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本紙調査・2015年のTV通販市場は? 主要30社売上合計・5200億円超と前年並みに 〝オムニ化〟進む

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本紙が調査した2015年度(2015年6月~2016年5月)のテレビ通販実施企業の主要上位30社の売上高合計は前回調査比で微減の5223億円だった。市場をけん引する上位勢はいまだ堅調ながら、各社とも時代の趨勢などからオムニチャネル戦略を推進しており、テレビ通販だけでなく、ネット販売や卸売など他のチャネルの活用も積極化して全体で業績アップを図る傾向が顕著となっており、テレビ通販単体の売上高は相対的に目減り傾向となっているようだ。注目すべき事業者の動向を振り返りつつ、2015年度のテレビ通販市場の動きを見ていく。

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通販専門放送局は増収をキープ

 各社のTV通販売上ランキングでまずは上位グループの中で注目すべき、企業を見ていく。今回の調査でも1位および2位となったのは通販専門放送局を運営するジュピターショップチャンネル(JSC)とQVCジャパンだ。 

 JSCの2016年3月期決算は売上高が前年比2・1%増の1394億9400万円だった。前期は地上波デジタル化後もケーブルテレビが実施してきた「デジアナ転換」(※デジタル放送をアナログ方式に変換し再送信するサービス)が終了し、視聴者の離脱が懸念されたが前年から引き続き、商品力や番組力、オペレーション力の強化などが売上増に貢献。また、年間で最も高い日商となる11月1日放送の開局記念特番の売上高も過去最高額の14億円を超えるなど好調だったほか、春の「春いちばん祭」、夏の「さぁ、買いま初夏(しょか)!」、また、家電に特化した「家電祭」など各種特別編成番組の売れ行きも好調で創業以来の連続増収をキープした。

 QVCジャパンの2015年12月期の売上高は前年比0・1%増の963億円(本紙推定)程度だった模様。前年比では増収となったようだが、2013年12月期に計上した売上高1000億円の大台には今回も到達できなかったようだ。前期は米QVCの売れ筋化粧品ブランドや水素水生成機など積極的に投入した新規取扱商品・ブランドなどが主に既存顧客の購入意欲を刺激するなどして売れ行きをけん引、微増ながら増収で着地した模様。なお、QVCグループでは前期中に従来までローカル子会社による独自展開を進めてきた方針を転換し、グローバル戦略の強化を進めている模様。これを受けてQVCジャパンでも前期から他国のQVCでの売れ筋の積極的な投入などを推進し、グループの新戦略に合わせた事業展開を進めているようだ。
ジャパネット、OLMも堅調に

 上位の有力テレショッパーも総じて順調に売り上げを伸ばしている。

 3位のジャパネットたかたの2015年12月期の売上高は前年比1・3%増の1559億1400万円だった。売上高のうち、テレビ通販の売り上げはおよそ3割弱と見られ、415億円で着地した模様だ。創業者の髙田明氏の長男を新社長とした新体制で臨んだ初めての期だったが掃除機やタブレットなどの売れ筋のほか、夏場には特にエアコンの売れ行きが伸びるなどで全体をけん引した。また、60秒や90秒の短尺通販枠の積極的な展開や前々期末からスタートさせた首都圏を対象とした当日配送サービスなども売り上げアップに寄与しているようだ。

 4位のオークローンマーケティングも順調に売上高を伸ばした。2016年3月期決算は売上高が前年比9・0%増の666億4900万円(連結ベースでは680億3200万円)。腹筋運動器具「ワンダーコア」やフライパン「セラフィット」などの売れ行きが引き続き好調だったことに加えて、近年、注力して取り組んできたオムニチャネル戦略とブランディング戦略の強化が奏功。既存のテレビ通販チャネルだけでなくスマートフォンを中心としたネット販売や商品卸先の店舗店頭でも広く商品の拡販が進んだ。そのため、総売上高に占めるテレビ通販の売上シェアは前年のおよそ半分から4割弱となり、売上額ベースでは265億2600万円程度となった模様。

 5位のテレビショッピング研究所の2016年3月期の売上高は前年比41・3%増の299億6600万円と躍進した。売れ筋の「ジニエブラ」のほか、調理器具やスチーマーなどの人気商品の売れ行きが好調だった模様。総売上高のうち、およそ8割程度がテレビ通販(ネット販売などの直販を含む)の模様で2400億円前後と見られる。「ディノス」が2割増と躍進

 在京テレビ局が手がける通販事業が核となっている中位グループでは筆頭の9位のディノス・セシールが主力の平日午前枠を軸に独自の立体的な振動による高い運動効果のある運動器具「3Dエクサウェーブ」をはじめ、美容機器や掃除機などの売れ行きが伸び、売上高は前年比で2割増の126億3500万円と好調だった。

 13位の日本テレビ放送網は美容関連商材などの売れ行きが好調だったことに加えて、期中に放映した人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」を起用した深夜枠の特番が一定の成果をあげものの、平日午前の主力枠や深夜枠、BS枠での通販枠が減ったことや暖冬の影響で寝具や暖房器具、カニなどの季節商材の売れ行きが鈍かったことなどで売り上げは前年を下回り、前期の通販売上高は前年比2・6%減の88億4200万円だった。

