円まで拡大。今期も、直近の11月が前年同月比30%増の5000万円となり、年商6億円を狙える水準に成長し、隣接する「フィットフィット」の店舗(年商3億円)との相乗効果も出ている。都内の大型店ではwando自由が丘店が内装変更などで11月の購買客数が前月比2倍に、日比谷シャンテ店も好調を維持するなど、店舗事業をけん引している。

 同社ではこの半年、毎月、各店で強化品番と目標販売枚数を決めており、強化品番の販売集中度が高い店舗の予算達成率と前年伸び率が高いことが見えてきたという。

 強化品番の選択と価格戦略が噛み合って収益構造も変化。今上期の店舗事業の営業利益は大幅に増加しているようだ。

 次の課題は店舗主導型の集客策の確立だ。既存客にはDMを送っているが、ショートメールでの情報発信もテストしており、経費削減や顧客との関係強化を図るツールとして期待している。

 また、教育制度についても、新人研修や新店の事前研修はもちろん、オープン1カ月後から苦戦する店舗もあるため、1カ月後、3カ月後、半年後の研修を店長だけでなく、販売スタッフも参加させることを検討しているのに加え、店舗によって接客手法が異なることから、違うタイプの店を経験させるジョブローテーション制度で適応力の高い店長候補を育成する考え。

 一方、メンズの店舗展開については当初、来期にもショッピングセンターを中心にレディース店舗の大型化に着手し、メンズ商材も扱う複合店を増やす計画だったが、唯一のメンズ単独店である日比谷シャンテメンズ店の売り上げが好調で、今期の黒字化を見込んでいる。そのため、メンズ単独店の拡充も探っていくことにしており、メンズ商材の売り上げ構成比を現在の14%程度から3年間で約20%に高めたい意向だ。


婦人靴は地域一番店に出店

 1-4.jpg店舗を軸に展開している婦人靴の「フィットフィット」は、海外の協力工場から直接貿易で仕入れるなど粗利がとれる商材で、利益面での貢献も期待されている。また、カタログやウェブ、新聞広告をきっかけに来店する顧客が多く、店舗数が増えればマルチチャネルの強みも発揮しやすい。

 「フィットフィット」は着実に店舗数を増やしているが、前期は出退店合計で5店舗増、期末で35店舗にとどまり、店舗開発面で課題が残った。とくに大型商業施設への出店は京王百貨店新宿店と北千住マルイ店だけだった。

 今期は積極的に出店して46店舗に増やす。従来はドミナント戦略をとってきたが、地域一番店への出店を目指す。9月には神戸さんちか店、あべのハルカス店を、11月はならファミリー店と遠鉄百貨店本店にも出店し、それぞれ出だし好調のようだ。

 新店の開設だけでなく、既存店のテコ入れにも着手し、神戸さんちか店と同様にリロケーションによるリニューアルを狙う。また、館の顧客データベースを活用してDMを送るなど、販促も積極的に行う考え。

 通販チャネルではウェブへのシフトが進み、前期の売上高はカタログを中心とした紙媒体を上回った。SNSの活用など引き続きウェブを強化するとともに、カタログでは来春、他社とのアライアンスで共同開発商品にも取り組むという。


【林恵子社長に聞く・次の成長に向けた戦略は?】
スローガンは"世界一の質"

 3年後に売上高300億円を目指すドゥクラッセの林恵子社長に、事業環境や成長への課題と戦略などを聞いた。



 ──まず、売上高300億円の達成計画を18年7月期から19年7月期に遅らせた理由は。
 
 「前期の売上高はグループ全体で155億円となったが、これは無理をしなかった結果で、期初はもう少し高い数字を計画していたが修正した。300億円を目指すのに当たり、会社をより強くする必要があった。店舗事業の利益改善や店舗運営のあり方もそうだし、通販でも紙媒体のテストとロールアウト(本格展開)の精査に時間が必要だった。飛躍するのを急がず、準備に時間をかけたことで会社としての力は着実についてきた
 
 ──前期の総括は。
 
 「新計画に沿って基礎固めに力を注ぎ、数字の面でも修正後の計画値で着地した。店舗出店が少し遅れたことと、婦人靴『フィットフィット』の伸び率が少し弱かったが、通販チャネルも店舗もほぼプラン通りだ。各チームの歯車が噛み合って動き始めた1年だった
 
 ──利益面は。
 
 「だいぶ改善している。実店舗の収益性は、前期も改善はしたが求める水準とは言えなかった。今上期は前年よりも大きく改善している。これまでは会社全体で利益を出していたが、今期は店舗事業単体でも利益が出せる状態になった。今後3年でさらに高収益モデルを構築していきたい
 
 ──物作りの状況は。
 
 「課題はあるが、物作りの力も高まっている。前期は、初めて『ドゥクラッセ』ブランドだけで売上高100億円を超えた。ひとつのブランドで100億円を超えると弾みがつくと言われるが、本当にそうだ。100億円を超えるための努力が力になっている
 
 ──毎年、スローガンを掲げている。
 
 「前期は『主導権を握れ』で、その前は『常識を覆せ』だった。当時は自分たち自身で常識を作ってしまっていた。凝り固まった常識を打ち破らない限り新しい価値は作れない。その上で『主導権を握れ』を合言葉に突っ走った結果、全員が驚くほど強くなった。赤字になった14年7月期を起点に全スタッフのチャレンジ精神がグッと高まり、すべての面で質の向上につながっているし、失敗から学習したことが力になった
 
