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ユーコー 措置命令巡りメーカー提訴も、「表示主体」巡る判断で企業間対立へ

 4月から景品表示法に課徴金制度が導入される。その中で、これまでよりいっそう深刻な問題として浮上するのが「表示主体者」を巡る問題だ。制度の対象ではないものの、1月末に措置命令を受けた雑貨通販のユーコーは、処分を巡り対象となった製品を製造した家電メーカーの丸隆と法廷闘争に発展しつつある。課徴金制度の導入を受け、これまで以上にさまざまなリスクへの対応が必要になる。

 課徴金制度では、3年を上限に対象商品等の売り上げの3%を課徴金として納めなければならない。課徴金額が150万円未満となる場合は対象にならない。

 1商品への依存度が高い単品通販の場合、課徴金額が高額になる可能性があり、事業の存続が危ぶまれる事態に発展しかねない。一方、多くの商品をラインアップする総合通販や雑貨通販の場合、単品通販よりリスクが大きいのが「表示主体者」を巡る問題だ。その判断は、これまで度々物議を醸してきた。

 過去には、JALUXの企画したレトルトカレーの産地表示を巡り、商品を扱って排除命令(現在の措置命令)を受けたセシールとベルーナが損害賠償を求める訴えを起こしている(07年、請求棄却で決着)。アパレル関連でも衣料品卸の八木通商の供給していたズボンを巡り、販売5社が八木通商とともに排除命令(同)を受けたケースがある。前者は、「卸元」が処分対象にはならず、後者は対象。ただ、いずれも販売者は、確認義務を怠ったとして処分された。

 景表法の性格上、判断がその都度分かれることは避けられない。だが、課徴金で「表示主体者」の問題はより深刻になる。

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091.jpg 1月末、消費者庁の措置命令を受けたユーコーは、これを巡るメーカーの対応を不服として提訴を検討している。措置命令の対象となった商品は家電メーカーの丸隆製の「PM2・5対応プラズマ空気清浄機」(税抜9980円)。2014年5月末から4カ月(広告表示は1カ月)で約2700万円を売り上げていた。ユーコーのケースは、制度導入前であり、金額も少額であるため課徴金の対象にはならない。だが、制度が始まれば、事業者間で対立に発展するリスクはより高まる。

 「表示主体者」は一義的に販売者とされるケースが多いものの、メーカーや卸の関与を示す証拠がある場合、その判断が変わる。ユーコーでは丸隆の「商品企画書」(=画像(上))などをもとに広告を制作。制作した広告も丸隆の担当社員と、当時の代表(現在の矢吹好永社長の父)の確認を得た上で掲載したとしており、広告の確認書面(=画像(下))に代表の記名もある。「家電製品の機能は、健康食品などと異なり専門性が高く、表示に対するメーカーの依存度が高い」(石田社長)というのが主張だ。

092.jpg 一方の丸隆は、「広告は通販会社のノウハウであり、出せる限りの資料は出した」(矢吹社長)と、主張は対立する。

 「商品企画書」は消費者庁も確認しており、その上で「表示主体者」をユーコーと認定している。民事であれ、メーカーの関与を示すにはより強い証拠が必要。ただ、石田社長は、「(責任の一端はあったと)謝罪があるべき」と、感情的なもつれから係争に発展しつつある。仮に"課徴金"が加われば、こうした対立はより増加することが予想される。

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 別のリスクもある。商品管理の問題だ。

 今回、措置命令の対象になった空気清浄機は、新聞広告で21畳の広さまで「PM2・5」や「防ダニ」、「除菌」、「抗ウィルス」、「花粉」「たばこ」に対応するかのように表現していた。だが実際、"21畳対応"のデータは、「PM2・5」に関する資料のみ。花粉などに関する機能は、丸隆にフィルターを納めていた村田製作所が5~10リットルの狭い空間内で行った試験データのみだった。このことが"表示のかい離"とみられた。

 ただ、現実的に販売者がすべての試験を行うのは難しい。「PM2・5」に対する機能を確認するテスト費用は「20万円前後」(矢吹社長)。ほかの試験を行った場合、製品分析を行う分析センターは、「たばこの消臭機能であれば、日本電機工業会が定めた規格があり10万円前後。ただ、花粉やウィルスは高度な設備が必要になるためうちでは受けてない」と話す。

 というのも、「花粉などは粒子が大きいため集じん機能を調べようとしても床に落ちてしまう。どういった試験環境でやれば空気中に漂わせることができるか難しい」(同)ためだ。仮にやったとしても「花粉」など各試験に15~20万円。商品企画書やユーコーの広告に表示された性能を確認しようとすると100~150万円ほどの費用が必要になる計算になる。多くのトライアル商品を回しつつ事業運営する中では現実的な投資とはいえない。

 とはいえ、一定レベルで機能を表示して売れ筋を見極めなければ、追加投資の判断が行えないジレンマを抱えることになる。今後事業者は、課徴金を意識しつつ、多くの商品と向き合うことを迫られる。

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 一方、ユーコーの処分に行政のある執行担当官は、内容の是非は別として「社会性がない」と指摘する。販売期間はわずか1カ月、さらに数年前の広告を今更ながら引っ張り出してきて処分しているためだ。今後も行政は「表示主体者」で難しい判断を迫られる。ただ、課徴金は事業者に大きな負担を強いるもの。行政も運用に対する説明責任と社会へのメッセージ性が問われることになる。

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