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消費者庁・強権路線の破綻③ 特商法国会審議に影響も、〝天下り要求〟火消しに走る

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「破綻」とは、物事が成り立たなくなることを意味する。であれば規制官庁たる消費者庁が本来備えるべき真摯さを忘れ、その強力な権限で企業に見返りを求めれば、それこそ"破綻"の危機に瀕しているといえないか。消費者庁は3月、執行部門の課長補佐級の職員が規制対象の企業に"天下り"を要求していたことが発覚した。加えてこの違反を庁自ら認定できず、再就職等監視委員会が違反の事実を公表した。

トップタイ

 「消費者庁は農林水産省と並びトップタイ」
。消費者庁担当のある記者はこう話す。職員による天下り要求のことだ。2012年に発足した監視委はこれまで計6件の違反行為認定を行っている。このうち消費者庁は2件を占める。まず問題を振り返りたい。

 この職員は執行部門に在籍した12年から14年、複数の企業に「あと2年で定年退職」などと発言、利害関係企業に天下りを要求していた(=表)。

 昨年10月、消費者庁自ら監視委に報告、調査を始めた。ただ、執行の実務で中心的役割を果たす人物でありながら庁自ら違反認定できなかったことに監視委が納得せず、調査に乗り出した。在職中、人事課に再就職規制を再三照会、また再就職先の公表(課長補佐級は公表)が避けられる再任用後、等級を落とし天下り交渉を具体化させたことにも「利害が見えやすく確信犯的。求職を窺わせる十分な証拠を入手しながら積極的に解明しなかった」(監視委)と、消費者庁の対応を批判した。

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 昨年10月には長官自らの違反行為も発覚した。阿南久前長官(写真)が退職前に雪印メグミルクの企業倫理委員会委員に就くことを約束したことだ。この件を受け、板東久美子長官は、「結果を重く受け止め、再発防止を組織として考える」と話していたが、その舌の根が乾かぬうちの出来事だった。

浮上する「M氏」

 発端となったB社への天下り要求は12年8月から12月初旬。この間に行政処分を受けたため絞り込みが可能だ。処分は景品表示法が11件、特商法が8件。複数社から「うちにそんな話はないが執行権限を振りかざしておいてひどい」といった声が聞かれたものの連絡のとれない企業もあり、確定には至っていない。ただ、特商法絡みである企業が浮上している。

 加えて、この職員も特商法を所管する同庁取引対策課に所属した「M氏」であるとの話が広がっている。消費者庁に近いある関係者は、「取引対策課の課長補佐として執行を担当していた」と話し、別の関係者も「確証は持てないが、取引対策課と聞いた」と漏らす。

 A社は行政指導のため端緒が掴みづらい。が、なぜこれほどまで情報が出てこないのか。前出の関係者は「消費者庁がこの件を巡り火消しに走っている」と話す。どういうことか。

 「件の職員が関係した特商法はまもなく参議院で改正審議が始まる。非常に重要な時期だが、この職員の問題が炎上すれば改正審議が吹っ飛びかねない」というのだ。冒頭の記者は「発表は内閣府。そちらからやれとは言われた」と話すが、結果として報じたのも共同通信と朝日新聞のみだ。

規制官庁の"軽さ"

 当事者はどう答えるか。特商法を所管する取引対策課に「M氏」の確認を求めたが「この件は人事課が担当」と取材に応じてもらえなかった。人事課の回答が難しい改正審議への影響を聞きたいと説明しても「人事課」の一点張り。人事課は「名前を聞いても答えられない」と口を閉ざす。

 ということでかつて庁を代表する立場にいた阿南前長官にも見解を聞いてみた。

 自らの違反は「もともと消費者団体所属の時代に雪印メグミルクの外部委員会に参加しており、また来てくれと。だから再就職と思ってない。説明も受けておらず、河野太郎大臣も『民間の人が知らないのは当たり前。説明しなかった庁側に責任がある』と言ってくれた」との見解。一方で今回の件には、「その方の場合は自分から。私の場合は向こうから要請があった」「国家公務員の人は意識をもってもらう(必要がある)」と違いを強調しつつ指摘。消費者庁にも「民間は任期2、3年でまた再就職しなければならない。民間登用するなら十分説明すべき」と注文をつけた。
 違反は、在職中に判明すれば懲戒処分。利益誘導など不正行為が伴えば退職後でも3年以下の懲役など刑罰が科される非常に重いものだ。阿南氏は12年から2年間、消費者庁の代表を務めた。その人物をもってこの見識。まじめに職務を全うする職員は浮かばれないが、消費者庁の存在意義が問われている。
(④につづく、前回の②はこちら


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