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〝バズらせて〟売れ! ネットで拡散しヒットへ

011.jpg ウェブ上で特定のキーワードやニュースなどが爆発的に取り上げられる「バズ」現象。ネット販売への効率的な集客にもつながる手段として、自社メディアなどで「バズられる」記事づくりに取り組む通販企業が増えている。決してプロのライターや大手企業だけにしかできないハードルの高い作業ではなく、身近な気づきやアイデアが注目コンテンツとして"大化け"して、商品の効果的な販促になった事例も多く出てきているという。「バズる」と「売る」をうまい形でつなげることができている通販実施企業各社の事例から、効果的な手法を探る。

バイクブロス、PBならではの「面白販促記事」

012.jpg バイク専門の情報誌発刊や関連用品の通販サイトを運営しているバイクブロスでは、昨年よりプライベートブランド(PB)のネット販売を本格展開しており、発売前から商品開発の現場の様子などを記事コンテンツで情報発信することで多くの関心を集め、その販売数を伸ばしている。

 オリジナル仕様のヘルメットから始まった同社のPBシリーズは、現在約20アイテムを展開。定番品にちょっとしたアイデアを加えた点や、既存品では今まで取り上げられていなかった角度から訴求することで他社との差別化を図っている。

 同社が運営する「通販ブログ」上ではそれらのPB商品について、ユーモアを交えた記事を発売前から時系列に公開して商品の特長を紹介している。自社の裁量の範囲で比較的自由に宣伝ができるPB商品ならではのメリットを生かし、通販担当部署自らがアイデアを企画してブログ記事を作っているという。

 直近の事例として成功したのが、8月10日に発売した指先の「内縫い」や手のひらの「シャーリング(握りやすくした生地の加工)」などを特徴に持つバイク用の「オリジナルグローブ」。使用時のフィット感やウインカーなどのスイッチ類の操作のやりやすさをアピールするため、同グローブとヘルメットを装着して人気のオンラインゲームを遊んでいる様子の記事を画像ともにブログ上で公開した。記事ではグローブのままでもコントローラーのボタンをスムーズに押せる様子を分かりやすく示したところ、見た目のインパクトもあってバイクユーザー以外も含む多くの閲覧数を獲得。公開後からネット上で大きな話題となった。

 「その時に検索キーワードが上昇していた人気ゲームを選んだことも、うまく『バズられる』きっかけになった。まず、この記事自体への興味からサイトに来て、グローブを購入したというケースもあったのでは」(同社)と分析する。結果的に発売当日から他の商品以上に注文が入り、その後も勢いが落ちることなく受注が伸びているという。

 これは商品の性能を示した内容の記事だったがそれ以外の商品についても過去には、梱包した際の荷姿や商品に自作のラベルを張っている現場での"内職作業"の様子などを公開。発売までの現場の地道な作業の様子一つ一つも無駄にすることなく、顧客の興味をひく面白みのあるコンテンツとして活用している。

 商品の基本スペックなどについては同社のバイク雑誌の一部ページを使っても宣伝しているが、ブログやSNSの記事に関しては、それよりも砕けた内容で遊び心も取り入れながら拡散を狙う内容にしているものが多いという。「ウェブの記事ではまずは『こんな商品があったらいいな』と顧客に問いかけ始め、次に試作品を紹介する。そして完成に至るまでの状況もちょっとずつ出して見せながら興味を持たせている」(同社)と説明。雑誌のページなどとは立てつけも異なるため、顧客との距離を縮めるツールとして活用し、現場の臨場感を上手く映し出して情報を拡散する役割を期待しているようだ。

 今後については動画を使ったコンテンツ作りも検討。マフラー類などバイク用品ならではの「音」から商品を選べるようなニーズにも対応して、より多くの人に閲覧されやすい内容へと進化させる考えだ。

ニッセン、ツイートされるきっかけにコラボ

014.jpg ニッセンでは、公式ツイッター担当の「スミス」さんが名物キャラクターとなっており、スミスさんのつぶやきがきっかけで商品が生まれるケースもある。最 も大きな企画となったのが、人気小説「銀河英雄伝説」(銀英伝)に関する商品だ。「スミス」さんが銀英伝のファンということから始まったもの。スミスさん とユーザーとの何気ない会話に、銀英伝の作者である田中芳樹さんの事務所代表安達裕章さんが返信し、コラボ企画として「わが征(ゆ)くは星の通販」がス タートした。

 最初に発売したのは、スマートフォンケース3種類、ワイングラス2種類、Tシャツ2種類の合計7種類。スマートフォンケー スは白・赤・青で、銀英伝の主人公らをモチーフにデザイン。ワイングラスは加工が難しい樽型の立体曲面にレーザーカットで紋章を刻み、色付けは職人が全て 手作業で行った。Tシャツも銀英伝の登場人物をイメージしたものとなっており、作中のセリフなどをデザインした。14年9月1日に売りだしたところ、わず か20分弱で注文が初回入荷在庫数に達するなど人気を呼んだ。