 14位のグランマルシェは掃除機や痩身サポーターなどの売れ行きが堅調だったことに加えて、主力の平日午前枠の復調や近畿圏を放送エリアとする有力TBS系列局との共同通販事業の取り組みがより進捗したことなどでテレビ通販(「テレビ通販」の約64億円と「系列局との共同通販事業」の約20億円との合計)売上高は同10・5%増の84億円(本紙推定)で着地。

 16位のテレビ東京ダイレクトも主力の平日午前枠が引き続き好調でフライパンや電気圧力鍋などの調理器具のほか、掃除機や貴金属、高級布団などの比較的、高額な商品の売れ行きが伸び、通販事業(通販枠の販売を含む)売上高は同7・0%増の82億5300万円に。

 17位のロッピングライフも主力の平日午前枠が復調したことなどに加えて、掃除機、貴金属など高額な商品の動きがよく、番組グッズなどのネット販売を含めた通販売上高は同8・0%増の77億1800万円と堅調に推移している。

富山常備薬は引き続き高伸

 20位前後の下位グループで目立つのは19位の富山常備薬グループ。同社はシミに効果があるという医薬品「キミエホワイト」を軸に急激に出稿量を増やし、2015年8月期の総売上高は前年比78・3%増の88億6500万円と驚異的なスピードで売上を伸ばし続けている。なお、前期のテレビ通販の売上高はそのうち、7割程度と見られる。「リョウシンJV錠」など次なる主力商品の育成も順調に進んでいると見られ、今期(2016年8月)は100億円を超える売上高を見込んでおり、今後も注目されそうだ。

 このほか、老舗通販会社の通販事業「日本直販」を傘下に収めたものの、その後、シナジーがいまいち見出せておらず、目立った動きが見えない20位のトランスコスモス、ダイエット食品「美禅食」ほか、化粧品やヘアケア商品のインフォマーシャル展開を積極化させてきた25位のドクターシーラボなどの今後の動きも気になるところだ。

テレビ通販もオムニ化がカギ

 今後のテレビ通販市場は各社でより多チャネルを活用した営業活動、つまりオムニチャネル化が他の小売り同様に進んでいくものと見られる。すでに上位勢ではその動きは顕著だ。

 JSCは通販サイト専用の生番組配信の実施や株主のKDDIと組んで、「au」の店舗で専用端末による"バーチャル試着"などを展開。次の一手を模索しているようだ。

 ジャパネットたかたは今夏から通販サイトを大幅に刷新、取扱商品を600点弱に絞り込んだ上で紹介する全商品に45秒の商品説明動画をつけたり、商品の設置や下取り、代金の分割払いなどのサービス説明に関する説明動画もアップしたりして買い物時に生じがちな疑問に対応した。また、9月下旬には福岡市内に初の実店舗を開設。テレビ通販などで販売する商品の試用や貸し出し、売れ筋商品やアウトレット品の販売のほか、番組収録の疑似体験ができるスタジオ体験スペースなども設け、「顧客の声」を収集、通販や商品開発に活かす狙いだ。

 OLMはすでにテレビ通販のほか、ECや卸など他チャネルで展開したり販促を行うオムニチャネル戦略を成長戦略の中軸に据えて展開中で実効を上げているし、テレビショッピング研究所でも店舗や専門チャンネルへの卸展開など自社通販チャネル以外の販路の拡大を本格的に進めている模様だ。

 テレビ通販単独の展開よりもテレビ通販を軸にどう売り上げを伸ばしていくかがテレビ通販実施企業各社の課題になりそうだ。
【表の見方】
2015年度のテレビ通販市場調査は2015年6月~2016年5月までに決算期を迎えたテレビ通販実施企業主要上位30社のテレビ通販売上高を掲載した。テレビ通販をメーンとする通販実施企業であっても極力、カタログや新聞、チラシ、インターネット経由の通販売上高や店舗販売、卸売販売を除いた「テレビ経由の通販売上高」を掲載した。

 表中の「占有率」は総通販売上高または総売上高に占めるテレビ通販の売上高のシェア。表中の「◎」は以下の条件がある。(○内の数字はランキングの順位)

(1)ジュピターショップチャンネルは催事販売、ネット販売を含む総売上高
(2)QVCジャパンは催事販売、ネット販売などを含む総売上高
(3)ジャパネットたかたは地上波、衛星波のテレビ通販売上高の推定値
(5)テレビショッピング研究所は卸販売の除いたネット販売なども含む通販売上高
(9)ディノス・セシールは「ディノス事業」におけるテレビ通販売上高。テレビ通販経由のネット販売の売上高を一部含む
(11)トーカ堂は総売上高の推定値
(13)日本テレビ放送網はネット販売などを含む通販事業部門の総売上高
(14)グランマルシェは自社テレビ通販およびラジオ通販を含む系列局との共同通販事業を加えた推定値
(16)テレビ東京ダイレクトは通販枠販売を含む通販関連総売上高
(17)ロッピングライフはネット販売などを含む総通販売上高
(18)アクセルクリエィションは総売上高の推定値
(20)日本直販はカタログやチラシの通販およびネット販売を含んだ総売上高の推定値
(26)ジェイシークリエイティヴはカタログ通販や広告代理店業を含む総売上高の推定値
(28)通販王国は総売上高の推定値
(29)センテンスはテレビ通販以外のチャネルを含む総売上高の推定値
(30)関西テレビハッズはカタログなどテレビ通販以外のチャネルを含む総売上高の推定値



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