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"顧客の声"の活かし方とは?

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日々、顧客から寄せられる自社の商品・サービスについての意見や要望、クレーム。これらは通販事業者にとって対処すべき課題である一方、きちんと向き合い、迅速に解決・処理することができれば顧客満足度やサービスレベルの向上につながる"宝の山"でもある。通販事業者にとって永遠のテーマとも言える「"顧客の声"への対応」について注目すべき通販各社の施策とその状況について見てみる。(詳しくは4月25日発売の本紙姉妹誌「月刊ネット販売」5月号の特集1参照)

らでぃっしゅぼーや 意見・要望を共有、改善を実施

食材宅配のらでぃっしゅぼーやは昨年9月から、顧客の声を活かした商品やサービスの改善に取り組んでいる。改善したものは自社サイト上で紹介し、改善ができなかったものはその理由を共有する。顧客対応部門の担当者が顧客から直接、要望を受けた場合に「できない理由」を回答できるようにし、顧客対応の質の向上につなげている。

 同社では国枝俊成社長が「顧客の期待に応える商品やサービスを提供することを目指す」として、そのための基本的な考え方となる、顧客の意見や要望、担当部署からの提案をもとにした改善を進める方針「CS宣言」を発表した。それに合わせて、全ての分野において顧客の意見や要望を活かした取り組みを推進し始めた。

 まず、サービスセンターに寄せられる毎週120~200件未満の意見や要望を集約し、社内で共有化する。グラフを使って件数の推移や変化を示し、週ごとの特徴について画像などを使ってわかりやすく解説。これ踏まえて、担当する部門に向けて改善提案を行うようにした。

 改善提案を受けた部門は結果を報告するように体系化した。「改善できないものはその理由も聞く」(同社)という。顧客との接点の1つである配送スタッフが訪問先で同様の意見を聞いた場合に、対応できない理由や背景を顧客に伝えることができるためだ。「できない理由を現場に戻したい」(同)という。

 あわせて、録音していた顧客の声を社内で共有する「モニタリング体験」もスタート。「困り具合が良くわかるもの」を中心に毎月2本を選び、社長を含めた全社員が生の声を聞く機会を設ける。具体的な顧客像を持ち、箱を開けた瞬間をイメージして商品やサービスの改善を行えるようにした。
「冷凍パン」の  包装と説明を改善

 実際に改善したものの1つが「冷凍パン」の表示だ。顧客から「スターブレッドという冷凍のパンの解凍方法の記載がない。食べ方がわからない」とする意見があった。同様の意見はこれを含めて2件寄せられていた。

 ただ、表示の変更は簡単ではなく、パッケージジのスペースに限界があった。加えて、冷凍したまま販売しているのはらでぃっしゅぼーやの1社だけだった。一度は「改善できない」とする回答をメーカーから得ていたという。

 担当部門からはこうした報告を受けたものの、顧客にとって、冷凍パンを購入する機会は少なく、美味しく食べてもらうには解凍方法を説明する必要があると分析。メーカーには、顧客においしく食べてもらわなければリピート購入につながらないなどと説明した。

 こうした交渉が奏功し、2月から商品パッケージを切り替えて販売。個包装のパッケージに、解凍方法として、電子レンジのワット数や秒数を記載したという。

 今回の冷凍パンに関する顧客の意見は、「モニタリング体験」の題材としても活用。他の種類の冷凍パンを扱っており、解凍方法が分からない顧客がいると予想したためだ。冷凍パンの商品ページでは解凍方法について説明するようにしたという。「顧客対応を自分の業務のひとつとして考えてもらうきっかけになった」(同)とした。

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ルクサ 客と店舗の間でトラブル解消

ルクサが運営するタイムセール通販サイト「ルクサ」では、飲食店やエステサロンの割引クーポンを扱っており、このほかに家電、雑貨などの物販も行う。同社に寄せられるクレームや問い合わせの中で代表的なものに店舗の対応に満足できないというケースがある。

 一例を挙げると、美容サロンでサービスを提供する時間が当初の予定よりも短かったという苦情。しかし、ルクサの芹澤有幸カスタマーサポート部長によると、「店舗様からすると『そんなつもりじゃかなったのに』というものも意外に多い」という。

 この美容サロンでの苦情の場合も店舗側としては来店客の体の状態を見て、やりすぎるとかえって良くないと判断し時間を短くしたのだが、それがうまく伝わっておらずクレーム化したという。

 店側は善意でやっていることが誤解されてしまうと、二度と来店されないだけでなく、ネット上で悪く書かれでもすると、店には大きなダメージとなる。そこでルクサが客と店舗の間に入って事態を円滑に進めるようにしている。

 例えば店舗が客に連絡を取りたい場合、ルクサが客に対して「店舗さんに連絡を入れてください」とメールを送る。このように「店舗様が困った際に当社でお客様に連絡をすることでスムーズに店舗様のサービスを受けていただくことができる」(芹澤氏)という。

 ルクサの顧客対応は基本的にユーザーのサポートがメインだが、「これからは店舗様の力になれるかどうかが勝負」(同)。つまり店舗側の「面倒くさい」をルクサが聞き取って対応することで、結果的に「ルクサ」を利用する消費者の満足度向上につながるとみている。

 加えて、ルクサが問い合わせやクレームに関与することにより、トラブルが解決するまでの時間も短縮できる。実際、トラブル発生時に客からの問い合わせを受けて解決までに1週間から10日かかることもあるが、店舗と密に連携をとることで3日程度で解決することがあるという。

