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千趣会 新生「ベネビス」の出だし好調、共同ブランドの強み発揮へ

0111.jpg 千趣会は、オリジナルの婦人靴ブランド「ベネビス」を今秋冬から刷新し、Jフロントリテイリングとの共同ブランドとして8月31日から大丸松坂屋百貨店の9店舗で販売を始めた。店舗展開に合わせて、履き心地に一層こだわった新ラインを投入したほか、外部の視点を取り入れてデザイン性も高めたことなどで、百貨店での販売は出だし好調のようだ。一方で、来春を新生「ベネビス」本格デビューのシーズンと位置付け、さらなるデザイン面への投資やオムニチャネル化施策にも力を注ぐ。

0116.jpg 「ベネビス」は、「足が痛くなるので職場では靴を履き替えている」という女性顧客の声を受け、1989年に千趣会がオフィス用シューズブランドとして開発した。以来、"女性のための足に優しい靴"をキャッチコピーとし、定期的にモニター会や試し履き会を開催するなどして、履き心地とデザインにこだわった靴の開発を続けてきた(図表を参照)。

 千趣会では、昨年4月に資本業務提携を結んだJフロントリテイリング(JFR)、との協業の一環として、千趣会の商品開発力や通販チャネルにおける販売ノウハウと、JFRが持つ店舗開発・運営の知見を相互活用するために差別化商品の共同ブランド化を推進。今年3月に千趣会の50代向け婦人服ブランド「ケイカラット」を共同ブランドとしたのに続く第2弾が、年間45万足、約30億円を売り上げる「ベネビス」のリニューアルだった。

 「ベネビス」は、コンフォート(快適さ)とデザインを両立させたブランドではあるものの、ブランド誕生のきっかけが顧客の足の痛みや履き心地を考えたものだったため、「例えば、商品の開発時にデザインと履きやすさの二者択一を迫られた場合は、必ず"履きやすさ"を優先してきた」(馬渕恵治ファッショングッズ開発1チーム/2チームマネージャー)。

 ただ、ブランドを刷新するのに当たっては、アパレル業界で活躍する外部ディレクターが商品デザインを監修。従来の履き心地、快適さを損なうことなく、踵の形状を工夫したり、インソールの色を変えるなどしてデザイン性を高めた。

 アパレル業界のディレクターを起用したのは、ファッショントレンドの流れやスタイルを熟知した上で、トータルファッションとして靴のデザインを評価できると考えたからで、今秋冬シーズンに展開するシューズのうち、履き心地をもっとも重視した定番品などを除く約半数で何らかのデザイン面のリニューアルを行っているという。

0114.jpg 同時に、「ベネビス」の商品群をライン別に分類し、カジュアルラインとエレガントラインを展開。靴の特性に合わせて2種類のインソールと、すべての靴に歩行時の衝撃軽減機能を備えた高反発クッションを標準装備した。さらに、上位ラインとしてプレミアムラインを投入。新たに開発したインソールで足のアーチ形成をサポートし、美しい歩行を助ける「美歩行(びほこう)」シリーズを販売する。

 また、今回の共同ブランド化に合わせて、「ベネビス」のロゴやコンセプトカラーも変更した。この2年間ほどは「ベネビス」の商品と顧客の幅を広げる観点からカジュアルゾーンの展開に力を入れ、ブランドのロゴを大文字の「BENEBIS」から小文字の「benebis」にしていたが、百貨店での販売を始めるのに当たって従来の大文字に戻し、改めて働く女性をメインターゲットに据え、"パンプスのブランド"としてのブランディングを強める。

百貨店店頭は計画比3割増

 新生「ベネビス」は8月31日から、大丸の心斎橋店と京都店、神戸店、梅田店、東京店、札幌店、松坂屋の名古屋店と上野店、静岡店の9店舗で販売を開始した。

 通販チャネルは、千趣会の通販サイト「ベルメゾンネット」と通販カタログで展開するほか、大丸松坂屋百貨店の通販サイト「クリック&コレクト」でも、店頭取り扱い商品に限って9月中旬から販売を始めている。

 千趣会の通販チャネルでは全商品を販売するが、百貨店店頭では従来のカタログ販売商品を中心に、プレミアムラインを組み合わせ、全型数の約半分を投入する。

0113.jpg 9店舗のMDはすべて同じで、各店で240フェイスを展開する。通常、婦人靴売り場でひとつのブランドが展開するのは60フェイス程度と言われるが、大丸松坂屋百貨店が展開していたオリジナルブランド「ディセットディセット」の婦人靴の売り場スペースなどを活用することで、「ベネビス」は約4倍の展開数となったようだ。

 また、百貨店の婦人靴売り場では22・0~24・5センチまでの6サイズ展開が一般的だが、「ベネビス」は通販チャネルと同じ21・5~25・0センチまでの8サイズを展開。小さいサイズや大きいサイズの顧客開拓も狙う。

 VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の面でも、サイズ展開の豊富さをアピールするため、大丸東京店などでは8サイズを縦に並べられる什器を導入した。同店では9月14~27日まで、エスカレーター近くの企画スペースでプレミアムラインの「美歩行パンプス」を全サイズそろえて紹介している。

0112.jpg また、「走れるソフトパンプス」や「防水&滑りにくい」といったイラスト付きのプレートを設置して、機能別に商品を陳列することで来店客の目をひくとともに、機能を把握した上で好きなデザインの靴を選びやすくした。