 ──今期は「世界一の質」を掲げる。
 
 「『世界一の質』を基準に仕事を進める。といっても、コストのかかることだけが求める質ではない。笑顔や接客態度を含めて各スタッフが『世界一の質』を意識することが大事で、『凡事徹底』と言い換えることもできる。つまり、誰でもできることを、誰もができないレベルまで突き詰めるということ。他社や競争相手が真似できない水準まで何かをサボらずにやり続ける中で、すべてのスタッフがそれぞれの答えを見つければいい
 
 ──服への支出が減ったと言われているが。
 
 「想定内のことで驚きはない。当社のターゲットである40代以上の女性にとって、欲しい服がないのではなく、高かったのだと思う。若者の服は安くて買いやすく、婦人衣料も価格が下がることは目に見えていた。ネット社会の中で、情報の伝達速度は非常に速い。一昔前であれば、若者に流行っているものが百貨店などの婦人衣料に影響を与えるのは3~5年かかっていたかもしれないが、今は瞬時に伝播する。ファッション離れは若者世代にはとっくに起きていて、マダム世代に波及するのも当然の流れ。これまでマダムは服を買うのに若者よりも余分にお金を払っていた。長生きして楽しく暮らすには服以外にもお金を使う先が出てくる。ただ、服を買わないかと言えば、そんなことはない。価値のあるものは欲しくなる
 
 ──マーケット自体は縮小している。
 
 「現在、当社がターゲットとしている婦人衣料の市場は約6兆円で、これがデフレの影響などで4兆円に減ったとしても、10%獲得できれば4000億円だ。その水準はともかくとして、1%のシェアでも400億円になる。この規模感は当然狙っていかないといけない

 ──今期の計画は。
 
 「グループ売上高の目標は189億円だ。8~11月までの出だし4カ月間は計画比で上ブレしている。とくに、利益面はかなり順調に推移している。前期、前々期は過剰在庫だった。過剰といっても一般的なアパレル企業の平均的な在庫水準だが、当社の場合はキャッシュがないため、在庫の回転率を上げないといけない。この2年間は少しマージンを削るなどして在庫圧縮に努めた。商品を最高値で最短で売り切るのがベストだが、まだまだ甘い部分がある

 ──店舗の拡大もあり、在庫の圧縮は大きなテーマだ。
 
 「店頭ではシーズンオフのタイミングでセールを開催していたが、それをやめて、各商品の売り切るタイミングを先に決め、そこから逆算して販売している。毎日、毎週、進捗状況を確認して計画に達していなければ値下げしたり、特集企画を組んだり、プロモーションをかけて売り切る。前期から、すべての商品を対象にこの取り組みを始め、スタッフの意識も変わった
 
 ──1シーズン当たりの展開商品数は。
 
 「『ドゥクラッセ』は約400型、『フィットフィット』は30~40型を展開している。型数は多いわけではないが、色とサイズのバリエーションが豊富だ。色やサイズごとに売れ行きも異なる。今の受注システムは特定の色だけ価格を変更することはできないが、来年5月をメドに新システムを導入する。そうなると、色別などきめ細かく対応できるようになる
 
 ──商品単価の推移については。
 
 「価格が安いものにヒット商品が生まれやすく、平均単価も引っ張られて下がっている。カテゴリーごとの価格帯は最初に決めたときから大きくは変わっていないが、アイテムごとに消費者が価値を感じるドンズバの価格というものがあり、『これなら良い価格』と思ってもらえる商品はものすごく動く。そういう価格で提供できる商品が増えたことも単価下落の要因のひとつだ
 
 ──通販チャネルの成長率をどう見ている。
 
 「3年後に300億円を達成するのには店舗事業を拡大する必要があるが、通販チャネルについても、もっと伸びる要素が出てきている。例えば、以前は7900円でしか提供できなかったニット商品が3900円や4900円で販売できるようになった。ニットやカットソーなどで価値のあるアイテムを手にとりやすい価格で提供できると、通販チャネルでは驚くほど商品が動く。スケールメリットや協力工場との出会い、工場側の取り組み、糸の開発などさまざまな要素が結びついて安く提供できる商品が増えた。通販は平均18%成長を計画していたが、もっと伸ばせそうだ
 
 ──メンズ商材については。
 
 「これまで『ドゥクラッセ』のメンズは型数を絞って展開していたが、今後は増やしていく。メンズの市場はカテゴリーキラーのブランドが多い上に、アイテムの種類は女性よりもかなり少ない。通販チャネルよりも実店舗の方が利用頻度は高いと見ていて、メンズの店舗を増やしていきたい。現状、メンズとレディースの売上高構成比は1対7くらいの差があるが、3年後には1対5に、つまりメンズの構成比を20%まで高めたい
 
 ──今後の課題は。
 
 「継続的に物作りの能力を高めていくことと、人材育成や仕事の進め方でチェーン・ストア・オペレーションのように回していくノウハウを身に付けることも必要になる。事業としては、いろいろなことに手を出さず、なるべくシンプルにいきたいと思っている
 
 ──外国人留学生の採用も進める。
 
 「外国人留学生の存在は日本人スタッフの刺激にもなる。日本人とは異なる発想が得られ、異文化による摩擦が新しい価値を作る。また、今後の海外進出を考えるときに語学力があって発想が異なる留学生を採用することは意味があるし、そうしたスタッフがいないと海外展開もできない。来期以降、採用枠のうち25%くらいは外国人でもいいと思っている



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