 こうして積極的に顧客対応することで、客は「ルクサ」のクーポンを介して店舗のファンになるだけでなく、「『ルクサ』であれば何かあった時も対応してくれる」と同社のファンになってもらうチャンスでもある。「その意味で当社が問い合わせやクレームに対してある程度関与していく意味はある」と芹澤氏は述べる。

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トーキョーオタクモード 海外の声からヒット商品誕生

海外向けに日本のアニメやゲームのキャラクターグッズなどをネット販売するトーキョーオタクモード(TOM)は自社内にカスタマーサポートのチームを構え、海外からの顧客の問い合わせに対応する。TOMのカスタマーサポートのメンバーは4人。それぞれアメリカ、台湾、日本と国籍は異なるが、全員英語はネイティブ並みだ。

 同社は北米や欧州のなど100カ国以上の国々に商品を出荷している。各国から問い合わせが寄せられるが、顧客が最も多いアメリカからの問い合わせが全体の半数ほどを占める。現状、英語と日本語で顧客対応を行っており、問題は解決できている。ただ、時折フランス語やスペイン語などで問い合わせもあるため、将来的にはスペイン語ができる人材を入れる予定だ。

 問い合わせの内容は様々だが、例えば送り先の国の物流に問題があって商品が届かなかったり、あるいは海外発送で関税が掛かってしまった場合などが挙げられる。ほかには、フィギュアの生産が遅れて発送に影響が出ることがある。ユーザーは不安になり「まだ届かない」と問い合わせが入る。その場合はメーカーに直接問い合わせたり、チーム内で情報を入手して、発送が遅れている状況を丁寧に説明する。

 TOMでは毎週、ユーザーから寄せられた問い合わせや意見を社内で共有する。そうした声をきっかけに取り扱いを始めたことで生まれたヒット商品もある。

 それが「アルパカッソ」というぬいぐるみだ。「アルパカッソ」をコレクションしている海外の顧客が「こんなに有名なのに、どうしてTOMで扱わないのか」という問い合わせがあった。

 調べてみると、日本ではゲームセンターなどにあるクレーンゲームの景品。国内の知名度は低かったが、ユーザーからの商品リクエストを受けて投入。その結果、累計販売数が1万個を超えるヒット商品となった。

 ほかにも顧客対応を通じて社内の改善につなげているケースもある。その1つが配送時の箱のサイズ。商品を購入したユーザーから、中身に比べて箱が大きいという指摘があった。

 意見を送ったユーザー心理を推測すると、発送はEMSを使っており重さで送料が決まるが、商品
を受け取ったユーザーは三辺を合わせた箱の大きさで送料が変わると判断した可能性もある。

 TOMでは、仮にそこで不安を与えているのであれば最適な箱に換えて、顧客の満足度を高めるべきだと考えた。そこで今、購入情報が倉庫に届いた段階で商品に合った箱の大きさを指定し、倉庫作業時に適切な箱を選べるような仕組みを構築しているところだ。

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楽天の顧客満足度向上策とは
"星3未満"不満聞き取り

今年1月、レビューで低い評価をしたユーザーに対し、投稿から2分以内にカスタマーサービスが電話をかけて、不満点を聞き取るサービスを始めたことを三木谷浩史社長が明かし、話題を呼んだ楽天。実際にどういった運営をしているのだろうか。

 野原彰人執行役員(=写真)によれば、聞き取りの対象となるのは、ショップレビューの総合評価が星3未満(最高は星5)だった場合。ユーザーへ電話する時間は毎日9時~20時と決まっており、深夜に電話するようなことはない。また、メールで対応するケースもあるという。

 星3未満だったからといって、必ずユーザーに連絡するわけではない。レビュー内容は好評価なのに星は低い場合もあるし、「指定時間に届かなかった」など、配送業者の問題で評価が下がっている場合もあるからだ。

 「明らかに店舗に問題がある件、例えば納期情報が間違っていたり、個数や色を間違えていたりなどが該当する」(野原執行役員)。不満を詳細に聞き取ることで、店舗のユーザーに対するコミュニケーションレベルを上げるのが目的という。

 該当する店舗にはECコンサルタントから連絡する。とはいえ、ユーザーが話していることが100%正しいとは限らない。店舗の言い分も聞きながら、対応策を練るという。「重要な情報を表記する場所を目立つ場所に変えるなど、ナビゲーションの工夫を提案することもある。客観的に見て足りない部分に気付いてもらう」(同)。電話を受けたユーザーからは「もう楽天を使わないつもりだったが、また利用したくなった」といった声が出ているという。

 店舗に大きな非がある場合は、ユーザーにお詫びとして楽天スーパーポイントを進呈することも。また、明らかな嘘など、悪意あるレビューを書き込むユーザーついては、自動的に排除する仕組みを取り入れる。

 ショップレビューの悪い店舗については、一定期間、楽天市場内検索における表示順位を下げる措置を取る。また、不正行為を繰り返す店舗については、退店処分を下すケースもあるという。

 発表時のフレーズが一人歩きしてしまったこのサービスだが、野原執行役員は「2分という時間が重要なのではなく、お客様が不満を感じたタイミングで、その気持ちを聞き取る姿勢を示すことが大切。また、すぐの対応なら連絡も取りやすい。不満点を改善することが本題だ」と強調する。


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