 販促面では8月31日~9月13日まで、来店促進策を実施。千趣会では「ベネビス」およびベルメゾンの会員向けメールで百貨店での販売開始を告知し、店頭でメールを見せると10%オフになる取り組みを、百貨店側もカードホルダーへの請求書にチラシを同封し、店頭で提示すると同じく10%引きになるキャンペーンを展開したところ、千趣会のメールを見せて商品を購入した来店客が全体の15%程度いたようだ。

 また、店頭では「ベネビス」を試着した全店合計で先着1000人に微妙なサイズ調整ができるジェルパッドをプレゼントするなどの取り組みを行った結果、8月末から約2週間の販売状況については、大丸松坂屋百貨店の立てた売り上げ計画に対して約30%増で推移。札幌店と東京店はとくに好調で、札幌店は計画比3倍を記録した日もあるという。

来春に本格化オムニ施策も

 千趣会のカタログでは、「ベネビス」が共同ブランドとして刷新したことを巻頭に掲載。大丸と松坂屋の9店舗で販売を始めたことに加え、店舗で展開する商品については誌面にSHOPマークを付けて店頭で手にとれることを説明している。

 カタログも順調なスタートを切っているが、「今秋シーズンはまだ助走期間」(馬渕マネージャー)とし、新生「ベネビス」の本格デビューとなる17年春シーズンに向け、好調店舗の成功事例を横展開するとともに、品ぞろえについては各店の顧客属性に合わせたMDへの移行も視野にある。

 通常、百貨店の平場ではポスターの掲出など個々のブランドを打ち出すことは制限されるが、共同ブランドの強みを生かし、コーナー展開などで「ベネビス」の認知拡大につなげたい意向だ。加えて、店頭でカタログを配布したり、欠品している場合は端末から在庫を確認し、顧客の自宅に配送するサービスの導入などオムニチャネル化にも挑戦したい考え。

 今後、実店舗は百貨店だけでなく、専門店への出店など次の販売チャネルへの展開も模索する。
ウェブ上では「ロコンド」に出店しているが、他モールへの出店も検討している。

 一方、デザインのアイデアソースを増やす目的で、イタリア・ミラノにある靴のデザイン会社と契約。最新デザインを取り入れた靴は17年春に展開を始める予定で、デザイン性でも差別化できる靴を打ち出していく。

「ベネビス」の強みと方向性は?デザイン性も一段強化へ

0115.jpg――「ベネビス」は27年前にスタートした。

 「当時の千趣会はカタログよりも、企業を訪問して料理の本や下着などを毎月販売する頒布会のルートが強かった。そうした中、女性社員の多くが職場ではパンプスを履き替えていたので理由を聞くと、一日中、パンプスを履いていると痛いという意見が多いことが分かった。それならば、一日中、履いていても痛くならないパンプスを作れば顧客の期待に応えられると考え、開発したのが『ベネビス』だ」

――快適さとデザイン性を両立している。

 「その通りだが、顧客の足の痛みといったマイナスの解消を目的に立ち上げたブランドなだけに、これまでは商品開発で『デザインと履き心地のどちらをとるか』という場面に出くわした場合、迷わずに履き心地を優先してきた」

――昨今、快適さを売りにした婦人靴が増えている。

 「確かに、競合ブランドもコンフォートを切り口にした靴を展開してきており、危機感はある。ただ、『ベネビス』は履いてすぐの感覚ではなく、一日中履いて家に帰ってから実感できる快適さを重視している。もちろん、ライバルよりもっと先を行く機能性を追求し、存在感を高めたい。今回、百貨店での販売に合わせて、他社の靴と履き比べてもらうと違いがはっきり分かる『美歩行』シリーズを展開している」

――消費者の声を開発に生かしてきた。

 「モニター会や試し履き会を定期的に開いて顧客の声を聞いてきた。リアルの場だけでなく、ウェブ上の商品レビューも欠かさずにチェックしている。たとえ、ひとりの意見であっても、何か商品に不具合があれば、指摘された商品の出荷を止めて倉庫内の在庫をすべてチェックしている」

――顧客層の特徴は。

 「顧客層は40代が中心で、フルタイムの仕事をしている女性が多い。リピーターも多く、30代から『ベネビス』を履き始めた顧客が40代になっても購入してくれている。そうした根強いファンが一定の割合でいることが、安定した売り上げにつながっている。靴は見た目ではブランド名が分かりにくく、ブランドスイッチされやすいと言われるが、選ばれ続けていることが履き心地に満足してもらえている証だと思う」

――デザインについても投資を行っている。

 「秋号からは外部の目を反映させている。アパレル業界で活躍している外部ディレクターにデザインの監修をお願いした。靴の専門家は社内にもいるが、ファッショントレンドの流れやスタイルを落とし込んだ上で靴のデザインを評価できる人物が欲しかった。従来は履き心地を優先してデザインを犠牲にすることもあったが、秋号からは履き心地はそのままに、踵の形状を工夫したり、インソールの色を変えるなどしてデザイン性を高めている」

――今後もデザイン性の強化に力を注ぐ。

 「17年春シーズンからは、デザインのアイデアソースを増やすために、イタリア・ミラノにある靴のデザイン会社と契約した。当社や取引先メーカーだけでなく、靴の情報が一番早く発信されるミラノにもパイプを持つことで、デザインでも差別化できる。来年春のシーズンにはそうした商品が出てくる」
 

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