 その後もコラボ商品を販売してきたが、今夏には最後の商品として、シャープのロボット掃除機「ココロボ」の銀英伝コラボ「わが友Ver.」の予約受付を通販サイトで実施(=画像)。価格は税別12万円、限定200台で7月14日から8月8日まで受け付けた。

  ココロボは音声操作や会話ができるロボット掃除機で、これまでもアニメやゲームなどをコラボした商品を発売してきた。今回の銀英伝バージョンは、主人公の 一人である、ラインハルトの親友という設定のキャラクター「キルヒアイス」をイメージしたもの。アニメの銀英伝でキルヒアイス役を演じた、声優の広中雅志 さんが全セリフを録り下ろしており、新たに収録した音声によるコミュニケーションができる。また、製品のデザインは、キルヒアイスが載る宇宙戦艦「バルバ ロッサ」のアニメ版デザインをモチーフとした。

 なお、同商品の売れ行きや銀英伝コラボシリーズ全体の売れ行きなどについて、親会社のニッセンホールディングスに問い合わせたところ「ノーコメント」(広報IR部)との回答があった。


バズフィードジャパンの上野正博社長に聞く「バズる記事の条件とは?」

「ネタが面白くなければシェアされない」

013.jpg 「編集記事でも広告でも我々が常に考えているのは"ネタ"。ネタが面白くなければネット上で"シェア"されない」。

 「見る人によってドレスの色が"白と金"、または"青と黒"かと判断が分かれる1枚の写真」の記事など日本を含め、世界中のネットユーザーの話題を集める"バズる記事"を多く配信することで知られる米国発のニュースメディア「BuzzFeed」の日本法人で今年1月からは「日本版BuzzFeed」を立ち上げ、日本向けに国内外の記事を配信するバズフィードジャパンを率いる上野正博社長はインターネット上で広く拡散される記事の条件についてこう話す。

 上野社長によると、日本で展開を始めたこの8カ月間の進捗について「重要な指標として見ているユニークビジター数およびコンテンツビュー数は当初の計画値よりも早く達成しており、順調だ」という。競合ひしめくネットメディアの中で、後発ながらそうした一定の成果をあげられた理由の1つは、やはり、"バズる記事"の存在だという。

 記事は日本の編集部が主導となって取材執筆を行うが、米社をはじめとする世界各地の「BuzzFeed」で蓄積してきた"バズる記事"のデータなどを活用して、福島原発のルポなどのシリアスな記事から、米バズフィードなどでも人気のある「『今晩、○○○?』 90年代のドラマのサブタイトルわかるかな?」といったクイズ形式の記事や「IKEAに行ったら絶対買う! 300円以下の定番雑貨10選」など、ちょっとした移動時間で閲覧できたり、話のネタになるような「定番フォーマット」の手軽な記事も日本でも人気を集めているようだ。

 「BuzzFeed」では編集記事のほか、ネイティブ広告(広告記事)も配信しており、これが主な収入源となっている。強みは編集記事で蓄積した"バズる"ためのノウハウや手法を広告にも転用できる点だ。編集部は中立性の観点から広告記事の作成にはタッチしないが、「編集記事でも広告でも重要なのは笑えたり、知的好奇心をくすぐり、人に教えたくなるネタだということ。どういったコンテンツがシェアされ、拡散されるかというナレッジを広告コンテンツの制作チームと共有している」(上野社長)という。あからさまな商品説明などはせず、ネットユーザーに敬遠されがちな広告色は最小限に抑えて、例えば編集記事でも人気の高いフォーマットを使って作成したりしつつ、効果的にインターネット上での拡散を図るという。米社の事例ではバスケットボールシューズのメーカーが「バスケットボールの超絶トリックプレー14選」を、自動車メーカーが「普通じゃない」をキーワードに世界の絶景を集めた記事広告を作成し、自社の商品をうまくPRしているようだ。

 日本でも秋口から広告事業を本格化させる予定でそれに先駆けて一部の広告主を対象に営業を始めており、8月末からは広告掲載を開始した。まずは「○○の10選」などのテキストベースのネイティブ広告からスタートした。なお、スタート時点での広告料金は2記事作成(最低7万5000のビュー保証)で400万円強、3記事作成(最低13万のビュー保証)で約650万円のようだ。テキストべースだけでなく、制作体制が整ってきた段階で米社などでも人気の動画を使った広告制作にも着手する考えだ。

 こうしたバズフィードの広告は商品やサービスの販売に直接つながるネット上では主流のダイレクトレスポンス型広告とは異なるが、テレビメディアなどでは近年、リーチしにくい30代以下の層にも訴求できることや、拡散次第では非常に範囲に広くリーチできる利点もあり、米社では大手ネット販売事業者を含めて様々な企業で活用されているよう。バズる記事の知見を活かした広告は日本でも成果をあげることができるか。日本版バズフィードのネイティブ広告も注目されそうだ。







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